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特開2022-97974ヘルメット取り付け具及びヘルメット取り付け具付きマイク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097974
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ヘルメット取り付け具及びヘルメット取り付け具付きマイク
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/30 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
A42B3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211271
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】518041755
【氏名又は名称】株式会社あおごち
(71)【出願人】
【識別番号】000126517
【氏名又は名称】株式会社アサヒ
(74)【代理人】
【識別番号】100163706
【弁理士】
【氏名又は名称】釜谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 斉
(72)【発明者】
【氏名】山川 哲也
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA08
3B107DA03
3B107DA17
3B107EA00
3B107EA06
3B107EA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持するとともに、簡単に着脱可能なヘルメット取り付け具及びヘルメット取り付け具付きマイクを提供する。
【解決手段】ヘルメット取り付け具1付きマイク2であって、ヘルメット2000の内面の頬部分に着脱自在に装着される頬当てパッドを有し、ヘルメット取付具は略平板状のヘルメット固定部と、機器保持固定部と、第1の面ファスナーを有し、第1の面ファスナーと対向する部分に、第2の面ファスナーを貼付して結合させて、頬当てパッドをヘルメットの内面に取り付けることにより、ヘルメット固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間で保持され、機器保持固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間から外部に突出されるように構成される、ヘルメット取付具。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットに取り付けるためのヘルメット取付具であって、
前記ヘルメットは、前記ヘルメットの内面の頬部分に着脱自在に装着される頬当てパッドを有しており、
前記ヘルメット取付具は略平板状のヘルメット固定部と、前記ヘルメット固定部の一端部に設けられた前記機器を保持する機器保持固定部と、前記ヘルメット固定部の一面に貼付された第1の面ファスナーを有していて、
前記ヘルメットの内面の頬の部分または頬当てパッドの裏面であって前記第1の面ファスナーと対向する部分に、前記第1の面ファスナーと相互にかみ合う第2の面ファスナーを貼付して、
前記第1の面ファスナーと第2の面ファスナーを貼り付けるように結合させて、前記頬当てパッドを前記ヘルメットの内面に取り付けることにより、
前記ヘルメット固定部が前記頬当てパッドと前記ヘルメットの内面との間で保持され、前記機器保持固定部が前記頬当てパッドと前記ヘルメットの内面との間から外部に突出されるように構成されている
ことを特徴とするヘルメット取付具。
【請求項2】
前記機器が前記ヘルメットの縁部近傍に保持されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載のヘルメット取付具。
【請求項3】
前記機器がマイクである
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のヘルメット取付具。
【請求項4】
前記機器がカメラである
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のヘルメット取付具。
【請求項5】
前記機器保持固定部は前記カメラの向きを左右方向および上下方向に回動させる角度調節機構を有している
ことを特徴とする請求項4記載のヘルメット取付具。
【請求項6】
オープンフェイスヘルメット型のヘルメットにマイクを取り付けるためのヘルメット取付具を有するヘルメット取付具付きマイクであって、
前記ヘルメットは、前記ヘルメットの内面の頬部分に着脱自在に装着される頬当てパッドを有しており、
前記ヘルメット取付具は略平板状のヘルメット固定部と、前記ヘルメット固定部の一端部に設けられた前記機器を保持するマイク保持固定部と、前記ヘルメット固定部の一面に貼付された第1の面ファスナーを有していて、
前記ヘルメットの内面の頬の部分または頬当てパッドの裏面であって前記第1の面ファスナーと対向する部分に、前記第1の面ファスナーと相互にかみ合う第2の面ファスナーを貼付して、
前記第1の面ファスナーと第2の面ファスナーを貼り付けるように結合させて、前記頬当てパッドを前記ヘルメットの内面に取り付けることにより、
前記ヘルメット固定部が前記頬当てパッドと前記ヘルメットの内面との間で保持され、前記マイク保持固定部が前記頬当てパッドと前記ヘルメットの内面との間から外部に突出されるように構成されていて、
前記マイクは前記マイク保持固定部により前記ヘルメットの内側方向に向くように保持されている
ことを特徴とするヘルメット取付具付きマイク。
【請求項7】
前記マイクは、前記ヘルメットの縁部近傍に位置するように構成されている
ことを特徴とする請求項6記載のヘルメット取付具付きマイク。
【請求項8】
前記マイク保持部には前記信号ケーブルが前記マイクから出る方向を選択的に固定することをガイドするためのマイク取り付けガイド部を有していて、
マイク取り付けガイド部にガイドされて前記マイクを前記マイク保持部に固定することにより、前記信号ケーブルが前記マイクから出る方向を選択的に変えられるように構成されている
ことを特徴とする請求項7記載のヘルメット取付具付きマイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘルメット取り付け具及びヘルメット取り付け具付きマイクに関する。より詳細には機器を、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットに取り付けるためのヘルメット取り付け具及びオープンフェイスヘルメット型のヘルメットにマイクを取り付けるためのヘルメット取り付け具を有するヘルメット取り付け具付きマイクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動二輪等の交通手段に搭乗して走行中に、ヘルメットをしたままで通話ができるようにしたマイクや走行中の様子を撮影するカメラ等の機器を保持する装置が求められている。この場合、走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持することができることが求められる。
