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特開2022-97993撮像装置用防振機構、光学系、カメラ及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097993
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】撮像装置用防振機構、光学系、カメラ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20220624BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220624BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220624BHJP
   G03B 17/04 20210101ALI20220624BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/02
G02B7/02 C
G03B17/04
G02B7/02 Z
H04N5/225 700
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211297
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】520357958
【氏名又は名称】ジョウシュウシ レイテック オプトロニクス カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】色摩 和雄
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
2H101
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AC03
2H044AJ06
2H100BB11
2H100EE03
2H101BB07
2K005BA53
2K005CA24
2K005CA34
2K005CA40
2K005CA44
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA41
5C122EA54
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】手振れ補正機構を含む撮像装置において、撮像装置用防振機構を提供する。
【解決手段】光軸方向に移動してピント調整機構を含む光学系を備える撮像装置において、撮像素子を防振させることにより手振れ補正を行う防振機構を有する光学系であって、物体側より順に撮像レンズ群、防振機構、防振機構上の撮像素子を備え、撮像レンズ群の光軸に直交する平面を移動平面として前記防振機構上の撮像素子を移動させ手振れ補正を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に移動し、ピント調整機構を含む光学系を備える撮像装置において、撮像素子を光軸方向に直交する平面に移動させることにより手振れ補正を行う撮像装置用防振機構であって、
前記撮像素子を含む撮像装置用防振機構は、撮像レンズ群よりも像側に配置され、前記光軸に対し直交する平面上に移動可能であり、
前記撮像装置用防振機構は、前記撮像素子を枠ユニットに滑らかに移動可能に保持する為のボール部材を更に含み、前記撮像素子の移動を駆動するための駆動部材は、電動アクチュエータであり、前記枠ユニットは、光軸方向に直交する平面上を2軸に沿って移動するための移動枠を有し、
前記撮像装置用防振機構は、
駆動のための電動アクチュエータの集積回路と、
駆動の際の位置検出素子と、
撮像素子の信号を伝えるためのフレキシブル基板と、
レンズを駆動するための装置の電源供給をするための回路と、を更に有することを特徴とする撮像装置用防振機構。
【請求項2】
前記電動アクチュエータは、2つの防振磁石に挟持される防振コイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項3】
前記移動枠には、前記ボール部材を保持するための溝が開設されていることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項4】
前記撮像装置用防振機構は、上部に搭載する、レンズを駆動する装置の位置検出用信号線を供給する回路を有していることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項5】
前記枠ユニットは、支持枠を更に含み、
