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特開2022-98084センシングデータ管理システム、センシングデータ管理方法、センシング装置、データ処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098084
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】センシングデータ管理システム、センシングデータ管理方法、センシング装置、データ処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20220624BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20220624BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
H04W64/00 160
H04W4/38
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211425
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 哲三
【テーマコード(参考)】
5K067
5K201
【Fターム(参考)】
5K067DD19
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067JJ51
5K201AA04
5K201BA02
5K201CB10
5K201CC04
5K201CC07
5K201EC06
5K201EC08
5K201ED09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センシング場所を低コストで推定できるようにするセンシングデータ管理システム、センシングデータ管理方法、センシング装置、データ処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】センシングデータ管理システムにおいて、センシング装置SDは、サービスエリアに分散配置されている複数の無線基地局のうち、センシング装置が無線通信を可能な複数の接続候補基地局の識別情報を含む基地局リストを生成して、データ処理装置(センシングデータ管理サーバSV1が)へ送信する。これに対しデータ処理装置は、受信した基地局リストと、予め取得された複数の無線基地局の設置位置情報とに基づいてセンシング装置の設置場所を推定する。そして、センシング装置から送られるセンシングデータをもとに所定の情報処理情報を生成し、生成された情報処理データを、推定された上記センシング装置の設置場所を表す情報と関連付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスエリアに分散配置された複数の無線基地局との間で無線通信が可能な通信モジュールと共に使用されるセンシング装置と、前記複数の無線基地局を含む通信ネットワークに接続可能なデータ処理装置とを備えるセンシングデータ管理システムであって、
前記センシング装置は、
取得したセンシングデータを、前記通信モジュールから前記複数の無線基地局のいずれかを介して前記データ処理装置へ送信するセンシングデータ送信処理部と、
前記複数の無線基地局のうち、前記通信モジュールが前記無線通信を行うことが可能な接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報を生成し、生成された前記基地局リスト情報を、前記通信モジュールから前記接続候補基地局を介して前記データ処理装置へ送信する基地局リスト生成処理部と
を備え、
前記データ処理装置は、
前記センシング装置から送信された前記センシングデータを複数受信し、受信された前記複数のセンシングデータを保存するセンシングデータ取得処理部と、
前記センシング装置から送信された前記基地局リスト情報を受信し、受信された前記基地局リスト情報と、予め取得された前記複数の無線基地局の設置位置情報とに基づいて、前記センシング装置の設置場所を推定するセンシング場所推定処理部と、
保存された前記複数のセンシングデータに基づいて所定の情報処理を行って情報処理データを生成し、生成された前記情報処理データを、推定された前記センシング装置の設置場所を表す情報と関連付ける情報処理データ生成処理部と
を備えるセンシングデータ管理システム。
【請求項2】
前記基地局リスト生成処理部は、前記接続候補基地局から受信される無線信号の受信品質を示す情報を前記通信モジュールから取得し、取得された前記受信品質を示す情報をさらに含む前記基地局リスト情報を生成して、前記データ処理装置へ送信し、
前記センシング場所推定処理部は、前記センシング装置から送信された前記基地局リスト情報に含まれる前記接続候補基地局の識別情報と、当該接続候補基地局の設置位置を表す情報とに基づいて、前記接続候補基地局の周辺エリアを推定し、前記基地局リスト情報に含まれる前記受信品質を示す情報に基づいて、前記周辺エリア内における前記センシング装置の設置場所を推定する
請求項1に記載のセンシングデータ管理システム。
【請求項3】
前記基地局リスト生成処理部は、前記通信モジュールが複数の通信ネットワークにそれぞれ接続可能な場合に、前記複数の通信ネットワークの各無線基地局の識別情報を混在して含む前記基地局リスト情報を生成して、前記データ処理装置へ送信し、
前記センシング場所推定処理部は、前記センシング装置から送信された前記基地局リスト情報に混在して含まれる前記各無線基地局の識別情報と、予め取得された前記複数の通信ネットワークの各無線基地局の設置位置情報とに基づいて、前記センシング装置の設置場所を推定する
請求項1に記載のセンシングデータ管理システム。
【請求項4】
前記基地局リスト生成処理部は、前記基地局リスト情報が新規に生成されたとき、およびその後前記基地局リスト情報の内容が変更されたときに、当該基地局リスト情報を前記データ処理装置へ送信する、請求項1乃至3のいずれかに記載のセンシングデータ管理システム。
【請求項5】
サービスエリアに分散配置された複数の無線基地局との間で無線通信が可能な通信モジュールと共に使用され、前記複数の無線基地局を含む通信ネットワークを介してデータ処理装置との間でデータ通信が可能なセンシング装置であって、
取得したセンシングデータを、前記通信モジュールから前記複数の無線基地局のいずれかを介して前記データ処理装置へ送信するセンシングデータ送信処理部と、
前記複数の無線基地局のうち、前記通信モジュールが前記無線通信を行うことが可能な接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報を生成し、生成された前記基地局リスト情報を、前記センシング装置の設置場所を推定するための情報として、前記通信モジュールから前記接続候補基地局を介して前記データ処理装置へ送信する基地局リスト生成処理部と
を備えるセンシング装置。
【請求項6】
サービスエリアに分散配置された複数の無線基地局との間で無線通信が可能な通信モジュールと共に使用されるセンシング装置との間で、前記複数の無線基地局を含む通信ネットワークを介してデータ通信が可能なデータ処理装置であって、
前記センシング装置から送信される複数のセンシングデータを受信し、受信された前記複数のセンシングデータを保存するセンシングデータ取得処理部と、
