(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098132
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】エアーカーテンを用いた飛沫回収処理装置
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20220624BHJP
B01D 50/00 20220101ALI20220624BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20220624BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F24F9/00 A
F24F9/00 F
B01D50/00 501H
B01D50/00 501K
B01D50/00 502A
A61L9/01 P
A61L9/14
B01D50/00 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211499
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】595032679
【氏名又は名称】原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】原 幸一
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180BB15
4C180CB04
4C180EB46X
4C180FF10
4C180HH05
(57)【要約】
【課題】飛沫を捕捉回収できウイルスの感染拡大を防止できるとともに、周囲を殺菌消毒する必要性も減じられる優れたエアーカーテンを用いた飛沫回収処理装置を提供すること。
【解決手段】人の口や鼻から生じる飛沫を周囲に飛散させることなく気流が捉える位置および範囲に、この飛沫が下から上への気流に引き込まれエアー吸引部2にエアーとともに吸引される流速のエアーカーテン3が形成されるエアーカーテン形成装置4と、この飛沫を含む吸引エアーをミストと接触させ、このミスト(エアー中の液分)を回収してウイルスを除去するウイルス処理装置5とが備えられているエアーカーテンによる飛沫回収処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発声する人の顔前方近傍位置の下部に所定幅のエアー吹き出し部、上部に所定幅のエアー吸引部が対向配設される構成とされ、この所定幅の下から上への気流により前記人の口から生じる飛沫が捉えられ前記エアー吸引部に引き込み回収されるエアーカーテンが形成されるエアーカーテン形成装置が備えられ、
このエアーカーテン形成装置は、前記飛沫を周囲に飛散させることなく気流が捉える位置および範囲に前記エアーカーテンが形成されるとともに、このエアーカーテンの気流に捉えられる前記飛沫が下から上への気流に引き込まれ前記エアー吸引部にエアーとともに吸引される流速に設定されている構成とされ、
このエアー吸引部に吸引された吸引エアー中のウイルスを除去処理もしくは浄化処理またはウイルスを不活化する不活化処理を施すウイルス処理装置が備えられ、
このウイルス処理装置は、前記エアー吸引部に吸引される前記飛沫を含む前記吸引エアーにウイルスを捕捉するためのミストを接触させるミスト接触部と、このミストを回収してウイルスを除去するミスト回収部とが備えられている構成とされていることを特徴とするエアーカーテンによる飛沫回収処理装置。
【請求項2】
前記エアーカーテン形成装置は、前記エアー吹き出し部が、会話をする人の顔近傍下方位置に吹き出し幅は左右方向で吹き出し方向は上方にして配置される構成とされているとともに、前記エアー吸引部が、前記エアー吹き出し部と対向状態に前記人の顔近傍上方位置に配置される構成とされていて、前記エアーカーテンが、前記会話をする人の口から発せられる前記飛沫の会話相手への到達を遮断するとともに、この飛沫を周囲へ飛散させずに気流が捉えてエアーとともに上部の前記エアー吸引部に引き込み回収される位置および範囲および流速に構成されていることを特徴とする請求項1記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置。
