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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097785
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】洗濯システム
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/40 20200101AFI20220624BHJP
   D06F 34/16 20200101ALI20220624BHJP
   D06F 103/06 20200101ALN20220624BHJP
   D06F 103/04 20200101ALN20220624BHJP
   D06F 103/26 20200101ALN20220624BHJP
   D06F 103/46 20200101ALN20220624BHJP
   D06F 105/02 20200101ALN20220624BHJP
   D06F 105/06 20200101ALN20220624BHJP
   D06F 105/48 20200101ALN20220624BHJP
   D06F 105/52 20200101ALN20220624BHJP
【FI】
D06F33/40
D06F34/16
D06F103:06
D06F103:04
D06F103:26
D06F103:46
D06F105:02
D06F105:06
D06F105:48
D06F105:52
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210924
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】余合 宏允
(72)【発明者】
【氏名】堀田 宗佑
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA15
3B167AE01
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE06
3B167AE11
3B167BA15
3B167BA23
3B167BA24
3B167GB03
3B167HA11
3B167HA31
3B167JA03
3B167JA31
3B167JA52
3B167JB05
3B167JB12
3B167JB14
3B167JC22
3B167JC30
3B167KA02
3B167KA03
3B167KA10
3B167KA18
3B167KA33
3B167KA54
3B167KA63
3B167KA73
3B167KA78
3B167KA90
3B167KB01
3B167KB02
3B167KB05
3B167KB16
3B167LA07
3B167LA08
3B167LA23
3B167LA32
3B167LB03
3B167LC02
3B167LC03
3B167LC09
3B167LD04
3B167LD12
3B167LD13
3B167LE02
3B167LF12
3B167LG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】脱水時の回転槽内の洗濯物の片寄りを低減することができる洗濯システムを提供する。
【解決手段】洗濯システムは、回転槽5と、第1検出部と、判定部と、第2検出部と、記録部と、制御部と、を持つ。前記回転槽5は、洗濯する対象物を収容する。前記第1検出部は、前記回転槽5の状態または撹拌体8の状態の少なくとも一方を検出する。前記判定部は、前記第1検出部による検出結果に基づいて、脱水が失敗したか否かを判定する。前記第2検出部は、洗濯状態を検出する。前記記録部は、前記脱水が失敗したと前記判定部が判定した回数と、前記脱水が失敗したと前記判定部が判定した場合の前記第2検出部が検出した前記洗濯状態とを関連付けた情報を記録する。前記制御部は、前記記録部が記録した前記情報と、前記第2検出部が検出した前記洗濯状態とに基づいて、前記回転槽5内の水流を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯する対象物を収容する回転槽と、
前記回転槽の状態または撹拌体の状態の少なくとも一方を検出する第1検出部と、
前記第1検出部による検出結果に基づいて、脱水が失敗したか否かを判定する判定部と、
洗濯状態を検出する第2検出部と、
前記脱水が失敗したと前記判定部が判定した回数と、前記脱水が失敗したと前記判定部が判定した場合の前記第2検出部が検出した前記洗濯状態とを関連付けた情報を記録する記録部と、
前記記録部が記録した前記情報と、前記第2検出部が検出した前記洗濯状態とに基づいて、前記回転槽内の水流を制御する制御部と、
を備える洗濯システム。
【請求項2】
前記第1検出部は、
前記回転槽を回転自在に支持し、前記回転槽を内部に収容する外槽に設けられた加速度センサを含む、
請求項1に記載の洗濯システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記加速度センサが示す振動がしきい値を超えたと判定した場合に、前記脱水が失敗したと判定する、
請求項2に記載の洗濯システム。
【請求項4】
前記第1検出部は、
前記水流を変更する撹拌体を回転させるモータの回転数を検出する回転位置センサを含む、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項5】
