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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098075
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】遊技場用システム及び遊技用装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 315A
A63F7/02 326Z
A63F7/02 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211408
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】奈良崎 哲太
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA02
2C088CA06
2C088CA19
2C088CA27
2C088EB68
(57)【要約】
【課題】遊技状態を適切に特定し、遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理する。
【解決手段】遊技場用システムは、大当り遊技が成立していても大当り操作が行われた場合にのみ大当り遊技が開始される遊技機1を管理対象とする場合に、特別状態信号が出力された直後に遊技状態を特定するのではなく、特別状態信号が出力されている期間で遊技状態の特定を待機し、判定期間において状態特定条件が成立するか否かに応じて遊技状態を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大当り抽選を実行可能な遊技状態として、通常状態と当該通常状態よりも始動口への入賞が容易になる入賞容易状態とを発生可能で、当該大当り抽選の結果を図柄変動により表示すると共に、前記大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選であった場合、又は前記図柄変動により特定図柄が表示された場合に前記入賞容易状態を発生可能であり、当該入賞容易状態及び大当り状態の発生に応じて共通の特別状態信号を出力する複数の遊技機を対象とした遊技場用システムにおいて、
前記特別状態信号が出力されている期間のうち少なくとも一部を遊技状態の判定期間とし、当該判定期間中は遊技状態の特定を待機する特定待機手段と、
前記判定期間において予め定められた状態特定条件が成立するか否かに応じて前記遊技状態を特定する状態特定手段と、
前記状態特定手段により特定された遊技状態を区別して遊技の結果を示す遊技情報を管理する管理手段と、を備える遊技場用システム。
【請求項2】
前記遊技機は、前記大当り抽選の結果、大当り遊技が発生した場合に当該大当り遊技中を示す大当り信号と、前記図柄変動が停止したことを示す図柄変動停止信号とをそれぞれ出力し、
前記状態特定条件は、前記大当り信号が入力されること、及び前記特別状態信号が入力されてから前記図柄変動停止信号が入力されることのうち何れかであり、
前記状態特定手段は、前記大当り信号が入力された場合に大当り状態を特定し、前記図柄変動停止信号が入力され、更に当該図柄変動停止信号が入力されてから所定期間が経過した場合に前記入賞容易状態を特定し、前記図柄変動停止信号及び前記大当り信号の何れも入力されずに前記特別状態信号の入力が終了した場合には前記判定期間を終了し、
前記管理手段は、前記状態特定手段により特定された前記大当り状態と前記入賞容易状態とを区別して前記遊技情報を管理する請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記状態特定手段により特定された入賞容易状態を、前記所定回数連続して大当り抽選が非当選であるか否かに応じて第一入賞容易状態、又は第二入賞容易状態の何れであるかを判定する状態判定手段を備える請求項2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
大当り抽選を実行可能な遊技状態として、通常状態と当該通常状態よりも始動口への入賞が容易になる入賞容易状態とを発生可能で、当該大当り抽選の結果を図柄変動により表示すると共に、前記大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選であった場合、又は前記図柄変動により特定図柄が表示された場合に前記入賞容易状態を発生可能であり、当該入賞容易状態及び大当り状態の発生に応じて共通の特別状態信号を出力する複数の遊技機を対象とした遊技場用システムに用いられる遊技用装置において、
前記特別状態信号が出力されている期間のうち少なくとも一部が遊技状態の判定期間とし、当該判定期間中は遊技状態の特定を待機する特定待機手段と、
