(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098115
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/065 20060101AFI20220624BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220624BHJP
H01L 23/52 20060101ALI20220624BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L21/60 301A
H01L23/52 C
H01L23/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211473
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】本間 荘一
(72)【発明者】
【氏名】坂口 大輔
【テーマコード(参考)】
4M109
5F044
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA07
4M109EA02
4M109EA07
5F044AA14
(57)【要約】
【課題】倒壊や干渉を抑制することができ、長いワイヤで柱状電極を形成することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体装置は、積層された複数の第1半導体チップを備える。第1柱状電極は、複数の第1半導体チップの電極パッドに接続され、複数の第1半導体チップの積層方向に延伸する。複数の第2半導体チップは、第1半導体チップの上方に積層される。第2柱状電極は、複数の第2半導体チップの電極パッドに接続され、複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する。第3柱状電極は、第1柱状電極の先端に接続され、複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する。樹脂層は、第1半導体チップ、第2半導体チップ、第2柱状電極および第3柱状電極を被覆し、第2および第3柱状電極の先端を露出している。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の第1半導体チップと、
前記複数の第1半導体チップの電極パッドに接続され、前記複数の第1半導体チップの積層方向に延伸する第1柱状電極と、
前記第1半導体チップの上方に積層された複数の第2半導体チップと、
前記複数の第2半導体チップの電極パッドに接続され、前記複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する第2柱状電極と、
前記第1柱状電極の先端に接続され、前記複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する第3柱状電極と、
前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第2柱状電極および前記第3柱状電極を被覆し、前記第2および第3柱状電極の先端を露出している樹脂層と、を備える半導体装置。
【請求項2】
前記樹脂層は、
前記第1半導体チップおよび前記第1柱状電極を被覆し、前記第1柱状電極の先端を露出している第1樹脂層と、
前記第2半導体チップ、前記第2柱状電極および前記第3柱状電極を被覆し、前記第2および第3柱状電極の先端を露出している第2樹脂層とを備え、
前記第3柱状電極は、前記第1樹脂層から露出された前記第1柱状電極の先端に接続され、前記複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記樹脂層は、
前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップおよび前記第1および第2柱状電極を被覆している第1樹脂層であって、該第1樹脂層の上面において前記第1柱状電極の先端を露出し、該第1樹脂層に設けられた溝または段差の底部において前記第2柱状電極の先端を露出している第1樹脂層と、
前記溝または段差内に設けられた第2樹脂層とを備え、
前記第3柱状電極は、前記第1樹脂層の溝または段差内において露出された前記第2柱状電極の先端に接続され、前記複数の第2半導体チップの積層方向に延伸し、
前記第2樹脂層は、前記第3柱状電極を被覆し、前記第3柱状電極の先端を露出している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記溝は、前記電極パッドが設けられた前記複数の第1または第2半導体チップの辺に対して略平行方向に延伸している、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の第1半導体チップの最上段と前記複数の第2半導体チップの最下段との間に前記第1樹脂層が介在している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2柱状電極と前記第3柱状電極との間において、前記第3柱状電極の延伸方向に対して垂直方向の断面の大きさが前記第2および第3柱状電極よりも大きい接続部をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記樹脂層上に設けられ、前記第3柱状電極に電気的に接続された配線層と、
前記配線層上に設けられ、前記配線層に電気的に接続されたバンプとをさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3柱状電極の延伸方向に対して垂直方向の断面の大きさは、前記第3柱状電極と前記第1および第2柱状電極とで異なる、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記樹脂層から露出された前記第1柱状電極の先端部に設けられ、前記第1柱状電極の先端部の露出面積よりも大きな面積を有する追加パッドをさらに備える、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に設けられた第2配線層をさらに備え、
前記第1柱状電極の先端部は、前記第2配線層の第1面に電気的に接続され、
前記第3柱状電極の下端部は、前記第2配線層の前記第1面とは反対側の第2面に電気的に接続されており、
前記第2配線層は、前記第1柱状電極と前記第3柱状電極とを電気的に接続する、請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
積層された複数の第1半導体チップと、複数の第1半導体チップの電極パッドに接続され前記複数の第1半導体チップの積層方向に延伸する複数の第1柱状電極と、前記複数の第1半導体チップおよび前記複数の第1柱状電極を被覆し、前記複数の第1柱状電極の一部を露出している第1樹脂層と、
前記複数の第1半導体チップの上に積層された複数の第2半導体チップと、前記複数の第2半導体チップの電極パッドに接続され、前記複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する複数の第2柱状電極と、前記複数の第1柱状電極と接続する複数の第3柱状電極と、
前記複数の第2半導体チップ、前記複数の第2柱状電極及び前記複数の第3柱状電極とを被覆し、前記複数の第2柱状電極及び前記複数の第3柱状電極の一部を露出している第2樹脂層と、
ここで、自然数kはk=3またはk=3から任意の自然数n(n>=4)まで1ずつ増やしていくとしたとき、
前記複数の第k-1半導体チップの上に積層された複数の第k半導体チップと、複数の第k半導体チップの電極パッドに接続され、前記複数の第k半導体チップの積層方向に延伸する複数の第2k-2柱状電極と、前記複数の第2k-4柱状電極及び前記複数の第2k-3柱状電極と接続する複数の第2k-1柱状電極と、前記複数の第k半導体チップおよび前記複数の第2k-2柱状電極及び前記複数の第2k-1柱状電極を被覆し、前記複数の第2k-2柱状電極及び前記複数の第2k-1柱状電極の一部を露出している第k樹脂層と、を備えた半導体装置。
【請求項12】
前記第2または第k半導体チップ上に設けられた他の半導体チップをさらに備える、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
支持基板上に複数の第1半導体チップを積層し、
前記複数の第1半導体チップの電極パッドに第1柱状電極を形成し、
前記複数の第1半導体チップおよび前記第1柱状電極を第1樹脂層で被覆し、
前記第1樹脂層を研磨して前記第1柱状電極の上端を露出させ、
前記第1樹脂層上に複数の第2半導体チップを積層し、
前記複数の第2半導体チップの電極パッドに第2柱状電極を形成し、前記第1柱状電極の上端上に第3柱状電極を形成し、
前記複数の第2半導体チップおよび前記第2柱状電極を第2樹脂層で被覆し、
前記第2樹脂層を研磨して前記第2柱状電極の上端を露出させることを具備する、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
支持基板上に複数の半導体チップを積層し、
前記複数の半導体チップの複数の電極パッドに複数の第1柱状電極を形成し、
前記複数の半導体チップおよび前記複数の第1柱状電極を第1樹脂層で被覆し、
前記複数の第1柱状電極の一部および前記第1樹脂層の一部を研削して溝を形成し、該溝の底部に前記複数の第1柱状電極の上端を露出させ、
前記溝内において露出された前記複数の第1柱状電極の上端上に第2柱状電極を形成し、
前記溝内において前記第2柱状電極を第2樹脂層で被覆する、ことを具備する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを樹脂封止して形成された半導体パッケージにおいて、金属ワイヤを用いた柱状電極が各半導体チップの電極パッド上に設けられる場合がある。金属ワイヤは、各半導体チップの電極パッドにワイヤボンディング法で接続され、縦方向に引きだされることによって縦方向に形成される。
