(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097970
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】洗濯システム
(51)【国際特許分類】
D06F 34/18 20200101AFI20220624BHJP
D06F 33/52 20200101ALI20220624BHJP
D06F 103/10 20200101ALN20220624BHJP
D06F 103/12 20200101ALN20220624BHJP
D06F 103/20 20200101ALN20220624BHJP
D06F 103/32 20200101ALN20220624BHJP
D06F 103/34 20200101ALN20220624BHJP
D06F 103/38 20200101ALN20220624BHJP
D06F 105/10 20200101ALN20220624BHJP
D06F 105/28 20200101ALN20220624BHJP
D06F 105/38 20200101ALN20220624BHJP
D06F 105/48 20200101ALN20220624BHJP
D06F 105/58 20200101ALN20220624BHJP
D06F 105/52 20200101ALN20220624BHJP
【FI】
D06F34/18
D06F33/52
D06F103:10
D06F103:12
D06F103:20
D06F103:32
D06F103:34
D06F103:38
D06F105:10
D06F105:28
D06F105:38
D06F105:48
D06F105:58
D06F105:52
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211262
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】小倉 隼人
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB34
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3B167AE06
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3B167GB03
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3B167LE07
3B167LF30
3B167LG04
3B167LG11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回転槽に放置された洗濯物の洗濯後の臭いの発生を抑制することができる洗濯システムを提供する。
【解決手段】実施形態の洗濯システムは、洗濯機本体2と、予測部と、制御部と、を持つ。前記洗濯機本体2は、回転槽と、前記回転槽を回転させる洗濯機モータとを有する。前記予測部は、洗濯対象物の汚れに関する検出結果、前記洗濯対象物の布質に関する検出結果、または前記回転槽における前記洗濯対象物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、前記洗濯対象物の臭いの発生に関する状態を予測する。前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態に基づいて、前記洗濯機本体2を制御するまたは所定の提案をユーザに報知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転槽と、前記回転槽を回転させる洗濯機モータとを有した洗濯機本体と、
洗濯対象物の汚れに関する検出結果、前記洗濯対象物の布質に関する検出結果、または前記回転槽における前記洗濯対象物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、前記洗濯対象物の臭いの発生に関する状態を予測する予測部と、
前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態に基づいて、前記洗濯機本体を制御するまたは所定の提案をユーザに報知する制御部と、
を備える洗濯システム。
【請求項2】
前記洗濯機本体は、洗濯中の水の汚れを検出可能な汚れセンサを有し、
前記洗濯対象物の汚れに関する検出結果は、前記汚れセンサにより検出された前記洗濯中の水の汚れに関する検出結果であり、
前記予測部は、前記洗濯中の水の汚れに関する検出結果に基づき、前記洗濯対象物の臭いの発生に関する状態を予測する、
請求項1に記載の洗濯システム。
【請求項3】
前記予測部は、前記汚れセンサにより検出された前記洗濯中の水の汚れの程度に関する検出結果に基づき、前記洗濯対象物の臭いの発生に関する状態を予測する、
請求項2に記載の洗濯システム。
【請求項4】
前記予測部は、前記汚れセンサにより検出された前記洗濯中の水の汚れの種類に関する検出結果に基づき、前記洗濯対象物の臭いの発生に関する状態を予測する、
請求項2または請求項3に記載の洗濯システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定し、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たすと判定した場合、前記洗濯対象物を洗う行程中に前記洗濯対象物を加熱する加熱行程を追加する、または前記加熱行程を追加することの提案を前記ユーザに報知する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定し、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たすと判定した場合、前記洗濯対象物の洗濯行程終了後に乾燥行程を追加する、または前記乾燥行程を追加することの提案を前記ユーザに報知する、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項7】
前記洗濯機本体は、洗剤を自動投入可能である自動投入装置を有し、
前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定し、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たすと判定した場合、前記洗濯対象物に対する1回目の洗い行程および排水行程の終了後に、洗剤の自動投入を含む2回目の洗い行程を追加する、または前記2回目の洗い行程を追加することの提案を前記ユーザに報知する、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項8】
前記洗濯機本体は、循環ポンプを有し、
前記制御部は、前記2回目の洗い行程において、前記循環ポンプを動作させながら前記洗濯機モータの回転により前記回転槽の内壁面に前記洗濯対象物を張り付かせて前記回転槽を回転させる遠心洗い動作を実行する、
請求項7に記載の洗濯システム。
【請求項9】
前記洗濯機本体は、循環ポンプを有し、
前記制御部は、前記2回目の洗い行程において、前記循環ポンプを動作させながら、前記洗濯対象物を揺らすつけおき動作を実行する、
請求項7または請求項8に記載の洗濯システム。
【請求項10】
前記2回目の洗い行程の時間は、前記1回目の洗い行程の時間よりも短い、
請求項7から請求項9の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記2回目の洗い行程で自動投入される洗剤量を、前記1回目の洗い行程における洗剤量よりも少なくする、
請求項7から請求項10の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項12】
前記洗濯機本体は、柔軟剤を自動投入可能である自動投入装置を有し、
前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定し、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たすと判定した場合、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たさない場合と比べて、前記柔軟剤を多く投入する、または前記柔軟剤を多く投入することの提案を前記ユーザに報知する、
請求項1から請求項11の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定し、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たすと判定した場合、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たさない場合と比べて、すすぎ回数を多くする、またはすすぎ回数を多くすることの提案を前記ユーザに報知する、
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定し、前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たすと判定して前記臭いの発生に関する状態が前記所定条件を満たさない場合と比べて前記洗濯機本体の制御を変更する場合、前記洗濯機本体の制御を変更することを前記ユーザに報知する、
請求項1から請求項13の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項15】
前記洗濯機本体は、表示器と、前記回転槽内の温度を検出可能な温度センサと、前記回転槽内の湿度を検出可能な湿度センサとを有し、
前記予測部は、前記洗濯機本体の運転待機中に前記温度センサおよび前記湿度センサにより検出された検出結果に基づき、前記洗濯対象物の臭いの発生に関する状態を予測し、
前記制御部は、前記洗濯機本体の運転待機中に、前記温度センサおよび前記湿度センサが動作中であることを示す表示を前記表示器に表示させる、
請求項1から請求項14の何れか一項に記載の洗濯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機の回転槽は、洗濯物の洗濯籠代わりに使用される場合がある。洗濯機の回転槽は、比較的湿度が高い。そのため、洗濯機に放置された洗濯物は臭いの発生源となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-239806号公報
【特許文献2】特開2018-050721号公報
【特許文献3】特開2005-027689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、回転槽に放置された洗濯物の洗濯後の臭いの発生を抑制することができる洗濯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯システムは、洗濯機本体と、予測部と、制御部と、を持つ。前記洗濯機本体は、回転槽と、前記回転槽を回転させる洗濯機モータとを有する。前記予測部は、洗濯対象物の汚れに関する検出結果、前記洗濯対象物の布質に関する検出結果、または前記回転槽における前記洗濯対象物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、前記洗濯対象物の臭いの発生に関する状態を予測する。前記制御部は、前記予測部が予測した前記臭いの発生に関する状態に基づいて、前記洗濯機本体を制御するまたは所定の提案をユーザに報知する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の洗濯機の構成の一例を示す図。
