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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097959
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】積層構造体
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220624BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20220624BHJP
   C09J 1/00 20060101ALI20220624BHJP
   C09J 5/02 20060101ALI20220624BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20220624BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20220624BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M1/26
C09J1/00
C09J5/02
C09D5/00 D
C09D183/04
B32B9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211234
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 皓平
(72)【発明者】
【氏名】宮田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美佐子
(72)【発明者】
【氏名】小島 理恵
【テーマコード(参考)】
4B029
4F100
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029AA09
4B029GA08
4B029GB09
4B029HA02
4F100AA00C
4F100AA20C
4F100AG00C
4F100AH06B
4F100AK12A
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100DG15C
4F100EJ67B
4F100GB66
4J038DL081
4J038NA12
4J038PC08
4J040HA301
4J040JA02
4J040JB02
4J040LA06
4J040MA05
4J040MA11
4J040MB02
4J040MB05
4J040NA02
4J040PA07
(57)【要約】
【課題】有機構造体と無機構造体とが接着層によって強固に積層一体化しており、無機構造体が剥離し難い積層構造体の提供を目的とする。
【解決手段】
本願出願人が検討した結果、有機構造体と無機構造体とが接着層によって積層一体化している積層構造体であって、接着層がシランカップリング剤からなる層と無機系化合物の層とを有していると共に、有機構造体‐シランカップリング剤からなる層‐無機系化合物の層‐無機構造体の順に積層一体化している場合、つまり、シランカップリング剤と無機構造体の間に無機系化合物の層が介在するという構造を有している場合には、有機構造体と無機構造体とが当該接着層によって強固に積層一体化されることを見出した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機構造体と無機構造体とが接着層によって積層一体化している、積層構造体であって、
前記接着層は、シランカップリング剤からなる層と無機系化合物の層とを有しており、
前記有機構造体‐前記シランカップリング剤からなる層‐前記無機系化合物の層‐前記無機構造体の順に積層一体化している、
積層構造体。
【請求項2】
積層構造体の製造方法であって、
(1)有機構造体と無機構造体を用意する工程、
(2)前記有機構造体の上にシランカップリング剤を付与する工程、
(3)前記有機構造体と前記シランカップリング剤を反応させ、前記有機構造体の上にシランカップリング剤からなる層を形成する工程、
(4)前記シランカップリング剤からなる層の上に、無機系化合物の前駆体を付与する工程、
(5)前記無機系化合物の前駆体の上に、前記無機構造体を積層して積層体を調製する工程、
(6)前記積層体に含まれる前記無機系化合物の前駆体を加水分解および/または縮合反応させ、無機系化合物の層を形成する工程、
を備える、前記有機構造体‐前記シランカップリング剤からなる層‐前記無機系化合物の層‐前記無機構造体の順に積層一体化している、積層構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機構造体と無機構造体とが接着層によって積層一体化している、積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機構造体と無機構造体とが接着層によって積層一体化している積層構造体は、例えば、有機樹脂製ウェルプレートのウェル内に無機繊維不織布の細胞培養担体が担持されている細胞培養容器や、有機フィルム上に電子部品などの無機系素子が固定されている電子基板などのように、様々な技術分野で活用されている。