【0003】
しかし、多くの半導体チップを積層する場合、最下段の半導体チップに接続される金属ワイヤは縦方向に長く引き出す必要がある。金属ワイヤを長くすると、金属ワイヤの先端の位置が大きくずれたり、さらに、樹脂封止の際に金属ワイヤが倒れてしまう場合がある。この場合、電極パッド間のピッチが狭くなると、隣接する複数の柱状電極が干渉するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2016-535463号公報
【特許文献2】米国特許第10276545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
倒壊や干渉を抑制しつつ、長い柱状電極を形成することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による半導体装置は、積層された複数の第1半導体チップを備える。第1柱状電極は、複数の第1半導体チップの電極パッドに接続され、複数の第1半導体チップの積層方向に延伸する。複数の第2半導体チップは、第1半導体チップの上方に積層される。第2柱状電極は、複数の第2半導体チップの電極パッドに接続され、複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する。第3柱状電極は、第1柱状電極の先端に接続され、複数の第2半導体チップの積層方向に延伸する。樹脂層は、第1半導体チップ、第2半導体チップ、第2柱状電極および第3柱状電極を被覆し、第2および第3柱状電極の先端を露出している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図。
【
図1B】第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図。
【
図2A】
図1Aに示す構成に対して、再配線層と、金属バンプとをさらに備える半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図2B】
図1Bに示す構成に対して、再配線層と、金属バンプとをさらに備える半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図3】第1実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図4】
図3に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図5】
図4に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図6】
図5に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図7】
図6に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図8】
図7に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図9】
図8に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図10】
図9に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図11】
図10に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図12】第2実施形態による半導体装置の構成の一例を示す断面図。
【
図13】第2実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図14】
図13に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図15】
図14に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図16】
図15に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図18】
図17に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図19】
図18に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図20】
図19に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図21】第3実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図22】柱状電極および接続部の構成例を示す概略断面図。
【
図23】第4実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図24】第5実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図25】第6実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図26】第7実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図27】追加パッドおよび接続部およびその周辺の構成例を示す概略断面図。
【
図28】第8実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図29】第9実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図30】第9実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図31】第9実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図32】第10実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図33】第10実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図34】第11実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図35】第11実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図36】第11実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図37】第11実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図38】第11実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図39】第11実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図40A】第12実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図40B】第12実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図41】第13実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図42】第14実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図43】第14実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図44】第15実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図45】第16実施形態による半導体装置の構成例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。以下の実施形態において、上下方向は、半導体チップの積層方向を上または下とした場合の相対方向を示し、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1Aおよび
図1Bは、第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。半導体装置1は、半導体チップ10と、接着層(DAF(Die Attachment Film))20と、柱状電極30と、樹脂層40と、半導体チップ50と、接着層(DAF)60と、柱状電極70と、柱状電極80と、樹脂層90とを備えている。半導体装置1は、例えば、NAND型フラッシュメモリ、LSI(Large Scale Integration)等の半導体パッケージでよい。
【0010】
複数の半導体チップ10は、それぞれ第1面F10aと、第1面とは反対側の第2面F10bとを有する。トランジスタやキャパシタ等の半導体素子(図示せず)は、各半導体チップ10の第1面F10a上に形成されている。半導体チップ10の第1面F10a上の半導体素子は、図示しない絶縁膜で被覆され保護されている。この絶縁膜には、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜等の無機系絶縁材料が用いられる。また、この絶縁膜には、無機系絶縁材料上に有機系絶縁材料を形成した材料が用いられてもよい。有機系絶縁材料としては、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。半導体チップ10は、例えば、NAND型フラッシュメモリのメモリチップあるいは任意のLSIを搭載した半導体チップでもよい。半導体チップ10は、互いに同一構成を有する半導体チップでもよいが、互いに異なる構成を有する半導体チップであってもよい。
【0011】
