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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098059
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220624BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20220624BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
H05K3/34 502D
H05K3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211381
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺内 伊久哉
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊輔
【テーマコード(参考)】
5E314
5E316
5E319
【Fターム(参考)】
5E314AA24
5E314BB05
5E314CC01
5E314FF05
5E314GG12
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB13
5E316BB16
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD25
5E316EE31
5E316GG15
5E316GG16
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH40
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC02
5E319AC13
5E319AC17
5E319BB05
5E319CC22
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】配線基板の品質向上。
【解決手段】実施形態の配線基板は、第1絶縁層212と、第1絶縁層212上に形成されている第1導体層312と、第1絶縁層212および第1導体層312上に形成されているソルダーレジスト層17と、第1絶縁層212を介して第1導体層312と反対側に形成されている第2導体層313とを含み、第1面1Fおよび第1面の反対面である第2面1Bを有している。第1導体層312が、導体パッド312eを含み、ソルダーレジスト層17が、導体パッド312eの表面の全面を露出させる開口17aを有し、導体パッド312eの外周に沿った領域に第1ビア512が接続されており、第1ビア512は、第1絶縁層212を貫通して第2導体層313の導体パターン313pに接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成されている第1導体層と、
前記第1絶縁層および前記第1導体層上に形成されているソルダーレジスト層と、
前記第1絶縁層を介して前記第1導体層と反対側に形成されている第2導体層と
を含み、第1面および前記第1面の反対面である第2面を有する配線基板であって、
前記第1導体層が、導体パッドを含み、
前記ソルダーレジスト層が、前記導体パッドの表面の全面を露出させる開口を有し、
前記導体パッドの外周に沿った領域に第1ビアが接続されており、
前記第1ビアは、前記第1絶縁層を貫通して前記第2導体層の導体パターンに接続されている。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体パッドが略矩形の平面形状を有している。
【請求項3】
請求項2記載の配線基板であって、前記第1ビアが、前記略矩形の各コーナー部のそれぞれに接続されている。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、
前記第1絶縁層の直下の第2絶縁層と、
前記第2絶縁層を介して前記第2導体層と反対側に形成されている第3導体層と
を含み、
前記第2導体層が、前記第2絶縁層を貫通して前記第3導体層の導体パターンに接続されている第2ビアを含み、
