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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097888
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】エンジンの出力装置及びエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/00 20060101AFI20220624BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F02B77/00 M
F16H1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211124
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】317019683
【氏名又は名称】三菱重工メイキエンジン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石山 明洋
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 拓弥
【テーマコード(参考)】
3J009
【Fターム(参考)】
3J009DA17
3J009EA05
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA35
3J009EA44
3J009EB23
3J009EC01
3J009FA10
(57)【要約】
【課題】並列配置された2つの出力軸を備えつつもエンジンの大きさが大きくなることを抑制する。
【解決手段】一実施形態に係るエンジンの出力装置は、クランクシャフトと、クランクシャフトからの駆動力を外部に伝達するための第1出力軸であって、クランクシャフトの一方側に隣接して配置される第1出力軸と、クランクシャフトからの駆動力を外部に伝達するための第2出力軸であって、クランクシャフトの他方側に隣接して配置される第2出力軸と、クランクシャフトに取り付けられた第1駆動ギア及び第2駆動ギアと、第1出力軸に取り付けられ、第1駆動ギアと噛合する第1被駆動ギアと、第2出力軸に取り付けられた第2被駆動ギアと、第2駆動ギア及び第2被駆動ギアと噛合し、第2駆動ギアからの駆動力を第2被駆動ギアに伝達するためのアイドラギアと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力を外部に伝達するためのエンジンの出力装置であって、
前記エンジンにより駆動されるクランクシャフトと、
前記クランクシャフトからの駆動力を外部に伝達するための第1出力軸であって、前記クランクシャフトの一方側に隣接して配置される第1出力軸と、
前記クランクシャフトからの駆動力を外部に伝達するための第2出力軸であって、前記クランクシャフトの他方側に隣接して配置される第2出力軸と、
前記クランクシャフトに取り付けられた第1駆動ギア及び第2駆動ギアと、
前記第1出力軸に取り付けられ、前記第1駆動ギアと噛合する第1被駆動ギアと、
前記第2出力軸に取り付けられた第2被駆動ギアと、
前記第2駆動ギア及び前記第2被駆動ギアと噛合し、前記第2駆動ギアからの駆動力を前記第2被駆動ギアに伝達するためのアイドラギアと、
を備える
エンジンの出力装置。
【請求項2】
前記第1出力軸及び前記第2出力軸は、前記第1出力軸と前記第2出力軸とが平行となるように配置されており、且つ、エンジンの外部に同じ方向に突出している
請求項1に記載のエンジンの出力装置。
【請求項3】
前記第1出力軸の回転方向は、前記第2出力軸の回転方向と逆である
請求項1又は2に記載のエンジンの出力装置。
【請求項4】
前記クランクシャフトが前記第1出力軸を回転させる場合の減速比は、前記クランクシャフトが前記第2出力軸を回転させる場合の減速比と等しい
請求項1乃至3の何れか一項に記載のエンジンの出力装置。
【請求項5】
前記第1駆動ギア、前記第2駆動ギア、前記第1被駆動ギア、前記第2被駆動ギア、及び前記アイドラギアは、クランクケースとギアボックスとで囲まれた空間内に配置されている
請求項1乃至4の何れか一項に記載のエンジンの出力装置。
【請求項6】
前記第1出力軸は、2つの第1軸受で回転可能に軸支されており、
前記2つの第1軸受のうちの一方の第1軸受は、前記クランクケースに保持され、
前記2つの第1軸受のうちの他方の第1軸受は、前記ギアボックスに保持され、
前記第2出力軸は、2つの第2軸受で回転可能に軸支されており、
前記2つの第2軸受のうちの一方の第2軸受は、前記クランクケースに保持され、
前記2つの第2軸受のうちの他方の第2軸受は、前記ギアボックスに保持されている
請求項5に記載のエンジンの出力装置。
【請求項7】
前記第1出力軸の中心軸、前記第2出力軸の中心軸、及び、前記クランクシャフトの中心軸は、同一平面内に存在する
請求項1乃至6の何れか一項に記載のエンジンの出力装置。
【請求項8】
