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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097817
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20220624BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20220624BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220624BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20220624BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20220624BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220624BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20220624BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/29
A61K8/25
A61K8/42
A61K8/31
A61K8/37
A61Q19/02
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210982
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】513244753
【氏名又は名称】カーリットホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 進
(72)【発明者】
【氏名】梅山 晃典
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 勝之
(72)【発明者】
【氏名】高田 照久
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC012
4C083AC112
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC641
4C083AC642
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD172
4C083AD532
4C083AD642
4C083BB04
4C083BB13
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】美白効果を有し、保存安定性及び使用感に優れた、スティック状の乳化組成物を提供する。
【解決手段】
6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸(a)、平均粒子径が0.1μm以下の酸化チタン(b)、疎水化処理シリカ及び/又はラウロイルリジン(c)、炭化水素ワックス(d)、HLB7以下の非イオン性界面活性剤(e)、液状油(f)、並びに、水(g)を含有し、上記炭化水素ワックス(d)は、配合量が合計で上記乳化組成物総量に対して5.0~30.0質量%であり、一部が又は全部がポリエチレンワックスである乳化組成物。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸(a)、平均粒子径が0.1μm以下の酸化チタン(b)、疎水化処理シリカ及び/又はラウロイルリジン(c)、炭化水素ワックス(d)、HLB7以下の非イオン性界面活性剤(e)、液状油(f)、並びに、水(g)を含有し、前記炭化水素ワックス(d)は、配合量が合計で前記乳化組成物総量に対して5.0~30.0質量%であり、一部が又は全部がポリエチレンワックスである乳化組成物。
【請求項2】
酸化チタン(b)は、シリカ被覆酸化チタンである請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤(e)は、イソステアリン酸ソルビタン及び/又はイソステアリン酸ジグリセリルである請求項1又は2記載の乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
L-アスコルビン酸(ビタミンC)は美白効果などが知られ化粧品材料として有用であるが、不安定で酸化されやすいため、種々のL-アスコルビン酸誘導体の研究開発がなされており、1990年代には安定でかつ体内で分解吸収される誘導体として2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸(L-アスコルビン酸-2-グルコシド)が開発された(特許文献1~3)。
【0003】
2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸はL-アスコルビン酸よりも酸化されにくく安定性に優れる一方で、体内では容易に加水分解されL-アスコルビン酸と同等の生理活性を有することが知られており(特許文献2及び3)、化粧品、食品及び医薬品など、広い応用が期待される。また、さらに保湿性を高めたL-アスコルビン酸誘導体として、2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸中のL-アスコルビン酸残基の6位の位置のヒドロキシル基にアシル基が導入された、6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸が開発された(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2832848号公報
【特許文献2】特開平03-135992号公報
【特許文献3】特開平03-183492号公報
