(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097840
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】空調箱
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20220624BHJP
F24F 3/16 20210101ALI20220624BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F24F3/14
F24F3/16
F24F6/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211030
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】591039632
【氏名又は名称】株式会社システック環境研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520503267
【氏名又は名称】株式会社住まいるワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】落合 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 治彦
【テーマコード(参考)】
3L053
3L055
【Fターム(参考)】
3L053BC10
3L053BD03
3L055AA07
3L055BA04
(57)【要約】
【課題】大型の設備による設備コストをかける事なく、混合空間内の空調空気の温度のバラツキを殆どなくする事ができると共に、複数の部屋のウィルス対策に優れ、快適で且つ安全な環境を形成できる空調箱の提供。
【解決手段】本発明の空調箱1は、空気の流入部15を上部前面に有する箱体10を備え、箱体10の内部の上部で、流入部15と対向する位置に取り付けられ、上方に吸込み口110、下方に吹出し口111を有するエアコン11を設けて成り、流入部15から箱体10の内部に流入したレタン給気からなる空気のうち、吸込み口110から吸込まれ、吹出し口111から吹出された空調された空気(I)と、吸込み口110から吸込まれなかった空気(II)を混合して空調空気(III)を生成する混合空間17を有し、混合空間17の下方に、分配チャンバ19を有し、分配チャンバ19内に、加湿部2を設け、空調空気(III)を、加湿部2の水により加湿し、加湿空調空気(IV)を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流入部を上部前面に有する箱体を備え、
該箱体の内部の上部で、前記流入部と対向する位置に取り付けられ、上方に吸込み口、下方に吹出し口を有するエアコンを設けて成り、
前記流入部から前記箱体の内部に流入したレタン給気からなる空気のうち、前記吸込み口から吸込まれ、前記吹出し口から吹出された空調された空気(I)と、前記吸込み口から吸込まれなかった空気(II)を混合して空調空気(III)を生成する混合空間を有し、
前記混合空間の下方に、分配チャンバを有し、
該分配チャンバ内に、加湿部を設け、前記空調空気(III)を、前記加湿部の水により加湿して、加湿空調空気(IV)を生成することを特徴とする空調箱。
【請求項2】
前記箱体の上部前面の空気の流入部には、塵埃の侵入を阻止するために塵埃フィルタが設置され、
該塵埃フィルタの一面に、塵埃が取り除かれたレタン空気からウィルスを除去するための抗ウィルスフィルタが設置されることを特徴とする請求項1記載の空調箱。
【請求項3】
前記エアコンの下方と混合空間の間には、空調された空気(I)の流線と、前記吸込み口から吸込まれなかった空気(II)の流線とを動的に交差させる流線交差部を有し、
前記流線交差部の下方に、前記空気(I)と前記空気(II)とを静的に混合して空調空気(III)を生成する所定容積の空間からなる前記混合空間を有し、
該混合空間は、前記空調空気(III)を、前記加湿部を構成する水を含ませた加湿回転体に接触させて、加湿空調空気(IV)を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の空調箱。
【請求項4】
前記混合空間内の前記加湿部の背面側に1又は2以上のファンが接続され、
該加湿部で、生成された前記加湿空調空気(IV)を、前記ファンによって空調対象となる複数の部屋に送風することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の空調箱。
【請求項5】