前記判定部は、
前記回転位置センサが検出した前記モータの回転数の変化がしきい値を超えたと判定した場合に、前記脱水が失敗したと判定する、
請求項4に記載の洗濯システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記脱水が失敗したと判定された回数が所定の回数となった場合、または、前記脱水が失敗したと判定された回数が洗濯した回数に対して所定の割合以上となった場合、前記水流を制御する、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記脱水が失敗したと判定された回数が増加するにつれて、または、前記割合が増加するにつれて、前記水流の基準値からの変更の度合いを大きくする、
請求項6に記載の洗濯システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記水流を変更する撹拌体を回転させるモータの回転時間を長くすることによって、前記水流の基準値からの変更の度合いを大きくする、
請求項7に記載の洗濯システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記水流を変更する撹拌体を回転させるモータの回転において正転させてから反転させるまでの時間および反転させてから正転させるまでの時間を短くすることによって、前記水流の変更の度合いを大きくする、
請求項7または請求項8に記載の洗濯システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記水流を変更する撹拌体を回転させるモータの単位時間当たりの回転数を多くすることによって、前記水流の変更の度合いを大きくする、
請求項7から請求項9の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項11】
前記制御部は、
洗濯における洗い動作中に前記回転槽内の水流を制御する、
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項12】
前記洗濯状態は、
洗濯の運転モード、前記対象物の重量、前記対象物の布質、自洗濯システムが置かれている床の傾き、または、自洗濯システムが置かれている床の材質の少なくとも1つを含む、
請求項1から請求項11の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項13】
前記洗濯状態は、
自洗濯システムの周囲温度を含む、
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項14】
前記記録部が記録した前記情報において、少なくとも1つの洗濯状態の内容を特定する特定部、
を備え、
前記制御部は、
前記特定部が特定した前記内容に基づいて、前記水流を制御する、
請求項1から請求項13の何れか一項に記載の洗濯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機の回転槽では、脱水時などに洗濯物が片寄る場合がある。洗濯機では、このような洗濯物の片寄りを低減することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-008313号公報
【特許文献2】特開2019-208858号公報
【特許文献3】特開2011-177462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、回転槽において、洗濯物の片寄りを低減させることができる洗濯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯システムは、回転槽と、第1検出部と、判定部と、第2検出部と、記録部と、制御部と、を持つ。前記回転槽は、洗濯する対象物を収容する。前記第1検出部は、前記回転槽の状態または撹拌体の状態の少なくとも一方を検出する。前記判定部は、前記第1検出部による検出結果に基づいて、脱水が失敗したか否かを判定する。前記第2検出部は、洗濯状態を検出する。前記記録部は、前記脱水が失敗したと前記判定部が判定した回数と、前記脱水が失敗したと前記判定部が判定した場合の前記第2検出部が検出した前記洗濯状態とを関連付けた情報を記録する。前記制御部は、前記記録部が記録した前記情報と、前記第2検出部が検出した前記洗濯状態とに基づいて、前記回転槽内の水流を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態の洗濯機の構成の一例を示す図。
図2】一実施形態の駆動回路の構成の一例を示す図。
図3】一実施形態の制御装置の構成の一例を示す図。
図4】一実施形態の洗濯機の構成の一部を示す図。
図5】一実施形態の情報TBL1の一例を示す図。
図6】一実施形態の洗濯機の処理フローの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の洗濯システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。また、「検出」とは、対象の物理量を直接感知する場合に限定されず、対象の物理量に関連する他の物理量を直接または間接的に取得し、取得した他の物理量から対象の物理量を推定したり特定したりする場合も含み得る。また、「取得」とは、対象物そのものを直接受け取る場合に限定されず、直接受け取った物を演算や加工などを行うことによって対象物となる場合も含み得る。
【0008】