【請求項3】
前記ウイルス処理装置により処理されたエアーは、前記エアー吹き出し部に供給される構成とされ、前記エアーカーテン形成装置が完全循環式または外気と混合して供給される一部循環式に構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置。
【請求項4】
前記ウイルス処理装置は、前記エアー吸引部に吸引された吸引エアーにウイルス除去用の前記ミストを接触させる前記ミスト接触部と、このミスト接触部に前記ミストを供給噴霧するミスト噴霧部と、前記ミスト接触部を通過したミスト接触エアーを遠心分離して液分を落下回収する前記ミスト回収部と、この回収されるミスト回収液を貯留する前記貯留部または前記貯留部に移送する前記移送部または前記ミスト回収部のミスト回収液中のウイルスを不活化処理する前記ウイルス処理貯留部と、ミスト除去エアーを通す前記エアー濾過部とからなる構成とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置。
【請求項5】
前記ミスト接触部の前記ミストには有機物を分解しウイルスを不活化させる機能を有する酵素が含まれていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発声時や咳くしゃみ時に生じる唾液などを含んだ飛沫を捕捉回収して処理し、飛沫を介してのウイルス感染を抑制して感染拡大防止を図れるエアーカーテンを用いた飛沫回収処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2020年早々から流行し、感染拡大が世界に広がりパンデミックを起こしている新型コロナウイルスの感染拡大防止対策が急務である。
このウイルス感染拡大防止対策としては、接触感染より発声時や咳くしゃみ時に周囲に発散する飛沫を介して感染する飛沫感染を防止することが最も有効であることがわかってきており、ソーシャルディスタンスの確保、換気、加湿の奨励の他、会話相手への飛沫の到達を避けるためのマスクやフェイスシールドの着用、対面用つい立の設置などの普及が進んでいる。
【0003】
しかし、一方で接客時にマスク着用やフェイスシールドに加えてつい立で互いを遮ることはできれば避けたいところであり、またつい立で遮ってもこれに付着する飛沫を逐次消毒清掃しなければならず、非常に厄介である。
【0004】
たとえば、食事中に飲食のためマスクを外しそのまま会話をすれば、飛沫は周囲に飛散して会話相手に到達するし、また受付カウンターや窓口カウンターなどでは常時マスクを着用していても多くの会話を長時間しなければならないため、マスク着用だけでは十分に飛沫を遮断捕捉できず会話相手に到達してしまうことを十分には防ぎきれず、ウイルス感染拡大を防止できないため、やはり両者を遮る透明なつい立の設置は必須となっている。
【0005】
しかしながら、前述のように、マスク着用の上に、透明とはいえ対面つい立や境界つい立をテーブルやカウンターに設けることは、飲食とともに会話を楽しむためあるいは接客サービス上できれば避けたいし、つい立の周囲に付着した飛沫は逐次消毒清掃しなければならず厄介である。
【0006】
そこで、このようなつい立のかわりに、エアーカーテンを用いて飛沫を捉え、これを引き込み回収してフィルター浄化しさらに殺菌する飛沫回収処理装置が提案されているが(特許文献1特開2011-137588)、この装置はエアーカーテンを用いているため接客サービス上つい立より好ましいが、この装置のエアーカーテンの気流は横方向の気流であり、またエアーとともに回収した飛沫はフィルターで濾過され、殺菌灯で殺菌される構成に過ぎないため、その処理能力からエアーカーテンの流速を上げられない。そのためにこのようなエアーカーテンでは十分に飛沫を引き込めず飛沫の飛散防止を図れないし、結局周囲を殺菌消毒しなくてはならない。