前記移動枠には、ヨークが設けられ、
前記電動アクチュエータの付勢方向は、前記防振磁石とヨークが引き合う方向と同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項6】
前記撮像素子を乗せるためのベース部材を更に含み、
前記ベース部材は、金属製の板であり、前記支持部材は、樹脂部材であり、前記ベース部材は、前記支持枠と一体であることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項7】
前記電動アクチュエータへ通電する為のフレキシブル基板は、撮像素子を保持する枠の光軸方向であって前記撮像素子の裏側に位置し、移動する各軸に対応するように少なくとも2回折り曲げていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項8】
前記電動アクチュエータへ通電する為のフレキシブル基板は、撮像素子を保持する枠の、光軸方向に直交する平面に設けられ、電動アクチュエータよりも外側で少なくとも2回、移動する各軸に対応するよう折り曲げていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置用防振機構を備えることを特徴とする光学系。
【請求項10】
前記光学系は、ピント調整機構を含み、前記ピント調整機構は、レンズをチルト可能であるチルト手振れ補正機構を有することを特徴とする請求項9に記載の光学系。
【請求項11】
前記ピント調整機構は、レンズを多段で沈胴し収納可能なズーム機構を有することを特徴とする請求項10に記載の光学系。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の光学系を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項13】
請求項12に記載のカメラを備えることを特徴とする携帯電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手振れ補正機能付き撮像装置用防振機構、光学系、カメラ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影技術の急速な発展に伴い、レンズ駆動を含む撮像装置は、数多くの撮影装置で広く応用されている。レンズ駆動を含む撮像装置を各種の携帯式電子機器、例えば携帯電話、タブレットコンピュータ等に応用したものは、特に消費者に受け入れられている。
【0003】
通常の携帯式電子機器に適応されたレンズ駆動装置の駆動機構は、一般的に光軸方向にピントを調整するオートフォーカス機構及び、光軸方向に直交する平面を駆動する手振れ補正機構が一体となって構成される事が多い。
これら2つの機能はコイルと磁石鋼とによって形成され、コイルがレンズキャリアの外周に固定されている。コイルへ電流を印加するとき、電磁力の作用によって、コイルは、レンズキャリアを動かしてレンズの光軸方向に沿って移動させることによって焦点を合わせることができる。また、ユーザが手で電子機器を持ちながら撮影する際に、手振れによるレンズ駆動装置の振れに対しては光軸に対して垂直方向へ駆動する事で振れを補正することが可能となる。
しかしながら、例えば携帯式電子機器に搭載する小型の小型機器であって、光学全長の長い中望遠などの光学系での手振れ補正機構は、駆動量の長さやレンズの重量により一体機構の中での低背化や小型化が難しい課題があった。
また光軸方向に駆動するピントを調整するためのオートフォーカス機構とレンズを光軸に直交する平面で駆動するレンズシフト手振れ補正機構が一体であることでそれぞれの持つ固有振動を抑制するための機構や、レンズの芯出しなどの調整も必要なため、組付けの工夫が必要な面や、設計難易度も上がる傾向にある。
さらに光軸方向に駆動するピントを調整するためのオートフォーカス機構と光軸方向に直交する平面を駆動するレンズシフト手振れ補正機構はレンズバレルを3次元的に移動可能な為落下時の衝撃対策の難しさなどが挙げられる。
これらの課題を解決するために撮像素子を駆動する機構があるが、支持部材に板バネを用いた構成では落下時の変形による正常な駆動を妨げられる可能性や、上部レンズユニットの重量による傾きや沈み込みが発生する懸念もあった。
【0004】
従って、以上の課題を解決できる新しい撮像装置を提供することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-113545号公報
【特許文献2】特開2006-133740号公報
【特許文献3】特開2006-330678号公報
【特許文献4】特開2006-337987号公報