以下では、いくつかの実施形態について説明する。実施形態の洗濯機は、脱水時に生じる洗濯物の片寄りを改善する洗濯機である。洗濯機は、縦型の洗濯機である。洗濯機は、二槽式の洗濯機でもよい。
【0009】
<実施形態>
(洗濯機の全体構成)
図1は、一実施形態の洗濯機100の全体構成を示す図である。洗濯機100は、例えば、筐体1、水槽3(外槽の一例)、吊り棒4、回転槽5、バランスリング7、撹拌体8、洗濯機モータ9、クラッチ機構11、排水弁12、排水ホース13、切替用モータ14、操作パネル16、振動検出装置17(第1検出部の一例)、給水弁18、水位センサ19、温度取得装置20、回転検出装置21(回転位置センサの一例)、駆動回路22、制御装置23、および傾き検出装置24を備える。洗濯機100は、洗濯システムの一例である。回転槽5は、洗濯槽の一例である。
【0010】
筐体(外箱)1は、底壁、上壁、前壁、後壁、および左右の側壁を含む。筐体1は、洗濯機100の外観を形成する。筐体1には、洗濯蓋2が開閉可能に取り付けられる。
【0011】
水槽3は、筐体1内に配置される。水槽3の底部は、閉塞される。水槽3の上面は、開口した円筒容器状に形成される。水槽3の底部には、排水口3aが設けられる。水槽3は、筐体1の内側の四隅に設けられた吊り棒4と、コイルばね(不図示)とを主体に構成された防振装置を介して吊り下げられることによって弾性的に支持される。
【0012】
回転槽5は、洗濯槽と脱水槽を兼ねる。回転槽5は、水槽3の内部に配置されている。回転槽5は、筐体1のトップカバー6の洗濯物出入口を通して洗濯物(洗濯する対象物の一例)が出し入れされる。回転槽5の底部は、閉塞される。回転槽5の上面は、開口した円筒容器状に形成される。回転槽5の周壁部には、複数の脱水孔5aを有する。各脱水孔5aは、回転槽5の周壁部を厚さ方向に貫通し、回転槽5の内外を連通させる。バランスリング7は、回転槽5の上端部に取り付けられる。
【0013】
撹拌体8は、回転槽5内の底部に回転可能に設けられる。撹拌体8は、洗い時やすすぎ時の回転槽5における水流を生成する。つまり、撹拌体8の回転を制御することによって回転槽5における水流を変更することができる。
【0014】
洗濯機モータ9は、洗濯および脱水用のモータである。洗濯機モータ9は、水槽3の下方に設けられる。洗濯機モータ9は、後述する制御装置23による制御の下、駆動回路22から供給される電流に応じて回転する。洗濯機モータ9は、回転槽5を回転させる。洗濯機モータ9は、例えば、アウターロータ型の3相のDCブラシレスモータである。
【0015】
クラッチ機構11は、水槽3の下方に設けられる。クラッチ機構11は、洗濯機モータ9によって駆動される。クラッチ機構11は、撹拌体8だけを回転させる状態と、撹拌体8と回転槽5とを一体的に回転させる状態とを切り替える。
【0016】
排水口3aは、水槽3の底部に設けられる。排水ホース13は、排水弁12を介して排水口3aに接続される。排水弁12が開放されると、回転槽5内および水槽3内の水が排水ホース13を通して洗濯機100の外部へ排出される。
【0017】
切替用モータ14は、水槽3の下方に設けられる。切替用モータ14は、クラッチ機構11および排水弁12の状態を連動させて切り替える。例えば、切替用モータ14は、排水弁12を開放させる場合、洗濯機モータ9により撹拌体8と回転槽5とを一体的に回転させるようにクラッチ機構11を切り替える。また、切替用モータ14は、排水弁12を閉鎖させる場合、洗濯機モータ9により撹拌体8だけを独立させて回転させるようにクラッチ機構11を切り替える。なお、洗濯機100は、切替用モータ14の代わりに電磁ソレノイドを備え、その電磁ソレノイドを用いてクラッチ機構11および排水弁12の状態を連動させて切り替えるものであってもよい。
【0018】
操作パネル16は、トップカバー6の上面に設けられる。操作パネル16は、表示部16aおよび操作入力部16bを備える。例えば、表示部16aおよび操作入力部16bは、ユーザが押下可能なボタンとディスプレイ装置とを備えたパネル、またはユーザが操作可能なタッチパネルなどである。ユーザは、操作パネル16を操作することによって、洗濯の運転コースの選択や運転開始の操作を行うことができる。洗濯の運転コースの例としては、標準コース、スピーディコース、おしゃれ着コース(丁寧洗いコース)、部屋干しコース、がんこ汚れコースなどが挙げられる。洗濯の運転コースごとに、洗い時に回転槽5に注水される水の量、すすぎ時の回転槽5における水流、洗濯行程の内容が異なる。また、操作パネル16には、洗濯行程や運転終了までの残り時間、設定水位などが表示される。操作パネル16は、報知部の一例である。
【0019】
振動検出装置17は、水槽3の振動(言い換えると、回転槽5の振動)を検出する。振動検出装置17は、例えば、加速度センサである。振動検出装置17が加速度センサである場合、振動検出装置17は、水槽3(例えば、水槽3の外面)に設けられる。加速度センサは、水槽3の振動(言い換えると、回転槽5の振動)に応じた加速度を検出する。加速度センサが検出する加速度は、水槽3の振動に応じて変化する。そのため、加速度センサが検出する加速度の変化を求めることにより、水槽3の振動の大きさを求めることができる。加速度センサは、水槽3に設けられて水槽3の振動を直接検出する場合に代えて、筐体1または筐体1内の別部材(例えば、吊り棒4など)に設けられ、水槽3の振動を間接的に検出してもよい。加速度センサは、回転槽5内で洗濯物に片寄りがある場合、その片寄りに起因する異常振動を検出する。すなわち、加速度センサにより検出される加速度がしきい値を超え、異常振動を検出したと判定された場合、洗濯物に片寄りがあること判定される。ただし、振動検出装置17は、加速度センサに限定するものではない。例えば、振動検出装置17は、後述する駆動回路22に流れる電流、すなわち、洗濯機モータ9を回転させる電流の値の変化から、洗濯機モータ9の回転数の変化を推定し、その回転数の変化から振動を推定するものであってもよい。なお、この振動の推定は、水槽3における洗濯物に片寄りがない場合には、洗濯機モータ9の回転数はほぼ一定になるのに対して、水槽3における洗濯物に片寄りがあり水槽3が振動する場合、洗濯機モータ9の回転数が上下に変動するという考えに基づくものである。
