(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098149
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】スチームトラップ管理システム
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20220624BHJP
F16T 1/48 20060101ALI20220624BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20220624BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
F16T1/48 C
F16T1/48 D
G05B23/02 R
G01H17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211527
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
3C223
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA11
2G064AA11
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
3C223AA17
3C223BA03
3C223CC02
3C223EB02
3C223FF35
3C223FF53
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】スチームトラップの診断データに関する情報活用の利便性を向上することが可能なスチームトラップ管理システムを得る。
【解決手段】記憶部73は、固定型の計測装置11~13,21~23が装着されたスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23に関する診断データと、固定型の計測装置が装着されていないスチームトラップST31~ST33に関する診断データとが記述された管理台帳200を記憶する。診断部82は、通信部71が受信した測定データに基づいてスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の状態を診断する。管理台帳更新部83は、通信部71が受信した診断データ及び診断部82が出力した診断データに基づいて、管理台帳200を更新する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スチームトラップ及び第2スチームトラップを含む複数のスチームトラップの各々の状態を管理するスチームトラップ管理システムであって、
前記第1スチームトラップに装着された、固定型の計測装置と、
可搬型の診断装置と、
データ処理装置と、
サーバ装置と、
を備え、
前記計測装置は、
前記第1スチームトラップの温度及び振動を測定し、その測定の結果を示す第1測定データを出力する第1測定部と、
前記第1測定部が出力した前記第1測定データを、前記サーバ装置に送信する第1送信部と、
を有し、
前記診断装置は、
前記計測装置が装着されていない前記第2スチームトラップの温度及び振動を測定し、その測定の結果を示す第2測定データを出力する第2測定部と、
前記第2測定データに基づいて前記第2スチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す第1診断データを出力する第1診断部と、
を有し、
前記データ処理装置は、
前記診断装置から前記第1診断データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第1診断データを、前記サーバ装置に送信する第2送信部と、
を有し、
前記サーバ装置は、
前記第1送信部が送信した前記第1測定データ及び前記第2送信部が送信した前記第1診断データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記第1測定データに基づいて前記第1スチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す第2診断データを出力する第2診断部と、
前記第1スチームトラップ及び前記第2スチームトラップに関する診断データが記述された管理情報を記憶する管理情報記憶部と、
前記受信部が受信した前記第1診断データ及び前記第2診断部が出力した前記第2診断データに基づいて、前記管理情報を更新する管理情報更新部と、
を有する、スチームトラップ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームトラップの状態を管理するためのスチームトラップ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となるため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。そのため、スチームトラップの状態を点検する作業が定期的に行われる。
【0004】