【0003】
従来のこれらの必要性を満たすものとして、特許文献1にて開示されたマイクの保持装置がある。これは、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットの装着者の口元付近にマイクを保持するための保持装置であり、保持装置は、装着者に対して緩衝性能を有し、かつ変形応力に対する反発復元力が生じる発泡性合成樹脂材によって、口元付近からオープンフェイスヘルメットの最外層を構成する帽体の側部に渡るように構成されたものである。
【0004】
この保持装置のヘルメットは、強化繊維樹脂材でオープンフェース型に成型された帽体の頭部の内側面に、発泡スチロール材、もしくは、この発泡スチロール材と同等の衝撃吸収性能を有する素材を用いて成型された衝撃吸収ライナーと、この衝撃吸収ライナーの内側に配設されるウレタン材等でなる頭部パッドと、帽体の頬部に対応する左右両側部の内側面に着脱自在に装着された頬パッドと、側部に軸支された保持装置とを備えている。
【0005】
すなわち、この保持装置では、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットの外面側部にベースプレートが螺合締め付けされて固定され、ベースプレートには発泡性合成樹脂材からなる保持装置の支持部とアーム部が回動自在に軸支されている。そのため、保持装置は変形応力に対する反発復元力を有し、「しなり」、「たわみ」、「ねじれ」等の曲げ変形から元の形状に復元させることができる。なお、この保持装置はベースプレートに軸支されているので、ヘルメットの着脱時において、保持装置を跳ね上げ、邪魔にならない位置に回動させることができる。
【0006】
以上のようにこの保持装置は構成されているので、走行中における走行風や振動、或いはマイクに対する手や肩の不用意な接触によるマイクのずれや落下を防止して、マイクを口元付近の位置に戻すことができるので、走行中における音声入力を適正に行うことが可能となっている。
【0007】
また、従来のこれらの必要性を満たすものとして、特許文献2にて開示されたヘルメットのマイク取り付け機構がある。このマイク取り付け機構は、ファブリックファスナーの雄面が接着可能なカバーシートで表面を被覆したクッション材を内面に有するヘルメットと、このヘルメットに取り付けけられた締付け用バンドとを含み、締付け用バンドのヘルメット隣接面に適当な長さにわたってファブリックファスナーの雄面を形成し、マイクの幹部にファブリックファスナーの雌面を形成してこれを前記雄面に接合させた状態でマイクの幹部をヘルメット内面と使用者の頭部との間に挟みこんで保持するように構成されたものである。
【0008】
すなわち、このマイク取り付け機構は、従来のヘルメットのマイクの取り付け構造を改良したものである。従来のヘルメットにマイクを取り付けるときは、多くの場合、ヘルメット外周面にソケットを設けてこれにマイクの幹部に形成した挿込み部を嵌合して取り付けていた。しかしこれでは、ヘルメットにソケットを形成する工作が面倒でコスト高になり、しかもヘルメット外部にマイクの殆どの部分が露出するので走行中の風の抵抗をもろに受けて、風切音が雑音として混入すると共に、マイク不使用時にはソケットに雨水や埃がたまって腐食し易い等の問題点があった。
【0009】
そこで、使用時にはマイク幹部に形成したファブリックファスナーの雌面をバンドの雄面に接合させた状態でマイクの幹部をヘルメット内面と使用者の頭部との間に挟むことにより容易にマイクを取り付けられるようにした。この際、ヘルメット内面のクッション材の弾性力に加え、バンドに形成した雄面の余剰部分がヘルメット内面のカバーシートに接合して安定よくマイクを保持することが出来ると共に、マイクの多くの部分がヘルメット内部に隠れるので走行中における風切音や振動が少なくなり、加えて、ヘルメット本体にソケット等の加工を施す必要がないから、安価に提供することを可能としている。
【0010】
また、従来のこれらの必要性を満たすものとして、特許文献3にて開示されたフルフェイス型のヘルメットにおけるマイクとスピーカーの支持装置がある。この支持装置は、フルフェイス型のヘルメットの顎部裏面にベルベットファスナーを固着して取り付け部を形成すると共に、マイクの外周面には、取り付け部に添着する被取り付け部を形成し、マイクを取り付け部に着脱可能となし、一方スピーカーはイヤー型スピーカーとして形成し、ヘルメット内で耳道に嵌着可能とした構造を有しているものである。
【0011】
この支持装置では、マイクの被取り付け部をフルフェイス型のヘルメットの顎部の裏面に形成された取り付け部に押圧することにより簡単にマイクを固定することができる。また離脱も簡単に行える。このようにして、フルフェイス型のヘルメットを被ったオートバイ等の運転者であっても送受信機用のマイクを容易に装着することが出来、かつその使用状態は安全であり、運転操作の邪魔になることはないものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第5358725号公報
【特許文献2】実開平5-22525号公報
【特許文献3】実公昭63-49020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットの外面側部にベースプレートが螺合され、ベースプレートにより保持装置を回動自在に軸支しているという構造のため、外部露出部が多くて風切り音が生じやすく、また構成が複雑で大きなものになってしまうという不都合があった。また、ヘルメットに付着されたマイク等の付属物は、いたずらされたり、持ち去られたりすることもあるが、保持装置はヘルメットに固定されているため、簡単に取り外せず、いたずら等を防止することが難しいという不都合があった。
【0014】
また、特許文献2に記載の技術では、マイクの幹部をファブリックファスナーにより締付け用バンドに接合させた状態で、マイクの幹部をヘルメット内面と使用者の頭部との間に挟みこんで保持するように構成されている。そのため、使用者がヘルメットを被っていれば、幹部に取り付けられたマイクは安定して保持され、また脱落することもない。また、簡単に取り外すことができるので、いたずら等を防止できる。
【0015】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、マイクの幹部は細長い所定の厚みを持った略直方体の形状をしており、またマイクの幹部が挟み込まれているのは使用者の頭部の頬の部分であり、頬とクッション材の間に挟まれて保持されている。そうすると、マイクの幹部は締付け用バンドを介して、また締付け用バンドからはみ出したマイクの幹部の部分は直接、使用者の頬を圧迫し、使用者がヘルメットを被っている間ずっと、この圧迫が継続するという不都合があった。また、マイクを使って通話をすれば頬の筋肉を動かすことになるが、マイクの幹部に頬が直接接触しているため、頬の筋肉の動きをマイクがノイズとして拾ってしまうおそれがあるという不都合があった。
【0016】
また、特許文献3に記載の技術では、フルフェイス型のヘルメットの顎部裏面にベルベットファスナーによってマイクを着脱自在に取り付けられるようにしたものである。しかしながら、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットのように顎部を有していないヘルメットでは、本技術を適用できないという不都合があった。
