(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098096
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】貼付剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/70 20060101AFI20220624BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20220624BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220624BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220624BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220624BHJP
D04B 1/16 20060101ALI20220624BHJP
D04B 21/16 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
A61K9/70 405
A61F13/02 310A
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/10
D04B1/16
D04B21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211448
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡之
【テーマコード(参考)】
4C076
4L002
【Fターム(参考)】
4C076AA74
4C076AA77
4C076BB31
4C076DD09
4C076DD21
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD45
4C076DD49
4C076EE09
4C076EE23
4C076EE32
4C076EE47
4C076EE53
4C076FF36
4L002AA05
4L002AA07
4L002BA00
4L002CA00
4L002DA00
4L002EA06
4L002FA00
(57)【要約】
【課題】展延時には保形性を上げて圧力による裏染みを防ぐと共に、使用時は保形性を下げて皮膚の動きへの追従性に優れた貼付剤を提供する。
【解決手段】膏体組成物と、支持体とを有する貼付剤であって、
上記膏体組成物が、
(A)ポリアクリル酸及びポリアクリル酸中和物:合計量で7~15質量%であって、ポリアクリル酸/ポリアクリル酸中和物で表される含有質量比が1.5~3.0、
(B)カルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種以上、
(C)グリセリン、
(D)架橋剤:0.5質量%以下、及び
(E)水:50~80質量%
を含有する貼付剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膏体組成物と、支持体とを有する貼付剤であって、
上記膏体組成物が、
(A)ポリアクリル酸及びポリアクリル酸中和物:合計量で7~15質量%であって、ポリアクリル酸/ポリアクリル酸中和物で表される含有質量比が1.5~3.0、
(B)カルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種以上、
(C)グリセリン、
(D)架橋剤:0.5質量%以下、及び
(E)水:50~80質量%
を含有する貼付剤。
【請求項2】
上記膏体組成物が、
周波数0.01Hz、32℃での貯蔵弾性率が400~1,700Paであり、
周波数1Hz、32℃での貯蔵弾性率が1,600~3,000Paであり、
0.01Hzにおける損失正接が0.25~0.5であり、
1Hzにおける損失正接が0.15~0.3であり、
0.01Hzにおける損失正接が1Hzにおける損失正接の1.3倍以上である請求項1記載の貼付剤。
【請求項3】
上記支持体が編布であり、この編布の伸長回復率が、コース方向で60~100%であり、ウェール方向で75~100%である請求項1記載の貼付剤。
【請求項4】
上記基布が編布であり、この編布の剛軟度は、コース方向で20mm以上であり、ウェール方向で10mm以上である請求項1又は2に記載の貼付剤。
【請求項5】
(A)水溶性ポリマーの含有量が、膏体組成物中3~18質量%である、請求項1~4のいずれか1項記載の貼付剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膏体組成物と支持体とを有する貼付剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアクリル酸部分中和物を用いた高含水ゲルは含水率が高いほど固形分が少なくなりゲルの強度が弱くなる。このため、カルボキシメチルセルロース等を配合して、ゲルの保形性を上げているが、製造時の裏染み等が課題となる。つまり、展延時には保形性を上げて圧力による裏染みを防ぎ、使用時は保形性を下げて皮膚の動きへの追従性を上げる必要がある。
【0003】
