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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097890
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】研削盤の運転方法及び研削盤
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/02 20060101AFI20220624BHJP
   B24B 47/20 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B24B7/02
B24B47/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211126
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000150604
【氏名又は名称】株式会社ナガセインテグレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 幸泰
(72)【発明者】
【氏名】新藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 信義
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB92
3C034CA01
3C034CB01
3C034DD07
3C043BA01
3C043BA12
3C043BA15
3C043CC03
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
(57)【要約】
【課題】辺コーナのエッジを保全しながらワークの上面を研削できるようにすること。
【解決手段】研削盤の回転砥石15によりワーク100の上面を研削する研削盤の運転方法であって、ワーク100の表面に対する回転砥石15の研削におけるワーク100の研削開始側の辺コーナにおいて、その辺コーナ部分の切り込み量をワーク100表面の他の部分と同じにする。また、ワーク100の研削終了側の辺コーナにおけるワーク100の辺コーナの切り込み量をワーク100の表面の他の部分と同じにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転砥石によりワークの上面を研削する研削盤の運転方法であって、
ワークのコーナにおいて、そのコーナの部分の切り込み量をワークの上面の他の部分と同じにする研削盤の運転方法。
【請求項2】
コーナはワークの辺のコーナである請求項1に記載の研削盤の運転方法。
【請求項3】
回転砥石によりワークの上面を研削する研削盤の運転方法であって、
ワークのコーナにおいて、そのコーナの部分の切り込み量をワークの上面の他の部分より少なくする研削盤の運転方法。
【請求項4】
前記コーナの部分の前記回転砥石の移動ルートをあらかじめ記憶されたダレの表面形状のカーブと上下対称形状にする請求項1または2に記載の研削盤の運転方法。
【請求項5】
回転砥石を有する研削盤において、
コーナのダレの表面形状のカーブデータを記憶する記憶手段と、
そのカーブデータを反転するとともに、その反転したカーブデータに従って前記回転砥石を研削のために移動させる制御手段と、
を備えた研削盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転砥石を有する研削盤の運転方法及び研削盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の研削盤の運転方法が特許文献1に開示されている。この特許文献1の研削盤の運転方法においては、回転砥石がワークに対する切り込み方向に移動されるとともに、ワークが水平面内を送り移動される。これによって、ワークの上面が研削される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-66915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1にも記載されているように、回転砥石はワークとの間の圧力によって変形するものである。すなわち、図14に示すように、ワーク100の上面107を研削する場合は、回転砥石15が半径方向に圧縮されるように変形される。しかし、図12に示すように、ワーク100に対する研削開始部である辺のコーナ(以下、辺コーナという)101がエッジを形成している。このため、回転砥石15にかかる背分力などの切削抵抗が大きく変化し、辺コーナ101の部分においては、回転砥石15の変形量が少ない。これによって、研削開始側の辺コーナ101の切り込み量がワーク100の上面107の部分より多くなる。その結果、開始側の辺コーナ101が円弧状に研削されて、図15に示すように、辺コーナ101にいわゆるダレ105が形成される。また、同じく図12及び図15に示すように、研削終了部においても、背分力などの切削抵抗が大きく変化する。従って、回転砥石15の変形量が少ない。このため、終了側の辺コーナ102の切り込み量がワーク100の上面107の部分より多くなる。その結果、研削終了部の終了側の辺コーナ102も円弧状に研削されて、ダレ106が形成される。
【0005】
