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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098101
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】キースイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
H01H13/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211457
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真輔
(72)【発明者】
【氏名】深沢 文哉
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS10H
5G206AS10J
5G206CS01H
5G206CS11J
5G206CS11N
5G206ES01H
5G206FU03
5G206GS05
5G206HS16
5G206HW06
5G206KS14
(57)【要約】
【課題】一方の側が押圧されてもキートップが適切に降下可能であり、且つ、スイッチ全体を薄く構成することを可能としたキースイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】キースイッチ(1)は、基台(9)と、基台上に配置されたスイッチ機構(8)と、基台の上方に配置されるキートップ(2)と、キートップとスイッチ機構との間に配置され且つキートップの下降に応じてスイッチ機構を押圧するバネ部材(4)と、キートップを基台上に支持する金属製のリンク機構(6)とを有し、リンク機構は、第1係合部(63)及び第1被係合部(64)を有する第1腕部(62)と、第1被係合部と係合する第2係合部(73)及び第1係合部と係合する第2被係合部(74)を有する第2腕部(74)を含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上に配置されたスイッチ機構と、
前記基台の上方に配置されるキートップと、
前記キートップと前記スイッチ機構との間に配置され、前記キートップの下降に応じて前記スイッチ機構を押圧するバネ部材と、
前記キートップを前記基台上に支持する金属製のリンク機構と、
前記基台の上に配置された第1の支持部材と第2の支持部材と、を有し、
前記リンク機構は、
前記キートップの一端側を保持する第1保持部と、
一端側で前記第1保持部と接続され、他端側に第1係合部及び第1被係合部を有し、前記一端側と前記他端側の間で前記第1支持部材に支持されている第1腕部と、
前記キートップの他端側を保持する第2保持部と、
一端側で前記第2保持部と接続され、他端側に前記第1被係合部と係合する第2係合部及び前記第1係合部と係合する第2被係合部を有し、前記一端側と前記他端側の間で前記第2支持部材に支持されている第2腕部と、を含む、
ことを特徴とするキースイッチ。
【請求項2】
前記キートップの一端側が押圧されると前記第1保持部が下降し、前記第1保持部が下降すると前記第1支持部材を支点として前記第1被係合部が上昇し、前記第1被係合部が上昇すると前記第2係合部が上昇し、前記第2係合部が上昇すると前記第2支持部材を支点として前記第2保持部が下降し、
前記キートップの他端側が押圧されると前記第2保持部が下降し、前記第2保持部が下降すると前記第2支持部材を支点として前記第2被係合部が上昇し、前記第2被係合部が上昇すると前記第1係合部が上昇し、前記第1係合部が上昇すると前記第1支持部材を支点として前記第1保持部が下降する、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項3】
前記基台の上に配置された第3支持部材と第4支持部材を更に有し、
前記リンク機構は、
一端側で前記第1保持部と接続され、他端側に第3係合部及び第3被係合部を有し、前記一端側と前記他端側の間で前記第3支持部材に支持されている第3腕部と、
一端側で前記第2保持部と接続され、他端側に第4係合部及び第4被係合部を有し、前記一端側と前記他端側の間で前記第4支持部材に支持されている第4腕部と、を更に含む、請求項1又は2に記載のキースイッチ。
【請求項4】
前記第1保持部、第1腕部、及び、第3腕部は一体的に形成され、前記第2保持部、第2腕部、及び、第4腕部は一体的に形成される、請求項1~3の何れか一項に記載のキースイッチ。
【請求項5】
前記キートップと前記基台との間に配置され、前記バネ部材の周辺部及び上部保護する保護部材を更に有する、請求項1~4の何れか一項に記載のキースイッチ。
【請求項6】