国際公開第2016/136556号(特許文献1)では、生理活性物質、水溶性ポリマー、グリセリン及び水を含有する組成物を、編布等の基布に塗布する時点の損失正接を高くすることにより貼付剤の製造時に、膏体層の成分が基布の裏側に染み出しにくくなると示しているが、損失正接が高すぎると皮膚への貼り付きが弱くなり、剥がれ落ちる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、展延時には保形性を上げて圧力による裏染みを防ぐと共に、使用時は保形性を下げて皮膚の動きへの追従性に優れた貼付剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、膏体組成物を、(A)ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩の量と、これらの比率、(B)カルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種以上、(C)グリセリン、(D)特定量の架橋剤、及び(E)特定量の水という構成とすることで、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。また、上記膏体組成物が、二つの周波数の貯蔵弾性率、損失正接、損失正接を有することを知見した。
【0007】
従って、本発明は貼付剤を提供する。
1.膏体組成物と、支持体とを有する貼付剤であって、
上記膏体組成物が、
(A)ポリアクリル酸及びポリアクリル酸中和物:合計量で7~15質量%であって、ポリアクリル酸/ポリアクリル酸中和物で表される含有質量比が1.5~3.0、
(B)カルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種以上、
(C)グリセリン、
(D)架橋剤:0.5質量%以下、及び
(E)水:50~80質量%
を含有する貼付剤。
2.上記膏体組成物が、
周波数0.01Hz、32℃での貯蔵弾性率が400~1,700Paであり、
周波数1Hz、32℃での貯蔵弾性率が1,600~3,000Paであり、
0.01Hzにおける損失正接が0.25~0.5であり、
1Hzにおける損失正接が0.15~0.3であり、
0.01Hzにおける損失正接が1Hzにおける損失正接の1.3倍以上である1記載の貼付剤。
3.上記支持体が編布であり、この編布の伸長回復率が、コース方向で60~100%であり、ウェール方向で75~100%である1記載の貼付剤。
4.上記基布が編布であり、この編布の剛軟度は、コース方向で20mm以上であり、ウェール方向で10mm以上である1又は2に記載の貼付剤。
5.(A)水溶性ポリマーの含有量が、膏体組成物中3~18質量%である、1~4のいずれかに記載の貼付剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、展延時には保形性を上げて圧力による裏染みを防ぐと共に、使用時は保形性を下げて皮膚の動きへの追従性に優れた貼付剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
(I)膏体組成物
本発明の膏体組成物は、(A)ポリアクリル酸及びポリアクリル酸中和物:合計量で7~15質量%であって、ポリアクリル酸/ポリアクリル酸中和物で表される含有質量比が1.5~3.0、(B)カルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種以上、(C)グリセリン、(D)架橋剤:0.5質量%以下、及び(E)水:50~80質量%を含有する。
【0010】
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸中和物であり、これらを併用する。ポリアクリル酸中和物としては、ポリアクリル酸完全中和物であっても、ポリアクリル酸部分中和物であっても、これらの混合物であってもよい。ポリアクリル酸中和物としては、ポリアクリル酸塩が挙げられ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等を用いることができる。
【0011】
ポリアクリル酸中和物としては、初期的な粘着力も経時的な粘付着力も高くなることから、ポリアクリル酸部分中和物が好ましい。ポリアクリル酸部分中和物は、1つのポリマー鎖において、アクリル酸に由来する構造単位とアクリル酸塩に由来する構造単位が任意の割合で存在しているものである。ポリアクリル酸中和物としては、ポリアクリル酸塩が挙げられ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等を用いることができる。ポリアクリル酸部分中和物としては、1つのポリマー鎖中のカルボキシ基のうち、20~80モル%が中和されたものを用いることが好ましい。
【0012】
(A)成分の膏体組成物中の含有量は、裏染み抑制及び追従性の点から、7~15質量%であり、7~14質量%がより好ましい。ポリアクリル酸/ポリアクリル酸中和物で表される含有質量比は、裏染み抑制と追従性の点から、1.5~3.0であり、1.8~2.5がより好ましい。ポリアクリル酸部分中和物のポリアクリル酸中和物量は、中和度から算出する。ポリアクリル酸の含有量は、膏体組成物中0.5~8質量%が好ましく、1~6質量%がより好ましい。ポリアクリル酸中和物の含有量は、膏体組成物中1~6質量%が好ましく、2~6質量%がより好ましい。
【0013】
[(B)成分]
本発明の(B)成分はカルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。カルボキシメチルセルロース塩としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)が挙げられる。
【0014】
(B)成分の膏体組成物中の含有量は、裏染み抑制と追従性の点から、1.5~5質量%が好ましく、2~4.5質量%がより好ましく、3~4質量%がさらに好ましい。
【0015】
[(C)成分]
本発明の(C)成分はグリセリンである。(C)成分の膏体組成物中の含有量は、膏体組成物の硬さ、柔らかさの調整の点から、2.5~50質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。
【0016】
[(D)成分]
