(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009815
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63H 33/08 20060101AFI20220106BHJP
A63F 13/20 20140101ALI20220106BHJP
【FI】
A63H33/08 E
A63F13/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178677
(22)【出願日】2021-11-01
(62)【分割の表示】P 2017552913の分割
【原出願日】2016-04-07
(31)【優先権主張番号】PA201570204
(32)【優先日】2015-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】594012623
【氏名又は名称】レゴ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,イエスパー キャロル
(72)【発明者】
【氏名】ピーダセン,ビヤーケ
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BA23
2C150BA27
2C150BA36
2C150CA02
2C150CA06
2C150CA08
2C150EB01
2C150ED43
2C150EF16
2C150EF17
2C150EH09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】識別要素を含む物理的玩具を用いたシステムを提供する。
【解決手段】ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、物理的玩具と、検出エリア内における玩具の存在を検出するように構成された検出装置とを備え、玩具は、それぞれが検出エリア内に位置するときに検出装置によって検出可能な2以上の識別要素を有し、玩具は、識別要素のうちの1以上の識別要素のユーザ選択によるサブセットを含む玩具をユーザが検出エリア内に選択的に配置できるように構成され、データ処理システムは、検出された識別要素のサブセットに応答してデジタルゲームプレイを制御するように構成される、ゲームシステム。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームシステムであって、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 物理的玩具と、
- 検出エリア内における前記玩具の存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
前記玩具は、それぞれが前記検出エリア内に位置するときに前記検出装置によって検出可能な2以上の前記識別要素を有し、
前記玩具は、前記識別要素のうちの1以上の識別要素のユーザ選択によるサブセットを含む前記玩具をユーザが前記検出エリア内に選択的に配置できるように構成され、
前記データ処理システムは、前記検出された識別要素のサブセットに応答して前記デジタルゲームプレイを制御するように構成される、ゲームシステム。
【請求項2】
前記物理的玩具は、互いに移動可能に相互接続された第1の部品及び第2の部品を含む合体した玩具構造体であり、
前記第1の部品は、前記2以上の識別要素のうちの第1の識別要素を含み、
前記第2の部品は、前記2以上の識別要素のうちの第2の識別要素を含み、
前記第2の部品は、前記第1の識別要素が前記検出装置の検出エリア内に配置されたときに前記第2の識別要素が前記検出装置の検出エリア内に存在しないような、前記第1の部品に対する第1の位置に移行されることができ、
前記第2の部品は、前記第1の識別要素が前記検出装置の検出エリア内に配置されたときに前記第2の識別要素も前記検出装置の検出エリア内に存在するような、前記第1の部品に対する第2の位置に移行されることができる、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記検出装置は、少なくとも2つの検出エリアを含み、さらに、前記検出装置は、前記検出エリアの各々における識別要素の存在を検出するように構成されるとともに、前記識別要素がどの検出エリア内に配置されたかを検出するように構成され、
前記データ処理システムは、前記検出された識別要素のサブセットに応答するとともに、前記検出されたサブセットが同じ検出エリア内で検出されたか、それとも前記検出されたサブセットのそれぞれの識別要素が異なる検出エリア内で検出されたかに応答して、前記デジタルゲームプレイを制御するように構成される、請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記物理的玩具は、前記検出装置の検出エリア内に配置されたときに前記検出装置に情報を送信するように構成され、
前記物理的玩具は、入力を検出するように構成されたセンサを含み、
前記物理的玩具は、前記検出された入力に応答して、前記送信する情報を変更するように構成され、