【
図2】第1実施形態の洗濯機の構成の一部の一例を示す図。
【
図3】第1実施形態の駆動回路の構成の一例を示す図。
【
図4】第1実施形態の制御装置の構成の一例を示す図。
【
図6】第1実施形態の洗濯機の処理フローの一例を示す第1の図。
【
図7】第1実施形態の洗濯機の処理フローの一例を示す第2の図。
【
図8】第1実施形態の洗濯機の処理フローの一例を示す第3の図。
【
図9】第1実施形態の洗濯機の処理フローの一例を示す第4の図。
【
図10】第1実施形態の変形例による洗濯機の処理フローの一部の一例を示す図。
【
図11】第2実施形態の洗濯機の構成の一例を示す図。
【
図12】第2実施形態の洗濯機の構成の一部の一例を示す図。
【
図13】第2実施形態の洗濯機の処理フローの一部の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の洗濯システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。また、「検出」とは、対象の物理量を直接感知する場合に限定されず、対象の物理量に関連する他の物理量を直接または間接的に取得し、取得した他の物理量から対象の物理量を推定したり特定したりする場合も含み得る。また、「取得」とは、対象物(情報を含む)そのものを直接受け取る場合に限定されず、直接受け取った物(情報を含む)を演算や加工などを行うことによって対象物となる場合も含み得る。
【0008】
以下では、いくつかの実施形態について説明する。実施形態の洗濯機は、洗濯籠代わりに使用される回転槽に放置された洗濯物の臭いを度合いを予測し、その度合いに応じて洗濯機を制御することによって、洗濯物の臭いを低減させる洗濯機である。洗濯機は、縦型の洗濯機、ドラム式の洗濯機などである。なお、洗濯機は、二槽式の洗濯機でもよい。
【0009】
<第1実施形態>
(洗濯機の全体構成)
図1は、第1実施形態の洗濯機1の全体構成を示す図である。
図2は、第1実施形態の洗濯機1の一部の構成を示す図である。洗濯機1は、例えば、洗濯機本体2、および制御装置11を備える。洗濯機本体2は、ほぼ矩形箱状をなす。洗濯機本体2内では、円筒状の水槽3(外槽の一例)が後下がりに傾斜した状態で、図示しない弾性支持機構を介して支持される。水槽3内では、衣類(洗濯物)が収容される収容室としての円筒状のドラム4(回転槽の一例)が回転可能に支持される。ドラム4は、前後方向に延び且つ水平からやや後下がりに傾斜した傾斜軸を中心に回転するように構成される。洗濯機1は、洗濯システムの一例である。ドラム4は、洗濯槽の一例である。
【0010】
ドラム4の周壁部及び後壁部には通水、通気用の多数の孔4aが形成される。また、ドラム4の周壁部の内面には、洗濯物撹拌用の図示しない複数個のバッフルが設けられる。詳しく図示はしないが、ドラム4の前面部には、衣類が出し入れされる円形の開口部が設けられる。水槽3の前面部には、前記開口部に連なる投入口3aが形成される。洗濯機本体2の前面には、衣類を出し入れするための出入口2aが形成される。また、洗濯機本体2の前面には、出入口2aを開閉する扉5が設けられる。出入口2aと投入口3aとの間は、ベローズ6を介して連通する。
【0011】
水槽3の後部には、駆動機構を構成する例えばアウタロータ形のブラシレスモータからなるドラムモータ8(洗濯機モータの一例)が配置される。ドラムモータ8の回転軸の先端は、水槽3の背面を貫通して水槽3内に突出し、ドラム4の後部中心部に連結固定される。このような構成により、ドラム4はドラムモータ8により直接的に回転駆動される。このドラム4は、後述する脱水行程や槽洗浄動作時において、正転方向例えば正面から見て時計回り方向に連続回転される。また、洗い行程やすすぎ行程では、ドラム4は、正転と反転とが繰り返される。
【0012】
詳しく図示はしないが、洗濯機本体2内の上部には、給水源としての水道からの水を水槽3内等に給水するための給水機構が設けられる。この給水機構は、周知のように、給水弁9(
図2参照)を備えると共に、洗剤収容部等を有する注水ケースなどを備えて構成される。給水弁9の開放動作により、水道水が、注水ケースを介して水槽3に供給される。なお、
図2に示すように、洗濯機本体2の上面部には、操作パネル10が設けられる。また、例えば、洗濯機本体2内には、洗濯機1の制御を行う制御装置11が設けられる。洗濯機本体2内の上部には、水槽3内の水位を検出するための水位センサ12(
図2参照)が設けられる。
【0013】
図1に示すように、水槽3の背面側の底部には、排水口15が形成される。排水口15には、機内排水ホース16の基端部が接続される。洗濯機本体2の底部を構成する台板13には、前側部に位置してフィルタユニット17が設けられている。詳しく図示はしないが、フィルタユニット17は、円筒状のケース内にリントフィルタを収容して構成される。フィルタユニット17は、その前面開口部にキャップ18が開閉可能に装着される。そのリントフィルタは、洗濯水中のリント(糸くず)を捕獲する機能を有する。洗濯機本体2には、キャップ18の前方に位置して出し入れ用の開口部が設けられる。その開口部は、カバー2bにより開閉可能に塞がれる。
【0014】
フィルタユニット17の上部には、ホース接続口17aが設けられる。このホース接続口17aには、機内排水ホース16の先端部が接続される。また、フィルタユニット17の下部には、排水弁19が接続される。排水弁19の出口側には、排水パイプ20が接続される。排水パイプ20の先端部は、台板13を通って機外に臨み、図示しない機外排水ホースに接続される。これにより、排水弁19が開放動作されると、水槽3内の洗濯水が、フィルタユニット17を通った後、排水パイプ20から排出される。
【0015】
フィルタユニット17の後端部には、循環ポンプ21が設けられる。循環ポンプ21は、フィルタユニット17に臨んで吸入口を有している。循環ポンプ21は、水槽3及びドラム4内の水を排水口15、機内排水ホース16及びフィルタユニット17を介して吸引する。循環ポンプ21の上部には、吐出口21aが設けられる。吐出口21aには、送水ホース22の基端部が接続される。送水ホース22の中間部は、ベローズ6の周側方から上方へ延びる。送水ホース22の先端部は、水槽3の投入口3aの上部に形成された噴水ノズル23に接続される。
【0016】
噴水ノズル23は、洗濯水をドラム4の内下部(詳細には、例えば、正面から見てやや右寄りの下部)に向けて噴射するように構成される。このような構成により、循環ポンプ21が駆動された場合、水槽3内の洗濯水が、排水口15、機内排水ホース16、フィルタユニット17及び送水ホース22を通って、噴水ノズル23からドラム4内にシャワー状に放水される。洗濯水がフィルタユニット17を通過する場合、リントフィルタにより比較的大きなリントが捕獲されるようになる。
【0017】
フィルタユニット17の前方上部には、エアトラップ24が設けられる。詳しく図示はしないが、エアトラップ24と水位センサ12とが、エアチューブ25によって接続される。このような構成により、水位センサ12によって、水槽3内の水位が、機内排水ホース16、フィルタユニット17、エアトラップ24及びエアチューブ25を介して検出される。
【0018】
図1に示すように、水槽3の前部の上部右寄り部位には、空気を排出する排気口27が設けられる。また、水槽3の背面部の上部左寄り部位に乾燥風を供給するための給気口28が設けられる。そして、洗濯機本体2内部には、ドラム4内に乾燥風(温風)を循環供給して衣類の乾燥運転を実行するための温風供給機構29(乾燥装置の一例)が設けられる。
【0019】
一実施形態では、温風供給機構29は、水槽3の外部に位置して、循環風路30を備える。循環風路30の入口は、水槽3の排気口27に接続される。循環風路30の出口は、給気口28に接続される。温風供給機構29は、循環風の除湿及び加熱を行って乾燥風を生成するヒートポンプ31を備える。また、温風供給機構29は、水槽3の排気口27から排出された空気を、循環風路30内を
図1に示す矢印Aの方向に循環させながら給気口28から水槽3およびドラム4内に供給する送風ファン26(
図2参照)を備える。
【0020】
具体的には、循環風路30は、上部ダクト32、後部排気ダクト33、ヒートポンプダクト34、および給気ダクト35を備える。上部ダクト32の前端部は、排気口27に接続される。上部ダクト32の後端部は、後部排気ダクト33の上端部に接続される。なお、上部ダクト32の前端部と排気口27との接続部分は、例えば、ゴム等の可撓性を有する材料を用いて蛇腹状の円筒状に構成される。上部ダクト32内には、乾燥風から糸くずを捕獲するための周知のユニット式のリントフィルタ36が着脱可能に設けられる。
【0021】
なお、上部ダクト32の後部寄り部分の上端部には、上部ダクト32を通った空気(水槽3内の空気)を、循環風路30の外へ排出するための排気口44が設けられる。排気口44は、洗濯機本体2の上面に設けられた外側排気口45に連通している。排気口44部分には、排気ダンパ46が開閉可能に設けられる。排気ダンパ46は、例えば、モータを駆動源として動作され、後述の制御装置11(
図2参照)による制御の下、開閉されるようになる。
【0022】
後部排気ダクト33は、水槽3の後方を下方に延びる。後部排気ダクト33の下端は、ヒートポンプダクト34の基端部に接続される。ヒートポンプダクト34は、洗濯機本体2内の底部後寄り部位を右左方向に延びる。ヒートポンプダクト34の先端側に前記送風ファン26が設けられている。詳しく図示はしないが、送風ファン26のファンケーシングの出口部に、前記給気ダクト35の下端部が接続されている。給気ダクト35は、洗濯機本体2内の左側の水槽3の後方を上方に延び、その先端部(上端部)が前記給気口28に接続されている。
【0023】
後部排気ダクト33は、水槽3の後方を下方に延びる。後部排気ダクト33の下端は、ヒートポンプダクト34の基端部に接続される。ヒートポンプダクト34は、洗濯機本体2内の底部後寄り部位を右左方向に延びる。ヒートポンプダクト34の先端側には、送風ファン26が設けられる。詳しく図示はしないが、送風ファン26のファンケーシングの出口部には、給気ダクト35の下端部が接続される。給気ダクト35は、洗濯機本体2内の左側の水槽3の後方を上方に延びる。給気ダクト35の先端部(上端部)が給気口28に接続される。
【0024】
図1に一部のみ示すように、ヒートポンプダクト34内には、ヒートポンプ(冷凍サイクル)31を構成する蒸発器37および凝縮器が配置される。ヒートポンプ31は、圧縮機38、凝縮器、減圧手段である絞り弁、および蒸発器37を、冷媒配管により閉ループ状に接続して構成される。ヒートポンプ31の内部には、所要量の冷媒が封入される。その冷媒は、冷媒配管を循環する。この場合、凝縮器が乾燥風を加熱する加熱手段として機能する。また、この場合、蒸発器37が乾燥風から湿気を除去する除湿手段として機能する。
【0025】
ヒートポンプ31により乾燥運転が行われる場合、圧縮機38が駆動されることにより、圧縮機38から吐出された気体冷媒は、凝縮器に流入する。そして、気体冷媒は、その凝縮器における熱交換により凝縮され、液体冷媒となる。凝縮器から流出した液体冷媒は、絞り弁によって膨張させて霧状となる。その霧状の冷媒は、蒸発器37に流入される。その冷媒は、蒸発器37において外気と熱交換されることにより気化される。その気化された気体冷媒は、圧縮機38に戻される。そして、圧縮機38において冷媒が圧縮されることにより高温、高圧とされ、圧縮機38から冷媒が吐出される。ヒートポンプ31により乾燥運転が行われる場合、このように冷媒が循環する。