プラント内の主要な配管系に設置されているスチームトラップには、固定型の計測装置が装着される。計測装置は、当該スチームトラップの温度及び振動を1日に1回等の定期的に計測し、その計測の結果を示す計測データをオンプレミスの社内サーバに送信する。社内サーバは、受信した計測データに基づいて当該スチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す診断データを管理する。
【0005】
プラント内の主要でない配管系に設置されているスチームトラップには、固定型の計測装置は装着されない。当該スチームトラップに関しては、作業者による可搬型の計測装置及び診断装置を用いた1年に1回等の定期点検作業によって、その状態が診断される。計測装置は、当該スチームトラップの温度及び振動を計測し、その計測の結果を示す計測データを診断装置に送信する。診断装置は、受信した計測データに基づいて当該スチームトラップの状態を診断する。その診断の結果を示す診断データは、点検作業を実施した作業者の端末装置(例えばPC)によって管理される。
【0006】
下記特許文献1には、スチームトラップの状態を診断するための計測装置及び診断装置が開示されている。計測装置は可搬型の計測装置であり、診断装置はタブレット端末又はノートパソコン等であり、計測装置と診断装置とは相互に無線通信が可能である。計測装置は、各スチームトラップの表面温度を計測する温度センサと、各スチームトラップの振動強度を計測する振動センサと、温度センサ及び振動センサから出力された計測データを記憶する記憶部と、当該計測データを診断装置に送信する通信部と、表示部とを備えている。診断装置は、計測装置から受信した計測データに基づいて各スチームトラップの状態(正常又は異常)を診断し、その診断の結果を示す診断データを計測装置に送信する。計測装置は、診断装置から受信した診断データに基づいて、各スチームトラップに関する診断の結果を表示部に表示する。
【0007】
また、大型のプラントでは数千から数万個のスチームトラップが設置されることもあるため、そのような膨大な数のスチームトラップの状態を管理するための管理情報として、管理台帳が使用されることがある。
【0008】
下記特許文献2には、管理対象である全スチームトラップの各々に関して、通し番号(トラップID)等の識別情報と、製造メーカ名及び型式等の属性情報と、使用圧力及び設定温度等の動作情報と、過去の定期点検における診断結果とが記述された管理台帳が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2018-84418号公報
【特許文献2】特許第2954183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の通り、固定型の計測装置の計測結果に基づく診断データはオンプレミスの社内サーバによって管理され、可搬型の計測装置の計測結果に基づく診断データは作業者の端末装置によって管理される。従って、固定型の計測装置と可搬型の計測装置とで診断データの管理場所が異なるため、プラントの運営企業及び定期点検作業の実施業者等のシステム利用者にとって、情報活用の利便性が低い。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、スチームトラップの診断データに関する情報活用の利便性を向上することが可能なスチームトラップ管理システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係るスチームトラップ管理システムは、第1スチームトラップ及び第2スチームトラップを含む複数のスチームトラップの各々の状態を管理するスチームトラップ管理システムであって、前記第1スチームトラップに装着された、固定型の計測装置と、可搬型の診断装置と、データ処理装置と、サーバ装置と、を備え、前記計測装置は、前記第1スチームトラップの温度及び振動を測定し、その測定の結果を示す第1測定データを出力する第1測定部と、前記第1測定部が出力した前記第1測定データを、前記サーバ装置に送信する第1送信部と、を有し、前記診断装置は、前記計測装置が装着されていない前記第2スチームトラップの温度及び振動を測定し、その測定の結果を示す第2測定データを出力する第2測定部と、前記第2測定データに基づいて前記第2スチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す第1診断データを出力する第1診断部と、を有し、前記データ処理装置は、前記診断装置から前記第1診断データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記第1診断データを、前記サーバ装置に送信する第2送信部と、を有し、前記サーバ装置は、前記第1送信部が送信した前記第1測定データ及び前記第2送信部が送信した前記第1診断データを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記第1測定データに基づいて前記第1スチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す第2診断データを出力する第2診断部と、前記第1スチームトラップ及び前記第2スチームトラップに関する診断データが記述された管理情報を記憶する管理情報記憶部と、前記受信部が受信した前記第1診断データ及び前記第2診断部が出力した前記第2診断データに基づいて、前記管理情報を更新する管理情報更新部と、を有する。
【0013】