【0017】
本発明の目的は、走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持するとともに、簡単に着脱可能なヘルメット取り付け具及びヘルメット取り付け具付きマイクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。
【0019】
本発明は、機器を、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットに取り付けるためのヘルメット取付具に関する。
そして、ヘルメットは、ヘルメットの内面の頬部分に着脱自在に装着される頬当てパッドを有しており、ヘルメット取付具は略平板状のヘルメット固定部と、ヘルメット固定部の一端部に設けられた機器を保持する機器保持固定部と、ヘルメット固定部の一面に貼付された第1の面ファスナーを有していて、ヘルメットの内面の頬の部分または頬当てパッドの裏面であって第1の面ファスナーと対向する部分に、第1の面ファスナーと相互にかみ合う第2の面ファスナーを貼付して、第1の面ファスナーと第2の面ファスナーを貼り付けるように結合させて、頬当てパッドをヘルメットの内面に取り付けることにより、ヘルメット固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間で保持され、機器保持固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間から外部に突出されるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
また、機器がヘルメットの縁部近傍に保持されるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
また、機器がマイクであることを特徴とする。
【0022】
また、機器がカメラであることを特徴とする。
【0023】
また、機器保持部にはカメラの向きを左右方向および上下方向に回動させる角度調節機構を有していることを特徴とする。
【0024】
また、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットにマイクを取り付けるためのヘルメット取付具を有するヘルメット取付具付きマイクであって、ヘルメットは、ヘルメットの内面の頬部分に着脱自在に装着される頬当てパッドを有しており、ヘルメット取付具は略平板状のヘルメット固定部と、ヘルメット固定部の一端部に設けられた機器を保持するマイク保持固定部と、ヘルメット固定部の一面に貼付された第1の面ファスナーを有していて、ヘルメットの内面の頬の部分または頬当てパッドの裏面であって第1の面ファスナーと対向する部分に、第1の面ファスナーと相互にかみ合う第2の面ファスナーを貼付して、第1の面ファスナーと第2の面ファスナーを貼り付けるように結合させて、頬当てパッドをヘルメットの内面に取り付けることにより、ヘルメット固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間で保持され、マイク保持固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間から外部に突出されるように構成されていて、マイクはマイク保持固定部によりヘルメットの内側方向に向くように保持されているように構成されていることを特徴とする。
【0025】
また、マイクは、ヘルメットの縁部近傍に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0026】
マイク保持部には信号ケーブルがマイクから出る方向を選択的に固定することをガイドするためのマイク取り付けガイド部を有していて、マイク取り付けガイド部にガイドされてマイクをマイク保持部に固定することにより、信号ケーブルがマイクから出る方向を選択的に変えられるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上述の特徴を有することから、下記に示すことが可能となる。
【0028】
機器を、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットに取り付けるためのヘルメット取付具であって、ヘルメットは、ヘルメットの内面の頬部分に着脱自在に装着される頬当てパッドを有しており、ヘルメット取付具は略平板状のヘルメット固定部と、ヘルメット固定部の一端部に設けられた機器を保持する機器保持固定部と、ヘルメット固定部の一面に貼付された第1の面ファスナーを有していて、ヘルメットの内面の頬の部分または頬当てパッドの裏面であって第1の面ファスナーと対向する部分に、第1の面ファスナーと相互にかみ合う第2の面ファスナーを貼付して、第1の面ファスナーと第2の面ファスナーを貼り付けるように結合させて、頬当てパッドをヘルメットの内面に取り付けることにより、ヘルメット固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間で保持され、機器保持固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間から外部に突出されるように構成されている
ので、走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持するとともに、簡単に着脱することができるものとなる。
【0029】
また、機器がヘルメットの縁部近傍に保持されるように構成されているので、ヘルメットの着脱時において、機器が邪魔になることが少なくなる。
【0030】
また、機器がマイクであるので、マイクをヘルメット取付具によりヘルメットに取り付けることができる。
【0031】
また、機器がカメラであるので、カメラをヘルメット取付具によりヘルメットに取り付けることができる。
【0032】
また、機器保持部にはカメラの向きを左右方向および上下方向に回動させる角度調節機構を有しているので、カメラの向きを左右方向および上下方向に回動させて調節することが可能となる。
【0033】
また、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットにマイクを取り付けるためのヘルメット取付具を有するヘルメット取付具付きマイクであって、ヘルメットは、ヘルメットの内面の頬部分に着脱自在に装着される頬当てパッドを有しており、ヘルメット取付具は略平板状のヘルメット固定部と、ヘルメット固定部の一端部に設けられた機器を保持するマイク保持固定部と、ヘルメット固定部の一面に貼付された第1の面ファスナーを有していて、ヘルメットの内面の頬の部分または頬当てパッドの裏面であって第1の面ファスナーと対向する部分に、第1の面ファスナーと相互にかみ合う第2の面ファスナーを貼付して、第1の面ファスナーと第2の面ファスナーを貼り付けるように結合させて、頬当てパッドをヘルメットの内面に取り付けることにより、ヘルメット固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間で保持され、マイク保持固定部が頬当てパッドとヘルメットの内面との間から外部に突出されるように構成されていて、マイクはマイク保持固定部によりヘルメットの内側方向に向くように保持されているので、走行中における走行風や振動等によるマイクのずれや、走行中のマイクの落下を防止して、走行中におけるマイクを安定して保持するとともに、簡単に着脱することができるものとなる。