【0020】
給水弁18は、水道の蛇口に接続された給水ホース(不図示)が接続される。給水弁18は、閉状態から開状態に切り替わることにより、水道水が注水口(不図示)を通して回転槽5内さらには水槽3内に供給される。水位センサ19は、水槽3に設けられる。水位センサ19は、水槽3内の水位を検出する。
【0021】
温度取得装置20は、洗濯機100の周囲温度を取得する。温度取得装置20が温度センサである場合、温度取得装置20は、筐体1の外部表面に設けられる。ただし、温度取得装置20は、温度センサに限定するものではない。例えば、温度取得装置20は、洗濯機100が設置されている地域の天気予報が示す気温を、例えば、通信ネットワークを介して取得するものであってもよい。
【0022】
回転検出装置21は、洗濯機モータ9の回転数を検出する。回転検出装置21は、例えば、磁気センサ(例えば、ホール素子、ホールIC(Integrated Circuit))などの位置センサである。回転検出装置21が磁気センサである場合、3つの磁気センサの出力から現在のロータの位置が推定され、その位置に応じて洗濯機モータ9の回転が制御される。洗濯における洗濯機モータ9の回転数は、洗濯物の布質に応じて変化する。すなわち、洗濯機モータ9の回転数によって布質を判定することが可能となる。なお、回転検出装置21は、後述する駆動回路22に流れる電流、すなわち、洗濯機モータ9を回転させる電流の値から、洗濯機モータ9の回転数を推定するものであってもよい。
【0023】
傾き検出装置24は、洗濯機100が置かれている床の傾き(すなわち、水平に対する洗濯機100自体の傾き)を検出する。傾き検出装置24は、例えば、ジャイロセンサである。傾き検出装置24は、例えば、筐体1は、底壁の内側に設けられる。
【0024】
(駆動回路の構成)
駆動回路22は、制御装置23による制御に応じた電流を、洗濯機モータ9に供給する。図2は、駆動回路22の構成の一例を示す図である。駆動回路22は、例えば、図2に示す回路である。駆動回路22は、インダクタL、整流回路22a、リップル除去回路22b、インバータ22c、電流検出回路Rsを備える。
【0025】
インダクタLは、電流を制限する。整流回路22aは、商用交流電圧から直流電圧を生成する。整流回路22aは、例えば、4つのダイオードから成るブリッジ回路である。リップル除去回路22bは、整流後の直流電圧におけるリップルを低減させる。リップル除去回路22bは、例えば、キャパシタである。このリップル除去回路22bにより、整流回路22aが出力する電圧の振幅変動が小さくなる。整流回路22aが出力する電圧はインバータ22cに入力される。
【0026】
インバータ22cは、入力される直流電圧から洗濯機モータ9を駆動する交流電圧を生成する。例えば、インバータ22cは、図2に示すように、6つのスイッチング素子によって構成されるブリッジ回路である。ブリッジ回路は、電源側のスイッチング素子とグラウンド側のスイッチング素子とが対を成し、3対のスイッチング素子を備える。スイッチング素子としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子が挙げられる。
【0027】
抵抗回路Rsは、3つのシャント抵抗を備える。各シャント抵抗は、洗濯機モータ9の3つの相のそれぞれに対応した電流が流れる経路に設けられる。各シャント抵抗は、それらの経路に流れる電流を検出するためのものである。各シャント抵抗の両端間の電圧をそのシャント抵抗の抵抗値で除算することによって3つの相それぞれに流れる電流を特定することができる。スイッチング素子がIGBTである場合、グラウンド側のIGBTのエミッタ端子とグラウンド端子との間に抵抗回路Rsの各シャント抵抗が設けられる。グラウンド側のIGBTがオン状態の間、洗濯機モータ9の巻線に流れる電流と同じ大きさの電流が発生する。そのため、各シャント抵抗には正の電圧と負の電圧とが発生する。
【0028】
(制御装置の構成)
図3は、制御装置23の構成を示すブロック図である。図4は、洗濯機100の構成の一部を示す図である。制御装置23は、例えば、受付部201、検出部202(第1検出部の一例、第2検出部の一例)、判定部203、記録部204、制御部205、および記憶部206を備える。制御装置23は、操作パネル16、振動検出装置17、水位センサ19、温度取得装置20、回転検出装置21、駆動回路22、傾き検出装置24から受ける情報に基づいて、排水弁12、切替用モータ14、給水弁18を制御するとともに、駆動回路22を制御することにより洗濯機モータ9を制御する装置である(図4参照)。
【0029】
これら機能部は、例えば、制御装置23に搭載されたCPU(Central Processing Unit)のようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、上記機能部の一部またはすべては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0030】