前記第1ビアが、前記第2ビアに接続されている。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記開口から露出している前記導体パッドの露出面を覆う表面処理層を含んでいる。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1面が部品実装面であり、
前記第1絶縁層、前記第1導体層、前記ソルダーレジスト層、前記第2導体層が、前記第2面側に形成されている。
【請求項7】
請求項6記載の配線基板であって、さらに、前記第1面に部品実装パッドを含み、
前記第1導体層に含まれる前記導体パッドのサイズは、前記部品実装パッドのサイズよりも大きい。
【請求項8】
請求項7記載の配線基板であって、さらに前記第1面に第2ソルダーレジスト層を備え、
前記第2ソルダーレジスト層は前記部品実装パッドの周縁部を覆っており、
前記第2ソルダーレジスト層の開口には前記部品接続パッドの周縁部以外の部分が露出している。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第1絶縁層を貫通して前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体を含み、
前記ビア導体の前記第1導体層側の径は、前記第1ビアの前記導体パッド側の径よりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面にソルダーレジストが配設された多層配線基板が開示されている。そして、ソルダーレジストの開口中の絶縁層上に、ソルダーレジストから離れた状態で、接合によって半導体素子の端子部と接続されるパッド部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-22713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているパッド部では、パッド部がソルダーレジストから離れて形成されているため、パッドとパッドがその上に形成される絶縁層との間における界面剥離などが起こる虞があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成されている第1導体層と、前記第1絶縁層および前記第1導体層上に形成されているソルダーレジスト層と、前記第1絶縁層を介して前記第1導体層と反対側に形成されている第2導体層とを含み、第1面および前記第1面の反対面である第2面を有している。そして、前記第1導体層が、導体パッドを含み、前記ソルダーレジスト層が、前記導体パッドの表面の全面を露出させる開口を有し、前記導体パッドの外周に沿った領域に第1ビアが接続されており、前記第1ビアは、前記第1絶縁層を貫通して前記第2導体層の導体パターンに接続されている。
【0006】
本発明の実施形態の配線基板によれば、必要とされる導体パッドの大きさを確保しながら、絶縁層におけるクラックや導体パッドの樹脂絶縁層からの剥離または浮きなどの不具合の発生が生じ難いと考えられる、高い品質の配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2A図1に示される配線基板の、ソルダーレジスト層の開口内に露出されている導体パッドの一例を示す平面図。
図2B図2AのB-B線での断面図。
図3】本発明の一実施形態の配線基板の他の例の部分拡大図。
図4】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1は一実施形態の配線基板の一例である配線基板1を示す断面図である。
【0009】
図1に示されるように、配線基板1は、その厚さ方向において対向する2つの主面(第1面10Fおよび第1面10Fの反対面である第2面10B)を有するコア基板10を有している。配線基板1は、コア基板10の第1面10F上に積層されている第1ビルドアップ層11と、コア基板10の第2面10B上に積層されている第2ビルドアップ層12とを含んでいる。配線基板1は、第1ビルドアップ層11側の表面の第1面1Fおよび第2ビルドアップ層12側の表面の第2面1Bを有している。
【0010】
コア基板10は、絶縁層5と、絶縁層5の第1ビルドアップ層11側および第2ビルドアップ層12側それぞれに積層されている導体層6とを含んでいる。第1ビルドアップ層11側の導体層6の露出面と、絶縁層5の第1ビルドアップ層11側の表面の露出部分とによって第1面10Fが構成される。第2ビルドアップ層12側の導体層6の露出面と、絶縁層5の第2ビルドアップ層12側の表面の露出部分とによって第2面10Bが構成される。絶縁層5には、絶縁層5を貫通するスルーホール用貫通孔55が形成されている。各スルーホール用貫通孔55を導電体で埋めることによって、絶縁層5には、絶縁層5を貫通し、第1面10F側の導体層6と第2面10B側の導体層6とを接続するスルーホール導体50が形成されている。