【0034】
また、マイクは、ヘルメットの縁部近傍に位置するように構成されているので、ヘルメットの着脱時において、マイクが邪魔になることが少なくなる。
【0035】
また、マイク保持部には信号ケーブルがマイクから出る方向を選択的に固定することをガイドするためのマイク取り付けガイド部を有していて、マイク取り付けガイド部にガイドされてマイクをマイク保持部に固定することにより、信号ケーブルがマイクから出る方向を選択的に変えられるように構成されているので、ヘルメット取付具付きマイクをヘルメットの右側でも左側でも選択的に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット取付具の使用例を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット取付具の構成を示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は同じく背面側から見た斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット取付具の構成を示す分解斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット取付具と共に使用されるヘルメット用音響装置の構成を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット取付具の使用例を示す模式図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット取付具とヘルメットの要部の断面を示す模式図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るヘルメット取付具とヘルメットの要部を示し、(A)はヘルメット取付具がヘルメットに取り付いている状態を示す斜視図、(B)はヘルメット取付具と要部の一部がヘルメットから取り外されている状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係るヘルメット取付具とヘルメットの要部の断面を示す模式図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係るヘルメット取付具の要部の構成を示す斜視図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係るヘルメット取付具の使用例を示す模式図である。
図11】本発明の第4の実施形態に係るヘルメット取付具の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0038】
(第1の実施形態)
図1乃至図7を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
まず、図1及び図4を用いて、ヘルメット取付具1とマイク2の使用例と構成について説明する。
図1はヘルメット取付具1とマイク2の使用例を示す使用者Uを側面方向から見た模式図であり、図2はマイク2を保持したヘルメット取付具1の構成を示し、図2(A)は正面方向から見た斜視図、図2(B)は背面方向から見た斜視図である。また、図3はヘルメット取付具1とマイク2の構成を示す斜視分解図であり、図4は、この実施形態の使用例で用いられたヘルメット用音響装置1000を示す斜視図である。
【0039】
図1は、ヘルメット用音響装置1000を背面に付けたヘルメット2000を頭部に装着した使用者Uが、ヘルメット用音響装置1000に連結されたマイク2を用いて、通話を楽しんでいる状況を示すものである。図1に示すように、ヘルメット用音響装置1000はスマートフォン等の携帯端末SとBluetooth(登録商標)等の無線通信接続が可能に構成されている。後述するように、ヘルメット用音響装置1000により携帯端末Sからの音声信号は、音として使用者Uに伝達される。そして、マイク2からの音声信号は携帯端末Sに伝達されるので、使用者Uはヘルメット用音響装置1000を介して、携帯端末Sによっての通話が可能となる。
【0040】
図1に示すように、マイク2は、ヘルメット取付具1によりヘルメット2000の縁部近傍に突出して、使用者Uの方向に向けられた状態で保持されている。マイク2は、マイク本体21(機器)(マイク)と音声信号ケーブル22、音声信号端子23を有しており、音声信号端子23はヘルメット用音響装置1000と接続され、音声信号が伝達される。なお、ヘルメット取付具1がヘルメット2000にどのように取り付けられているかについては、後ほど詳細に説明がされる。
【0041】
図1に示すように、音声信号ケーブル22はマイク本体21から斜め下方方向に延びていて、ケーブルクランパー3、3によりヘルメット2000の外面に固定され、端部の音声信号端子23によりヘルメット用音響装置1000に接続されている。ケーブルクランパー3、3は、音声信号ケーブル22の弛みを取るようにして固定される。これは、走行中に走行風によって音声信号ケーブル22がバタバタと振動するのを防ぐためである。
【0042】
ここで、本実施形態で用いられているヘルメット2000について説明する。図1に示すように、ヘルメット2000は、オープンフェイスヘルメット型またはジェットヘルメット型と呼ばれるタイプのものである。オープンフェイスヘルメット型のヘルメットは、頭から耳、頬までを守るヘルメットのことをいい、フルフェイス型のヘルメットと異なり顎部の部分は有してはいない。
【0043】
しかし、オープンフェイスヘルメット型のヘルメットは顎の部分が開いた形状となるので、フルフェイス型のヘルメットと比べて着用時の蒸れがなく、眼鏡をかけたままの装着が可能で、更に視野も広いものとなる。なお、風を防ぐシールドは、付いているものと付いていないものがあり、本実施形態のヘルメット2000では、ヘルメット本体2100に回動自在に設けられたシールド2200を有している。
【0044】
図2及び図3を用いて、ヘルメット取付具1とマイク2の構成について説明する。
図2及び図3に示すように、ヘルメット取付具1はヘルメット固定部(ヘルメット固定部)11とマイク保持部(機器保持固定部)(マイク保持固定部)12を有していて、ナイロン等の柔軟な樹脂から構成される。ヘルメット固定部11の一面には取付具面ファスナー13が貼付される。
【0045】
図2及び図3に示すように、ヘルメット固定部11は薄く略平板状で略長方形の形に形成され、取り付けられるヘルメット2000の内面に沿うような形で略球面を描くような曲面状に形成されている。また、ヘルメット固定部11の外面側の面には取付具面ファスナー13が貼付されている。ここで、ヘルメット取付具1の説明では、ヘルメット2000の外面の方向を外面側、ヘルメット2000の内面の方向を内面側として説明する。
【0046】