前記箱体の流入部の上部に、部屋内部の空気と外部空気との換気を行う換気部が設けられいることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の空調箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンを内蔵して空調空気を生成する空調箱に関し、設備コストを上昇させることなく、空調空気の温度のバラツキをほとんどなくすることができるだけでなく、加湿調整され、塵埃やウィルスが除去された空気を住宅の各部屋に供給して、快適な環境を形成できる空調箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の空調箱では、エアコンの下方と混合空間の間に、空調された空気(I)の流線と、前記吸込み口から吸込まれなかった空気(II)の流線とを動的に交差させる流線交差部を有し、流線交差部の下方に、前記空気(I)と前記空気(II)とを静的に混合して空調空気(III)を生成する所定容積の空間からなる前記混合空間を有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、一度住宅内から集めた空気から、エアコンに吸込まれて空調された空気(I)と、吸込み口から吸込まれなかった空気(II)の動的な交差をし、その下方に静的な混合空間を有するため、温度バラツキの少ない空調空気(III)が生成されるが、本発明者は、特許文献1には、更なる改善の余地があることを見出した。
【0005】
すなわち、本発明者は、住宅内の空気を一度空調ユニットに集めるのであれば、その集めた空気からウィルスを除去して送り出すことや、加湿してウィルスの増加を抑制する手法を用いて、複数の部屋に送り出す空調空気からできる限りウィルスを取り除き、快適で、且つ安全な環境を形成できることを見出して本発明に到った。
【0006】
そこで、本発明は、大型の設備による設備コストをかけることなく、混合空間内の空調空気の温度のバラツキをほとんどなくすることができると共に、複数の部屋のウィルス対策に優れ、快適で、且つ安全な環境を形成できる空調箱を提供することを課題とする。
【0007】
本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0009】
(請求項1)
空気の流入部を上部前面に有する箱体を備え、
該箱体の内部の上部で、前記流入部と対向する位置に取り付けられ、上方に吸込み口、下方に吹出し口を有するエアコンを設けて成り、
前記流入部から前記箱体の内部に流入したレタン給気からなる空気のうち、前記吸込み口から吸込まれ、前記吹出し口から吹出された空調された空気(I)と、前記吸込み口から吸込まれなかった空気(II)を混合して空調空気(III)を生成する混合空間を有し、
前記混合空間の下方に、分配チャンバを有し、
該分配チャンバ内に、加湿部を設け、前記空調空気(III)を、前記加湿部の水により加湿して、加湿空調空気(IV)を生成することを特徴とする空調箱。
(請求項2)
前記箱体の上部前面の空気の流入部には、塵埃の侵入を阻止するために塵埃フィルタが設置され、
該塵埃フィルタの一面に、塵埃が取り除かれたレタン空気からウィルスを除去するための抗ウィルスフィルタが設置されることを特徴とする請求項1記載の空調箱。
(請求項3)
前記エアコンの下方と混合空間の間には、空調された空気(I)の流線と、前記吸込み口から吸込まれなかった空気(II)の流線とを動的に交差させる流線交差部を有し、
前記流線交差部の下方に、前記空気(I)と前記空気(II)とを静的に混合して空調空気(III)を生成する所定容積の空間からなる前記混合空間を有し、
該混合空間は、前記空調空気(III)を、前記加湿部を構成する水を含ませた加湿回転体に接触させて、加湿空調空気(IV)を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の空調箱。
(請求項4)
前記混合空間内の前記加湿部の背面側に1又は2以上のファンが接続され、
該加湿部で、生成された前記加湿空調空気(IV)を、前記ファンによって空調対象となる複数の部屋に送風することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の空調箱。
(請求項5)