本発明の(D)成分は架橋剤であり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。架橋剤としては特に限定されないが、水溶液中でマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンを放出するものが好ましい。具体的には、アルミニウム化合物及びマグネシウム化合物はいずれのものも好適に使用し得る。例えば、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、含ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、これら金属を含む複塩等の水可溶性化合物、水難溶性化合物、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等のアルミニウムを含む制酸剤、マグネシウムを含む制酸剤が挙げられる。
【0017】
(D)成分の膏体組成物中の含有量は、裏染み抑制と支持体への投錨性の点から、0.5質量%以下であり、0.01~0.3質量%が好ましい。
【0018】
[(E)成分]
本発明の(E)成分は水であり、精製水等を用いることができ、特に限定されない。(E)成分の膏体組成物中の含有量は、冷却力の点から50質量%以上であり、裏染み抑制の点から、80質量%以下であり、55~79質量%が好ましく、60~78質量%がより好ましく、65~75質量%がさらに好ましい。
【0019】
[任意成分]
本発明の膏体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の成分を、それぞれ1種単独で又は2種以上組み合わせて、適量配合することができる。例えば、ノニオン系吸水性高分子化合物、生理活性物質、(A),(B)成分以外の水溶性ポリマー、界面活性剤、充填剤、(C)成分以外の多価アルコール、油分、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収・散乱剤、防腐剤、色素、香料等を配合することができる。
【0020】
膏体組成物には、膏体組成物の保形性、保水性及び粘着力向上の点から、さらにノニオン系吸水性高分子化合物を配合することが好ましい。ノニオン系吸水性高分子化合物としては、ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂等の変性ポリアルキレンオキサイド、N-ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体等が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(F)成分としては市販品を使用することができ、より具体的には、アクアコーク(住友精化:吸水能30倍)、ノニオレックスNA-010(吸水能50倍)、ノニオレックスNA-150(吸水能50倍)、ノニオレックスNA-500(吸水能50倍)(昭和電工)等の市販品を挙げることができる。これらの中でも好ましいノニオン性高吸水高分子化合物は、アクアコークである。
【0021】
ノニオン系吸水性高分子化合物を配合する場合、その膏体組成物中の含有量は、裏染み抑制の点から、0.1質量%以上が好ましく、追従性の点から、30質量%以下が好ましく、0.5~15質量%がより好ましい。
【0022】
本発明の膏体組成物には、薬理作用の目的で、生理活性物質を配合することが好ましい。生理活性物質とは、経皮吸収性を有し、体内に投与された場合に薬理活性を示すものであれば特に限定されず1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体例を下記に示す。
【0023】
〔清涼化剤〕
カンフル、チモール、ボルネオール、メントール、N-エチル-p-メンタン-カルボキシアミド、p-メンタン-3,8-ジオール、l-イソプレゴール、l-メンチルグリセリルエーテル等のメントール誘導体、ハッカ、ペパーミント油、スピラントールなどを挙げることができる。
〔ビタミン類〕
パントテン酸、パンテノール、ビタミンA類(パルミチン酸レチノールなど)、ビタミンE類(酢酸d-α-トコフェロール)、ビタミンK,ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンF、ビタミンPなどが挙げられる
〔温感付与剤〕
カプサイシン、ノニル酸バニリルアミド、ノニル酸バニリルエーテルなどが挙げられる。
〔生薬類〕
オオバク等の生薬末、トウガラシエキス等の生薬軟エキス、オオバク乾燥エキス等の生
薬乾燥エキス、センブリ流エキス等の生薬流エキス、アルニカチンキ等の生薬チンキなどが挙げられる。
〔植物抽出物〕
アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアアックウッド、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジュニパー、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレビン、トウヒ、乳香、バイオレット、パイン、パセリ、バーチ、パチュリー、ヒソップ、フェンネル、ブラックペッパー、ボダイジュ花、没薬、マリーゴールド、ラベンダー、ヤロウ、レモン、レモングラス、ローズ、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、モモ、ヤグルマギク、ユーカリ、ユズ、ラベンダー等の精油類又はエキス類などが挙げられる。
〔海藻抽出物〕
アオサ科、オゴノリ科、テングサ科、ミリン科、コンブ科、アイヌワカメ科、ホンダワラ科、ヒバマタ科、フノリ科、ヒトエグサ科、ミル科、ウシケノリ科、スギノリ科、カギノリ科、イバラノリ科、ナガマツモ科、モヅク科、ダービリア科、レッソニア科及びダルス科に属する海藻の抽出物等。
【0024】