前記バネ部材は、前記リンク機構の内側に配置される、請求項1~5の何れか一項に記載のキースイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどの電子機器の入力装置であるキーボードには、複数のキーのそれぞれに、キースイッチが搭載されているものがある。このようなキースイッチでは、ユーザに対して適切なクリック感を与えると同時に、キートップのどの部分が押圧されても、適切にキートップが降下できるような機構が組み込まれている。
【0003】
この種のキースイッチとして、基板上にスイッチ機構が配置された基台と、基台の上方に配置されたキートップと、キートップを基台に対して昇降動作可能に支持するためにX字状に交差して配置される2つのリンク部材と、スイッチ機構の上部に配置された板状バネ部材と、板状バネ部材を収納するためのハウジングを備えたキースイッチが知られている(特許文献1参照)。前述のキースイッチでは、キートップの一方の側が押圧されても、2つのリンク部材の働きで、キートップが適切に降下でき、板状バネ部材により適切なクリック感を与えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-6007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のキースイッチでは、2つのリンク部材がX字状に交差しているので、少なくとも交差する部分の厚みが必要で、キースイッチ全体を薄く構成することが難しかった。
【0006】
本発明は、一方の側が押圧されてもキートップが適切に降下可能であり、且つ、スイッチ全体を薄く構成することを可能としたキースイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、基台と、基台上に配置されたスイッチ機構と、基台の上方に配置されるキートップと、キートップとスイッチ機構との間に配置され且つキートップの下降に応じてスイッチ機構を押圧するバネ部材と、キートップを前記基台上に支持する金属製のリンク機構と、基台の上に配置された第1支持部材と第2支持部材を有し、リンク機構は、キートップの一端側を保持する第1保持部と、一端側で第1保持部と接続され、他端側に第1係合部及び第1被係合部を有し、一端側と他端側の間で第1支持部に支持されている第1腕部と、キートップの他端側を保持する第2保持部と、一端側で第2保持部と接続され、他端側に第1被係合部と係合する第2係合部及び第1係合部と係合する第2被係合部を有し、一端側と他端側の間で第2支持部に支持されている第2腕部を含む、ことを特徴とするキースイッチを提供する。
【0008】
上記のキースイッチでは、キートップの一端側が押圧されると第1保持部が下降し、第1保持部が下降すると第1支持部材を支点として第1被係合部が上昇し、第1被係合部が上昇すると第2係合部が上昇し、第2係合部が上昇すると第2支持部材を支点として第2保持部が下降し、キートップの他端側が押圧されると第2保持部が下降し、第2保持部が下降すると第2支持部材を支点として第2被係合部が上昇し、第2被係合部が上昇すると第1係合部が上昇し、第1係合部が上昇すると第1支持部材を支点として第1保持部が下降する、ことが好ましい。
【0009】
上記のキースイッチでは、基台の上に配置された第3支持部材と第4支持部材を更に有し、リンク機構は、一端側で第1保持部と接続され、他端側に第3係合部及び第3被係合部を有し、一端側と他端側の間で第3支持部材に支持されている第3腕部と、一端側で第2保持部と接続され、他端側に第4係合部及び第4被係合部を有し、一端側と他端側の間で第4支持部材に支持されている第4腕部を更に含むことが好ましい。
【0010】
上記のキースイッチでは、第1保持部、第1腕部、及び、第3腕部は一体的に形成され、第2保持部、第2腕部、及び、第4腕部は一体的に形成されることが好ましい。
【0011】
上記のキースイッチでは、キートップと基台との間に配置され、バネ部材の周辺及び上部を保護する保護部材を更に有することが好ましい。
【0012】
上記のキースイッチでは、バネ部材は、リンク機構の内側に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、X字状に交差した腕部を有していないので、一方の側が押圧されてもキートップが適切に降下可能であり、且つ、スイッチ全体を薄く構成することを可能としたキースイッチを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るキースイッチ1の斜視図である。
図2】本発明に係るキースイッチ1の分解斜視図である。
図3】キーキャップ2の斜視図である。
図4】保護部材3の斜視図である。
図5】バネ部材4の斜視図である。
図6】接着シート5の斜視図である。
図7】リンク機構6の斜視図である。
図8】スイッチ機構8の斜視図である。