【0011】
第1ビルドアップ層11および第2ビルドアップ層12は、それぞれ、複数の絶縁層21および複数の導体層31を含んでいる。第1ビルドアップ層11および第2ビルドアップ層12それぞれにおいて、複数の絶縁層21および複数の導体層31が交互に積層されている。図1の配線基板1では、第1ビルドアップ層11は6つの導体層31と6つの絶縁層21とを含んでいる。同様に、第2ビルドアップ層12は6つの導体層31と6つの絶縁層21とを含んでいる。しかしながら、第1および第2のビルドアップ層内の絶縁層21および導体層31はそれぞれ6つに限定されず、任意の数の、例えば5以下の、または、7もしくはそれ以上の数のビルドアップ層が設けられてもよい。
【0012】
なお、実施形態の説明では、配線基板の厚さ方向においてコア基板10の絶縁層5から遠い側は「上側」、「上方」、「外側」、または単に「上」もしくは「外」、とも称され、コア基板10の絶縁層5に近い側は「下側」、「下方」、「内側」、または単に「下」もしくは「内」、とも称される。さらに、各導体層および各絶縁層において、コア基板10の絶縁層5と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア基板10の絶縁層5側を向く表面は「下面」とも称される。従って、例えば第1ビルドアップ層11および第2ビルドアップ層12の説明では、コア基板10から遠い側が「上側」、「上方」、「上層側」、「外側」、または単に「上」もしくは「外」とも称され、コア基板10に近い側が「下側」、「下方」、「下層側」、「内側」、または単に「下」もしくは「内」とも称される。
【0013】
実施形態の配線基板1は、第1ビルドアップ層11の上側を覆うソルダーレジスト層16(第2ソルダーレジスト層)を含んでいる。配線基板1は、第2ビルドアップ層12の上側を覆うソルダーレジスト層17を含んでいる。
【0014】
絶縁層5および絶縁層21は、任意の絶縁性樹脂によって形成される。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)またはフェノール樹脂などが例示される。図1には示されていないが、絶縁層5や任意の絶縁層21はガラス繊維などからなる芯材を含み得る。絶縁層5および絶縁層21は、さらに、無機フィラーを含んでいてもよい。各絶縁層に含まれる無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ、またはムライトなどからなる微粒子が例示される。ソルダーレジスト層16、17は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの任意の絶縁性材料を用いて形成される。
【0015】
導体層6および導体層31は、任意の金属を用いて形成される。例えば、導体層6および導体層31は、銅箔などの金属箔や、めっきまたはスパッタリングなどで形成される金属膜によって形成され得る。すなわち、図1に示される例では、導体層6および導体層31は単層で示されているが、導体層6および導体層31は、多層構造で構成されていてもよい。例えば、導体層6および導体層31は、金属箔層、無電解めっき膜層、および、電解めっき膜層を有する3層構造で構成され得る。また、導体層6および導体層31は、無電解めっき膜層および電解めっき膜層を有する2層構造で構成されていてもよい。導体層6および導体層31は、例えば、銅、ニッケルなどの任意の金属を単独でまたは組み合わせて用いて形成され得る。例えば、各導体層6および導体層31は、電解めっきによる形成が容易で、導電性に優れていることから銅で形成され得る。
【0016】
第1ビルドアップ層11および第2ビルドアップ層12は、各絶縁層21を貫通し、各絶縁層21を介して隣接する導体層6、31同士を接続するビア導体51を含んでいる。ビア導体51は、各絶縁層21それぞれを貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成される所謂フィルドビアである。ビア導体51は、それぞれの上側の導体層と一体的に形成されている。したがって、例えば、ビア導体51と導体層31とは、同一の、例えば銅またはニッケルなどからなるめっき膜(無電解めっき膜および電解めっき膜)によって形成されている。