前記センシング装置から送信される、前記複数の無線基地局のうち、前記通信モジュールが前記無線通信を行うことが可能な接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報を受信し、受信された前記基地局リスト情報と、予め取得された前記複数の無線基地局の設置位置情報とに基づいて、前記センシング装置の設置場所を推定するセンシング場所推定処理部と、
保存された前記複数のセンシングデータに基づいて所定の情報処理を行って情報処理データを生成し、生成された前記情報処理データを、推定された前記センシング装置の設置場所を表す情報と関連付ける情報処理データ生成処理部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項7】
サービスエリアに分散配置された複数の無線基地局との間で無線通信が可能な通信モジュールと共に使用されるセンシング装置と、前記複数の無線基地局を含む通信ネットワークに接続可能なデータ処理装置とを備えるセンシングデータ管理システムが実行するセンシングデータ管理方法であって、
前記センシング装置が、取得したセンシングデータを、前記通信モジュールから前記複数の無線基地局のいずれかを介して前記データ処理装置へ送信する過程と、
前記センシング装置が、前記複数の無線基地局のうち、前記通信モジュールが前記無線通信を行うことが可能な接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報を生成し、生成された前記基地局リスト情報を、前記通信モジュールから前記接続候補基地局を介して前記データ処理装置へ送信する過程と、
前記データ処理装置が、前記センシング装置から送信された複数の前記センシングデータを受信し、受信された前記複数のセンシングデータを保存する過程と、
前記データ処理装置が、前記センシング装置から送信された前記基地局リスト情報を受信し、受信された前記基地局リスト情報と、予め取得された前記複数の無線基地局の設置位置情報とに基づいて、前記センシング装置の設置場所を推定する過程と、
前記データ処理装置が、保存された前記複数のセンシングデータに基づいて所定の情報処理を行って情報処理データを生成し、生成された前記情報処理データを、推定された前記センシング装置の設置場所を表す情報と関連付ける過程と
を備えるセンシングデータ管理方法。
【請求項8】
請求項5に記載のセンシング装置が備える前記各処理部の処理を、前記センシング装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【請求項9】
請求項6に記載のデータ処理装置が備える前記各処理部の処理を、前記データ処理装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えばセンシング装置により得られるセンシングデータを、データ処理装置がネットワークを介して収集し管理するセンシングデータ管理システム、センシングデータ管理方法、センシング装置、データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば医療機関やフィットネスクラブ、集会所に血圧計等のセンシング装置を固定的に設置して利用者に血圧等のバイタルデータの測定を依頼し、測定された上記バイタルデータをサーバ装置で収集して、例えば高血圧者の割合等を示す統計データを生成するシステムが提案されている。このようなシステムを利用することで、例えば医療関係者等が患者や地域住民の健康状態の傾向性を把握して、種々の対策に役立てることが可能となる。
【0003】
ところで、サーバ装置が上記したようにバイタルデータを端末から収集し管理する場合、バイタルデータの測定場所または送信元を特定する必要がある。これらの場所を特定するには、例えば、センシング装置または付属するIoT機器等の通信機器に、GPS(Global Positioning System)を利用して位置情報を取得するGPS位置センサを設け、このGPS位置センサにより取得された位置情報をバイタルデータと共にサーバ装置へ送信する手法が一般的に用いられている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
また、無線アクセス方式としてLong Time Evolution:LTE(登録商標)を採用した移動通信システムであれば、当該システムが備える位置情報サービス(LoCation Service:LCS)機能を利用して、センシング装置の位置情報を取得する手法も考えられる(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-16995号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「LTEのさらなる発展-LTE Release9-」、岩村幹生ほか、NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル Vol.18 No.1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、GPS位置センサを設けることは、センシング装置または付属通信機器のコストアップを招き好ましくない。また、センシング装置または付属通信機器が、例えば屋内のGPS信号を受信できない場所に設置されている場合には、位置情報を取得することができないという問題も生じる。
【0008】
一方、LCSを利用する場合には、GPS位置センサを設ける必要がなくなるが、LCSを利用するには利用料金が別途必要となり、新たな費用負担が発生する。
【0009】
本開示は、上記事情に着目してなされたもので、センシング場所を低コストで推定できるようにする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、サービスエリアに分散配置された複数の無線基地局との間で無線通信が可能な通信モジュールと共に使用されるセンシング装置と、前記複数の無線基地局を含む通信ネットワークに接続可能なデータ処理装置とを備えるセンシングデータ管理システムに関するものである。
【0011】
このシステムおいて、前記センシング装置は、センシングデータ送信処理部と、基地局リスト生成処理部とを備える。センシングデータ送信処理部は、取得したセンシングデータを、前記通信モジュールから前記無線基地局を介して前記データ処理装置へ送信する。基地局リスト生成処理部は、前記複数の無線基地局のうち、前記通信モジュールが前記無線通信を行うことが可能な接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報を生成し、生成された前記基地局リスト情報を、前記通信モジュールから前記接続候補基地局を介して前記データ処理装置へ送信する。
【0012】
一方、前記データ処理装置は、センシングデータ取得処理部と、センシング場所推定処理部と、情報処理データ生成処理部とを備える。センシングデータ取得処理部は、前記センシング装置から送信された前記センシングデータを複数受信し、受信された前記複数のセンシングデータを保存する。センシング場所推定処理部は、前記センシング装置から送信された前記基地局リスト情報を受信し、受信された前記基地局リスト情報と、予め取得された前記複数の無線基地局の設置位置情報とに基づいて、前記センシング装置の設置場所を推定する。情報処理データ生成処理部は、前記第1の記憶媒体に記憶された前記複数のセンシングデータに基づいて所定の情報処理を行って情報処理データを生成し、生成された前記情報処理データを、推定された前記センシング装置の設置場所を表す情報と関連付ける。
