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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097779
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/20 20060101AFI20220624BHJP
   F24C 15/14 20060101ALI20220624BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F24C15/20 A
F24C15/14 B
F24C1/00 310C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210914
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩司
(57)【要約】
【課題】加熱調理器の調理庫内の蒸気を含んだ空気をハウジングの上側から放出しても、加熱調理器の上側で結露を生じさせにくくする。
【解決手段】加熱調理器10は、ハウジング11内に設けられて食材を加熱調理する調理庫20と、ハウジング11の天井壁の外側に先端開口部34aが配置されて、調理庫20内とハウジング11の外側を通気可能に連通させる通気管34と、ハウジング11内の側部に設けられた機械室12と、機械室12が配置された位置のハウジングの側壁に形成されて、機械室12の空気を排出する排気口11aと、通気管34の先端開口部34aと排気口11aの近傍とを通風可能に案内する案内ダクト37を設けた。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に設けられて食材を加熱調理する調理庫と、
前記ハウジングの天井壁の外側に先端開口部が配置されて、前記調理庫内と前記ハウジングの外側を通気可能に連通させる通気管と、
前記ハウジング内の側部に設けられた機械室と、
前記機械室が配置された位置の前記ハウジングの側壁に形成されて、前記機械室の空気を排出する排気口とを備えた加熱調理器であって、
前記通気管の先端開口部と前記排気口の近傍とを通風可能に案内する案内ダクトを設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記案内ダクトは、前記ハウジングの上側にて前記通気管の先端開口部が配置された位置から前記排気口が形成されたハウジングの側壁まで延びる第1通風路と、
前記排気口が形成されたハウジングの側壁上端から前記排気口の近傍まで延びる第2通風路とを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
前記第2通風路は前記排気口の近傍にて空気を通過させる通気口を備え、
前記通気口を前記排気口の鉛直方向と交差する方向で前記排気口に向けて開口させたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項2または3に記載の加熱調理器において、
前記第2通風路の下部には水を受ける受皿部を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を加熱調理する加熱調理器に関し、調理庫内とハウジングの外側を通気可能に連通させる通気管の先端開口部が加熱調理器のハウジングの天井壁に設けられた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には食材を加熱調理する加熱調理器の発明が開示されている。この加熱調理器は、ハウジング内に設けられて食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内とハウジングの天井壁の外側とを通気可能に連通させる通気管とを備えている。この加熱調理器で調理プログラムを実行したときに、調理庫内に収容した食材はヒータと対流ファンの作動によって対流する熱風によって加熱調理される。また、この加熱調理器は調理庫内の湿度(蒸気量)を調節した状態で調理する調理プログラムを備えており、この調理プログラムを実行したときには、調理庫内には通気管に設けた通気弁を開放することによって外気が導入され、調理庫の食材は湿度が調節された熱風によって加熱調理される。
【0003】
特許文献2には食材を加熱調理する加熱調理器の発明が開示されている。この加熱調理器は、調理庫内を自動で洗浄する自動洗浄機能を有しており、特許文献1の構成に加えて、調理庫の上部に設けられて洗浄水を噴出する洗浄ノズルと、調理庫の底部の排水口と洗浄ノズルを接続する洗浄水送出管と、洗浄水を一時的に貯えるのに用いる排水タンクと、洗浄水送出管に介装された洗浄ポンプとを備えている。この加熱調理器は、調理庫内を自動洗浄する洗浄プログラムを有しており、加熱調理器で洗浄プログラムを実行すると、洗浄水は洗浄ポンプの作動によって排水タンクから調理庫内に噴出された後で排水タンクに戻り、調理庫内は排水タンクとの間を循環する洗浄水によって洗浄される。また。調理庫内に噴出され洗浄水はヒータによって加熱されるとともに対流ファンによって調理庫内を飛散し、調理庫内は飛散する高温の洗浄水によって洗浄される。
【0004】