複数の半導体チップ10は、積層されており、接着層20によって接着されている。接着層20としては、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。複数の半導体チップ10は、それぞれ第1面F10a上に露出された電極パッド15を有する。半導体チップ10(下段半導体チップ10)の上に積層される他の半導体チップ10(上段半導体チップ10)は、下段半導体チップ10の電極パッド15上に重複しないように、下段半導体チップ10の電極パッド15が設けられた辺に対して略垂直方向(X方向)にずらされて積層されている。
【0012】
電極パッド15は、半導体チップ10に設けられた半導体素子のいずれかに電気的に接続されている。電極パッド15には、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ta、TiN、TaN、CrN等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。
【0013】
柱状電極30は、半導体チップ10の電極パッド15に接続され、複数の半導体チップ10の積層方向(Z方向)に延伸している。接着層20は、電極パッド15の一部を露出するように部分的に除去されており、柱状電極30が電極パッド15に接続可能となっている。あるいは、接着層20は、上段半導体チップ10の第2面F10bに貼付されており、下段半導体チップ10の電極パッド15に重複しないように設けられる。柱状電極30の下端は、ワイヤボンディング法によって電極パッド15に接続されており、その接続部35は、柱状電極30のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となっている。柱状電極30の上端は、樹脂層40の上面に達しており、その上面において露出されている。
【0014】
樹脂層40は、複数の半導体チップ10および柱状電極30を被覆(封止)しており、上面において柱状電極30の先端を露出している。
【0015】
複数の半導体チップ50は、それぞれ第1面F50aと、第1面F50aとは反対側の第2面F50bとを有する。メモリセルアレイ、トランジスタまたはキャパシタ等の半導体素子(図示せず)は、各半導体チップ50の第1面F50a上に形成されている。半導体チップ50の第1面F50a上の半導体素子は、図示しない絶縁膜で被覆され保護されている。この絶縁膜には、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜等の無機系絶縁材料が用いられる。また、この絶縁膜には、無機系絶縁材料上に有機系絶縁材料を形成した材料が用いられてもよい。有機系絶縁材料としては例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。半導体チップ50は、例えば、NAND型フラッシュメモリのメモリチップあるいは任意のLSIを搭載した半導体チップでもよい。半導体チップ50は、互いに同一構成を有する半導体チップでもよいが、互いに異なる構成を有する半導体チップであってもよい。さらに、半導体チップ50は、半導体チップ10と同一構成を有する半導体チップでもよいが、半導体チップ10と異なる構成を有する半導体チップであってもよい。
【0016】
複数の半導体チップ50は、積層されており、接着層60によって接着されている。複数の半導体チップ50は、それぞれ第1面F50a上に露出された電極パッド55を有する。他の半導体チップ50上に積層される半導体チップ50は、他の半導体チップ50の電極パッド55上に重複しないように、電極パッド55が設けられた辺に対して略垂直方向(X方向)にずらされて積層されている。最下段の半導体チップ50は、樹脂層40上に設けられており、最上段の半導体チップ10と最下段の半導体チップ50との間には、樹脂層40が介在している。
【0017】
電極パッド55は、半導体チップ50に設けられた半導体素子のいずれかに電気的に接続されている。電極パッド55には、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ta、TiN、TaN、CrN等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。
【0018】
柱状電極80は、半導体チップ50の電極パッド55に接続され、複数の半導体チップ50の積層方向(Z方向)に延伸している。接着層60は、電極パッド55の一部を露出するように部分的に除去されており、柱状電極70が電極パッド55に接続可能となっている。あるいは、接着層20は、上段半導体チップ10の第2面F10bに貼付されており、下段半導体チップ10の電極パッド15に重複しないように設けられる。柱状電極70の下端は、ワイヤボンディング法によって電極パッド55に接続されており、その接続部75は、柱状電極70のX方向またはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となっている。柱状電極70の上端は、樹脂層90の上面に達しており、その上面において露出されている。
【0019】
さらに、柱状電極80は、樹脂層40の上面において露出された柱状電極30の先端に接続され、複数の半導体チップ50の積層方向(Z方向)に延伸している。柱状電極80の下端は、ワイヤボンディング法によって柱状電極30の上端に接続されており、その接続部85は、柱状電極30、80のX方向またはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となっている。即ち、柱状電極30と柱状電極80との間の接続部85は、柱状電極30、80の延伸方向に対して垂直方向(XまたはY方向)の断面において、柱状電極30、80の断面よりも大きい。
【0020】
樹脂層90は、複数の半導体チップ50、柱状電極30、80を被覆(封止)しており、上面において柱状電極30、80の先端を露出している。
【0021】
樹脂層40、90には、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。
【0022】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ
図1Aおよび
図1Bに示す構成に対して、半導体チップ200と、柱状電極210と、再配線層100と、金属バンプ150とをさらに備える半導体装置1の構成例を示す断面図である。
【0023】
半導体チップ200は、第1面F200aと、第1面とは反対側の第2面F200bとを有する。トランジスタやキャパシタ等の半導体素子(図示せず)は、各半導体チップ200の第1面F200a上に形成されている。半導体チップ200の第1面F200a上の半導体素子は、図示しない絶縁膜で被覆され保護されている。この絶縁膜には、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜等の無機系絶縁材料が用いられる。また、この絶縁膜には、無機系絶縁材料上に有機系絶縁材料を形成した材料が用いられてもよい。有機系絶縁材料としては例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。半導体チップ200は、例えば、メモリチップ(半導体チップ 10,50)を制御するコントローラチップあるいは任意のLSIを搭載した半導体チップでもよい。
【0024】
半導体チップ200は、半導体チップ50上に積層されており、接着層60によって半導体チップ50に接着されている。半導体チップ200は、それぞれ第1面F10a上に露出された電極パッド(図示せず)を有する。
【0025】
柱状電極210は、半導体チップ200の電極パッドに接続され、Z方向に延伸している。接着層60は、電極パッドの一部を露出するように部分的に除去されており、柱状電極210が電極パッドに接続可能となっている。あるいは、接着層20は、上段半導体チップ10の第2面F10bに貼付されており、下段半導体チップ10の電極パッド15に重複しないように設けられる。柱状電極210の下端は、ワイヤボンディング法によって半導体チップ200の電極パッドに接続されており、その接続部は、柱状電極210のX方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となっている。柱状電極210の上端は、樹脂層90の上面に達しており、その上面において露出されている。柱状電極210には、上述の柱状電極30、70、80と同じ材料が用いられ得る。
【0026】
再配線層(RDL(Re Distribution Layer))100は、樹脂層90上に設けられており、柱状電極70、80および210に電気的に接続されている。再配線層100は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層させた多層配線層であり、柱状電極70、80、210をそれぞれ金属バンプ150に電極的に接続する。
【0027】
金属バンプ150は、再配線層100上に設けられており、再配線層100の配線層に電気的に接続される。金属バンプ150は、外部装置(図示せず)との接続に用いられる。金属バンプ150には、例えば、Sn、Ag、Cu、Au、Pd、Bi、Zn、Ni、Sb、In、Geの単体、それらの内の2種以上の複合膜、または合金が用いられる。
【0028】
次に、第1実施形態による半導体装置1の製造方法を説明する。
【0029】
図3~
図11は、第1実施形態による半導体装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
【0030】
まず、
図3に示すように、支持基板2上に複数の半導体チップ10を積層する。このとき、半導体チップ10は、接着層20で他の半導体チップ10上に接着される。支持基板2は、シリコン、ガラス、セラミック、樹脂板、リードフレーム等の金属板等でよい。
【0031】
次に、