また回収した飛沫中のウイルスを除去あるいは不活化できず、結局はウイルスの感染拡大を防止できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するもので、人の正面近傍位置たとえば会話する際の双方の顔の間で飛散しようとする飛沫を遮断捕捉できる対面間近傍位置に、下から上への気流となるエアーカーテンが形成される構成とし、また引き込み回収した吸引エアーはウイルス除去用のミストと接触されこのミストが回収されることによりウイルス除去できる構成としたため、飛沫を周囲に飛散させずに確実に捉えて引き込み回収できウイルス感染拡大を防止できる、すなわちエアーカーテンの形成位置および範囲および流速を、人の口や鼻から生じる飛沫を確実に捉えるに十分な位置及び幅で確実に引き込み回収できる流速に維持できるため、飛沫を確実に捕捉回収できウイルス感染拡大を防止できるとともに、周囲を逐次殺菌消毒する必要性も十分に減じられる極めて実用性に優れたエアーカーテンを用いた飛沫回収処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
発声する人の顔前方近傍位置の下部に所定幅のエアー吹き出し部1、上部に所定幅のエアー吸引部2が対向配設される構成とされ、この所定幅の下から上への気流により前記人の口から生じる飛沫が捉えられ前記エアー吸引部2に引き込み回収されるエアーカーテン3が形成されるエアーカーテン形成装置4が備えられ、このエアーカーテン形成装置4は、前記飛沫を周囲に飛散させることなく気流が捉える位置および範囲に前記エアーカーテン3が形成されるとともに、このエアーカーテン3の気流に捉えられる前記飛沫が下から上への気流に引き込まれ前記エアー吸引部2にエアーとともに吸引される流速に設定されている構成とされ、このエアー吸引部2に吸引された吸引エアー中のウイルスを除去処理もしくは浄化処理またはウイルスを不活化する不活化処理を施すウイルス処理装置5が備えられ、このウイルス処理装置5は、前記エアー吸引部2に吸引される前記飛沫を含む前記吸引エアーにウイルスを捕捉するためのミストを接触させるミスト接触部6と、このミストを回収してウイルスを除去するミスト回収部7とが備えられている構成とされていることを特徴とするエアーカーテンによる飛沫回収処理装置に係るものである。
【0011】
また前記エアーカーテン形成装置4は、前記エアー吹き出し部1が、会話をする人の顔近傍下方位置に吹き出し幅は左右方向で吹き出し方向は上方にして配置される構成とされているとともに、前記エアー吸引部2が、前記エアー吹き出し部1と対向状態に前記人の顔近傍上方位置に配置される構成とされていて、前記エアーカーテン3が、前記会話をする人の口から発せられる前記飛沫の会話相手への到達を遮断するとともに、この飛沫を周囲へ飛散させずに気流が捉えてエアーとともに上部の前記エアー吸引部2に引き込み回収される位置および範囲および流速に構成されていることを特徴とする請求項1記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置に係るものである。
【0012】
また前記ウイルス処理装置5により処理されたエアーは、前記エアー吹き出し部1に供給される構成とされ、前記エアーカーテン形成装置4が完全循環式または外気と混合して供給される一部循環式に構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置に係るものである。
【0013】
また前記ウイルス処理装置5は、前記エアー吸引部2に吸引された吸引エアーにウイルス除去用の前記ミストを接触させる前記ミスト接触部6と、このミスト接触部6に前記ミストを供給噴霧するミスト噴霧部10と、前記ミスト接触部6を通過したミスト接触エアーを遠心分離して液分を落下回収する前記ミスト回収部7と、この回収されるミスト回収液を貯留する前記貯留部または前記貯留部に移送する前記移送部または前記ミスト回収部7のミスト回収液中のウイルスを不活化処理する前記ウイルス処理貯留部8と、ミスト除去エアーを通す前記エアー濾過部9とからなる構成とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置に係るものである。
【0014】