図3に示すように、ヘルメット固定部11の一端には、外面側に向かう段差を介してマイク保持部12が形成されている。マイク保持部12は略丸い外形で平面状に形成されたマイク取付面121を有し、マイク取付面121の外周部には段差内面122とガイド面123、123が、略正三角形に3辺の関係に位置するような形でマイク取付面121を取り囲むように形成されている。また、マイク取付面121の外周部の段差内面122に近い部分には、外周側に膨出したケーブル端部カバー用膨出部124が形成されている。
【0047】
図3に示すように、マイク2のマイク本体21は概略三角錐台のような形状をなし、全体として防水マイク構造に構成されている。自動二輪等で走行中、雨天となったときでも、耐水性能を持たせるためである。マイク本体21は、頂部の面に穴を有し中が中空となっている上マイクケース211と、下マイクケース212を有している。上マイクケース211の頂部の面の穴は、内側から防水シート213によって塞がれている。防水シート213は、空気は通すが水は通さないという膜であり、防水性を持たせながら、音がこもらないようにするためのものである。
【0048】
図3に示すように、マイク本体21内部の中空部には、ウインドスクリーンのための風防発泡材214とマイクユニット215とマイククッション発泡材216が収納されている。そして、上マイクケース211と下マイクケース212を防水性のある両面テープ217で固定すれば、マイクユニット215は風防発泡材214とマイククッション発泡材216の間において、水密に保持される。マイクユニット215は音声信号ケーブル22の端部に接続され、マイク本体21から延びる音声信号ケーブル22の端部は、伸縮性のあるケーブル端部カバー221により、水密にカバーされる。
【0049】
ところで、図1に示すように、音声信号ケーブル22はマイク本体21から斜め下方方向に延びている。この場合にはマイク本体21は使用者Uの左側に配置されているが、使用者Uの好みにより右側にも配置することは可能である。しかし、マイク本体21を使用者Uの右側にすると、このままでは音声信号ケーブル22はマイク本体21から斜め上方方向に延びることになってしまう。そこで、音声信号ケーブル22の出る方向を選択的に変えられるように、ヘルメット取付具1とマイク本体21が構成されている。以下、その取り付け構造について説明する。
【0050】
図3に示すように、マイク本体21の底部は略正三角形の形状に形成され、一つの頂部には音声信号ケーブル22用のガイド保持部が突出して形成され、他の2つの頂部は面取りされたような形になっている。一方、マイク本体21のマイク取付面121は、段差内面122とガイド面123、123により略正三角形となるような形で取り囲んでいる。
【0051】
図1のようにマイク本体21を使用者Uの左側に配置する場合には、図3に示す形で、マイク本体21をマイク取付面121に近付けていけば、ケーブル端部カバー221はケーブル端部カバー用膨出部124に収納される。そして、マイク本体21の底部は、段差内面122とガイド面123、123によりガイドされて、図示しない防水性両面テープを介して、マイク取付面121に固定される。
【0052】
一方、マイク本体21を使用者Uの右側に配置する場合には、図3において、マイク本体21を略120度、時計方向に回転させて、マイク取付面121に同様に固定すればよい。この場合、マイク本体21が使用者Uの右側にあっても、音声信号ケーブル22はマイク本体21から斜め下方方向に延びることになる。
【0053】
ここで、図4を用いて、本実施形態で使われているヘルメット用音響装置1000について説明する。図4は、ヘルメット用音響装置1000を裏面側から見た斜視図である。
図4は、ヘルメット用音響装置1000と取り付けアダプター1500とを示しており、ヘルメット用音響装置1の一方の端部には、取り付けアダプター1500が装着された状態を示し、他方の端部には取り付けアダプター1500を外された状態を示す斜視図である。
【0054】
図4に示すように、ヘルメット用音響装置1は湾曲し左右に細長いケース本体1010と、その両端部近傍に回動自在に取り付けられた略Uの字状をした取り付けレバー1020、1020を有している。取り付けアダプター1500は左右の2つからなり、両面テープを介してヘルメット2000の背面の所定位置に固定される。そして、ヘルメット用音響装置1000を取り付けアダプター1500に押し当て、取り付けレバー1020、1020をヘルメット1000側に倒すようにして取り付けアダプター1500に係合させることにより、ヘルメット用音響装置1000はヘルメット2000に装着される。
【0055】
図4に示すように、ケース本体1010の両端部近傍には、エキサイターカバー1030、1030が裏面側に突出しており、ヘルメット2000の外面に当接されるように構成されている。エキサイターカバー1030、1030の内面には、それぞれ内蔵された図示されないエキサイターが左右に設けられている。この2つのエキサイターは、携帯端末Sからの音声信号に基づいて駆動されて、エキサイターカバー1030、1030を介してヘルメット1000自体を振動板として振動させ、その結果、使用者Uに音が伝達されるという構成となっている。
【0056】
次に、ヘルメット取付具1がヘルメット2000にどのように取り付けられているかについて、図5乃至図7を用いて説明する。
図5は、マイク2とヘルメット用音響装置1000が取り付けてあり、シールド2200を下げた状態のヘルメット2000を装着した使用者Uが、通話を楽しんでいる状況を示している。図5に示すように、使用者Uの頬の部分を守るクッションである頬当てパッド2300とヘルメット本体2100内面の頬の部分との間にヘルメット取付具1が取り付けられ、その間からマイク2が突出して保持されている。
【0057】
まず、図6を用いて、ヘルメット2000の構成について説明する。図6は、図5における断面A‐Aを模式的に示す断面模式図である。
図6に示すように、ヘルメット本体2100の最外層は硬くて丈夫な樹脂からなるオープンフェイスヘルメットの形に成型された帽体2110から構成され、その内面には衝撃を吸収するための衝撃吸収ライナー2120を備えている。ヘルメット本体2100の頬の部分には内張り2130が張られていて、内張り2130には頬当てパッド2300を係止するための凸側ホック2140が設けられている。
【0058】
図6に示すように、内張り2130の内面側には頬当てパッド2300が設けられている。頬当てパッド2300は柔軟な材質からなる頬当てパッドシート2310を有し、頬当てパッドシート2310の上にはウレタン発泡材等からなる頬当てクッション2320が配置されている。頬当てパッドシート2310の縁部と頬当てクッション2320は薄い布等でできた頬当てクッションカバー2330で包まれている。また、頬当てパッドシート2310の裏面には、凸側ホック2140に係止可能な凹側ホック2340が設けられている。
【0059】
図6に示すように、頬当てパッド2300の内面には、使用者Uの頬の部分が当接する構成となっている。すなわち、使用者Uの頬の部分は、硬くて丈夫な樹脂からなる帽体2110と、その内面にある内面には衝撃を吸収する衝撃吸収ライナー2120、そして更にその内面の頬当てパッド2300により、守られているということができる。
【0060】
ここで、図6を用いて、ヘルメット2000とこれにオーバーラップするシールド2200との関係について説明する。