【特許文献5】特開2016-224262号公報
【特許文献6】特開2017-15772号公報
【特許文献7】特開2019-225428号公報
【特許文献8】特開2020-52248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の問題点を鑑みてなされたものであり、屈曲光学系を有する撮像装置の手振れ補正において、撮像装置を大型化することのなく省スペースな防振機構を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は以下のように実現された。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0008】
光軸方向に移動し、ピント調整機構を含む光学系を備える撮像装置において、撮像素子を光軸方向に直交する平面に移動させることにより手振れ補正を行う撮像装置用防振機構であって、
前記撮像素子を含む撮像装置用防振機構は、撮像レンズ群よりも像側に配置され、前記光軸に対し直交する平面上に移動可能であり、
前記撮像装置用防振機構は、前記撮像素子を枠ユニットに滑らかに移動可能に保持する為のボール部材を更に含み、前記撮像素子の移動を駆動するための駆動部材は、電動アクチュエータであり、前記枠ユニットは、光軸方向に直交する平面上を2軸に沿って移動するための移動枠を有し、
前記撮像装置用防振機構は、駆動のための電動アクチュエータの集積回路と、駆動の際の位置検出素子と、撮像素子の信号を伝えるためのフレキシブル基板と、
レンズを駆動するための装置の電源供給をするための回路と、を更に有する撮像装置用防振機構は提供される。
【0009】
前記電動アクチュエータは2つの防振磁石に挟持される防振コイルを含むことが好ましい。
【0010】
前記移動枠には前記ボール部材を保持するための溝が開設されていることを特徴とすることが好ましい。
【0011】
前記撮像装置用防振機構は上部に搭載する、レンズを駆動する装置の位置検出用信号線を供給する回路を有していることが好ましい。
【0012】
前記枠ユニットは、支持枠を更に含み、前記移動枠には、ヨークが設けられ、前記電動アクチュエータの付勢方向は、前記防振磁石とヨークが引き合う方向と同一であることが好ましい。
【0013】
前記撮像素子を乗せるためのベース部材を更に含み、前記ベース部材は金属製の板であり、前記支持部材は樹脂部材であり、前記ベース部材は、前記支持枠と一体であることが好ましい。
【0014】
前記電動アクチュエータへ通電する為のフレキシブル基板は、撮像素子を保持する枠の光軸方向であって前記撮像素子の裏側に位置し、移動する各軸に対応するように少なくとも2回折り曲げていることが好ましい。
【0015】
前記電動アクチュエータへ通電する為のフレキシブル基板は、撮像素子を保持する枠の、光軸方向に直交する平面に設けられ、電動アクチュエータよりも外側で少なくとも2回、移動する各軸に対応するよう折り曲げていることが好ましい。
【0016】
また本発明は、上記撮像装置用防振機構を備える光学系を提供する。
【0017】
前記光学系は、ピント調整機構を含み、前記ピント調整機構は、レンズをチルト可能であるチルト手振れ補正機構を有してもよい。
【0018】
前記ピント調整機構は、レンズを多段で沈胴し収納可能なズーム機構を有してもよい。
【0019】
また本発明は、上記光学系を備えるカメラなどの撮像装置を提供する。
【0020】
また本発明は、上記撮像装置を備えるスマートフォンなどの携帯電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の利点として、本発明の撮像装置用防振機構が、撮像素子を光軸に直交する平面内で2つの枠体により移動させることによって手振れ補正を行うことで、撮像素子上に配置されるピント調整機構とレンズからなるユニットが低背、小型化し、レンズシフト手振れ補正機構を省き、ピント調整機構とフレ補正機構の部品を分離し固有振動を抑制するため設計難易度が下がることや、同時にレンズバレルを3次元的に移動する必要がなくなるため落下時の衝撃対策の設計難易度も下がり、合わせてレンズバレルの芯出しも容易になり、レンズが平面方向へシフトしないためスマートフォン等のレンズ突出開口部を最小にすることができる。
撮像素子を駆動する機構においても、支持部材に板バネを用いない構成のため、落下時の変形による駆動妨害の懸念や、上部レンズユニットの重量による傾きや沈み込みを抑え、像面での性能影響を少なくすることができる。
また付勢手段である電動アクチュエータの防振磁石とヨークによりガタ取り及び付勢を行うことができるため、付勢の為の他部材が必要なく、部品の大幅な削減による小型化、組付け容易化に貢献している。