また前記ミスト接触部6の前記ミストには有機物を分解しウイルスを不活化させる機能を有する酵素が含まれていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエアーカーテンによる飛沫回収処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、人の正面近傍位置たとえば会話する際の双方の顔の間で飛散しようとする飛沫を遮断捕捉できる対面間近傍位置に、下から上への気流となるエアーカーテンが形成される構成とし、また引き込み回収した吸引エアーはウイルス除去用のミストと接触されこのミストが回収されることによりウイルス除去できる構成としたため、飛沫を周囲に飛散させずに確実に捉えて引き込み回収できウイルス感染拡大を防止できる、すなわちエアーカーテンの形成位置および範囲および流速を、人の口や鼻から生じる飛沫を確実に捉えるに十分な位置及び幅で確実に引き込み回収できる流速に維持できるため、飛沫を確実に捕捉回収できウイルス感染拡大を防止できるとともに、周囲を逐次殺菌消毒する必要性も十分に減じられる極めて実用性に優れたエアーカーテンを用いた飛沫回収処理装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1の概略構成および使用例を示す説明斜視図である。
【
図2】実施例2の概略構成および使用例を示す説明斜視図である。
【
図3】実施例1,2のウイルス処理装置の概略構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0018】
本装置が作動すると、人の口や鼻から生じる飛沫を周囲に飛散させずにほぼすべて捉え引き込む位置および範囲にエアーカーテン3が形成される。したがって、飛沫はこのエアーカーテン3に捉えられ下から上への気流に引き込まれ、このエアーカーテン3の上部のエアー吸引部2にエアーとともに吸引される。
【0019】
たとえば、飲食テーブルや会議テーブルまたは接客応対するカウンターに、本装置が設置されこれを作動させることで、会話する際の双方の顔の間を遮断し飛散しようとする飛沫を遮断捕捉できる対面間近傍位置に、前述した下から上への気流となるエアーカーテン3が形成される。
【0020】
そのため、会話をしても飛沫を確実に捉え引き込み回収できることとなり、つい立も不要となりマスク着用の必要性も減じることができ、接客サービスが向上することとなるとともに、周囲の消毒清掃の必要性もほとんどなくなる。
【0021】
さらに、エアーカーテン3により飛沫を捉え引き込み回収した飛沫を含んだ吸引エアーは、ウイルス処理装置5によりウイルス除去用のミストと接触してこのミストにウイルスは捉えられることとなり、捕捉回収した飛沫中のウイルスを瞬時に捕捉できることとなる。
【0022】
そして、このミスト(エアー中の液分)はミスト回収部7で回収されるため、瞬時にウイルスを除去でき、言い換えるとミストで吸引エアー中のウイルスを瞬時に洗い落とすことができることとなるから、処理能力が高く流速を上げれるため、飛沫を周囲に飛散させずに確実に捉える位置及び範囲にこの捉える飛沫を確実に引き込み回収できる幅と流速のエアーカーテン3を形成できることになり、飛沫感染を効果的に防止できウイルスの感染拡大を防止できることとなる。
【0023】
すなわち、ウイルス処理装置5は、エアーカーテン3の形成範囲を十分に幅広に確保できるとともに確実に捕捉でき引き込み回収できる流速に維持できることとなるミスト接触回収によるウイルス除去構成としたため、このエアーカーテン3により会話する人の口や鼻から生じる飛沫を確実に捕捉回収できウイルスの感染拡大を防止できるとともに、周囲を逐次殺菌消毒する必要性も十分に減じられる極めて実用性に優れた飛沫回収処理装置となる。
【実施例0024】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例では、人の顔前方近傍位置の下部のカウンター11(対面用テーブル)の端部に取付部を介して所定幅のエアー吹き出し部1(エアーカーテン3を形成用の吹き出しノズル)、上部に取付部を介して所定幅のエアー吸引部2(エアーカーテン3を形成用の吸引ノズル)が上下に対向配設される構成として、この所定幅の下から上への気流により前記人の口や鼻から生じる唾液などを含んだ飛沫が常時捉えられ前記エアー吸引部2およびこれに連結した回収管に引き込み回収され後述するウイルス処理装置5に送られることになるエアーカーテン3が形成される構成にエアーカーテン形成装置4を構成している。
【0026】
すなわち、本実施例のこのエアーカーテン形成装置4は、前記取付部により前記カウンター11に取り付けることで、前記飛沫を周囲に飛散させることなく気流が捉える位置および範囲に前記エアーカーテン3が形成されるとともに、このエアーカーテン3の気流に捉えられる前記飛沫が下から上への気流に引き込まれ前記エアー吸引部2にエアーとともに吸引回収される流速に設定した構成としている。