【0017】
導体層6および導体層31には、それぞれ、配線パターンおよび/または導体パッドを含む所望の導体パターンが形成されている。図1に示される例の配線基板1では、第1ビルドアップ層11内の導体層31のうちの最も外側の導体層311は、複数の部品実装パッド311eを有している。すなわち配線基板1は、第1面1Fに複数の部品実装パッド311eを含んでいる。図1に示されるように、複数の部品実装パッド311eは絶縁層21上に形成されている。
【0018】
ソルダーレジスト層16は、部品実装パッド311eを露出させる開口16aを有している。ソルダーレジスト層16の開口16aに部品実装パッド311eの表面が露出している。部品実装パッド311eの形状は、任意の形状とされてよく、例えばソルダーレジスト層16の開口16aにより画定され得る。
【0019】
各部品実装パッド311eは、配線基板1の使用時に配線基板1に実装される電子部品(図示せず)と接続され得る。すなわち配線基板1の第1面1Fは、配線基板1の部品実装面である。部品実装パッド311eは、例えばはんだなどの接合材(図示せず)を介して、第1面1Fに実装される電子部品の電極と電気的および機械的に接続されてよい。部品実装パッド311eは、配線基板1に実装される電子部品の配線パターンなどに応じて任意の位置に、任意の数で形成され得る。
【0020】
電子部品としては、半導体装置などの能動部品や、抵抗体のような受動部品が例示される。電子部品は、半導体基板上に形成された微細配線を含む配線材であってもよい。しかし、電子部品はこれらに限定されない。
【0021】
図1に示される例の配線基板1では、第2ビルドアップ層12内の導体層31のうちの最も外側の導体層312(第1導体層ともいう)は、複数の導体パッド312eを含んでいる。すなわち配線基板1は、第2面1Bに複数の導体パッド312eを含んでいる。複数の導体パッド312eは、第2ビルドアップ層12内の絶縁層21のうちの最も外側の絶縁層212(第1絶縁層ともいう)上に形成されている。
【0022】
図2Aは、図1に示される配線基板1の一点鎖線で囲われている部分であるII部の第2面1B側からの拡大された平面図である。図2Bには、図1のこのII部の拡大図が示されている。図2Aに示されている例では、配線基板1の導体パッド312eは、略矩形の平面形状を有している。なお、ここで、「平面形状」とは、配線基板1の厚さ方向と平行に対象物を見た場合、すなわち対象物の平面視における形状を意味している。しかしながら、導体パッド312eの形状は、図2Aに示されている略矩形形状に限定されない。例えば、導体パッド312eは、略円の形状などで形成されてもよい。導体パッド312eは任意の形状で形成され得る。
【0023】
また、添付の図面においては、導体パッド312eを含む各構成要素の正確なサイズや形状、および/または、各構成要素同士のサイズや形状の正確な比率を示すことは意図されていない。例えば、導体パッド312eは、図2Aに示されているような略矩形形状、すなわち2組の略平行な辺を有している平面形状を有し得る。導体パッド312eの長手方向の辺と短手方向の辺との比率は、図2Aに示される比率に限定されない、任意の比率の略矩形形状が形成されてよい。また、導体パッド312eは、図2Aに示されている例のように、その角部が面取りされている略矩形の形状であってもよい。
【0024】
図1に示されるように、ソルダーレジスト層17は、導体パッド312eを配線基板1の第2面1B側に露出させる開口17aを有している。実施形態の配線基板1では、導体パッド312eの絶縁層12と反対側の表面312aの全面が開口17aから露出されている。
【0025】
実施形態の配線基板1の第2面1Bには、外部の配線基板、例えば任意の電気機器のマザーボードなど(図示せず)が実装され得る。導体パッド312eは、マザーボード上の接続パッドなどと接続される。実施形態の配線基板1の第2面1Bには、半導体素子などの電子部品(図示せず)が実装されてもよい。その場合、導体パッド312eは、第2面1Bに実装される電子部品の電極と接続されてよい。導体パッド312eは、配線基板1の第2面1Bに接続されるマザーボードや、配線基板1の第2面1Bに実装される電子部品の配線パターンなどに応じて任意の位置に、任意の数で形成され得る。
【0026】