【0013】
この発明の第1の態様によれば、データ処理装置において、センシング装置から送られる基地局リスト情報と、予め取得された無線基地局の設置位置情報とに基づいて、上記センシング装置の設置場所、つまりセンシング場所を推定することが可能となる。この結果、センシング装置またはその付属通信機器にはGPS位置センサを設ける必要がなく、かつLCSから位置情報を有償で取得する必要もなくなるので、センシング装置またはその付属通信機器の製品コストを低く抑え、かつLCSの利用コストを不要にすることが可能となる。また、センシング装置の設置場所は通信ネットワークの無線基地局との無線通信が可能な場所であればどこでもよく、GPS位置センサを用いる場合に比べ、センシング装置の設置場所の自由度を高めることが可能となる。
【0014】
この発明の第2の態様は、前記基地局リスト生成処理部が、前記接続候補基地局から受信される無線信号の受信品質を示す情報を前記通信モジュールから取得し、取得された前記受信品質を示す情報をさらに含む前記基地局リスト情報を生成して、前記データ処理装置へ送信し、前記センシング場所推定処理部が、前記センシング装置から送信された前記基地局リスト情報に含まれる前記接続候補基地局の識別情報と、当該接続候補基地局の設置位置を表す情報とに基づいて、前記接続候補基地局の周辺エリアを推定し、前記基地局リスト情報に含まれる前記受信品質を示す情報に基づいて、前記周辺エリア内における前記センシング装置の設置場所を推定するようにしたものである。
【0015】
この発明の第2の態様によれば、センシング場所を推定する際に、先ず基地局リスト情報に含まれる前記接続候補基地局の識別情報と当該基地局の設置位置情報とから前記接続候補基地局の設置位置により囲まれるエリアが推定され、さらに前記基地局リスト情報に含まれる前記接続候補基地局からの受信品質をもとに、上記エリア内におけるセンシング装置の位置が推定される。この結果、推定されたエリアをそのままセンシング装置の設置場所とする場合に比べ、センシング装置の設置場所をさらに正確に推定することが可能となる。
【0016】
この発明の第3の態様は、前記基地局リスト生成処理部が、前記通信モジュールが複数の通信ネットワークにそれぞれ接続可能な場合に、前記複数の通信ネットワークの各無線基地局の識別情報を混在して含む前記基地局リスト情報を生成して、前記データ処理装置へ送信し、前記センシング場所推定処理部が、前記センシング装置から送信された前記基地局リスト情報に混在して含まれる前記各無線基地局の識別情報と、予め取得された前記複数の通信ネットワークの各無線基地局の設置位置情報とに基づいて、前記センシング装置の設置場所を推定するようにしたものである。
【0017】
この発明の第3の態様によれば、センシング装置の周辺に設置されている契約先の通信ネットワークの無線基地局の数が少ない場合でも、ローミング先となり得る無線基地局も含めてセンシング装置の設置場所が推定されるので、センシング装置の設置場所の推定精度をさらに高めることが可能となる。
【0018】
この発明の第4の態様は、前記基地局リスト生成処理部が、前記基地局リスト情報が新規に生成されたとき、およびその後前記基地局リスト情報の内容が変更されたときに、当該基地局リスト情報を前記データ処理装置へ送信するようにしたものである。
【0019】
この発明の第4の態様によれば、基地局リスト情報の内容が変更された場合にのみ基地局リスト情報が送信されるので、例えばセンシングデータの送信毎にその都度基地局リスト情報を生成し送信する場合に比べ、通信ネットワークにおける通信トラフィックの増加を抑えることが可能となる。
【0020】
またこの発明の第4の態様によれば、基地局リスト情報は内容が変化した場合に送信されるので、例えばセンシング装置が新規に設置された場合のみならず、例えばセンシング装置の設置場所が別の施設に変更された場合や、センシング装置が例えば移動検診車等に搭載されて異なる施設に出張した場合にも、変更された基地局リスト情報の内容に基づいてセンシング装置の設置場所を正しく推定することが可能となる。
【0021】
この発明の第5の態様は、サービスエリアに分散配置された複数の無線基地局との間で無線通信が可能な通信モジュールと共に使用され、前記複数の無線基地局を含む通信ネットワークを介してデータ処理装置との間でデータ通信が可能なセンシング装置に関するもので、センシング装置は、センシングデータ送信処理部と、基地局リスト生成処理部とを備える。センシングデータ送信処理部は、取得したセンシングデータを、前記通信モジュールから前記複数の無線基地局のいずれかを介して前記データ処理装置へ送信する。基地局リスト生成処理部は、前記複数の無線基地局のうち、前記通信モジュールが前記無線通信を行うことが可能な接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報を生成し、生成された前記基地局リスト情報を、前記センシング装置の設置場所を推定するための情報として、前記通信モジュールから前記接続候補基地局を介して前記データ処理装置へ送信する。
【0022】
この発明の第5の態様によれば、センシング装置からデータ処理装置に対し、接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報が、センシング装置の設置場所を推定するための情報として送信される。このため、データ処理装置においては、センシング装置から送られる前記基地局リスト情報に基づいて、センシング装置の設置場所を推定することが可能となる。
【0023】
従って、第1の態様と同様に、センシング装置またはその付属通信機器の製品コストを低く抑え、かつLCSの利用コストを不要にすることが可能となる。また、センシング装置の設置場所の自由度を高めることが可能となる。
【0024】
この発明の第6の態様は、サービスエリアに分散配置された複数の無線基地局との間で無線通信が可能な通信モジュールと共に使用されるセンシング装置との間で、前記複数の無線基地局を含む通信ネットワークを介してデータ通信が可能なデータ処理装置に関するもので、データ処理装置は、センシングデータ取得処理部と、センシング場所推定処理部と、情報処理データ生成処理部とを備える。センシングデータ取得処理部は、前記センシング装置から送信される複数のセンシングデータを受信し、受信された前記複数のセンシングデータを保存する。センシング場所推定処理部は、前記センシング装置から送信される、前記複数の無線基地局のうち、前記通信モジュールが前記無線通信を行うことが可能な接続候補基地局の識別情報を含む基地局リスト情報を受信し、受信された前記基地局リスト情報と、予め取得された前記複数の無線基地局の設置位置情報とに基づいて、前記センシング装置の設置場所を推定する。情報処理データ生成処理部は、保存された前記複数のセンシングデータに基づいて所定の情報処理を行って情報処理データを生成し、生成された前記情報処理データを、推定された前記センシング装置の設置場所を表す情報と関連付ける。
【0025】
この発明の第6の態様によれば、データ処理装置は、センシング装置から送られる基地局リスト情報に基づいてセンシング装置の設置場所を推定することができ、推定されたセンシング装置の設置場所を考慮して、センシングデータに対し種々の情報処理を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