前記判定期間において予め定められた状態特定条件が成立するか否かに応じて前記遊技状態を特定する状態特定手段と、
前記状態特定手段により特定された遊技状態を区別して遊技の結果を示す遊技情報を管理する管理手段と、
前記管理手段により管理される遊技情報を表示する表示手段と、を備える遊技用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システム及び遊技用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理することが可能な遊技機の管理システムを提供するために、確変中に大当りが発生し易いことに着目し、特別状態信号の出力中に大当りが発生すれば、その特別状態の終了後に当該特別状態が確変であったと特定し、大当りが発生しなければ、その特別状態の終了後に当該特別状態が時短であったと特定することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-248722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、所定回数大当り抽選が非当選であった場合や特定図柄が成立した場合に、始動口への入賞が容易になる入賞容易状態を発生可能な遊技機が登場している。このような遊技機は、特別状態発生時は特別状態を示す特別状態信号を出力し、大当り遊技発生時は大当り状態を示す大当り信号と上記した特別状態信号との両方を出力している。しかしながら、大当り遊技が成立していても所定の条件を満たした場合にのみ大当り遊技を開始する遊技機も存在しており、この場合、大当り信号が出力されずに特別状態信号のみが出力される構成では、管理装置や遊技用装置において、特別状態信号が出力された直後に遊技状態を特定しようとすると、遊技状態を誤って特定してしまう虞がある。その結果、遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理することができなくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技状態を適切に特定することができ、遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理することができる遊技場用システム及び遊技用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した遊技場用システムによれば、特別状態信号が出力されている期間のうち少なくとも一部を遊技状態の判定期間とし、その判定期間中は遊技状態の特定を待機し、その判定期間において予め定められた状態特定条件が成立するか否かに応じて遊技状態を特定するようにした。大当り遊技が成立していても所定の条件を満たした場合にのみ大当り遊技が開始される遊技機を管理対象とする場合に、特別状態信号が出力された直後に遊技状態を特定するのではなく、特別状態信号が出力されている期間のうち少なくとも一部で遊技状態の特定を待機し、判定期間において予め定められた状態特定条件が成立するか否かに応じて遊技状態を特定することで、遊技状態を適切に特定することができ、遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態における遊技場用システムの構成を示す概略図
図2】情報表示装置の正面図
図3】タイムチャート
図4】タイムチャート
図5】タイムチャート
図6】遊技情報を管理する態様を示す図
図7】大当り状態特定時画面及び大当り遊技中画面を示す図
図8】天井時短特定時画面及び天井時短中画面を示す図
図9】突然時短特定時画面及び突然時短中画面を示す図
図10】履歴情報を示す図
図11】特別状態中の遊技情報を示す図
図12】状態特定処理を示すフローチャート
図13】状態判定処理を示すフローチャート
図14】タイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して貸出装置2及び情報表示装置3(遊技用装置、表示手段に相当する)が設置されている。遊技機1、貸出装置2及び情報表示装置3は、2台ずつ中継装置4と接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6(特定待機手段、状態特定手段、管理手段、状態判定手段に相当する)と接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、貸出装置2等)から送信される遊技信号を受信して遊技機毎の遊技情報を管理すると共に、会員登録されている会員毎の個人データも管理する。
【0009】