図4に示すように、半導体チップ10の電極パッド15上にワイヤボンディング法で金属ワイヤ(導電性ワイヤ)をボンディングし、この金属ワイヤを第1面F10aに対して略垂直方向に引き出して柱状電極30を形成する。柱状電極30は、ワイヤボンディング法で形成されるので、柱状電極30の下端は、電極パッド15上において柱状電極30のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となって溶着される。これにより、柱状電極30のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きな接続部35が電極パッド15と柱状電極30との間に形成される。その結果、電極パッド15と柱状電極30との間の接続強度を高くすることができる。また、柱状電極30は、上端において切断され、柱状電極30自体の剛性によってそのまま直立状態を維持する。
【0032】
柱状電極30には、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Taの単体、それらのうち2種以上の複合材料、または、それらのうち2種以上の合金等が用いられる。好ましくは、柱状電極30の材料として、Au、Ag、Cu、Pdの単体、それらのうち2種以上の複合材料、または、それらのうち2種以上の合金等が用いられる。さらに好ましくは、柱状電極30の材料として、それらのうち硬度の高い材料、例えば、Cu、CuPd合金、Cu上にPdを被覆した材料が用いられる。これにより、柱状電極30は、樹脂層40で被覆するときに屈曲し難くなり、倒壊し難くなる。
【0033】
次に、
図5に示すように、樹脂層40で半導体チップ10の積層体および柱状電極30を被覆する。樹脂層40には、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料が用いられる。エポキシ樹脂の例としては、特に限定しないが、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。これらの中も、シリコンとの密着性が良いことから、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、樹脂層40の中にはシリカ等のフィラーが含まれていてもよい。
【0034】
樹脂層40の形成後、樹脂層40をオーブン等で加熱し、あるいは、樹脂層40にUV光を照射することによって樹脂層40を硬化させる。
【0035】
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法、機械研磨法等を用いて、柱状電極30が露出されるまで樹脂層40を研磨する。これにより、
図5に示す構造が得られる。
【0036】
次に、
図6に示すように、樹脂層40上に複数の半導体チップ50を積層する。このとき、半導体チップ50は、接着層60で他の半導体チップ50上に接着される。
【0037】
次に、
図7に示すように、半導体チップ50の電極パッド55上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤを第1面F50aに対して略垂直方向(Z方向)に引き出して柱状電極70を形成する。また、樹脂層40から露出された柱状電極30の上端上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤをZ方向に引き出して柱状電極80を形成する。柱状電極70、80は、ワイヤボンディング法で形成されるので、柱状電極70、80の下端は、電極パッド55または柱状電極30の上端上において、柱状電極70、80のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となって電極パッド55または柱状電極30の上端上に溶着される。これにより、柱状電極70のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きな接続部75が電極パッド55と柱状電極70との間に形成される。柱状電極80のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きな接続部85が柱状電極30と柱状電極80との間に形成される。その結果、電極パッド55と柱状電極70との間の接続強度および柱状電極30と柱状電極80との間の接続強度を高くすることができる。また、柱状電極70、80は、上端において切断され、柱状電極70、80自体の剛性によってそのまま直立状態を維持する。
【0038】
柱状電極70、80には、上述の柱状電極30の材料と同じ範囲から選択された材料が用いられ得る。柱状電極70、80の材料は、柱状電極30と同一材料であってもよく、異なる材料であってもよい。柱状電極70、80に、硬度の高い材料、例えば、Cu、CuPd合金、Cu上にPdを被覆した材料を用いることによって、柱状電極70、80は、樹脂層90で被覆するときに屈曲し難くなり、倒壊し難くなる。
【0039】
次に、
図8に示すように、樹脂層90で半導体チップ50の積層体および柱状電極70、80を被覆する。樹脂層90には、上述の樹脂層40と同じ材料の範囲から選択され得る。樹脂層90の材料は、樹脂層40と同一材料であってもよく、異なる材料であってもよい。樹脂層90の形成後、樹脂層90をオーブン等で加熱し、あるいは、樹脂層90にUV光を照射することによって樹脂層90を硬化させる。
【0040】
次に、CMP法、機械研磨法等を用いて、柱状電極70、80が露出されるまで樹脂層90を研磨する。これにより、
図8に示す構造が得られる。次に、熱、レーザ等の光を用いて支持基板2を剥離する。または、支持基板2は研磨して除去してもよい。さらに、
図8に示す構造体をダイシングによって個片化する。これにより、
図1Aに示す半導体装置1が得られる。一方、支持基板2を残置させたままダイシングすることによって、
図1Bに示す半導体装置1が得られる。
【0041】
図2Aおよび
図2Bに示す半導体装置1の制御方法では、
図6に示すように半導体チップ50の積層後、
図9に示すように、最上段の半導体チップ50上に半導体チップ200をさらに積層する。
【0042】
次に、
図10に示すように、半導体チップ50の電極パッド55上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤを第1面F50aに対して略垂直方向(Z方向)に引き出して柱状電極70を形成する。また、樹脂層40から露出された柱状電極30の上端上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤをZ方向に引き出して柱状電極80を形成する。次に、めっき法を用いて、半導体チップ200上に柱状電極210を形成する。あるいは、半導体チップ200上の電極パッド上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、第1面F200aに対して略垂直方向に引き出して柱状電極210を形成してもよい。この場合、柱状電極210も、ワイヤボンディング法で形成されるので、柱状電極210の下端は、半導体チップ200の電極パッド上において、柱状電極210のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となって電極パッド上に溶着される。これにより接続強度を高くすることができる。また、柱状電極210は、上端において切断され、柱状電極210自体の剛性によってそのまま直立状態を維持する。
【0043】
柱状電極210には、上述の柱状電極30の材料と同じ範囲から選択された材料が用いられ得る。柱状電極210の材料は、柱状電極30、70、80と同一材料であってもよく、異なる材料であってもよい。柱状電極210に、硬度の高い材料、例えば、Cu、CuPd合金、Cu上にPdを被覆した材料を用いることによって、柱状電極210は、樹脂層90で被覆するときに屈曲し難くなり、倒壊し難くなる。
【0044】
次に、
図11に示すように、樹脂層90で半導体チップ50の積層体および柱状電極70、80、210を被覆する。樹脂層90の形成後、樹脂層90は、オーブン等で加熱し、あるいは、UV光を照射することによって硬化させる。
【0045】
次に、CMP法、機械研磨法等を用いて、柱状電極70、80、210が露出されるまで樹脂層90を研磨する。これにより、
図11に示す構造が得られる。
【0046】
次に、樹脂層90上に再配線層100を形成する。再配線層100の絶縁層には、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料が用いられる。再配線層100の配線層には、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ta、TiN、TaN、CrN等の単体、それらのうち2種以上の複合材料、または、それらのうち2種以上の合金等が用いられる。
【0047】
次に、熱、レーザ等の光を用いて支持基板2を剥離する。または、支持基板2は研磨して除去してもよい。
【0048】
さらに、再配線層100上に金属バンプ150を形成する。金属バンプ150は、例えば、ボール搭載、めっき法、印刷法を用いて形成され得る。金属バンプ150には、例えば、Sn、Ag、Cu、Au、Pd、Bi、Zn、Ni、Sb、In、Geの単体、それらの内の2種以上の複合膜、または合金が用いられる。
【0049】
その後、
図11に示す構造体をダイシングによって個片化する。これにより、
図2Aに示す半導体装置1が完成する。尚、支持基板2を残置させたままダイシングすることによって、
図2Bに示す半導体装置1が得られる。
【0050】
このような構成を有する半導体装置1を配線基板上に搭載して、温度サイクル試験を行った。温度サイクル試験は、-55℃で30分間、25℃で5分間、125℃で30分間を1サイクルとして、3000サイクル実行した。しかし、本実施形態による半導体装置1は、3000サイクル後でも接続箇所に異常は全く認められなかった。
【0051】
上記実施形態では、柱状電極30、70、80、210は、一例としてワイヤボンディング法で形成したが、めっき法で形成してもよい。例えば、電極パッド15、55に達するホールを樹脂層40、90に形成した後、めっき法で金属材料をホールに埋め込む。これにより、柱状電極30、70、80、210がめっき法により形成され得る。柱状電極30、70、80、210は、このようなめっき法とワイヤボンディング法の両方用いて形成されてもよい。