前記クランクシャフトの中心軸と前記第1出力軸の中心軸との離間距離は、前記クランクシャフトの中心軸と前記第2出力軸の中心軸との離間距離と等しい
請求項7に記載のエンジンの出力装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の出力装置
を備えるエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンの出力装置及びエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレシプロエンジン等の容積型内燃機関では、燃料と空気との混合気を燃焼させたときの熱エネルギを運動エネルギとして出力することができる。具体的には、例えばレシプロエンジンでは、燃料と空気との混合気を燃焼させたときの熱エネルギをクランクシャフトを回転させる運動エネルギとして出力することができる。
例えばレシプロエンジンでは、クランクシャフトに接続された動力伝達軸からのトルク反力を受けることとなる。そのため、このトルク反力がエンジンやこのエンジンを搭載する機器に対して所望しない揺動や振動等を招く原因となり得る。
【0003】
このような揺動や振動等を低減可能なエンジンとして、例えば並列配置された2つのクランクシャフトを備え、一方のクランクシャフトの回転方向が他方クランクシャフトの回転方向と逆方向となるように構成したエンジンが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-148186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のエンジンように、並列配置された2つのクランクシャフトを備え、一方のクランクシャフトの回転方向が他方クランクシャフトの回転方向と逆方向となるように構成することで、上述したような所望しない揺動や振動等を抑制できる。
しかし、例えば特許文献1に記載のエンジンでは、並列配置された2つのクランクシャフトのそれぞれにピストンを備えるので、2つのクランクシャフトが並ぶ方向にエンジンの大きさが大きくなってしまう。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、並列配置された2つの出力軸を備えつつもエンジンの大きさが大きくなることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジンの出力装置は、
エンジンの出力を外部に伝達するためのエンジンの出力装置であって、
前記エンジンにより駆動されるクランクシャフトと、
前記クランクシャフトからの駆動力を外部に伝達するための第1出力軸であって、前記クランクシャフトの一方側に隣接して配置される第1出力軸と、
前記クランクシャフトからの駆動力を外部に伝達するための第2出力軸であって、前記クランクシャフトの他方側に隣接して配置される第2出力軸と、
前記クランクシャフトに取り付けられた第1駆動ギア及び第2駆動ギアと、
前記第1出力軸に取り付けられ、前記第1駆動ギアと噛合する第1被駆動ギアと、
前記第2出力軸に取り付けられた第2被駆動ギアと、
前記第2駆動ギア及び前記第2被駆動ギアと噛合し、前記第2駆動ギアからの駆動力を前記第2被駆動ギアに伝達するためのアイドラギアと、
を備える。
【0008】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジンは、上記構成(1)の出力装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、エンジンの大きさが大きくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るエンジン及び出力装置を出力装置の出力軸の軸線方向から見た図である。
図2】一実施形態に係るエンジン及び出力装置を出力装置の第1出力軸及び第2出力軸の軸線方向に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
図1は、一実施形態に係るエンジン及び出力装置を出力装置の出力軸の軸線方向から見た図である。なお、図1では、説明の便宜上、シリンダヘッドや、後述するギアボックス、出力軸、及びクランクシャフト等の記載を省略している。
図2は、一実施形態に係るエンジン及び出力装置を出力装置の後述する第1出力軸及び第2出力軸の軸線方向に沿って切断した断面図である。
【0013】
図1及び図2に示した一実施形態に係るエンジン1は、例えば単気筒の4サイクルエンジンであり、1つのシリンダ3と、シリンダ3に配置された不図示のピストンと、該ピストンが不図示のコネクティングロッドを介して連結される1つのクランクシャフト5とを備えている。なお、図1及び図2に示した一実施形態に係るエンジン1では、エンジン1の上下方向は、図1における図示上下方向と同方向であるものとする。
【0014】
一実施形態に係るエンジン1は、後で詳述する出力装置10を備えている。一実施形態に係るエンジン1では、出力装置10は、クランクシャフト5の一端側(図2における図示上側)の軸部57に接続されていて、エンジン1と一体的に設けられている。クランクシャフト5の他端側(図2における図示下側)の軸部58には、不図示のフライホイールが取り付けられている。