中でも、フェルビナク、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、サリチル酸グリコール、インドメタシン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ロキソプロフェンナトリウム、リドカイン、ビタミンE(トコフェロール)、トコフェロール酢酸エステル、l-メントール、トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミドが好ましく、l-メントール、トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミドがより好ましい。
【0025】
生理活性物質を配合する場合、その膏体組成物中の含有量は、その物質が日本薬局方に収載されているか、他の文献等によって使用適量が定められている場合には、その使用適量に合わせて配合することが好ましい。特に使用適量が定められていない物質の含有量は、0.0001~10質量%程度とすることが好ましい。
【0026】
本発明において、(A),(B)以外の水溶性ポリマーとは、親水性基を有する高分子化合物を意味する。親水性基は、カチオン性親水性基、アニオン性親水性基、非イオン性親水性基のいずれであってもよい。カチオン性親水性基としては、4級アンモニウム基が挙げられ、アニオン性親水性基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基が挙げられ、非イオン性親水性基としては、ヒドロキシ基、アミノ基が挙げられる。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カラギーナン、グルコマンナン、寒天、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン、ローカストビーンガム等が好ましい。
【0027】
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能であり、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。界面活性剤を配合する場合、その量は、膏体組成物中0~5質量%程度である。
【0028】
ノニオン界面活性剤として、具体的には、(脂肪酸残基、アルキル基の炭素数8~22、好ましくは10~18)のポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ジグリセリンモノステアレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリル(POE10)モノオレート等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル(例えばグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等)、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル(例えばポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等)、ポリオキシエチレンひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、エタノールアミン脂肪酸部分エステル、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0029】
これらのノニオン界面活性剤の中でも、POE(25)ラウリルエーテル、蔗糖脂肪酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、グリセリルモノオレート、ラウリン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ミリスチン酸グリセリル、デカグリセリルモノオレート、ジグリセリルジオレート、ヘキサグリセリルモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、POE(20)ソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)、POE(60)ソルビットテトラオレート、POE(40)モノステアレート、POE(10)オレイルエーテル、POE(10)ノニルフェニルエーテル、POE(50)硬化ひまし油、POE(5)オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等がより好ましい。なお、上記表記において、例えば「POE(25)」は25モルのエチレンオキシドを付加した構造であることを示す。
【0030】
最も好ましいノニオン界面活性剤は、アルキル基の炭素数12~18のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。
【0031】
アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルイソチアネート塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸塩等が挙げられ、これらの塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、有機アミン塩等が好ましく、アルキル基、アルケニル基の炭素数8~22、10~18であるものが好適である。
【0032】
これらの中でも、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンナトリウム、グリチルリチン酸ナトリウム、グリチルレチン酸ナトリウム、トリPOE(10)アルキルエーテル燐酸ナトリウム及びこれらのカリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N-アシルメチルタウリンナトリウム等が好ましい。