受付部201は、ユーザが操作パネル16に対して行う操作に応じた信号を生成する。具体的には、受付部201が生成する信号は、ユーザが選択した洗濯運転コースを示す信号である。また、受付部201が生成する信号は、洗濯機100が置かれている床の材質を示す信号である。
【0031】
検出部202は、回転槽5の状態または撹拌体8の状態の少なくとも一方を検知する。具体的には、検出部202は、水槽3の外部(例えば、水槽3の外面)に設けられた加速度センサが検出した加速度を回転槽5の状態として特定する。また、検出部202は、駆動回路22の抵抗回路Rsに流れる電流の値の変化から、洗濯機モータ9の回転数の変化(すなわち、撹拌体の状態)を推定する。
【0032】
また、検出部202は、洗濯状態を検出する。洗濯状態の例としては、洗濯の運転コース、洗濯物の重量、洗濯物の布質、洗濯機100の周囲温度、洗濯機100が置かれている床の傾き、洗濯機100が置かれている床の材質などが挙げられる。
【0033】
例えば、検出部202は、受付部201が生成した信号が示す運転コースを特定することによって、洗濯の運転コースを検出する。また、検出部202は、後述する第1検出動作において、回転槽5の回転駆動の加速時に得られる抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値または洗濯機モータ9の回転数の変化の少なくとも一方に基づいて、洗濯物の重量を検出する。回転槽5の回転駆動の加速時に得られる抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値および洗濯機モータ9の回転数の変化は、洗濯物の重量と相関関係があるため、この検出が可能である。また、検出部202は、抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値の変化、または、給水量と水位センサ19が示す水位(すなわち、水量)との差の少なくとも一方に基づいて、洗濯物の布質を検出する。例えば、検出部202は、抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値の変化が大きい場合、水分を吸収しやすい布質であり、その電流値が小さい場合、水分を吸収し難い布質であると判定する。また、検出部202は、給水量と水位センサ19が示す水位との差がしきい値よりも大きい場合、水分を吸収しやすい布質であり、その差がしきい値よりも小さい場合、水分を吸収し難い布質であると判定する。また、検出部202は、温度取得装置20が取得した温度を特定することにより、洗濯機100の周囲温度を検出する。また、検出部202は、傾き検出装置24が検出した傾きを特定することにより、洗濯機100が置かれている床の傾きを検出する。また、検出部202は、受付部201が生成した信号が示す床の材質を特定することによって、洗濯機100が置かれている床の材質を検出する。
【0034】
判定部203は、検出部202による検出結果に基づいて、脱水が失敗したか否かを判定する。例えば、判定部203は、検出部202が検出した加速度センサが示す振動がしきい値を超えたと判定した場合に、洗濯物に片寄りがある、すなわち脱水が失敗したと判定する。また、判定部203は、検出部202が検出した洗濯機モータ9の回転数の変化がしきい値を超えたと判定した場合に、洗濯物に片寄りがある、すなわち脱水が失敗したと判定する。
【0035】
記録部204は、脱水が失敗したと判定部203が判定した回数と、脱水が失敗したと判定部203が判定した場合の検出部202が検出した洗濯状態とを関連付けた情報TBL1を記憶部206に記録する。図5は、記録部204が記憶部206に記録する情報TBL1の一例を示す図である。例えば、図5に示すように、記録部204は、洗濯#1の場合、運転コースが運転コース1、洗濯物の重量が重量1、洗濯物の布質が布質1、洗濯機100の周囲温度が温度1、洗濯機100が置かれている床の傾きが傾き1、洗濯機100が置かれている床の材質が材質1によって表される洗濯状態1と、脱水の失敗回数3と、脱水に失敗したときに使用した制御パラメータ(パラメータ1~3)と、脱水に成功した最後に使用した制御パラメータ(パラメータ4)とを関連付けて記憶部206に記録する。なお、1回目に使用する制御パラメータ(図5におけるパラメータ1、5、8)は、各洗濯状態に対して予め決定した標準の制御パラメータである。
【0036】
制御部205は、回転槽5に収容された洗濯物の重量を検出するための第1検出動作を行う。例えば、制御部205は、洗濯または乾燥を開始する前(例えば、洗濯機100内に給水する前であり、例えば洗濯機100の動作開始ボタンが押下された直後)に、第1検出動作を行う。第1検出動作は、比較的大きな加速度および比較的大きな減速度で回転槽5を回転駆動させる動作であり、定速回転を含まない。
【0037】
また、制御部205は、脱水が失敗していない場合、洗濯状態に対する標準の制御パラメータに基づいて、排水弁12、切替用モータ14、給水弁18を制御するとともに、駆動回路22を制御することにより洗濯機モータ9を制御する。これにより、制御部205は、ユーザによって指定された洗濯の運転コースに応じた、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯機100の洗濯運転を実行する。
【0038】