この態様によれば、サーバ装置の管理情報記憶部は、固定型の計測装置が装着された第1スチームトラップに関する診断データと、固定型の計測装置が装着されていない第2スチームトラップに関する診断データとが記述された管理情報を記憶する。また、サーバ装置の受信部は、第1スチームトラップに関する第1測定データを計測装置から受信し、第2スチームトラップに関する第1診断データをデータ処理装置から受信する。そして、サーバ装置の管理情報更新部は、受信部が受信した第1診断データ及び第2診断部が出力した第2診断データに基づいて、管理情報を更新する。従って、固定型の計測装置の計測結果に基づく第2診断データ及び可搬型の診断装置による第1診断データがともにサーバ装置に集約されることにより、サーバ装置は、第1診断データ及び第2診断データが記述された管理情報を一元的に管理することができる。その結果、システム利用者にとって、スチームトラップの診断データに関する情報活用の利便性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スチームトラップの診断データに関する情報活用の利便性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るスチームトラップ管理システムの構成を簡略化して示す図である。
【
図4】データ処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】スチームトラップ管理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0017】
<システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るスチームトラップ管理システム100の構成を簡略化して示す図である。本実施の形態に係るスチームトラップ管理システム100の適用対象は、蒸気配管系を備えたプラント等の施設である。蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となるため、配管系の適所に複数のスチームトラップが設置され、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
図1に示した例では、説明の簡略化のため、9個のスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23,ST31~ST33のみを図示している。
【0018】
スチームトラップ管理システム100は、固定型の計測装置11~13,21~23と、中継器1,2と、親機4と、可搬型の診断装置3と、ノートパソコン又はタブレット端末等のデータ処理装置5と、クラウドサーバ等のサーバ装置6とを備えている。
【0019】
中継器1,2及び親機4は、無線ルータ等の任意の通信機器である。計測装置11~13と中継器1とは任意の通信方式によって相互に無線通信が可能であり、計測装置21~23と中継器2とは任意の通信方式によって相互に無線通信が可能であり、中継器1,2と親機4とは任意の通信方式によって相互に無線通信が可能である。診断装置3とデータ処理装置5とはBluetooth(登録商標)等の任意の通信方式によって相互に無線通信が可能である。親機4及びデータ処理装置5とサーバ装置6とは、公衆回線網等の任意の通信ネットワーク7を介して、IP等の任意の通信方式によって相互に無線通信が可能である。
【0020】
プラント内の主要な配管系に設置されているスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23には、固定型の計測装置11~13,21~23が装着される。計測装置11~13,21~23は、スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の温度及び振動を1日に1回等の定期的に測定し、その測定の結果を示す測定データを、中継器1,2、親機4、及び通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する。サーバ装置6は、受信した測定データに基づいてスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の状態を診断し、その診断の結果を示す診断データを管理する。
【0021】
プラント内の主要でない配管系に設置されているスチームトラップST31~ST33には、固定型の計測装置11~13,21~23は装着されない。スチームトラップST31~ST33に関しては、作業者による可搬型の診断装置3を用いた1年に1回等の定期点検作業によって、その状態が診断される。定期点検の作業者は、可搬型の診断装置3を携帯してプラント内を移動することにより、診断装置3によって各スチームトラップST31~ST33を順に点検する。なお、スチームトラップST31~ST33の点検は、定期点検に限らず、不定期な点検であっても良い。
【0022】
プラント内へのノートパソコン等の持ち込みが許可されている場合には、作業者は、診断装置3とともにデータ処理装置5を携帯して、各スチームトラップST31~ST33を順に点検することもできる。この場合には、診断装置3は、データ処理装置5及び通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に、各スチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5(詳細は後述する)をリアルタイムで送信することができる。