【0015】
一実施形態に係るエンジン1は、シリンダーブロック20と、クランクケース40と、ギアボックス60とを備えている。一実施形態に係るエンジン1では、シリンダーブロック20は、クランクシャフト5のクランクピン51、クランクアーム53及びカウンターウェイト55を収容する空間23を画定する収容部22を含んでいる。
一実施形態に係るエンジン1では、収容部22の側方、より具体的にはクランクシャフト5の一端側(図2における図示上側)の側方が開口している。すなわち、一実施形態に係るエンジン1では、収容部22は、この開口部分を形成する開口部24を含んでいる。
一実施形態に係るエンジン1では、シリンダーブロック20の側方に取り付けられたクランクケース40は、開口部24が形成する開口を覆っている。
すなわち、一実施形態に係るエンジン1では、シリンダーブロック20の下部領域と、該下部領域の側方に開いた開口を閉じるクランクケース40とで囲まれる空間23内にクランクシャフト5のクランクピン51、クランクアーム53及びカウンターウェイト55が収容されている。
【0016】
一実施形態に係るエンジン1では、クランクケース40からクランクシャフト5の一端側の軸部57が突出している。また、一実施形態に係るエンジン1では、クランクシャフト5の他端側の軸部58が一端側の軸部57とは反対側に向かって収容部22から突出している。
【0017】
一実施形態に係るエンジン1では、クランクシャフト5は、一端側の軸部57が軸受91を介してクランクケース40に回動可能に軸支され、他端側の軸部58が軸受92を介してシリンダーブロック20に回動可能に軸支されている。
【0018】
一実施形態に係るエンジン1では、クランクケース40は、シリンダーブロック20側の側部とは反対側の側部がギアボックス60で覆われている。一実施形態に係るエンジン1では、クランクケース40とギアボックス60とによって、後述する第1駆動ギア101、第2駆動ギア201、第1被駆動ギア103、第2被駆動ギア203、及びアイドラギア202を収容するギア収容空間71が形成されている。
一実施形態に係るエンジン1では、クランクシャフト5の一端側の軸部57の軸端57aは、ギア収容空間71内に位置している。
なお、アイドラギア202は、図2における紙面手前側に位置するため、厳密に言えば図2には表れない。そこで、説明の便宜上、図2における紙面奥行き方向(すなわちエンジン1の上下方向)に沿って見たときに表れるアイドラギア202の位置を破線で図示することで、エンジン1の上下方向に沿って見たときのアイドラギア202と他のギアとの位置関係を示すようにしている。
【0019】
(出力装置10について)
一実施形態に係るエンジン1は、エンジン1の出力が一実施形態に係る出力装置10を介して出力されるように構成されている。
すなわち、一実施形態に係る出力装置10は、エンジン1の出力を外部に伝達するためのエンジン1の出力装置である。
一実施形態に係るエンジン1の出力装置10は、エンジン1により駆動されるクランクシャフト5と、クランクシャフト5からの駆動力を外部に伝達するための第1出力軸110、及び、第2出力軸210を備える。一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110は、クランクシャフト5の一方側に隣接して配置され、第2出力軸210は、クランクシャフト5の他方側に隣接して配置されている。
一実施形態に係る出力装置10は、クランクシャフト5に取り付けられた第1駆動ギア101及び第2駆動ギア201と、第1出力軸110に取り付けられ、第1駆動ギア101と噛合する第1被駆動ギア103と、第2出力軸210に取り付けられた第2被駆動ギア203とを備える。一実施形態に係る出力装置10は、第2駆動ギア201及び第2被駆動ギア203と噛合し、第2駆動ギア201からの駆動力を第2被駆動ギア203に伝達するためのアイドラギア202と、を備える。
【0020】
より具体的には、一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110及び第2出力軸210は、クランクシャフト5の中心軸AXcと同じ方向に延在するように配置されている。一実施形態に係る出力装置10では、エンジン1及び出力装置10を上下方向から見たときに、第1出力軸110は、クランクシャフト5の中心軸AXcを挟んでクランクシャフト5の一方側に配置され、第2出力軸210は、クランクシャフト5の中心軸AXcを挟んでクランクシャフト5の他方側に配置されている。
一実施形態に係る出力装置10では、クランクシャフト5の中心軸AXcと第1出力軸110の中心軸AX1との離間距離L1は、クランクシャフト5の中心軸AXcと第2出力軸210の中心軸AX2との離間距離L2と等しいとよい。
【0021】