図9】基台9の斜視図である。
図10】キースイッチ1のA-A’断面図である。
図11】キースイッチ1のB-B’断面図である。
図12】(a)はキーキャップ2が押圧される前のリンク機構8の状態を示し、(b)はキーキャップ2が押圧された後のリンク機構8の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るキースイッチ1について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0016】
図1は本発明に係るキースイッチ1の斜視図であり、図2は本発明に係るキースイッチ1の分解斜視図である。キースイッチ1は、キーキャップ2、保護部材3、バネ部材4、接着シート5、リンク機構6、スイッチ機構8、基台9等を含んで構成される。
【0017】
基板9の上面にスイッチ機構8が貼り付けられ、スイッチ機構8の上部に突出するように基板9に設けられた第1支持部材91~第4支持部材94が配置される。第1支持部材91~第4支持部材94のそれぞれの開口部91a~94aに、リンク機構6の第1突起65、第2突起75、第3突起69及び第4突起79が嵌合するようにして、リンク機構6と基板9とが位置決めされる。保護部材3は、リンク機構6の内側に接着シート5によって、バネ部材4の周囲及び上部を被覆するようにして、スイッチ機構8上に接着される。キーキャップ2が、リンク機構6の上部に配置されて、キースイッチ1が完成する。
【0018】
図3は、キーキャップ2の斜視図である。キーキャップ2は、上面が操作面である樹脂成型品であって、リンク機構6上に配置される。キーキャップ2の上面は、平面状に形成され、操作面として機能する。
【0019】
図3に示す様に、キーキャップ2の内側には、保護部材3の上から、バネ部材4を押圧するために下方に突出した凸部21が形成されている。なお、凸部21はドーナツ形状をしており、中心部に穴が設けられている。なお、凸部21の形状は他の形状であっても良い。
【0020】
また、キーキャップ2の内側には、第1凹部22、第2凹部23、第3凹部24、及び、第4凹部25が形成されている。さらに、キーキャップ2の内側には、後述するリンク機構6に含まれるリンク部材60及び70が移動する際にキーキャップ2と干渉しないための収容部26及び27が形成されている。
【0021】
図4は、保護部材3の斜視図である。保護部材3は、バネ部材4の周囲及び上部を被覆するための部材であって、可とう性の絶縁樹脂から形成されている。
【0022】
図4に示すように、保護部材3の内側には、バネ部材4のドーム部44の頂頭部45を押圧するために下方に突出した凸部31が形成されている。なお、凸部31はドーナツ形状をしており、中心部に穴が設けられている。なお、凸部31の形状は他の形状であっても良い。また、保護部材3の内側には、バネ部材4の4つの凸部43をそれぞれ収容する4つの凹部32が設けられている。
【0023】
図5は、バネ部材4の斜視図である。バネ部材4は、バネ性を有する薄板金属板により形成されている。
【0024】
図5に示すように、バネ部材4は、スイッチ機構8を押圧するバネ押圧部41、スイッチ機構8の上面に配置される4つの脚部42、及び、保護部材3の4つの収容部32にそれぞれ収容される4つの凸部43を有している。
【0025】
バネ部材4の中央部にはドーム状に形成された上側に凸状のドーム部44が形成されている。ドーム部44の頂頭部45が保護部材3の凸部31で押圧される事によって、ドーム部44は下側に凸状に反転し、反転することによってバネ押圧部41が下降してスイッチ機構8を押圧する。
【0026】
図6は、接着シート5の斜視図である。接着シート5は両面に接着面を有し、バネ部材4を収容した保護部材3をスイッチ機構8の上面に接着する。
【0027】
図6に示すように、接着シート5は、中央部に開口した中央開口部52、中央開口部52の四隅に設けた周辺開口部53を有する。
【0028】
バネ部材4の4つの凸部43が、保護部材3の4つの凹部32内に収容される事によって、バネ部材4と保護部材3との位置関係が定まる。また、保護部材3が接着シート5によりスイッチ機構8の上面に接着されることによって、スイッチ機構8とバネ部材4との位置関係が定まり、バネ部材4は保護部材3により周囲及び上面が被覆されることになる。
【0029】
バネ部材4において、ドーム部44の頂頭部45が保護部材3の凸部31で押圧される事によって、ドーム部44は下側に凸状に反転し、反転することによってバネ押圧部41が下降してスイッチ機構8を押圧する。その際に、バネ部材4の4つの脚部42がスイッチ機構8の上面上を摺動するが、摺動により脚部42の位置が移動しても接着シート5に接着しないように周辺開口部53が設けられている。
【0030】