さらに、ピント調整機構はレンズを沈胴し収納するズーム機構を持っていてもよく、その他の組み合わせとして、レンズをチルトして防振するチルト手振れ補正機構である場合は撮像装置用防振機構と合わせ4軸の手振れ補正が可能である。
これらの利点より、小型化が進む携帯式電子機器の中でより効率の良い防振機構をする目的が達成でき、撮像画像の品位が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態の撮像装置用防振機構のうち、撮像素子の下側を通るフレキシブル基板の構成を前側から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態の撮像装置用防振機構のうち、防振機構の側面を通るフレキシブル基板の構成を前側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態の撮像装置用防振機構のうち、撮像素子の下側を通るフレキシブル基板の構成の断面図である。
図4】本発明の実施形態の撮像装置用防振機構のうち、防振機構の側面を通るフレキシブル基板の構成のA―A矢視断面図である。
図5】本発明の1つの実施形態のフレキシブル基板のある角度の模式図である。
図6図5に示すフレキシブル基板の別の角度の模式図である。
図7】本発明の別の実施形態のフレキシブル基板のある角度の模式図である。
図8図7に示すフレキシブル基板の別の角度の模式図である。
図9】本発明の実施形態のピント調整機構を持つオートフォーカス機構である。
図10図9の側面図である。
図11】本発明の実施形態のピント調整機構を持つ沈胴するズーム機構である。
図12図11の側面図である。
図13】本発明の撮像装置用防振機構を備えた携帯電子機器(携帯情報端末)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
【0024】
図1図4は、本発明の撮像装置用防振機構100、防振ユニット60を示す図面である。
【0025】
図1図12は、本発明の実施形態に係る撮像装置とその構成要素を示している。
撮像装置用防振機構100の撮像光学系は、対物側よりレンズ30、レンズ30を駆動させピント調整機構を持つオートフォーカス機構31または、レンズ30を駆動させピント調整機構を含む沈胴するズーム機構32、撮像素子40で構成される光学系となっている。
【0026】
光軸に沿ってレンズ30のレンズ入射面30-aに入射した被写体からの光束は、レンズ射出面30-bによって射出され、撮像素子40の撮像面上に結像される。
【0027】
撮像装置用防振機構100はベースA10-aを有する。当該ベースA10-aは、金属制の板であってもよい。図1に示すように、ベースA10-aは、防振ユニット60の空間を有するケースA11-aとで構成される空間に、ベース10-aに固定された防振磁石B75と、ケースA11-aに固定された防振磁石A74がある。
撮像装置用防振機構100は、撮像素子40を枠ユニットに滑らかに移動可能に保持する為のボール部材を含む。撮像素子40の移動を駆動するための駆動部材は、電動アクチュエータである。当該電動アクチュエータは、防振コイル70であってもよい。
ベースA10-a上にボール15によって支持される支持枠12-aと、支持枠12-a上に支持可能である移動枠13-aとの間には、ベースA10-aに、移動のための電動アクチュエータ部材である防振コイル70及び撮像素子支持枠14、防振ヨーク72が更に取り付けられ、撮像素子支持枠14上には撮像素子40と撮像素子40及び電動アクチュエータへの信号線及び電源線を伝えるためのフレキシブル基板A50が取り付けられ、外部からの信号及び電源のやり取りが行われる。
またフレキシブル基板A50上には防振ホールセンサ71が取り付けられ、防振磁石B75の磁力を読み取り、フィードバックできる様配置される。
支持枠12-aは、樹脂部材であってもよく、ベースA10-aは、支持枠12-aと一体であってもよい。
ベースA10-aの底面はフレキシブル基板A50を外部へ通すための開口部があり、カバー板20によって塞がれる。
【0028】
前記移動枠13-a上の防振コイル70はベース10-aに固定された防振磁石B75と、ケースA11-aに固定された防振磁石A74によって挟み込まれる形で配置されており、防振コイル70に通電して発生した電磁力は防振磁石A74と防振磁石B75に効率よく作用する。
【0029】
移動枠13-aに取り付けられている撮像素子支持枠14と防振コイル70、防振ホールセンサ71、防振ヨーク72及び、フレキシブル基板Aまたはフレキシブル基板Bは、防振コイル70への通電によって引き起こされる電磁力により、固定された防振磁石A74及び防振磁石B75との作用により駆動され、防振動作が行われる。