一実施形態に係る出力装置10では、第1駆動ギア101及び第2駆動ギア201は、クランクケース40から突出したクランクシャフト5の一端側の軸部57と同軸となるように軸部57に取り付けられて固定されている。すなわち、一実施形態に係る出力装置10では、第1駆動ギア101及び第2駆動ギア201は、クランクシャフト5の中心軸AXcに沿って隣り合うように配置されている。一実施形態に係る出力装置10では、第2駆動ギア201は、第1駆動ギア101及び第1被駆動ギア103よりも軸部57の基端側、すなわち、クランクケース40に近い位置に配置されている。
また、一実施形態に係る出力装置10では、アイドラギア202及び第2被駆動ギア203は、第1駆動ギア101及び第1被駆動ギア103よりも軸部57の基端側、すなわち、クランクケース40に近い位置に配置されている。
一実施形態に係る出力装置10では、第2駆動ギア201を第1駆動ギア101及び第1被駆動ギア103よりも軸部57の基端側に配置することで、アイドラギア202の位置をエンジン1の中心側に近づけることができるので、エンジン1の重心位置をエンジン1の中心位置に近づけることができる。
【0022】
一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110は、クランクケース40に保持される第1軸受(基端側第1軸受)93と、ギアボックス60に保持される第1軸受(中間第1軸受)94とによって回動可能に軸支されている。
一実施形態に係る出力装置10では、第1被駆動ギア103は、クランクケース40に保持される第1軸受93と、ギアボックス60に保持される第1軸受94との間で第1出力軸110と同軸となるように第1出力軸110に取り付けられて固定されている。第1被駆動ギア103は、上述したように、第1駆動ギア101と噛合している。
【0023】
同様に、一実施形態に係る出力装置10では、第2出力軸210は、クランクケース40に保持される第2軸受(基端側第2軸受)95と、ギアボックス60に保持される第2軸受(中間第2軸受)96とによって回動可能に軸支されている。
一実施形態に係る出力装置10では、第2被駆動ギア203は、クランクケース40に保持される第2軸受95と、ギアボックス60に保持される第2軸受96との間で第2出力軸210と同軸となるように第2出力軸210に取り付けられて固定されている。第2被駆動ギア203は、上述したように、アイドラギア202と噛合している。
【0024】
一実施形態に係る出力装置10では、アイドラギア202は、クランクケース40に保持される不図示の軸受と、ギアボックス60に保持される不図示の軸受との間でクランクケース40及びギアボックス60に回動可能に支持されている。アイドラギア202は、上述したように、第2駆動ギア201及び第2被駆動ギア203と噛合している。
一実施形態の出力装置10では、アイドラギア202は、その中心軸AX3の位置がクランクシャフト5の中心軸AXcの位置よりもエンジン1の下方に位置するように配置されている。
【0025】
一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110及び第2出力軸210は、ギアボックス60から外部に突出している。
【0026】
上述した一実施形態に係るエンジン1では、シリンダ3内における混合気の燃焼によって不図示のピストンが受けた力でクランクシャフト5が駆動されると、クランクシャフト5からの駆動力は、第1駆動ギア101及び第1被駆動ギア103を介して第1出力軸110に伝達されるとともに、第2駆動ギア201、アイドラギア202及び第2被駆動ギア203を介して第2出力軸210に伝達される。このように、上述した一実施形態に係るエンジン1では、クランクシャフト5からの駆動力は、出力装置10の第1出力軸110及び第2出力軸210から外部の機器に伝達されるように構成されている。
【0027】
上述した一実施形態に係るエンジン1では、図1の矢印aで示すように、例えばクランクシャフト5が図示反時計方向に回動すると、第1駆動ギア101及び第1被駆動ギア103を介して駆動される第1出力軸110は、図1の矢印bで示すように図示時計方向に回動する。すなわち、上述した一実施形態に係るエンジン1では、クランクシャフト5の回動方向と第1出力軸110の回動方向とは異なる。
【0028】
上述した一実施形態に係るエンジン1では、図1の矢印aで示すように、例えばクランクシャフト5が図示反時計方向に回動すると、第2駆動ギア201と噛合しているアイドラギア202は、図1の矢印cで示すように図示時計方向に回動し、アイドラギア202と噛合している第2被駆動ギア203は、図1の矢印dで示すように図示反時計方向に回動する。したがって、上述した一実施形態に係るエンジン1では、図1の矢印aで示すように、例えばクランクシャフト5が図示反時計方向に回動すると、第2出力軸210は、図1の矢印dで示すように図示反時計方向に回動する。すなわち、上述した一実施形態に係るエンジン1では、クランクシャフト5の回動方向と第2出力軸210の回動方向とは同じになる。
したがって、上述した一実施形態に係るエンジン1では、第1出力軸110の回動方向と第2出力軸210の回動方向とが逆となる。
【0029】