特許文献3には加熱調理器を上下に多段状に積み重ねて設置しても、下側の加熱調理器のハウジングの天板が破損しないようにする段積み用ベースの発明が開示されている。段積み用ベースは、下側の加熱調理器のハウジングの上面の前部及び後部に設けられた前後の梁部材と、梁部材の上面に設けられたベースプレートとを備えている。また、ベースプレートの左側部の前後方向の中間部と後部には切欠部が形成されており、前後方向の中間部の切欠部は調理庫内とハウジングの外側を通気可能に連通させる通気管の先端開口部が配置された位置に形成され、後部の切欠部は調理庫内の空気を排出する排気管が配置された位置に形成されている。前後方向の中間部の切欠部にはカバーが設けられている。カバーは下側の加熱調理器のハウジングの左側部から少し左側に突出しており、通気管の先端開口部はカバーとハウジングの上側の空間と、カバーとハウジングとの間に形成される隙間を介して外側に開放されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-138573号公報
【特許文献2】特開2020-041793号公報
【特許文献3】特開2015-169338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の洗浄機能付きの加熱調理器で調理庫の洗浄プログラムを実行したときに、調理庫内を飛散する洗浄水はヒータによって加熱されて一部が蒸気となり、調理庫内の圧力が上昇し、調理庫の前面開口を開閉自在に塞ぐ扉から洗浄水が洗剤とともに漏出することがある。これを防ぐために、特許文献1に記載されている通気管を開放すれば、調理庫内の空気を通気管からハウジングの上側に放出することができ、調理庫の前面の扉の間から洗浄水が漏出するのを防ぐことができる。
【0007】
また、特許文献1または2の加熱調理器のハウジングの上面に特許文献3の段積み用ベースを設置することで、加熱調理器の上側のスペースを有効に活用することができる。段積み用ベースを加熱調理器のハウジングの上面に設置したときには、加熱調理器の通気管の先端開口部の上側には段積み用ベースのカバーが配置されているが、通気管の先端開口部はカバーとハウジングの上側の空間と、カバーとハウジングとの間に形成される隙間を介して外側に開放されているので、調理プログラムを実行したときでも加熱調理器の調理庫には通気管から外気を導入することができる。しかし、上述したように、洗浄機能付きの加熱調理器で調理庫の洗浄プログラムを実行したときに、通気管からハウジングの上側に放出される調理庫内の蒸気を含んだ空気が段積み用ベースのベースプレートの下側で結露し、加熱調理器と段積み用ベースのベースプレートと間に結露が貯まるおそれがあった。また、段積み用ベースを用いて加熱調理器を上下に積み重ねないときであっても、加熱調理器の上側に十分な空間を配置することができないときには、加熱調理器の上側に配置される構造物が通気管から放出される調理庫内の蒸気を含んだ空気によって結露するおそれがあった。本発明は、加熱調理器の調理庫内の蒸気を含んだ空気をハウジングの上側から放出しても、加熱調理器の上側で結露を生じさせにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、ハウジング内に設けられて食材を加熱調理する調理庫と、ハウジングの天井壁の外側に先端開口部が配置されて、調理庫内とハウジングの外側を通気可能に連通させる通気管と、ハウジング内の側部に設けられた機械室と、
機械室が配置された位置のハウジングの側壁に形成されて、機械室の空気を排出する排気口とを備えた加熱調理器であって、通気管の先端開口部と排気口の近傍とを通風可能に案内する案内ダクトを設けたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、通気管の先端開口部と排気口の近傍とを通風可能に案内する案内ダクトを設けたので、調理庫から蒸気を含んだ空気が通気管を通って先端開口部から放出されたときに、蒸気を含んだ空気は案内ダクトによってハウジングの側壁の排気口の近傍に案内され、案内された蒸気を含んだ空気は排気口から排出される排気とともに周囲に飛散するので、ハウジングの天井壁の上面及び側壁外面に結露が生じにくくなる。
【0010】
上記のように構成した加熱調理器においては、案内ダクトは、ハウジングの上側にて通気管の先端開口部が配置された位置から排気口が形成されたハウジングの側壁まで延びる第1通風路と、排気口が形成されたハウジングの側壁上端から排気口の近傍まで延びる第2通風路とを備えるようにしてもよい。
【0011】
上記のように構成した加熱調理器においては、第2通風路は排気口の近傍にて空気を通過させる通気口を備え、通気口を排気口の鉛直方向と交差する方向で排気口に向けて開口させるのが好ましい。このようにしたときには、第2通風路から通気口を通る蒸気を含んだ空気は排気口に向けて送り出されて排気口から排出される排気とともに周囲に飛散するが、案内ダクト内に生じた結露は通気口から鉛直方向に流れるので排気口から排出される排気とともに周囲に飛散しないようになる。
【0012】
上記のように構成した加熱調理器においては、第2通風路の下部には水を受ける受皿部を設けるのが好ましい。このようにしたときには、第1及び第2通風路内に生じた結露は第2通風路内を通ったときに下部に設けた受皿部で受けられるので、第1及び第2通風路内に生じた結露が加熱調理器の周囲に落下しないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の加熱調理器を下側にして、加熱調理器を上下に2段で積み上げたときの斜視図である。