【0052】
本実施形態による柱状電極30、70、80、210は、通常のワイヤボンディング法で形成された半導体チップの電極パッド間を直接接続するワイヤと混在してもよい。さらに、半導体チップ間を直接接続するワイヤと、ワイヤボンディング法で形成された柱状電極と、めっき法で形成された柱状電極とが混在してもよい。
【0053】
以上のように第1実施形態によれば、下段に積層された複数の半導体チップ10の電極パッド15に電気的に接続される柱状電極30、80は、半導体チップ10、50の積層工程とともに、下段の柱状電極30と上段の柱状電極80とに分割して形成されている。これにより、本実施形態は、樹脂層40、90の形成時に、倒壊や干渉を抑制しつつ、実質的に長い柱状電極30、80を形成することができる。
【0054】
柱状電極30は、半導体チップ10に接続され、樹脂層40で被覆される。その後、平坦化された樹脂層40上に半導体チップ50が積層され、柱状電極80が柱状電極30のそれぞれに接続されるように形成される。このように、下段の柱状電極30が樹脂層40で封止された後に、上段の柱状電極80が形成される。従って、柱状電極30は、柱状電極80の形成によって倒壊したり、傾斜したりしない。また、柱状電極80は、平坦かつ硬化された樹脂層40から直立するため、やはり、倒壊したり、傾斜し難い。柱状電極80の上端の位置が安定し、その位置ずれが発生し難くなる。さらに、柱状電極80の下端には、柱状電極30、80よりも太い接続部85が形成される。よって、柱状電極30と柱状電極80との間の接続抵抗値を低くすることができる。よって、柱状電極30、80は、柱状電極80の上端から半導体チップ10の電極パッド15まで電気的に低抵抗で接続することができる。また、接続部85は、柱状電極30と柱状電極80との間の機械的な接続強度も向上させることができる。
【0055】
その結果、柱状電極30、80は、それらの柱状電極の倒壊や干渉を抑制することができ、実質的に長いワイヤで柱状電極を形成することができる。
【0056】
さらに、樹脂層40の材料と樹脂層90の材料とを相違させ、樹脂層40と樹脂層90とが相反する応力を有する構造とした場合、半導体装置1の反りの抑制につながる。樹脂層40および樹脂層90の応力の違いは、それらの厚みによって調整すればよい。例えば、樹脂層40および樹脂層90が相反する応力を有するものの、樹脂層40の応力が樹脂層90の応力よりも小さい場合には、その分、樹脂層40の厚みを樹脂層90の厚みよりも厚くすればよい。また例えば、樹脂層40の「弾性率×熱膨張係数」の値に対して、上層の樹脂層90の「弾性率×熱膨張係数」の値を小さくすることによっても、反りを抑えることが可能となる。
【0057】
尚、支持基板2は除去せずに
図11に示すように、そのまま残置させてもよい。この場合、半導体装置1のパッケージは、支持基板2とともにダイシングされる。支持基板2により、最下段の半導体チップ10の第2面F10bが保護され得る。
【0058】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。第2実施形態では、複数の半導体チップ10および複数の半導体チップ50が連続して積層されている。最上段の半導体チップ10上に、最下段の半導体チップ50が積層されている。最上段の半導体チップ10と最下段の半導体チップ50との間には、接着層60が設けられているが、樹脂層40、90は介在していない。
【0059】
半導体チップ10、50は、全体として樹脂層40によって被覆されている。しかし、半導体チップ10の電極パッド15の上方の樹脂層40には、溝TRが設けられており、その溝TR内には、樹脂層90が設けられている。
【0060】
樹脂層90は、柱状電極80を被覆しており、柱状電極80の先端を露出している点で第1実施形態と同様である。しかし、樹脂層90は、溝TR内にのみ充填されているだけであり、半導体チップ50および柱状電極70を被覆していない。
【0061】
一方、樹脂層40は、半導体チップ10、50および柱状電極30、70を被覆している。樹脂層40は、その上面において柱状電極70の先端を露出している。また、樹脂層40は、溝TRの底部において柱状電極30の先端を露出している。よって、溝TRの底部では、柱状電極80が柱状電極30の先端と接続部85を介して電気的に接続されている。
【0062】
柱状電極30、70、80の構成は、第1実施形態のそれらの構成と同様でよい。従って、柱状電極30は、半導体チップ10の電極パッド15に接続され、半導体チップ10の積層方向(Z方向)に延伸している。柱状電極70は、半導体チップ50の電極パッド55に接続され、半導体チップ50の積層方向(Z方向)に延伸している。柱状電極80は、樹脂層40の溝TR内において露出された柱状電極30の先端に接続され、Z方向に延伸している。
【0063】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。
図12に示す半導体装置1は、
図2Aに対応する構成を有し、半導体チップ200、再配線層100、金属バンプ150等をさらに備えている。半導体チップ200、再配線層100、金属バンプ150等の構成は、
図2Aに示すそれらの構成と同様でよい。
図12に示す構成から半導体チップ200、再配線層100、金属バンプ150を省略すれば、半導体装置1は、
図1Aに対応する構成となる。尚、第2実施形態による半導体装置1は、
図1Bまたは
図2Bに示すように支持基板2を有していてもよい。
【0064】
次に、第2実施形態による半導体装置1の製造方法について説明する。
【0065】
図13~
図20は、第2実施形態による半導体装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
【0066】
まず、
図13に示すように、支持基板2上に複数の半導体チップ10を積層する。このとき、半導体チップ10は、接着層20で他の半導体チップ10上に接着される。続いて、半導体チップ10上に複数の半導体チップ50を積層する。このとき、半導体チップ50は、接着層60で他の半導体チップ10または50上に接着される。尚、最下段の半導体チップ50は、最上段の半導体チップ10上に接着層60によって接着される。次に、半導体チップ200が最上段の半導体チップ50上に接着層60によって接着される。半導体チップ10、50、200は、その下にある半導体チップのそれぞれの電極パッド15、55に重複しないようにX方向にずらされて積層される。これにより、
図13に示す構造が得られる。
【0067】
次に、
図14に示すように、半導体チップ10、50の電極パッド15、55上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤを第1面F10a、F50aに対して略垂直方向に引き出して柱状電極30、70を形成する。柱状電極30、70は、ワイヤボンディング法で形成されるので、柱状電極30、70の下端は、電極パッド15、55上において柱状電極30、70のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となって溶着される。これにより、柱状電極30のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きな接続部35が電極パッド15と柱状電極30との間に形成される。柱状電極70のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きな接続部75が電極パッド55と柱状電極70との間に形成される。その結果、電極パッド15と柱状電極30との間の接続強度および電極パッド55と柱状電極70との間の接続強度を高くすることができる。また、柱状電極30、70は、上端において切断され、柱状電極30、70自体の剛性によってそのまま直立状態を維持する。
【0068】
さらに、半導体チップ200の電極パッド上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤを第1面F200aに対して略垂直方向に引き出して柱状電極210を形成する。あるいは、柱状電極210は、金属ピラーとして半導体チップ200上に予め形成しておき、柱状電極210を有する半導体チップ200を最上段の半導体チップ50上に接着してもよい。
【0069】
次に、
図15に示すように、半導体チップ10、50、200および柱状電極30、70、210を樹脂層40で被覆する。次に、樹脂層40をオーブン等で加熱し、あるいは、樹脂層40にUV光を照射することによって樹脂層40を硬化させる。
【0070】
次に、CMP法、機械研磨法等を用いて、柱状電極70、210が露出されるまで樹脂層40を研磨する。これにより、
図15に示す構造が得られる。
【0071】
次に、
図16に示すように、ブレードまたはレーザ等を用いて、樹脂層40のうち電極パッド15、柱状電極30の上方にある部分を研削し、溝TRを樹脂層40に形成する。溝TRは、電極パッド15、55が設けられた半導体チップ10、50の辺に対して略平行方向(Y方向)に延伸しており、Y方向に隣接する他の半導体パッケージ(図示せず)にも連続して形成されている。
【0072】
図17は、
図16の工程において形成される構造の概略平面図である。
図17に示すように、溝TRは、電極パッド15、55の設けられている半導体チップ10、50の辺の延伸方向(Y方向)に対して略平行方向に形成されている。即ち、溝TRは、半導体チップ10、50ずれ方向に対して直交する方向(Y方向)に延伸するように形成されている。
【0073】
図16に示すように、溝TRは、その底部において、柱状電極30の上端を露出させる。ブレードを用いる場合、溝TRは、
図17に示すようにライン状に形成される。レーザを用いる場合、溝TRは、半導体チップ10、50のある領域のみに形成してもよい。
【0074】