【特許文献4】特開平11-286497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、美白効果を有し、保存安定性及び使用感に優れた、スティック状の化粧料組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸(a)、平均粒子径が0.1μm以下の酸化チタン(b)、疎水化処理シリカ及び/又はラウロイルリジン(c)、炭化水素ワックス(d)、HLB7以下の非イオン性界面活性剤(e)、液状油(f)、並びに、水(g)を含有し、上記炭化水素ワックス(d)は、配合量が合計で上記乳化組成物総量に対して5.0~30.0質量%であり、一部が又は全部がポリエチレンワックスであることを特徴とする乳化組成物である。
【0007】
酸化チタン(b)は、シリカ被覆酸化チタンであることが好ましい。非イオン性界面活性剤(e)は、イソステアリン酸ソルビタン及び/又はイソステアリン酸ジグリセリルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、保存安定性及び使用感に優れ、スティック状とする際の成形性においても優れるため、生産性も良好な乳化組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、美白成分として知られる6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を配合しつつ、長期保存における光や熱に起因した変色・変臭・分離等の変質を生じさせず、保存安定性及び成形性に優れた乳化組成物を得るものである。特に、平均粒子径が0.1μm以下の酸化チタン(b)を配合することによって、光や熱による変色・変臭・分離等の変質を防止することができる。更に、上記酸化チタン(b)に加えて、疎水化処理シリカ及び/又はラウロイルリジン(c)を配合することで、酸化チタン粒子の均一性を改善することができ、感触・使用感を維持することができる。そして、乳化組成物としての形態を得る成分として、上述した(d)~(g)を使用することによって、成形性、使用感、安定性において優れた性質を維持することができるものである。
【0010】
本発明の一つの実施形態において、(a)6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は、2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の6位にアシル基を有している下記一般式(1):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、Rは炭化水素基を示す。nは前記と同じ。)
で示される化合物である。
【0013】
前記一般式(1)中のRで示される炭化水素基は、直鎖、分岐又は環状の、飽和又は不飽和の炭化水素基であってよく、好ましくはアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基であり、より好ましくは直鎖のアルキル基である。前記炭化水素基の炭素数は、アシル基すなわち-C(=O)R基の炭素数として数えたときに、炭素数が3~24、4~20、8~20、12~18であることが好ましく、14~16であることが特に好ましい。
【0014】
本発明の一つの実施形態において、6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は、不純物として未アシル化体の2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を含んでいてもよい。6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は90モル%以上、95モル%以上、98モル%以上、99モル%以上、99.5モル%以上、99.9モル%以上の純度であることが好ましい。不純物としての、未アシル化体である2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は10モル%以下、5モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、0.1モル%以下であることが好ましく、実質的に含まないことが好ましい。
【0015】
6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は、2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の6位にアシル基を置換させる方法によって製造することができ、6位にアシル基を置換させる方法としては、公知の方法によることができる。
6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の製造方法としては2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸に有機酸、酸ハライド、酸無水物、酸エステルなどのアシル化剤を用いて化学反応させる方法が挙げられる。前記アシル化剤としては、炭素数が3~24、4~20、8~20、12~18、好ましくは14~16である飽和若しくは不飽和の脂肪酸又はその無水物が好ましく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリシノレイン酸並びにその無水物などが好ましい。
【0016】
本発明で用いられる6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸としては、6-パルミトイル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を好適に用いることができる。配合量は、上記乳化組成物の総量を基準として0.01~7.0質量%であることが好ましく、0.1~5.0質量%がより好ましい。配合量が0.01質量%に満たないと美白効果が得られないおそれがある。配合量が7.0質量%を超えるとべたつき感が顕著になる場合があり、良好な使用感が得られず、また、変色、変臭、分離等の変質するおそれがある。
【0017】
本発明において、上記成分(b)は、平均粒子径が0.1μm以下の酸化チタンである。上記酸化チタンとしては、平均粒子径が0.1μm以下であれば特に限定されず、焼成法、湿式法いずれの製造方法を採って作成されたものでも良い。また、その形状も特に限定されない。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定された平均粒子径である。