前記箱体の流入部の上部に、部屋内部の空気と外部空気との換気を行う換気部が設けられいることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の空調箱。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大型の設備による設備コストをかけることなく、混合空間内の空調空気の温度のバラツキをほとんどなくすることができると共に、複数の部屋のウィルス対策に優れ、快適で、且つ安全な環境を形成できる空調箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の空調箱の好ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の好ましい実施形態を示す断面図である。
【0014】
図1において、空調箱1は、例えば、方形状の箱体10によって構成される。箱体10は、住宅の空間スペースを無用に減少させないようなコンパクトな形状に形成される。
【0015】
箱体10の内部には、1台のエアコン11が設けられている。本発明は、複数の部屋を1台のエアコンで、全部屋空調を行うことができる技術である。
本発明において、エアコン11は箱体10の内部の上部で、箱体10の背面壁12に着脱可能に固定されている。好適な空調箱を形成するためである。
【0016】
エアコン11は上方に吸込み口110、下方に吹出し口111を有し、冷房あるいは暖房のいずれの空調機能も有する。
空調能力は、格別限定されないが、一般的な1戸建て住宅の全ての部屋を対象にすると、最大風量800m3/Hrの汎用エアコンを用いることができる。
【0017】
空調箱1の幅と奥行の大きさは、エアコンの幅と奥行に依拠する。例えばエアコンが800mm幅×390mm奥行である場合、空調箱1は、850~1100mm幅×600~700mm奥行の範囲が好ましい。
【0018】
図1の形態では、箱体10のエアコン11の背面壁の後ろに、ダクト191の設置領域が設けられていることがあるので、そのダクト191の設置領域の寸法を加味することが好ましい。いずれの場合においても、箱体10の形状は、コンパクトであり、部屋の面積を無駄に消費することがないことが好ましい。
【0019】
箱体10の前面壁14には、レタン給気からなる空気の流入部15が、上部前面に開口しており、流入部15には、空調箱1への塵埃の侵入を阻止するために塵埃フィルタ140が設置されている。
本実施形態においては、塵埃フィルタ140としては、例えば、目合いの異なる層を3層設けた3層構造を採用することができる。これにより、後述する抗ウィルスフィルタの機能を長時間維持することができ、この結果、抗ウィルスフィルタの交換頻度を低減させることができる。
ここで、レタンとは、リターンのことであり、環気を意味する。
【0020】
箱体10内で、塵埃フィルタ140の背面のエアコン側に、塵埃が取り除かれたレタン空気からウィルスを除去するために、抗ウィルスフィルタ141を設けられている。
【0021】
本実施の形態では、塵埃フィルタ140の背面側に、抗ウィルスフィルタ141が設けられる例が採用されているが、これに限定されず、抗ウィルスフィルタ141は、塵埃フィルタ140の一面側、特にエアコン側に設けることが好ましい。
塵埃フィルタ140と抗ウィルスフィルタ141は、別々に形成されてもよいが、一体物として形成されてもよい。
例えば、塵埃フィルタ140と抗ウィルスフィルタ141を一体物として形成した場合には、例えば、前面側2層を目合いの異なる塵埃フィルタとして機能させ、エアコン側の1層を抗ウィルスフィルタとして機能させるようにすることもできる。
【0022】
抗ウィルスフィルタ141としては、無機系の抗ウィルス剤を塗布した不織布をプリーツ状に成形したフィルタを用いることができる。無機系の抗ウィルス剤としては、銀、銅、亜鉛等の金属及びこれら金属の無機化合物、並びにこれらの混合物を無機化合物に含ませた抗ウィルス加工剤を用いることができる。本発明では、無機抗ウィルス剤として市販されている無機系銀系抗菌剤「ゼオミック(登録商標)」を使用できる。
【0023】
エアコン11は、レタン給気からなる空気の流入の便宜を考慮して空気の流入部15に対向する位置に設けられる。
【0024】
本実施形態において、流入部15から箱体10の内部に流入したレタン給気からなる空気のうち、エアコン11の吸込み口110から吸込まれ、吹出し口111から吹出された空調された空気(I)の流線IAと、流入部15から流入したレタン給気からなる空気のうち、吸込み口110から吸込まれなかった空気(II)の流線IIAとを動的に交差させる流線交差部16が、エアコン11の吹出し口111の下方に形成される。
【0025】
ここで、動的に交差させるというのは、空調された空気(I)の流線と空気(II)の流線のいずれも、動いている状態(流動状態)にあって、その流線と流線が交差していることを意味する。空気(I)の流線と空気(II)の流線が交差するためには、流動状態で移動している方向は、空気(I)の流線が図示のように右下方向に向かって移動しているのに対して、空気(II)の流線が図示のように左下方向に向かって移動していることが好ましい。