上述した一実施形態に係る出力装置10では、クランクシャフト5からの駆動力をクランクシャフト5の一方側に隣接して配置される第1出力軸110と、クランクシャフト5の他方側に隣接して配置される第2出力軸210とに伝達できるので、第1出力軸110と第2出力軸210のそれぞれにピストンを設ける必要がない。これにより、2つの出力軸110、210が並ぶ方向、すなわち図1における図示左右方向についてのエンジン1の大きさが大きくなることを抑制できる。
【0030】
例えば、東南アジア等で使用されことが多いロングテールボートと呼ばれる比較的小型の船舶のように、エンジンの出力軸にプロペラシャフトの一方端を接続し、このプロペラシャフトを介してプロペラシャフトの他方端に取り付けられているスクリューを回転駆動させることで推進力を得るようにしている船舶が知られている。
例えば、上述したロングテールボートのような比較的小型の船舶において、上述した一実施形態に係る出力装置10を用いる場合、第1出力軸110と第2出力軸210のそれぞれにプロペラシャフトを接続し、これら2つのプロペラシャフトを介して2つのスクリューをそれぞれ回転駆動させるようにすることができる。
例えば、上述したロングテールボートのような比較的小型の船舶において、上述した一実施形態に係る出力装置10を用いることで、船舶に搭載するエンジンの小型化を図れる。
【0031】
また、上述した一実施形態に係る出力装置10によれば、第2被駆動ギア203がアイドラギア202を介して第2駆動ギア201によって駆動されるので、第2出力軸210の回転方向を第1出力軸110の回転方向とを逆にすることが容易となる。これにより、第2出力軸210に作用するトルク反力の向きを第1出力軸110に作用するトルク反力の向きと逆にすることが容易である。したがって、第1出力軸110に作用するトルク反力と第2出力軸210に作用するトルク反力を互いに相殺させることが容易となるので、エンジン1に作用するトルク反力を抑制できる。これにより、エンジン1や該エンジン1を搭載する機器における所望しない揺動を抑制することが容易となる。
よって、例えば、上述したロングテールボートのような比較的小型の船舶において、ロール方向への船舶の揺動を抑制することが容易となる。
【0032】
上述した一実施形態に係るエンジン1によれば、上述した一実施形態に係る出力装置10を備えるので、2つの出力軸110、210が離間する方向についてのエンジン1の大きさが大きくなることを抑制できる。
また、上述した一実施形態に係るエンジン1によれば、上述したように、第1出力軸110に作用するトルク反力と第2出力軸210に作用するトルク反力を互いに相殺させることが容易となるので、エンジン1に作用するトルク反力を抑制できる。これにより、エンジン1や該エンジン1を搭載する機器における所望しない揺動を抑制することが容易となる。
【0033】
以下、一実施形態に係る出力装置10についてさらに説明する。
一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110及び第2出力軸210は、第1出力軸110と第2出力軸210とが平行となるように配置されているとよい。すなわち、一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110の中心軸AX1と第2出力軸210の中心軸AX2とが平行となるように第1出力軸110及び第2出力軸210が配置されているとよい。また、一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110及び第2出力軸210は、エンジン1(ギアボックス60)の外部に同じ方向に突出しているとよい。
これにより、第1出力軸110からの駆動力の伝達先と第2出力軸210からの駆動力の伝達先とが同じ方向に存在する場合、第1出力軸110及び第2出力軸210からの駆動力をする伝達機構のレイアウトが合理的となる。
よって、例えば、上述したロングテールボートのような比較的小型の船舶において、第1出力軸110及び第2出力軸210のそれぞれに不図示のプロペラシャフトを接続し、このプロペラシャフト介して船舶の後方に配置されているスクリューを回転駆動させる場合、プロペラシャフトやスクリューを合理的に配置できる。
【0034】
一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110及び第2出力軸210は、クランクシャフト5の中心軸AXcに沿って、不図示のフライホイールとは反対側に配置されているとよい。これにより、不図示のフライホイールと第1出力軸110及び第2出力軸210との干渉を回避できる。
【0035】
一実施形態に係る出力装置10では、上述したように、第1出力軸110の回転方向は、第2出力軸210の回転方向と逆であるとよい。
これにより、上述したように、第2出力軸210に作用するトルク反力の向きを第1出力軸110に作用するトルク反力の向きと逆にすることができる。したがって、第1出力軸110に作用するトルク反力と第2出力軸210に作用するトルク反力を互いに相殺させることができるので、エンジン1に作用するトルク反力を抑制できる。よって、エンジン1や該エンジン1を搭載する機器における所望しない揺動を抑制できる。