図6に示すように、帽体2110と衝撃吸収ライナー2120の縁部の端部は、ゴム等の柔軟な材質で形成された略コの字状のエッジカバー2150によって覆われている。このエッジカバー2150の外周面側には縁部に沿って連続して立設されたエッジカバーリブ2160が形成されている。
【0061】
図6に示すように、シールド2200を閉じたとき、シールド2200の縁部内面とエッジカバーリブ2160の先端部とが密接して、雨天走行中等におけるヘルメット2000内への雨水等の侵入を、防止する構成となっている。すなわち、雨天走行中等に、雨水がヘルメット2000内面に侵入して、シールド2200の視界を遮ること等を防止している構成とされている。
【0062】
またここで、図6を用いて、マイク本体21の内部の構成を説明する。
図6に示すように、上マイクケース211と下マイクケース212は図示されない防水性のある両面テープ217等により水密に結合され、上マイクケース211の頂部には音を捕らえるための穴が開いている。
【0063】
図6に示すように、頂部の穴の内側には防水シート213が水密に貼られ、空気は通すが水は通さない、すなわち防水でありながら音を籠ることなく通すことができるよう構成されている。防水シート213の内側の空洞部には、走行による風切り音等を軽減する風防発泡材214が配置され、マイクユニット215は、風防発泡材214とマイククッション発泡材216により挟まれて保持されるよう構成されている。
【0064】
それでは、図7そして図6を用いて、ヘルメット取付具1がヘルメット2000にどのように取り付けられているかについて、その構成を説明する。図7は、ヘルメット2000の頬の部分の内面の斜視図であって、図7(A)はヘルメット本体2100に頬当てパッド2300が付いている状態、図7(B)は頬当てパッド2300を取り外して裏返しにしたときの状態を示している。
【0065】
図7(A)および図7(B)に示すように、頬当てパッド2300は略U字状の形状をなし、裏面の凹側ホック2340、2340、2340が内張り2130の凸側ホック2140、2140、2140と係脱可能に係止している。頬当てパッド2300の略U字状中央の開いた空間の部分には、使用者Uの顎を保持する締付け用バンド2400の端部が、内張り2130に設けられた四角い穴を通って、リベット等によりヘルメット本体2100に直接しっかりと固定されている。
【0066】
図7(B)に示すように、内張り2130の凸側ホック2140、2140、2140のない部分の所定箇所に、取付具面ファスナー13と相互にかみ合うヘルメット面ファスナー2170が貼付されている。ヘルメット面ファスナー2170の長さは取付具面ファスナー13と同じか少し長い程度だが、幅はずっと広く、略正方形形状をしている。これは、使用者Uがマイク本体21の位置を確認しながら、ヘルメット取付具1をヘルメット2000に調節して取り付けられるようにすることを可能にするためである。
【0067】
図7(B)に示すように、マイク本体21をヘルメット2000から取り外すには、まず頬当てパッド2300を持ち上げて取り外す。そして、次にヘルメット取付具1を取付面と略垂直な方向、すなわち矢印方向に持ち上げるようにして面ファスナー同士の結合を離すようにすれば、簡単に外すことができる。
一方、面ファスナーに取付面と平行方向の力を加えて、ヘルメット取付具1を横に引っ張った場合には、この場合には面ファスナー同士の結合は強固であり、横にずらすことすら難しい。
【0068】
図6に示すように、ヘルメット取付具1のヘルメット固定部11は、取付具面ファスナー13とヘルメット面ファスナー2170の結合により、内張り2130に固定されている。また、ヘルメット固定部11は、ホック同士で係止された頬当てクッション2320と内張り2130との間の隙間に保持されている。そして、頬当てクッション2320の内面は、使用者Uの頬の部分と当接している。
【0069】
そうすると、使用者Uがヘルメット2000を装着しているときは、頬当てクッション2320を外すことができず、頬当てクッション2320が外せないのだから、ヘルメット取付具1をヘルメット2000から取り外すことは難しいということになる。すなわち、走行中においては、ヘルメット取付具1はヘルメット2000と使用者Uにより、しっかりと保持されているということになる。
【0070】
このようにして、ヘルメット取付具1は簡単な構成でありながら、非常に強固にマイク2をヘルメット2000に取り付けることが可能となった。
すなわち、ヘルメット固定部11は頬当てパッド2300とヘルメット本体2100の内面との間で保持され、マイク本体21を保持するマイク保持部12が頬当てパッド2300とヘルメット本体2100の内面から外部に突出されるように構成されている。そのため、走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持するとともに、簡単にヘルメット2000から着脱可能なヘルメット取付具1を実現させることができた。
【0071】
また、マイク本体21はヘルメット本体2100の縁部近傍に保持されているため、ヘルメット2000の着脱時において、邪魔になることは少なくなる。
ところで、従来のように長いアームを用いて口元付近にマイクを設置することなく、ヘルメット本体2100の縁部近傍にマイク本体21を配置した場合でも、使用者Uの音声をしっかり捕らえることができるのかが問題となる。
【0072】
この問題を、本発明の発明者たちは、無指向性のマイクを用いて音を捕らえ、ヘルメット用音響装置1000で音声に混入した風切り音や走行音等の雑音を低減する信号処理をして、使用者Uの音声として通話に使用できるものとしている。そして、シールド2200を閉じた場合は勿論、シールド2200を明けた場合やシールド2200がない場合も、同様に使用できるものとなった。
【0073】
また、オープンフェイスヘルメットは顎の部分が開いた形状となるので、フルフェイス型のものと比べて視野が広いものとなるが、本発明の発明者たちは、従来の口元付近までのマイクの場合は、マイクとそのアームにより視野が狭くなってしまうことを確認している。
すなわち、本実施形態では、マイク本体21はヘルメット本体2100の縁部近傍に保持されているため、視野が狭まることは少なくなる。
【0074】
なお、ヘルメット固定部11は薄く略平板状で略球面を描くような曲面状に形成されていると説明したが、これに限定されない。例えば、ヘルメット固定部11は曲面状ではなく、例えば平面に形成されていてもよい。ヘルメット固定部11は柔軟な樹脂から構成されるので、取り付けられる面の形に合わせて曲がることも可能であるし、面ファスナーも柔軟であり、また、パッドシート2310の柔軟な材質で構成されているからである。
【0075】
またなお、ヘルメット取付具1はナイロン等の柔軟な樹脂から構成されると説明したが、これに限定されない。保持する機器の大きさや重さに合わせて様々に変更可能である。例えば、金属の薄板を用いたり、もっと丈夫な樹脂にしたりしてもよい。この場合、金属の薄板ならばヘルメット固定部11を取付面に合わせて曲げることも可能であり、また、面ファスナーは柔軟であり、後述するように頬当てクッション2320も柔軟で厚みの変化を吸収するように構成されているからである。
【0076】