【0023】
一方、プラント内へのノートパソコン等の持ち込みが禁止されている場合には、作業者は、営業車又は現場事務所等の待機場所にデータ処理装置5を保管し、診断装置3のみを携帯して各スチームトラップST31~ST33を順に点検する。この場合には、各スチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5は診断装置3内に保存される。作業者が待機場所に戻った後、診断装置3は、データ処理装置5及び通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に、複数のスチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5を一括して送信する。
【0024】
図2は、計測装置11の構成を示すブロック図である。他の計測装置12,13,21~23の構成もこれと同様である。計測装置11は、測定部41、制御部42、及び通信部43を有している。
【0025】
測定部41は、温度センサ44及び振動センサ45を含む。温度センサ44は、熱電対、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。計測装置11の探針(図略)が測定対象であるスチームトラップST11に押し当てられた状態で固定されていることにより、温度センサ44は、スチームトラップST11の表面温度を測定し、その測定結果を示す温度データを出力する。振動センサ45は、圧電素子、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。上記探針が測定対象であるスチームトラップST11に押し当てられた状態で固定されていることにより、振動センサ45は、測定対象であるスチームトラップST11の振動強度を測定し、その測定結果を示す振動データを出力する。測定部41によるスチームトラップST11の温度及び振動の測定は、1日に1回等の定期的に実行される。
【0026】
通信部43は、任意の無線通信方式に対応した通信機器を用いて構成されている。
【0027】
制御部42は、CPU等を用いて構成されている。制御部42は、測定部41から入力された測定データ(温度データ及び振動データ)を、通信部43に入力する。通信部43は、当該測定データを、中継器1、親機4、及び通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する。
【0028】
図3は、診断装置3の構成を示すブロック図である。診断装置3は、測定部51、制御部52、操作部53、表示部54、記憶部55、及び通信部56を有している。
【0029】
測定部51は、温度センサ57及び振動センサ58を含む。温度センサ57は、熱電対、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。作業者が診断装置3の探針(図略)を測定対象である各スチームトラップST31~ST33に押し当てることにより、温度センサ57は、各スチームトラップST31~ST33の表面温度を測定し、その測定結果を示す温度データを出力する。振動センサ58は、圧電素子、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。作業者が上記探針を測定対象である各スチームトラップST31~ST33に押し当てることにより、振動センサ58は、各スチームトラップST31~ST33の振動強度を測定し、その測定結果を示す振動データを出力する。
【0030】
操作部53は、作業者が各種の情報を入力するための操作スイッチ等によって構成されている。表示部54は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部53と表示部54とが一体として構成されても良い。
【0031】
記憶部55は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリ等を用いて構成されている。
【0032】
通信部56は、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式に対応した通信機器を用いて構成されている。
【0033】
制御部52は、CPU等を用いて構成されている。制御部52は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、診断部59を有している。診断部59は、測定部51から入力された測定データ(温度データ及び振動データ)に基づいて各スチームトラップST31~ST33の状態を診断し、その診断の結果を示す診断データを出力する。例えば、診断部59は、測定部51から入力された温度データと予め設定された所定の温度しきい値とを比較し、また、測定部51から入力された振動データと予め設定された所定の振動しきい値とを比較する。診断部59は、これら二つの比較結果の組合せに応じて、各スチームトラップST31~ST33が正常であるか異常(蒸気漏出、ドレン排出不良、又は閉塞)であるかを診断する。制御部52は、各スチームトラップST31~ST33の診断データを含めて診断結果情報I5を作成し、当該診断結果情報I5を記憶部55に記憶する。診断結果情報I5の詳細については後述する。また、制御部52は、診断結果情報I5を通信部56に入力する。通信部56は、診断結果情報I5をデータ処理装置5に送信する。