【0026】
また、ヒートポンプ31の駆動と共に、送風ファン26が駆動されることにより、矢印Aで示すように、水槽3(ドラム4)内の空気が、排気口27から上部ダクト32、後部排気ダクト33を通ってヒートポンプダクト34に至る。この場合、空気が上部ダクト32内を通る際に、その空気に含まれるリント(糸くず)がリントフィルタ36によって捕獲される。
【0027】
そして、後部排気ダクト33を通った空気は、ヒートポンプダクト34内を流れて蒸発器37及び凝縮器を順に通った後、給気ダクト35に流れ、給気口28及び孔4aを通ってドラム4内に供給されるという循環が行われる。この空気の循環により、水槽3(ドラム4)内の衣類から湿気を奪って多量の蒸気を含んだ空気が、ヒートポンプダクト34内の蒸発器37部分を通って冷却される。この冷却により、蒸気が凝縮(あるいは昇華)されて除湿され、その除湿空気が凝縮器部分を通ることにより加熱されて乾いた温風となる。この温風が、再びドラム4内に供給され、衣類の乾燥に寄与する。
【0028】
なお、ヒートポンプ31や循環風路30の複数箇所には、冷媒の温度や乾燥風の温度を検出するための複数の温度センサ39(
図2参照)が設けられる。後述する制御装置11は、ヒートポンプ31および送風ファン26を駆動させる制御を行うと共に、ドラムモータ8を制御してドラム4を一方向に回転させることにより、乾燥運転を実行する。この場合、制御装置11は、複数の温度センサ39により検出された温度などに基づき、ヒートポンプ31や送風ファン26を駆動する制御を行う。
【0029】
制御装置11は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータを主体として構成される。制御装置11は、洗濯機1全体を制御して洗濯運転および乾燥運転の各行程を実行する。この場合、制御装置11には、操作パネル10からの操作信号が入力される。また、制御装置11は、操作パネル10の各表示部の表示を制御する。操作パネル10は、表示器の一例である。また、制御装置11には、水位センサ12および複数の温度センサ39により検出された結果を示す検出信号が入力される。
【0030】
また、制御装置11には、ドラムモータ8に流れる電流を検出する電流センサ40が接続される。電流センサ40は、例えば、後述する抵抗回路Rsのシャント抵抗によって実現される。そして、制御装置11には、電流センサ40が検出した電流値を示す電流検出信号が入力される。この場合、制御装置11は、洗濯運転の開始時に、ドラム4を短時間回転させる布量検知動作(重量センシング)を実行する。このとき、制御装置11は、電流センサ40から入力された電流検出信号が示す検出電流値(すなわち、トルクに寄与するq軸電流値)に基づいて、水分を含まない状態のドラム4内の衣類の布量(すなわち、給水前の衣類の重量)を判定する。
【0031】
また、洗濯機本体2には、洗濯機本体2の周囲温度、すなわち洗濯機本体2の設置場所の室温を検出する室温センサ41が設けられる。また、洗濯機本体2には、洗濯運転時に水槽3内に給水された水の水温を検出する水温センサ42が設けられる。室温センサ41および水温センサ42のそれぞれは、例えば、サーミスタを含み、サーミスタの抵抗値の変化を温度に換算することによって実現される。室温センサ41および水温センサ42による検出結果は、検出信号として制御装置11に入力される。室温センサ41は、
図1に示すように、台板13部分に取付けられる。また、水温センサ42は、
図1に示すように、排水口15の出口側に設けられる。
【0032】
また、制御装置11は、ドラムモータ8を駆動させる制御を行うと共に、循環ポンプ21を制御する。また、制御装置11は、給水弁9、排水弁19の開閉を制御する。また、制御装置11は、ヒートポンプ31、送風ファン26、排気ダンパ46を制御する。上述の構成により、制御装置11は、ユーザによる操作パネル10に対する洗濯コースを設定する操作等に応じて、各センサから入力された入力信号および予め記録された制御プログラムに基づいて、洗濯機本体2の各機構を制御する。制御装置11は、このような制御を行うことにより、例えば、周知の洗い、すすぎ、脱水などの各行程からなる洗濯運転、更には乾燥運転を実行する。
【0033】
例えば、ユーザが操作パネル10を介して洗濯運転後に引続き乾燥運転を行うコースを選択した場合、制御装置11は、そのソフトウェア構成(制御プログラムの実行)により、乾燥運転の制御を行う。すなわち、制御装置11は、例えば、室温センサ41が検出した室温、水温センサ42が検出した水温、または天気予報が示す温度のいずれか1つの温度に応じて、乾燥運転の実行時間を設定する。なお、室温センサ41が検出した室温、水温センサ42が検出した水温、および天気予報が示す温度のうち複数の温度を入手可能である場合、制御装置11は、そのうちの1つの温度に基づいて、乾燥運転の実行時間を暫定的に初期設定し、残りの温度を用いて初期設定された実行時間を補正するものであってもよい。また、後述する温度取得装置20aを備える場合には、制御装置11は、例えば、温度取得装置20aが取得した温度、室温センサ41が検出した室温、水温センサ42が検出した水温、または天気予報が示す温度のいずれか1つの温度に応じて、乾燥運転の実行時間を設定するものであってもよい。また、温度取得装置20aが取得した温度、室温センサ41が検出した室温、水温センサ42が検出した水温、および天気予報が示す温度のうち複数の温度を入手可能である場合、制御装置11は、そのうちの1つの温度に基づいて、乾燥運転の実行時間を暫定的に初期設定し、残りの温度を用いて初期設定された実行時間を補正するものであってもよい。
【0034】
自動投入装置7(
図2参照)は、例えば、洗濯機本体2内に配置されて、ドラム4の上方に位置する。給水経路の途中には自動投入装置7からの洗濯処理剤を供給する供給部が設けられている。つまり、洗濯処理剤は、自動投入装置7から供給部を介して給水経路を通りドラム4内に供給される。洗濯処理剤とは、洗濯時に衣類を処理する処理剤を広く意味する。洗濯処理剤の例としては、洗剤、柔軟剤、漂白剤などが挙げられる。なお、洗濯処理剤は、液体に限らず、粉末であっても良い。
【0035】
操作パネル10は、例えば、
図1に示すように、洗濯機本体2の外部の上面に設けられる。操作パネル10は、表示部10aおよび操作入力部10bを備える。例えば、表示部10aおよび操作入力部10bは、ユーザが押下可能なボタンとディスプレイ装置とを備えたパネル、またはユーザが操作可能なタッチパネルなどである。ユーザは、操作パネル10を操作することによって、洗濯の運転コースの選択や運転開始の操作を行うことができる。洗濯の運転コースの例としては、標準コース、スピーディコース、おしゃれ着コース(丁寧洗いコース)、部屋干しコース、がんこ汚れコースなどが挙げられる。洗濯の運転コースごとに、洗い時にドラム4に注水される水の量、すすぎ時のドラム4における水流、洗濯行程の内容が異なる。また、操作パネル10には、洗濯行程や運転終了までの残り時間、設定水位などが表示される。
【0036】
回転検出装置51(
図2参照)は、ドラムモータ8の回転数を検出する。回転検出装置51は、例えば、磁気センサ(例えば、ホール素子、ホールIC(Integrated Circuit))などの位置センサである。回転検出装置51が磁気センサである場合、3つの磁気センサの出力から現在のロータの位置が推定され、その位置に応じてドラムモータ8の回転が制御される。洗濯におけるドラムモータ8の回転数は、負荷、すなわち洗濯物の布質に応じて変化する。すなわち、ドラムモータ8の回転数によって布質を判定することが可能となる。なお、回転検出装置51は、後述する駆動回路220に流れる電流、すなわち、ドラムモータ8を回転させる電流の値から、ドラムモータ8の回転数を推定するものであってもよい。
【0037】
洗濯機1は、汚れセンサ52(
図2参照)を備える。汚れセンサ52は、洗濯中の水の汚れを検出する。例えば、汚れセンサ52は、洗濯中の水の電気伝導度を測定する。なお、この電気伝導度は水の汚れの程度に応じて変化する。また、予め、洗濯や洗濯を模した実験などにより、皮脂が含まれた水について、電気伝導度と単位水量当たりの皮脂量との対応関係を特定し、記憶しておく。そして、実際の洗濯中に汚れセンサ52により電気伝導度を測定する。測定した電気伝導度に相当する電気伝導度を記憶している対応関係において特定し、特定した電気伝導度と関連付けられている単位水量当たりの皮脂量を特定する。特定した単位水量当たりの皮脂量に洗濯における給水量を乗算することにより、その洗濯における皮脂量(皮脂による汚れの程度の一例)を特定することができる。
【0038】
また、例えば、汚れセンサ52は、発光部と受光部とを備え、発光部から洗濯中の水に光を照射し、その光の透過光を受光部で測定する。発光部から水に照射された光の強度と受光部で受光した光の強度とから洗濯中の水における光の透過率を特定することができる。なお、受光部で受光した光の強度は水の汚れの程度に応じて変化する。よって、予め、洗濯や洗濯を模した実験などにより、透過率と単位水量当たりの皮脂量や泥量との対応関係を特定し、記憶しておく。実際の洗濯において汚れセンサ52により透過率を特定し、特定した透過率に相当する透過率を記憶している対応関係において特定し、特定した透過率に関連付けられている単位水量当たりの皮脂量や泥量を特定する。そして、特定した単位水量当たりの皮脂量や泥量に洗濯における給水量を乗算することにより、その洗濯における皮脂量(皮脂による汚れの程度の一例)や泥量(泥による汚れの程度の一例)を特定することができる。なお、洗濯中の水の濁りは、洗い行程の初期では泥汚れによるものが支配的である。また、洗い行程が進むにつれて皮脂汚れにより水が白濁する。つまり、泥は皮脂に比べて早期に水に溶ける性質を有する。そのため、汚れセンサ52が測定する水の透過光から皮脂や泥による汚れの程度を特定する場合、洗い行程の初期に泥量を特定することができ、洗い行程が進んでから皮脂量を特定することができるようになる。
【0039】
駆動回路220は、制御装置11による制御に応じた電流を、ドラムモータ8に供給する。
図3は、駆動回路220の構成の一例を示す図である。駆動回路220は、例えば、
図3に示す回路である。駆動回路220は、インダクタL、整流回路220a、リップル除去回路220b、インバータ220c、電流検出回路Rsを備える。
【0040】
インダクタLは、駆動回路220に流れる電流を制限する。整流回路220aは、商用交流電圧から直流電圧を生成する。整流回路220aは、例えば、4つのダイオードから成るブリッジ回路である。リップル除去回路220bは、整流後の直流電圧におけるリップルを低減させる。リップル除去回路220bは、例えば、キャパシタである。このリップル除去回路220bにより、整流回路220aが出力する電圧の振幅変動が小さくなる。整流回路220aが出力する電圧はインバータ220cに入力される。
【0041】
インバータ220cは、入力される直流電圧からドラムモータ8を駆動する交流電圧を生成する。例えば、インバータ220cは、
図3に示すように、6つのスイッチング素子によって構成されるブリッジ回路である。ブリッジ回路は、電源側のスイッチング素子とグラウンド側のスイッチング素子とが対を成し、3対のスイッチング素子を備える。スイッチング素子としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子が挙げられる。
【0042】