遊技場内には、POS端末、島端計数機、精算機(何れも図示せず)等も設置されており、これらPOS端末、島端計数機、精算機等もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード7、モニタ8及びプリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技場内に設置されている遊技機1、貸出装置2等の稼動状況を管理する。
【0010】
遊技機1は、遊技機1はCR(カードリーダ)機であり、盤面9に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル10、上部受皿11、下部受皿12等を有すると共に、盤面9に、液晶表示部13、普図入賞口14、普図表示部15、特図保留表示部16、入賞口17、第1始動口18、第2始動口19、開閉入賞装置20、大入賞口21等を有する。
【0011】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口18は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ)であり、第2始動口19は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。第1始動口18又は第2始動口19への入賞(始動入賞)に応じて特別図柄による大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部13に表示する。大当り確率は低確率状態で1/200であり、高確率状態で1/50である。大当り確率の逆数をTSと表現すると、TSは大当り発生までに想定される平均変動回数を示す。
【0012】
(2)大当り抽選に当選すると大当り遊技が発生する。大当り遊技では特別図柄に応じた回数だけ大入賞口21が開放する。本実施形態における開放回数は、ヘソでの大当り時は全て4Rであり、電チューでの大当り時は10Rである。尚、1Rの上限入賞数は10個である。又、大当り遊技終了後は当該大当りに当選した特別図柄に応じて大当り当選率が変化する。ヘソでの大当り時は、70%の割合で高確率状態となり、電チューでの大当り時は100%の割合で高確率状態となる。図柄変動の結果により大当り遊技が成立すると、遊技者による予め定められた大当り操作の受付を報知し、大当り操作を待機する。遊技者により大当り操作が行われると(例えば普図入賞口14である大当り操作受付手段に球を通過させると)、大当り遊技を開始する。
【0013】
(3)普通図柄が当選すると電チューの入賞率が高くなる。
(4)図柄変動により特定図柄が表示されて特定図柄が成立した場合、又は大当り抽選の結果が所定回数連続して天井条件を満たした場合に時短(入賞容易状態に相当する)が付与され、普通図柄の当選確率が高くなる。特別図柄2の変動回数が時短の回数にあたり、大当りの特別図柄の種類により付与される時短回数が異なる。本実施形態では、ヘソでの大当り時は50回又は75回が付与され、それぞれの割合は70%及び30%である。電チューでの大当り時は100%の割合で75回が付与される。
【0014】
(5)初期化条件(大当り後又は初期化操作後)成立後、低確率状態の大当り抽選に所定回数連続して非当選になり、天井条件が成立すると、天井時短(第一入賞容易状態に相当する)が付与される。本実施形態では、所定回数は600回であり、付与される時短回数は750回である。尚、750回の時短中は低確率で大当り抽選を行う。
【0015】
(6)図柄変動中に第1始動口18又は第2始動口19に入賞した場合に入賞個数を保留数として貯留する。ヘソ及び電チューそれぞれ4個ずつ貯留する。
(7)特定図柄のうち突然時短に対応する突然時短図柄(特定図柄に相当する)が停止すると、突然時短(第二入賞容易状態に相当する)が付与される。本実施形態では、突然時短の発生確率はヘソで1/200であり、電チューで1/89であり、付与される時短回数はそれぞれ50回、600回である。
【0016】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや始動口18,19への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=使用玉を回収するアウトBOX(図示せず)から出力される使用遊技価値(使用媒体数、アウト)を特定可能な信号である。回収玉(使用玉、打込玉)10玉に対して1パルスが出力されるので、アウト信号数×10をアウトとして特定する。尚、遊技機1から直接出力される信号であっても良い。
【0017】
セーフ信号=遊技機1から払い出される遊技価値(獲得価値)を特定可能な信号である。払出玉10玉に対して1パルスが出力されるので、セーフ信号数×10をセーフとして特定する。尚、補給装置(図示せす)から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
【0018】