【0034】
図4は、データ処理装置5の構成を示すブロック図である。データ処理装置5は、通信部61、制御部62、操作部63、表示部64、記憶部65、及び通信部66を有している。
【0035】
通信部61は、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式に対応した通信機器を用いて構成されており、診断装置3の通信部56と相互に通信可能である。
【0036】
操作部63は、作業者が各種の情報を入力するためのキーボード又はマウス等によって構成されている。表示部64は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部63と表示部64とが一体として構成されても良い。
【0037】
記憶部65は、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。
【0038】
通信部66は、IP等の任意の通信方式に対応した通信機器を用いて構成されている。
【0039】
制御部62は、CPU等を用いて構成されている。制御部62は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、取得部67及び管理台帳作成部68を有している。
【0040】
取得部67は、通信部61が診断装置3から受信したスチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5を、通信部61から取得する。制御部62は、取得部67が取得した診断結果情報I5を記憶部65に記憶する。また、制御部62は、診断結果情報I5を通信部66に入力する。通信部66は、入力された診断結果情報I5を、通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する。
【0041】
管理台帳作成部68は、複数のスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23,ST31~ST33を管理するための管理台帳200を作成する。管理台帳作成部68は、過去に管理台帳200が作成されていない新規のプラントに関しては、後述するエリアマップ情報に基づいて新規に管理台帳200を作成する。また、管理台帳作成部68は、過去に管理台帳200が作成されている既存のプラントに関しては、サーバ装置6によって管理されている既存の管理台帳200をサーバ装置6から取得し、最新のエリアマップ情報に基づいて当該管理台帳200を更新することによって、今回の定期点検用の管理台帳200を作成する。また、制御部62は、管理台帳作成部68が作成した管理台帳200を通信部66に入力する。通信部66は、入力された管理台帳200を、通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する。
【0042】
図5は、サーバ装置6の構成を示すブロック図である。サーバ装置6は、通信部71、制御部72、及び記憶部73を有している。
【0043】
通信部71は、IP等の任意の通信方式に対応した通信機器を用いて構成されており、通信ネットワーク7を介して親機4及びデータ処理装置5の通信部66と相互に通信可能である。
【0044】
また、サーバ装置6へのアクセス権を有する任意の通信装置(例えばデータ処理装置5と同種の他のデータ処理装置)は、通信ネットワーク7を介してサーバ装置6にアクセス可能である。大規模なプラントでは数千個から数万個のスチームトラップが設置されている場合もあり、この場合には複数の作業者が手分けをして全スチームトラップの点検を行う。これら複数の作業者の各々が、診断装置3及びデータ処理装置5を携帯している。各データ処理装置5が通信ネットワーク7を介してサーバ装置6にアクセスすることにより、各診断装置3による診断結果情報I5がサーバ装置6に集約され、サーバ装置6によって複数の診断結果情報I5が統合及び一元管理される。また、各データ処理装置5が通信ネットワーク7を介してサーバ装置6にアクセスすることにより、サーバ装置6が一元管理している複数の診断結果情報I5及び解析データ92を、各作業者が各データ処理装置5によって閲覧等することが可能となる。
【0045】
制御部72は、CPU等を用いて構成されている。制御部72は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、取得部81、診断部82、管理台帳更新部83、及び解析部84を有している。
【0046】
取得部81は、通信部71が計測装置11~13,21~23から受信した測定データ(温度データ及び振動データ)、及び、通信部71がデータ処理装置5から受信した診断結果情報I5を、通信部71から取得する。
【0047】