【0027】
具体的には、取付部を介して横長の吹き出し用スリットが上方に向けて開口されている横長管状のエアー吹き出し部1をカウンター11幅いっぱいにこの端部に設け、この上部対向部には同様に取付部を介して横長の吸い込み用スリットが開口されている横長管状のエアー吸引部2を設けている。
【0028】
すなわち、前記エアー吹き出し部1が、会話をする人の顔近傍下方位置に吹き出し幅は左右方向で吹き出し方向は上方にして配置される構成とし、前記エアー吸引部2が、前記エアー吹き出し部1と対向状態に前記人の顔近傍上方位置に配置される構成として、前記エアーカーテン3が、前記会話をする人の口や鼻から発せられる前記飛沫の会話相手への到達を遮断するとともに、この飛沫を周囲へ飛散させずに気流が捉えてエアーとともに上部の前記エアー吸引部2に引き込み回収される位置および範囲および流速となるように前記取付部を含めて前記エアーカーテン形成装置4を構成している。
【0029】
またこの上部のエアー吸引部2上部には、傘状の飛沫捕捉誘導回収傘部12を設けて、飛沫の飛散を防止し飛沫のほぼすべてがこの飛沫捕捉誘導回収傘部12内もしくは周辺部に設けた前記エアー吸引部2に誘導されて吸引回収されるように構成している。
【0030】
また別例の実施例2に示すように、飲食テーブル13の対角位置にエアーカーテン3がX状に形成されるように取付部を介してエアーカーテン形成装置4を設けてもよいし、テーブル中央部に十字状に形成されるように設けてもよいし、テーブル端部に形成されるように設けてもよい。
【0031】
また、本実施例では、このエアー吸引部2に吸引された吸引管を介して引き込まれる吸引エアー中のウイルスや細菌や臭気をも除去処理もしくは浄化処理またはウイルスを不活化する不活化処理を施すウイルス処理装置5を前記エアーカーテン形成装置4に設けている。
【0032】
この本実施例のウイルス処理装置5は、前記エアー吸引部2に吸引される飛沫を含む吸引エアーに、ウイルスを捕捉するためのミストを接触させるミスト接触部6と、このミストを回収してウイルスを除去するミスト回収部7とを備えた構成としている。
【0033】
具体的には、このウイルス処理装置5は、エアー吸引部2に吸引された吸引エアーにウイルス除去用のマイクロミストを接触させるミスト接触部6と、このミスト接触部6にマイクロミストを供給噴霧するミスト噴霧部10と、ミスト接触部6を通過したミスト接触エアーを遠心分離してその液分を落下回収するミスト回収部7と、この回収されるミスト回収液中のウイルスを不活化処理するウイルス処理貯留部8と、ミスト除去エアーを通すエアー濾過部9とからなる構成としている。
【0034】
すなわち、本実施例では、エアーカーテン3の上部のエアー吸引部2から吸引管を介して吸引エアーがミスト接触部6内に送り込まれ、このミスト接触部6内にはミスト噴霧部10からマイクロミストが噴霧され、このマイクロミスト雰囲気中を吸引エアーが通過することで、吸引エアーとマイクロミストが接触し、ウイルスなどはこのマイクロミストに捕捉される。
【0035】
そして送風も兼ねた送風撹拌部14でさらに撹拌送風されることで吸引エアー中のウイルスなどはこのミストに捕捉され、ミスト回収部7で回収除去されることとなる。
【0036】
具体的には、前記ミスト回収部7としては遠心分離式回収装置を採用し、マイクロミストと接触し撹拌混合された吸引エアーはこのミスト回収部7に導入されると強制的に螺旋状に回りながら下方へ誘導送風され、遠心分離作用によりミスト(この吸引エアーの液分)は遠心分離落下して下方のウイルス処理貯留部8に回収される構成としている。
【0037】
そして、このウイルス処理貯留部8で不活化処理され、またこの不活化処理した浄化水はミスト噴霧部10のミスト生成用液として循環利用する構成としている。
【0038】
なお、この浄化水を再利用せずに排水してもよいし、ミスト回収液を貯留部に一旦貯めて移送して別の処理施設で不活化処理してもよいが、本実施例では、ミスト回収液をウイルス処理貯留部8に落下回収しそのままここでウイルス不活化処理し、さらにミスト噴霧部10に送り再利用する構成としている。
【0039】