始動入賞信号=遊技機1から出力される始動口18,19への入賞(始動入賞)を特定可能な信号である。始動口18,19への入賞1回につき1パルスが出力されるので、始動入賞信号の受信に応じて始動入賞を特定する。
【0019】
図柄確定信号=遊技機1から出力される始動口18,19への始動入賞により変動(作動)を開始する図柄変動(役物作動)を特定可能であり、図柄変動の確定時(終了時)にワンショット出力(128ミリ秒)される信号である(図柄変動停止信号に相当する)。図柄確定信号の受信に応じて図柄変動(スタート)を特定する。
【0020】
大当り信号=遊技機1から出力される大当り状態である期間を特定可能な信号である。大当り状態中にレベル出力されるので、大当り信号受信中を大当り状態中として特定する。
特別状態信号=遊技機1から出力される特別状態である期間を特定可能な信号である。特別状態中にレベル出力されるので、特別状態信号受信中を特別状態中として特定する。尚、大当り信号や特別状態信号といった状態信号を受信していない場合には通常状態中として特定する。
【0021】
貸出装置2は、所謂各台計数機能付きの貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯22、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口23、遊技者の顔を含む上半身を撮影するカメラを内蔵しているカメラ部24(図1では保護カバーのみを図示)、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部25、持玉や貯玉を払い出すための払出ボタン26、払い出された玉が通過する払出ノズル27、ICカードや会員カードが挿入されるカード挿入口28、遊技機1の下部受皿13の下方に位置する着脱可能な計数受皿29等を有する。
【0022】
貸出装置2は、以下に示すように動作する。
(1)貨幣を受け付けると(貨幣受付処理)、遊技機1と貸出装置2との双方に入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で遊技機1の貸出ボタンが押下されると(貸出操作、対価付与操作)、貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)を遊技機1から払い出し(付与処理)、レートに応じた対価分を残高から引き落とす。尚、貨幣は複数回の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0023】
(2)計数玉を受け付けた場合は計数玉を持玉として特定し、その持玉を払出ボタン26の押下に応じて払い戻す払戻処理(持玉の再プレイ処理)を可能とし、払い戻した場合にはその対価分(例えば払い戻した玉数と同数)の持玉を減算する。
【0024】
(3)残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却ボタンが押下されると(発行操作を受け付けると)、貸出装置2にストックされていた残高や持玉を特定可能なICカードを発行する。尚、持玉の一部や残高のみを発行対象とする分割発行も可能とする。ICカードを受け付けた場合は、その残高や持玉を引き継ぐ。
【0025】
(4)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、払戻玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及びICカードの受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。尚、貸出処理上の通信については中継装置4を介さず、遊技機1と貸出装置2とで直接通信を行っても良い。
【0026】
図2に示すように、情報表示装置3は、液晶表示部30、ランプ部31、呼出ボタン32a、メニューボタン32b、その他リセットボタン等を含む操作ボタン群32、リモコン受光部33等を有する。呼出ボタン32aは、遊技者が遊技場の従業員を呼び出すための操作ボタンであり、メニューボタン32bは、所定のメニューをポップアップ表示するための操作ボタンであり、リセットボタンは、個人の遊技情報を初期化するための操作ボタンである。リモコン受光部33は、遊技場の従業員が携帯する操作リモコンから送信されるリモコン信号を受光する。
【0027】
情報表示装置3は、以下に示すように動作する。
(1)液晶表示部30の表示領域を複数の表示領域に区分可能であり、遊技機1から送信された遊技信号を中継装置4を経由して受信して各種の遊技情報を作成し、その作成した遊技情報を各表示領域に表示したり、管理装置6から送信された各種情報を受信し、その受信した各種情報を各表示領域に表示したりする。
【0028】