抵抗回路Rsは、3つのシャント抵抗を備える。各シャント抵抗は、ドラムモータ8の3つの相のそれぞれに対応した電流が流れる経路に設けられる。各シャント抵抗は、それらの経路に流れる電流を検出するためのものである。各シャント抵抗の両端間の電圧をそのシャント抵抗の抵抗値で除算することによって3つの相それぞれに流れる電流を特定することができる。スイッチング素子がIGBTである場合、グラウンド側のIGBTのエミッタ端子とグラウンド端子との間に抵抗回路Rsの各シャント抵抗が設けられる。グラウンド側のIGBTがオン状態の間、ドラムモータ8の巻線に流れる電流と同じ大きさの電流が発生する。そのため、各シャント抵抗には正の電圧と負の電圧とが発生する。
【0043】
制御装置11は、さらに、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。洗濯物の臭いの発生に関する状態とは、例えば、洗濯物の臭いの発生の程度でもよく、洗濯物の臭いの発生の可能性であってもよい。そして、制御装置11は、予測した臭いの発生に関する状態に基づいて、洗濯機本体2を制御するまたは所定の提案をユーザに報知する。
図4は、制御装置11の構成を示すブロック図である。制御装置11は、例えば、受付部201、検出部202、予測部203、制御部204、および記憶部205を備える。制御装置11は、例えば、ドラムモータ8、操作パネル10、水位センサ12、回転検出装置51、駆動回路220、および汚れセンサ52から受ける情報に基づいて、排水弁19、自動投入装置7、給水弁9、駆動回路220、循環ポンプ21、およびヒータ50を制御する。
【0044】
制御装置11が備える受付部201、検出部202、予測部203、および制御部204のそれぞれは、例えば、制御装置11に搭載されたCPU(Central Processing Unit)のようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、上記機能部の一部またはすべては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0045】
受付部201は、ユーザの操作を受け付ける。例えば、受付部201は、ユーザが操作パネル10に対して行う操作に応じた信号を生成する。受付部201が生成する信号は、例えば、ユーザが選択した洗濯運転コースを示す信号である。
【0046】
検出部202は、ドラム4の状態を検知する。具体的には、検出部202は、駆動回路220の抵抗回路Rsに流れる電流の値の変化から、ドラムモータ8の回転数の変化を推定する。
【0047】
また、検出部202は、洗濯状態を検出する。洗濯状態の例としては、洗濯の運転コース、洗濯物の重量、洗濯物の布質などが挙げられる。
【0048】
例えば、検出部202は、受付部201が生成した信号が示す運転コースを特定することによって、洗濯の運転コースを検出する。また、検出部202は、後述する第1検出動作において、ドラム4の回転駆動の加速時に得られる駆動回路220の抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値またはドラムモータ8の回転数の変化の少なくとも一方に基づいて、洗濯物の重量を検出する。ドラム4の回転駆動の加速時に得られる抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値およびドラムモータ8の回転数の変化は、洗濯物の重量と相関関係があるため、この検出が可能である。また、検出部202は、抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値の変化、または、給水量と水位センサ12が示す水位(すなわち、水量)との差の少なくとも一方に基づいて、洗濯物の布質を検出する。例えば、検出部202は、抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値の変化が大きい場合、水分を吸収しやすい布質(例えば、天然素材)であり、その電流値が小さい場合、水分を吸収し難い布質(例えば、化学繊維)であると判定する。また、検出部202は、給水量と水位センサ12が示す水位との差がしきい値よりも大きい場合、水分を吸収しやすい布質(例えば、天然素材)であり、その差がしきい値よりも小さい場合、水分を吸収し難い布質(例えば、化学繊維)であると判定する。なお、実際の洗濯では化学繊維でできた洗濯物と天然素材でできた洗濯物とが混在する場合があるが、検出部202は、洗濯物において支配的であると判定した化学繊維または天然素材の何れか一方と判定する。
【0049】
また、検出部202は、洗濯物の汚れ量を検出する。この検出された洗濯物の汚れ量は、洗濯対象物の汚れに関する検出結果の一例である。例えば、検出部202は、実際の洗濯中に汚れセンサ52により測定した電気伝導度に相当する電気伝導度を記憶している対応関係において特定する。検出部202は、特定した電気伝導度と関連付けられている単位水量当たりの皮脂量を特定する。そして、検出部202は、特定した単位水量当たりの皮脂量に洗濯における給水量を乗算することにより、その洗濯における皮脂量を特定すればよい。このように、検出部202は、皮脂による洗濯物の汚れ量を特定することができる。また、例えば、検出部202は、発光部と受光部とを備える汚れセンサ52により実際の洗濯中の水に照射された光の強度と受光した光の強度とを用いて洗濯中の水における光の透過率を特定する。検出部202は、特定した透過率に相当する透過率を記憶している対応関係において特定する。検出部202は、特定した透過率に関連付けられている単位水量当たりの皮脂量や泥量を特定する。そして、検出部202は、特定した単位水量当たりの皮脂量や泥量に洗濯における給水量を乗算することにより、その洗濯における皮脂量(皮脂による汚れの程度の一例)や泥量(泥による汚れの程度の一例)を特定すればよい。このように、検出部202は、皮脂や泥による洗濯物の汚れ量を特定することができる。なお、泥は皮脂に比べて早期に水に溶ける性質を有する。そのため、検出部202は、洗い行程の初期に泥量を特定し、洗い行程が進んでから皮脂量を特定することにより、泥量と皮脂量をより正確に特定することができる。
【0050】
予測部203は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。洗濯物の汚れに関する検出結果の例としては、汚れセンサ52により検出された洗濯中の水の汚れに基づいて特定された皮脂量、泥量などが挙げられる。洗濯物の布質に関する検出結果の例としては、洗濯物が化学繊維でできているか、天然素材(例えば、綿、麻、絹など)でできているかなどが挙げられる。また、放置時間の例としては、洗濯の終了後に洗濯物を検出してから次の洗濯の開始までの時間などが挙げられる。
【0051】
汚れセンサ52により洗濯中の水の汚れが検出された場合、予測部203は、その汚れセンサ52による洗濯中の水の汚れに関する検出結果に基づき、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。例えば、予測部203は、汚れセンサ52により検出された洗濯中の水の汚れの程度に関する検出結果に基づき、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。また、例えば、予測部203は、汚れセンサ52により検出された洗濯中の水の汚れの種類に関する検出結果に基づき、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。ヒータ50は、洗濯に使用される水を加熱する。
【0052】
洗濯物が化学繊維でできているか、天然素材(例えば、綿、麻、絹など)でできているかは、例えば、検出部202が水分を吸収しやすい布質と判定した場合に化学繊維の布質を検出したものとし、水分を吸収し難い布質と判定した場合に天然素材の布質を検出したものとすればよい。
【0053】
予測部203は、例えば、機械学習の1つである、教師データを用いてパラメータを決定した学習済みモデルを用いることにより、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測することができる。学習済みモデルの詳細については、後述する。
【0054】
制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態に基づいて、洗濯機本体2を制御するまたは所定の提案をユーザに報知する。
【0055】
例えば、制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定する。そして、制御部204は、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすと判定した場合、洗濯物を洗う行程中に、例えば、ヒータ50により加熱された水により洗濯物を加熱する加熱行程を追加する、またはその加熱行程を追加することの提案をユーザに報知する。なお、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いがあると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。
【0056】
また、例えば、制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定する。そして、制御部204は、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすと判定した場合、洗濯物の洗濯行程終了後に乾燥行程を追加する、またはその乾燥行程を追加することの提案をユーザに報知する。なお、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いがあると判定し、かつユーザが選択した洗濯運転コースに乾燥行程が含まれていると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。
【0057】
また、例えば、制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定する。制御部204は、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすと判定した場合、洗濯物に対する1回目の洗い行程および排水行程の終了後に、自動投入装置7による洗剤の自動投入を含む2回目の洗い行程を追加する、またはその2回目の洗い行程を追加することの提案をユーザに報知する。なお、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いはないが後に臭いが発生する可能性があると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがある、または臭いがなく匂うが発生する可能性もないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。なお、この2回目の洗い行程の時間は、1回目の洗い行程の時間よりも短いものであってもよい。制御部204が洗い行程の時間を短くすることにより、洗い行程における泡の発生を抑制することができる。
【0058】
また、制御部204は、その2回目の洗い行程において、循環ポンプ21を動作させながらドラムモータ8の回転によりドラム4の内壁面に洗濯物を張り付かせてドラム4を回転させる遠心洗い動作を実行する。制御部204が循環ポンプ21とドラムモータ8とをこのように制御することにより、洗剤を投入した場合に洗濯物にその洗剤を効率的に付着させることができる。