診断部82は、取得部81が取得した測定データに基づいて各スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の状態を診断し、その診断の結果を示す診断データを出力する。例えば、診断部82は、取得部81が取得した温度データと予め設定された所定の温度しきい値とを比較し、また、取得部81が取得した振動データと予め設定された所定の振動しきい値とを比較する。診断部82は、これら二つの比較結果の組合せに応じて、各スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23が正常であるか異常(蒸気漏出、ドレン排出不良、又は閉塞)であるかを診断する。制御部72は、各スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の診断結果情報I5を作成し、当該診断結果情報I5を記憶部73に記憶する。また、制御部72は、取得部81が通信部71から取得した各スチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5を、記憶部73に記憶する。管理台帳更新部83及び解析部84の処理内容については後述する。
【0048】
記憶部73は、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。記憶部73は、管理台帳200及び解析データ92を記憶している。
【0049】
図6は、スチームトラップ管理システム100における処理の流れを示すシーケンス図である。
【0050】
<管理台帳の作成>
スチームトラップ管理システム100の管理者又は作業者は、データ処理装置5を用いて管理台帳200を作成する。管理台帳200の作成処理は、管理台帳作成部68によって実行される。
【0051】
データ処理装置5は、対象のプラント内に設置されている全てのスチームトラップの情報を示すエリアマップ情報を、プラントの管理端末等から取得する。当該管理端末が通信ネットワーク7に接続されている場合には、データ処理装置5は、当該管理端末から通信ネットワーク7を介してエリアマップ情報を取得する。
【0052】
管理台帳作成部68は、エリアマップ情報に含まれている全てのスチームトラップに関する情報を並べて、管理台帳200を作成する(ステップS1)。
【0053】
図7は、管理台帳200の一例を示す図である。管理台帳200には、全てのスチームトラップの各々に関し、タイプ情報I1、識別情報I2、属性情報I3、動作情報I4、及び診断結果情報I5が記述されている。
【0054】
タイプ情報I1は、そのスチームトラップに計測装置が装着されている場合(つまり固定型の計測装置による測定対象のスチームトラップである場合)には、「固定」と表記される。また、タイプ情報I1は、そのスチームトラップに計測装置が装着されていない場合(つまり可搬型の診断装置による診断対象のスチームトラップである場合)には、「可搬」と表記される。識別情報I2は、トラップナンバーであり、この例では
図1に示した参照符号を用いている。トラップナンバーは、各スチームトラップに割り当てられた固有の識別番号(ID)である。属性情報I3は、各スチームトラップの製造メーカ名及び型式名を含む。但し、型式名よりも詳細な品番情報が属性情報I3にさらに含まれても良い。動作情報I4は、使用圧力及び設定温度を含む。
【0055】
各スチームトラップに関するタイプ情報I1、識別情報I2、属性情報I3、及び動作情報I4が上記エリアマップ情報に含まれている場合には、管理台帳作成部68は、これらの情報を当該エリアマップ情報から抽出することが可能である。あるいは、これらの情報が上記エリアマップ情報に含まれていない場合には、管理者又は作業者によるキーボード入力等に応じて、操作部63から制御部62にこれらの情報が入力されても良い。
【0056】
診断結果情報I5は、診断日及び診断結果を含む。診断が実施される前の事前準備の段階では、診断日及び診断結果の項目は空欄となっている。
【0057】
通信部66は、管理台帳作成部68が作成した管理台帳200を、通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する(ステップS2)。サーバ装置6において、通信部71は、通信部66から送信された管理台帳200を受信する。制御部72は、通信部71が受信した管理台帳200を記憶部73に記憶する(ステップS3)。
【0058】
<固定型の計測装置による測定>
計測装置11~13,21~23は、スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の温度及び振動を1日に1回等の定期的に測定する(ステップS4)。また、計測装置11~13,21~23は、その測定の結果を示す測定データを、中継器1,2、親機4、及び通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する(ステップS5)。
【0059】
サーバ装置6の通信部71は、計測装置11~13,21~23から送信された測定データを受信する。取得部81は、通信部71が受信した測定データを、通信部71から取得する。診断部82は、取得部81が取得した測定データに基づいて各スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の状態を診断し、各スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の診断結果情報I5を作成する(ステップS6)。
【0060】