図2図1の上側の加熱調理器を上方に移動させたときの斜視図である。
図3図2の段積み用ベースと案内ダクトの蓋部材とをさらに上側に移動させたときの斜視図である。
図4】本発明の加熱調理器の前後方向の中央部の位置で左右方向に沿って切断した縦方向断面図である。
図5】加熱調理器を調理庫の収容室の左右方向の中央部の位置で前後方向に沿って切断した縦方向断面図である。
図6図5の仕切板と支持フレームを取り外した状態の縦方向断面図である。
図7】案内ダクトを構成する蓋部材を上側に取り外して第1通風路が見えるようにした斜め後方から見た拡大斜視図である。
図8】加熱調理器の主として洗浄水が通る部分の概略図である。
図9】制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明による加熱調理器の一実施形態を図面を参照して説明する。図1図3に示したように、本発明の加熱調理器10は、段積み用ベースB等を用いて上側に他の加熱調理器等の機器を設置したときに、ハウジング11の天井壁の外側に配置される調理庫20の通気管34の先端開口部34aから蒸気を含んだ空気が放出されたときに下側の加熱調理器10のハウジング11の天井壁上面、段積み用ベースBまたは上側の他の機器に結露が生じにくくしたものである。
【0015】
図4に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図1~3に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部(図示省略)が設けられており、開口部にはこれを開閉する扉13が設けられている。
【0016】
図4及び図5に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。調理庫20の左右方向の中央部より左側には食材収容室21と熱風生成室22を仕切る仕切板23が設けられており、仕切板23は食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っている。仕切板23には多数の吸込口23aが形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口23aを通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に空気が通過可能な空間が形成されるように取り付けられることで、仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間には空気が通過する通風路23bが形成されており、熱風生成室22の空気は通風路23bを通って食材収容室21に送られる。
【0017】
図4及び図5に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。この実施形態の支持フレーム24は、トレイを上下に10段で支持するものであり、金属製線材(金属製ワイヤ材)を曲げ加工したものである。支持フレーム24は、前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部を支持するレール24bとを備えている。
【0018】
図4及び図6に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン26は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ25の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン26は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口23aを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された空気は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ25とともに対流ファン26を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン26の外側に配置されるヒータ25に吹き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。
【0019】
図6に示したように、調理庫20の熱風生成室22には温度センサ27が設けられている。温度センサ27は、調理庫20内の温度を検出するものであり、調理庫20の左側壁にてヒータ25の外側に配設されている。
【0020】
図4に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、機械室12に設けたタンク14の上側に立設している。なお、タンク14は、蒸気発生装置30から排水を流すのに用いられるだけでなく、調理庫20から排水を流すのに用いられ、調理庫20から排出される空気の温度を検出することで調理庫20の蒸気量を測定するのにも用いられるとともに、後述する洗浄プログラムを実行するときに洗浄水を貯えるのに用いられている。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は図6に示した調理庫20の左側壁に形成された蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0021】