本実施形態では、CMP法または機械的研磨法を用いて樹脂層40を全体的に研磨した後に、溝TRを形成している。しかし、溝TRを形成した後に、CMP法または機械的研磨法を用いて樹脂層40を全体的に研磨してもよい。
【0075】
次に、
図18に示すように、溝TRの底部において露出された柱状電極30の上端上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤをZ方向に引き出して柱状電極80を形成する。柱状電極80は、ワイヤボンディング法で形成されるので、柱状電極80の下端は、柱状電極30の上端上において、柱状電極80のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きなボール状態となって柱状電極30の上端上に溶着される。これにより、柱状電極80のXまたはY方向の径(太さ)よりも大きな接続部85が柱状電極30と柱状電極80との間に形成される。その結果、柱状電極30と柱状電極80との間の接続強度を高くすることができる。また、柱状電極80は、上端において切断され、柱状電極80自体の剛性によってそのまま直立状態を維持する。柱状電極80の材料は、上記の通りであり、柱状電極80は、樹脂層90で被覆するときに屈曲し難く、倒壊し難い。
【0076】
次に、
図19に示すように、樹脂層90の材料を溝TR内に充填し、柱状電極80を被覆する。次に、樹脂層90をオーブン等で加熱し、あるいは、樹脂層90にUV光を照射することによって樹脂層90を硬化させる。
【0077】
次に、CMP法、機械研磨法等を用いて、柱状電極70、80、210が露出されるまで樹脂層90を研磨する。これにより、
図19に示す構造が得られる。
【0078】
次に、
図20に示すように、樹脂層90上に再配線層100を形成する。次に、熱、レーザ等の光を用いて支持基板2を剥離する。または、支持基板2は研磨して除去してもよい。
【0079】
さらに、再配線層100上に金属バンプ150を形成する。金属バンプ150は、例えば、ボール搭載、めっき法、印刷法を用いて形成され得る。
【0080】
その後、
図20に示す構造体をダイシングによって個片化する。これにより、
図12に示す半導体装置1が完成する。
【0081】
尚、
図1Aまたは
図1Bに示す形態と同様に、再配線層100および金属バンプ150は省略してもよい。
【0082】
第2実施形態では、樹脂層90が樹脂層40の一部分に設けられた溝TR内に充填されている。よって、溝TRの幅や深さによって樹脂層90の体積を調整することができる。樹脂層90の体積を調整することによって、樹脂層40の反りを抑制することができる。
【0083】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0084】
第2実施形態も、下段に積層された複数の半導体チップ10の電極パッド15に電気的に接続される柱状電極30、80は、下段の柱状電極30と上段の柱状電極80とに分割して形成されている。これにより、本実施形態は、樹脂層40、90の形成時に、倒壊や干渉を抑制しつつ、実質的に長い柱状電極30、80を形成することができる。第2実施形態は、第1実施形態のその他の効果も得ることができる。
【0085】
(第3実施形態)
図21は、第3実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第3実施形態では、柱状電極80が第1実施形態のそれよりも太い。また、柱状電極80の延伸方向に対して垂直方向(XまたはY方向)の断面の大きさ(断面積)は、柱状電極80と柱状電極30、70との間で異なる。柱状電極80は、柱状電極30、70よりも太く、上記断面積において大きい。
【0086】
図22は、柱状電極30、80および接続部85の構成例を示す概略断面図である。柱状電極80は、柱状電極30よりも太く、接続部85よりも細い。即ち、X-Y面内における柱状電極80の断面積は、柱状電極30の断面積よりも大きく、かつ、接続部85の断面積よりも小さい。
【0087】
柱状電極80を太くすることによって、柱状電極80の抵抗値を低下させる。これにより、再配線層100から電極パッド15までの柱状電極80、30の抵抗値を低下させ、半導体装置1の電気的特性を向上させることができる。第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第3実施形態は、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0088】
(第4実施形態)
図23は、第4実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第4実施形態は、第2実施形態に第3実施形態の柱状電極80を適用した実施形態である。即ち、X-Y面の断面積において、柱状電極80は、柱状電極30、70よりも大きく、かつ、接続部85の断面積よりも小さい。これにより、再配線層100から電極パッド15までの柱状電極80、30の抵抗値を低下させ、半導体装置1の電気的特性を向上させることができる。第4実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第4実施形態は、第2実施形態の効果も得ることができる。
【0089】
尚、第3および第4実施形態では、柱状電極80を太くすることによって柱状電極80の抵抗値を低下させている。しかし、柱状電極80の材料を柱状電極30、70の材料よりも低抵抗材料にすることによって、柱状電極80の抵抗値を低下させてもよい。
【0090】
(第5実施形態)
図24は、第5実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第5実施形態による半導体装置1は、接続部85と柱状電極30との間に追加パッド83が設けられている点で第1実施形態と異なる。追加パッド83は、樹脂層40から露出された柱状電極30の先端部に設けられ、X-Y面において柱状電極30の先端部の露出面積よりも大きな面積を有する。
【0091】
追加パッド83には、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、TiN、Cr、CrN、Ta、TaN等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金などの導電性金属が用いられる。追加パッド83は、柱状電極30と柱状電極80との接続強度を高めることができ、信頼性を向上させることができる。追加パッド83は、例えば、蒸着法、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等を用いて柱状電極30および樹脂層40上に形成すればよい。例えば、Ti/Ni/Auなどの複合膜は、スパッタ法を用いて形成することができる。Ni/Pd/Auなどの複合膜は、無電解めっき法を用いて形成することができる。
【0092】
追加パッド83は、全ての柱状電極30と全ての柱状電極80の接続部85との間にそれぞれ設けられていてもよい。また、追加パッド83は、第2~第4実施形態に適用してもよい。
【0093】
(第6実施形態)
図25は、第6実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第6実施形態による半導体装置1では、1つの柱状電極30に対して複数の柱状電極80_1、80_2が対応して接続されている。複数の柱状電極80_1、80_2は、2本に限定されず、3本以上であってもよい。柱状電極80_1、80_2は、それぞれ接続部85_1、85_2を介して追加パッド83に接続されており、1つの柱状電極30に電気的に接続されている。追加パッド83には、複数の接続部85_1、85_2が共通に接続されている。従って、追加パッド83は、X-Y面において柱状電極30の先端部の露出面積よりも大きな面積を有し、かつ、X-Y面における接続部85_1、85_2の断面積よりも大きな面積を有する。なお、逆に複数の柱状電極80_1、80_2に対して、1つの柱状電極を接続する構造でもよい。追加パッド83を介して、1つの柱状電極を接続する構造にしてもよい。
【0094】
複数の柱状電極80_1、80_2は、各柱状電極30または各追加パッド83に対応して設けられていてもよい。
【0095】
(第7実施形態)
図26は、第7実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第7実施形態による半導体装置1は、樹脂層40と樹脂層90または半導体チップ50との間に設けられた絶縁層120をさらに備えている。絶縁層120は、樹脂層40上に設けられているが、追加パッド83および接続部85の領域において除去されている。
【0096】
図27は、追加パッド83および接続部85およびその周辺の構成例を示す概略断面図である。絶縁層120は、追加パッド83の端部を被覆しており、追加パッド83の中心部には設けられていない。従って、接続部85が追加パッド83の表面に接続可能となっている。絶縁層120には、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂などの樹脂、またはこれらの混合材料、複合材料が用いられる。
【0097】
柱状電極を露出し、追加パッド83を形成した後に、絶縁層120が形成される。絶縁層120は、隣接する複数の追加パッド83間の電気的な絶縁性を維持し、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0098】
絶縁層120が樹脂層40と樹脂層90との間に設けられることによって、樹脂層40と樹脂層90との密着性を向上させることができる。また、絶縁層120は、最下段の半導体チップ50の第2面50bに貼付された接着層60の密着性を向上させることができる。絶縁層120の弾性率は、樹脂層40と樹脂層90の弾性率よりも低くすることが好ましい。これにより、絶縁層120が樹脂層40、90の伸縮を吸収して、半導体装置1の反りを抑制することができる。
【0099】
第7実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第7実施形態は、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0100】
