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特開2022-98054点滅照明装置による車両の誘導方法及び点滅照明装置
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  • 特開-点滅照明装置による車両の誘導方法及び点滅照明装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098054
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】点滅照明装置による車両の誘導方法及び点滅照明装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/559 20160101AFI20220624BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
E01F9/559
G08G1/09 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211376
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508364174
【氏名又は名称】早水電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 真男
(72)【発明者】
【氏名】武田 有加里
(72)【発明者】
【氏名】相本 正幸
(72)【発明者】
【氏名】山岡 良平
【テーマコード(参考)】
2D064
5H181
【Fターム(参考)】
2D064AA03
2D064AA21
2D064BA01
2D064BA05
2D064DA16
2D064EA03
2D064EB05
2D064EB38
2D064JA02
5H181AA01
5H181HH14
5H181HH23
5H181HH24
5H181JJ23
5H181JJ25
5H181JJ27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特にカーブや車線規制の区間においても、道路線形を見易くして、適切な走行速度で走行するように車両を誘導することのできる点滅照明装置による車両の誘導方法を提供する。
【解決手段】点滅灯10を点灯させて車両の走行を誘導する車両の誘導方法であって、点滅灯である点滅照明装置10は、配線ケーブル20に接続されて、車両を誘導すべき車線に沿って所定のピッチで複数設置されると共に、赤色のLED、緑色のLED、及び青色のLEDによる3原色のLEDを含む複数のLEDを備えるLED光源部を有している。車両を誘導すべき車線に沿って複数設置された点滅照明装置10を、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンで点灯させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させるようになっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滅灯を点灯させて車両の走行を誘導する点滅照明装置による車両の誘導方法であって、
前記点滅照明装置は、配線ケーブルに接続されて、車両を誘導すべき車線に沿って所定のピッチで複数設置されると共に、赤色のLED、緑色のLED、及び青色のLEDによる3原色のLEDを含む複数のLEDを備えるLED光源部を有しており、
車両を誘導すべき車線に沿って複数設置された前記点滅照明装置を、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンで点灯させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させる点滅照明装置による車両の誘導方法。
【請求項2】
異なる色の組み合わせによる前記所定の点灯パターンは、第1色が2灯、第2色が1灯の点灯パターンである請求項1記載の点滅照明装置による車両の誘導方法。
【請求項3】
前記第1色が青色、前記第2色が緑色である請求項2記載の点滅照明装置による車両の誘導方法。
【請求項4】
前記第1色が緑色、前記第2色が青色である請求項2記載の点滅照明装置による車両の誘導方法。
【請求項5】
前記点滅照明装置は、基盤部と、該基盤部の上面側に設置される1又は複数の前記LED光源部と、1又は複数の前記LED光源部を覆って前記基盤部の上面側に設置される、前記LED光源部を臨ませる透光窓部を有する金属製の防護カバー体とを含んで構成されており、
前記基盤部を介して前記点滅照明装置を路面に設置して、路面において、前記複数の点滅照明装置を、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンで点滅させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させる請求項1~4のいずれか1項記載の点滅照明装置による車両の誘導方法。
【請求項6】
請求項5記載の車両の誘導方法に用いる点滅照明装置であって、
基盤部と、該基盤部の上面側に設置される1又は複数の前記LED光源部と、1又は複数の前記LED光源部を覆って前記基盤部の上面側に設置される、前記LED光源部を臨ませる透光窓部を有する金属製の防護カバー体とを含んで構成されており、