管理台帳更新部83は、診断部82が作成した診断結果情報I5に基づいて、記憶部73に記憶されている管理台帳200を更新する(ステップS7)。具体的に、管理台帳更新部83は、診断部82が作成した診断結果情報I5を、記憶部73に記憶されている管理台帳200のうち、識別情報I2によって特定される対応箇所に追記する。診断結果情報I5が管理台帳200の対応箇所に追記されることにより、各スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の診断結果情報I5が、各スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23の識別情報I2に関連付けられて、記憶部73に記憶されることとなる。
【0061】
<定期点検の事前準備>
作業者は、今回の定期点検を実施する前に、データ処理装置5から通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に台帳要求信号を送信することによって、サーバ装置6に対して最新の管理台帳200を要求する(ステップS8)。
【0062】
台帳要求信号を受信したサーバ装置6は、記憶部73から読み出した最新の管理台帳200を、通信ネットワーク7を介してデータ処理装置5に送信する(ステップS9)。
【0063】
データ処理装置5において、通信部66は、サーバ装置6から送信された管理台帳200を受信する。制御部62は、通信部66が受信した管理台帳200を記憶部65に記憶する(ステップS10)。また、制御部62は、通信部66が受信した管理台帳200を通信部61に入力する。通信部61は、入力された管理台帳200を診断装置3に送信する(ステップS11)。診断装置3において、通信部56は、データ処理装置5から送信された管理台帳200を受信する。制御部52は、通信部56が受信した管理台帳200を記憶部55に記憶する(ステップS12)。
【0064】
<点検作業>
定期点検の作業者は、診断装置3(及び許可されている場合にはデータ処理装置5)を携帯してプラント内を移動することにより、診断装置3によって各スチームトラップST31~ST33を順に測定する(ステップS13)。
【0065】
その際、作業者によるスイッチ操作等に応じて操作部53から制御部52に要求信号が入力されることにより、制御部52は、事前準備で記憶部55に記憶した管理台帳200を表示部54に表示する。これにより、作業者は、定期点検作業の対象である各スチームトラップST31~ST33の識別情報I2及び属性情報I3を認識することができる。なお、作業者がデータ処理装置5を携帯している場合には、管理台帳200をデータ処理装置5の表示部64に表示させても良い。通常は表示部54よりも表示部64のほうが大きい画面を有するため、管理台帳200を表示部64に表示することにより、作業者による視認性が向上する。
【0066】
作業者は、今回の測定対象であるスチームトラップの設置箇所に移動する。また、作業者は、操作部53のスイッチ操作によって、定期点検作業の対象であるスチームトラップST31~ST33の中から今回の測定対象である一のスチームトラップを選択する。これにより、スチームトラップの選択情報が、操作部53から制御部52に入力される。
【0067】
次に、作業者は、診断装置3の探針(図略)を、測定対象であるスチームトラップに押し当てる。これにより、測定部51から制御部52に測定データ(温度データ及び振動データ)が入力される。診断部59は、測定部51から入力された測定データに基づいて、測定対象であるスチームトラップの状態を診断する(ステップS14)。
【0068】
制御部52は、診断部59による診断の結果を示す診断データを、表示部54に入力する。これにより、測定対象であるスチームトラップに関する診断結果が、表示部54に表示される。
【0069】
また、制御部52は、診断データに基づいて診断結果情報I5(診断日及び診断結果)を作成し、当該診断結果情報I5を、記憶部55に記憶されている管理台帳200のうち上記選択情報によって特定される対応箇所に追記することにより、管理台帳200を更新する(ステップS15)。診断結果情報I5が管理台帳200の対応箇所に追記されることにより、各スチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5が、各スチームトラップST31~ST33の識別情報I2に関連付けられて、記憶部55に記憶されることとなる。
【0070】
また、制御部52は、各スチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5を、通信部56に入力する。通信部56は、入力された診断結果情報I5を、データ処理装置5に送信する(ステップS16)。
【0071】
データ処理装置5の通信部61は、通信部56から送信された診断結果情報I5を受信する。
【0072】
取得部67は、通信部61が診断装置3から受信した診断結果情報I5を、通信部61から取得する。
【0073】
制御部62は、取得部67が取得した診断結果情報I5に基づいて、記憶部65に記憶されている管理台帳200を更新する(ステップS17)。具体的に、制御部62は、取得部67が取得した診断結果情報I5を、記憶部65に記憶されている管理台帳200のうち、識別情報I2によって特定される対応箇所に追記する。診断結果情報I5が管理台帳200の対応箇所に追記されることにより、各スチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5が、各スチームトラップST31~ST33の識別情報I2に関連付けられて、記憶部65に記憶されることとなる。