【0030】
防振ヨーク72は、移動枠13-aの、防振磁石B75と対向しない面側に設けられ、固定されている。
【0031】
前記ベースA10-a及びベースB10-bには支持枠12-aとの摺動用にボール15を保持できるベースの支持部材溝10-cを有している。また支持枠12-aの対向する部分にも支持枠の支持部材溝112-bを有している。さらに支持枠12-aと移動枠13-aの対向する部分にも支持枠の支持部材溝212-c及び、移動枠13-aにも移動枠の支持部材溝13-bが形成されており、これら支持部材溝はボール15が滑らかに回転できるよう面精度が設定されている。
【0032】
前記ベースの支持部材溝10-c及び、支持枠12-aの支持部材溝12-b、支持枠12-aの支持部材溝12-c、移動枠の支持部材溝13-bについては対応する移動方向の溝が掘られているため移動方向規制を兼ね備え、想定する移動方向以外への回動などを防止する効果を有する。
【0033】
前記ベースの支持部材溝10-c及び、支持枠の支持部材溝12-b、支持枠の支持部材溝12-c、移動枠の支持部材溝13-bの支持及び摺動部にはボール15を用いて、低負荷で摺動可能であり、前記与圧によって確実なガタ取りを可能としている。
【0034】
前述したガタ取りする方向は、移動枠13-aに取り付けられた防振ヨーク72からベースA10-aに取り付けられた防振磁石B75の方向に働き、ベースA10-a及び支持枠12-aと移動枠13-aの距離が決定される方向と一致しており、安定した位置検出を可能とすることができる。ベースA10-aに取り付けられた防振磁石B75に対向する防振ヨーク72は防振磁石B75よりも細くなっており、移動枠13-aを中心保持する吸引力を発生させる設定となっている。つまり、移動枠13-aが移動した場合、磁性により所定の位置(実施例では移動範囲の中心)に保持する磁気バネとして作用している。
【0035】
前述した通り、支持枠12-aはボール15によってベースA10-aに移動自在に保持され、支持枠12-a上には移動枠13-aがボール15によって移動可能に保持されている。
また、移動枠13-a上に配置された防振ヨーク72が、ベースA10-aまたはベースB10-b上に配置された防振磁石B75の方向に付勢されており、防振ヨーク72は移動方向の中心保持をすると共に支持枠12-aを介した脱落防止及びブロック間のガタ取りの役割を持ち、さらに防振コイル70の漏れ磁束を有効に駆動力に活用する役割も持ち合わせ、大幅な部品削減を行うことを可能としている。
【0036】
前記防振ホールセンサ71を設けることにより、ベースA10-aに取り付けられた防振磁石B75の磁気を検出し、移動枠13-a及び支持枠12-aの位置を検出することが出来る為、より精度良い振れ補正調整を行い正確な制御を実現している。
【0037】
前記防振コイル70は、撮像素子支持枠14及び移動枠13上に取り付けられて固定されているコイル巻き線であっても良く、直接にフレキシブル基板A50上に形成されている導電性パターンであっても良い。
【0038】
撮像装置用防振機構100のフレキシブル基板A50は撮像素子40の下側に折り曲げて配置され、2軸の駆動方向に自由に駆動できるよう、フレキシブル基板A50の反力を軽減するため、2軸それぞれに少なくとも1回以上折りたたんで撮像装置用防振機構100の外側に信号線や電源線を含めた配線が出来るよう、フレキシブル基板Aの屈曲部52の様に構成されている。
【0039】
前記フレキシブル基板A50は撮像素子40や撮像装置用防振機構100の全ての信号線、電源線を伝えるためのもので、レンズ30を保持する、ピント調整機構を持つオートフォーカス機構31やその他レンズ30に関わる装置への信号線、電源線も兼ね備えている。
【0040】
前記フレキシブル基板A50は、フレキシブル基板B51のように撮像素子用防振機構の側面に配置することも可能であり、その場合はフレキシブル基板Bの屈曲部53の様に構成することもでき、その場合はベースB10-b、ケースB11-bの様にフレキシブル基板B51を収容する空間を持つ部材により構成することも出来る。
この場合も前記全ての信号線や電源線を兼ね備えることは変わらない。
【0041】
本実施形態において、前記レンズを駆動するための装置はピント調整機構を持つ沈胴するズーム機構32または、レンズをチルトして防振するチルト手振れ補正機構(図示しない)であってもよい。
【0042】
上述した撮像装置用防振機構100は、たとえば図13に示すいわゆるスマートフォン、いわゆるフィーチャーフォン、またはタブレット機器などの携帯情報機器200用の撮像装置用防振機構100に用いられてもよい。