(2)複数の表示領域をメイン表示領域34と第1~第6サブ領域35~40に区分し、大当り数を該当期間単位(営業日の当日、1日前、2日前)でメイン表示領域34にて表示し、操作ボタン群32にて遊技情報の切替操作があった場合には、図示しない他の遊技情報を表示する表示状態へと表示を切替える。通常状態にて発生した大当りである初当り数(確変状態での大当り数を除いた大当り数)を該当期間単位で第1サブ表示領域35にて表示し、大当り中の出玉が基準値(例えば1000玉)以上である大当りである「超」と、それ未満である「小」の大当り数を第2サブ表示領域36にて表示し、所定の基準時(例えば対応する機種の導入時)からの営業日単位の最高の獲得玉数を第3サブ表示領域37にて表示し、初期化条件の成立(営業開始や特別状態の終了等の成立)後からのスタート(図柄変動数)を第4サブ表示領域38にて表示し、大当り単位のスタートをグラフ化した所謂スタート履歴グラフを第5サブ表示領域39にて表示し、機種名を第6サブ表示領域40にて表示する。
【0029】
管理装置6は、遊技機1から出力される遊技信号を受信し、遊技機1の遊技状態を管理する。遊技機1は、前述したように図柄変動の結果により大当り遊技が成立すると、遊技者による大当り操作の受付を報知し、大当り操作を待機し、大当り操作が行われることで大当り遊技を開始する機種である。この場合、大当り発生操作を受け付ける期間が予め設けられており、その大当り発生操作を受け付ける期間では大当り信号を出力せずに特別状態信号のみを出力する。そのため、管理装置6は、特別状態信号の入力に応じて特別状態であると特定してしまうと、本来は大当り状態であるのにも関わらず特別状態の発生を誤ってカウントしてしまうことになり、遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理することができなくなる。このような事情から、管理装置6は、通常状態のときに特別状態信号が入力された場合であっても以下の条件(状態特定条件に相当する)を満たすまでは遊技状態を特定せずに当該条件の成立を待機し(特定待機手段に相当する)、当該条件を満たした時点で遊技状態を特定する。
【0030】
(1)大当り信号が入力された場合には、大当り信号が入力された時点で大当り状態を特定する。
(2)図柄確定信号が入力され、図柄確定信号の入力時を起点として1秒以内に大当り信号が入力されなかった場合には、図柄確定信号の入力時から1秒経過後の時点で入賞容易状態を特定する。
(3)図柄確定信号が入力され、図柄確定信号の入力時を起点として1秒以内に大当り信号が入力された場合には、大当り信号が入力された時点で大当り状態を特定する。
尚、管理装置6は、特別状態信号が入力されてから上記(1)から(3)の何れにも該当せずに特別状態信号の入力が終了した場合は大当り状態及び入賞容易状態を特定せずに通常状態の特定を継続する。
【0031】
具体的に図3から図5を参照して説明する。
遊技機1は、図柄変動の結果により大当り遊技が成立すると、図柄確定信号を出力した後に特別状態信号を出力し、通常状態から大当り操作受付状態に移行するが、大当り信号を出力しない。このとき、管理装置6は、従来では、遊技機1の遊技状態が通常状態から入賞容易状態に移行したと特定するが、本実施形態では、この段階では遊技機1の大当り状態及び入賞容易状態を特定せずに特定を待機し、通常状態の特定を継続する(図3から図5中t1)。
【0032】
上記した(1)では、図3に示すように、遊技機1は、大当り操作が行われると、大当り操作受付状態から大当り状態に移行し、大当り信号を出力する。このとき、管理装置6は、大当り信号が入力された時点で、遊技機1の遊技状態が通常状態から大当り状態に移行したと特定する(図3中t2)。即ち、管理装置6は、大当り信号が入力されると、大当り状態を特定することができる。
【0033】
上記した(2)では、図4に示すように、遊技機1は、図柄変動の結果により入賞容易状態に移行すると、図柄確定信号をワンショット出力した後に特別状態信号を出力する。このとき、管理装置6は、特別状態信号が入力されたとしても入賞容易状態を特定せず、次の図柄確定信号の入力停止から大当り信号が入力されずに1秒が経過すると、その図柄確定信号の入力停止から1秒が経過した時点で、遊技機1の遊技状態が通常状態から入賞容易状態に移行したと特定する(図4中t3)。即ち、管理装置6は、特別状態信号が入力された状態で図柄確定信号の入力後から大当り信号が入力されずに1秒が経過すると、入賞容易状態を特定することができる。この場合、管理装置6は、遊技機1の遊技状態が入賞容易状態であっても通常状態として特定しているので、入賞容易状態を特定した後に、通常状態として特定した期間(図4中t1~t3)の図柄変動に関しては遡って入賞容易状態として遊技情報を管理する。
【0034】