図1の例では、導体パッド312eのサイズは、配線基板1の第1面1F側に設けられている複数の部品実装パッド311eのサイズよりも大きい。外部の配線基板と実施形態の配線基板1とが、より大きな接続面積を介して強固に接続されると考えられる。
【0027】
導体パッド312eの外周に沿った領域には、第2ビルドアップ層12の最外の導体層312と一体的に形成される、ビア導体(楔ビア)512が接続されている。図1の例のように、2またはそれ以上のビア導体(楔ビア)512が形成されてもよい。図2に示されるように、導体パッド312eは、第2ビルドアップ層12の上側から導体パッド312eを見た平面視における導体パッド312eの、略中央でビア導体51と、外周に沿った領域で楔ビア512と接続されている。
【0028】
図2Aに示される例では、4つの楔ビア512が、導体パッド312eの各コーナー部のそれぞれに形成されている。導体パッド312eと楔ビア512との平面視における位置関係は、図2Aに示されるものに限定されない。例えば、楔ビア512は、コーナー部に加えて、導体パッド312eの外周に沿って枠状に設けられてもよい。また、導体パッド312eが略矩形以外の形状で形成されている場合、楔ビア512は、導体パッド312eの外周に沿って、例えば等間隔で設けられてもよい。楔ビア512は等間隔で設けられていなくてもよく、すなわち例えば図2Aのような略矩形形状において、コーナー部それぞれに楔ビア512が設けられていなくてもよい。また、楔ビア512が、外周に沿った領域に加えて、導体パッド312e内のランダムな任意の位置に設けられていてもよい。
【0029】
楔ビア512は、第2ビルドアップ層12内の絶縁層21のうちの最も外側の絶縁層212(第1絶縁層)を貫通している。具体的には、最外の導体層312(第1導体層)に含まれる導体パッド312eが、絶縁層212を介して導体層312と反対側に形成されている導体層313(導体層312の直下の導体層31、第2導体層ともいう)の導体パターン313pと、導体パッド312eと一体的に形成される楔ビア512を介して接続されている。
【0030】
導体パッドが形成された絶縁層の導体パッド近傍には、導体パッドと絶縁層との熱膨張率の相違や、導体パッドへの外部の電子部品の接続時に導体パッドに加わる外力などにより応力が生じる場合がある。このような応力によって、絶縁層の、導体パッドの外周に接している部分周辺に応力によるクラックが生じたり、また、絶縁層からの導体パッドの剥離などの不具合が生じる虞がある。
【0031】
本実施形態の配線基板1では、前述のように、導体パッド312eの外周に沿った領域に2またはそれ以上の楔ビア512が接続されている。導体パッド312eが、導体層313の導体パターン313pと、このような楔ビア512により接続される構成をもつことにより、導体パッド312eがより内層の導体層313とも比較的強固に接続され得る。最外の絶縁層212の、導体パッド312eの外周と接している部分に集中していた応力が、分散・緩和されると考えられる。この結果、導体パッド312e近傍の絶縁層212におけるクラックの発生や、導体パッド312eと最外の絶縁層212との剥離および/または導体パッド312eの最外の絶縁層212からの浮きなどの不良が抑制されると考えられる。
【0032】
図1に示される配線基板1では、絶縁層212(第1絶縁層)の直下に絶縁層213(第2絶縁層ともいう)が形成されている。絶縁層213を介して導体層313(第2導体層)と反対側に導体層314(導体層313の直下の導体層31、第3導体層ともいう)が形成されている。導体層313と一体的に、ビア導体51および楔ビア513(第2ビアともいう)が形成されている。楔ビア513は、絶縁層213を貫通して、導体層314の導体パターン314pに接続されている。楔ビア513に楔ビア512(第1ビアともいう)が接続されている。
【0033】
さらに、図1に示される配線基板1では、絶縁層213(第2絶縁層)の直下に絶縁層214(第3絶縁層ともいう)が形成されている。絶縁層214を介して導体層314(第3導体層)と反対側に導体層315(導体層314の直下の導体層31、第4導体層ともいう)が形成されている。導体層314と一体的に、ビア導体51および楔ビア514(第3ビアともいう)が形成されている。楔ビア514は、絶縁層214を貫通して、導体層315の導体パターン315pに接続されている。楔ビア514に楔ビア513が接続されている。
【0034】