【0033】
カチオン界面活性剤としては、具体的には、第1~第3級脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物塩、ポリエチレンポリアミン脂肪アミドの尿素縮合物の第4級アンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、ラウリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が好ましい。
【0034】
両イオン性界面活性剤としては、具体的には、アミノ酸、スルホアミノ酸、4級化ベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられ、より具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲン、セバシン酸ジエチル、レシチン等が挙げられる。
【0035】
充填剤としては、例えば、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、酸化亜鉛、酸化チタン、無水ケイ酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。充填剤を配合する場合、その量は、膏体組成物中0~10質量%程度である。
【0036】
(C)成分以外の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、マルチトール、キシリトール等が挙げられる。(C)成分の多価アルコールを配合する場合、その量は、膏体組成物中50質量%以下
が好ましく、0~20質量%がより好ましい。
【0037】
油分としては、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、パーム油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等の植物油脂類;ミンク油、卵黄油等の動物油脂類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然及び合成脂肪酸類;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び合成高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類等を例示することができる。
【0038】
保湿剤としては、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;アミノ酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分;ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子物質等を例示することができる。
【0039】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸及びその塩類等が挙げられる。
【0040】
紫外線吸収・散乱剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等を例示することができる。
【0041】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の4級カチオン、ソルビン酸、安息香酸等が挙げられる。
【0042】
色素としては、特に制限はなく、従来、粘着剤層(膏体)に使用されているものを目的に応じて適宜選択することができる。色素の具体例としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色401号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色401号、青色403号、青色404号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、褐色201号、紫色201号、紫色401号、黒色401号等が挙げられる。
【0043】
香料としては、天然植物性香料、調合香料成分、合成香料成分等を使用することができ、これらを任意に組み合わせて基剤臭や薬剤臭のマスキングをしたり、付香することができる。
【0044】
天然植物性香料としては、例えば、ウイキョウ油、ヒマシ油、ハッカ油、ハッカハク油、ダイウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、チミアン油、テレビン油、ヘノポジ油、ヤマジン油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、オレンジ油、トウカ油、ベルガモット油、ローズ油、シトロネラ油、レモングラス油、樟脳油、ゼラニウム油等が挙げられる。
【0045】
調合香料成分としては、例えば、リモネン、テルピノレン、カンフェン、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、メントール、ボルネオール、テルピネロール、シトロネラール、シトラール、メントン、カルボメントン、カンファー、シトロネル酸、シネオール、クルクメン、ファルネソール、ネロリドール、ヒノキ酸、サンタル酸等が好適である。
【0046】
その他、合成香料成分としては、例えば、1996年化学工業日報社刊 印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR,N.J.ステファン・アークタンダー(STEFFEN ARCTANDER)著「パヒューム アンド フレーバー ケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals)」等に記載の香料が使用できる。