【0003】
そして、有機構造体と無機構造体とを積層一体化するため、特開2003-286289(特許文献1)に開示されている通り、従来から接着層をなす接着剤として、シランカップリング剤が使用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-286289(特許請求の範囲、0002など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本願出願人が、特許文献1に開示されているような従来技術にかかる積層構造体を調製したところ、シランカップリング剤のみからなる接着層は、有機構造体と無機構造体とを接着し積層一体化する能力に劣る傾向があった。その結果、調製した積層構造体から無機構造体が剥離するという問題が発生し易いものであった。
【0006】
そのため、有機構造体と無機構造体とが接着層によって強固に積層一体化しており、無機構造体が剥離し難い積層構造体の実現が求められた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の本発明は、
「有機構造体と無機構造体とが接着層によって積層一体化している、積層構造体であって、
前記接着層は、シランカップリング剤からなる層と無機系化合物の層とを有しており、
前記有機構造体‐前記シランカップリング剤からなる層‐前記無機系化合物の層‐前記無機構造体の順に積層一体化している、
積層構造体。」
である。
【0008】
また、第二の本発明は、
「積層構造体の製造方法であって、
(1)有機構造体と無機構造体を用意する工程、
(2)前記有機構造体の上にシランカップリング剤を付与する工程、
(3)前記有機構造体と前記シランカップリング剤を反応させ、前記有機構造体の上にシランカップリング剤からなる層を形成する工程、
(4)前記シランカップリング剤からなる層の上に、無機系化合物の前駆体を付与する工程、
(5)前記無機系化合物の前駆体の上に、前記無機構造体を積層して積層体を調製する工程、
(6)前記積層体に含まれる前記無機系化合物の前駆体を加水分解および/または縮合反応させ、無機系化合物の層を形成する工程、
を備える、前記有機構造体‐前記シランカップリング剤からなる層‐前記無機系化合物の層‐前記無機構造体の順に積層一体化している、積層構造体の製造方法。」
である。
【発明の効果】
【0009】
本願出願人が検討した結果、有機構造体と無機構造体とが接着層によって積層一体化している積層構造体であって、接着層がシランカップリング剤からなる層と無機系化合物の層とを有していると共に、有機構造体‐シランカップリング剤からなる層‐無機系化合物の層‐無機構造体の順に積層一体化している場合、つまり、シランカップリング剤と無機構造体の間に無機系化合物の層が介在するという構造を有している場合には、有機構造体と無機構造体とが当該接着層によって強固に積層一体化されることを見出した。
以上から、本発明に係る積層構造体およびその製造方法によって、無機構造体が剥離し難い積層構造体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載のない限り、大気圧下のもと測定を行った。また、25℃温度条件下で測定を行った。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、前記値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、小数第一位までが求める値である場合、測定によって小数第二位まで値を求め、得られた小数第二位の値を四捨五入することで小数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。そして、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0011】
本発明でいう有機構造体とは、有機樹脂などの有機成分を含んだ構造体を指すものであり、その形状は例えば、プレート状、布帛(繊維ウェブや不織布あるいは織物や編み物など)、無孔あるいは多孔フィルム、発泡体などであることができる。なお、有機構造体の具体例として、ポリスチレン製のシャーレやウェルプレートを挙げることができる。
【0012】
有機樹脂の種類は適宜選択でき、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をニトリル基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン)、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機樹脂を用いて構成できる。
【0013】
有機構造体は二種類以上の有機樹脂から構成することもでき、二種類以上の有機樹脂が混在していてもよい。
【0014】
有機構造体が、有機成分を含む繊維を構成繊維として有する布帛である場合、構成繊維は一般的に複合繊維と称される繊維であってもよい。例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
【0015】