図7は、リンク機構6の斜視図である。リンク機構6は、キーキャップ2を保護部材3の上方に支持するための構造であり、薄板金属板により形成されている。
【0031】
図7に示す様に、リンク機構6は、第1リンク部60と第2リンク部70が中央部で組み合わされるような構造を有している。第1リンク部材60は、第1保持部61、第1保持部61と接続された第1腕部62及び第3腕部66を有している。第1腕部62の先端部には第1腕部62の上面よりキートップ2側に膨らんだ第1係合部63及び第1腕部62の下面よりキートップ2の反対側に膨らんだ第1被係合部64が並んで形成され、第3腕部66の先端部には第3腕部66の上面よりキートップ2側に膨らんだ第3係合部67及び第3腕部66の下面よりキートップ2の反対側に膨らんだ第3被係合部68が並んで形成されている。第1腕部62及び第3腕部66には、平板形状の突起65及び平板形状の突起69がそれぞれ設けられている。第1保持部61の左右には、キーキャップ2を保持するための第1保持片61a及び第3保持片61bが設けられている。
【0032】
第2リンク部材70は、第2保持部71、第2保持部71と接続された第2腕部72及び第4腕部76を有している。第2腕部72の先端部には第2腕部72の上面よりキートップ2側に膨らんだ第2係合部73及び第2腕部72の下面よりキートップ2の反対側に膨らんだ第2被係合部74が並んで形成され、第4腕部76の先端部には第4腕部76の上面よりキートップ2側に膨らんだ第4係合部77及び第4腕部76の下面よりキートップ2の反対側に膨らんだ第4被係合部78が並んで形成されている。第2腕部72及び第4腕部76には、平板形状の突起75及び平板形状の突起79がそれぞれ設けられている。第2保持部71の左右には、キーキャップ2を保持するための第2保持片71a及び第4保持片71bが設けられている。
【0033】
第1腕部62の第1係合部63の先端には、凸部63aが形成されており、第2腕部72の第2被係合部74の先端には、凸部63aと嵌合する開口部74aが形成されている。また、第2腕部72の第2係合部73の先端には、凸部73aが形成されており、第1腕部62の第1被係合部64の先端には、凸部73aと嵌合する開口部64aが形成されている。さらに、第3腕部66の第3係合部67の先端には、凸部67aが形成されており、第4腕部76の第4被係合部78の先端には、凸部67aと嵌合する開口部78aが形成されている。さらに、第4腕部76の第4係合部77の先端には、凸部77aが形成されており、第3腕部66の第3被係合部68の先端には、凸部77aと嵌合する開口部68aが形成されている。図7では、便宜上、凸部63a、開口部74a、凸部67a及び開口部78aのみに番号を付している。
【0034】
図7に示す様に、リンク機構6は、第1リンク部材60の第1腕部62と第2リンク部材70の第3腕部72とが先端部で組み合わされ、第1リンク部材60の第3腕部66と第2リンク部材70の第4腕部76とが先端部で組み合わされて構成されている。また、第1リンク部材60の第1腕部62及び第3腕部66と、第2リンク部材70の第3腕部72及び第4腕部76は、全体的にロ字状に配置され、中央部にスペースが形成されている。リンク機構6の中央部のスペースに、保護部材3及びバネ部材4が配置されることとなる。
【0035】
第1リンク部材60及び第2リンク部材70は、プレス加工によって一体的に形成された後に所定の曲げ加工を施しているが、複数部品を接着又は溶接等して形成しても良い。
【0036】
第1リンク部材60の第1保持片61a及び第3保持片61bは、キーキャップ2の第1凹部22及び第2凹部23の内側に収容される。また、第2リンク部材70の第2保持片71a及び第4保持片71bは、キーキャップ2の第3凹部24、及び、第4凹部25の内側に収容される。なお、キーキャップ2の第1保持片61a及び第3保持片61bは、その内部に、第1リンク部材60の第1保持片61a及び第3保持片61bを摺動可能に収容するために、円柱の一部の内面形状を有している。
【0037】
図8は、スイッチ機構8の斜視図である。シート状のスイッチ機構8はメンブレンスイッチであり、基台9と略同じ外形を有し、基台9の上面に接着剤により固定されている。
【0038】
図8に示す様に、スイッチ機構8は、対向させた一対の接点82、接点82から伸びるフレキシブル回路83、及び、複数の開口部84~87を有する。接点82、フレキシブル回路83等は、PET(ポリエチレン・テレフタレート)フィルムで覆われており、一対の接点82の部分が、バネ部材4のバネ押圧部41により押圧されて互いに接触することによりスイッチがON状態となる。
【0039】
図9は、基台9の斜視図である。基台9は、金属板を所定の形状に打ち抜き、一部を折り曲げて形成されるが、複数部品を接着又は溶接等して形成しても良い。
【0040】