このように、導体パッド312eが楔ビアを介してより多くの内層の導体層31と接続されることにより、導体パッド312eにかかる外力が分散されると考えられる。絶縁層212における導体パッド312eの外周と接している部分にかかる力が緩和され得る。その結果、絶縁層212におけるクラックの発生がより良好に抑制される場合がある。
【0035】
前述のように、図1に示される例の配線基板1では、導体パッド312eのサイズは、第1面1F側に設けられている部品実装パッド311eのサイズよりも大きい。大きなサイズの導体パッド312eが配線基板1の第2面1B側に配置されることは、外部の配線基板と大きな接続面積で接続され得ることを意味しているので、配線基板1の接続信頼性を向上させるために有利であると考えられる。しかしながら、導体パッド312eのサイズが大きく形成されると、絶縁層212における導体パッド312eの外周と接している部分にかかる応力も大きくなると考えられる。本実施形態では、2またはそれ以上の楔ビア(楔ビア512、513、514)によってこの応力が分散され得るため、配線基板に大きなサイズの導体パッドを配置する場合において、特に本実施形態が優位であると考えられる。
【0036】
実施形態の配線基板1では、導体パッド312eは、その外周に沿った領域に接続されている楔ビア(第1ビア512、第2ビア513、第3ビア514)を介して、より内層の導体層(第2導体層313、第3導体層314、第4導体層315)の導体パターンへと接続されている。例えば、導体パッド312eと外部の配線基板の接続パッドとの接合剤を介した接続のための加熱を伴う工程においては、絶縁層212と導体層312との熱膨張率の違いに起因する、絶縁層212と導体パッド312eとの剥離が生じる虞がある。しかし、導体パッド312eと内層の導体層(導体層313、314、315)の導体パターンとが楔ビア(楔ビア512、513、514)を介して接続されていることで、導体パッド312eと絶縁層212とは強固に密着している。したがって、絶縁層212と導体パッド312eとの界面での剥離や導体パッド312eの絶縁層212からの浮きの発生が抑制され得る。導体パッド312eを含む第2面1Bの平坦性が確保されると考えられる。
【0037】
なお、図2Aでは、導体パッド312eとビア導体51と楔ビア512とは、その位置関係を説明するためにのみ模式的に示されており、その形状および寸法の関係について限定することは意図されていない。ビア導体51の導体パッド312e側の径d1と楔ビア512の導体パッド312e側の径d2とは略同径に形成されていてもよい。導体パッド312eへの2またはそれ以上の数の楔ビア512の配置という観点から、図2Aに示されるように例えば楔ビア512の導体パッド312e側の径d2がビア導体51の導体パッド312e側の径d1よりも小さい径に形成されてもよい。
【0038】
このような場合、例えば、ビア導体51の導体パッド312e側の径d1は、約25~60μm程度であり、楔ビア512の導体パッド312e側の径d2は、約35~70μm程度である。しかしながら、上述のように、ビア導体51と楔ビア512とは、それぞれの導体パッド312e側の径が同じに形成されていてもよく、すなわち、径d1と径d2とは等しくてもよい。
【0039】
図1に示される例のように、楔ビア512、513、514が形成される場合、第2ビルドアップ層12の上側から導体パッド312eを見た平面視において、楔ビア512と楔ビア513と楔ビア514とは、導体パッド312e内においてそれぞれが重なる位置に略同じサイズで形成され得る。導体パッド312eにかかる外力がより良好に分散されると考えられる。導体パッド312eの剥がれや浮きのより良好な抑制効果が得られる場合がある。
【0040】
前述の図1では省略されているが、図2Aに示されているように、ソルダーレジスト層17の開口17aから露出している導体パッド312eは、表面処理層7を含んでいてもよい。図2Bは、図1のII部の拡大図であって、図2Aに示されるB-B線に重なる切断線で配線基板1のII部を切断した場合の断面図である。
【0041】
図2Bに示されているように、表面処理層7は、導体パッド312eの表面312aおよび側面312bを覆っている。表面処理層7は、ソルダーレジスト層17の開口17aから露出している導体パッド312eの露出部分を酸化から保護するための保護膜であり得る。
【0042】