上記した(3)では、図5に示すように、遊技機1は、図柄変動の結果により大当り遊技が成立すると、特別状態信号を出力し、通常状態から大当り操作受付状態に移行するが、大当り信号を出力しない。このとき、管理装置6は、上記した(1)と同様に、遊技機1の遊技状態を特定しない。遊技機1は、大当り操作が行われると、図柄確定信号をワンショット出力した後に大当り信号を出力する。このとき、管理装置6は、図柄確定信号の入力停止から1秒が経過する前に大当り信号が入力されると、その大当り信号が入力された時点で遊技機1の遊技状態が通常状態から大当り状態に移行したと特定する(図5中t4)。即ち、管理装置6は、特別状態信号が入力された状態で図柄確定信号の入力後から1秒が経過する前に大当り信号が入力されると、入賞容易状態を特定せずに大当り状態を特定することができる。
【0035】
管理装置6は、図6に示すように、以下の設定により遊技情報を管理する。
突然時短=遊技機1が突然時短を搭載している場合に「有」を選択し、搭載していない場合に「無」を選択する。
時短信号=遊技機1側から出力される信号のうち大当り確率が低確率で入賞容易状態である場合に信号が出力される場合に「有」を選択し、出力されない場合に「無」を選択する。
天井時短=遊技機1が天井時短を搭載している場合に天井時短が発生するまで要する大当り抽選の所定回数を入力し、搭載していない場合に「無」を選択する。
天時回数=遊技機1が天井時短を搭載している場合に付与される時短の回数である。
突時判定=入賞容易状態を特定した場合に、入賞容易状態の種類を判定するための参照するための条件である。「S」はスタート回数を示す。
天時判定=入賞容易状態を特定した場合に、入賞容易状態の種類を判定するための参照するための条件である。「S」はスタート回数を示す。
判定S率=入賞容易状態の種類を判定するための一定アウト(例えば100個)あたりのスタート回数値である。
【0036】
複数の設定により特別状態を判定することができる。遊技機1から出力される特別状態信号により入賞容易状態を特定すると、その時点におけるスタート回数(図柄変動回数)が所定回数未満であるか否かに応じて突然時短であるか天井時短であるかを判定する。大当り確率が低確率状態で入賞容易状態である場合に、遊技機1から時短信号が出力されていれば、その時点のスタート回数に応じて突然時短であるか天井時短であるかを判定することができる。
【0037】
情報表示装置3は、遊技機1から特別状態信号が入力された場合でも遊技状態の表示は行わず、管理装置6が遊技機1の遊技状態を特定した後に、対応する遊技状態を表示する。情報表示装置3は、特別状態信号が入力された後に大当り信号が入力されると、遊技機1の遊技状態が大当り状態であると特定し、図7(a)に示すように、大当り遊技に突入した旨を示す大当り状態特定時画面101を表示し、「大当り発生!!」の演出をメイン表示領域34にて表示する。情報表示装置3は、大当り遊技中では、図7(b)に示すように、大当り遊技中である旨を示す大当り遊技中画面102を表示し、「大当り」の演出、当該大当りを含む大当り継続数、大当り継続中の総獲得数、大当り継続中の履歴等をメイン表示領域34、第3サブ表示領域37、第5サブ表示領域39に跨って表示する。
【0038】
前述したように入賞容易状態は、天井条件の成立による天井時短と、突然時短図柄の成立による突然時短とがあり、入賞容易状態特定時のスタート回数に閾値を設け、入賞容易状態特定時のスタート回数が所定回数以上であるか否かに応じて突然時短と天井時短とを区別する。入賞容易状態特定時のスタート回数が所定回数以上であれば、天井時短が発生した旨を表示し、所定回数未満であれば、突然時短が発生した旨を表示する。
【0039】
情報表示装置3は、天井条件が成立すると、図8(a)に示すように、天井時短に突入した旨を示す天井時短特定時画面201を表示し、「天井時短突入!!」の演出をメイン表示領域34にて表示する。情報表示装置3は、天井時短中では、図8(b)に示すように、天井時短中である旨を示す天井時短中画面202を表示し、「天井時短中」の演出、天井時短中のスタート回数、当該遊技機1における時短中に初当りした場合の平均獲得数等をメイン表示領域34、第3サブ表示領域37、第5サブ表示領域39に跨って表示する。
【0040】
情報表示装置3は、突時条件が成立すると、図9(a)に示すように、突時時短に突入した旨を示す突時時短特定時画面301を表示し、「突時時短突入!!」の演出をメイン表示領域34にて表示する。情報表示装置3は、突時時短中では、図9(b)に示すように、突時時短中である旨を示す突時時短中画面302を表示し、「突時時短中」の演出、突時時短中のスタート回数、当該遊技機1における時短中に初当りした場合の平均獲得数等をメイン表示領域34、第3サブ表示領域37、第5サブ表示領域39に跨って表示する。
【0041】