すなわち、この発明によれば、センシング場所を低コストで推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、この発明の一実施形態に係るセンシングデータ管理システムの概略構成図である。
図2図2は、図1に示したシステムで使用されるセンシング装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示したシステムで使用されるセンシング装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、図1に示したシステムにおいてデータ処理装置として使用されるセンシングデータ管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、図1に示したシステムにおいてデータ処理装置として使用されるセンシングデータ管理サーバのソフトウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、図3に示したセンシング装置が実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図7図7は、図6に示した処理手順のうち基地局リスト生成処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図8図8は、図5に示したセンシングデータ管理サーバが実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図9図9は、図8に示した処理手順のうちセンシング場所推定処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図10図10は、図7に示した基地局リスト生成処理の一例を説明するための図である。
図11図11は、図9に示したセンシング場所推定処理の第1の処理過程の一例を説明するための図である。
図12図12は、図9に示したセンシング場所推定処理の第2の処理過程の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0029】
[一実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係るセンシングデータ管理システムの全体構成の一例を示す図である。
【0030】
図1において、例えば医療機関やフィットネスクラブ、集会所、商業施設等の多くの利用者が訪れる施設には、センシング装置SDが固定的に設置されている。一方、例えばクラウド上またはWeb上には、データ処理装置として機能するセンシングデータ管理サーバSV1が設置されている。
【0031】
一実施形態に係るシステムは、上記センシング装置SDにより測定されたセンシングデータを、移動通信ネットワークのサービスエリアに分散配置された複数の基地局BS1~BSnおよび広域ネットワークNWを介して、上記センシングデータ管理サーバSV1に伝送することを可能にする。
【0032】
なお、移動通信ネットワークは、一つの通信事業者により運用される一つの移動通信ネットワークに限らず、複数の通信事業者がそれぞれ運用する複数の移動通信ネットワークが混在していてもよい。また、移動通信ネットワークの無線アクセス方式としては、例えばLTE(Long Time Evolution)が想定されるが、それに限定されるものではなく、4Gまたは5Gを採用したものであってもよい。
【0033】
広域ネットワークNWは、インターネットと、このインターネットに対しアクセスするためのアクセスネットワークとを含む。アクセスネットワークとしては、例えば、通信事業者が提供する公衆データ回線やLAN(Local Area Network)、無線LAN、CATV(Cable Television)回線等が用いられるが、それに限るものではない。
【0034】
また一実施形態に係るシステムは、上記センシングデータ管理サーバSV1と、位置情報管理サーバSV2との間および利用者端末CT1~CTkとの間で、上記広域ネットワークNWを介してそれぞれデータ伝送を可能にしている。
【0035】
位置情報管理サーバSV2は、上記複数の基地局BS1~BSnの設置位置に関する情報を管理する機能を有するもので、この基地局の設置位置に関する情報を無償で公開する。利用者端末CT1~CTkは、例えば医療機関、医薬品メーカ、保険会社等のセンシングデータの利用者が使用するもので、これらの利用者がセンシングデータ管理サーバSV1からセンシングデータの統計情報を取得するために使用される。
【0036】
(2)装置
(2-1)センシング装置SD
図2および図3は、それぞれセンシング装置SDのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0037】
センシング装置SDは、例えば血圧計からなり、制御ユニット1と、センシングユニット2と、通信モジュール3とを備えている。センシングユニット2は、制御ユニット1による制御の下で血圧データ等のセンシングデータの測定動作を行い、測定されたセンシングデータを制御ユニット1へ出力する。
【0038】
なお、センシングユニット2は、血圧データ以外に、心拍数や心電波形、血糖値、活動量、ストレス度等のその他のバイタルデータを単独または複合して測定するデバイスであってもよく、さらにはバイタルデータ以外の騒音、大気や水質等の汚染物質、交通量や人の移動量等に係るIoTデータを測定するセンサデバイスであってもよい。
【0039】
通信モジュール3は、上記複数の基地局BS1~BSnとの間で、例えばLTE規格に従い無線リンクを確立するための無線制御信号の送受信や、センシングデータ等の情報データの送受信を行う。上記無線制御信号には、基地局BS1~BSnから送信される基地局識別情報(以後基地局IDと称する)が含まれる。
【0040】
なお、通信モジュール3は、センシング装置SDに内蔵されるものに限らず、付属の通信装置として外設されるものであってもよく、また独立して使用されるIoT機器等やルータ、セットトップボックス(STB)、GPS位置センサを持たない携帯端末が備える通信モジュールであってもよい。
【0041】
なお、通信モジュール3は、センシング装置SDに内蔵されず、付属の通信装置として外設されてもよく、また独立して使用されるIoT機器等やルータ、セットトップボックス(STB)、GPS位置センサを持たない携帯端末が備える通信モジュールであってもよい。
【0042】
制御ユニット1は、例えば中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを使用した制御部11を備える。そして、この制御部11に対し、バス16を介して、プログラム記憶部12およびデータ記憶部13を有する記憶ユニットと、センサインタフェース(以後インタフェースをI/Fと記載する)14および通信I/F15を接続したものとなっている。
【0043】
センサI/F14は、制御部11の制御の下、センシングユニット2に対する動作制御信号の出力、およびセンシングユニット2から出力されるセンシングデータの入力を行う。通信I/F15は、制御部11の制御の下、通信モジュール3との間で、接続制御信号および情報データの授受を行う。
【0044】
プログラム記憶部12は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0045】