またなお、ヘルメット面ファスナー2170を略正方形形状をしていると説明したが、これに限定されない。例えば、ヘルメット面ファスナー2170を取付具面ファスナー13と同一形状としてもよい。この場合、ヘルメット取付具1の取り付け位置が一義的に決まるので、取り付けやすいという効果がある。また、ヘルメット面ファスナー2170を、例えば、締付け用バンド2400用の四角い穴や凸側ホック2140、2140、2140の部分を除いた内張り2130のほぼ全面に貼付するようにしてもよい。後述するカメラ等他の機器のヘルメット取付具と共にヘルメット取付具1を取り付けるのに、便利だからである。
【0077】
またなお、マイク本体21がヘルメット取付具1に使用者Uが自分で固定するよう構成されているのは、使用者Uの好みにより音声信号ケーブル22の出る方向を選択して固定するためである。しかもこの構成は、フルフェイス型のヘルメットにもマイク本体21を取り付け可能にするためでもあるので、これを説明する。
【0078】
図3において、マイク本体21の底面に、底面と略同一形状の図示されない面ファスナーを貼付する。一方、フルフェイス型のヘルメットの顎部の裏面には、マイク本体21の面ファスナーに対応する面ファスナーを貼付する。このように構成すれば、特許文献3で述べた場合と同様、面ファスナーが貼付されたマイク本体21をフルフェイス型のヘルメットの顎部の裏面の対応する面ファスナーに押圧することにより、簡単にマイクを固定することができ、また簡単に取り外すこともできることになる。
【0079】
しかしながら、フルフェイス型のヘルメットの場合でも、本実施形態と同様の取り付けができる場合があるので、これを説明する。フルフェイス型のヘルメットには、頬当てパッドが取り外しできるものもある。このようなフルフェイス型のヘルメットでは、本実施形態と同様のヘルメット取付具1の同様の取り付け方での取り付けが可能となる。
【0080】
またなお、ヘルメット本体2100の縁部近傍にあるマイク本体21が使用者Uの音声を捕らえるために、無指向性のマイクを用いて音を捕らえ、ヘルメット用音響装置1000で音声に混入した雑音を低減する信号処理をしたと説明したが、これに限定されない。
例えば、マイク本体21等に音声の音の帯域を通すバンドパス・フィルター等の回路を設置することにより、混入した雑音を低減する信号処理をしてもよい。この場合、マイク2自体で信号処理をするので、音声信号端子23からの出力は、音声が中心のものとなる。
【0081】
また例えば、ヘルメット用音響装置1000で信号処理について、風切り音や走行音等の雑音と音声の統計的性質の違いを利用して雑音を低減させるようにしてもよい。この場合、例えば音声雑音低減のための非線形デジタルフィルター等を用いれば、音声の非定常性に容易に対応が可能となり、回路規模や計算量が比較的小さなもので、聴感上良好な音声出力を得ることが可能となる。
【0082】
(第2の実施形態)
図8を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態では、ヘルメット取付具1は同様の形状を有し、第1の実施形態と同様に、頬当てクッション2320と内張り2130との間の隙間に保持されている。以下、第1の実施形態と同じ部分は同一符号を付し、説明を省略し、異なっている部分のみを説明する。
【0083】
図8に示すように、実施形態1とはヘルメット固定部11の一面に取付具面ファスナー13は貼付されるが、貼付されるのはヘルメット固定部11の外面側の面ではなく、内面側に貼付されるよう構成されている。また、取付具面ファスナー13と相互にかみ合う面ファスナーは、ヘルメット面ファスナー2170と同様の形状を有している。しかし、この面ファスナーは、内張り2130ではなく、頬当てクッション2320裏面のパッドシート2310に、頬当てパッド面ファスナー2350として貼付されるよう構成されている。
【0084】
マイク本体21を取り外すには、頬当てパッド2300を持ち上げて取り外し、その裏面からヘルメット取付具1を取付面と略垂直方向に持ち上げるようにして面ファスナー同士の結合を離すようにすれば、簡単に外すことができる。
一方、取付面と平行方向の力を面ファスナーに加えて、ヘルメット取付具1を横に引っ張った場合には、この場合の面ファスナー同士の結合は強固であり、横にずらすことすら難しい。このように構成することにより、第1の実施形態と同様に、本実施形態の場合も、ヘルメット取付具1は非常に簡単な構成でありながら、強固にマイク2をヘルメット2000に取り付けることが可能となる。
【0085】
すなわち、ヘルメット固定部11は頬当てパッド2300とヘルメット本体2100の内面との間で保持され、マイク本体21を保持するマイク保持部12が頬当てパッド2300とヘルメット本体2100の内面から外部に突出されるように構成されている。そのため、走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持するとともに、簡単にヘルメット2000から着脱可能なヘルメット取付具1を実現させることができた。
また、マイク本体21はヘルメット本体2100の縁部近傍に保持されているため、ヘルメット2000の着脱時において、邪魔になることは少なくなる。
【0086】
なお、第1の実施形態や第2の実施形態では、ヘルメット固定部11の片面に取付具面ファスナー13を貼付したが、両面に貼付するような構成にしてもよい。ヘルメット取付具1をより強固に取り付けることができる。この場合、面ファスナーの厚さ分だけ厚くなってしまうが、パッドシート2310は柔軟な材質なので、その分内側に膨らみ、この膨らんだ分の厚みの変化は、頬当てクッション2320で吸収され、使用者Uの頬は圧迫されない。
また、両面に貼付する場合には、一面の面ファスナーの面積は、他面より小さいことが好ましい。頬当てパッド2300を外したとき、ヘルメット取付具1が必ず一方の面の方に取り付いて残っていた方が、取り外し作業が容易になるからである。
【0087】
(第3の実施形態)
図9を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ヘルメット取付具1は頬当てクッション2320と内張り2130との間の隙間に保持されている。以下、第1の実施形態と同じ部分は同一符号を付し、説明を省略し、異なっている部分のみを説明する。
【0088】
図9に示すように、マイク本体21(機器)(マイク)はマイク保持部12(機器保持固定部)(マイク保持固定部)に保持されるが、マイク保持部12とヘルメット固定部11との間に短尺のアームであるマイク保持アーム14(機器保持固定部)(マイク保持固定部)が設けられている。
すなわち、この図では図示されていない頬当てパッド2300とヘルメット本体2100の内面から外部に突出されるように構成されているのは、マイク本体21を保持したマイク保持部12とマイク保持アーム14ということになる。
【0089】
図9に示すように、マイク保持アーム14により、より口元付近にマイク本体21を近付けることが可能となる。
なお、段差内面122はマイク本体21取り付けのためのガイドとしては使用できなくなるので、2つのガイド面123.123と組になって略正三角形をなす第3のガイド面123が、マイク保持部12のマイク保持アーム14側の部分に設けられている。
【0090】
図9に示すように、第1の実施形態では、マイク保持部12は略長方形の形状をしており、そこにほぼ同じ形状の取付具面ファスナー13を貼付したが、本実施形態では、略十字型をしている。縦棒の部分が増えた分だけ、より強固な固定が可能となる。