表面処理層7は、有機被膜または金属皮膜であり得る。表面処理層7は、例えば、Snめっき、Agめっき、Ni/Auめっき、またはNi/Pd/Auめっきなどである。表面処理層7はまた、イミダゾール系OSP(Organic Solderability Preservative)層であってもよい。
【0043】
図2Aおよび2Bに示されている例では、表面処理層7は、導体パッド312eの表面312aおよび側面312bの上に形成されている第1被膜71および第1被膜71上に形成されている第2被膜72で形成されている。第1被膜71は例えば、ニッケル膜またはニッケル/パラジウムの合金膜である。第2被膜72は例えば、金からなる金属膜である。
【0044】
導体パッド312eの露出部分を被覆する表面処理層7が導体パッド312e上に形成される場合、表面処理層7の熱膨張率によっては、表面処理層7が導体パッド312e上に形成されていない場合と比較して、絶縁層212における導体パッド312eの外周と接している部分にかかる応力が増大する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、導体パッド312eが、内層の導体層(導体層313、314、315)の導体パターンと楔ビア(楔ビア512、513、514)を介して接続されているので、不具合の発生が防止され得る。
【0045】
図1に示される例の配線基板1では、前述のように、導体パッド312eは、導体パッド312eの各コーナー部に形成されている楔ビア(楔ビア512、513、514)を介して、内層の導体層(導体層313、314、315)の導体パターンへと接続されている。しかしながら、導体パッド312eのサイズや絶縁層212と導体層312との熱膨張率の違い等によって、導体パッド312eに配置される楔ビアの数や、第2ビルドアップ層12の上側から導体パッド312eを見た平面視において重なる楔ビアの数は適宜選択されてよい。
【0046】
例えば、配線基板1は、楔ビア513および楔ビア514を含まず、導体パッド312eが楔ビア512により導体層313の導体パターン313pに接続される構成を有していてもよい。この例が図3に示されている。図3は、本実施形態の配線基板の他の例の、図1のIII部に対応する部分の拡大図である。
【0047】
また、配線基板1は、その第2面1Bに導体パッド312eを含んでいるが、実施形態の配線基板の第2面1B側のパッドが全て前述の導体パッド312eの構成を有している必要はない。すなわち、実施形態の配線基板は、上記で説明された構成を有する導体パッド312e以外の接続パッド312sを第2面1Bに含んでいてもよい。このような配線基板1aの例が図4に示されている。
【0048】
図4に示されるように、配線基板1aの接続パッド312sには、楔ビアが設けられていない。すなわち、接続パッド312sの外周に沿った領域には、楔ビア512は形成されていない。配線基板1aにおいて、接続パッド312sは導体パッド312eより小さなサイズを有していてもよい。また、第1面1F側の部品実装パッド311eと同様に、接続パッド312sが、接続パッド312sの表面がソルダーレジスト層17の開口17aから部分的に露出するように設けられていてもよい。しかしながら、接続パッド312sは、導体パッド312eと同様に、接続パッド312sの絶縁層12と反対側の表面の全面が開口17aから露出するように形成されていてもよい。
【0049】
配線基板1aの第2面1Bの導体パッド312eや接続パッド312sは、配線基板1aの第2面1Bに実装される電子部品の電極や接続パッドなどの配置に応じて、適宜形成されている。なお、図4の例の配線基板1aは、接続パッド312sを除いて、図1の配線基板1と同様の構造を有している。図4において、図1と同様の構成要素の符号は適宜省略されており、同様の構成要素に関する説明は省略される。
【0050】
本実施形態の配線基板においては、第2面1B側の最外層の絶縁層212が、芯材(補強材)を含んでいてもよい。絶縁層212の機械的強度が向上し、外部の配線基板などが接続される際に導体パッド312eを介して絶縁層212にかかり得る応力に起因する絶縁層212のクラックなどの不良の発生が抑制される場合がある。また、絶縁層212にクラックが生じた場合であっても、絶縁層212におけるクラックの拡大が芯材によって制止され得ることがある。例えば、芯材としては、ガラス繊維やアラミド繊維などが使用され得る。
【0051】
また、本実施形態の配線基板においては、第1面1F側に設けられている部品実装パッド311eは、第2面1Bの導体パッド312eと同様に、部品実装パッド311eの絶縁層21と反対側の表面の全面がソルダーレジスト層16の開口16aから露出するように形成されていてもよい。