【0047】
本発明の膏体組成物は、
周波数0.01Hz、32℃での貯蔵弾性率が400~1,700Paであり、
周波数1Hz、32℃での貯蔵弾性率が1,600~3,000Paであり、
0.01Hzにおける損失正接が0.25~0.5であり、
1Hzにおける損失正接が0.15~0.3であり、
0.01Hzにおける損失正接が1Hzにおける損失正接の1.3倍以上であることが好ましい。このような範囲を選択することで、上記本発明の効果をより得ることができる。
【0048】
損失弾性率及び貯蔵弾性率の測定は、例えば、回転式レオメータを用いて、温度32℃、周波数0.01Hz~10Hzの範囲で測定する。損失正接(tanδ)とは、損失弾性率及び貯蔵弾性率測定(動的粘弾性測定)において、膏体組成物を2つの板で挟み、片方の板に周期的に振動するひずみを与えたときの応力の変化を測定し、下記式により算出される値である。
損失正接(tanδ)=損失弾性率(G”)/貯蔵弾性率(G’)
【0049】
膏体組成物で構成される膏体層は、基布等の支持体への展延時にロールでの圧縮やナイフコーターでの圧延により、急激な速度でひずみが与えられる。また、皮膚への貼付時は皮膚の動きによって緩やかな速度でひずみが与えられる。すなわち、展延時には保形性を上げて圧力による裏染みを防ぎ、使用時は保形性を下げて皮膚の動きへの追従性(以下、追従性と略す場合がある。)を上げる必要がある。発明者らはこのひずみに対する膏体層の弾性について、前者は1Hz、後者は0.01Hzの損失正接が関係していることをつきとめた。また、膏体組成物の弾性率はポリマーの架橋の進行により配合直後から変化し続けるため、物性値の把握が困難であるが、配合終了後12時間以上経過した後の弾性率が製造時の弾性率を反映していることを知見した。すなわち、製造時の物性と使用時の物性について配合終了後12時間以上経過した時点での物性値を測定することで両方とも把握できることが分かった。すなわち、上記範囲とすることで、展延時には保形性を上げて圧力による裏染みを防ぐと共に、使用時は保形性を下げて皮膚の動きへの追従性に優れた貼付剤を提供することができる。
【0050】
周波数0.01Hz、32℃での貯蔵弾性率は、保管時の染み出し抑制の点から、400Pa以上が好ましく、追従性の点から、1,700Pa以下が好ましく、500~1,200Paがより好ましい。
【0051】
周波数1Hz、32℃での貯蔵弾性率は、裏染み抑制の点から1,600Pa以上が好ましく、支持体の投錨性の点から、3,000Pa以下が好ましく、1,700~2,500Paがより好ましい。
【0052】
0.01Hzにおける損失正接は、支持体の投錨性の点から0.25以上であり、保管時の染み出し抑制の点から、0.5以下である。
【0053】
1Hzにおける損失正接は、支持体の投錨性の点から、0.15以上であり、裏染み抑制の点から0.3以下であり、0.2~0.3が好ましい。
【0054】
損失正接(tanδ)は、(A)~(C)成分の含有量を変更することにより、当業者によって所望の値に調整することができるが、(A)水溶性ポリマー、特にポリアクリル酸及びポリアクリル酸中和物の含有量を変更することがより効果的である。
【0055】
貼付剤は、剥離ライナーを備えていてもよい。剥離ライナーは、膏体層に対して、基布と反対側の面に積層されている。剥離ライナーを備えていると、保管時において、膏体層の水含有量が低下するのを抑制でき、膏体層へのゴミ等の付着を低減することができる傾向がある。剥離ライナーの素材としては、特に限定されず、当業者に一般的に知られているライナーを用いることができる。剥離ライナーの素材としては、目付けが15~70g/m2プラスチックフィルムが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ一卜、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等のフィルム、アルミニウム蒸着の金属性のフィルム等が挙げられる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0056】
貼付剤は、パウチの内部で保管されていてもよい。パウチの内部に保管されることで、膏体層の水含有量の低下を抑制することでき、膏体層へのゴミ等の付着を低減することができる。
【0057】
膏体組成物(膏体層)の質量は、例えば、300g/m2以上であることが好ましく、400g/m2以上であることがより好ましい。また、膏体層の質量は、例えば、750g/m2以下が好ましい。特に好適な膏体層の質量は、400~450g/m2であり、上記範囲とすることにより、フィット感が良く、より長期間にわたって付着性が維持される。膏体層の質量が上記範囲であれば、貼付剤全体の厚みを小さくすることができ、皮膚に追従しやすく、さらに、貼付した際に周縁部との段差が小さくなるため、剥離しにくい傾向にある。
【0058】
II.支持体層
支持体層に用いられる基布としては、例えば、編布、織布、不織布、樹脂フィルム、発泡シート及び紙が挙げられる。基布として編布、織布、不織布又は樹脂フィルムを使用する場合、その素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタンが挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
基布としては、編布が好ましく、所定の伸長回復率を有する編布が特に好ましい。ここで、伸長回復率とは、「JIS L 1096 織物及び編物の生地試験方法」にしたがって測定される値である。伸長回復率を有する編布を用いることで、関節等の可動部に貼付した際に、貼付部位の動きに応じて、基布が伸縮するため好ましい。
【0060】