図4に示したように、ハウジング11の機械室12には、調理庫20内とハウジング11の天井壁の外側を通気可能に連通させる通気管34が設けられている。通気管34は、主として調理庫20内で加熱調理をする際に、調理庫20内に外気を導入または調理庫20内から蒸気を含んだ空気を導出するようにして、調理庫20内の温度及び湿度を調節するものであり、調理庫20内を洗浄する際に、調理庫20内から蒸気を含んだ空気を導出するようにして、調理庫20内の圧力が高くならないようにする機能を有している。
【0022】
図4及び図6に示したように、通気管34は調理庫20の左側壁にて対流ファン26の背面側(左側)に形成された通気口20cに接続されており、通気管34の先端開口部34aはハウジング11の天井壁から外側に導出されている。対流ファン26を作動させると、調理庫20の左側壁と対流ファン26の間が負圧化され、ハウジング11の外側の空気が通気管34を通って調理庫20内に導入される。また、通気管34には通気弁35が介装されており、ハウジング11の外側の空気または調理庫20内の空気は通気弁35の開度に応じた量で通気管34を通過する。
【0023】
ハウジング11内の機械室12には上述した蒸気発生装置30と、対流ファン26のモータと、種々の制御機器が配置されており、これらの機器により機械室12内の温度が高くなる。このため、図7に示したように、ハウジング11の左側壁の上部には機械室12内の空気を外側に排出する排気口11aが形成されており、ハウジング11の左側壁の上部には排気口11aと対向する位置に排気ファン36が設けられている。排気ファン36を作動させると、ハウジング11内の機械室12の空気が排気口11aを通って外側に排出される。排気ファン36は加熱調理器10の主電源が入った後で常時作動するように制御されているが、これに限られるものでなく、後述する少なくとも調理プログラムと洗浄プログラムを実行するときに作動するように制御してもよい。
【0024】
図2図3及び図7に示したように、ハウジング11の機械室12側の天井壁の上側から左側壁の上部にかけて案内ダクト37が設けられている。案内ダクト37は、通気管34の先端開口部34aとハウジング11の左側壁上部の排気口11aの近傍とを通風可能に案内するものである。図7に示したように、案内ダクト37は、ハウジング11の上側にて通気管34の先端開口部34aが配置された位置から排気口11aが形成されたハウジング11の左側壁(側壁)まで延びる第1通風路38と、ハウジング11の左側壁(側壁)上端から排気口11aの近傍まで延びる第2通風路39とを備え、これらの第1及び第2通風路38,39はハウジング11の上側で連続するように配置されている。
【0025】
図7に示したように、第1通風路38は、上側及び左側が開放された略箱形の案内部材37aと、案内部材37aの上側を開閉自在に塞ぐ蓋部材37bとによって形成された左右方向に延出する通風路であり、通気管34の先端開口部34aとハウジング11の左側壁の上側との間に空気を通過させる通風路となっている。第2通風路39は、右側と後側と下側が開放された略箱形の案内部材37cとハウジング11の左側壁とによって上下方向に延出する通風路であり、ハウジング11の左側壁の上側から排気口11aが形成された高さ位置で空気を通過させる通風路となっている。第2通風路39を形成する案内部材37cはハウジング11の左側壁上部に形成された排気口11aの近傍として前側に配置されている。案内部材37cの後側の開口は第2通風路39の空気の通気口37dとなっており、通気口37dは排気口11aの鉛直方向と直交(交差)する方向で隣接する位置として前側に配置されている。また、第2通風路39を形成する案内部材37cの下部には受皿部37eが設けられており、第1及び第2通風路38,39内で結露した水は受皿部37eによって受けられる。
【0026】
図8に示したように、調理庫20の底壁(底部)には排水口20dが形成されており、調理庫20の天井壁には洗浄ノズル40が設けられており、排水口20dと洗浄ノズル40とは洗浄水通路によって接続されている。排水口20dには洗浄水等の液体を通過させるとともに落下した食材等の固形物が通過するのを防ぐ排水目皿15が設けられており、調理庫20の洗浄水等の液体は排水目皿15によってタンク14に通過可能となっている。排水口20dは第1排水管16によってタンク14に接続されており、調理庫20内の洗浄水は排水口20dから第1排水管16を通ってタンク14に送られる。タンク14と洗浄ノズル40とは洗浄水送出管41によって接続されており、タンク14内の洗浄水は洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。洗浄水送出管41にはポンプ42が介装されており、調理庫20からタンク14内に送られた洗浄水はポンプ42によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。この実施形態の洗浄水通路は、第1排水管16と洗浄水送出管41とにより構成されているが、これに限られるものではなく、調理庫20の排水口20dと洗浄ノズル40とを接続するものであればよい。
【0027】
図8に示したように、タンク14には水道等の給水源から洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管43が接続されており、給水管43には給水弁44と流量計45が介装されている。給水源の水は給水弁44を開放させることによって給水管43を通ってタンク14内に供給される。給水弁44を開放したときに給水管43を通過する水の流量は流量計45によって計測される。