データ記憶部13は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、一実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、基地局リスト記憶部131と、センシングデータ記憶部132とを備えている。
【0046】
基地局リスト記憶部131は、後述する制御部11により生成される基地局リストを記憶するために使用される。センシングデータ記憶部132は、センシングユニット2により測定されたセンシングデータを記憶するために使用される。
【0047】
制御部11は、一実施形態を実施するために必要な処理機能として、基地局リスト生成処理部111と、基地局リスト送信処理部112と、センシングデータ取得処理部113と、センシングデータ送信処理部114とを備える。これらの処理部111~114は、何れもプログラム記憶部12に格納されたプログラムを制御部11のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0048】
基地局リスト生成処理部111は、例えばセンシング装置SDの電源オン時またはその後の運用期間中に定期的な基地局サーチを行い、この基地局サーチの結果をもとにセンシング装置SDが無線通信を行うことが可能な接続候補基地局を表す基地局リストを生成する。基地局リストには、センシング装置SDが無線通信を行うことが可能な基地局の基地局IDと、当該基地局から受信した無線制御信号の受信品質(例えば受信電界強度(Received Signal Strength Indication:RSSI))とが含まれる。
【0049】
また、基地局リスト生成処理部111は、新たな基地局リストが生成される毎に、当該新たな基地局リストを基地局リスト記憶部131に記憶されている過去の基地局リストと比較する。そして、リストの内容が変化している場合に、基地局リスト記憶部131に記憶されている過去の基地局リストを上記新たな基地局リストに更新する処理を行う。
【0050】
基地局リスト送信処理部112は、上記基地局リスト記憶部131に記憶されている基地局リストが更新された場合に、更新された上記基地局リストを基地局リスト記憶部131から読み出し、読み出された上記基地局リストをセンシング装置SDの識別情報(以後デバイスIDと称する)と共に、通信モジュール3からセンシングデータ管理サーバSV1へ送信する処理を行う。
【0051】
センシングデータ取得処理部113は、センシングユニット2により測定されたセンシングデータをセンサI/F14を介して取り込み、このセンシングデータをセンシングデータ記憶部132に保存する処理を行う。
【0052】
センシングデータ送信処理部114は、上記センシングデータ取得処理部113により新たなセンシングデータが得られる毎、所定の測定回数分のセンシングデータが上記センシングデータ記憶部132に蓄積される毎、或いは前回の送信から所定時間が経過する毎に、未送信のセンシングデータをセンシングデータ記憶部132から読み出し、読み出されたセンシングデータをデバイスIDと共に、通信モジュール3からセンシングデータ管理サーバSV1へ送信する処理を行う。
【0053】
(2-2)センシングデータ管理サーバSV1
図4および図5は、それぞれセンシングデータ管理サーバSV1のハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0054】
センシングデータ管理サーバSV1は、例えばサーバコンピュータからなり、中央処理ユニット等のハードウェアプロセッサを使用した制御部4を備える。そして、この制御部4に対し、バス8を介して、プログラム記憶部5およびデータ記憶部6を有する記憶ユニットと、通信I/F7とを接続したものとなっている。
【0055】
通信I/F7は、制御部4の制御の下、広域ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、センシング装置SD、位置情報管理サーバSV2および利用者端末CT1~CTkとの間で、それぞれ情報データの送受信を行う。
【0056】
プログラム記憶部5は、例えば、記憶媒体としてHDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS等のミドルウェアに加えて、一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0057】
データ記憶部6は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリと組み合わせたもので、一実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、基地局位置情報記憶部61と、基地局リスト記憶部62と、地図情報記憶部63と、センシング場所情報記憶部64と、センシングデータ記憶部65と、統計情報記憶部66とを備えている。
【0058】
基地局位置情報記憶部61は、位置情報管理サーバSV2から取得される基地局の設置位置情報を記憶するために使用される。この場合、基地局位置情報記憶部61には、センシング装置SDが利用する可能性があるすべての通信事業者のすべての基地局の設置位置情報が記憶されること望ましいが、センシング装置SDが設置される地域が事前に判明している場合には、当該地域に対応する基地局の設置位置情報のみが選択されて記憶されるようにしてもよい。
【0059】
基地局リスト記憶部62は、センシング装置SDから送信された基地局リスト情報を、当該基地局リスト情報と共に送られる送信元のデバイスIDと関連付けて記憶するために使用される。
【0060】
地図情報記憶部63は、センシング装置SDが設置される可能性があるすべてのエリアの地図情報を記憶するために使用される。地図情報には、例えば医療機関等のセンシング装置SDが設置される可能性がある施設の名称等の属性情報と、その設置位置を示す緯度経度情報とが含まれる。なお、地図情報は予め記憶されていてもよいが、必要に応じてその都度例えばクラウドまたはWeb上の地図情報データベースサーバから取得されて記憶されるようにしてもよい。
【0061】
センシング場所情報記憶部64は、後述する制御部4により推定されるセンシング場所情報を記憶するために使用される。
【0062】
センシングデータ記憶部65は、センシング装置SDから送信されるセンシングデータを、当該センシングデータと共に送られる送信元のデバイスIDと関連付けて記憶するために使用される。
【0063】
統計情報記憶部66は、後述する制御部4により生成されるセンシングデータの統計情報を、センシング場所を表す情報と関連付けて記憶するために使用される。
【0064】
制御部4は、一実施形態に係る処理機能として、基地局位置情報取得処理部41と、基地局リスト取得処理部42と、センシング場所推定処理部43と、センシングデータ取得処理部44と、統計情報生成処理部45と、統計情報送信処理部46とを備えている。これらの処理部41~46は、何れもプログラム記憶部5に格納されたプログラムを制御部4のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0065】
基地局位置情報取得処理部41は、センシング装置SDが利用する可能性があるすべての通信事業者の各基地局の設置位置情報を位置情報管理サーバSV2から取得し、取得された各基地局の設置位置情報を基地局IDと関連付けて基地局位置情報記憶部61に記憶させる処理を行う。設置位置情報の取得および記憶処理は、例えば新たな基地局リストを受信したとき等の、必要時にその都度基地局毎に行われてもよいし、サービス開始に先立ち事前にすべての基地局について一括して行われてもよい。
