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  • 特開-粉砕茶および粉砕茶の製造方法 図1
  • 特開-粉砕茶および粉砕茶の製造方法 図2
  • 特開-粉砕茶および粉砕茶の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097871
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】粉砕茶および粉砕茶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/14 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
A23F3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211104
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】520503393
【氏名又は名称】株式会社半兵衛
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 慶宏
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB06
4B027FC02
4B027FE02
4B027FK04
4B027FP68
4B027FP85
4B027FP90
4B027FR14
4B027FR20
(57)【要約】
【課題】良好な風味を有し、且つ溶解性に優れた粉砕茶とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の粉砕茶は、15~20重量%の粉砕した茶葉と、80~85重量%デキストリンと、からなる顆粒状の粉砕茶であって、茶葉の粒径が、0.03~100μmであることを特徴とする。本発明の粉砕茶の製造方法は、茶葉を粉砕する粉砕工程と、粉砕した茶葉とデキストリンと水を混合する混合工程と、混合した茶葉とデキストリンを造粒して中間製品を得る造粒工程と、中間製品を乾燥する乾燥工程と、乾燥した中間製品を冷却する冷却工程と、冷却した中間製品を、16~80メッシュの篩いで篩い分ける篩い分け工程と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
15~20重量%の粉砕した茶葉と、
80~85重量%デキストリンと、
からなる顆粒状の粉砕茶であって、
前記茶葉の粒径が、0.03~100μmであることを特徴とする、粉砕茶。
【請求項2】
前記デキストリンが、タピオカデンプンとコーンスターチのいずれか一方または両方を原料とするデキストリンであることを特徴とする、請求項1記載の粉砕茶。
【請求項3】
茶葉を粉砕する粉砕工程と、
粉砕した前記茶葉とデキストリンと水を混合する混合工程と、
混合した前記茶葉と前記デキストリンを造粒して中間製品を得る造粒工程と、
前記中間製品を乾燥する乾燥工程と、
乾燥した前記中間製品を冷却する冷却工程と、
冷却した前記中間製品を、16~80メッシュの篩いで篩い分ける篩い分け工程と、
を備えていることを特徴とする、粉砕茶の製造方法。
【請求項4】
前記粉砕工程が、気流式粉砕機またはボールミル粉砕機を用いて、前記茶葉を粒径0.3~100μmに粉砕する粉砕工程であることを特徴とする請求項3に記載の粉砕茶の製造方法。
【請求項5】
前記混合工程で混合する茶葉が、粉砕茶に混合する茶葉の一部であり、
冷却した前記中間製品に、さらに粉砕した茶葉を混合する第二の混合工程を備えていることを特徴とする、請求項3に記載の粉砕茶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕茶と、粉砕茶の製造方法に関する。特に、日本茶の茶葉を原料とする、溶解性に優れた粉砕茶と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
茶葉を熱湯で抽出するお茶の代替品として、粉末茶が知られている.従来知られている粉末茶は、茶葉から熱湯で抽出した抽出液を濃縮し、スプレードライやフリーズドライ等の方法によって、乾燥して製品化している。茶葉には、様々な香味成分や、健康に良いとされる有効成分が含まれている。しかしながら、従来の粉末茶の製造方法では、香味成分や有効成分の全てを抽出して製品化することは難しく、成分が茶葉に残存したり、製造工程で揮発したり分解したりすることが知られている。そこで、茶葉の成分をできるだけ取り出す試みがなされている。
【0003】
特許文献1には、茶生葉を蒸熱する工程と、茶葉を磨砕し圧搾する工程と、得られた圧搾液を限外濾過によって濃縮する工程と、濃縮液に環状デキストリンを添加して乾燥させる工程とを備える粉末茶の製造方法が開示されている。特許文献1の粉末茶の製造方法では、茶葉を磨砕するときにエタノールなどの溶媒を用いて、有効成分や香味成分をより多く抽出している。また限外濾過によって、茶葉の香味成分や有効成分の含有量を制御し、味の調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-56243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、茶葉の中に含まれる香味成分や、健康に良いとされる有効成分を、より多く含んだ製品の提供が求められている。
【0006】
さらに、粉末茶に共通する一つの問題として、湯や冷水に溶かすとき、ダマになって浮かんだり、沈殿して溶け残ってしまうことがあり、その改善が求められている。
【0007】
本発明は、これらの解決すべき課題に鑑みてなされたものであって、茶葉に含まれる香味成分その他の有効成分を多く含有することで良好な風味を有し、且つ溶解性に優れた粉砕茶の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉砕茶に関する。本発明の粉砕茶は、15~20重量%の粉砕した茶葉と、80~85重量%デキストリンとからなる粉砕茶であって、茶葉の粒径が、0.3~100μmであることを特徴とする。
【0009】