前記LED光源部は、赤色のLED、緑色のLED、及び青色のLEDによる3原色のLEDを含む複数のLEDを備えている点滅照明装置。
【請求項7】
前記LED光源部は、発光部を4方に向けて前記基盤部の上面側に4体設置されており、前記防護カバー体は、前記発光部を臨ませる透光窓部を、4方に開口させている請求項6記載の点滅照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滅照明装置による車両の誘導方法及び点滅照明装置に関し、特に、点滅灯を点滅させて車両の走行を誘導する点滅照明装置による車両の誘導方法、及び該誘導方法に用いる点滅照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば道路工事を行なう際の車線規制による影響や、橋梁やトンネルの手前で無意識に車両の速度を落とすことによる影響や、或いは道路勾配による影響等によって、高速道路などの幹線道路では、渋滞が発生し易い区間がところどころで生じており、またこのような渋滞が発生し易い区間において渋滞を緩和できるようにするための技術が、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、道路に沿って設けた複数の点滅可能な発光体(点滅灯)による走行方向の点滅速度を、所定の速度に設定することで、道路を走行する車両の運転者に対して、走行速度が安全な範囲を超えていることや、渋滞の発生の原因となる範囲となっていることを認識させる技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、このような点滅灯の点滅速度を所定の速度に設定する技術を応用して、複数の路面案内灯(点滅灯)を、所定の走行速度に合わせて順次点滅させるように設定することで、適切な走行速度で車両が通過するように誘導して、交通渋滞を緩和できるようにする技術(例えば、特許文献3、段落〔0058〕参照)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-259046号公報
【特許文献2】特開2019-159915号公報
【特許文献3】特開2019-90176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献2や特許文献3に記載された、点滅灯の点滅速度を所定の速度に設定することで、道路を走行する車両に対して、適切な走行速度で走行するように誘導する方法では、点滅灯による所定の速度での点滅パターンは、好ましくは1灯2滅、1灯3滅、3灯3滅といったように、点灯と消灯の区別で光の流れを表現し、例えば1灯2滅であれば、1基が点灯し後続する2基が消灯した状態で、これらの点灯と消灯が1基ずつずれてゆくことで、光が流れてゆくように見えるようなっている。
【0006】
しかしながら、上述の特許文献2や特許文献3に記載された、点滅灯の点滅速度を所定の速度に設定することで、道路を走行する車両に対して、適切な走行速度で走行するように誘導する方法では、例えば高速道路等において、点滅灯の設置間隔を10m程度とした場合に、好ましくは視認性の高い発光色で点滅させることによって、遠くからでも点滅する光を見易くするようにはなっているものの、例えば点滅パターンと走行する車両のスピードとの関係で、点滅灯が消灯している領域と車両とが並走してしまうことになると、特にカーブや車線規制の区間において道路線形が見えづらくなって、適切な走行速度で走行するように効果的に車両を誘導することが難しくなる。
【0007】
本発明は、点滅灯(点滅照明装置)による点灯パターンを工夫することによって視認性を向上させることにより、特にカーブや車線規制の区間においても道路線形をさらに見易くして、適切な走行速度で走行するように、一層効果的に車両を誘導することのできる点滅照明装置による車両の誘導方法、及び該誘導方法に用いる点滅照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、点滅灯を点灯させて車両の走行を誘導する点滅照明装置による車両の誘導方法であって、前記点滅照明装置は、配線ケーブルに接続されて、車両を誘導すべき車線に沿って所定のピッチで複数設置されると共に、赤色のLED、緑色のLED、及び青色のLEDによる3原色のLEDを含む複数のLEDを備えるLED光源部を有しており、車両を誘導すべき車線に沿って複数設置された前記点滅照明装置を、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンで点灯させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させる点滅照明装置による車両の誘導方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