【0066】
基地局リスト取得処理部42は、センシング装置SDから基地局リストが送信される毎に、当該基地局リストを通信I/F7を介して受信し、受信された基地局リストを当該基地局リストと共に受信されるデバイスIDと関連付けて基地局リスト記憶部62に記憶させる処理を行う。
【0067】
センシング場所推定処理部43は、基地局リスト記憶部62から基地局リストを読み込み、当該基地局リストに記載された複数の基地局IDの各々に対応する基地局の設置位置情報を、基地局位置情報記憶部61から検索する。そして、検索された上記複数の基地局の設置位置情報をもとに、これらの基地局の設置位置により囲まれるエリアを推定する処理を行う。
【0068】
またセンシング場所推定処理部43は、上記基地局リストに含まれる各基地局の受信品質をもとに測距計算を行い、推定された上記エリア内におけるセンシング装置SDの位置を推定する。そして、推定された上記センシング装置SDの位置情報をセンシング場所情報として、当該デバイスIDと関連付けてセンシング場所情報記憶部64に記憶させる処理を行う。
【0069】
センシングデータ取得処理部44は、センシング装置SDからセンシングデータが送信される毎に、当該センシングデータを通信I/F7を介して受信し、受信されたセンシングデータを当該センシングデータと共に受信されるデバイスIDと関連付けてセンシングデータ記憶部65に記憶させる処理を行う。
【0070】
統計情報生成処理部45は、例えば利用者端末CT1~CTkから統計情報の取得要求を受信した場合、或いは予め設定された日時になる毎に、上記統計情報取得要求により指定される統計対象期間または予め設定された期間分のセンシングデータをセンシングデータ記憶部65から読み込む。そして、読み込まれたセンシングデータの統計値(例えば平均値)を算出し、算出された統計値と統計期間を示す情報、さらにはセンシング場所を表す情報を含む統計情報を生成して、生成された統計情報を統計情報記憶部66に記憶させる処理を行う。
【0071】
統計情報送信処理部46は、上記統計情報記憶部66から統計情報を読み出し、読み出された統計情報を通信I/F7から上記取得要求元の利用者端末CT~CTkへ送信する処理を行う。
【0072】
(動作例)
次に、以上のように構成されたセンシングデータ管理システムの動作例を説明する。
(1)センシング装置SDの動作
図6は、センシング装置SDが実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0073】
(1-1)基地局リストの生成と送信
センシング装置SDの制御部11は、ステップS10により例えばセンシング装置SDの電源オンを監視している。この状態で、センシング装置SDの電源オンが検出されると、基地局リスト生成処理部111の制御の下、ステップS11において基地局サーチを行う。基地局サーチは、例えば無線方式としてLTEを採用した移動通信ネットワークであれば、各基地局BS1~BSnからそれぞれ送信される無線制御信号の中から受信品質が所定の受信品質以上の無線制御信号を選択し、選択された上記無線制御信号からATコマンドを検出することにより行われる。
【0074】
センシング装置SDの制御部11は、上記基地局サーチが終了すると、続いてステップS12において、基地局リスト生成処理部111および基地局リスト送信処理部112の制御の下、基地局リストを生成し送信する処理を以下のように実行する。
図7は、基地局リスト生成処理部111により実行される基地局リスト生成・送信処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0075】
すなわち、基地局リスト生成処理部111は、上記基地局サーチにより複数の接続候補基地局が選択され、選択された各接続候補基地局からATコマンドが受信されると、先ずステップS121により、受信された各ATコマンドからそれぞれ“Location Area Code”を抽出し、抽出された“Location Area Code”を16進数から10進数に変換することで“Cell ID”を求め、この“Cell ID”を基地局IDとして使用する。また基地局リスト生成処理部111は、上記基地局サーチにより各ATコマンドを受信したときの無線制御信号の受信品質(例えば受信電界強度)をそれぞれ検出する。そして、検出された各受信品質を表す情報を上記各基地局IDと対応付け、その一覧を基地局リストに記載する。
【0076】
図10は、この基地局リスト生成処理の一例を説明するための図である。この例では、センシング装置SDが設置された施設(例えば病院)の周辺に基地局BS1~BS5が存在し、これらの基地局BS1~BS5のうち基地局BS1,BS2,BS3から送信されるATコマンドをセンシング装置SDが受信可能な場合を示している。この場合、基地局リストには、上記基地局BS1,BS2,BS3の各基地局IDとその受信品質を表す情報が記載される。
【0077】
なお、センシング装置SDの通信モジュール3が、契約先の移動通信ネットワーク以外に、通信事業者の異なる他の移動通信ネットワークにローミング接続することが可能な場合には、契約先の移動通信ネットワークの基地局だけでなく、ローミング接続先となる移動通信ネットワークの基地局を含む基地局リストを生成するようにしてもよい。
【0078】
基地局リスト生成処理部111は、続いてステップS122において、生成された上記新たな基地局リストを、基地局リスト記憶部131に記憶されている過去の基地局リストと比較し、その比較結果をもとに、基地局リストの内容が変更されたか否かをステップS123で判定する。この判定の結果、基地局リストの内容に変更があれば、ステップS124により、基地局リスト記憶部131に記憶されている過去の基地局リストを上記新たな基地局リストに更新する。
【0079】
上記基地局リストが更新されると、制御部11は基地局リスト送信処理部112の制御の下、ステップS125により上記基地局リスト記憶部131から更新後の新たな基地局リストを読み出す。そして、読み出された上記新たな基地局リストを通信I/F15から通信モジュール3に供給し、通信モジュール3からセンシングデータ管理サーバSV1へ送信する。一方、上記ステップS123の判定の結果、基地局リストに変更がなければ、基地局リスト送信処理部112は上記新たな基地局リストを送信せずに、基地局リスト生成処理を終了する。
【0080】
以上述べた基地局リストの生成処理は、電源オン時に限らず、例えば、運用期間中の予め設定された時間毎に定期的に行われてもよい。すなわち、基地局リスト生成処理部111は、ステップS17により基地局サーチタイミングになったか否かを判定する。そして、基地局サーチタイミングになる毎に、ステップS11に戻って先に述べた基地局サーチおよび基地局リスト生成処理と送信処理を繰り返し実行する。
【0081】
(1-2)センシングデータの取得と送信
センシング装置SDの制御部11は、上記基地局リストの生成および送信処理が終了すると、ステップS13において、センシングユニット2によりセンシング動作としての血圧測定動作が行われたか否かを判定する。そして、センシング動作が行われない場合には、ステップS16およびステップS17において、それぞれ電源オフおよび基地局サーチタイミングの監視が行われる。そして、その結果電源がオフされずかつ基地局サーチタイミングでなければ、ステップS13によるセンシング動作の監視に戻る。
【0082】