【0059】
また、制御部204は、その2回目の洗い行程において、循環ポンプ21を動作させながら洗濯物を揺らすつけおき動作を実行する。制御部204が循環ポンプ21とドラムモータ8とをこのように制御することにより、洗い行程における泡の発生を抑制することができる。
【0060】
また、制御部204は、その2回目の洗い行程において、自動投入装置7によって自動投入される洗剤量を、1回目の洗い行程において自動投入装置7によって自動投入される洗剤量よりも少なくする。制御部204が自動投入装置7をこのように制御することにより、洗い行程における泡の発生を抑制することができる。
【0061】
また、例えば、制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定する。そして、制御部204は、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすと判定した場合、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たさない場合と比べて、柔軟剤を多く投入する、またはその柔軟剤を多く投入することの提案をユーザに報知する。なお、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いがあると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。また、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いはないが後に臭いが発生する可能性があると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがある、または臭いがなく匂うが発生する可能性もないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。
【0062】
また、例えば、制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定する。そして、制御部204は、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすと判定した場合、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たさない場合と比べて、すすぎ回数を多くする、またはそのすすぎ回数を多くすることの提案をユーザに報知する。なお、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いあると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。また、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いはないが臭いが後に発生する可能性があると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがある、または、臭いがなく臭いが発生する可能性もないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。
【0063】
また、例えば、制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かを判定する。そして、制御部204は、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすと判定して臭いの発生に関する状態が所定条件を満たさない場合と比べて洗濯機本体2の制御を変更する場合、洗濯機本体2の制御を変更することをユーザに報知する。なお、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いあると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。また、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いはないが臭いが後に発生する可能性があると判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがある、または、臭いがなく臭いが発生する可能性もないと判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。また、この場合の予測部203が予測した臭いの発生に関する状態が所定条件を満たすか否かの制御部204による判定は、例えば、予測部203が臭いがなく臭いが発生する可能性もないと判定した場合に所定条件を満たすと判定し、予測部203が臭いがある、または、臭いはないが後に臭いが発生する可能性があると判定した場合に所定条件を満たさないと判定する判定である。
【0064】
また、制御部204は、ドラム4に収容された洗濯物の重量を検出するための第1検出動作を行う。例えば、制御部204は、洗濯または乾燥を開始する前(例えば、洗濯機1内に給水する前であり、例えば洗濯機1の動作開始ボタンが押下された直後)に、第1検出動作を行う。第1検出動作は、比較的大きな加速度および比較的大きな減速度でドラム4を回転駆動させる動作であり、定速回転を含まない。
【0065】
また、制御部204は、洗濯状態に対する標準の制御パラメータに基づいて、排水弁19、給水弁9を制御するとともに、駆動回路220を制御することによりドラムモータ8を制御する。これにより、制御部204は、ユーザによって指定された洗濯の運転コースに応じた、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯機1の洗濯運転を実行する。また、制御部204は、ヒータ50を制御することにより洗濯水を加熱する加熱行程を含む洗濯機1の洗濯運転を実施することができる。また、制御部204は、送風ファン26やヒートポンプ31を含む温風供給機構29を制御することにより乾燥行程を含む洗濯機1の洗濯運転を実施することができる。
【0066】
記憶部205は、制御装置11が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶部205は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間、洗濯の運転コース、洗濯物の重量、洗濯物の布質などを記憶する。
【0067】
(学習済みモデル)
ここで、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するために予測部203が用いる学習済みモデルについて説明する。なお、予測部203は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものである。ここでは、予測部203は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、およびドラム4における洗濯物の放置時間のすべてに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する場合の学習済みモデルについて説明する。洗濯物の汚れに関する検出結果としては、皮脂量と、泥量とを用いるものとする。洗濯物の布質に関する検出結果としては、化学繊維と、天然素材とを用いるものとする。放置時間として、洗濯の終了から次の洗濯の開始までの時間を用いるものとする。また、洗濯物の臭いの発生に関する状態としては、臭いがある、臭いはない後に臭いが発生する可能性がある、臭いがない、の3つを用いるものとする。また、学習モデルは、入力層と、中間層と、出力層とを有するニューラルネットワークであるものとする。
【0068】
この場合、洗濯物の皮脂量を示すデータと、洗濯物の泥量を示すデータと、化学繊維または天然素材の一方を示すデータと、放置時間を示すデータとを組み合わせた1組のデータが入力データの1つとなる。また、その組み合わせに対する洗濯物の臭いの発生に関する状態(すなわち、臭いがある、臭いはない後に臭いが発生する可能性がある、臭いがない、の何れか1つ)が出力データの1つとなる。そして、入力データとその入力データに対応する出力データとの組み合わせが教師データの1つとなる。例えば、洗濯機1の出荷前に、過去の洗濯の実績や洗濯の実験などを行うことにより、洗濯物の皮脂量を示すデータと、洗濯物の泥量を示すデータと、化学繊維または天然素材の一方を示すデータと、放置時間を示すデータとの様々な値の組み合わせの入力データのそれぞれについて、出力データ(すなわち、臭いがある、臭いはない後に臭いが発生する可能性がある、臭いがない、の何れか1つ)を特定する。このことにより、入力データと出力データとを組み合わせた複数のデータから成る教師データを用意することができる。なお、教師データとは、パラメータの値が決定されていない学習モデルにおいて、パラメータの値を決定するために使用されるデータである。
【0069】
図5は、教師データの一例を示す図である。洗濯物の皮脂量を示すデータと、洗濯物の泥量を示すデータと、化学繊維または天然素材の一方を示すデータと、放置時間を示すデータとを組み合わせた入力データと、その入力データに対する出力データ(臭いがある、臭いはない後に臭いが発生する可能性がある、臭いがない、の何れか1つ)とが1組のデータとなる。
図5に示す例では、教師データは、10000組のデータを含む。
【0070】
例えば、
図5に示す10000組のデータから成る教師データを用いて学習モデルにおけるパラメータを決定する場合を考える。この場合、教師データは、例えば、訓練データと、評価データと、テストデータとに分けられる。訓練データと、評価データと、テストデータとの割合の例としては、70%、15%、15%や95%、2.5%、2.5%などが挙げられる。例えば、データ#1~#10000の教師データが、訓練データとしてデータ#1~#7000、評価データとしてデータ#7001~#8500、テストデータ15%としてデータ#8501~#10000に分けられたとする。この場合、訓練データであるデータ#1を学習モデルであるニューラルネットワークに入力する。ニューラルネットワークは、洗濯物の臭いの発生に関する状態(すなわち、臭いがある、臭いはないが後に臭いが発生する可能性がある、臭いがない、の何れか1つ)を出力する。訓練データの入力データがニューラルネットワークに入力され、洗濯物の臭いの発生に関する状態がニューラルネットワークから出力される度に(この場合、データ#1~#7000のそれぞれのデータがニューラルネットワークに入力される度に)、その出力に応じて例えばバックプロパゲーションを行うことにより、ノード間のデータの結合の重み付けを示すパラメータを変更する(すなわち、ニューラルネットワークのモデルを変更する)。このように、訓練データをニューラルネットワークに入力してパラメータを調整する。
【0071】
次に、訓練データによってパラメータが変更されたニューラルネットワークに、評価データの入力データ(データ#7001~#8500)を順に入力する。ニューラルネットワークは、入力された評価データに応じた洗濯物の臭いの発生に関する状態を出力する。ここで、ニューラルネットワークが出力するデータが、
図5において入力データに関連付けられている出力データと異なる場合、ニューラルネットワークの出力が
図5において入力データに関連付けられている出力データとなるようにパラメータを変更する。このように、パラメータが決定されたニューラルネットワーク(すなわち、学習モデル)が、学習済みモデルである。