【0018】
上記平均粒子径が0.1μmを超える場合は、塗布時の着色度合いが強すぎる、きしみ感が生じ易い等で、使用感が低下してしまうという問題がある。上記平均粒子径の下限は特に限定されないが、0.01μmであることが好ましい。
【0019】
上記酸化チタンは、シリカ被覆酸化チタンであることが好ましい。シリカで表面を被覆することによって、酸化チタンの反応性(光触媒活性やイオン溶出)を抑制することができるため好ましい。シリカの被覆量は、酸化チタンとシリカの組成比が、質量比95:5~60:40の範囲となるものであることが特に好ましい。更に、シリコーン油等で表面を疎水化処理して用いても良い。
【0020】
市販のものとしては例えば、TTOシリーズ(石原産業社製)、MTシリーズ(テイカ社製)、マックスライトTSシリーズ(昭和電工社製)、パルソールTX(DSMニュートリション社製)等を挙げることができる。
【0021】
上記酸化チタンは、配合量が上記乳化組成物の総量を基準として0.1~7.0質量%であることが好ましく、0.5~5.0質量%であることがより好ましい。0.1質量%に満たないと、6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の熱や光に起因した変色、変臭、分離等の変質を抑制しにくくなる場合がある。7.0質量%を超えるときしみ感が顕著になり、良好な使用感が得にくくなるおそれがある。
【0022】
上記疎水化処理シリカとしては特に限定されず、化粧品原料として汎用されているものを使用することができる。上記疎水化処理シリカのシリカとしてはとくに限定されず、合成非晶質シリカで乾式法、湿式法、いずれの製造方法を採って作成されたものでも良く、どのような形状であっても良い。疎水化処理法も特に限定されず、常法により、シリコーン油やアルキルシラン等で表面処理し、疎水化する方法を挙げることができる。上記疎水化処理シリカを配合することにより、粒子の均一性が良好になり、滑らかな感触、良好な使用感が得られやすくなる。未処理シリカでは、粒子表面が水酸基で覆われているため、親水性の度合いが強まり、分離等の変質が生じやすくなる。
【0023】
上記疎水化処理シリカとしては、市販のものを使用することもできる。市販のものとしては例えば、CAB-O-SIL TS-610(CABOT社製)、SA-SB-300(三好化成社製)、サンスフェアETシリーズ(AGCエスアテック社製)、VM-2270(東レ・ダウコーニング社製)等を挙げることができる。
【0024】
上記ラウロイルリジンとしては特に限定されず、アミホープLL(商品名、味の素株式会社製)等の公知の原料を使用することができる。上記ラウロイルリジンを配合することにより、粒子の均一性が良好になり、滑らかな感触、良好な使用感が得られやすくなる。
【0025】
上記成分(c)の配合量は、上記乳化組成物総量に対して0.1~7.0質量%であることが好ましく、0.5~5.0質量%であることがより好ましい。配合量が0.1質量%に満たないと、粒子の均一性、滑らかな感触、良好な使用感が得にくくなるおそれがある。配合量が7.0質量%を超えると粉っぽさ感が顕著になり、良好な使用感が得られなくなる場合がある。なお、成分(c)の配合量は、疎水化処理シリカ及びラウロイルリジンを併用する場合、両者の合計量とする。
【0026】
上記疎水化処理シリカ及びラウロイルリジンは、本発明の乳化組成物を製造する際に、上記酸化チタンと予め混合した後用いることによって、粒子の均一性が良好になり、滑らかな感触、良好な使用感が得られやすくなる点で好ましい。
【0027】
上記成分(d)は、炭化水素ワックスであり、ポリエチレンワックスを一部又は全部とするものである。すなわち、ポリエチレンワックスを必須とし、その他の炭化水素ワックスを併用してもよい炭化水素ワックスである。上記ポリエチレンワックスは、稠度調整剤として、滑らかな感触、良好な使用感が得やすいので好適に用いられる。特に、平均分子量300~1000のものが好適に用いられる。また、ポリエチレンワックスを必須成分とすることによって、使用感及び保存安定性についても、優れた効果が得られる。
【0028】
上記ポリエチレンワックスとしては、PerformalenePL
Polyethylene、Performalene 400 Polyethylene、Performalene 655 Polyethylene(NewPhase Technologies社製)、サンワックス151-P(三洋化成社製)等の市販品を好適に用いることができる。
【0029】
化粧品原料として使用されるワックスとしては、植物性、動物性由来のワックスも数多く市販されているが、不純物を含有しているものが多く、変色、変臭、分離等の変質を生じる場合があるため、本発明においては、上記炭化水素ワックス以外のワックスは使用しないことが好ましい。
【0030】
上記ポリエチレンワックス以外の炭化水素ワックスとしては、炭化水素構造を有するものであれば特に限定されないが、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾケライト及びフィッシャー・トロプシュワックス等の合成ワックスからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。市販の炭化水素ワックスとしては、パラフィンワックス155,150,140、HNP-9、HNP-10、マイクロクリスタリンワックスHi-Micシリーズ、フィッシャー・トロプシュワックスFTシリーズ(日本精蝋社製)等を挙げることができる。また、Sasolwaxシリーズ(SASOL社製)として、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾケライト及びフィッシャー・トロプシュワックス等の合成ワックスが市販されている。
【0031】
上記成分(d)の配合量は、合計量で5.0~30.0質量%である。配合量が5.0質量%に満たないと、得られる乳化組成物の成型性が悪くなる。また、上記乳化組成物が使用時に崩壊しやすくなる。配合量が30.0質量%を超えると、硬すぎて、滑らかな感触、良好な使用感が得にくくなる。
【0032】