また、略円形の繊維や楕円形の有機繊維以外にも異形断面の有機繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面の有機繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する有機繊維であることができる。
【0016】
また、有機構造体の表面は、プラズマ放電処理、UV処理、コロナ放電処理などが施されていてもよい。
【0017】
有機構造体の目付や厚みなどの諸物性は、積層構造体の用途に合わせ適宜調整できる。
【0018】
本発明でいう無機構造体とは、シリカなどの無機成分を含んだ構造体を指すものであり、その形状は例えば、プレート状、布帛(繊維ウェブや不織布あるいは織物や編み物など)、無孔あるいは多孔フィルム、発泡体などであることができる。なお、無機構造体の具体例として、シリカ繊維不織布の細胞培養担体を挙げることができる。
【0019】
無機成分の種類は適宜選択でき、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、又はルテチウムの各酸化物を挙げることができる。具体的には、SIO、AL、B、TIO、ZRO、CEO、FEO、FE、FE、VO、V、SNO、CDO、LIO、WO、NB、TA、IN、GEO、PBTI、LINBO、BATIO、PBZRO、KTAO、LI、NIFE、SRTIO、ヒドロキシアパタイト、炭酸アパタイト、ゼオライトなどを挙げることができる。なお、無機成分は一種元素の酸化物から構成されていても、二種以上の元素を含む酸化物から構成されていても良い。
【0020】
無機構造体は二種類以上の無機成分から構成することもでき、二種類以上の無機成分が混在していてもよい。また、無機構造体の表面は、プラズマ放電処理、UV処理、コロナ放電処理などが施されていてもよい。
【0021】
無機構造体が、無機成分を含む繊維を構成繊維として有する布帛である場合、構成繊維は一般的に複合繊維と称される繊維であってもよい。例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
【0022】
また、略円形の繊維や楕円形の無機繊維以外にも異形断面の無機繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面の無機繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する無機繊維であることができる。
【0023】
無機繊維の平均繊維径は、0.01~10μmであることができ、0.02~5μmであることができ、0.05~3μmであることができ、0.1~1.5μmであることができる。なお、「平均繊維径」とは、繊維を含む測定対象部分を撮影した5000倍の電子顕微鏡写真をもとに測定した、50点の繊維における各繊維径の算術平均値をいう。また、繊維の断面形状が非円形である場合には、断面積と同じ面積の円の直径を繊維径とみなす。
【0024】
なお無機繊維は、その繊維内部や繊維表面に、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒粒子、乳化剤、分散剤、界面活性剤、加熱を受け発泡する粒子、ハイドロキシアパタイトなどの無機粒子、酸化防止剤、親水剤、撥水剤、表面電荷調整剤、タンパク質などの生理活性物質などの添加剤を含んでいてもよい。
【0025】
無機構造体の目付や厚みなどの諸物性は、積層構造体の用途に合わせ適宜調整できる。例えば無機構造体が無機繊維からなるシート状の細胞培養担体である場合、その目付は0.01~100g/mであることができ、0.05~50g/mであることができ、0.1~25g/mであることができる。なお、「目付」とは測定対象物の主面における1mあたりに換算した質量をいう。そして、その厚みは1000μm以下であることができ、500μm以下であることができる。一方、厚みは1μm以上であるのが現実的である。なお、「厚み」とは、定対象物の主面と垂直を成す方向における直進式歯厚マイクロメーター((株)ミツトヨ製、CLM1-15DK 227-221、測定力0.5N)を用いて測定した長さを意味する。
【0026】
また、無機構造体が布帛など空隙を有する場合、その空隙率は70~99%であることができる。この「空隙率」は次の式により得られる値をいう。
P=[1-M/(T×D)]×100
ここで、Mは定対象物の目付(単位:g/m)、Tは定対象物の厚み(単位:mm)、Dは定対象物を構成する各種成分の平均密度(単位:g/cm)を、それぞれ意味する。
【0027】
本発明にかかる積層構造体は、有機構造体と無機構造体とを接着し積層一体化する役割を担う接着層を有している。そして、当該接着層はシランカップリング剤からなる層と無機系化合物の層とを有しており、本発明にかかる積層構造体は、有機構造体‐シランカップリング剤からなる層‐無機系化合物の層‐無機構造体の順に積層一体化していることを特徴とする。
【0028】
本発明でいうシランカップリング剤とは、その分子中に、
・有機構造体に含まれる有機成分と反応し、当該有機成分と結合可能な官能基(例えば、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基、メルカプト基など)、および、
・無機系化合物の前駆体、および/または、前記前駆体を加水分解および/または縮合反応させてなる無機系化合物の層と、反応し結合可能な官能基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基などの加水分解基)、