【0072】
次に、最終確認として、学習済みモデルのニューラルネットワークに、テストデータ(データ#8501~#10000)の入力データを順に入力する。学習済みモデルのニューラルネットワークは、入力されたテストデータに応じた洗濯物の臭いの発生に関する状態を出力する。すべてのテストデータに対して、学習済みモデルのニューラルネットワークが出力する洗濯物の臭いの発生に関する状態が、
図5において入力データに関連付けられている洗濯物の臭いの発生に関する状態と一致する場合、学習済みモデルのニューラルネットワークが所望のモデルである。また、テストデータのうちの1つでも、学習済みモデルのニューラルネットワークが出力する洗濯物の臭いの発生に関する状態が、
図5において入力データに関連付けられている洗濯物の臭いの発生に関する状態と一致しない場合、新たな教師データを用いて学習モデルのパラメータを決定する。上述の学習モデルのパラメータの決定は、所望のパラメータを有する学習済みモデルが得られるまで繰り返される。所望のパラメータを有する学習済みモデルが得られた場合、その学習済みモデルが記憶部205に記録される。
【0073】
(洗濯機が行う処理)
次に、第1実施形態の洗濯機1が行う処理について説明する。
図6~
図9は、第1実施形態の洗濯機1の処理フローの一例を示す図である。ここでは、
図6~
図9を参照して洗濯機1の処理を説明する。
【0074】
洗濯機1は、洗濯の運転を終了する(ステップS1)。これ以降、ユーザは、洗濯機1のドラム4を洗濯籠代わりに使用する。つまり、これ以降、ドラム4に洗濯物が入れられる。洗濯の運転が終了して以降、制御部204は、ドラム4に収容された洗濯物の重量を検出するための第1検出動作を行う。第1検出動作は、比較的大きな加速度および比較的大きな減速度でドラム4を回転駆動させる動作であり、定速回転を含まない動作である。制御部204が行う第1検出動作は、所定のタイミングに行われる。例えば、第1検出動作は、ステップS1の洗濯の運転が終了して以降、洗濯物が検出されるまで、一定時間間隔で行われるものであってよい。また、例えば、第1検出動作は、ステップS1の洗濯の運転が終了して以降、洗濯物が検出されるまで、ユーザが設定する時刻に行われるものであってもよい。なお、ユーザが設定する時刻の例としては、着替えが行われ、脱いだ衣類が洗濯物としてドラム4に投入されると予想されるお風呂上がりの時刻や就寝開始時刻などが挙げられる。制御部204がこの動作を行うとき、検出部202は、第1検出動作において、洗濯物の重量を検出する(ステップS2)。この検出は、ドラム4の回転駆動の加速時に得られる抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値またはドラムモータ8の回転数の変化の少なくとも一方に基づいて行えばよい。
【0075】
検出部202は、洗濯物の重量の検出結果に基づいて、洗濯物があるか否かを判定する(ステップS3)。検出部202は、洗濯物の重量の検出結果が0であることを示す、すなわち洗濯物がないことを示す場合(ステップS3においてNO)、ステップS2の処理に戻す。また、検出部202は、洗濯物の重量の検出結果が0でないことを示す、すなわち洗濯物があることを示す場合(ステップS3においてYES)、ユーザが洗濯を開始する操作を行うまでの間、洗濯物を検出してからの経過時間(放置時間の一例)を測定する(ステップS4)。
【0076】
その後、ユーザが洗濯を行うために、操作パネル10に対して操作を行う。受付部201は、ユーザが操作パネル10に対して行う操作に応じた信号を生成する。例えば、ユーザが洗濯を開始するために複数の運転コースの中から1つの運転コースを設定する操作を操作パネル10に対して行う。受付部201は、ユーザが選択した運転コースを示す信号を生成する。洗濯機1は、受付部201が生成した信号に応じて洗濯運転を開始する(ステップS5)。
【0077】
制御部204は、受付部201が生成した信号に応じて、経過時間の測定を終了する。また、制御部204は、受付部201が生成した信号に応じて、第1検出動作を行う。検出部202は、第1検出動作において、洗濯物の重量を検出する(ステップS6)。制御部204は、検出した重量の洗濯物について、受付部201が生成した信号が示す洗濯の運転コースに応じた洗い行程を行うように、動作を決定する(ステップS7)。制御部204は、決定した動作に応じて、排水弁19、給水弁9を制御するとともに、駆動回路220を制御することによりドラムモータ8を制御する。この洗い行程では、洗濯機1をユーザが選択した運転コースで制御するための制御パラメータを用いて、制御部204が自動投入装置7を制御することにより、自動投入装置7は、ステップS6の処理において検出された洗濯物の重量に応じた量の洗剤を給水経路を介いてドラム4に投入する(ステップS8)。また、制御部204が給水弁9を制御することにより、ステップS6の処理において検出された洗濯物の重量に応じた量の水がドラム4内に供給される(ステップS9)。そして、制御部204がドラムモータ8(つまりは、ドラム4)を正転および反転させることにより、洗い動作が行われる(ステップS10)。
【0078】
このとき、検出部202は、洗濯物の汚れ量および洗濯物の布質を検出する(ステップS11)。例えば、上述したように、検出部202は、汚れセンサ52により測定した電気伝導度または光の強度に基づいて、皮脂量を特定すればよい。また、例えば、上述したように、検出部202は、汚れセンサ52により測定した光の強度に基づいて、泥量を測定すればよい。また、例えば、検出部202は、ドラムモータ8の回転数によって布質を判定する。なお、検出部202は、ステップS9の処理における給水時に、給水量と水位センサ12が示す水位(すなわち、水量)との差に基づいて、洗濯物の布質を検出するものであってもよい。
【0079】
予測部203は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。例えば、予測部203は、上述したように、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間の少なくとも1つを入力データとし、洗濯物の臭いの発生に関する状態を出力データとする教師データに基づいてパラメータが決定された学習済みモデルを用いて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する(ステップS12)。
【0080】
具体的には、予測部203には、皮脂量、泥量、布質、放置時間を示すデータが入力される。予測部203は、入力された皮脂量、泥量、布質、放置時間を示すデータを学習済みモデルに入力する。学習済みモデルは、入力されたデータに応じて、臭いがある(
図6におけるAに相当)、臭いはないが後に臭いが発生する可能性がある(
図6におけるBに相当)、臭いがなく臭いが発生する可能性もない(
図6におけるCに相当)の3つから1つを洗濯物の臭いの発生に関する状態として出力する。
【0081】
予測部203が臭いがあると判定した場合(
図6におけるAに相当)、制御部204は、洗濯物を洗う行程中である次の行程として、洗濯物を加熱する加熱行程を追加する、またはその加熱行程を追加することの提案をユーザに報知する(ステップS13)。なお、洗濯物の加熱は、例えば、ヒータ50により加熱された水を用いて行えばよい。
【0082】
制御部204は、洗濯物を洗う行程中である次の行程として、予測部203が臭いがないと判定した場合のすすぎ回数に対してすすぎ回数を1回追加する、または投入する柔軟剤を増量するように自動投入装置7を制御する(ステップS14)。制御部204は、駆動回路220を制御してドラムモータ8の回転を制御することにより、ドラム4を回転させることで洗濯物を脱水させる(ステップS14a)。
【0083】
制御部204は、ユーザが設定した洗濯運転コースが洗濯物を乾燥させる乾燥運転を含むか否かを判定する(ステップS15)。制御部204は、ユーザが設定した洗濯運転コースが乾燥運転を含むと判定した場合(ステップS15においてYES)、乾燥運転の制御を行う(ステップS16)。そして、制御部204は、処理を終了する。また、制御部204は、ユーザが設定した洗濯運転コースが乾燥運転を含まないと判定した場合(ステップS15においてNO)、次の行程として、乾燥運転を行う乾燥行程を追加する、またはその乾燥行程を追加することの提案をユーザに報知する(ステップS17)。そして、制御部204は、処理を終了する。
【0084】
予測部203が臭いはないが後に臭いが発生する可能性があると判定した場合(
図6におけるBに相当)、制御部204は、臭いの発生に関する状態が所定条件を満たしたと判定し、洗濯物に対する1回目の洗い行程および排水行程の終了後に、自動投入装置7による洗剤の自動投入を含む2回目の洗い行程を追加する、またはその2回目の洗い行程を追加することの提案をユーザに報知する。これにより、後述するステップS21の処理が追加される。具体的には、予測部203が臭いはないが後に臭いが発生する可能性があると判定した場合(
図6におけるBに相当)、制御部204は、ドラム4における水を排水させる制御を行う(ステップS18)。制御部204が自動投入装置7を制御することにより、自動投入装置7は、ステップS6の処理において検出された洗濯物の重量に応じた量の洗剤を給水経路を介してドラム4に投入する(ステップS19)。また、制御部204が給水弁9を制御することにより、ステップS6の処理において検出された洗濯物の重量に応じた量の水がドラム4内に供給される(ステップS20)。そして、制御部204は、ドラムモータ8(つまりは、ドラム4)を正転および反転させることにより、洗い運転を行う洗い行程を追加する、またはその洗い行程を追加することの提案をユーザに報知する(ステップS21)。
【0085】
なお、ステップS21の処理において、制御部204が制御または報知する洗い行程は、追加された洗い行程である。つまり、ステップS21の処理において制御部204が制御または報知する洗い行程は、すでに1回以上の洗い行程が実行された後の洗い行程であり、洗濯物の汚れがある程度落ちている。一般的に、洗濯物の汚れが少ない場合、同じ洗剤量に対して泡が立ちやすい。よって、この追加された洗い行程を洗濯物の汚れがある場合と同様に行うと、多くの泡が発生する可能性がある。そこで、この洗い行程の時間は、例えば、ステップS10の1回目の洗い行程の時間よりも短いものであってもよい。制御部204が洗い行程の時間を短くすることにより、洗い行程における泡の発生を抑制することができる。また、制御部204は、この洗い行程において、循環ポンプ21を動作させながら洗濯物を揺らすつけおき動作を実行するものであってもよい。制御部204が循環ポンプ21とドラムモータ8とをこのように制御することにより、洗い行程における泡の発生を抑制することができる。また、制御部204は、この洗い行程において、自動投入装置7によって自動投入される洗剤量を、1回目の洗い行程において自動投入装置7によって自動投入される洗剤量よりも少なくするものであってもよい。制御部204が自動投入装置7をこのように制御することにより、洗い行程における泡の発生を抑制することができる。また、制御部204は、この洗い行程において、循環ポンプ21を動作させながらドラムモータ8の回転によりドラム4の内壁面に洗濯物を張り付かせてドラム4を回転させる遠心洗い動作を実行するものであってもよい。制御部204が循環ポンプ21とドラムモータ8とをこのように制御することにより、洗剤を投入した場合に水分を含む洗濯物に洗剤を効率的に付着させることができる。
【0086】