よって、例えば、上述したロングテールボートのような比較的小型の船舶において、ロール方向への船舶の揺動を抑制できる。
【0036】
一実施形態に係る出力装置10では、クランクシャフト5が第1出力軸110を回転させる場合の減速比は、クランクシャフト5が第2出力軸210を回転させる場合の減速比と等しいとよい。
具体的には、例えば、第1駆動ギア101の歯数と第1被駆動ギア103の歯数とが等しく、第2駆動ギア201の歯数と第2被駆動ギア203の歯数とが等しくてもよい。なお、この場合には、アイドラギア202の歯数は、第2駆動ギア201の歯数及び第2被駆動ギア203の歯数とが等しくてもよく、異なっていてもよい。
すなわち、クランクシャフト5が第1出力軸110を回転させる場合の減速比及びクランクシャフト5が第2出力軸210を回転させる場合の減速比がともに1であってもよい。
なお、クランクシャフト5が第1出力軸110を回転させる場合の減速比及びクランクシャフト5が第2出力軸210を回転させる場合の減速比がともに1以外の等しい値であってもよい。
【0037】
これにより、第1出力軸110の回転速度と第2出力軸210の回転速度とが同じになる。したがって、一実施形態に係る出力装置10は、第1出力軸110からの駆動力と第2出力軸210からの駆動力とが同じ回転速度で出力されることが望ましい場合に好適である。
例えば、上述したロングテールボートのような比較的小型の船舶において、第1出力軸110及び第2出力軸210のそれぞれに不図示のプロペラシャフトを接続し、このプロペラシャフト介して船舶の後方に配置されているスクリューを回転駆動させる場合、一実施形態に係る出力装置10であれば、2つのスクリューの回転速度が同じにすることができる。したがって、2つのスクリューの回転速度が異なることに起因して2つのスクリューの回転による推進力が相違してしまうことを回避できる。
また、一実施形態に係る出力装置10によれば、第1出力軸110に作用するトルク反力の大きさと第2出力軸210に作用するトルク反力の大きさを同じ大きさにし易くなるので、第1出力軸110の回転方向と第2出力軸210の回転方向とが異なる方向であれば、第1出力軸110に作用するトルク反力と第2出力軸210に作用するトルク反力とを互いに効果的に相殺できる。
【0038】
(各ギアのピッチ円直径について)
ここで、クランクシャフト5の中心軸AXcと第1出力軸110の中心軸AX1との離間距離L1が、クランクシャフト5の中心軸AXcと第2出力軸210の中心軸AX2との離間距離L2と等しい場合について考える。この場合に、仮に、第1駆動ギア101のピッチ円直径Pc11と第2駆動ギア201のピッチ円直径Pc21とが等しく、第1被駆動ギア103のピッチ円直径Pc13と第2被駆動ギア203のピッチ円直径Pc23とが等しいと、第2駆動ギア201の歯と第2被駆動ギア203の歯とが干渉してしまう。
そこで、一実施形態に係る出力装置10では、例えば、次の条件(a)及び条件(b)の少なくとも何れか一方の条件を満たすことで、クランクシャフト5の中心軸AXcと第1出力軸110の中心軸AX1との離間距離L1が、クランクシャフト5の中心軸AXcと第2出力軸210の中心軸AX2との離間距離L2と等しい場合に、第2駆動ギア201の歯と第2被駆動ギア203の歯との干渉を回避するとよい。
(a)第2駆動ギア201のピッチ円直径Pc21は、第1駆動ギア101のピッチ円直径Pc11よりも小さい。
(b)第2被駆動ギア203のピッチ円直径Pc23は、第1被駆動ギア103のピッチ円直径Pc13よりも小さい。
なお、アイドラギア202のピッチ円直径Pc22は、第2駆動ギア201の歯と第2被駆動ギア203の歯との干渉防止の観点からは、特に制限を受けることはない。
【0039】
一実施形態に係る出力装置10では、上述したように、第1駆動ギア101、第2駆動ギア201、第1被駆動ギア103、第2被駆動ギア203、及びアイドラギア202は、クランクケース40とギアボックス60とで囲まれた空間(ギア収容空間)71内に配置されているとよい。
これにより、これら各ギアを合理的に配置できる。
【0040】
一実施形態に係る出力装置10では、上述したように、第1出力軸110は、2つの第1軸受93、94で回転可能に軸支されているとよい。2つの第1軸受93、94のうちの一方の第1軸受93は、クランクケース40に保持され、2つの第1軸受93、94のうちの他方の第1軸受94は、ギアボックス60に保持されているとよい。第2出力軸210は、2つの第2軸受95、96で回転可能に軸支されているとよい。2つの第2軸受95、96のうちの一方の第2軸受95は、クランクケース40に保持され、2つの第2軸受95、96のうちの他方の第2軸受96は、ギアボックス60に保持されているとよい。
これにより、第1出力軸110及び第2出力軸210を合理的に軸支できる。
【0041】
一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110の中心軸AX1、第2出力軸210の中心軸AX2、及び、クランクシャフト5の中心軸AXcは、同一平面内に存在するとよい。
これにより、エンジン1の上下方向や2つの出力軸110、210が離間する方向、すなわち図1における図示左右方向へ出力装置10が大型化することを抑制できる。