すなわち、本実施形態の場合も、走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持するとともに、簡単にヘルメット2000から着脱可能なヘルメット取付具1を実現させることが可能となる。
なお、取付具面ファスナー13の形状は、略長方形状、略十字形状ばかりでなく、例えば、略T字形状、略L字形状、略リング形状、略C字形状、略E字形状または略丸形状等でもよいことは勿論である
【0091】
また、図9に示すように、マイク保持アーム14は短尺のアームであるので、マイク本体21はヘルメット本体2100の縁部近傍に保持されていることになり、ヘルメット2000の着脱時において、邪魔になることは少なくなる。
【0092】
またここで、図9に示すようなマイク保持アーム14が短尺のアームではなく、マイク本体21を使用者Uの口元付近に配置できるような、長いアーム形状に構成してもよい。この場合も、ヘルメット固定部11により、マイク本体21やマイク保持アーム14等はしっかりと保持される。
【0093】
ただし、マイクを口元付近に配置するような長いアーム形状の場合には、マイク保持アーム14を2つに分割等して先端部等を跳ね上げて回動可能に構成したり、折り畳める構成にしたりすることが好ましい。ヘルメット2000の着脱時において、アームが邪魔になることを軽減するためである。
またこの場合、マイクを小さくし、マイク保持アーム14を細くすることが好ましい。マイクやアームによる視野の狭まりを軽減するためである。
【0094】
(第4の実施形態)
図10および図11を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態では、ヘルメット取付具1は第1の実施形態と同様に、頬当てクッション2320と内張り2130との間の隙間に保持されているが、保持されている機器が、マイク2ではなく、カメラ4であることが異なっている。以下、第1の実施形態と同じ部分は同一符号を付し、説明を省略し、異なっている部分のみを説明する。
【0095】
図10は、例えば自動二輪で走行中の様子を記録する等のために、シールド2200を下げた状態のヘルメット2000を装着した使用者Uが、カメラ4をヘルメット取付具1により取り付けている状況を示している。
【0096】
図10に示すように、ヘルメット取付具1は、第1の実施形態と同様、頬当てパッド2300とヘルメット本体2100内面の頬の部分との間にしっかりと取り付けられている。また、カメラ4はシールド2200とヘルメット本体2100の間から、外部に突出され、前方に向けて保持されている。
すなわち、本実施形態の場合も、走行中における走行風や振動等による機器のずれや、走行中の機器の落下を防止して、走行中における機器を安定して保持するとともに、簡単にヘルメット2000から着脱可能なヘルメット取付具1を実現させることが可能となる。
【0097】
図10に示すようにカメラ4を保持することにより、走行中の様子を使用者Uの目線での記録が可能となり、カメラ4をドライブレコーダーとしても、用いることができる。またここでは、ヘルメット2000にはマイク2とヘルメット用音響装置1000も取り付けてあるので、使用者Uは通話も楽しむことができる。この場合、カメラ4は口元に近い位置に固定されているので、通話の音声も記録がされることとなる。これは後で、ツーリング仲間と走行中の動画を再生して見るとき等、単に動画だけでなく、走行中の通話内容やナレーションの音声の入ったものとなり、充実した内容の画像と音声を楽しむことができるものとなる。
【0098】
図11は、ヘルメット取付具1とカメラ4の構成を示すものである。
図11に示すように、カメラ4は、カメラ保持部(機器保持固定部)15により保持され、回動連結部(機器保持固定部)16によりカメラの向きが調整され、ヘルメット固定部(ヘルメット固定部)11によりヘルメット本体2100に固定される。回動連結部16は上下調整つまみ161と左右調整つまみ162、調整連結部163を有しており、カメラ4の向きの上下方向と左右方向の調節が可能に構成されている。
すなわち、この図では図示されていない頬当てパッド2300とヘルメット本体2100の内面から外部に突出されるように構成されているのは、カメラ4を保持したカメラ保持部15と回動連結部16ということになる。
【0099】
図11に示すように、カメラ4はサイコロ形の略立方体形状をしており、背面に図示されない操作部を有している。カメラ保持部15は開閉自在の略四角い筒状で枠のような形状をなし、一面に回動連結部16と回動自在に連結する突起部を有している。カメラ4は略立方体形状なので、光軸に対し90度回動させたり、180度回動させたりした状態等でも、カメラ4をカメラ保持部15に収納し、保持させることができる構成となっている。
【0100】
図11に示すように、回動連結部16には水平方向を調節する機構は含まれていないが、これはカメラ4自身に水平維持機能を有しており、内蔵されたジャイロにより、撮影した画像の水平方向の自動補正がされて、記録されるからである。なお、水平維持機能を有さないカメラを使用する場合には、このカメラに対応して、回動連結部16に更に水平方向調整のための一軸を加えたものとしてもよいことは勿論である。
【0101】
なお、図10では、使用者Uの右側にカメラ4、左側にマイク2を設けているが、これは一例であって、例えば、使用者Uの左側または右側の一方にマイク2と共にカメラ4を取り付けるように構成してもよいことは、勿論である。また、回動連結部16は分解可能なので、いったん回動連結部16を分解し、カメラ4の取り付け位置等に合わせたものに組み立てなおしてもよいことは勿論である。
【0102】
本発明のヘルメット取り付け具及びヘルメット取り付け具付きマイクは、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施の形態においては、ヘルメット取り付け具に保持されたマイクは、ヘルメット用音響装置と携帯端末を介して通話が可能となっているが、これに限定されない。例えば、単にマイクではなく、直接通信できる通信機能回路付きのマイクとして、通信機能回路に無線または有線で接続されたイヤホンを用いることにより、通話を可能としてもよい。
【0103】
また例えば、上述した実施の形態においては、ヘルメット取り付け具に保持された機器として、マイクとカメラに適用した例について説明しているが、これに限定されない。例えば、いろいろな運転支援システムやGPS、ライト等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0104】
U 使用者
S 携帯端末
1 ヘルメット取付具
11 ヘルメット固定部
12 マイク保持部
13 取付具面ファスナー
14 マイク保持アーム
15 カメラ保持部
2 マイク
21 マイク本体
22 音声信号ケーブル
23 音声信号端子
3 ケーブルクランパー
4 カメラ
1000 ヘルメット用音響装置
2000 ヘルメット
2100 ヘルメット本体
2170 ヘルメット面ファスナー
2200 シールド
2300 頬当てパッド
2350 頬当てパッド面ファスナー
2400 締付け用バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11