また、脱水が失敗したと判定部203が判定した場合、制御部205は、記録部204が記憶部206に記録した情報TBL1と、検出部202が検出した洗濯状態とに基づいて、回転槽5内の水流を制御する。例えば、検出部202が検出した洗濯状態が図5に示す洗濯状態1である場合、脱水が失敗したと判定部203が判定すると、制御部205は、給水の処理に戻り、制御パラメータをパラメータ1からパラメータ2に変更して、再度給水とすすぎの処理を行う。このパラメータ2は、パラメータ1に比べて、洗濯物の片寄りを改善するように回転槽内の水流を制御するパラメータである。すすぎが終わると脱水が失敗したか否かを判定部203が判定する。脱水が失敗したと判定部203が判定した場合、給水の処理に戻り、制御パラメータをパラメータ2からパラメータ3に変更して、再度給水とすすぎの処理を行う。このパラメータ3は、パラメータ2に比べて、洗濯物の片寄りを改善するように回転槽内の水流を制御するパラメータである。このような制御パラメータの変更と脱水が失敗したか否かの判定は、脱水が成功したと判定されるまで続く。
【0039】
なお、制御パラメータは、洗濯物の片寄りを改善するように回転槽内の水流を制御するパラメータである。制御部205は、脱水の失敗回数が多くなるにつれて、回転槽5内の水流の変更の度合いを大きくする。洗濯物の片寄りを改善するように回転槽5内の水流を制御する具体例としては、次に示す3つが挙げられる。1つ目は、制御部205が、回転槽5内の水流を変更する撹拌体8を回転させる洗濯機モータ9の回転時間を長くすることによって、その水流の基準値(すなわち、標準の制御パラメータを用いたときの水流の状態)からの変更の度合いを大きくするものである。これは、洗濯機モータ9の回転時間を長くするものであるため、長くした分、撹拌体8と洗濯物との摩擦が生じ、洗濯物がほぐれて洗濯物の片寄りが改善されるという考えに基づくものである。2つ目は、制御部205が、回転槽5内の水流を変更する撹拌体8を回転させる洗濯機モータ9の回転において正転させてから反転させるまでの時間および反転させてから正転させるまでの時間を短くすることによって、その水流の変更の度合いを大きくするものである。これは、洗濯機モータ9の単位時間当たりの回転方向の切替回数を多くするものであるため、多くした分、撹拌体8と洗濯物との摩擦が生じ、洗濯物がほぐれて洗濯物の片寄りが改善されるという考えに基づくものである。3つ目は、制御部205が、回転槽5内の水流を変更する撹拌体8を回転させる洗濯機モータ9の単位時間当たりの回転数を多くすることによって、その水流の変更の度合いを大きくするものである。これは、洗濯機モータ9の単位時間当たりの回転数を多くするものであるため、多くした分、撹拌体8と洗濯物との摩擦が生じ、洗濯物がほぐれて洗濯物の片寄りが改善されるという考えに基づくものである。
【0040】
記憶部206は、制御装置23が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶部206は、洗濯の運転コース、洗濯物の重量、洗濯物の布質、洗濯機100の周囲温度、洗濯機100が置かれている床の傾き、洗濯機100が置かれている床の材質などの組み合わせによって表される各洗濯状態に対する使用する制御パラメータを記憶する。
【0041】
(洗濯機が行う処理)
次に、一実施形態の洗濯機100が行う処理について説明する。図6は、一実施形態の洗濯機100の処理フローの一例を示す図である。ここでは、図6に示す洗濯機100の処理フローについて説明する。
【0042】
ユーザは、操作パネル16に対して洗濯の運転コースを決定する操作を行う。また、ユーザは、操作パネル16に対して洗濯機100が置かれている床の材質を決定する操作を行う。なお、洗濯の運転コースを決定する操作と床の材質を決定する操作を行うそれぞれのタイミングと順序は任意であってもよい。
【0043】
受付部201は、ユーザが操作パネル16に対して行う操作に応じた信号を生成する(ステップS1)。具体的には、受付部201は、ユーザが選択した洗濯運転コースを示す信号と、洗濯機100が置かれている床の材質を示す信号を生成する。
【0044】
検出部202は、温度取得装置20が取得した温度を特定することにより、洗濯機100の周囲温度を検出する(ステップS2)。また、検出部202は、傾き検出装置24が検出した傾きを特定することにより、洗濯機100が置かれている床の傾きを検出する(ステップS3)。
【0045】
制御部205は、受付部201が生成した信号に応じて、回転槽5に収容された洗濯物の重量を検出するための第1検出動作を行う(ステップS4)。第1検出動作は、比較的大きな加速度および比較的大きな減速度で回転槽5を回転駆動させる動作であり、定速回転を含まない動作である。制御部205がこの動作を行うとき、検出部202は、第1検出動作において、洗濯物の重量を検出する(ステップS5)。この検出は、回転槽5の回転駆動の加速時に得られる抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値または洗濯機モータ9の回転数の変化の少なくとも一方に基づいて行えばよい。
【0046】
制御部205は、回転槽5に給水されるよう給水弁18を制御する。そして、制御部205は、洗濯機モータ9を制御して洗濯機モータ9を回転させる。このとき、検出部202は、抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値の変化に基づいて、洗濯物の布質を検出する(ステップS7)。このとき検出された布質が、標準の制御パラメータを決定したときに想定した布質と異なる場合、標準の制御パラメータを検出した布質に変更した場合のパラメータに変更する。なお、検出部202は、給水時に、給水量と水位センサ19が示す水位(すなわち、水量)との差に基づいて、洗濯物の布質を検出するものであってもよい。