そして、本発明の点滅照明装置による車両の誘導方法は、異なる色の組み合わせによる前記所定の点灯パターンは、第1色が2灯、第2色が1灯の点灯パターンであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の点滅照明装置による車両の誘導方法は、前記第1色が青色、前記第2色が緑色であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の点滅照明装置による車両の誘導方法は、前記第1色が緑色、前記第2色が青色であることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の点滅照明装置による車両の誘導方法は、前記点滅照明装置が、基盤部と、該基盤部の上面側に設置される1又は複数の前記LED光源部と、1又は複数の前記LED光源部を覆って前記基盤部の上面側に設置される、前記LED光源部を臨ませる透光窓部を有する金属製の防護カバー体とを含んで構成されており、前記基盤部を介して前記点滅照明装置を路面に設置して、路面において、前記複数の点滅照明装置を、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンで点滅させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させるようになっていることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記の車両の誘導方法に用いる点滅照明装置であって、基盤部と、該基盤部の上面側に設置される1又は複数の前記LED光源部と、1又は複数の前記LED光源部を覆って前記基盤部の上面側に設置される、前記LED光源部を臨ませる透光窓部を有する金属製の防護カバー体とを含んで構成されており、前記LED光源部は、赤色のLED、緑色のLED、及び青色のLEDによる3原色のLEDを含む複数のLEDを備えている点滅照明装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0014】
そして、本発明の点滅照明装置は、前記LED光源部が、発光部を4方に向けて前記基盤部の上面側に4体設置されており、前記防護カバー体は、前記発光部を臨ませる透光窓部を、4方に開口させていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の点滅照明装置による車両の誘導方法、又は点滅照明装置によれば、点滅照明装置による点灯パターンを工夫することによって視認性を向上させることにより、特にカーブや車線規制の区間においても道路線形をさらに見易くして、適切な走行速度で走行するように、一層効果的に車両を誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の好ましい一実施形態に係る点滅照明装置による車両の誘導方法によって車両が誘導される車線規制区間を例示する説明図である。
図2図2は、車両を誘導すべき車線に沿って所定のピッチで複数設置された点滅照明装置を説明する略示斜視図である。
図3図3は、本発明の好ましい一実施形態に係る点滅照明装置による車両の誘導方法の説明図である。
図4図4は、所定のピッチで路面に複数設置された点滅照明装置の部分略示斜視図である。
図5図5は、本発明の好ましい一実施形態に係る点滅照明装置の斜視図である。
図6図6は、点滅照明装置の基盤部の上面側に設置されるLED光源部を説明する斜視図である。
図7図7は、点滅照明装置のLED光源部を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい一実施形態に係る点滅照明装置による車両の誘導方法は、例えば図1に示す車線拡幅工事に伴う車線規制区間において、走行する車両を、規制される車線にスムーズに誘導するための方法として採用されたものである。本実施形態の車両の誘導方法では、図1に示す車線拡幅工事に伴う車線規制区間において、登り車線及び下り車線の各々規制区間における、テーパー区間から平行区間に至る600m程度の設置領域Rに、車両を誘導すべき車線に沿って、図2に示すように、点滅照明装置10を所定のピッチで複数設置して、車両を誘導すべき所定の速度で、車両の走行方向に点灯移動させることによって、所定の速度で車両が走行するよう誘導できるようになっている。本実施形態の車両の誘導方法は、点滅照明装置10による点灯パターンを工夫することによって、点灯したまま区別された色の光の流れにより視認性を向上させることで、道路線形をさらに見易くして、所定の適切な速度で走行するように、一層効果的に車両を誘導できるようにする機能を備えている。
【0018】
そして、本実施形態の点滅照明装置による車両の誘導方法は、図2及び図3に示すように、点滅灯(点滅照明装置)10を点灯させて車両の走行を誘導する車両の誘導方法であって、点滅灯である点滅照明装置10は、配線ケーブル20に接続されて、車両を誘導すべき車線に沿って所定のピッチで複数設置されると共に、図4及び図5に示すように、赤色のLED12a、緑色のLED12b、及び青色のLED12cによる3原色のLED12a,12b,12c(図7参照)を含む複数のLEDを備えるLED光源部11を有しており、車両を誘導すべき車線に沿って複数設置された点滅照明装置10を、図3に示すように、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンで点灯させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させるようになっている。
【0019】
また、本実施形態では、異なる色の組み合わせによる前記所定の点灯パターンは、好ましくは図3において「薄い色の〇」で表示される第1色が2灯、「濃い色の〇」で表示される第2色が1灯の点灯パターンとなっており、より好ましくは、第1色が青色、第2色が緑色である点灯パターンとなっている。
【0020】