とを共に備える化合物であって、通常では結び付き難い有機構造体と無機構造体を結ぶ仲介役としての働きを担う化合物である。
【0029】
このようなシランカップリング剤の種類は適宜選択可能であるが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、P-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などといった、シランカップリング剤として活用されている周知の化合物を採用できる。
【0030】
また、シランカップリング剤からなる層とは、シランカップリング剤の有する官能基と有機構造体に含まれる有機成分が反応することで有機構造体の上に形成される、シランカップリング剤由来の層を指す。なお、シランカップリング剤からなる層において、シランカップリング剤同士が加水分解および/または縮合反応により、化学結合していてもよい。
【0031】
本発明でいう無機系化合物とは、前記シランカップリング剤とは別の化合物からなり、かつ、化学構造中に金属元素を含んだ化合物(前述した金属酸化物など)を指す。このような無機系化合物は適宜選択可能であるが、無機構造体が発揮しようとする性能へ無機系化合物が影響を与え難いという効果が発揮されることから、無機系化合物は、無機構造体の無機成分を構成する金属元素と、同一の金属元素を含む化合物であるのが好ましい。
【0032】
また、無機系化合物の層とは、詳細は後述するが、無機系化合物の前駆体を加水分解および/または縮合反応させてなる、無機系化合物の前駆体由来の化合物からなる層を指す。具体的には、無機系化合物の前駆体として金属アルコキシドを含むゾルを用いた場合には、無機系化合物の層は前記ゾルの構成成分が加水分解および/または縮合反応してなるオリゴマーやポリマーの層である。
【0033】
当該無機系化合物の層は、接着層におけるシランカップリング剤からなる層と無機構造体を結ぶ仲介役としての働きを担うことができる。
【0034】
無機系化合物の層は、金属アルコキシド(例えば、エトキシシラン)を含むゾルの構成成分を加水分解および/縮合反応させて形成した層であるのが好ましい。これは、前記ゾルに含まれる金属アルコキシドや当該金属アルコキシド同士が加水分解および/縮合反応してなる化合物は、反応基を多く有するためシランカップリング剤との反応性が高く、有機構造体と無機構造体とが接着層によってより強固に積層一体化された積層構造体を提供できるためである。
【0035】
このように、シランカップリング剤からなる層と無機構造体との間に無機系化合物の層が介在することによって、無機構造体が剥離するという問題が発生し難い積層構造体を実現できる。この理由は完全に明らかにはできていないが、次の効果が発揮されているためだと考えられる。
【0036】
シランカップリング剤はその分子構造中に、有機成分と結合可能な反応基と、無機系化合物の前駆体や無機系化合物の層と反応し結合可能な反応基とを共に備える化合物である。そのため、従来技術のようにシランカップリング剤を用いて有機構造体と無機構造体を積層一体化した場合、有機構造体上に2次元的に配列した状態で存在するシランカップリング剤からなる層によって、無機構造体が有機構造体と積層一体化されるものとなる。
【0037】
このとき、無機構造体の表面に空隙や凹凸が存在していると、2次元的に配列した状態で存在するシランカップリング剤からなる層と無機構造体との間にミクロの隙間が空いた状態となる。つまり、当該隙間は積層一体化に寄与する箇所とならないため、シランカップリング剤からなる層と無機構造体との積層一体化は、弱い状態にあると考えられる。
【0038】
そこで本発明では、シランカップリング剤からなる層と無機構造体との間に、シランカップリング剤とは化学的性質の異なる無機系化合物の層を形成するものである。そのため、上述したミクロの隙間を無機系化合物で埋めた状態にできる。特に、3次元的に分子同士が結合可能な無機系化合物の前駆体(例えば、金属アルコキシド(例えば、エトキシシラン)を含むゾルなど)を採用することによって、当該ミクロの隙間が無機系化合物により効果的に埋められ、無機系化合物の層によるシランカップリング剤からなる層と無機構造体との積層一体化を、より強固にできる。
【0039】
これらの効果が発揮される結果、有機構造体と無機構造体とが強固に積層一体化されて、無機構造体が剥離するという問題が発生し難い積層構造体を実現できると考えられる。
【0040】
積層構造体が本発明にかかる構成を満足するものであるか否かは、以下の方法で確認できる。
1.積層構造体の一方の主面をX線光電子分光(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)等の方法で解析し、当該主面が無機構造体を備えているか確認する。
2.前記主面が無機構造体を備えていた場合、積層構造体から無機構造体を除去する。
3.無機構造体を除去した側の主面を、XPSを用いて解析する。当該主面が無機系化合物を有する場合、当該積層構造体では無機構造体と無機系化合物の層とが積層一体化しているとする。
4.無機構造体を除去した側の主面から無機系化合物の層をイオンエッチング等の方法で除去する。