本発明において、成分(e)は、HLB7以下の非イオン性界面活性剤である。HLBが7以下である非イオン性界面活性剤を使用することにより、安定な乳化組成物を得るこができる。上記HLBは、グリフィン法に基づくHLB値を意味する。上記非イオン性界
面活性剤について、HLBの下限は特に限定されないが、2であることが好ましい。
【0033】
上記非イオン性界面活性剤としては、保存安定性及び使用感に優れた乳化組成物を得ることができるため、常温で液状のものが好ましく、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが好適である。なかでもイソステアリン酸ソルビタン及び/又はイソステアリン酸ジグリセリルが、好適に用いられる。上記非イオン性界面活性剤の配合量は、0.1~5.0質量%であることが好ましく、0.5~3.0質量であることがより好ましい。配合量が0.1質量%に満たないと乳化がしにくくなり、5.0質量%を超えるとべたつき感が顕著になり良好な使用感が得にくくなるおそれがある。上記成分(e)は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
本発明において、成分(f)は液状油である。液状油を配合することにより、良好な使用感を得ることができるため好ましい。上記液状油としては特に限定されず。化粧品原料として汎用されているものを使用することができる。なかでも、シリコーン油、炭化水素油、エステル油等が好ましい。より具体的には、例えば、シクロメチコン、ジメチコン、メチルトリメチコン、カプリルメチコン;イソドデカン、イソヘキサデカン、ジデセン、水添ポリデセン、オレフィンオリゴマー、流動パラフィン等が乳化のしやすさから好ましい。上記液状油(f)は、2種以上の液状油を併用してもよい。
【0035】
上記成分(f)の配合量は、乳化組成物総量に対して10~80質量%であることが好ましく、20~60質量%であることがより好ましい。配合量が10質量%に満たないと滑らかな感触が得られないという問題を生じるおそれがあり、80質量%を超えるとべたついた感触になるという問題を生じるおそれがある。
【0036】
本発明は、水(g)を含有する乳化組成物である。水(g)は、乳化組成物総量に対して1~40質量%であることが好ましく、3~30質量%であることがより好ましい。配合量が1質量%に満たないとべたついた感触になるという問題を生じるおそれがあり、40質量%を超えると保存安定性低下のおそれがある。
【0037】
本発明の乳化組成物には、上記の各成分以外に、一般に用いられる薬効成分、着香剤、清涼剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、抗酸化剤、pH調整剤、粘度調整剤、着色剤、防腐剤等を配合することができる。
【0038】
本発明の乳化組成物は、上記各成分を乳化することにより得られる乳化組成物をスティック状に成形したものである。上記乳化の方法としては特に限定されず、通常の方法によって行うことができる。
【0039】
また、本発明の乳化組成物は、高い美白効果と使用感を有するものであって、アイクリーム等の基礎化粧料;化粧下地、コンシーラ、ファンデーション等のベースメイク化粧料;UV防御化粧料等として好適に使用することができる。
【実施例0040】
次に、実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、配合量はすべて質量%である。
【0041】
実施例1~4:美白スティッククリーム
表1に示す組成の美白スティッククリームを下記製造方法にて調製した。得られた美白スティッククリームの(1)美白効果、(2)使用感(のび、つき)、(3)スティックの成型性、(4)保存安定性について下記の方法により評価し、結果を併せて表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
製造方法
(1)成分1~14を約85℃にて均一に溶解したのち、成分15~18を投入し、均一に分散させる。
(2)成分25を、予め成分27の一部を用いて溶解し、更に成分26を加えてpH6.0~7.5に調整する。
(3)成分19~24、及び成分23の残部を約80℃にて均一に溶解する。(1)に(3)を撹拌しながら加えて、乳化した後、(2)を添加し、気密性のスティック状容器に流し込み、冷却、成型し、美白スティッククリームを得た。
【0044】
[美白効果:試験方法/評価方法]
各試料を前腕部に1日2回(朝晩)1ヶ月間塗布した後の美白効果を、下記基準にて各試料につき化粧品評価専門パネル10名が3段階評価し、さらにその平均点から判定した。
【0045】
評価基準
3点:美白効果が認められた
2点:わずかに美白効果が認められた
1点:美白効果が認められなかった
判定基準
○:2.5~3.0
△:1.5~2.5未満
×:1.5未満
【0046】
[使用感:試験方法/評価方法]
化粧品評価専門パネル10名により、顔に塗布した際の使用感(のび、つき)を下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。
【0047】
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
判定基準
○:平均点4.0以上
△:平均点3.0以上4.0未満
×:平均点3.0未満
【0048】
[スティックの成型性:試験方法/評価方法]
気密性スティック状容器に流し込み、冷却、成型した美白スティッククリームについて、スティック状容器の繰上げ、繰下げを数回繰り返し、バルクの状態を目視観察した。
判定基準
○:滑らかで、光沢感がある
△:わずかに水分漏出がみられるか、容器部と融着しているか及び/又はクラックがみられる
×:著しい水分漏出、容器部との融着及び/又はクラックがみられる
【0049】
[保存安定性試験]
40℃の恒温槽に各試料をセットし、6ヶ月間放置後、各試料の状態変化を観察し、下記基準にて評価を行った。
○:変色、変臭、分離等の変質はみられない
△:わずかに変色、変臭、分離等の変質がみられる
×:著しい変色、変臭、分離等の変質がみられる
【0050】
表1の結果から明らかなように、本発明に係わる実施例1~4は、美白効果を有し、保存安定性及び使用感に優れた、美白スティッククリームであった。