さらに、図13及び図16に示すように、前記開始側の辺コーナ101と終了側の辺コーナ102との間における一方側の辺コーナ108及び他方側の辺コーナ109においても、回転砥石15の変形量が少なくなることによってそれぞれダレ110,111が形成される。特に、ワーク100の四隅の角部であるコーナ(以下、角コーナという)120においては、隣接する辺コーナ101,102,108,109のダレ105,106,110,111が重畳されて、辺コーナ101,102,108,109のダレ105,106,110,111より大きなダレ114が形成される。図17は、ダレ114を含むダレ105,106,110,111を稜線が形成される平面の面取りと仮想して描いたものである。実際のダレ114および105,106,110,111は、稜線が形成されることがない膨らんだ曲面となる。ここで、一方側の辺コーナ108及び他方側の辺コーナ109は回転砥石15の中心軸線と交差する方向に延びる辺の辺コーナであって、最初に研削加工が行われる側の辺の辺コーナ108を前部側とする。
【0006】
なお、理解を容易にするために、図12図16図17などの各図面においては、回転砥石15の変形量やダレ105,106,110,111、114の形状を誇張して描いている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の研削盤の運転方法においては、回転砥石によりワークの上面を研削する研削盤の運転方法であって、ワークのコーナにおいて、そのコーナの部分の切り込み量をワークの上面の他の部分と同じにすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の研削盤の運転方法においては、回転砥石によりワークの上面を研削する研削盤の運転方法であって、ワークのコーナにおいて、そのコーナの部分の切り込み量をワークの上面の他の部分より少なくすることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の研削盤においては、回転砥石を有する研削盤において、コーナのダレのカーブデータを記憶する記憶手段と、そのカーブデータを反転するとともに、その反転したカーブデータに従って前記回転砥石を研削のために移動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
以上の方法においては、コーナに対する切り込み量がワークの他の部分と同じまたは少ないため、そのコーナが円弧状に切り込まれることを回避できて、コーナのエッジを保全できる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明においては、コーナのエッジを保全したままワークの表面を適切に加工できるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】研削盤を示す正面図。
図2】研削盤の制御関連の電気的構成を示すブロック図。
図3】辺コーナのカーブルート設定のフローチャート。
図4】研削加工の処理を示すフローチャート。
図5】研削加工におけるストローク動作のルートを示す簡略平面図。
図6】ワークに対する研削加工開始部を示す簡略正面図。
図7】ワークに対する研削加工終了部を示す簡略正面図。
図8】ストローク動作の開始側を示す説明図。
図9】ストローク動作の終了側を示す説明図。
図10】実施形態における研削終了後のワークを示す説明図。
図11】変更例における研削終了後のワークを示す説明図。
図12】従来の方法による研削開始部及び研削終了部の研削状態を示す説明図。
図13】従来の方法によるストローク動作の開始側及び終了側を示す説明図。
図14】研削動作時における回転砥石の変形を示す説明図。
図15】従来方法による研削開始部及び研削終了部の研削結果を示す説明図。
図16】従来方法によるストローク動作の開始側及び終了側の研削結果を示す説明図。
図17】稜線を仮想したダレを示す斜視図。
図18】変更例のストロークルートを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1に示すように、平面研削盤のフレーム11の上面には、移動台10がX軸方向(図1の左右方向)に移動可能に支持されている。その移動台10にはマグネットチャックよりなるチャックテーブル12が搭載されている。そして、このチャックテーブル12の上面にワーク100が載置され、チャックテーブル12のマグネット(図示しない)が通電によって励磁されることにより、チャックテーブル12が磁力を帯び、ワーク100がチャックテーブル12の上面に磁気吸着される。チャックテーブル12には、ワーク100を所定位置で位置決めするための位置決め部材(図示しない)が設けられている。本実施形態においてワーク100は、図5に示す平面長方形(四角形)の直方体形状であるが、立方体形状でもよい。
【0014】
フレーム11の上面にはコラム13がZ軸方向(前後方向)に移動可能に支持されている。コラム13の前面には昇降体14がY軸方向(上下方向)に移動可能に、すなわち昇降可能に支持され、この昇降体14には、砥石軸30により回転砥石15がZ軸方向に延びる回転中心200を中心に回転可能に支持されている。この回転砥石15により、チャックテーブル12上のワーク100の表面である上面107が研削される。
【0015】
昇降体14にはタッチプローブ16を有する上面・端縁センサ17が下方の計測位置と上方の待機位置とに配置可能に設置されている。
図2に示す制御手段としての制御装置21には、前記チャックテーブル12をX軸方向に往復動させるためのX軸モータ22,昇降体14をY軸方向に昇降させるためのY軸モータ23,コラム13をZ軸方向に往復動させるためのZ軸モータ24が接続されている。また、制御装置21には、回転砥石15を回転させるための砥石モータ25が接続されている。制御装置21には前記上面・端縁センサ17が接続されている。