前記データ処理システムは、前記物理的玩具によって送信された前記情報を示す検出信号を前記検出装置から受け取り、該受け取った検出信号に応答して前記デジタルゲームプレイを制御するように構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
ゲームシステムであって、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 物理的玩具と、
- 検出エリア内における前記玩具の存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
前記物理的玩具は、前記検出装置の前記検出エリア内に配置されたときに前記検出装置に情報を送信するように構成され、
前記物理的玩具は、入力を検出するように構成されたセンサを含み、
前記物理的玩具は、前記検出された入力に応答して、前記送信する情報を変更するように構成され、
前記データ処理システムは、前記物理的玩具によって送信された前記情報を示す検出信号を前記検出装置から受け取り、該受け取った検出信号に応答して前記デジタルゲームプレイを制御するように構成される、ゲームシステム。
【請求項6】
前記センサは、ユーザ制御可能なアクチュエータである、請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記センサは、回転可能なアクチュエータである、請求項6に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記データ処理システムは、それぞれの前記検出エリアにおける2以上の識別要素の存在を示す入力信号を前記検出装置から受け取り、前記2以上の識別要素が前記検出エリアのうちの同じ検出エリア内で検出されたか、それとも異なる検出エリア内で検出されたかに応答して前記デジタルゲームプレイを制御するように構成される、請求項1から7のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項9】
ゲームシステムであって、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 2以上の識別要素と、
- 2以上の検出エリアを含み、該検出エリアの各々における前記識別要素のうちの少なくとも1つの存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
前記データ処理システムは、それぞれの前記検出エリアにおける前記識別要素のうちの2以上の識別要素の存在を示す入力信号を前記検出装置から受け取り、前記2以上の識別要素が前記検出エリアのうちの同じ検出エリア内で検出されたか、それとも異なる検出エリア内で検出されたかに応答して前記デジタルゲームプレイを制御するように構成される、ゲームシステム。
【請求項10】
前記検出装置は、2以上の検出エリアを含み、前記検出装置の前記検出エリアの各々における1以上の識別要素の存在を検出するように構成され、
前記デジタルゲームプレイは、2以上の領域を含むデジタル環境を含み、
前記領域は、ユーザ制御可能なキャラクタによって探索することができ、
前記データ処理システムは、前記検出エリアのうちの第1の検出エリアにおいて前記1以上の識別要素を検出したことに応答して、前記領域のうちの第1の領域におけるゲームプレイを制御し、前記検出エリアのうちの第2の検出エリアにおいて前記1以上の識別要素を検出したことに応答して、前記領域のうちの第2の領域におけるゲームプレイを制御するように構成される、請求項1から9のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項11】
ゲームシステムであって、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 1以上の識別要素と、
- 2以上の検出エリアを含み、該検出エリアの各々における前記識別要素の存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
前記デジタルゲームプレイは、2以上の領域を含むデジタル環境を含み、
前記領域は、ユーザ制御可能なキャラクタによって探索することができ、
前記データ処理システムは、前記検出エリアのうちの第1の検出エリアにおいて前記1以上の識別要素を検出したことに応答して、前記領域のうちの第1の領域におけるゲームプレイを制御し、前記検出エリアのうちの第2の検出エリアにおいて前記1以上の識別要素を検出したことに応答して、前記領域のうちの第2の領域におけるゲームプレイを制御するように構成される、ゲームシステム。
【請求項12】
前記検出装置は、それぞれが前記デジタル環境の前記領域のそれぞれに関連する2以上の検出エリアを含み、
前記データ処理システムは、2つの異なる検出エリアにおいてそれぞれの識別要素を検出したことに応答して、両方の領域に影響を与えるように前記デジタルゲームプレイを制御するように構成される、請求項10又は11に記載のゲームシステム。
【請求項13】
前記データ処理システムは、2つの異なる検出エリアにおいてそれぞれの識別要素を検出したことに応答して、前記2つの領域間の通路を開放して、該開放された通路に沿って前記2つの領域の一方から前記2つの領域の他方へ仮想キャラクタが移動できるようにするよう構成される、請求項12に記載のゲームシステム。