【0052】
実施形態の配線基板1は、一般的な配線基板の製造方法によって製造され得る。例えば、絶縁層5を含む両面銅張積層板または両面に金属箔が積層されている絶縁層5が用意される。そしてサブトラクティブ法などによって、所定の導体パターンを含む導体層6を絶縁層5の両面に形成すると共に、絶縁層5に設けられた貫通孔55内を埋めることによってスルーホール導体50を形成して、コア基板10が用意される。
【0053】
コア基板10の第1面10F上および第2面10B上に、例えば一般的なビルドアップ基板の製造方法によって、絶縁層21が積層され、その上に導体層31が形成される。コア基板10の両面において、各絶縁層21の積層と導体層31の形成とが繰り返され、コア基板10の第1面1F側および第2面1B側に、それぞれ、第1ビルドアップ層11および第2ビルドアップ層12が形成される。
【0054】
例えば、各絶縁層21は、フィルム上のエポキシ樹脂を、先に形成された絶縁層5、21および導体層6、31上に、熱圧着することによって形成される。例えば、各導体層31は、めっきレジストの形成とパターンめっきなどとを含むセミアディティブ法やフルアディティブ法などによって、所望の導体パターンを有するように形成される。また、各導体層31の形成と共に、ビア導体51および楔ビア512、513、514が対応する絶縁層21内に形成され得る。例えば楔ビア512、513、514の外側の径は、ビア導体51の外側の径より小さくなるように形成され得る。
【0055】
導体層31のうち、導体層313、314、315は、楔ビア512、513、514がそれぞれ接続される導体パターン313p、314p、315pを含むようにパターニングされる。また、第1ビルドアップ層11の最外の導体層31は、部品実装パッド311eを含むようにパターニングされる。第2ビルドアップ層12の最外の導体層312は、導体パッド312eを含むようにパターニングされる。
【0056】
次いで、ソルダーレジスト層16が、第1ビルドアップ層11の最外の絶縁層21および導体層31上に形成される。また、ソルダーレジスト層17が、第2ビルドアップ層12の最外の絶縁層212および導体層312上に形成される。ソルダーレジスト層16、17は、例えば、感光性の樹脂から形成される。露光および現像により、またはレーザー加工などによって、ソルダーレジスト層16、17に、複数の開口16a、17aが形成される。ソルダーレジスト層16の開口16aは、その開口16a内に部品実装パッド311eの表面が露出するように形成される。ソルダーレジスト層17の開口17aは、その開口17a内に導体パッド312eの表面全体が露出するように形成される。
【0057】
次いで、開口16a内に露出している部品実装パッド311eの表面上、ならびに、開口17a内に露出している導体パッド312eの表面312aおよび側面312bの上に、めっき処理やOSP剤への浸漬などによって表面処理層7(図2Aおよび2B参照)が形成される。以上の工程により、図1に示される例の配線基板1が完成する。
【0058】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、ならびに、本明細書において例示される構造、形状、および材料を備えるものに限定されない。実施形態の配線基板は、任意の積層構造を有し得る。また、実施形態の配線基板は、コア基板を含まないコアレス基板であってもよく、また、片面基板や第1ビルドアップ層11と第2ビルドアップ層12とが非対称な層構造をもつ基板であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、1a 配線基板
1F 配線基板の第1面
1B 配線基板の第2面
5、21、212、213、214、 絶縁層
6、31、312、313、314、315 導体層
7 表面処理層
10 コア基板
10F コア基板の第1面
10B コア基板の第2面
11 第1ビルドアップ層
12 第2ビルドアップ層
16、17 ソルダーレジスト層
16a、17a ソルダーレジスト層の開口
50 スルーホール導体
51 ビア導体
512、513、514 楔ビア
311e 部品実装パッド
312e 導体パッド
312a 導体パッドの表面
312b 導体パッドの側面
312s 接続パッド
図1
図2A
図2B
図3
図4