【0042】
なお、第1出力軸110の中心軸AX1、第2出力軸210の中心軸AX2、及び、クランクシャフト5の中心軸AXcが存在する仮想平面Pvは、一実施形態に係るエンジン1の底面1aと平行であるとよい。すなわち、一実施形態に係る出力装置10では、第1出力軸110の中心軸AX1、第2出力軸210の中心軸AX2、及び、クランクシャフト5の中心軸AXcは、一実施形態に係るエンジン1の底面1aと平行に延在するとよい。
【0043】
一実施形態に係る出力装置10では、上述したように、クランクシャフト5の中心軸AXcと第1出力軸110の中心軸AX1との離間距離L1は、クランクシャフト5の中心軸AXcと第2出力軸210の中心軸AX2との離間距離L2と等しいとよい。
離間距離L1と離間距離L2が等しければ、第1出力軸からの駆動力の伝達先と第2出力軸からの駆動力の伝達先とがクランクシャフトの中心軸を挟んで対称に配置されることが望ましい場合に好適である。
よって、例えば、上述したロングテールボートのような比較的小型の船舶において、第1出力軸110からの駆動力で駆動されるスクリューと第2出力軸210からの駆動力で駆動されるスクリューとをロングテールボートの前後方向に延在する中心線を挟んでロングテールボートの幅方向に対称に配置する場合に好適である。
【0044】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した一実施形態の出力装置10では、アイドラギア202の中心軸AX3の位置は、クランクシャフト5の中心軸AXcの位置よりもエンジン1の下方であるが、クランクシャフト5の中心軸AXcの位置よりもエンジン1の上方であってもよい。アイドラギア202の中心軸AX3の位置をクランクシャフト5の中心軸AXcの位置よりもエンジン1の下方又は上方に設定することで、クランクシャフト5の中心軸AXcの位置と第2出力軸210の中心軸AX2の位置とを接近させることができる。これにより、出力装置10の小型化を図れる。
なお、出力装置10の上下方向の寸法に余裕がない場合には、例えば、第2駆動ギア201のピッチ円直径Pc21及び第2被駆動ギア203のピッチ円直径Pc23の小径化を図るとともに、アイドラギア202の中心軸AX3が上述した仮想平面Pv内に存在するようにアイドラギア202の中心軸AX3の位置を設定してもよい。
【0045】
一実施形態に係るエンジン1は、例えば単気筒の4サイクルエンジンであったが、2気筒以上の直列型エンジンやV型エンジンであってもよい。
【0046】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジン1の出力装置10は、エンジン1の出力を外部に伝達するためのエンジン1の出力装置10である。本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジン1の出力装置10は、エンジン1により駆動されるクランクシャフト5と、クランクシャフト5からの駆動力を外部に伝達するための第1出力軸110であって、クランクシャフト5の一方側に隣接して配置される第1出力軸110と、クランクシャフト5からの駆動力を外部に伝達するための第2出力軸210であって、クランクシャフト5の他方側に隣接して配置される第2出力軸210と、を備える。本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジン1の出力装置10は、クランクシャフト5に取り付けられた第1駆動ギア101及び第2駆動ギア201と、第1出力軸110に取り付けられ、第1駆動ギア101と噛合する第1被駆動ギア103と、第2出力軸210に取り付けられた第2被駆動ギア203と、第2駆動ギア201及び第2被駆動ギア203と噛合し、第2駆動ギア201からの駆動力を第2被駆動ギア203に伝達するためのアイドラギア202と、を備える。
【0047】
上記(1)の構成によれば、クランクシャフト5からの駆動力をクランクシャフト5の一方側に隣接して配置される第1出力軸110と、クランクシャフト5の他方側に隣接して配置される第2出力軸210とに伝達できるので、第1出力軸110と第2出力軸210のそれぞれにピストンを設ける必要がない。これにより、2つの出力軸110、210が並ぶ方向についてのエンジン1の大きさが大きくなることを抑制できる。
【0048】
また、上記(1)の構成によれば、第2被駆動ギア203がアイドラギア202を介して第2駆動ギア201によって駆動されるので、第2出力軸210の回転方向を第1出力軸110の回転方向とを逆にすることが容易となる。これにより、第2出力軸210に作用するトルク反力の向きを第1出力軸110に作用するトルク反力の向きと逆にすることが容易である。したがって、第1出力軸110に作用するトルク反力と第2出力軸210に作用するトルク反力を互いに相殺させることが容易となるので、エンジン1に作用するトルク反力を抑制できる。これにより、エンジン1や該エンジン1を搭載する機器における所望しない揺動を抑制することが容易となる。