【請求項14】
前記識別要素は、該識別要素に1以上の他の玩具組立要素を機械的に接続してユーザによる玩具組立モデルの組み立てを可能にするように構成された1以上のコネクタを含む玩具組立要素である、請求項1から13のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項15】
前記データ処理システムは、
- 検出エリア内における前記識別要素の存在を検出し、
- 仮想環境内の仮想オブジェクトと前記検出された識別要素との間に関連性を形成し、
- 前記識別要素が再び検出エリア内に配置されたときに、前記識別要素に関連する情報にアクセスし、
- 前記アクセスした情報に基づいて、前記関連する仮想オブジェクトの表現を提示し、
- 前記仮想オブジェクトの表現を制御することを含むプレイパターン手順を実行する、
ように構成される、請求項14に記載のゲームシステム。
【請求項16】
前記データ処理システムは、ゲームイベントに応答して、前記識別要素と仮想オブジェクトとの間の既存の関連性を、新たな仮想オブジェクトと前記識別要素との間の新たな関連性に置き換えることにより、前記データ処理システムが前記識別要素の存在を再び検出したときに、前記データ処理システムが前記新たな仮想オブジェクトの表現を提示し、前記新たな仮想オブジェクトの前記表示を制御することを含むプレイパターン手順を実行するように構成される、請求項16に記載のゲームシステム。
【請求項17】
前記データ処理システムは、ゲームイベントに応答して、既存の関連性を、新たな仮想オブジェクトと前記識別要素との新たな関連性に置き換えて、ユーザが、前記識別要素を使用して、異なる玩具組立モデルを組み立てることを可能にするように構成され、前記玩具組立モデルの各々は、該各々に関連するそれぞれの仮想オブジェクトを有する、請求項15又は16に記載のゲームシステム。
【請求項18】
前記ゲームシステムは、複数の玩具組立要素を含み、
前記データ処理システムは、前記複数の玩具組立要素から組み立て可能な玩具組立モデルに類似する仮想オブジェクトのグラフィック表現を提示するように構成される、請求項1から17のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームシステム、とりわけユーザが仮想環境において仮想キャラクタを操作するゲームシステムの人気が、子供及び成人のユーザ間でますます高まっている。このようなゲームシステムには、ゲーム機、ハンドヘルド型ゲーム装置、デスクトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ又は携帯電話機などのデータ処理システムによって実装できる様々なものが存在する。一般的には、このようなシステムをますます面白く娯楽的なもの及び/又は教育的なものにすることが望ましい。
【0003】
物理的玩具を用いて仮想ゲームプレイを制御する試みがいくつか行われてきた。例えば、英国特許出願第2365796号には、玩具情報を記憶する玩具と、非接触型データ伝送システムによって玩具情報を検出するリーダと、ゲーム装置とを含むゲームシステムが開示されている。ゲーム装置は、リーダが検出した玩具情報に従って、その玩具を表すキャラクタが登場するゲームを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許出願公開第2365796号明細書
【特許文献2】米国特許第3,005,282号明細書
【0005】
多くのゲームシステムでは、ゲームプレイ中に、例えば仮想オブジェクトが高度なオブジェクトに進化した時や、プレイヤが仮想装備を獲得した時などに、プレイヤが様々な仮想オブジェクトを利用できるようになる。従って、仮想ゲームのプレイ中には、対応する物理的オブジェクトによって異なる仮想オブジェクトを表現できることが望ましい。さらに、ゲームプレイを制御する追加の制御オプションをユーザに提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、第1の態様において、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 物理的玩具と、
- 検出エリア内における玩具の存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
玩具は、それぞれが検出エリア内に位置するときに検出装置によって検出可能な2以上の識別要素を有し、玩具は、前記識別要素のうちの1以上の識別要素のユーザ選択によるサブセットを含む玩具をユーザが検出エリア内に選択的に配置できるように構成され、データ処理システムは、検出された識別要素のサブセットに応答してデジタルゲームプレイを制御するように構成された、ゲームシステムの実施形態を開示する。
【0007】