さらに、本実施形態では、点滅照明装置10は、図5及び図6に示すように、基盤部13と、基盤部13の上面側に設置される1又は複数(本実施形態では4体)のLED光源部11と、1又は複数のLED光源部11を覆って基盤部13の上面側に設置される、LED光源部11の発光部11aを臨ませる透光窓部14を有する金属製の防護カバー体15とを含んで構成されており、基盤部13介して点滅照明装置10を路面に設置して、路面において、複数の点滅照明装置10を、図3に示すように、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンで点灯させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させるようになっている。
【0021】
本実施形態では、点滅灯である点滅照明装置10は、上述のように、基盤部13と、LED光源部11と、防護カバー体15とを含んで構成されており、バッテリーやツバ板部は備えていなことなどを除いて、本願出願人の出願に係る特願2020-76582に記載の発煙筒代替発光装置と、略同様の構成を有している。
【0022】
点滅照明装置10を構成する基盤部13は、点滅照明装置10の底面部を形成する部分となっており、好ましくは外径が100~300mm程度の大きさの、円形状の平面形状を備えている。本実施形態では、基盤部13は、LED光源部11が固定される例えばアルミダイキャスト製のベース部13aと、ベース部13aの下面側に一体として接合された例えばシリコーンゴム製のベースカバー13bとからなる、二重構造を備えている。ベース部13aの下面側にベースカバー13bが取り付けられていることにより、車両として例えば5トントラックが当該点滅照明装置10を踏んだ際の緩衝効果や、路面からの地熱による影響の緩和効果等を発揮することが可能になる。また基盤部13には、好ましくは持ち手となる把持用開口13cが、4箇所に開口形成されている。
【0023】
基盤部13のベース部13aによる上面側に設置されるLED光源部11は、例えば公知のLED照明モジュールからなり、図6及び図7に示すように、一面を発光部11aとして開口させた、例えばアルミダイキャスト製の扁平な直方体形状のLEDカバー11bの内側に、多数のLED12a,12b,12cを、発光部11aに臨ませて配設することによって形成されている。本実施形態では、多数のLED12a,12b,12cは、赤色のLED12a、緑色のLED12b、及び青色のLED12cによる3原色のLEDを含んでおり、例えば複数の赤色のLED12aが上段に、複数の緑色のLED12bが中段に、赤色のLED12aが下段に配置されて(図7参照)、円端部分を発光部11aに向けた状態でLED光源部11に取り付けられている。LED光源部11に取り付けられる多数のLED12a,12b,12cが、赤色のLED12a、緑色のLED12b、及び青色のLED12cによる3原色のLEDを含んでいることにより、好ましくは所定のプラグラムが組み込まれたコンピュータを含むコントロールボックス(図示せず)の操作による信号を受けて、これらの3原色でLED光源部11を発光させたり、これらの3原色を適宜組み合わせた、任意の色でLED光源部11を発光させたりできるようになっている。
【0024】
本実施形態では、好ましくは4体のLED光源部11が、これらの発光部11aを四方に向けた状態で、公知の固定方法によって、基盤部13のベース部13aに取り付けられている(図6参照)。基盤部13に取り付けられたLED光源部11は、例えば基盤部13に配設された配線類と連結されて、点滅照明装置10に接続される配線ケーブル20から電力を得ると共に、コントロールボックスの操作による信号を受けて、所定の色で点滅したり、所定の時間間隔で色を変化させながら点灯したりできるようになっている。4体のLED光源部11が、これらの発光部11aを四方に向けた状態で、基盤部13に取り付けられていることにより、点滅灯である点滅照明装置10による点灯を、360°のどの方向からでも容易に視認することができるようになっている。
【0025】
好ましくは4体のLED光源部11を覆って基盤部13の上面側に設置される防護カバー体15は、本実施形態では、好ましくは金属製のアルミダイキャスト製品となっており、図5に示すように、四方に張り出した4箇所の張出し脚部15a,15bにおける、対角方向に設けられた各一対の張出し脚部15a,15bの先端辺部の間の間隔幅が、円形状の基盤部13の外径と同様の大きさとなる平面形状を備えるように形成されている。防護カバー体15は、円形状の天面部15cと、天面部15cの四方に張り出して設けられた張出し脚部15a,15bとを含んで構成されている。防護カバー体15は、張出し脚部15a,15bの下端面を基盤部13の上面に接合して基盤部13に取り付けられた際に、円形状の天面部15cが、走行中の車両のタイヤが乗越え可能な高さとして、路面30から例えば30mm程度の高さに配置されるように形成されている。
【0026】
また、本実施形態では、防護カバー体15の4箇所の張出し脚部15a,15bにおける、各隣接する張出し脚部15a,15bの天面部15cへの接続基端部の間の部分には、四方に向けて各々開口する透光窓部14が、4箇所に形成されている。これらの4箇所の透光窓部14の各々には、基盤部13の上面側に設置された4体のLED光源部11の発光部11aが、臨んで配置されるようになっている。
【0027】