図9に示す様に、基台9は、第1支持部材91、第2支持部材92、第3支持部材93、第4支持部材94、及び、複数の開口部95a~95fを有する。第1支持部材91~第4支持部材94は、それぞれ開口部91a~94aを有している。開口部91a~94aは、平面視したとき、対向する2つの辺から略半円形状の突き出しのある矩形であり、開口の中心付近が最も狭く、開口の中心付近から突き出しのない辺の方向へ、湾曲しながら徐々に開口が広がり、かつ開放されていない形状を有している。第1支持部材91~第4支持部材94は、スイッチ機構8の開口部86及び87から上部へ突出して、開口部91a~94aが、第1腕部62の突起65、第2腕部72の突起75、第3腕部66の突起69、及び、第4腕部76の突起79とそれぞれ嵌合される。開口部91a~94aと突起65、75、69及び79とが嵌合することによって、リンク機構6と基板9とが安定し、かつ、強固に精度よく位置決めされる。開口部91a~94aの形状によって、突起65、75、69及び79は棒形状ではない平板形状にできるから剛性がアップし、押圧などの外力に対して変形しにくい。また、突起65、75、69及び79が平板形状であっても動きを阻害しないから良好なスイッチの操作感が得られる。
【0041】
図10図1に示すキースイッチ1のA-A’断面図であり、図11図1に示すキースイッチ1のB-B’断面図である。図10及び図11は、キースイッチ1の操作面であるキーキャップ2の上面が押圧されていない状態を示している。
【0042】
図10に示す様に、キーキャップ2の凸部21、保護部材3の凸部31、バネ部4のバネ押圧部41、及び、スイッチ機構8の接点82は、略鉛直直線上に配置されている。キーキャップ2の操作面であるキーキャップ2の上面が押圧されると、保護部材3の凸部31がバネ部材4を押圧し、バネ部材4のドーム部44(不図示)が反転して、バネ押圧部41がスイッチ機構8の一対の接点82を押圧して、スイッチがON状態となる。
【0043】
図10では、リンク機構6の第2腕部72の第2係合部73の凸部73aが、第1腕部62の第1被係合部64の開口部64aに嵌合している状態が示されている。また、図10では、リンク機構6の第4腕部76の第4係合部77の凸部77aが、第3腕部66の第3被係合部68の開口部68aに嵌合している状態が示されている。
【0044】
図11に示す様に、リンク機構6の第4腕部76の第4係合部77の凸部77aが、第3腕部66の第3被係合部68の開口部68aと嵌合している。また、第3腕部66の凸部69(不図示)が、第4支持部材94の開口部94aと嵌合し、第4腕部76の凸部79(不図示)が、第3支持部材93の開口部93aと嵌合している。
【0045】
図12(a)はキーキャップ2が押圧される前のリンク機構8の状態を示し、図12(b)はキーキャップ2が押圧された後のリンク機構8の状態を示している。図12では、図11に示した第3腕部66と第4腕部76との関係を用いて、リンク機構8の動作を説明する。
【0046】
図12(a)に示す様に、第2リンク部材70の第2保持部71の上部で、キーキャップ2がユーザにより矢印F1の方向に押圧されたとする。この場合、第4腕部76は、凸部79が第3支持部材93の開口部93aと嵌合している箇所P1を支点として、梃子の原理により、第4被係合部78を矢印F2の方向に上昇させる。その際、第4被係合部78は、嵌合している第3係合部67の凸部67aの両側に配置されるL字型の平板と接触して、第3係合部67を同様に矢印F2の方向に上昇させる。第3係合部67が矢印F2の方向に上昇するとき、第3係合部67の凸部67aは、第4被係合部78の開口部78aの間を上昇する。この場合、第3腕部66は、凸部69が第4支持部材94の開口部94aと嵌合している箇所P2を支点として、梃子の原理により、第1リンク部材60の第1保持部61を矢印F3の方向に下降させる。第4係合部77を第4腕部76の上面よりキートップ2側に膨らませている。つまり、第4係合部77の凸部77aは、第4腕部76を直線状に伸ばし、第4係合部77の凸部77aと直接繋げたときの長さよりも長くなる。このため、第4係合部77の凸部77aが矢印F2の方向に上昇しても、第3被係合部68の開口部68aの先端部が当たり動きを阻害したりしない。また、第3被係合部68は、第3腕部66の下面よりキートップ2の反対側に膨らんでいるから、第4係合部77をキートップ2の方向に突き出すことなく、第4係合部77と第3被係合部68を例えば、第3支持部材93の高さ内に収め、スイッチ機構全体を薄くできている。
【0047】