5.無機系化合物の層を除去した側の主面を、XPSを用いて解析する。当該主面から、シランカップリング剤を構成する元素群のピークが検出される場合、当該積層構造体は無機系化合物の層とシランカップリング剤からなる層とが積層一体化しているとする。
6.無機系化合物の層を除去した側の主面からシランカップリング剤からなる層をイオンエッチング等の方法で除去する。
7.シランカップリング剤からなる層を除去した側の主面を、XPSを用いて解析する。当該主面が有機構造体を有する場合、当該積層構造体はシランカップリング剤からなる層と有機構造体とが積層一体化しているとする。
8.上述の構成を満足する場合、確認へ供した積層構造体は本発明の構成を満足すると判断する。
【0041】
なお、積層構造体の製造工程が判明している場合、その製造方法を確認することで、積層構造体が本発明の構成を満足するものであるか否かを判断できる。
【0042】
本発明にかかる積層構造体の一例として、ポリスチレン製ウェルプレートにおけるウェル内部底面上に、間にシランカップリング剤からなる層‐無機系化合物の層の順をなす接着層を介し、シリカ繊維不織布の細胞培養担体が積層一体化している細胞培養容器などを例示できる。
【0043】
次いで、本発明にかかる積層構造体の製造方法について、例示し説明する。なお、既に説明した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。本発明にかかる積層構造体の製造方法は適宜選択することができるが、一例として、
(1)有機構造体と無機構造体を用意する工程、
(2)前記有機構造体の上にシランカップリング剤を付与する工程、
(3)前記有機構造体と前記シランカップリング剤を反応させ、前記有機構造体の上にシランカップリング剤からなる層を形成する工程、
(4)前記シランカップリング剤からなる層の上に、無機系化合物の前駆体を付与する工程、
(5)前記無機系化合物の前駆体の上に、前記無機構造体を積層して積層体を調製する工程、
(6)前記積層体に含まれる前記無機系化合物の前駆体を加水分解および/または縮合反応させ、無機系化合物の層を形成する工程、
を備える、積層構造体の製造方法を用いることができる。
【0044】
まず、工程(1)について説明する。
有機構造体として、例えばポリスチレン製のウェルプレートなどを採用できる。また、無機構造体として、例えばシリカガラス繊維不織布などの無機繊維不織布を採用できる。
【0045】
次いで、工程(2)および(3)について説明する。
シランカップリング剤は溶媒や分散媒を含んでいても良く、シランカップリング剤溶液やシランカップリング剤分散液の状態で使用できる。なお、溶媒や分散媒の種類は適宜選択できる。また、これらに含まれるシランカップリング剤の質量は適宜調整するが、0.00001~10質量%であることができ、0.0001~5質量%であることができ、0.0005~1質量%であることができる。なお、シランカップリング剤は表面修飾剤にも使用されることから、過剰に使用すると有機構造体や無機構造体に意図しない表面修飾が生じ、積層構造体の性能を損なう原因となることもある。そのため、本発明の目的を達成できる限りは、シランカップリング剤の使用量は少ない方が好ましい。
【0046】
有機構造体とシランカップリング剤を反応させる方法は適宜選択できるが、一例として、加熱処理へ供する方法を挙げることができる。加熱温度は当該反応が好適に行われるよう適宜調整するが、有機構造体などの構成部材に意図しない変化が発生することを防止できるよう調整するのが好ましい。なお、加熱方法は適宜選択でき、例えば、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、ホットプレートどの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射する方法などを用いることができる。
【0047】
そして、工程(4)について説明する。
本発明に係る積層構造体の製造方法では、シランカップリング剤からなる層の上へ無機系化合物の前駆体を付与し、次の工程で説明するように、加熱処理へ供するなどして当該前駆体を加水分解および/または縮合反応させることで、シランカップリング剤からなる層の上へ無機系化合物の層を形成する。このような無機系化合物の前駆体として、無機構造体と同一の金属元素の酸化物を含むゾル溶液を使用できる。
【0048】
無機系化合物の前駆体は溶媒や分散媒を含んでいても良く、当該前駆体溶液や当該前駆体分散液の状態で使用できる。なお、溶媒や分散媒の種類は適宜選択できる。また、これらに含まれる当該前駆体の質量(固形分質量)は適宜調整するが、0.01~50質量%であることができ、0.05~25質量%であることができ、0.1~10質量%であることができる。なお、無機系化合物の層と無機構造体が完全に同一の組成でない場合には、過剰量の無機系化合物の前駆体を使用すると無機構造体に意図しない変質が生じ、無機構造体の性能を損なう原因となることがある。そのため、本発明の目的を達成できる限りは、当該前駆体の使用量は少ない方が好ましい。
【0049】
最後に、工程(6)について説明する。