識別要素のサブセット(部分集合)は、物理的玩具に含まれる識別要素の総数よりも少ない単一の識別要素又は複数の識別要素とすることができ、すなわち、サブセットは、真のサブセット(真部分集合)とすることができ、サブセットは、物理的玩具に含まれる全ての識別要素を含むこともできる。玩具は、検出装置の検出エリア内に識別要素のサブセットのみが存在し、ユーザが選択したサブセットの一部ではない識別要素(存在する場合)が検出装置の検出エリア内に存在しない状態で、ユーザが玩具を選択的に配置できるように構成される。いくつかの実施形態では、物理的玩具が、少なくとも1つの構成では、例えばたった1つの識別要素などの識別要素の真のサブセットが同時に検出エリア内に存在する状態でのみ玩具を配置できるように構成される。いくつかの実施形態では、サブセットの識別要素を検出装置の同じ検出エリア内に配置することができる。いくつかの実施形態では、検出装置が複数の検出エリアを含み、識別要素のサブセットが検出エリアのそれぞれに存在し、換言すると必ずしも同じ検出エリア内に存在しない状態でユーザが玩具を配置できるように玩具を構成することができる。
【0008】
物理的玩具は、合体した構造体(coherent)な構造体であって、該構造体に2以上の識別要素が物理的に相互接続され、例えば取り付けられ、又は統合された、合体した構造体とすることができる。識別要素の一部又は全部は、例えば同じ玩具及び/又は異なる玩具の、例えば同じ位置又は異なる位置に繰り返し着脱できるように、構造体に取り外し可能に取り付けることができる。これとは別に、又はこれに加えて、識別要素の一部又は全部を構造体に統合して、構造体からの除去又は取り外しができないようにすることもできる。
【0009】
いくつかの実施形態では、物理的玩具が、組立要素が互いに取り外し可能に相互接続されて合体した構造体を形成するような、複数の組立要素から組み立てられた玩具組立モデルである。
【0010】
いくつかの実施形態では、玩具構造体が、互いに移動可能に相互接続された、例えば相対的にヒンジ結合された、相対的に回転可能な、相対的に摺動可能又は別様に移動可能な第1の部品及び第2の部品を含む。第1の部品は、2以上の識別要素のうちの第1の識別要素を含むことができ、第2の部品は、2以上の識別要素のうちの第2の識別要素を含むことができる。第2の部品は、第1の識別要素が検出装置の検出エリア内に配置されたときに第2の識別要素が検出装置の検出エリア内に存在しないような、第1の部品に対する第1の位置に移行することができる。第2の部品は、第1の識別要素が検出装置の検出エリア内に配置されたときに第2の識別要素も検出装置の検出エリア内に存在するような、第1の部品に対する第2の位置に移行することができる。第1及び第2の部品は、同じ又は異なる検出エリア内に識別要素を選択的に配置できるようなそれぞれの位置に相対的に移行することができる。例えば、これらの部品は、例えば識別要素が互いに近接して同じ検出エリア内に収まるような第1の構成と、識別要素が互いに離れて同時にそれぞれの検出エリア内に位置することができる第2の構成との間で、識別要素間の相対的距離を互いに調整するように動くことができる。
【0011】
識別要素は、例えば識別要素及び/又は物理的玩具を識別する識別子などの、識別要素及び/又は物理的玩具に関する情報を含むことができる。情報は、識別要素に含まれるメモリに記憶することができる。いくつかの実施形態では、識別要素が、同じ又は異なる情報を含むことができる。具体的に言えば、識別要素は、物理的玩具を示す同じ識別子を含むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、識別要素は、例えばそれぞれの識別要素を示す識別子、例えば玩具に含まれる識別要素を検出装置が区別できるようにする識別要素の一意的な識別子などの、対応する他の識別要素とは異なるそれぞれの識別子を含むこともできる。従って、リーダは、現在検出装置の検出エリア内に玩具のどの1以上の識別要素が存在するかを特定するように構成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、検出装置が少なくとも2つの検出エリアを含み、検出装置は、各検出エリア内における識別要素の存在を検出するとともに、識別要素がどの検出エリア内に配置されたかを検出するように構成される。物理的玩具は、識別要素を検出エリアのうちの1つの検出エリア内、及び/又は検出エリアのそれぞれの検出エリア内に選択的に配置できるように構成することができ、検出装置は、1以上の識別要素が同じ検出エリア内に存在する状態で物理的玩具が配置されているか、それとも識別要素がそれぞれの検出エリア内に配置された状態で物理的玩具が配置されているかを判断するように構成することができる。従って、データ処理システムは、識別要素の検出されたサブセットに応答するとともに、検出されたサブセットが同じ検出エリア内で検出されたか、それとも検出されたサブセットのそれぞれの識別要素が異なる検出エリア内で検出されたかに任意に応答して、デジタルゲームプレイを制御するように構成することができる。
【0013】
一般に、検出されたサブセットに応じたデジタルゲームプレイの制御は、検出されたサブセットに関連するデジタルコンテンツへのアクセスを提供すること、検出されたサブセットに応答してデジタルキャラクタ又はデジタルアイテムの挙動を制御すること、ユーザ制御可能なデジタルキャラクタがユーザ入力に反応する方法を修正することなど、及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