(第8実施形態)
図28は、第8実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第8実施形態による半導体装置1は、樹脂層40と再配線層100との間、および、樹脂層40と樹脂層90との間に設けられた絶縁層130をさらに備えている。絶縁層130は、溝TRの内面を被覆しており、樹脂層40と樹脂層90との間において樹脂層40上に設けられているが、追加パッド83および接続部85の領域において除去されている。
【0101】
絶縁層130は、絶縁層120と同様に、追加パッド83の端部を被覆しており、追加パッド83の中心部には設けられていない。従って、接続部85が追加パッド83の表面に接続可能となっている。絶縁層120には、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂などの樹脂、またはこれらの混合材料、複合材料が用いられる。
【0102】
溝TRの形成後、柱状電極30の上端を露出し、追加パッド83を形成した後に、絶縁層130が形成される。絶縁層130は、隣接する複数の追加パッド83間の電気的な分離を維持し、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0103】
絶縁層130が樹脂層40と樹脂層90との間に設けられることによって、樹脂層40と樹脂層90との密着性を向上させることができる。また、絶縁層130は、樹脂層40と再配線層100との間の密着性を向上させることができる。絶縁層130の弾性率は、樹脂層40、90および再配線層100の弾性率よりも低くすることが好ましい。これにより、絶縁層120が樹脂層40、90および再配線層100の伸縮を吸収して、半導体装置1の反りを抑制することができる。
【0104】
第8実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第8実施形態は、第2実施形態の効果も得ることができる。
【0105】
(第9実施形態)
図29~
図31は、第9実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第9実施形態による半導体装置1は、樹脂層40と樹脂層90との間、および、樹脂層40と最下段の半導体チップ50との間に設けられた再配線層170をさらに備えている。再配線層170の配線層は、樹脂層40側において柱状電極30に電気的に接続されている。即ち、柱状電極30の先端部は、再配線層170の裏面側の配線層に電気的に接続されている。また、再配線層170の配線層は、樹脂層90側において柱状電極80に電気的に接続されている。即ち、柱状電極80の下端部は、再配線層170の表面側の配線層に電気的に接続されている。再配線層170の材料は、再配線層100の材料と同様でよい。
【0106】
再配線層170は、柱状電極30を再配線して柱状電極80へ電気的に接続する。従って、隣接する複数の柱状電極80間の間隔は、隣接する複数の柱状電極30間の間隔に制限されない。即ち、柱状電極80の配置が柱状電極30に対して自由度が高くなり、設計の自由度が高くなる。よって、Z方向から見たときに、柱状電極80は、柱状電極30とは異なる位置に配置され得る。また、再配線層170が樹脂層40と樹脂層90との間にあることによって、樹脂層40と樹脂層90との密着性を向上させることができる。
【0107】
また、
図30に示すように、樹脂層40と樹脂層90との間に再配線層170を設けることによって、柱状電極30のピッチを変更して柱状電極80に接続することができる。つまり、Z方向から見たときに、複数の柱状電極80間のピッチは、複数の柱状電極30間のピッチと相違させることができる。これにより、柱状電極30の上方に半導体チップ50を積層することができる。即ち、Z方向から見たときに、半導体チップ50は、柱状電極30に重複させることができる。その結果、半導体装置1のパッケージサイズを小さくすることができる。
【0108】
さらに、
図31に示すように、半導体チップ50の電極パッド55の配置位置は、半導体チップ10の電極パッド15の配置位置に対して反対側であってもよい。この場合、積層された複数の半導体チップ50のずれ方向(X方向)は、積層された複数の半導体チップ10のずれ方向(-X方向)に対して逆方向になる。これにより、半導体装置1のパッケージサイズを小さくすることができるとともに、半導体装置1のパッケージの反りを低減することができる。
【0109】
第9実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第9実施形態は、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0110】
(第10実施形態)
図32、
図33は、第10実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第10実施形態による半導体装置1は、半導体チップ10の積層の両側の樹脂層40にスリットSTが設けられており、スリットST内に樹脂層95が埋め込まれている。スリットSTは、Y方向に延伸している。
図33ではスリットST部分をダイシングしたことにより、側面に樹脂層95が露出した形状となっている。また、Z方向から見たときに、スリットSTは、積層された半導体チップ10の周囲を囲むように半導体チップ10の四方に設けられていてもよい。
【0111】
樹脂層95は、樹脂層90と同一材料で一体形成されていてもよい。この場合、樹脂層40の形成後、リソグラフィ技術およびエッチング技術もしくはダイシングなどのブレードによる切削技術を用いてスリットSTを形成し、樹脂層90の材料を堆積することによって、樹脂層90、95を同時に形成すればよい。また例えば、樹脂層40の「弾性率×熱膨張係数」の値に対して、上層の樹脂層90、95の「弾性率×熱膨張係数」の値を小さくすることによっても、反りを抑えることが可能となる。
【0112】
スリットSTは、半導体装置1のパッケージの反りを抑制することができる。また、スリットST内の樹脂層95によって、樹脂層40と樹脂層90との密着性を向上させることができる。
【0113】
第10実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第10実施形態は、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。また、第10実施形態は、第2実施形態と組み合わせてもよい。
【0114】
(第11実施形態)
図34、
図35、
図36、
図37、
図38および
図39は、第11実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第11実施形態による半導体装置1は、再配線層100を備えておらず、柱状電極70および柱状電極210の上端部に設けられた金属バンプ155をさらに備えている。金属バンプ155の材料は、金属バンプ150の材料と同様でよい。即ち、金属バンプ155には、Sn、Ag、Cu、Au、Pd、Bi、Zn、Ni、Sb、In、Geの単体、それらのうちの2種以上の複合膜、または合金等の導電性金属が用いられる。
【0115】
隣接する柱状電極70の間隔および隣接する柱状電極210の間隔が比較的広い場合、再配線層100は不要であり、金属バンプ155を柱状電極70、210の上端(露出面)上に直接形成すればよい。これにより、再配線層100を搭載する工程は不要となる。また、再配線層100が不要となるので、半導体装置1のコストが軽減される。
【0116】
尚、柱状電極70、210の上端上に、電極パッド(図示せず)を形成し、その電極パッド上に金属バンプ155を形成してもよい。
【0117】
図36のように配線基板300上に搭載し、樹脂体と配線基板間を樹脂層310で封止してもよい。
図37のように配線基板300上に搭載し、樹脂体と配線基板間を樹脂層310で封止し、さらに樹脂層320で覆ってもよい。
図38のように配線基板300上に搭載し、樹脂体と配線基板間と樹脂体全体を樹脂層320で覆ってもよい。さらに
図39のように支持体2が形成されていてもよい。樹脂層310、320は樹脂層40と同じ材料系を使用してよい。また金属バンプ155は配線基板のパッド上に形成してもよい。
【0118】
第11実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第11実施形態は、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。また、
図35に示すように、第11実施形態は、第2実施形態と組み合わせてもよい。
【0119】
(第12実施形態)
図40Aは、第12実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第12実施形態によれば、半導体チップ10、50が、半導体チップ10、50_1、50_2、50_3の4つに分割され、X方向にずらされて積層されている。
【0120】
積層された複数の半導体チップ10は樹脂層40によって被覆されている。柱状電極30は、半導体チップ10の電極パッド15に接続部35を介して接続され、Z方向に延伸している。柱状電極30の上端は、樹脂層40から露出されている。
【0121】
複数の半導体チップ50_1は、樹脂層40上に積層されている。積層された複数の半導体チップ50_1は、樹脂層90_1によって被覆されている。柱状電極70_1は、半導体チップ50_1の電極パッド55_1に接続部75_1を介して接続され、Z方向に延伸している。また、柱状電極80_1は、樹脂層40から露出された柱状電極30の上端に接続部85_1を介して接続され、Z方向に延伸している。樹脂層90_1は、半導体チップ50_1、柱状電極70_1、80_1を被覆し、柱状電極70_1、80_1の先端を露出している。
【0122】