基布として編布を用いる場合には、例えば編目を丸編み、経(タテ)編み、緯(ヨコ)編み等により集合させて布状に加工した編布も含まれる。編布の好ましい例としては、ポリエステル系、ナイロン系、ポリプロピレン系、レーヨン系等の材料を1種又は2種以上組み合わせてなる編布が挙げられ、中でも薬物との相互作用が少ない、ポリエステル系のポリエチレンテレフタレートからなる編布がより好ましい。
【0061】
基布が編布である場合、編布の50%伸長時荷重は、例えば、縦方向(コース方向)2~10N/5cm(モジュラスの測定方法はJIS L 1096による。)であることが好ましい。2N/5cmより低いモジュラスであると膏体を塗布する際に編目が延びて編目に粘着剤が染み込み、機器に巻きついたり機器を汚損したりする場合がある。また、10N/5cmより高いモジュラスであると伸縮性が劣り、屈曲部へ適用した際に皮膚の伸張に追従しにくくなる場合がある。
【0062】
基布が編布である場合、編布の伸長回復率は、追従性の点から、コース方向で60~100%がより好ましく、80~100%がより好ましい。ウェール方向で75~100%が好ましく、85~100%がより好ましい。
【0063】
基布が編布である場合、編布の剛軟度は、生産適正の点から、コース方向で20mm以上が好ましく、追従性の点から、50mm以下が好ましい。コース方向で30~50mmがより好ましい。ウェール方向で10mm以上が好ましく、10~30mmがより好ましく、20~30mmがさらに好ましい。
【0064】
支持体の目付は、裏染み抑制の点から、80g/m2以上が好ましく、追従性の点から、200g/m2以下が好ましく、90~180g/m2がより好ましい。
【0065】
本発明の貼付剤は、顔用、体用、及び足用等に幅広く使用可能であり、乾燥でひび割れた荒れた皮膚(かかと等)にも使用することができるものである。本発明の一実施形態としては、上記膏体層の支持体に基布に接する面の裏面に剥離ライナーをさらに備えており、本実施形態の貼付剤は、支持体(基布)、膏体層、剥離ライナーの順に積層される。
【0066】
[製造方法]
本発明の貼付剤の製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができるが、例えば、上記(A)~(E)成分及び任意成分を混合して膏体組成物を得て、得られた膏体組成物を、支持体と必要に応じてプラスチックフィルムでロールを使用して挟みこむ工程を経て、加圧ロールで加圧することで、膏体層面の一部を除き、スコアナイフ及びギロチンカッターで所定の形状に裁断する。
【実施例0067】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0068】
[実施例、比較例]
表1に示す組成に従って、精製水に、高分子化合物以外の水溶性成分を撹拌しながら添加し、予備溶解物1を調製した。
ポリソルベート80に、親油性成分を溶解し、予備溶解物2を調製した。
グリセリンに色素を分散し、色素小物を調製した。
また、グリセリンに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、ポリアクリル酸ナトリウム又はポリアクリル酸部分中和物とを添加して撹拌(ハンドミキサーにて2,000~3,000rpmで5分間)し、これらを均一に分散・溶解して予備分散物1を調製した。
次いで、予備溶解物1に、ポリアクリル酸と予備溶解物2と色素小物と精製水とを添加し、撹拌(ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分間)し、練合物1を得た。
この練合物1に、予備分散物1と精製水とを添加し、撹拌(ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分間程度)し、練合物2を得た。
また、グリセリンに、粉末状のジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートと合成ヒドロタルサイトを添加して均一に分散し、予備分散物2を調製した。
練合物2に予備分散物2を添加し、撹拌(ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分間程度)し、膏体組成物を得た。
得られた膏体組成物を、1平方センチメートル当たり0.1gの量になるように支持体とライナーフィルムで挟み込むように展延することにより、この支持体上に粘着剤層(膏体層)を形成後、85mm×130mmの大きさに裁断した。得られた貼付剤は、乾燥を防ぐため、内袋(紙64g/m2/PE15μm/AL7μm/EMAA20μm)に入れヒートシールにより密閉した。
【0069】
得られた膏体組成物を直径40mm、厚さ2mmの円筒状に成型し、TAインスツルメントジャパン株式会社製レオロジーメーターAR2000exを用いてアルミプレートで32℃下、周波数0.01Hz及び1Hzにおける貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定した。また、下記方法により特性を評価した。結果を表中に併記する。
【0070】
[裏染み抑制]
展延直後の貼付剤の剥離フィルム側に製剤と同サイズで質量が250gのステンレス板を乗せて外気を遮断した状態で25℃の温度下12時間以上静置した。静置後ステンレス板を取り除き、貼付剤をステンレス板に固定した普通紙の上に、支持体が普通紙に触れるように乗せて徐々に傾斜をつけて行った。貼付剤が滑り落ちた時の傾斜角度を測定し裏染抑制効果とした。結果を下記評価基準で示す。
<評価基準>
◎:滑り角度が40度未満
○:滑り角度が40度以上60度未満
×:滑り角度が60度以上
【0071】
[追従性]
9名の健康なパネラーの肘外側に貼付剤を貼付してもらい、8時間後の「はがれ・めくれの全面積に対する割合」を評価し平均値を算出し下評価記基準で評価した。
<評価基準>
◎:はがれ・めくれが0%以上10%未満