【0016】
前記制御装置21は、制御手段としてのCPU(中央処理装置)26と記憶手段としての記憶部27とを備えている。記憶部27には各種の一時的なデータが記憶されるとともに、本実施形態の平面研削盤を動作させるためのプログラムのデータが記憶されている。CPU26は、前記プログラムによる本実施形態の平面研削盤の各種の動作を制御する。
【0017】
次に、本実施形態の作用を説明する。
ワーク100と回転砥石15との間の相対移動は、ワーク100のX軸方向の移動と、回転砥石15のY軸方向及びZ軸方向の移動とによって実行されるが、以下の作用説明においては、回転砥石15のみがX,Y,Zの3軸方向に移動されるものとして説明する。
【0018】
本実施形態においては、回転砥石15は、図5に示すように、Z軸方向への移動をともないながらジグザグ状にX軸方向においてトラバースされて、ワーク100の上面107を研削する。
【0019】
本実施形態においては、図5に示すように、回転砥石15のX軸方向における1ストローク動作の際に、ストローク動作に先立って図6に示すように、回転砥石15がワーク100の上面に位置して仮想切り込み量Cだけ切り込むようにY軸方向に切り込み送りされる。
【0020】
ワーク100の上面107を研削した場合の実際の切り込み量C1は以下のようになる。すなわち、図14に2点鎖線で示すように、回転砥石15が変形しないと仮定した場合、ワーク100の上面107は仮想切り込み量Cだけ研削される。しかし、実際には、Y軸方向の荷重などにより、回転砥石15が半径方向に圧縮されるように変形される。このため、実際には、仮想切り込み量Cから回転砥石15の変形量分を減じた実際切り込み量C1だけ切り込まれる。そして、辺コーナ101,102,108,109においては回転砥石15の変形量が少なく、角コーナ120においては、さらに少ない。このため、前記のように、ワーク100の各辺コーナ101,102,108,109及び角コーナ120にダレ105,106,110,111,114が生じる。
【0021】
本実施形態においては、回転砥石15がワーク100のストローク始端側(図5及び図6の右側)の辺コーナ101の上面に達した後、回転砥石15の外周の研削面は、回転砥石15の少ない変形量を見込んで、図6に示すように、ダレ105の面形状と上下対称の軌跡を有する開始側カーブルート103を辿ってワーク100の上面位置に達する。そして、この回転砥石15の外周の研削面が開始側カーブルート103を進入することにより、ワーク100の上面107に対する開始側の辺コーナ101部分の切り込み量をワークの上面107の他の部分の実際切り込み量C1と同じにする。
【0022】
また、回転砥石15がワーク100の右または左のストローク終端側(実施形態においては図5及び図7の左側)、すなわち研削終了側の辺コーナ102から離脱する際には以下のように動作される。すなわち、回転砥石15の外周の研削面は、仮想切り込み量Cに対応する回転砥石15の少ない変形量を見込んで、ダレ106の面形状と上下対称の軌跡を有する研削終了側のカーブルート104を辿ってワーク100の上面から離脱する。そして、ワーク100の終了側の辺コーナ102の部分の切り込み量をワーク100の上面107の他の部分の実際切り込み量C1と同じにする。
【0023】
さらに、図8及び図9に示すように、回転砥石15のZ軸方向(前後方向)の移動により、回転砥石15のストローク動作の位置がワーク100の前方側からワーク100の上面107に移行する場合及び上面107から後方側へ離脱する場合も同様な動作が行われる。すなわち、図8に示す回転砥石15はカーブルート112を辿ってワーク100の上面に達し、図9に示すカーブルート113を辿ってワーク100の上面から離脱する。
【0024】
以上のようにすれば、図15及び図16に示すダレ105,106,110,111,114の形成が防止される。
そこで、以下に、フローチャートを用いて本実施形態の作用を詳細に説明する。図3及び図4に示すフローチャートは、制御装置21の記憶部27に記憶されたプログラムがCPU26の制御のもとに進行するものである。
【0025】
図3におけるステップS(以下、単にSという)1において、作業者によって、ワーク100に対する加工条件が入力される。この加工条件には、ワーク100に上面107に対する仮想切り込み量C,実際切り込み量C1や、カーブルート103,104,112,113のデータが含まれる。このカーブルート103,104,112,113のカーブ形状は、ダレ105,106,110,111の表面形状がそのダレ105,106,110,111と同じ高さ位置において上下に反転した形状であって、ダレ105,106,110,111に対して上下対称である。このカーブルート103,104,112,113は、ダレ105,106,110,111の表面形状のカーブデータが制御装置21によって上下反転されたものである。ダレ105,106,110,111の表面形状データは、ワーク100の加工前に、あらかじめテストピースの上面を実際切り込み量C1が得られるように、研削した結果得られたものである。すなわち、従来の通常の加工方法で仮想切り込み量Cを設定して切削加工することにより得られたものである。そして、ダレ105,106,110,111の部分を撮影したり、タッチプローブによって計測したりすることによって、ダレ105,106,110,111の表面形状データを得ることができる。この表面形状のカーブデータが記憶部27に記憶される。
【0026】