複数の半導体チップ50_2は、樹脂層90_1上に積層されている。積層された複数の半導体チップ50_2は、樹脂層90_2によって被覆されている。柱状電極70_2は、半導体チップ50_2の電極パッド55_2に接続部75_2を介して接続され、Z方向に延伸している。また、柱状電極80_2は、樹脂層90_1から露出された柱状電極80_1の上端に接続部85_2を介して接続され、Z方向に延伸している。樹脂層90_2は、半導体チップ50_2、柱状電極70_2、80_2を被覆し、柱状電極70_2、80_2の先端を露出している。
【0123】
複数の半導体チップ50_3は、樹脂層90_2上に積層されている。半導体チップ200は、最上段の半導体チップ50_3上に積層されている。積層された複数の半導体チップ50_3および半導体チップ200は、樹脂層90_3によって被覆されている。柱状電極70_3は、半導体チップ50_3の電極パッド55_3に接続部75_3を介して接続され、Z方向に延伸している。また、柱状電極80_3は、樹脂層90_2から露出された柱状電極80_2の上端に接続部85_3を介して接続され、Z方向に延伸している。樹脂層90_3は、半導体チップ50_3、柱状電極70_3、80_3を被覆し、柱状電極70_3、80_3の先端を露出している。
【0124】
再配線層100は、樹脂層90_3上に設けられており、柱状電極70_3、80_3および210に電気的に接続されている。再配線層100は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層させた多層配線層であり、柱状電極70、80、210をそれぞれ金属バンプ150に電極的に接続する。
【0125】
第12実施形態のように、半導体チップ10、50_1~50_3の各積層体を4つの半導体パッケージにして積層してもよい。積層される半導体パッケージは、4つに限定されず、3つ以下でも、5つ以上であってもよい。
【0126】
図40Bは、
図40Aの半導体チップ、柱状電極および樹脂層を抜き出した該略断面図である。
図40Bをもとに、第12実施形態についてさらに説明する。半導体パッケージが2つの場合について説明する。積層された複数の第1半導体チップ10と、複数の半導体チップ10の電極パッドに接続され、積層方向に延伸する複数の第1柱状電極30とを備える。さらに、複数の第1半導体チップ10および複数の第1柱状電極30を被覆し、複数の第1柱状電極30の上端を露出している第1樹脂層40を備える。さらに、複数の第1半導体チップ10の上に積層された複数の第2半導体チップ50_1と、複数の第2半導体チップ50_1の電極パッド55_1に接続され、複数の第2半導体チップ50_1の積層方向に延伸する複数の第2柱状電極70_1と、複数の第1柱状電極30と接続する複数の第3柱状電極80_1と、複数の第2半導体チップ50_1、複数の第2柱状電極70_1及び複数の第3柱状電極80_1を被覆し、複数の第2柱状電極70_1及び複数の第3柱状電極80_1の上端を露出している第2樹脂層90_1とをさらに備えている。
【0127】
さらに、半導体パッケージが3つの場合について説明する。ここで、自然数kを3または3から任意の自然数n(n>=4)になるまで増やしていくとする。積層体が3つの場合は、k=3のときに相当する。このときは、積層体が2つの場合にさらに、複数の第k-1半導体チップ(すなわち第2半導体チップ50_1)の上に積層された複数の第k半導体チップ(第3半導体チップ50_2)と、複数の第k半導体チップ50_2の電極パッド55_2に接続され、複数の第k半導体チップ50_2の積層方向に延伸する複数の第2k-2柱状電極(第4柱状電極70_2)と、複数の第2k-4柱状電極(第2柱状電極70_1)及び複数の第2k-3柱状電極(第3柱状電極80_1)と接続する複数の第2k-1柱状電極(第5柱状電極80_2)と、複数の第k半導体チップ50_2および複数の第2k-2柱状電極70_2及び複数の第2k-1柱状電極80_2を被覆し、複数の第2k-2柱状電極70_2及び複数の第2k-1柱状電極80_2の上端を露出している第k樹脂層(第3樹脂層90_2)と、を備えている。
半導体パッケージが4つ、5つ、あるいはさらに増える場合は、k=3のときに加えて、k=4、5さらに大きな数にと一つずつ増やした場合も加える。このように半導体パっケージがどのように増えていっても自然数kの値で説明できる。
【0128】
再配線層100は第k樹脂層(k=3またはn)上に設けられており、複数の第2k-2柱状電極、複数の第2k-1柱状電極及び柱状電極210に電気的に接続されている。再配線層100は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層させた多層配線層であり、複数の第2k-2柱状電極、複数の第2k-1柱状電極及び柱状電極210をそれぞれ金属バンプ150に電極的に接続する。
【0129】
第1樹脂層40、第2樹脂層90_1、以降第k樹脂層(k=3またはn)の材料は同一であってもよく、それぞれ相違させてもよい。第1樹脂層40、第2樹脂層90_1、以降第k樹脂層(k=3またはn)を相違させることによって、半導体パッケージ全体の反りを抑制することができる。第1、第2、または第k樹脂層(k>=3)からは柱状電極の上端が露出していなくてもよく、少なくとも一部がどのような形であれ露出していればよい。
【0130】
(第13実施形態)
図41は、第13実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第13実施形態によれば、樹脂層90が、溝TR内だけでなく、樹脂層40と再配線層100との間にも設けられている。第13実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0131】
樹脂層40の応力と樹脂層90の応力とを相反する応力にすることによって、半導体装置1のパッケージの反りを調整することができ、信頼性を向上させることができる。
【0132】
(第14実施形態)
図42および
図43は、第14実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第14実施形態によれば、溝TRが半導体装置1のパッケージの少なくとも一端の側面まで設けられており、その底部において柱状電極30の先端を露出している。それに伴い、樹脂層90は、半導体装置1のパッケージのその一端まで設けられている。よって、樹脂層90は、半導体装置1のパッケージの側面にも現れている。パッケージの側面には、樹脂層40が現れているが、その上部に樹脂層90が現れている。
【0133】
図42では、樹脂層90は、半導体装置1のパッケージの一端にのみ設けられている。
図43では、樹脂層90は、半導体装置1のパッケージの両端に設けられている。側面第14実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0134】
樹脂層40を研削する際に、研削幅を広げることによって、溝TRの幅を広げることができる。また、各パッケージの両側の樹脂層40を研削することによって、パッケージの両側に溝TRおよび樹脂層90を設けることができる。
【0135】
樹脂層40の応力と樹脂層90の応力とを相反する応力にし、樹脂層90の体積を調整することによって、半導体装置1のパッケージの反りを調整することができる。それにより、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。第14実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0136】
(第15実施形態)
図43は、第15実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第15実施形態によれば、溝TRが樹脂層40に階段状に形成されている。これに伴い、溝TRに埋め込まれる樹脂層90も溝TR内に階段状に設けられている。本実施形態の半導体装置1は、溝TRの形成、柱状電極80の形成および樹脂層90の埋込みを繰り返すことによって形成され得る。これにより、柱状電極30、80を継ぎ足しながら形成することができるので、長い柱状電極30、80を垂直方向に略直線状に形成することができる。その結果、半導体装置1の信頼性が高くなる。
【0137】
第15実施形態のその他の構成は、第14実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第15実施形態は、第14実施形態の効果も得ることができる。
【0138】
(第16実施形態)
図45は、第16実施形態による半導体装置1の構成例を示す断面図である。第16実施形態によれば、溝TRおよび樹脂層90の底面がX-Y面(面F10a、F10b)に対して傾斜している。溝TRおよび樹脂層90の底面は、半導体チップ10、50の積層体の側面のずれ(積層体の側面の傾斜)に沿って略平行に傾斜していることが好ましい。即ち、半導体チップ10、50は、面F10a、F10b、F50a、F50bに対して或る傾斜方向にずれて積層されている。そして、溝TRの底面は、半導体チップ10、50の積層の傾斜方向に沿って傾斜している。これにより、柱状電極30の長さをほぼ等しくすることができ、柱状電極30の屈曲や倒壊を抑制することができる。また、樹脂層90の体積を比較的少なくすることができる。樹脂層90の体積が小さい方がパッケージの反りを小さくすることができる場合もある。このような場合、第16実施形態のようにして樹脂層90の体積を減少させることにより、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。第16実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第16実施形態は、第2実施形態の効果も得ることができる。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0140】
1 半導体装置、10 半導体チップ、20 接着層、30 柱状電極、40 樹脂層、50 半導体チップと、60 接着層、70 柱状電極、80 柱状電極、90 樹脂層