制御部204は、洗濯物を洗う行程中である次の行程として、すすぎ回数を1回追加する、または臭いがなく臭いが発生する可能性もないと予測部203が判定した場合に比べて投入する柔軟剤を増量するように自動投入装置7を制御する(ステップS22)。制御部204は、駆動回路220を制御してドラムモータ8の回転を制御することにより、ドラム4を回転させることで洗濯物を脱水させる(ステップS22a)。そして、制御部204は、処理を終了する。
【0087】
予測部203が臭いがなく臭いが発生する可能性もないと判定した場合(
図6におけるCに相当)、制御部204は、ドラム4における水を排水させる制御を行う(ステップS23)。制御部204は、駆動回路220を制御してドラムモータ8の回転を制御することにより、ドラム4を回転させることで洗濯物を脱水させる(ステップS24)。また、制御部204が給水弁9を制御することにより、ステップS6の処理において検出された洗濯物の重量に応じた量の水がドラム4内に供給される(ステップS25)。制御部204は、すすぎの処理を制御する(ステップS26)。制御部204は、ドラム4における水を排水させる制御を行う(ステップS27)。制御部204は、駆動回路220を制御してドラムモータ8の回転を制御することにより、ドラム4を回転させることで洗濯物を脱水させる(ステップS28)。
【0088】
制御部204が自動投入装置7を制御することにより、自動投入装置7は、ステップS6の処理において検出された洗濯物の重量に応じた量の柔軟剤を給水経路を介してドラム4に投入する(ステップS29)。また、制御部204が給水弁9を制御することにより、ステップS6の処理において検出された洗濯物の重量に応じた量の水がドラム4内に供給される(ステップS30)。制御部204は、すすぎの処理を制御する(ステップS31)。制御部204は、ドラム4における水を排水させる制御を行う(ステップS32)。制御部204は、駆動回路220を制御してドラムモータ8の回転を制御することにより、ドラム4を回転させることで洗濯物を脱水させる(ステップS33)。そして、制御部204は、処理を終了する。
【0089】
なお、上述の処理において、洗濯の開始時にユーザが設定した洗濯運転コースの処理内容から、洗濯機1の判断により処理内容を変更した場合(例えば、ステップS14の処理やステップS22の処理のような変更がある場合)、操作パネル10がユーザが設定した洗濯運転コースの処理内容から変更されていることをユーザに報知するものであってもよい。
【0090】
(利点)
以上、第1実施形態の洗濯機1(洗濯システムの一例)について説明した。洗濯機1において、洗濯機本体2は、ドラム4と、ドラム4を回転させるドラムモータ8とを有する。予測部203は、洗濯物(洗濯対象物の一例)の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。制御部204は、予測部203が予測した臭いの発生に関する状態に基づいて、洗濯機本体2を制御するまたは所定の提案をユーザに報知する。
【0091】
こうすることにより、洗濯機1は、ドラム4に放置された洗濯物の洗濯後の臭いの発生を予測することができ、その臭いを低減させるための制御を行うまたはその臭いを低減させるための処理を促す。その結果、洗濯機1は、洗濯物の洗濯後の臭いの発生を抑制することができる。
【0092】
(第1実施形態の変形例)
上記の第1実施形態では、予測部203が学習済みモデルを用いて洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する具体例を説明している。しかしながら、予測部203は、学習済みモデルを用いず、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間の少なくとも1つに基づいて、臭いの程度を特定するものであってもよい。そして、予測部203は、特定した臭いの程度に基づいて、臭いがある、臭いはないが臭いが発生する可能性がある、臭いがなく臭いが発生する可能性もない、の3つを判別するものであってもよい。
【0093】
予測部203によるこの臭いの程度の特定は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間の少なくとも1つについて、予め実験などを行い特定すればよい。例えば、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間のすべての組み合わせについて、臭いの程度を特定し、それぞれの組み合わせと臭いの程度とを関連付けて記憶する。そして、予測部203は、特定した臭いの程度と、臭いがある、臭いはないが後に臭いが発生する可能性がある、臭いがなく臭いが発生する可能性もない、の3つを判別するための第1しきい値および第2しきいとに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものであってもよい。
【0094】
図10は、第1実施形態の第1変形例による洗濯機1の処理フローの一部を示す図である。具体的には、予測部203は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間のうち、洗濯物の臭いの発生に関する状態の予測に実際に用いる組み合わせと一致する組み合わせを、予め特定して記憶した組み合わせにおいて特定する。そして、予測部203は、特定した組み合わせに関連付けられている臭いの程度を特定する。
図10に示すように、予測部203は、特定した臭いの程度と、臭いがあるか否かを判定するための第1しきい値とを比較して、臭いがあるか否かを判定する(ステップS12a)。予測部203は、特定した臭いの程度が第1しきい値以上であると判定した場合(ステップS12aにおいてYES)、臭いがあると判定する(
図10におけるA)。予測部203は、特定した臭いの程度が第1しきい値未満であると判定した場合(ステップS12aにおいてNO)、特定した臭いの程度と、臭いが発生する可能性があるか否かを判定するための第1しきい値よりも低い第2しきい値とを比較して、臭いが発生する可能性があるか否かを判定する(ステップS12b)。予測部203は、特定した臭いの程度が第2しきい値以上であると判定した場合(ステップS12bにおいてYES)、臭いはないが臭いが発生する可能性があると判定する(
図10におけるB)。また、予測部203は、特定した臭いの程度が第2しきい値未満であると判定した場合(ステップS12bにおいてNO)、臭いがなく臭いが発生する可能性もないと判定する(
図10におけるC)。予測部203は、このように臭いがある、臭いはないが後に臭いが発生する可能性がある、臭いがなく臭いが発生する可能性もない、の3つを判別するものであってもよい。なお、上述のステップS12aとステップS12bの処理が、
図6におけるステップS12の処理に相当する。
【0095】
(利点)
以上、第1実施形態の変形例の洗濯機1(洗濯システムの一例)について説明した。この洗濯機1でも、第1実施形態の洗濯機1と同様に、ドラム4に放置された洗濯物の洗濯後の臭いの発生を予測することができ、その臭いを低減させるための制御を行うまたはその臭いを低減させるための処理を促す。その結果、洗濯機1は、洗濯物の洗濯後の臭いの発生を抑制することができる。
【0096】
<第2実施形態>
第2実施形態の洗濯機1(洗濯システムの一例)は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。以下の説明では、主に、第1実施形態の洗濯機1との違いについて説明する。
【0097】
(洗濯機の全体構成)
図11は、第2実施形態の洗濯機1の全体構成を示す図である。
図12は、第2実施形態の洗濯機1の一部の構成を示す図である。洗濯機1は、例えば、洗濯機本体2、および制御装置11を備える。第2実施形態の洗濯機本体2は、第1実施形態の洗濯機本体2に加えて、さらに、温度取得装置20a、および湿度取得装置20bを備える。洗濯機1は、洗濯システムの一例である。ドラム4は、洗濯槽の一例である。
【0098】
温度取得装置20aは、ドラム4周辺の温度を取得する。温度取得装置20aが温度センサである場合、温度取得装置20aは、例えば、
図11に示すように、洗濯機本体2の内部表面に設けられる。例えば、温度取得装置20aは、所定のタイミングに(例えば、5分に1度の時間間隔で)ドラム4周辺の温度を取得する。ただし、温度取得装置20aは、温度センサに限定するものではない。例えば、温度取得装置20aは、洗濯機1が設置されている地域の天気予報が示す気温を、例えば、通信ネットワークを介して取得するものであってもよい。
【0099】
湿度取得装置20bは、ドラム4周辺の湿度を取得する。湿度取得装置20bが湿度センサである場合、湿度取得装置20bは、例えば、
図11に示すように、洗濯機本体2の内部表面に設けられる。例えば、湿度取得装置20bは、所定のタイミングに(例えば、5分に1度の時間間隔で)ドラム4周辺の湿度を取得する。ただし、湿度取得装置20bは、湿度センサに限定するものではない。例えば、湿度取得装置20bは、洗濯機1が設置されている地域の天気予報が示す湿度を、例えば、通信ネットワークを介して取得するものであってもよい。
【0100】
制御装置11は、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する。洗濯物の臭いの発生に関する状態とは、例えば、洗濯物の臭いの発生の程度でもよく、洗濯物の臭いの発生の可能性であってもよい。そして、制御装置11は、予測した臭いの発生に関する状態に基づいて、洗濯機本体2を制御するまたは所定の提案をユーザに報知する。制御装置11は、例えば、第1実施形態の制御装置11と同様に、受付部201、検出部202、予測部203、制御部204、および記憶部205を備える。
図12は、洗濯機1の構成の一部を示す図である。例えば、制御装置11は、ドラムモータ8、操作パネル10、水位センサ12、温度取得装置20a、湿度取得装置20b、回転検出装置51、駆動回路220、および汚れセンサ52から受ける情報に基づいて、排水弁19、自動投入装置7、給水弁9、駆動回路220、循環ポンプ21およびヒータ50を制御する。
【0101】
また、検出部202は、洗濯状態を検出する。洗濯状態の例としては、洗濯の運転コース、洗濯物の重量、洗濯物の布質、ドラム4周辺の温度、ドラム4周辺の湿度などが挙げられる。
【0102】
例えば、検出部202は、受付部201が生成した信号が示す運転コースを特定することによって、洗濯の運転コースを検出する。また、検出部202は、後述する第1検出動作において、ドラム4の回転駆動の加速時に得られる駆動回路220の抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値またはドラムモータ8の回転数の変化の少なくとも一方に基づいて、洗濯物の重量を検出する。ドラム4の回転駆動の加速時に得られる抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値およびドラムモータ8の回転数の変化は、洗濯物の重量と相関関係があるため、この検出が可能である。また、検出部202は、抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値の変化、または、給水量と水位センサ12が示す水位(すなわち、水量)との差の少なくとも一方に基づいて、洗濯物の布質を検出する。例えば、検出部202は、抵抗回路Rsのシャント抵抗に流れる電流値の変化が大きい場合、水分を吸収しやすい布質(例えば、天然素材)であり、その電流値が小さい場合、水分を吸収し難い布質(例えば、化学繊維)であると判定する。また、検出部202は、給水量と水位センサ12が示す水位との差がしきい値よりも大きい場合、水分を吸収しやすい布質(例えば、天然素材)であり、その差がしきい値よりも小さい場合、水分を吸収し難い布質(例えば、化学繊維)であると判定する。また、検出部202は、温度取得装置20aが取得した温度を特定することにより、ドラム4周辺の温度を検出する。また、検出部202は、湿度取得装置20bが取得した湿度を特定する。