一方、センシングユニット2によりセンシング動作が行われると、制御部11はセンシングデータ取得処理部113の制御の下、ステップS14において、センシングユニット2からセンシングデータ(例えば血圧と脈拍数とを含むデータ)を取得する。そして、取得された上記センシングデータをデバイスIDと関連付けて、センシングデータ記憶部132に保存する。なお、上記センシングデータには測定日時を表す情報が付与される。
【0083】
次に制御部11は、センシングデータ送信処理部114の制御の下、ステップS15において、上記センシングデータ記憶部132からセンシングデータを読み出す。そして、読み出された上記センシングデータを通信I/F15から通信モジュール3へ出力し、当該通信モジュール3からセンシングデータ管理サーバSV1に向け送信する。
【0084】
なお、センシングデータ送信処理部114は、新たなセンシングデータが取得される毎にその都度データを送信するのではなく、他に所定の測定回数分のセンシングデータがセンシングデータ記憶部132に蓄積される毎、或いは前回の送信から所定時間が経過する毎に、未送信のセンシングデータを一括して送信するようにしてもよい。
【0085】
(2)センシングデータ管理サーバSV1の動作
図8は、センシングデータ管理サーバSV1が実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0086】
(2-1)基地局の設置位置情報の取得
センシングデータ管理サーバSV1の制御部4は、基地局位置情報取得処理部41の制御の下、例えばサービスの開始に先立ち、センシング装置SDが利用する可能性があるすべての通信事業者の各基地局の設置位置情報を位置情報管理サーバSV2から取得する。そして、取得された上記各基地局の設置位置情報を、それぞれ基地局IDと関連付けて基地局位置情報記憶部61に記憶させる。
【0087】
なお、上記基地局の設置位置情報の取得処理は、サービス開始後において、例えば基地局リストが受信される毎に、その都度当該基地局リストに記載された基地局IDに対応する設置位置情報を位置情報管理サーバSV2から取得するようにしてもよい。
【0088】
(2-2)基地局リストの取得
センシングデータ管理サーバSV1の制御部4は、ステップS20において、センシング装置SDによる基地局リスト受信要求の送信を監視している。この状態で、センシング装置SDから基地局リスト受信要求が送信されると、基地局リスト取得処理部42の制御の下、ステップS21において、上記基地局リスト受信要求に続いてセンシング装置SDから送信される基地局リストを通信I/F7を介して受信する。そして、受信された基地局リストを、送信元のセンシング装置SDのデバイスIDと関連付けて、基地局リスト記憶部62に記憶させる。
【0089】
なお、基地局リスト取得処理部42は、センシング装置SDから基地局リスト受信要求が送信される毎に、基地局リストを受信して基地局リスト記憶部62に記憶させる処理を繰り返し実行する。
【0090】
(2-3)センシング場所の推定
新たな基地局リストが受信されると、センシングデータ管理サーバSV1の制御部4は、センシング場所推定処理部43の制御の下、ステップS22において以下のようにセンシング場所の推定処理を実行する。
【0091】
図9は、センシング場所推定処理部43により実行されるセンシング場所推定処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0092】
すなわち、センシング場所推定処理部43は、先ずステップS221により基地局リスト記憶部62から基地局リストを読み込む。この例では、基地局リストに複数の基地局IDとその受信品質を表す情報が記載されているものとする。
【0093】
センシング場所推定処理部43は、続いてステップS222において、読み込まれた上記基地局リストに記載された複数の基地局IDに対応する各基地局の設置位置情報を、基地局位置情報記憶部61から検索する。そして、ステップS223において、検索された上記複数の基地局の設置位置情報をもとに、これらの基地局の設置位置により囲まれるエリアを推定する。
【0094】
図11は、上記エリア推定動作の一例を説明する図である。図11に示すように、いま基地局リストに例えば基地局BS1,BS2,BS3の基地局IDが記載されていたとすれば、これらの基地局BS1,BS2,BS3の設置位置情報により囲まれるエリアとして、エリアEが推定される。
【0095】
センシング場所推定処理部43は、次にステップS224において、上記基地局リストに基地局IDと対応して記載された受信品質を表す情報をもとに、上記エリア内におけるセンシング装置SDの位置を推定する。
【0096】
図12は、上記センシング装置SDの位置を推定する処理の一例を説明するための図である。この例では、基地局BS1,BS2,BS3の設置位置をそれぞれ原点として、上記受信品質に対応する距離を半径とする円Q1,Q2,Q3をそれぞれ描く。そして、これらの円Q1,Q2,Q3が交わる点を、センシング装置SDの位置とする。
【0097】
センシング場所推定処理部43は、続いてステップS225において、推定された上記センシング装置SDの位置をもとに、当該位置に存在する施設名とその属性情報(例えば病院名とその住所、連絡先情報等)を、地図情報記憶部63から読み出す。そして、ステップS226において、読み出された上記施設名とその属性情報を、センシング場所を表す情報として、デバイスIDと関連付けてセンシング場所情報記憶部64に記憶させる。
【0098】
なお、以上述べた動作例では、センシング場所を表す情報として施設名とその属性情報を求めるようにした。しかし、それに限らず、推定された上記センシング装置SDの位置情報、つまり緯度経度情報を、そのままセンシング場所を表す情報として用いるようにしてもよい。
【0099】
また、以上述べた動作例では、基地局リストに記載された基地局IDと基地局の設置位置情報とから各基地局の設置位置により囲まれるエリアを推定し、さらに基地局リストに含まれる各基地局からの受信品質をもとに、上記エリア内におけるセンシング装置SDの位置を推定するようにした。しかし、例えば上記エリアのサイズが比較的小さい場合や、基地局からの無線信号の受信品質の検出精度が低い場合には、当該エリアを表す地域名(例えば市町村名)をそのままセンシング位置情報として使用するようにしてもよい。
【0100】
(2-4)センシングデータの受信と記憶
センシングデータ管理サーバSV1の制御部4は、上記ステップS20による基地局リスト受信要求の監視を行いながら、ステップS23においてセンサデータ受信要求の監視を行っている。
【0101】
この状態で、センシングデータ受信要求が送られると、センシングデータ取得処理部44の制御の下、ステップS24において、上記受信要求に続いてセンシング装置SDから送信されるセンシングデータを、通信I/F7を介して受信する。そして、受信されたセンシングデータを送信元のセンシング装置SDの装置IDと関連付けて、センシングデータ記憶部65に記憶させる。
【0102】
以上のセンシングデータの受信および記憶処理は、センシング装置SDからセンシングデータ受信要求とセンシングデータが送信される毎に、繰り返し実行される。かくして、センシングデータ記憶部65には、センシング装置SDにより測定された複数の患者の血圧データが順次記憶される。
【0103】
(2-5)統計情報の生成と送信