【0028】
洗浄水送出管41には洗浄水が流れる方向でポンプ42より上流側に第2排水管17が接続されており、第2排水管17には排水弁18が介装されている。タンク14内の洗浄水を含めた水は排水弁18を開放することによって第2排水管17を通って排出される。また、洗浄水をタンク14と調理庫20とを循環させるときには、排水弁18を閉止させた状態で給水弁44を流量計45の検出流量に応じた開放時間で開放させると、タンク14には所定量の洗浄水が貯えられる。タンク14に貯えれた洗浄水はポンプ42の作動によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られ、送られた洗浄水は洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射される。調理庫20内に噴射された洗浄水は調理庫20の底壁の排水口20dから第1排水管16を通ってタンク14に戻される。このように、洗浄水はポンプ42の作動によってタンク14と調理庫20とを循環する。
【0029】
図9に示したように、加熱調理器10は制御装置50を備えており、制御装置50は、排水弁18、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27、蒸気発生装置30、通気弁35、ポンプ42、給水弁44及び流量計45に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0030】
制御装置50は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理するための調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0031】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置30から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。
【0032】
また、各調理プログラムを実行するときに、対流ファン26の作動中に通気弁35を開放(開度を大きく)したときには、ハウジング11の外側の空気は通気管34から調理庫20内に導入され、調理庫20内の湿度を調節することができる。このとき、ハウジング11の外側の空気は、通気口37dから案内ダクト37内に入り、案内ダクト37の第1及び第2通風路38,39を通って先端開口部34aから通気管34内に入り、通気管34を通って調理庫20内に導入される。また、対流ファン26を例えば一時的に停止させた状態で、通気弁35を開放(開度を大きく)したときには、調理庫20内の蒸気を含んだ空気は通気管34を通してハウジング11の外側に放出され、調理庫20内の湿度を調節することもできる。このとき、調理庫20内の蒸気を含んだ空気は、通気管34を通って先端開口部34aから案内ダクト37内に放出され、案内ダクト37の第1及び第2通風路38,39を通って通気口37dから機械室12の排気口11aに向けて送出され、排気口11aから排出される機械室12内の排気とともに周囲に飛散する。
【0033】
また、制御装置50は、ROMに調理庫20内を洗浄水により自動で洗浄する洗浄プログラムを備えている。洗浄プログラムは調理庫20内を蒸気によって予め洗浄する蒸気予洗浄運転と、調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転とを有した第1洗浄プログラムと、蒸気予洗浄運転を有さずに調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転を有した第2洗浄プログラムを備え、第1及び第2洗浄プログラムを選択可能としている。
【0034】
第1洗浄プログラムの蒸気予洗浄運転は、蒸気発生装置30により調理庫20内に蒸気を供給して調理庫20内を蒸気によって予め洗浄するものである。蒸気予洗浄運転により、調理庫20内に付着している油分の汚れ(油汚れ)は、蒸気によって浮きあがるようになって、蒸気予洗浄運転後の洗浄運転による高温の洗浄水によって洗い流されやすくなる。
【0035】
第1及び第2洗浄プログラムの洗浄運転は、ポンプ42を作動させることによってタンク14内の洗浄水を洗浄ノズル40に送出し、送出した洗浄水を洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射させ、噴射させた洗浄水をヒータ25と対流ファン26を作動させることによって対流する熱風によって加熱した状態で調理庫20内に飛散させ、飛散させた高温の洗浄水を排水口20dからタンク14に戻すようにし、タンク14との間を循環する高温の洗浄水によって調理庫20内を洗浄する処理である。第1及び第2洗浄プログラムは、この実施形態では4回の洗浄運転を実行するように制御されており、1回目の洗浄運転は洗剤を含んだ高温の洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄するものであり、2回目以後の洗浄運転は洗剤を含まない高温の洗浄水を調理庫20内に飛散させて調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎ洗浄をするものである。