また、本実施例では、このミスト回収部7を通過して液分が除去された吸引エアーは、送風撹拌部15を介してエアー濾過部9に導入され、さらに液分が除去し、ウイルス不活化処理され、細菌や臭気も除去されて排気またはエアー吹き出し部1に循環供給されるように構成している。
【0040】
このエアー濾過部9は、たとえば様々な除去機能を果たす数種の高性能高密度フィルターを通過させるように構成し、ミスト接触回収でも逃れたウイルスを捕捉するように構成している。
【0041】
このように本実施例では、このウイルス処理装置5をエアーカーテン形成装置4に設けて、たとえばこれをカウンターの下や近傍に設け、吸引されウイルス不活化処理などの処理を終えた処理済みエアーを前記エアー吹き出し部1に供給してエアーカーテン形成装置4を完全循環式に構成してもよいし、外気と混合して供給するように構成して一部循環式に構成してもよい。また処理済みエアーを循環させずにダクトへ排気して外部に排気させる構成としてもよい。
【0042】
また、本実施例では、前記ミスト接触部6の前記ミストにはタンパク質や脂質などの有機物を分解しウイルスを不活化させる機能を有する酵素を含ませた構成とし、このミスト中の酵素により、このミストに捕捉されたウイルスのエンベロープが分解されて不活化するように構成している。
【0043】
すなわち、本実施例では、吸引エアーをこの酵素ミストに接触させることでウイルスを捕捉しミスト回収により除去するだけでなく、このミスト接触、回収の段階でウイルスを酵素により不活化処理する構成としている。
【0044】
なお、このエンベロープ分解によるウイルス不活化機能を有する好気性微生物群からなる酵素のミスト中の容量に依存して、インフルエンザウイルスの力価が減少することが確認されていることから、新型コロナウイルスの不活化にも有効であると考えられる。
【0045】
具体的には、本実施例では、土壌の微生物から分離した前記ウイルス不活化機能を有する好気性微生物群からなる酵素を用いてウイルスの不活化処理を行うとともに、この酵素により硫化水素や一酸化炭素などの生体ガス、カビや細菌なども同時に処理され、消毒消臭効果も果たせる。さらに薬剤処理と違い腸内菌などに影響を与えず健康被害のおそれもないと考えられる。
【0046】
また、ミスト回収部7で遠心分離落下し回収したウイルス処理貯留部8にさらに酵素液貯留部16から酵素を導入しさらにこのウイルス処理貯留部8でも酵素液により不活化処理する構成とし、またさらにエアー濾過部9のフィルターにも酵素を高濃度に含侵し、ここでもさらに不活化処理されるように構成している。
【0047】
したがって、本実施例では、この実施例1の接客応対するための受付カウンター11や窓口カウンター11または実施例2の飲食テーブル13や会議テーブル13に、本装置が設置されこれを作動させることで、会話する際の双方の顔の間を遮断し飛散しようとする飛沫を遮断捕捉できる対面間近傍位置に、前述した下から上への気流となるエアーカーテン3が形成されることになるため、会話をしても飛沫を確実に捉え引き込み回収できることとなり、つい立も不要となりマスク着用の必要性も減じることができ、接客サービスが向上することとなるとともに、周囲の消毒清掃の必要性もほとんどなくなることとなる。
【0048】
すなわち、マスクやつい立がなくても会話や食事ができ、通常どおり互いにマスクなしでの顔の表情を見ながら接客サービスや楽しい食事ができ、新しい接客スタイルや会食スタイルを提供できることとなる。
【0049】
さらに、エアーカーテン3により飛沫を捉え引き込み回収した吸引エアーは、ウイルス処理装置5によりウイルス除去用の酵素ミストと接触さらには撹拌されることにより瞬時にウイルスを捕捉し不活化でき、またこのミスト(エアー中の液分)は遠心分離落下して回収されさらにウイルス処理貯留部8でも不活化処理、殺菌処理、消臭処理されるため、瞬時にウイルスを除去不活化処理でき、言い換えるとこの酵素ミストで吸引エアー中のウイルスを不活化しつつ瞬時に洗い落とすことができることとなるから、フィルターの能力を超高性能化したり超大型化せずとも効率よく瞬時にウイルス除去不活化処理でき、そのため飛沫を十分にほぼ完全に捕捉引き込み回収できる位置及び範囲(幅)と流速のエアーカーテン3を形成できることになり、飛沫感染を効果的に防止できウイルスの感染拡大を防止できることとなる。
【0050】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。