本発明の粉砕茶は、デキストリンが、タピオカデンプンとコーンスターチのいずれか一方または両方を原料とするデキストリンであることが好ましい。
【0010】
本発明は又、粉砕茶の製造方法を提供する。本発明の粉砕茶の製造方法は、茶葉を粉砕する粉砕工程と、粉砕した前記茶葉とデキストリンと水を混合する混合工程と、混合した茶葉とデキストリンを造粒して中間製品を得る造粒工程と、中間製品を乾燥する乾燥工程と、乾燥した中間製品を冷却する冷却工程と、冷却した中間製品を、16~80メッシュメッシュで篩い分ける篩い分け工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の粉砕茶の製造方法は、粉砕工程が、気流式粉砕機またはボールミル粉砕機を用いて茶葉を粒径0.03~100μmに粉砕する粉砕工程であることが好ましい。
【0012】
本発明の粉砕茶の製造方法は、混合工程で混合する茶葉が粉砕茶に混合する茶葉の一部とすることができる。そして、冷却した中間製品に、さらに粉砕した茶葉を混合する第二の混合工程を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粉砕茶とその製造方法においては、茶葉から成分を抽出して粉末化するのではなく、茶葉自体を粉砕して用いている。そのため、茶葉の香味成分やその他の有効成分がそのまま含まれた飲料を得ることができる。
【0014】
本発明と粉砕茶とその製造方法においては、茶葉の粒径を最適化していることによって、水や湯に容易にすばやく溶解する。そのため、手軽に飲用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、粉砕茶の製造方法のフローチャートである。
図2図2は、粉砕工程で粉砕された茶葉の粒度分布である。
図3図3は、粉砕茶の図面代用写真である。
【発明の実施の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の粉砕茶と粉砕茶の製造方法について、最も好適な実施形態を説明する。
【0017】
本実施形態の粉砕茶の原料は、茶葉と、デキストリンと、水である。
【0018】
原料として用いる「茶葉」とは、「茶」の木から摘み取った葉を、飲料用に加工したもの全てを指す。本発明の粉砕茶には、不発酵茶である緑茶、半発酵茶であるウーロン茶、および発酵茶である紅茶のいずれの茶葉も、使用することができる。緑茶、ウーロン茶、および紅茶の加工工程はいずれも公知であり、ここでは、本発明の茶葉として最も好適に使用される緑茶の製造工程の概要のみを示す。緑茶の製造工程は、摘み取った生の茶葉を蒸気で蒸して発酵を止める工程と、複数の段階によって揉みながら徐々に乾燥して荒茶を作る工程と、荒茶をさらに火入れ乾燥する工程と、選別工程と、からなる。
【0019】
原料として用いるデキストリンは、タピオカデンプンとコーンスターチのいずれか一方または両方を原料とするデキストリンである。茶葉に緑茶を用いた場合における、デキストリンの最も好適な配合比率は、タピオカ由来デキストリン:コーンスターチ由来デキストリン=73:12であるが、この比率は、茶葉の種類によって適宜変更が可能である。
【0020】
図1に、粉砕茶の最も好適な製造方法のフローチャートを示す。本実施形態の粉砕茶の製造工程は、茶葉を粉砕する粉砕工程(工程S1)と、粉砕した茶葉とデキストリンと水を混合する混合工程(工程S2)と、混合した茶葉とデキストリンを造粒して中間製品を得る造粒工程(工程S3)と、中間製品を乾燥する乾燥工程(工程S4)と、乾燥した中間製品を冷却する冷却工程(工程S5)と、冷却した中間製品を、16~80メッシュの篩いを用いて篩い分ける篩い分け工程(工程S6)と、を備えている。
【0021】
粉砕工程(工程S1)は、気流式粉砕機またはボールミル粉砕機を用いて、茶葉を粒径0.3~100μmに粉砕する粉砕工程である。緑茶を粉砕した場合の、茶葉の粒度分布をレーザー回折・散乱法によって測定した測定結果を、図2に示す。図2のヒストグラムは、茶葉の粒度分布を示し、曲線は、篩い下の茶葉の累積割合を示している。測定により、茶葉が粒径0.3~100μmに粉砕されていることがわかる。好適な、茶葉の平均粒径は、13μmである。
【0022】
混合工程(工程S2)は、粉砕した茶葉と、デキストリンと、水を、それぞれ計量して混合する工程である。好適な茶葉とデキストリンの混合割合の例は、茶葉:デキストリン=20:80である。水の量は、茶葉の水分量によって適宜調整する。
【0023】
造粒工程(工程S3)は、混合した茶葉とデキストリンを造粒して中間製品を得る工程である。造粒は、流動層造粒で行う。
【0024】
乾燥工程(工程S4)は、造粒工程によって得られた、茶葉とデキストリンからなる顆粒状の中間製品を乾燥する工程である。乾燥工程によって、中間製品の水分含量は、5.0重量%以下となる。
【0025】
冷却工程(工程S5)は、乾燥した中間製品を冷却する工程である。篩い分け工程は、冷却した中間製品を16~80メッシュの篩いを用いて篩い分ける工程である。篩い分け工程によって、篩い下で得られた製品を粉砕茶の完成品とすることにより、均一な、細かい粒径を有する粉砕茶を得ることができる。なお、ここでいう16メッシュとは、JISZ 8801-1:2019の公称目開き1.0mmの篩いに相当する。また、80メッシュとは、JISZ 8801-1:2019の公称目開き180μmの篩いに相当する。
【0026】
必須の工程ではないが、最初の混合工程(工程S2)で混合する茶葉を全体の70~90%とし、冷却工程(工程S5)を経た中間製品に、残りの茶葉30~10%を混合する第二の混合工程を設けることが可能である。
【0027】
以上の製造方法によって得られた、緑茶を原料とする粉砕茶の図面代用写真を図3に示す。この粉砕茶は、ダマになったり,沈降したりすることがなく、水やお茶に迅速に溶けて好適に飲用することができる。また、茶葉をそのまま使用しているので香味成分を多く含んでおり、味と香りが非常に強い。
【0028】
以上、緑茶を使用した粉体茶の具体的な例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。茶葉は、ウーロン茶、紅茶出会っても良く、またデキストリンとの配合比は、適宜変更が可能である。
図1
図2
図3