センシングデータ管理サーバSV1の制御部4は、ステップS25において、利用者端末CT1~CTkから送信される統計情報取得要求を監視している。この状態で、例えば薬品メーカの利用者端末CT1から統計情報取得要求が送られると、センシングデータ管理サーバSV1の制御部4は、統計情報生成処理部45の制御の下、ステップS26において、統計情報の生成処理を実行する。
【0104】
例えば、統計情報生成処理部45は、上記統計情報取得要求により指定される統計期間または予め設定された単位期間分の複数のセンシングデータをセンシングデータ記憶部65から読み込む。そして、統計情報生成処理部45は、読み込まれた上記複数のセンシングデータの統計値として例えば平均値を計算する。続いて、センシング場所情報記憶部64からセンシング場所を表す情報を読み出し、算出された上記平均値とその対象期間を示す情報と、読み出された上記センシング場所を表す情報とを含む統計情報を生成し、生成された上記統計情報を統計情報記憶部66に一旦記憶させる。
【0105】
センシングデータ管理サーバSV1の制御部4は、次に統計情報送信処理部46の制御の下、ステップS27において、生成された上記統計情報を上記統計情報記憶部66から読み出し、読み出された上記統計情報を上記取得要求元の利用者端末CT1に向け、通信I/F7から送信する。
【0106】
なお、統計値としては、センシングデータの平均値に限るものではなく、分散や標準偏差等を表す値であってもよく、またそのデータ形態としては円グラフや棒グラフ等であってもよい。
【0107】
また、以上の説明では、利用者端末CT1~CTkからの統計情報取得要求に応じて統計情報を生成し、要求元の利用者端末CT1~CTkに送信するようにしたが、定期的に統計情報を生成して統計情報記憶部66に記憶しておき、利用者端末CT1~CTkからの取得要求に応じて上記統計情報を統計情報記憶部66から読み出して要求元に送信するようにしてもよい。
【0108】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態によれば、次のような作用効果が奏せられる。
(1) センシング装置SDにおいて、サービスエリアに分散配置されている複数の基地局BS1~BSnのうち、センシング装置SDが無線通信を可能な複数の基地局の基地局IDを含む基地局リストを生成して、センシングデータ管理サーバSV1へ送信する。これに対しセンシングデータ管理サーバSV1は、受信された上記基地局リストと、予め取得された基地局の設置位置情報とに基づいてセンシング場所を推定する。そして、センシング装置から送られるセンシングデータをもとに生成される統計情報を、推定された上記センシング場所を表す情報と関連付けて管理するようにしている。
【0109】
従って、センシング装置SDまたは付属するIoT機器にGPS位置センサを設置する必要がなく、さらに有料のLCSサービスを利用する必要もなくなるので、センシング装置SDおよび付属するIoT機器の製品コストおよびサービスの利用コストを低く抑えることが可能となる。また、センシング装置SDの設置場所は基地局BS1~BSnからの無線信号を受信可能な場所であればよく、GPSセンサを用いる場合に比べ、センシング装置SDの設置場所に対する自由度を高めることができる。
【0110】
(2) 基地局リストに、センシング装置SDが無線通信可能な基地局のIDと、その受信品質を表す情報を含め、センシングデータ管理サーバSV1がセンシング場所を推定する際に、先ず基地局リストに記載された上記基地局IDと基地局の設置位置情報とから各基地局の設置位置により囲まれるエリアを推定し、さらに基地局リストに含まれる各基地局の受信品質をもとに、上記エリア内におけるセンシング装置SDの位置を推定するようにしている。従って、推定されたエリアをそのままセンシング位置情報にする場合に比べ、センシング場所をより正確に推定することが可能となる。
【0111】
(3) 基地局リストには、契約先の移動通信ネットワークの基地局だけでなく、ローミング接続可能な移動通信ネットワークの基地局も含まれる。このため、センシング装置SDの周辺に設置されている契約先の移動通信ネットワークの基地局の数が少ない場合でも、ローミング先となり得る基地局も含めてセンシング装置SDの位置を推定することができるようになり、これによりセンシング場所の推定精度をさらに高めることが可能となる。
【0112】
(4) 基地局リストの生成および基地局リストに基づくセンシング場所の推定処理を、センシング装置SDの電源オン時だけでなく、運用中に定期的に行うようにしている。この結果、例えばセンシング装置SDの設置場所が別の施設に変更された場合や、センシング装置SDが例えば移動検診車に搭載されて異なる施設に出張し、出張先の施設の患者等のセンシングデータを収集する場合でも、施設名を正しく推定することが可能となる。
【0113】
(5) センシング装置SDは、新たに生成された基地局リストが過去の基地局リストから変化している場合にのみ、当該新たな基地局リストをセンシングデータ管理サーバSV1へ送信するようにしている。この結果、センシングデータの送信毎に基地局リストを生成し送信する場合に比べ、移動通信ネットワークおよび広域ネットワークNWにおける通信トラフィックの増加を抑えることが可能となる。
【0114】
[その他の実施形態]
前記一実施形態では、センシングデータ管理サーバSV1が1台のセンシング装置SDにより得られるセンシングデータを収集し管理する場合を例にとって説明した。しかし、センシングデータ管理サーバSV1は、例えば複数の施設にそれぞれ設置された複数のセンシング装置により得られるセンシングデータをそれぞれ収集し、管理するようにしてもよい。この場合、同一の地域に存在する複数の施設にそれぞれ設置された複数のセンシング装置により得られるセンシングデータを統合し、上記地域別の統計情報を生成するようにしてもよい。
【0115】
その他、センシング装置の種類とその機能、処理手順と処理内容、データ処理装置の種類とその機能、処理手順と処理内容、基地局リストの構成、生成処理の手順と内容、センシング場所の推定処理の手順と内容等については、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0116】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0117】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0118】
SD…センシング装置
SV1…センシングデータ管理サーバ
SV2…位置情報管理サーバ
BS1~BSn…基地局
CT1~CTk…利用者端末
NW…広域ネットワーク
1…センシング装置の制御ユニット
2…センシングユニット
3…通信モジュール
4,11…制御部
5,12…プログラム記憶部
6,13…データ記憶部
7,15…通信I/F
14…センサI/F
41…基地局位置情報取得処理部
42…基地局リスト取得処理部
43…センシング場所推定処理部
44…センシングデータ取得処理部
45…統計情報生成処理部
46…統計情報送信処理部
61…基地局位置情報記憶部
62…基地局リスト記憶部
63…地図情報記憶部
64…センシング場所情報記憶部
65…センシングデータ記憶部
66…統計情報記憶部
111…基地局リスト生成処理部
112…基地局リスト送信処理部
113…センシングデータ取得処理部
114…センシングデータ送信処理部
131…基地局リスト記憶部
132…センシングデータ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12