【0026】
空調された空気(I)の流線は、エアコン11の吹出し口111に設けられる案内板13の角度によって規定される。本実施形態において、案内板13の好ましい角度は、垂直方向に対して、45度~60度傾斜していることであり、より好ましくは、55度~60度傾斜していることである。
【0027】
流線交差部16の大きさは、箱体10の大きさが、例えば幅900mm×奥行き650mm×高さ1700mmである場合、幅900mm×奥行400mm×高さ100mmであることが好ましい。
【0028】
本発明では、流線交差部16の下方に、空気(I)と前記空気(II)とを静的に混合して、温度ムラのない空調空気(III)を生成する所定容積の空間からなる混合空間17が形成されている。
【0029】
本発明によると、流線交差部16において、上述のように空気(I)の流線と空気(II)の流線が交差することによって、空調された空気(I)と空気(II)を動的に混合しているが、この動的な流線交差だけでは、熱ムラが生じていて、本発明の目的を達成する上で十分とは言えない。
【0030】
そこで、上述の流線交差部16の下方に、静的な混合空間17を積極に形成し、静的に混合して、温度ムラのない空調空気(III)を生成するように構成している。
【0031】
混合空間17の大きさは、流線交差部16の下端から後述するファン190の送風口近傍までの領域であり、箱体10の大きさが、例えば幅900mm×奥行650mm×高さ1700mmである場合、幅900mm×奥行400mm×高さ200mmであることが好ましい。
【0032】
本発明において、温度ムラがないというのは、目標温度に近づき、目標温度に対して空調空気の温度の差が小さくなっていることであり、水平方向で見ても、垂直方向で見ても、温度分布は略均一である。
つまり、温度のバラツキのない空調空気(III)が生成される。
【0033】
本実施形態において、混合空間17の下方に分配チャンバ19を設けられている。
【0034】
分配チャンバ19には、
図1に示すように、加湿部2が設けられ、加湿部2の背面側に、複数のファン190が設けられている。かかる複数のファン190により、加湿部2で加湿調整された空気(IV)を、空調対象となる各々の部屋に分配することができる。
かかるファン190により、各部屋に空調空気を搬送するには、空調箱1と各部屋に接続されたダクト191を介して行われることが好ましい。
【0035】
加湿部(加湿ユニット)2の好ましい態様を
図2に基づいて説明する。
図2において、20は水槽であり、21は加湿回転体である。加湿回転体21は、円筒形の枠体22に、網状体23が巻かれている。網状体23は、水をある程度担持できれば、樹脂製網状体で構成されてもよいし、織布又は不織布で構成されてもよい。
【0036】
水槽20の上部は、フィルムやシートに壁面を形成しておくのも好ましい。24は、加湿空気を上部に移送するための流路である。
【0037】
加湿回転体21の上部には、必要により、空気(III)と、水との接触効率を上げる(衝突回数を増加する)ために、撹拌機25を設けることができる。
【0038】
加湿部2の上部は、空気(III)を加湿部2に導入しやすくするために、多孔板26によって構成されることが好ましい。
【0039】
水槽20に加湿回転体21の下部が浸漬した状態で、回転軸27を図示しない駆動源によって回動すると、網状体23に保持された水20Aは、水槽20の上部に持ち出され、上部から吹き込まれた空気(III)と接触し、衝突する。その衝突によって、気体状になった水蒸気は空気(III)の中に入り込み、空気(III)は加湿され、加湿空気(IV)が得られる。箱体に循環空気が戻ることにより、一箇所でまとめて空調空気を加湿できるため、加湿空気(IV)を得られることにより、加湿効率が向上する。更に、空気(III)を水と接触させることによって、空気清浄作用も果たすことができる。
【0040】
加湿空気(IV)は、流路24を通って、加湿部2の上部から排出され、複数のファン190により、空調対象となる各々の部屋に分配することができる。
【0041】
本発明は、箱体10内の下部に加湿部2が設けられていることよって、加湿効率を含め、空調効率を向上させることができる。
【0042】
空調効率とは、冷却、除湿、加熱、加湿、空気清浄、換気に要するエネルギーの効率を意味する。
そして、本発明の空調箱により、空調効率を向上させることができる要因としては、箱体に循環空気が戻り、送風する過程でそれぞれの機能を有する装置を入口側から出口側にかけて図のような配置によって各装置の効率を相殺することないので、結果として空調効率を最大化出来る。と推察される。