無機系化合物の前駆体を加水分解および/または縮合反応させる方法は適宜選択できるが、一例として、加熱処理へ供する方法を挙げることができる。加熱温度は、無機系化合物の前駆体を加水分解および/または縮合反応させて無機系化合物の層が形成されるよう適宜調整するが、有機構造体などの構成部材に意図しない変化が発生することを防止できるよう調整するのが好ましい。なお、加熱方法は適宜選択でき、上述した方法などを用いることができる。
【0050】
このようにして調製した積層構造体は、そのまま様々な産業用途へ提供し使用できるが、滅菌処理工程や包装工程などへ供してなる製品の態様で提供してもよい。
【実施例0051】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0052】
(有機構造体の用意)
ポリスチレン製のウェルプレート(Thermo Fisher Scientific社製、142475、24穴、各ウェル内部底面の大きさ:直径15.5mmの円形)を用意した。
【0053】
(無機構造体の用意)
無機構造体として、ガラス繊維不織布である、高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体(日本バイリーン株式会社製、CB-24CT4、直径13mmの円形、平均繊維径:840nm、目付8g/m、厚み:270μm、主成分SiO)を用意した。
【0054】
(シランカップリング剤の用意)
3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製、LS-3150)を、濃度2質量%となるようにエタノール水溶液で希釈した。調製した希釈液を室温条件下で2時間撹拌した後、濃度0.001質量%となるまで希釈液へエタノールを加え混和することで、シランカップリング剤溶液Aを調製した。また、濃度0.005質量%となるまで希釈液へエタノールを加え混和することで、シランカップリング剤溶液Bを調製した。
【0055】
(無機系化合物の前駆体の用意)
テトラエトキシシラン、エタノール、水、2規定の硝酸を、1:7.2:11:0.0033のモル比で混合し、室温条件下で15時間撹拌することでテトラエトキシシランを加水分解させた。その後、固形分(本実施例ではSiO)濃度0.5質量%となるまでエタノールを加え混和することで、ケイ素酸化物を含むゾル溶液Aを調製した。また、濃度1質量%となるまでエタノールを加え混和することで、ケイ素酸化物を含むゾル溶液Bを調製した。
【0056】
(比較例1)
ウェルプレートのうち12ウェルに対し、各ウェル内部底面上に30μLのシランカップリング剤溶液Aを付与した。そして、当該シランカップリング剤溶液が乾燥する前に、その上へ高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体を各々積層した。
その後、50℃雰囲気下へ3時間供することで、当該シランカップリング剤溶液に含まれる3-アミノプロピルトリエトキシシランを反応させると共に、含まれている溶媒を除去した。更に、エタノールあるいは純水を各ウェルに600μL添加して除去する洗浄工程を2回実施した(エタノール洗浄したウェル数:6ウェル、純水洗浄したウェル数:6ウェル)後、50℃雰囲気下へ供することで乾燥し、細胞培養容器を作製した。
【0057】
(比較例2)
ウェルプレートのうち6ウェルに対し、各ウェル内部底面上に12μLのゾル溶液Aを付与した。そして、当該ゾル溶液が乾燥する前に、その上へ高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体を各々積層した。
その後、50℃雰囲気下へ8時間供することで、当該ゾル溶液に含まれるテトラエトキシシランを加水分解および/または縮合反応させると共に、含まれている溶媒を除去した。更に、純水を各ウェルに600μL添加して除去する洗浄工程を2回実施した(純水洗浄したウェル数:6ウェル)後、50℃雰囲気下へ供することで乾燥し、細胞培養容器を作製した。
【0058】
(比較例3)
ウェルプレートのうち6ウェルに対し、各ウェル内部底面上にシランカップリング剤溶液Bとゾル溶液Bを6μlずつ混合してなる混合液12μLを付与した。そして、当該混合液が乾燥する前に、その上へ高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体を各々積層した。
その後、50℃雰囲気下へ8時間供することで、当該混合液に含まれる3-アミノプロピルトリエトキシシランを反応させ、また、当該混合液に含まれるテトラエトキシシランを加水分解および/または縮合反応させると共に、含まれている溶媒を除去した。更に、純水を各ウェルに600μL添加して除去する洗浄工程を2回実施した(純水洗浄したウェル数:6ウェル)後、50℃雰囲気下へ供することで乾燥した。
このようにして、ウェル内部底面上に、3-アミノプロピルトリエトキシシランが反応してなる化合物とテトラエトキシシランが加水分解および/または縮合反応してなる無機系化合物が混合している層を間に介し、高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体が積層一体化してなる、細胞培養容器を作製した。
【0059】
(実施例1)
ウェルプレートのうち6ウェルに対し、各ウェル内部底面上に30μLのシランカップリング剤溶液Aを付与した。