○:はがれ・めくれが10%以上20%未満
△:はがれ・めくれが20%以上50%未満
×:はがれ・めくれが50%以上100%
【0072】
[可塑性]
9名の健康なパネラーの肘外側に貼付剤を貼付してもらい、8時間後の「剥離時の痛み」を下記評点に基づきで評価し平均点を算出した。平均値に基づき、結果を下記評価基準に従って結果を示す。
<評点>
5点:痛みを感じない
4点:わずかに痛みを感じる
3点:少し痛みを感じる
2点:かなり痛みを感じる
1点:非常に痛みを感じる
<評価基準>
◎:4点以上5点以下
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:2点未満
【0073】
[冷却力]
3名の健康なパネラーの肘外側に貼付剤を貼付してもらい、2時間後の「貼付部位の皮膚表面温度」と「貼付部位の周囲の皮膚表面温度」をサーモグラフィーで測定し、それぞれの平均値を算出した。平均値の温度差に基づき、結果を下記評価基準に従って結果を示す。
<評価基準>
◎:温度差が3℃以上
○:温度差が2℃以上3℃未満
△:温度差が1℃以上2℃未満
×:温度差がない
【0074】
[支持体への投錨性]
ろ紙上に化学反応系接着剤(シアノアクリレート)を塗付した面と、貼付剤の粘着剤層(膏体層)面を貼り合わせ、2Kgのローラーで接着し試験片とし、10分の放置後、引張試験機を用いて、つかみ間隔50mm、引張速度100mm/min.で、ろ紙と貼付剤支持体とを引き剥がしたときの剥離面を下記基準で評価した。
<評価基準>
◎:剥離が粘着剤層(膏体層)のみである。
○:剥離が粘着剤層(膏体層)-支持体の間又は粘着剤層(膏体層)であり、粘着剤層-支持体の間割合が30%未満
△:剥離が粘着剤層(膏体層)-支持体の間又は粘着剤層(膏体層)であり、粘着剤層-支持体の間割合が30%以上
×:剥離が粘着剤層と支持体の間のみである。
【0075】
【0076】
【0077】
実施例1の組成の膏体組成物と、下記表3に示す編布を用いて貼付剤を調製し、下記評価を行った。結果を下記表3に示す。
【0078】
【0079】
[伸長回復率]
伸長回復率は、コース(展延時の流れ方向)、ウェール(展延時の流れ方向に対して直角方向)で両方向に10×150mmの試料を採取し、引っ張り試験機を用い、つかみ間隔100mm、引っ張り速度200mm/分で50mm引き伸ばし、同速度で応力が0になるまで戻す。試料の初期の長さA(100mm)、引っ張り試験後の試料の長さBを読み取り、下記式より算出する。
伸長回復率(%)=100-(B-A)×100/(A×0.5)
(但し、上記式中、Aは試料の初期の長さ(100mm)、Bは引っ張り試験後の試料の長さ(mm)を示す。)
【0080】
[剛軟度]
JIS-L1096剛軟度 A法(45度カンチレバー法)に規定された装置を用い、試料寸法20mm×約150mmで繰返し3回行った平均値である。
【0081】
[追従性]
上記と同じ方法である。
【0082】
[生産適性]
膏体組成物を、1平方センチメートル当たり0.1gの量になるように編布とライナーフィルム(プラスチックフィルム)で挟み込むように展延し、85mm×130mmの大きさに裁断する製造工程において、製造適性を下記の基準で評価した。
<基準>
◎:問題なく製造できる
○:やや問題があるが許容範囲内
△:連続生産は難しい
×:生産不可
【0083】
[処方例]
下記処方の含水ゲル組成物を上記実施例の方法と同様の方法で調製し、貼付剤を得た。
【0084】
【0085】
上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。
ポリアクリル酸1:東亜合成(株)製、「ジュリマーAC-10H」、重量平均分子量:15万、中和度:0モル%
ポリアクリル酸2:東亜合成(株)製、「ジュリマーSH8」、重量平均分子量:100万、中和度:0モル%
ポリアクリル酸部分中和物:東亜合成(株)製、「アロンビスAH-106X」、重量平均分子量:450万、中和度:40モル%
ポリアクリル酸ナトリウム:東亜合成(株)製、「アロンビスSX」、重量平均分子量:450万、中和度:100モル%
カルボキシメチルセルロースナトリウムA:ダイセルファインケム(株)製、「CMC1380」
カルボキシメチルセルロースナトリウムB:ダイセルファインケム(株)製、「CMC1390」
グリセリン:阪本薬品工業(株)製、「日本薬局方濃グリセリン」
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート:協和化学工業(株)製、「グリシナール」
合成ヒドロタルサイト:協和化学工業(株)製、「アルカマックSH」
メタリン酸ナトリウム:太平化学(株)製、「メタリン酸ナトリウム」
エデト酸二ナトリウム:中部キレスト(株)製、「エデト酸ナトリウム」
パラオキシ安息香酸メチル:上野製薬(株)製、「パラオキシ安息香酸メチル」
パラオキシ安息香酸プロピル:上野製薬(株)製、「パラオキシ安息香酸プロピル」
ポリソルベート80:日光ケミカルズ(株)製、「TO-10MV」
l-メントール:高砂香料工業(株)製、「l-メントール」
ラベンダー油:高砂香料工業(株)製、「ラベンダー油」
ハッカハク油:高砂香料工業(株)製、「ハッカハク油」
ユーカリ油:高砂香料工業(株)製、「ユーカリ油」
オレンジ油:高砂香料工業(株)製、「オレンジ油」
レモン油:高砂香料工業(株)製、「レモン油」
ローズマリー油:高砂香料工業(株)製、「ローズマリー油」
セージ油:ヴェマンフィス香料(株)製、「セージ油」
赤色226号:癸巳化成(株)製、「赤色226号」
精製水:共栄製薬(株)製、「精製水(蒸留)」
ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂:住友精化(株)製、「アクアコークTWB-P」
酒石酸:磐田化学工業(株)製、「酒石酸」