【0043】
加湿部2としては、例えば、BONECO社製の加湿回転体を採用した回転式の加湿器を採用することができる。上記説明では、水を浸透させたフィルタにファンで風を当てて、気化させながら加湿する気化式の例を説明したが、これらに限定されず、超音波の振動によって水を霧状にして加湿する超音波式、ヒーターで水を加熱して蒸発させて加湿する加熱式、水を浸透させたフィルタに温風を当てて、気化させながら加湿する加熱気化式などの加湿器を採用することもできる。
【0044】
従来、快適な温熱環境、クリーンな空気環境を実現するためには、一つの部屋にエアコン、空気清浄機、換気扇、加湿器を設置しなくては実現出来ない。つまり、部屋数に応じた数の機器を必要であった。例えば、一台の加湿器を一つの部屋に設けたとしても、他の部屋は加湿できずに快適な湿度環境は実現することが難しい。
【0045】
本発明者は、本発明にかかる空調箱の家屋からの循環空気を一箇所に集めることができる機能を利用し、加湿部を空調箱内に設けた空調システムを実現することにより、一台の加湿器によって家屋内にある部屋全てをまとめて快適な湿度環境を実現させることができることを見出したのである。
【0046】
本発明の空調箱を用いた空調システムは、上記何れかの実施形態の空調箱1と、分配チャンバ19に接続された複数のファン190とからなり、加湿された空気(IV)を送風するためのダクト191を接続している。
【0047】
空調箱1の混合空間17には、温度調整機能を有し、更に、空調箱1の分配チャンバ19に設けられた加湿部2により、湿度調整機能を有し、且つ空調箱1の温度調整機能、空調箱1の分配チャンバ19の湿度調整機能、及び複数のファン190により空調空気の搬送機能が分離されている。
【0048】
上述した空調箱1の混合空間17によって生成された温度のバラツキがない空調空気(III)と加湿された空気(IV)は、住宅の空調対象となる複数の部屋に、ファン190を用いて送風され、ダクト191を介して、各部屋に設けられた吹出し部から供給される。
【0049】
各部屋に設けられた吹出し部は、各部屋を構成する家屋によりダクトの配管設計がなされるので、この配管設計に応じて、配置を変更することができる。
【0050】
本発明において、箱体10の上部には、換気部が形成されることが好ましい。換気部には、換気扇3が前面壁上部14aに取り付けられ、換気ダクト30に接続されている。換気扇3を回動すると、部屋の内部の空気が換気ダクト30を介して、部屋の外部に換気空気が排出される。換気扇3が停止していると、あるいは逆回転している場合には、外気が部屋の内部に取り込まれる。なお、換気扇3の前面は、閉じられるに構成されていることが好ましい。外気との気温差が大きい場合には換気扇の前面を閉じることによって、換気部からの空気の移動を抑えることができる。
【0051】
この換気部が形成されていることによって、特に極寒の地域においては、部屋の窓を開けて換気を行うことは適切ではない。部屋の温度低下を招くおそれがあるためである。したがって、換気部が箱体10の流入部15の上部に形成されていることによって、部屋の温度低下を防ぐと共に、部屋の換気を一箇所でまとめて行うことができる。
【0052】
更に、箱体10の上部に換気部が形成されていることによって、外部から導入した冷たい空気も、本発明の空調箱によって、外部空気を暖めた上で、書く部屋に送り出すことができるため、換気を行いながら部屋を暖めることができるために空調性能に優れる。
【0053】
次に、本発明の空調箱を用いた家屋に設置した場合の空調システムについて説明する。
【0054】
本発明の空調システムは、本実施形態の空調箱1と、分配チャンバ19に接続された複数のファン190とからなり、複数のファン190に、空調対象となる複数の部屋の各々に、送風するためのダクト191を接続している。
そして、図示しないが、家屋に別途換気ための排気口が設けられている場合には、家屋内は、負圧状態になるため、空調箱に設けられた換気部によって、外部空気を容易に取りこむことができる。
【符号の説明】
【0055】
1:空調箱
10:箱体
11:エアコン
110:吸込み口
111:吹出し口
12:背面壁
13:案内板
14:前面壁
14a:上部
140:塵埃フィルタ
141:抗ウィルスフィルタ
15:流入部
16:流線交差部
17:混合空間
19:分配チャンバ
190:ファン
191:ダクト
2:加湿部(加湿ユニット)
20:水槽
20A:水
21:加湿回転体
22:枠体
23:網状体
24:流路
25:撹拌機
3 換気扇
30:換気ダクト