ワーク100の前後左右の端縁である辺コーナ101,102,108,109の位置は、研削加工開始前に上面・端縁センサ17によって検出されて記憶部27に記憶される。ワーク100の加工開始前の上面107の高さ位置は研削加工開始前に上面・端縁センサ17によって検出されて記憶部27に記憶される。S2においてカーブルート103,104,112,113等の加工条件のデータが記憶部27に記憶されて設定される。
【0027】
以上のように、加工条件のデータが設定された後に、図4のS11においてワーク100の加工工程が開始される。ここで、図4のルーチンに示す加工工程とは、1回のストローク動作Sにおける研削動作を指す。つまり、1ストロークの研削動作は、回転砥石15がストローク動作開始位置からワーク100に対して相対移動して、ワーク100の上面107を1回研削してストローク動作終了位置までの動作を指す。
【0028】
S12においては、前記S2において設定された加工条件のデータが読み出される。S13においては、回転砥石15が図5及び図6に示すストローク動作開始位置から移動される。このストローク動作開始位置は、ワーク100の上面107より上方の位置で、かつワーク100の辺コーナ101,102から左方または右方へ離間したところに位置する。S14においては、回転砥石15の周面の研削面が開始側カーブルート103に沿って下降をともないながらX軸方向の左方に移動される。
【0029】
回転砥石15の研削面の研削部が開始側カーブルート103の終端に達した後は、S15において仮想切り込み量Cで通常研削に移行する。この通常研削は、ワーク100の上面を平面状に研削するものである。従って、ワーク100は実際切り込み量C1で研削される。
【0030】
S16においては、図7に示すように、ストローク動作終了側において、回転砥石15の研削面が終了側カーブルート104を辿って上昇をともないながらX軸方向に移動する。S17において回転砥石15の研削面の研削部が終了側カーブルート104の終端に達したことが認識されると、S13に戻り、回転砥石15は逆方向にストローク移動される。
【0031】
以上のようにして、回転砥石15はトラバース動作される。
以上のようにすれば、ワーク100のストローク開始側の辺コーナ101及びストローク終了側の辺コーナ102にダレ105,106が形成されることを回避できる。
【0032】
また、図8及び図9に示すように、回転砥石15の研削ストロークのストローク動作の位置において、ワーク100の前端側の辺コーナ108及び後端側の辺コーナ109が回転砥石15の厚さの範囲内にあるときには、以下の動作が行われる。すなわち、研削のストローク動作Sの位置,つまり回転砥石15の研削面がストローク動作Sによって研削移動する高さは、ダレ110,111に対して前記と同様に上下反転した上下対称状をなす前端側カーブルート112及び後端側カーブルート113の高さ位置となる。これによって、ワーク100の前端側の辺コーナ108及び後端側の辺コーナ109のダレ110,111の形成を回避できる。その結果、角コーナという120のダレ114の形成を回避できる。
【0033】
従って、本実施形態では、以下の効果を発揮する。
(1)回転砥石15の研削面が回転砥石15のストローク動作Sにともなって、ダレ105,106,110,111が反転したカーブルート103,104,112,113を辿る。このため、ワーク100の研削加工開始側の辺コーナ101,102,108,109が余分に切り込まれることはなく、辺コーナ101,102,108,109及び角コーナ120が円弧状になることを回避できて、図10に示すように、辺コーナのエッジを保全できる。
【0034】
(2)回転砥石15があらかじめ設定されたカーブルート103,104,112,113を辿ることにより、ダレ回避を実現できるため、作業者の作業負担はなく、そのダレ回避を容易に実現できる。
【0035】
(変更例)
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。そして、前記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0036】
・カーブルート103,104,112,113の開始位置及び終了位置を前記実施形態より上方の位置にすれば、言い換えれば、カーブルート103,104,112,113の開始位置及び終了位置の切り込み量を少なくすれば、図11に示すように、90度以下の尖ったコーナエッジ121を形成できる。ただし、このコーナエッジ121は誇張して描いている。
【0037】
・ワーク100として、平面台形状,対向する二辺が他の二辺に対して傾斜する平面平行四辺形などの形状とすること。
・前記実施形態はストローク動作をジグザグにトラバースさせたが、図18に矢印で示すように、平行に移動するストローク動作を1ピッチずつずらせて行うこと。この場合、図18に示すように、研削を双方向のストローク動作で行ってもよい。また、研削を図示しない一方向のみのストローク動作で行い、他方向のストローク動作は研削することなく帰還のみとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
15…回転砥石
21…制御装置
26…CPU
27…記憶部
100…ワーク
101…辺コーナ
102…辺コーナ
103…開始側カーブルート
104…終了側カーブルート
105…ダレ
106…ダレ
108…辺コーナ
109…辺コーナ
110…ダレ
111…ダレ
112…前端側カーブルート
113…後端側カーブルート
114…ダレ
107…上面
C…仮想切り込み量
C1…切り込み量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18