【0047】
制御部205は、受付部201が生成した信号が示す洗濯の運転コースに応じた洗い行程を行うように、排水弁12、切替用モータ14、給水弁18を制御するとともに、駆動回路22を制御することにより洗濯機モータ9を制御する(ステップS6)。この洗い行程では、標準の制御パラメータを用いて、ステップS3の処理において検出された洗濯物の重量に応じた水量が水槽3内に溜められる。また、洗剤とともに撹拌体8を正転および反転させることにより、洗い行程が実行される(すなわち、洗い動作が行われる)。
【0048】
そして、制御部205は、洗い行程を終了する(ステップS8)。制御部205は、排水弁12を制御して水槽3内の水を外へ排出する。そして、制御部205は、給水弁18を制御して水槽3内に水を供給し、洗濯機モータ9を制御して回転槽5を回転させ、排水弁12を制御して水槽3内の水を外へ排出することにより、すすぎ行程を実行する(すなわち、すすぎ動作が行われる)(ステップS9)。
【0049】
水槽3内の水が空になると、制御部205は、クラッチ機構11を切り替えて、標準の制御パラメータを用いて脱水行程を開始する(すなわち、脱水運転を開始する)(ステップS10)。検出部202は、回転槽5の状態または撹拌体8の状態の少なくとも一方を検知する(ステップS11)。例えば、検出部202は、水槽3の外部(例えば、水槽3の外面)に設けられた加速度センサが検出した加速度を回転槽5の状態として特定する。なお、検出部202は、駆動回路22の抵抗回路Rsに流れる電流の値の変化から、洗濯機モータ9の回転数の変化(すなわち、撹拌体の状態)を推定してもよい。
【0050】
判定部203は、検出部202による検出結果に基づいて、脱水が失敗したか否かを判定する(ステップS12)。例えば、判定部203は、検出部202が検出した加速度センサが示す振動がしきい値を超えたと判定した場合に、洗濯物に片寄りがある、すなわち脱水が失敗したと判定する。なお、判定部203は、検出部202が検出した洗濯機モータ9の回転数の変化がしきい値を超えたと判定した場合に、洗濯物に片寄りがある、すなわち脱水が失敗したと判定してもよい。
【0051】
判定部203が脱水に失敗していないと判定した場合(ステップS12においてNO)、制御部205は、脱水行程を終了する。そして、制御部205は、この段階で使用している制御パラメータを用いて、脱水の次の行程を行うように、排水弁12、切替用モータ14、給水弁18を制御するとともに、駆動回路22を制御することにより洗濯機モータ9を制御する(ステップS13)。
【0052】
判定部203が脱水に失敗したと判定した場合(ステップS12においてYES)、記録部204は、脱水が失敗したと判定部203が判定した回数と、脱水が失敗したと判定部203が判定した場合の検出部202が検出した洗濯状態とを関連付けた情報TBL1を記憶部206に記録する(ステップS14)。制御部205は、記録部204が記憶部206に記録した情報TBL1と、検出部202が検出した洗濯状態とに基づいて、回転槽5内の水流を制御する(ステップS15)。例えば、検出部202が検出した洗濯状態が図5に示す洗濯状態1である場合、脱水が失敗したと判定部203が判定すると、制御部205は、給水の処理に戻り、制御パラメータをパラメータ1からパラメータ2に変更して、再度給水とすすぎの処理を行う。このパラメータ2は、パラメータ1に比べて、洗濯物の片寄りを改善するように回転槽内の水流を制御するパラメータである。すすぎが終わると脱水が失敗したか否かを判定部203が判定する。脱水が失敗したと判定部203が判定した場合、給水の処理に戻り、制御パラメータをパラメータ2からパラメータ3に変更して、再度給水とすすぎの処理を行う。このパラメータ3は、パラメータ2に比べて、洗濯物の片寄りを改善するように回転槽内の水流を制御するパラメータである。このような制御パラメータの変更と脱水が失敗したか否かの判定は、脱水が成功したと判定されるまで続く。
【0053】
なお、上述のステップS14の処理を実行するタイミングは、洗濯機100が実行する運転コースが初めて選択された運転コースである場合のものである。洗濯機100が過去に実行したことのある運転コースを再度実行する場合には、複数回脱水の処理を繰り返す可能性があることが既にわかっているため、上述のステップS14の処理を実行するタイミングは、ステップS8とステップS9の間に行うことで、脱水の処理を繰り返すことを回避することができる。
【0054】
(利点)
以上、一実施形態の洗濯機100について説明した。洗濯機100において、検出部202は、回転槽5の状態または撹拌体8の状態の少なくとも一方を検出する。判定部203は、検出部202による検出結果に基づいて、脱水が失敗したか否かを判定する。検出部202は、洗濯状態を検出する。記録部204は、脱水が失敗したと判定部203が判定した回数と、脱水が失敗したと判定部203が判定した場合の検出部202が検出した洗濯状態とを関連付けた情報を記録する。制御部205は、記録部204が記録した情報と、検出部202が検出した洗濯状態とに基づいて、回転槽5内の水流を制御する。この洗濯機100により、脱水時の回転槽内の洗濯物の片寄りを低減することができる。
【0055】
また、洗濯機100において、振動検出装置17は、加速度センサである。この洗濯機100により、脱水時の回転槽内の洗濯物の片寄りを低減することができる。