【0036】
第1及び第2洗浄プログラムの洗浄運転を実行するときに、通気弁35を一時的に開放(開度を大きく)することにより、調理庫20内の蒸気を含んだ空気を通気管34を通してハウジング11の外側に放出して、調理庫20内の圧力が高くならないようにしている。このとき、調理庫20内の蒸気を含んだ空気は、通気管34を通って先端開口部34aから案内ダクト37内に放出され、案内ダクト37の第1及び第2通風路38,39を通って通気口37dから機械室12の排気口11aに向けて送出され、排気口11aから排出される機械室12内の排気とともに周囲に飛散する。
【0037】
上記のように構成した加熱調理器10は、ハウジング11内に設けられて食材を加熱調理する調理庫20と、ハウジング11の天井壁の外側に先端開口部34aが配置されて、調理庫20内とハウジング11の外側を通気可能に連通させる通気管34と、ハウジング11内の左側部(側部)に設けられた機械室12と、機械室12が配置された位置のハウジング11の左側壁に形成されて、機械室12の空気を排出する排気口11aとを備えている。
【0038】
この加熱調理器10においては、通気管34の先端開口部34aとハウジング11の左側壁の排気口11aの近傍とを通風可能に案内する案内ダクト37が設けられている。この実施形態の案内ダクト37は、ハウジング11の上側にて通気管34の先端開口部34aが配置された位置から排気口11aが形成されたハウジングの左側壁(側壁)まで延びる第1通風路38と、排気口11aが形成されたハウジング11の左側壁(側壁)の上端から排気口11aの近傍まで延びる第2通風路39とを備えている。調理庫20から蒸気を含んだ空気が通気管34を通って先端開口部34aから放出されたときに、蒸気を含んだ空気は案内ダクト37の第1及び第2通風路38,39を通ってハウジング11の左側壁の排気口11aの近傍に案内され、案内された蒸気を含んだ空気は排気口11aから排出される排気とともに周囲に飛散するので、ハウジング11の天井壁の上面及び左側壁外面に結露が生じにくくなる。
【0039】
特に、この加熱調理器10は、調理庫20内を洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器であり、調理庫20内を洗浄しているときに一時的に通気弁35を開放(開度を大きく)することで、調理庫20内の蒸気を含んだ空気を通気管34の先端開口部34aからハウジング11の外側に放出させたときに、ハウジング11の上側で結露が生じやすかった。この加熱調理器10においては、通気管34の先端開口部34aから放出される蒸気を含んだ空気を案内ダクト37によって機械室12の排熱のための排気口11aから排出される空気とともに周囲に飛散させているので、ハウジング11の天井壁及びこれより上側に設置される段積み用ベースBや上側の加熱調理器の底面に結露を生じにくくさせることができる。さらに、加熱調理器10の上側に他の加熱調理器等の機器を積み上げないときであっても、加熱調理器10の上側に建物の構造物や吊り棚等の設置物が配置されているときに、通気管34の先端開口部34aから放出される蒸気を含んだ空気を案内ダクト37によって機械室12の排熱のための排気口11aから排出される空気とともに周囲に飛散させることで、加熱調理器10の上側の建物の構造物や吊り棚等の設置物に結露が生じにくくさせることができる。
【0040】
また、この加熱調理器10においては、案内ダクト37は排気口11aの近傍にて空気を通過させる通気口37dを備え、通気口37dを排気口11aの鉛直方向と直交(交差)する方向で排気口11aに向けて開口させている。案内ダクト37から通気口37dを通る蒸気を含んだ空気は排気口11aに向けて送り出されて排気口11aから排出される排気とともに周囲に飛散するが、案内ダクト37内に生じた結露は通気口37dから鉛直方向に流れるので排気口11aから排出される排気とともに周囲に飛散しないようになる。
【0041】
上記のように構成した加熱調理器10においては、第2通風路39の下部には水を受ける受皿部37eが設けられているので、第1及び第2通風路38,39内に生じた結露は第2通風路39内を通ったときに下部に設けた受皿部37eで受けられるので、第1及び第2通風路38,39内に生じた結露が加熱調理器10の周囲に落下しないようになる。
【0042】
上記のように構成した加熱調理器10においては、機械室12はハウジング11の左側部に配置され、排気口11aをハウジング11の左側壁に形成したが、これに限られるものでなく、排気口11aをハウジング11の後側壁に形成したものであってもよい。また、機械室12はハウジング11の左側部に配置されているが、これに限られるものでなく、機械室12をハウジング11の後側部に配置し、排気口11aをハウジング11の後側壁、左側壁または右側壁に形成したものであってもよいし、機械室12をハウジング11の右側部に配置し、排気口11aをハウジング11右側壁または後側壁に形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…加熱調理器、11…ハウジング、11a…排気口、12…機械室、20…調理庫、34…通気管、34a…先端開口部、37…案内ダクト、38…第1通風路、39…第2通風路、37d…通気口、37e…受皿部。
図1
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