【0043】
以上は、ただ本発明の好ましい実施形態に過ぎなく、本発明の保護範囲は、上記実施形
態に限定されたものではなく、本領域の技術者が本発明に開示された内容に基づき作られ
た同等の修正または変形は、すべて本願の特許請求の範囲に記載された本発明に含まれて
いる。
【符号の説明】
【0044】
10-a … ベースA
10-b … ベースB
10-c … ベースの支持部材溝
11-a … ケースA
11-b … ケースB
12-a … 支持枠
12-b … 支持枠の支持部材溝1
12-c … 支持枠の支持部材溝2
13-a … 移動枠
13-b … 移動枠の支持部材溝
14 … 撮像素子支持枠
15 … ボール
20 … カバー板
30 … レンズ
30-a … レンズ入射面
30-b … レンズ射出面
31 … ピント調整機構を持つオートフォーカス機構
32 … ピント調整機構を持つ沈胴するズーム機構
40 … 撮像素子
50 … フレキシブル基板A
51 … フレキシブル基板B
52 … フレキシブル基板Aの屈曲部
53 … フレキシブル基板Bの屈曲部
60 … 防振ユニット
70 … 防振コイル
71 … 防振ホールセンサ
72 … 防振ヨーク
74 … 防振磁石A
75 … 防振磁石B
100 … 撮像装置用防振機構
200 … 携帯情報機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に移動し、ピント調整機構を含む光学系を備える撮像装置において、撮像素子を光軸方向に直交する平面に移動させることにより手振れ補正を行う撮像装置用防振機構であって、
前記撮像素子を含む撮像装置用防振機構は、レンズ群よりも像側に配置され、前記光軸に対し直交する平面上に移動可能であり、
前記撮像装置用防振機構は、前記撮像素子を枠ユニットに滑らかに移動可能に保持する為のボール部材を更に含み、前記撮像素子の移動を駆動するための駆動部材は、電動アクチュエータであり、前記枠ユニットは、光軸方向に直交する平面上を2軸に沿って移動するための移動枠を有し、
前記撮像装置用防振機構は、
駆動のための電動アクチュエータの集積回路と、
駆動の際の位置検出素子と、
撮像素子の信号を伝えるためのフレキシブル基板と、
レンズを駆動するための装置の電源供給をするための回路と、を更に有し、
前記電動アクチュエータは、2つの防振磁石に挟持される防振コイルを含み、
前記枠ユニットは、支持枠を更に含み、
前記移動枠には、ヨークが設けられ、
前記電動アクチュエータの付勢方向は、前記防振磁石とヨークが引き合う方向と同一であり、前記ヨークは、前記移動枠の、前記防振磁石と対向しない面側に設けられ、固定されており、前記ヨークは、移動方向の中心保持をすることを特徴とする撮像装置用防振機構。
【請求項2】
前記移動枠には、前記ボール部材を保持するための溝が開設されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項3】
前記撮像装置用防振機構は、上部に搭載する、レンズを駆動する装置の位置検出用信号線を供給する回路を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項4】
前記撮像素子を乗せるためのベース部材を更に含み、
前記ベース部材は、金属製の板であり、前記支持枠は、樹脂部材であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項5】
前記電動アクチュエータへ通電する為のフレキシブル基板は、撮像素子を保持する枠の光軸方向であって前記撮像素子の裏側に位置し、移動する各軸に対応するように少なくとも2回折り曲げていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項6】
前記電動アクチュエータへ通電する為のフレキシブル基板は、撮像素子を保持する枠の、光軸方向に直交する平面に設けられ、電動アクチュエータよりも外側で少なくとも2回、移動する各軸に対応するよう折り曲げていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置用防振機構。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置用防振機構を備えることを特徴とする光学系。
【請求項8】
請求項7に記載の光学系を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項8に記載のカメラを備えることを特徴とする携帯電子機器。