本開示は、上述した及び後述する第1の態様によるゲームシステムと、後述するさらなる態様による付加的なゲームシステムとを含む様々な態様、並びに対応する装置、システム、方法及び/又は製品に関する。各態様は、上述した第1の態様又は他の態様のうちの1つに関連して説明する利点及び長所のうちの1つ以上をもたらすことができ、各態様は、他の態様のうちの1つに関連して説明する、及び/又は添付の特許請求の範囲に開示する実施形態に対応する1以上の実施形態を有する。
【0015】
具体的には、本明細書では、第2の態様において、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 物理的玩具と、
- 検出エリア内における玩具の存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
物理的玩具は、検出装置の検出エリア内に配置されたときに検出装置に情報を送信するように構成され、物理的玩具は、入力を検出するように構成されたセンサを含み、物理的玩具は、検出された入力に応答して、前記送信する情報を変更するように構成され、データ処理システムは、物理的玩具によって送信された情報を示す検出信号を検出装置から受け取り、受け取った検出信号に応答して前記デジタルゲームプレイを制御するように構成された、ゲームシステムの実施形態を開示する。
【0016】
センサは、例えば押しボタン、引きボタン、回転式アクチュエータ、線形スイッチ、ターミネータコネクタ、加速度計などのユーザ制御可能なアクチュエータなどの、ユーザ制御可能な入力とすることができる。或いは、センサは、例えば、光センサ、音響センサ、トランスデューサ、温度計、近接センサ、振動/震えセンサ、回転センサ、圧力センサ、力センサ、ジャイロセンサ、GPS装置、磁場センサ、赤外線センサ、無線周波数信号センサなどの、環境条件を検出するセンサとすることもできる。
【0017】
送信する情報は、様々な方法で変更することができる。例えば、第1の態様に関連して説明したように、物理的玩具は、例えば検出装置の接触面上などの検出装置の所定の近傍に配置されたときに検出装置の検出エリア内に選択的に移行できる1又は複数の識別要素を含むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、例えば識別要素又はその一部を電源及び/又は通信回路及び/又はアンテナなどに対して選択的に接続/切断することによって、1以上の識別要素又はその一部を選択的に無効化及び有効化することもできる。さらにこれとは別に、又はこれに加えて、物理的玩具は、例えば第1の態様に関連して説明したように、情報を記憶するメモリを有する1以上の識別要素を含むこともでき、従って識別要素は、記憶されている情報を検出装置に送信するように、及びセンサによって検出された入力に応答して、記憶されている情報を変更するように構成することができる。
【0018】
物理的玩具は、例えば玩具組立モデルなどの合体した構造体とすることができ、例えば第1の態様に関連して説明したように、相対的に移動可能な第1及び第2の部品を任意に有することもできる。
【0019】
検出装置は、例えば第1の態様に関連して説明したように、1以上の検出エリアを含むことができる。
【0020】
本明細書では、第3の態様において、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 2以上の識別要素と、
- 2以上の検出エリアを含み、検出エリアの各々における識別要素のうちの少なくとも1つの存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
データ処理システムは、それぞれの検出エリアにおける識別要素のうちの2以上の識別要素の存在を示す入力信号を検出装置から受け取り、2以上の識別要素が検出エリアのうちの同じ検出エリア内で検出されたか、それとも異なる検出エリア内で検出されたかに応答して前記デジタルゲームプレイを制御するように構成された、ゲームシステムを開示する。
【0021】
識別要素は、同じ物理的玩具又は複数のそれぞれの物理的玩具に含めることができる。各物理的玩具は、例えば玩具組立モデルなどの合体した構造体とすることができ、例えば第1の態様に関連して説明したように、相対的に移動可能な第1及び第2の部品を任意に有することもできる。例えば、ユーザが、検出装置の単一の検出エリア内又は異なる検出エリア内に、2つの別個の物理的玩具又は単一の物理的玩具に含めることができる2つの識別要素を配置すると、データ処理システムは、識別要素が同じ検出エリア内に位置するか、それとも異なる検出エリア内に位置するかに応答してゲームプレイを制御することができる。例えば、それぞれが識別要素を含みそれぞれが生物に類似する2つの物理的玩具をユーザがそれぞれの検出エリアに配置した場合、データ処理システムは、デジタルゲームプレイに2匹のデジタル生物を取り込むことができる。いくつかの実施形態では、この2匹の生物をそれぞれの領域に取り込んだり、又はそれぞれのプレイヤに関連付けたり、又はユーザが互いに独立して制御できるようにしたりすることができる。一方で、ユーザが同じ2つの玩具を同じ検出エリア内に配置した場合、データ処理システムは、例えば1匹の生物、大型の生物、進化した生物及び/又は異なる能力を有する生物などを取り込むことなどの異なる方法でデジタルゲームプレイを制御することができ、或いはユーザが対の形でのみ制御できる、又は互いに協働するように制御できる一対の生物などを取り込むことができる。