【0049】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、第1出力軸110及び第2出力軸210は、第1出力軸110と第2出力軸210とが平行となるように配置されており、且つ、エンジン1の外部に同じ方向に突出しているとよい。
【0050】
上記(2)の構成によれば、第1出力軸110からの駆動力の伝達先と第2出力軸210からの駆動力の伝達先とが同じ方向に存在する場合、第1出力軸110及び第2出力軸210からの駆動力をする伝達機構のレイアウトが合理的となる。
【0051】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、第1出力軸110の回転方向は、第2出力軸210の回転方向と逆であるとよい。
【0052】
上記(3)の構成によれば、第2出力軸210に作用するトルク反力の向きを第1出力軸110に作用するトルク反力の向きと逆にすることができる。したがって、第1出力軸110に作用するトルク反力と第2出力軸210に作用するトルク反力を互いに相殺させることができるので、エンジン1に作用するトルク反力を抑制できる。これにより、エンジン1や該エンジン1を搭載する機器における所望しない揺動を抑制できる。
【0053】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、クランクシャフト5が第1出力軸110を回転させる場合の減速比は、クランクシャフト5が第2出力軸210を回転させる場合の減速比と等しいとよい。
【0054】
上記(4)の構成によれば、第1出力軸110からの駆動力と第2出力軸210からの駆動力とが同じ回転速度で出力されることが望ましい場合に好適である。
また、上記(4)の構成によれば、第1出力軸110に作用するトルク反力の大きさと第2出力軸210に作用するトルク反力の大きさを同じ大きさにし易くなるので、第1出力軸110の回転方向と第2出力軸210の回転方向とが異なる方向であれば、第1出力軸110に作用するトルク反力と第2出力軸210に作用するトルク反力とを互いに効果的に相殺できる。
【0055】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、第1駆動ギア101、第2駆動ギア201、第1被駆動ギア103、第2被駆動ギア203、及びアイドラギア202は、クランクケース40とギアボックス60とで囲まれた空間(ギア収容空間)71内に配置されているとよい。
【0056】
上記(5)の構成によれば、これら各ギアを合理的に配置できる。
【0057】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、第1出力軸110は、2つの第1軸受93、94で回転可能に軸支されているとよい。2つの第1軸受93、94のうちの一方の第1軸受93は、クランクケース40に保持され、2つの第1軸受93、94のうちの他方の第1軸受94は、ギアボックス60に保持されているとよい。第2出力軸210は、2つの第2軸受95、96で回転可能に軸支されているとよい。2つの第2軸受95、96のうちの一方の第2軸受95は、クランクケース40に保持され、2つの第2軸受95、96のうちの他方の第2軸受96は、ギアボックス60に保持されているとよい。
【0058】
上記(6)の構成によれば、第1出力軸110及び第2出力軸210を合理的に軸支できる。
【0059】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、第1出力軸110の中心軸AX1、第2出力軸210の中心軸AX2、及び、クランクシャフト5の中心軸AXcは、同一平面内に存在するとよい。
【0060】
上記(7)の構成によれば、出力装置10の大型化を抑制できる。
【0061】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、クランクシャフト5の中心軸AXcと第1出力軸110の中心軸AX1との離間距離L1は、クランクシャフト5の中心軸AXcと第2出力軸210の中心軸AX2との離間距離L2と等しいとよい。
【0062】
上記(8)の構成によれば、第1出力軸110からの駆動力の伝達先と第2出力軸210からの駆動力の伝達先とがクランクシャフト5の中心軸AXcを挟んで対称に配置されることが望ましい場合に好適である。
【0063】
(9)本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジン1は、上記(1)乃至(8)の何れかの構成の出力装置10を備える。
【0064】
上記(9)の構成によれば、2つの出力軸110、210が離間する方向についてのエンジン1の大きさが大きくなることを抑制できる。
【符号の説明】
【0065】
1 エンジン
5 クランクシャフト
10 出力装置
40 クランクケース
60 ギアボックス
71 空間(ギア収容空間)
93、94 第1軸受
95、96 第2軸受
101 第1駆動ギア
103 第1被駆動ギア
110 第1出力軸
201 第2駆動ギア
202 アイドラギア
203 第2被駆動ギア
210 第2出力軸
図1
図2