その後、50℃雰囲気下へ3時間供することで、当該シランカップリング剤に含まれる3-アミノプロピルトリエトキシシランを反応させると共に、溶媒を除去した。更に、エタノールを各ウェルに600μL添加して除去する洗浄工程を2回実施した後、50℃雰囲気下へ供することで乾燥した。このようにして、当該ウェルプレートのウェル内部底面上に、3-アミノプロピルトリエトキシシランがポリスチレン製のウェルプレートと反応してなる化合物の層(シランカップリング剤からなる層)を形成した。
次いで、各ウェル内部底面上に形成されたシランカップリング剤からなる層の上に、12μLのゾル溶液Aを付与した。そして、当該ゾル溶液が乾燥する前に、その上へ高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体を各々積層した。
その後、50℃雰囲気下へ8時間供することで、当該ゾル溶液に含まれるテトラエトキシシランを加水分解および/または縮合反応させると共に、含まれている溶媒を除去した。更に、純水を各ウェルに600μL添加して除去する洗浄工程を2回実施した(純水洗浄したウェル数:6ウェル)後、50℃雰囲気下へ供することで乾燥した。
このようにして、ウェル内部底面上に、3-アミノプロピルトリエトキシシランがポリスチレン製のウェルプレートと反応してなる化合物の層(シランカップリング剤からなる層)-テトラエトキシシランが加水分解および/または縮合反応してなる無機系化合物の層を間に介し、高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体が積層一体化してなる、細胞培養容器を作製した。
【0060】
(接着耐久性の確認方法)
作製した各細胞培養容器の各ウェルについて、高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体の剥離が発生しているか否かを確認した。そして、剥離が発生していたウェルの数を「30回ピペッティング前の剥離の発生数」として表1にまとめた。
次いで、作製した各細胞培養容器の各ウェルへ600μLの培地を添加し、350μLに目盛を設定したマイクロピペットで30回ピペッティングを行った。ピペッティングを行った後の各ウェルについて、高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体の剥離が発生しているか否かを確認した。そして、剥離が発生していたウェルの数を「30回ピペッティング後の剥離の発生数」として表1にまとめた。なお、「30回ピペッティング前の剥離の発生数」が6ウェルであったものについては、剥離の有無を確認すべき対象が存在していないため、本ピペッティング処理を行わなかった。
【0061】
結果を表1にまとめた。また、「30回ピペッティング後の剥離の発生数」において、剥離の有無を確認すべき対象が存在していなかったものについては、表中に「-」を記載した。なお、「-」が記載されているものは最も無機構造体が剥離し易い積層構造体であり、それ以外では、剥離の発生数が少ないものほど無機構造体が剥離し難い積層構造体であることを意味する。
【0062】
【表1】
【0063】
以上の結果から、本発明によって、有機構造体と無機構造体とが接着層によって強固に積層一体化している積層構造体を提供できることが判明した。
【0064】
更に、実施例1にかかる細胞培養容器の製造方法を用いて、別途作製した細胞培養容器に対し、細胞毒性試験を実施した。
【0065】
(細胞毒性の確認方法)
本評価では、ポリスチレン製のウェルプレート(Thermo Fisher Scientific社製、161093、96穴、ウェル内部底面の大きさ:直径6.5mmの円形)を用いたこと、無機構造体として、ガラス繊維不織布である高純度シリカ繊維不織布の細胞培養担体(日本バイリーン株式会社製、CB-24CT4、直径13mmの円形)を用意し、レーザー加工機を用いて直径6.15mmの円形に切り出して使用したこと、ウェルプレートの1ウェルに対する接着液や洗浄液の量を、実施例1で採用した6分の1の分量としたこと以外は、実施例1と同様にして細胞培養容器を作製した。そして、これを3プレート作製し、30kGyの電子線を照射して滅菌処理を施した。
このようにして用意した細胞培養容器の細胞毒性を、「日本薬局方 第16改正第二追補7.02プラスチック製医薬品容器試験法」および「薬食機発0301 第20号医療機器の製造販売承認申請などに必要な生物的安全性評価の基本的考え方について」に基づき評価した。
具体的には、細胞培養容器の各ウェルに対し、100μl/ウェルの培地(牛胎児結成5%含有 Eagle’s MEM培地)を分注し、37℃、5%CO雰囲気下で24時間抽出したものを100%試験溶液とし、これを前記培地で段階希釈(25~100%)したものをV79細胞へ暴露してコロニー形成法による細胞毒性試験を実施した。
【0066】
その結果、IC50値を算出するのに十分なコロニー形成阻害は認められなかった。そのため、本発明にかかる細胞培養容器および細胞培養容器の接着層は、細胞毒性を有していないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によって、有機構造体と無機構造体とが接着層によって強固に積層一体化している積層構造体を提供できる。そして、本発明にかかる積層構造体は、細胞培養容器や電子基板など様々な産業用途に使用できる。