キーキャップ2がユーザにより矢印F1の方向に押圧された場合、図示してはいないが、キースイッチ1の図12(a)で示した側と逆側でも、リンク機構6の第2腕部72及び第1腕部62が同様に動作する。すなわち、キーキャップ2がユーザにより矢印F1の方向に押圧された場合、第2腕部72は、凸部75が第2支持部材92の開口部92aと嵌合している箇所を支点として、梃子の原理により、第2被係合部74を矢印F2の方向に上昇させる。その際、第2被係合部74は、嵌合している第1係合部63の凸部63aの両側に配置されるL字型の平板と接触して、第1係合部63を同様に矢印F2の方向に上昇させる。第1係合部63が矢印F2の方向に上昇するとき、第1係合部63の凸部63aは、第2被係合部74の開口部74aの間を上昇する。この場合、第1腕部62は、凸部65が第1支持部材91の開口部91aと嵌合している箇所を支点として、梃子の原理により、第1リンク部材60の第1保持部61を矢印F3の方向に下降させる。
【0048】
このように、一方の側では図12(a)に示す様に第3腕部66及び第4腕部76が協働し、他方の側では第1腕部62及び第2腕部72が協働し、図12(b)に示す様に、キーキャップ2全体が矢印Cの方向に押し下げられることとなる。ユーザによる押圧が解除されると、中央に配置されているバネ4のバネの復帰力により、第3腕部66及び第4腕部76と、第1腕部62及び第2腕部72とがそれぞれ、元の位置に戻る方向に移動する。その結果、リンク機構6は図12(b)の位置から図12(a)の位置に戻り、キーキャップ2も元の位置に戻ることとなる。
【0049】
一方、キーキャップ2がユーザにより矢印F4の方向に押圧された場合、図示してはいないが、キースイッチ1の図12(a)で示した側では、リンク機構6の第3腕部66及び第4腕部76が協働する。すなわち、キーキャップ2がユーザにより矢印F4の方向に押圧された場合、第3腕部66は、凸部69が第4支持部材94の開口部94aと嵌合している箇所を支点として、梃子の原理により、第3被係合部68を上昇させる。その際、第3被係合部68は、嵌合している第4係合部77の凸部の両側に配置されるL字型の平板と接触して、第4係合部77を同様に上昇させる。第4係合部77が上昇するとき、第4係合部77の凸部は、第3被係合部68の開口部の間を上昇する。この場合、第4腕部76は、凸部79が第3支持部材93の開口部93aと嵌合している箇所を支点として、梃子の原理により、第2リンク部材70の第2保持部71を下降させる。
【0050】
キーキャップ2がユーザにより矢印F4の方向に押圧された場合、図示してはいないが、キースイッチ1の図12(a)で示した側と逆側でも、リンク機構6の第1腕部62及び第2腕部72が協働する。すなわち、キーキャップ2がユーザにより矢印F4の方向に押圧された場合、第1腕部62は、凸部65が第1支持部材91の開口部91aと嵌合している箇所を支点として、梃子の原理により、第1被係合部64を上昇させる。その際、第1被係合部64は、嵌合している第2係合部73の凸部の両側に配置されるL字型の平板と接触して、第2係合部73を同様に上昇させる。第2係合部73が上昇する間、第2係合部73の凸部は、第3被係合部64の開口部の間を上昇する。この場合、第2腕部72は、凸部75が第2支持部材92の開口部92aと嵌合している箇所を支点として、梃子の原理により、第2リンク部材70の第2保持部71を下降させる。
【0051】
このように、キーキャップ2がユーザにより矢印F4の方向に押圧された場合でも、一方の側では第3腕部66及び第4腕部76が協働し、他方の側では第1腕部62及び第2腕部72が協働し、図12(b)に示す様に、キーキャップ2全体が矢印Cの方向に押し下げられることとなる。ユーザによる押圧が解除されると、中央に配置されているバネ4のバネの復帰力により、第3腕部66及び第4腕部76と、第1腕部62及び第2腕部72とがそれぞれ、元の位置に戻る方向に移動する。その結果、リンク機構6は元の位置に戻り、キーキャップ2も元の位置に戻ることとなる。
【0052】
上述したように、リンク機構6の動作によって、キーキャップ2の一方の端部のみが押し下げられたとしても。キーキャップ2全体が押し下げられるので、適切にスイッチがON状態となり得る。また、リンク機構6は、2つのリンク部材60及び70が左右に配置されて組み合わさっているだけなので、キースイッチ1を薄く構成することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 キースイッチ
2 キーキャップ
3 保護部材
4 バネ部材
5 接着シート
6 リンク機構
8 スイッチ機構
9 基台
60 第1リンク部材
61 第1支持部
62 第1腕部
63 第1係合部
64 第1被係合部
66 第3腕部
67 第3係合部
68 第3被係合部
70 第2リンク部材
72 第2腕部
73 第2係合部
74 第2被係合部
76 第4腕部
77 第4係合部
78 第4被係合部
91 第1支持部材
92 第2支持部材
93 第3支持部材
94 第4支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12