尚、以上は、入賞容易状態を天井時短と突然時短とに区別して表示する場合を例示したが、天井時短と突然時短とに区別せずに入賞容易状態であることだけを示す内容を表示しても良い。又、入賞容易状態中の遊技情報を表示しても良い。表示内容は、入賞容易状態を特定した回数、特別状態中に消化したゲーム数、入賞容易状態中に当選した大当りの回数、入賞容易状態中に当選した大当りの発生確率等である。
【0042】
又、管理装置6は、図10に示すように、遊技信号が入力されることで大当り状態及び入賞容易状態を特定した場合の履歴データを管理する。
各項目は以下の通りである。
NO=特賞履歴の項番である。
特賞=大当り(特賞)及び特別状態の種類である。
時刻=対応する特賞が発生した時刻である。
スタート=対応する特賞が発生した際のスタート回数である。大当り発生により初期化される。
差玉=対応する特賞で獲得される差玉数である。
状態=遊技機1の状態である。
【0043】
日付、機種及び台番に関する情報は遊技場の管理者により任意に選択可能である。本実施形態において、NO.1では、スタート「195回」で特賞信号が入力されると、大当り状態の発生を特定し、大当りの発生を管理する。当該大当りが発生した時刻は「13:32」であり、獲得された差玉は「400個」である。NO.1の大当りはNO.2の大当りまで二連荘継続して通常状態に戻る。その後、NO.3では、大当りの発生をスタート「215回」で特定するが、NO.3の大当りは連荘することなく終了する。
【0044】
NO.4では、特別状態信号が入力されると、大当り信号の入力の有無と現在のスタート回数とを参照する。大当り信号が入力されずに図柄確定信号が入力され、更にスタート回数が「105回」であるので、天井時短ではなく突然時短であると特定して管理する。突然時短を「50回」消化して通常状態に戻る。尚、このとき、大当りが発生していないので、スタート回数は初期化されない。
【0045】
NO.5では、同様にスタート「291回」であるので、突然時短を特定し、突然時短を「50回」消化して通常状態に戻る。NO.6では、スタート「600回」に到達して特別状態信号及び図柄確定信号が入力されると、天井特典が付与されたと特定し、天井時短を特定する。当該天井時短消化中にNO.7の大当りをスタート「917回」で発生したと管理し、当該大当りはNO.10の大当りまで四連荘継続して通常状態に戻る。
【0046】
このようにして管理装置6は、入力された信号により大当り状態と入賞容易状態とを区別して管理することができ、更に入賞容易状態を突然時短と天井時短とに区別して管理することができる。管理装置6は、図11に示すように、例えば総突入回数、総スタート回数、総大当り回数、大当り確率等の遊技情報を、突然時短と天井時短とに区別して管理することができる。
【0047】
停電時や遊技機1との通信不良により、遊技機1側から出力される信号が途切れてしまい、復旧時に再度信号が入力されることが考えられる。この場合、信号が途切れた時点で遊技機1の状態が通常状態であると特定してしまい、特別状態信号を再度入力した場合に、入賞容易状態を重複して特定してしまう。この場合、遊技機1の電源オフ中は図柄確定信号が入力されないので、特別状態信号入力時のスタート回数が直前の特別状態信号オフ時のスタート回数(図14では「135回」)が同じであれば電源オフオンによる信号入力と特定することができる。そのため、管理状態とスタート回数とを記録することで、遊技信号が途切れた際のスタート回数と、特別状態信号が再度入力された際のスタート回数を記録したスタート回数とを比較し、同じであれば入賞容易状態を特定しても、信号が途切れる直前の入賞容易状態が継続していると特定する。尚、記録するスタート回数は大当り発生や所定の初期化操作でリセットする。
【0048】
図14を参照して説明すると、管理装置6は、遊技情報を記憶し、管理状態が入賞容易状態であり、スタートが「135回」であることを記憶する。遊技機1の電源がオフし(図14中t11)、特別状態信号の入力が途切れ、その後、遊技機1の電源がオンし(図14中t12)、特別状態信号が入力された場合、スタート回数が直前に記憶したスタート回数と同一であれば変動確定信号の入力が無くても入賞容易状態を特定することができる。尚、入賞容易状態の種類は、直前の状態を参照しても良いし、再度特定しても良い。
【0049】
図12及び図13は、それぞれ管理装置6が行う状態特定処理及び状態判定処理を示す。管理装置6は、状態特定処理の開始イベントの成立を所定周期で待機している。管理装置6は、状態特定処理の開始イベントが成立すると、状態特定処理を開始し、特別状態信号が入力されたか否かを判定する(S1)。管理装置6は、特別状態信号が入力されていないと判定すると(S1:NO)、状態特定処理を終了し、次の状態特定処理の開始イベントの成立を待機する。
【0050】