【0056】
また、洗濯機100において、記録部204は、脱水が失敗したと判定部203が判定した回数と、脱水が失敗したと判定部203が判定した場合の検出部202が検出した洗濯状態とを関連付けた情報TBL1を記憶部206に記録する。この洗濯機100により、脱水が失敗するパターンがわかり、次回の脱水処理時の洗濯物の片寄りの改善に対応することができる。
【0057】
また、洗濯機100において、判定部203は、検出部202が検出した加速度センサが示す振動がしきい値を超えたと判定した場合に、洗濯物に片寄りがある、すなわち脱水が失敗したと判定する。この洗濯機100により、脱水の失敗回数がしきい値を超えた場合に新たな水流を生成することができ、より洗濯物の片寄りを改善することができる。
【0058】
また、洗濯機100において、制御部205は、脱水の失敗回数が多くなるにつれて、回転槽5内の水流の変更の度合いを大きくする。この洗濯機100により、脱水の失敗回数が多くなるにつれて、回転槽5における水流による洗濯物の片寄りの修正力が増加し、よりその片寄を改善することができる。
【0059】
また、洗濯機100において、制御部205は、回転槽5内の水流を変更する撹拌体8を回転させる洗濯機モータ9の回転時間を長くする。この洗濯機100により、洗濯物の片寄りの修正力が増加し、よりその片寄を改善することができる。
【0060】
また、洗濯機100において、制御部205は、回転槽5内の水流を変更する撹拌体8を回転させる洗濯機モータ9の回転において正転させてから反転させるまでの時間および反転させてから正転させるまでの時間を短くすることによって、その水流の変更の度合いを大きくする。この洗濯機100により、洗濯物の片寄りの修正力が増加し、よりその片寄を改善することができる。
【0061】
また、洗濯機100において、制御部205は、回転槽5内の水流を変更する撹拌体8を回転させる洗濯機モータ9の単位時間当たりの回転数を多くすることによって、その水流の変更の度合いを大きくする。この洗濯機100により、洗濯物の片寄りの修正力が増加し、よりその片寄を改善することができる。
【0062】
また、洗濯機100において、周囲温度が高いとダンパーが柔らかくなり、ダンパーによる回転槽5の振動の抑制度合いが低減する。制御部205は、洗濯機100の周囲温度を考慮することにより、より大きく振動することを想定した制御パラメータを用いて水流の変更を行う。よって、この洗濯機100により、洗濯物の片寄りの修正力が増加し、その片寄を改善することができる。
【0063】
<実施形態の第1の変形例>
上述の実施形態の洗濯機100では、脱水が失敗した場合、給水の処理に戻り次の脱水時に水流を変更するものとして説明した。しかしながら、実施形態の第1の変形例の洗濯機100では、制御部205は、洗い処理において脱水時に洗濯物の片寄りを低減する水流を作り出す制御パラメータを用いるものであってもよい。この洗濯機100により、処理の戻りが少なくなり、効率的に洗濯物の片寄を改善することができる。
【0064】
<実施形態の第2の変形例>
上述の実施形態の洗濯機100では、脱水が失敗した場合、給水の処理に戻り次の脱水時に水流を変更するものとして説明した。しかしながら、実施形態の第2の変形例の洗濯機100では、制御部205は、新たな洗濯物に対して、過去に洗濯物の片寄りが改善された制御パラメータを1回目の脱水処理において用いるものであってもよい。具体的には、記録部204が記録した情報TBL1において、少なくとも1つの洗濯状態の内容(すなわち、洗濯の運転コース、洗濯物の重量、洗濯物の布質、洗濯機100の周囲温度、洗濯機100が置かれている床の傾き、洗濯機100が置かれている床の材質などの組み合わせ)を特定する特定部、を備える。そして、制御部205は、前記特定部が特定した内容に基づいて、回転槽5内の水流を制御すればよい。この洗濯機100により、以降、同一の洗濯状態に対して洗濯物の片寄りが生じ難い制御パラメータを1回目の処理から適用できる。そのため、処理の戻りが少なくなり、効率的に洗濯物の片寄を改善することができる。
【0065】
<実施形態の第3の変形例>
上述の実施形態の洗濯機100では、脱水の失敗回数の増加に応じて回転槽5内の水流を変更するものとして説明した。しかしながら、実施形態の第3の変形例の洗濯機100では、脱水の失敗回数の増加に代わりに、脱水の失敗確率の上昇を用いるものであってもよい。この洗濯機100により、脱水の失敗回数の増加に応じて行う水流の変更と同様に、脱水の失敗確率の上昇に伴い水流を変更することができ、洗濯物の片寄を改善することができる。確率は割合の一例である。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1…筐体、2…洗濯蓋、3…水槽、4…吊り棒、5…回転槽、6…トップカバー、7…バランスリング、8…撹拌体、9…洗濯機モータ、11…クラッチ機構、12…排水弁、13…排水ホース、14…切替用モータ、16…操作パネル、16a…表示部、16b…操作入力部、17…振動検出装置、18…給水弁、19…水位センサ、20…温度取得装置、21…回転検出装置、22…駆動回路、22a…整流回路、22b…リップル除去回路、22c…インバータ、23…制御装置、24…傾き検出装置、100…洗濯機、201…受付部、202…検出部、203…判定部、204…記録部、205…制御部、206…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6