【0103】
また、洗濯機本体2が、温度センサである温度取得装置20aと、湿度センサである湿度取得装置20bとを有する場合、予測部203は、洗濯対象物の汚れに関する検出結果、洗濯対象物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯対象物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つに基づき、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものであってもよい。例えば、予測部203は、洗濯対象物の汚れに関する検出結果、洗濯対象物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯対象物の放置時間の少なくとも1つと、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つとに基づき、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものであってもよい。なお、放置時間の測定は、例えば、洗濯が終了し、次の洗濯が開始されるまでの間、すなわち、洗濯が行われない洗濯機1の待機中に実行される。
【0104】
なお、放置時間の測定中に温度取得装置20aまたは湿度取得装置20bの少なくとも一方により温度または湿度の少なくとも一方が検出されている場合、制御部204は、放置時間の測定中に、温度取得装置20aまたは湿度取得装置20bの少なくとも一方が動作中であることを示す表示を操作パネル10に表示させるものであってもよい。
【0105】
記憶部205は、制御装置11が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶部205は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間、洗濯の運転コース、洗濯物の重量、洗濯物の布質、ドラム4周辺の温度、ドラム4周辺の湿度などを記憶する。
【0106】
(学習済みモデル)
洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するために予測部203が用いる学習済みモデルは、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものである。例えば、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、および湿度取得装置20bにより検出された検出結果のすべてを用いる場合、過去の洗濯の実績や洗濯の実験などを行うことにより、洗濯物の皮脂量を示すデータと、洗濯物の泥量を示すデータと、化学繊維または天然素材の一方を示すデータと、放置時間を示すデータと、さらに、放置時間の測定中に温度取得装置20aにより検出された温度の履歴を示すデータと、放置時間の測定中に湿度取得装置20bにより検出された湿度の履歴を示すデータとの様々な値の組み合わせの入力データのそれぞれについて、出力データ(すなわち、臭いがある、臭いはない後に臭いが発生する可能性がある、臭いがない、の何れか1つ)を特定する。このことにより、入力データと出力データとを組み合わせた複数のデータから成る教師データを用意することができる。この教師データを用いて、第1実施形態で説明した方法と同様の方法で学習モデルのパラメータを決定すればよい。
【0107】
(洗濯機が行う処理)
次に、第2実施形態の洗濯機1が行う処理について説明する。
図13は、第2実施形態の洗濯機1の処理フローの一部の一例を示す図である。ここでは、
図13を参照して洗濯機1の処理を説明する。
【0108】
検出部202は、洗濯物の重量の検出結果に基づいて、洗濯物があるか否かを判定する(ステップS3)。検出部202は、洗濯物の重量の検出結果が0であることを示す、すなわち洗濯物がないことを示す場合(ステップS3においてNO)、ステップS2の処理に戻す。また、検出部202は、洗濯物の重量の検出結果が0でないことを示す、すなわち洗濯物があることを示す場合(ステップS3においてYES)、ユーザが洗濯を開始する操作を行うまでの間、所定のタイミングに(例えば、5分に1度の時間間隔で)温度取得装置20aからドラム4周辺の温度を取得し、湿度取得装置20bからドラム4周辺の湿度を取得し、洗濯物を検出してからの経過時間(放置時間の一例)を測定する(ステップS34)。
【0109】
その後、ユーザが洗濯を行うために、操作パネル10に対して操作を行う。受付部201は、ユーザが操作パネル10に対して行う操作に応じた信号を生成する。例えば、ユーザが洗濯を開始するために複数の運転コースの中から1つの運転コースを設定する操作を操作パネル10に対して行う。受付部201は、ユーザが選択した運転コースを示す信号を生成する。洗濯機1は、受付部201が生成した信号に応じて洗濯運転を開始する(ステップS5)。以降、洗濯機1は、第1実施形態の洗濯機1が行う処理と同様の処理を行う。なお、放置時間の測定中に温度取得装置20aまたは湿度取得装置20bの少なくとも一方により温度または湿度の少なくとも一方が検出されている場合、制御部204は、放置時間の測定中に、温度取得装置20aまたは湿度取得装置20bの少なくとも一方が動作中であることを示す表示を操作パネル10に表示させるものであってもよい。この操作パネル10による表示は、例えば、洗濯機1が人感センサなどを用いて人が近づいたと判定した場合に行うものであってもよい。
【0110】
(利点)
以上、第2実施形態の洗濯機1について説明した。第2実施形態の予測部203により、洗濯物の臭いの発生に関する状態の予測に、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つを用いる場合、放置時間の測定中に温度取得装置20a、および湿度取得装置20bにより検出された検出結果の両方を用いない場合に比べて洗濯物の臭いの発生に関する状態の予測の精度を向上させることができる。
【0111】
(第2実施形態の第1変形例)
上記の第2実施形態では、予測部203が学習済みモデルを用いて洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測する具体例を説明している。しかしながら、第2実施形態の第1変形例の予測部203は、学習済みモデルを用いず、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つに基づいて、臭いの程度を特定するものであってもよい。そして、予測部203は、特定した臭いの程度に基づいて、臭いがある、臭いはないが臭いが発生する可能性がある、臭いがなく臭いが発生する可能性もない、の3つを判別するものであってもよい。
【0112】
予測部203によるこの臭いの程度の特定は、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、またはドラム4における洗濯物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つについて、予め実験などを行い特定すればよい。例えば、第1実施形態の第1変形例と同様に、洗濯物の汚れに関する検出結果、洗濯物の布質に関する検出結果、ドラム4における洗濯物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、湿度取得装置20bにより検出された検出結果のすべての組み合わせについて、臭いの程度を特定し、それぞれの組み合わせと臭いの程度とを関連付けて記憶する。そして、予測部203は、特定した臭いの程度と、臭いがある、臭いはないが後に臭いが発生する可能性がある、臭いがなく臭いが発生する可能性もない、の3つを判別するための第1しきい値および第2しきいとに基づいて、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものであってもよい。
【0113】
(利点)
以上、第2実施形態の第1変形例の洗濯機1(洗濯システムの一例)について説明した。この洗濯機1でも、第2実施形態の洗濯機1と同様に、ドラム4に放置された洗濯物の洗濯後の臭いの発生を予測することができ、その臭いを低減させるための制御を行うまたはその臭いを低減させるための処理を促す。その結果、洗濯機1は、洗濯物の洗濯後の臭いの発生を抑制することができる。
【0114】
<第2実施形態の第2変形例>
上述の第2実施形態の洗濯機1および第2実施形態の第1変形例の洗濯機1では、予測部203は、洗濯対象物の汚れに関する検出結果、前記洗濯対象物の布質に関する検出結果、前記回転槽における前記洗濯対象物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、または湿度取得装置20bにより検出された検出結果の少なくとも1つに基づき、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものとして説明した。しかしながら、第2実施形態の第2変形例では、予測部203は、洗濯対象物の汚れに関する検出結果、前記洗濯対象物の布質に関する検出結果、前記回転槽における前記洗濯対象物の放置時間、放置時間の測定中に温度取得装置20a、湿度取得装置20bにより検出された検出結果、または洗濯に使用する水の種類の少なくとも1つに基づき、洗濯物の臭いの発生に関する状態を予測するものであってもよい。洗濯に使用する水の種類の例としては、水道水、風呂水などが挙げられる。例えば、洗濯に風呂水を使用する場合、過去の洗濯の実績や洗濯の実験などを行うことにより、風呂水における皮脂量を示すデータを特定し、そのデータを教師データの入力データとして用いることにより、学習モデルのパラメータを決定すればよい。
【0115】
(利点)
以上、第2実施形態の第2変形例の洗濯機1について説明した。第2実施形態の第2変形例の予測部203により、洗濯物の臭いの発生に関する状態の予測に、洗濯の水の種類を用いる場合、洗濯物の臭いの発生に関する状態の予測に、洗濯の水の種類を用いない場合に比べて洗濯物の臭いの発生に関する状態の予測の精度を向上させることができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1…洗濯機、2…洗濯機本体、3…水槽、4…ドラム、6…ベローズ、7…自動投入装置、8…ドラムモータ、9…給水弁、10…操作パネル、10a…表示部、10b…操作入力部、11…制御装置、12…水位センサ、13…台板、16…排水ホース、19…排水弁、20a…温度取得装置、20b…湿度取得装置、21…循環ポンプ、22…送水ホース、23…噴水ノズル、26…送風ファン、29…温風供給機構、31…ヒートポンプ、39…温度センサ、40…電流センサ、41…室温センサ、42…水温センサ、46…排気ダンパ、50…ヒータ、51…回転検出装置、52…汚れセンサ、201…受付部、202…検出部、203…予測部、204…制御部、205…記憶部、220…駆動回路、220a…整流回路、220b…リップル除去回路、220c…インバータ。