管理装置6は、特別状態信号が入力されたと判定すると(S1:YES)、遊技状態を特定せずに図柄確定信号の入力を待機し、図柄確定信号が入力されたか否かを判定し(S2)、図柄確定信号が入力されていないと判定すると(S2:NO)、遊技状態を特定せずに大当り信号の入力を待機し、大当り信号が入力されたか否かを判定する(S3)。管理装置6は、大当り信号が入力されていないと判定すると(S3:NO)、特別状態信号の入力を終了したか否かを判定し(S4)、特別状態信号の入力を終了していないと判定すると(S4:NO)、遊技状態を特定せずにステップS2に戻り、図柄確定信号の入力を待機する。
【0051】
管理装置6は、特別状態信号の入力を終了する前に大当り信号が入力されたと判定すると(S3:YES)、大当り状態を特定し(S5)、状態特定処理を終了し、次の状態特定処理の開始イベントの成立を待機する。
【0052】
管理装置6は、特別状態信号の入力を終了する前に図柄確定信号が入力されたと判定すると(S2:YES)、その図柄確定信号の入力から1秒が経過したか否かを判定すると共に大当り信号が入力されたか否かを判定する(S6,S7)。管理装置6は、大当り信号が入力されずに図柄確定信号の入力から1秒が経過したと判定すると(S6:YES)、入賞容易状態を特定し(S8)、状態判定処理に移行する(S9)。
【0053】
管理装置6は、状態判定処理を開始すると、その時点のスタート回数が所定回数以上であるか否かを判定し(S11)、その時点のスタート回数が所定回数以上であると判定すると(S11:YES)、天井時短であると特定し(S12)、その時点のスタート回数が所定回数以上でなく所定回数未満であると判定すると(S11:NO)、突然時短であると特定し(S13)、状態判定処理を終了し、状態特定処理に復帰し、状態特定処理を終了し、次の状態特定処理の開始イベントの成立を待機する。
【0054】
管理装置6は、図柄確定信号の入力から1秒が経過する前に大当り信号が入力されたと判定すると(S7:YES)、大当り状態を特定し(S5)、状態特定処理を終了し、次の状態特定処理の開始イベントの成立を待機する。
【0055】
以上に説明した本実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
遊技場用システムにおいて、大当り遊技が成立していても大当り操作が行われた場合にのみ大当り遊技が開始される遊技機1を管理対象とする場合に、特別状態信号が出力された直後に遊技状態を特定するのではなく、特別状態信号が出力されている期間で遊技状態の特定を待機し、判定期間において状態特定条件が成立するか否かに応じて遊技状態を特定するようにしたので、遊技状態を適切に特定することができ、遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理することができる。又、遊技状態に応じた正確な遊技情報を情報表示装置3にて表示することで、遊技者が不快感を抱いてしまう虞を低減することができる。
【0056】
特別状態信号が出力され、その後、大当り信号が出力された場合に、大当り状態と特定し、図柄変動信号が出力された場合に、入賞容易状態と特定するようにしたので、遊技状態を適切に特定することができ、遊技状態に応じた遊技情報を正確に管理することができる。
【0057】
入賞容易状態を、スタート回数が所定回数以上である場合に、天井時短であると特定し、スタート回数が所定回数以上でなく所定回数未満である場合に、突然時短であると特定するようにしたので、入賞容易状態を天井時短と突然時短とに区別して管理することができる。
【0058】
本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張することができる。又、例示した構成は変形例も含め、どのように組み合わせても良いし、適宜採用しない構成としても良い。
【0059】
対象となる遊技機としてパチンコ遊技機を例示したが、スロットマシン等にも採用することができる。又、遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式のスロットマシンやパチンコ遊技機等にも採用することができる。
管理装置6が行う情報処理の一部を、貸出装置2や情報表示装置3や中継装置4にて行っても良い。
全ての入賞容易状態中に出力される信号を特別状態信号としたが、入賞容易状態中の大当り確率を低確率と高確率とに区別して出力される信号を用いても良い。
特別状態を特定するか否かを、予め遊技場の管理者により設定可能としても良い。又、天井時短や突然時短を搭載しているか否かにより特定する内容を固定するように設定可能としても良い。
【符号の説明】
【0060】
図面中、1は遊技機、3は情報表示装置(遊技用装置、表示手段)、6は管理装置(特定待機手段、状態特定手段、管理手段、状態判定手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14