【0074】
また、制御部62は、取得部67が取得した診断結果情報I5を、通信部66に入力する。通信部66は、入力された診断結果情報I5を、通信ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する(ステップS18)。
【0075】
サーバ装置6の通信部71は、通信部66から送信された診断結果情報I5を受信する。
【0076】
取得部81は、通信部71がデータ処理装置5から受信した診断結果情報I5を、通信部71から取得する。
【0077】
管理台帳更新部83は、取得部81が取得した診断結果情報I5に基づいて、記憶部73に記憶されている管理台帳200を更新する(ステップS19)。具体的に、管理台帳更新部83は、取得部81が取得した診断結果情報I5を、記憶部73に記憶されている管理台帳200のうち、識別情報I2によって特定される対応箇所に追記する。診断結果情報I5が管理台帳200の対応箇所に追記されることにより、各スチームトラップST31~ST33の診断結果情報I5が、各スチームトラップST31~ST33の識別情報I2に関連付けられて、記憶部73に記憶されることとなる。
【0078】
図8は、管理台帳200の一例を示す図である。管理台帳200によって管理されている全てのスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23,ST31~ST33に関して、診断結果情報I5の追記が完了している。これにより、今回の定期点検に伴う管理台帳200の更新処理が完了する。定期点検の度に同様の更新処理が実行されることにより、過去に実施された定期点検に関する情報が管理台帳200に蓄積され、サーバ装置6によって管理されることとなる。
【0079】
解析部84は、更新処理が完了した管理台帳200に基づいて種々の解析処理を実行し、その解析処理によって得られた解析データ92を記憶部73に記憶する(ステップS20)。例えば、解析部84は、管理台帳200によって管理されている全てのスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23,ST31~ST33の中から、診断結果が異常(蒸気漏出、ドレン排出不良、又は閉塞)であるスチームトラップをリストアップすることにより、不良トラップリストを作成する。また、解析部84は、管理台帳200によって管理されているスチームトラップの総数に対する、診断結果が異常であるスチームトラップの総数の割合として、不良率を算出する。また、解析部84は、蒸気漏出が発生しているスチームトラップに関して各々の蒸気漏出量を合計することにより、総漏出量及びそれによる損失額を算出する。また、解析部84は、数年分又はそれ以上の長期間の情報が管理台帳200に蓄積されている場合には、これらの解析結果の時系列の推移を集計し、その集計の結果を時系列データとして表又はグラフの形式で出力する。これにより、プラントの管理者等は、スチームトラップの経年劣化の進行状況等を把握することが可能となる。
【0080】
<まとめ>
本実施の形態に係るスチームトラップ管理システム100によれば、サーバ装置6の記憶部73(管理情報記憶部)は、固定型の計測装置11~13,21~23が装着されたスチームトラップST11~ST13,ST21~ST23(第1スチームトラップ)に関する診断データと、固定型の計測装置が装着されていないスチームトラップST31~ST33(第2スチームトラップ)に関する診断データとが記述された管理台帳200(管理情報)を記憶する。また、サーバ装置6の通信部71(受信部)は、スチームトラップST11~ST13,ST21~ST23に関する測定データ(第1測定データ)を計測装置11~13,21~23から受信し、スチームトラップST31~ST33に関する診断データ(第1診断データ)をデータ処理装置5から受信する。そして、サーバ装置6の管理台帳更新部83(管理情報更新部)は、通信部71が受信した第1診断データ及び診断部82(第2診断部)が出力した診断データ(第2診断データ)に基づいて、管理台帳200を更新する。従って、固定型の計測装置11~13,21~23の計測結果に基づく第2診断データ及び可搬型の診断装置3による第1診断データがともにサーバ装置6に集約されることにより、サーバ装置6は、第1診断データ及び第2診断データが記述された管理台帳200を一元的に管理することができる。その結果、システム利用者にとって、スチームトラップST11~13,21~23,31~33の診断データに関する情報活用の利便性を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0081】
3 診断装置
5 データ処理装置
6 サーバ装置
11~13,21~23 計測装置
41 測定部
43 通信部
51 測定部
59 診断部
66 通信部
67 取得部
71 通信部
73 記憶部
82 診断部
83 管理台帳更新部
100 スチームトラップ管理システム
200 管理台帳
ST11~ST13,ST21~ST23,ST31~ST33 スチームトラップ