さらに、本実施形態では、円形状の天面部15cの四方に張り出して設けられた張出し脚部15a,15bのうち、一方の対角方向に設けられた一対の張出し脚部15aは、上面が外側に向けて斜め下方に傾斜する傾斜脚部となっており、他方の対角方向に設けられた一対の張出し脚部15bは、二股状の脚部となっている。二股状の張出し脚部15bの各々には、二股形状の間の部分に、接続用のソケット部16が設けられている。これらのソケット部16に端部が差し込まれることによって、配線ケーブル20が、点滅灯である点滅照明装置10に各々接続されることになる。
【0028】
配線ケーブル20は、点滅照明装置10のLED光源部11に、電力やコントロールボックスからの信号を送ることが可能な、公知の各種のケーブルを用いることができ、例えばAC(Alternating Current)ケーブルを用いることができる。配線ケーブル20は、交流と直流とを変換できるアダプター等と接続されていることで、交流電源及び直流電源のどちらからでも電力を取得できるようになっていることが好ましい。
【0029】
本実施形態では、上述の構成を備える点滅照明装置10は、例えば配線ケーブル20を介して12台の当該点滅照明装置10が接続された、好ましくは110mの長さ分のユニットとして、例えば図1に示す車線拡幅工事に伴う車線規制区間の設置現場まで、好ましくはパワーゲート(登録商標)車等を用いて搬送することができる。ユニットとして搬送された複数の点滅照明装置10は、車線規制区間の設置現場における、車両を誘導すべき車線に沿った登り車線及び下り車線の各々の、テーパー区間から平行区間に至る600m程度に亘る設置領域Rに、例えば3セットのユニットによる合計36台の点滅照明装置10を、配線ケーブル20を介して連設した状態で、好ましくは10m程度の所定のピッチで、車両を誘導すべき車線に沿った片側側縁部の路面に、容易に設置することができる。
【0030】
そして、本実施形態では、車両を誘導すべき車線に沿った、登り車線及び下り車線の各々の設置領域Rに設置された複数の点滅照明装置10に、配線ケーブル20を介してコントロールボックスからの信号を送ることで、図3に示すように、これらの点滅照明装置10を、異なる色の組み合わせによる所定の点灯パターンとして、好ましくは第1色である青色が2灯、第2色である緑色が1灯の点灯パターンで点灯させた状態で、当該所定の点灯パターンのまま、車両を誘導すべき所定の走行速度として、例えば50~60km/hrの走行速度で、車両の走行方向に点灯移動させるようになっている。
【0031】
これによって、本実施形態によれば、点灯したまま区別された色の光の流れにより視認性を向上させ、夜間や晴天の昼間においても、車線規制区間の道路線形をはっきりと見ることが可能になって、特にカーブを含む区間においても、好ましくはベンクション効果を発揮させて、適切な走行速度で走行するように、一層効果的に車両を誘導することが可能になる。
【0032】
また、本実施形態では、点滅灯である点滅照明装置10は、路面に設置されて車両を誘導するようになっている。人の視野は、例えば水平よりも上が20°、水平よりも下が40°となっていて、上方や道路脇よりも路面を見易くなっているため、点滅照明装置10が路面に設置されていることで、より効果的に、適切な走行車線や走行速度で走行するように誘導することが可能になる。
【0033】
さらに、人の目は明るい所では、網膜の錐体細胞が働くことで、波長555nmの黄緑色の光を最も明るく感じるようになっている。暗い所では、網膜の桿体細胞の感度が波長507nmで最大になって、青緑色の感度が高くなる。明るい所では、赤(波長が長い)が鮮やかに遠くまで見え、青は黒ずんで見えるようになっている。一方、暗い所では、青(波長が短い)が鮮やかに遠くまで見えるのに対し、赤は黒ずんで見えるようになっている(プルキンエ現象)。緑は明るい所、暗い所ともに見えやすい。
【0034】
このようなことから、本実施形態では、異なる色の組み合わせによる点灯したまま区別された色の点灯パターンとして、好ましくは2灯の第1色が青色、1灯の第2色が緑色である点灯パターンとなっているので、特に夜間において、車線規制区間の道路線形を、よりはっきりと見ることが可能になって、適切な走行車線や走行速度で走行するように、安定した状態で車両を誘導することが可能になる。
【0035】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、点滅照明装置の基盤部や防護カバー体は、円形状の平面形状を備えている必要は必ずしも無く、正方形状や八角形状等、その他の種々の平面形状を備えていても良い。また、第1色が2灯、第2色が1灯の点灯パターンは、第1色が緑色、第2色が青色である点灯パターンとなっていても良い。点滅灯(点滅照明装置)は、上述の構成を備えている必要は必ずしもなく、3原色のLEDを含むLED光源部を有する、その他の種々の点滅灯であっても良い。LED光源部は、4体備えていなくても良く、少なくとも1体備えていれば良い。点滅灯(点滅照明装置)は、路面に設置される必要は必ずしもなく、例えば道路脇のガードレール等に取り付けて、本発明の点滅照明装置による車両の誘導方法を実施することもできる。
【符号の説明】
【0036】
10 点滅照明装置(点滅灯)
11 LED光源部
11a 発光部
11b LEDカバー
12a 赤色のLED
12b 緑色のLED
12c 青色のLED
13 基盤部
13a ベース部
13b ベースカバー
13c 把持用開口
14 透光窓部
15 防護カバー体
15a 傾斜脚部(張出し脚部)
15b 二股状の脚部(張出し脚部)
15c 天面部
16 ソケット部
20 配線ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7