【0022】
本明細書では、第4の態様において、
- ユーザがデジタルゲームプレイを行えるようにするプログラム命令を実行するように構成されたデータ処理システムと、
- 1以上の識別要素と、
- 2以上の検出エリアを含み、検出エリアの各々における識別要素の存在を検出するように構成された検出装置と、
を備え、
デジタルゲームプレイは、2以上の領域を含むデジタル環境を含み、ユーザ制御可能なキャラクタによって領域を探索することができ、データ処理システムは、検出エリアのうちの第1の検出エリアにおいて識別要素を検出したことに応答して、前記領域のうちの第1の領域におけるゲームプレイを制御し、検出エリアのうちの第2の検出エリアにおいて識別要素を検出したことに応答して、前記領域のうちの第2の領域におけるゲームプレイを制御するように構成された、ゲームシステムを開示する。
【0023】
デジタル環境は、例えばユーザ制御可能なデジタルキャラクタなどのデジタルキャラクタが動き回ることができる、風景、構造、建物及び/又はその他の形の空間を含むことができる。デジタルキャラクタが一方の領域から他方の領域に移動できるように、異なる領域を相互接続することもできる。いくつかの実施形態では、領域への1以上の入口、及び/又は領域からの1以上出口が存在することができる。領域への入口は、ゲート、ドア、階段、橋及び/又は通路などの、入口を示す構造又はアイテムを含むことができる。
【0024】
従って、検出装置のそれぞれの検出エリアは、このような領域のそれぞれに関連することができる。このような関連性は、恒久的なものとすることも、或いはユーザ入力、ゲームイベントなどに応答してゲームプレイ中に変化することもできる。例えば、データ処理システムは、検出エリアの1つにおける識別要素の存在を検出すると、この検出エリアに現在関連しているデジタル環境の領域内に、検出された識別要素に対応するデジタルキャラクタ又はアイテムを登場させることができる。識別要素は、例えば上記の態様のうちの1つに関連して説明したように、物理的玩具と相互接続することができる。識別要素は、例えば他の態様の1つに関連して説明したように、例えばメモリに記憶された情報を含むことができる。
【0025】
第4の態様、及び/又は他の態様のいくつかの実施形態によれば、検出装置は、例えば上記の態様のうちの1つ以上に関連して説明したような2以上の検出エリアを含む。デジタル環境の領域のそれぞれには、検出エリアの各々又は一部のみを関連付けることができ、2つの検出エリアにおいてそれぞれの識別要素が検出されると、データ処理システムは、例えば一方の領域から他方の領域への近道などの通路を開放することなどによって両方の領域に影響を与えるようにデジタルゲームのプレイを制御することができる。それぞれの識別要素は、同じ物理的玩具又は別個の玩具要素に含まれる識別要素とすることができる。識別要素は、例えば本明細書に開示する他の態様のうちの1つ以上に関連して説明するように、関連する共通の識別子を有することも、或いは異なる識別子又は別様に異なる情報を含むこともできる。
【0026】
一般に、本明細書で説明する各態様のいくつかの実施形態では、識別要素を、この識別要素に1以上の他の玩具組立要素を機械的に接続してユーザによる玩具組立モデルの組み立てを可能にするように構成された1以上のコネクタを含む玩具組立要素とすることができる。従って、ユーザは、識別要素に1以上の玩具組立要素を取り付けることにより、識別要素に接続された物理的玩具組立モデルの視覚的外観を変更することができる。この結果、ユーザは、玩具組立モデルの視覚的外観を、所定の物理的オブジェクトがどの仮想オブジェクトに対応するかをさらに容易に認識できるように適合させることができる。
【0027】
さらに、所与の識別要素は、容易に認識可能な特定の外観を有する必要がなく、ユーザが容易にカスタマイズできる汎用要素として提供することができる。これにより、識別要素の製造コストが削減される。
【0028】
さらに、例えば新たなタイプの仮想オブジェクトが追加された際にも既存の識別要素を再利用することができるので、ゲームシステムを容易に維持することができる。
【0029】
結果として得られるゲームシステムの実施形態は、ゲームシステムが検出すべき物理的オブジェクトの高度な設計自由度をユーザに提供できるので、面白いゲームプレイをさらに提供する。
【0030】
玩具組立要素は、1以上の異なるタイプの相互接続可能な玩具組立要素を含む玩具組立システムの玩具組立要素とすることができる。玩具組立要素は、既存の玩具組立システムの要素とすることができる。従って、ユーザは、既存の玩具組立要素を再利用して、仮想環境内の仮想オブジェクトに対応する物理的玩具を組み立てることができる。それにも関わらず、ゲームシステムは、玩具組立要素を互いに、及び/又は識別要素と取り外し可能に相互接続するように構成された1以上のコネクタをそれぞれが含む複数の玩具組立要素を含むことができる。例えば、玩具組立セットは、ゲームシステムの1以上の仮想オブジェクトに類似する玩具組立モデルをユーザが組み立てられるように、十分な数、形状及びサイズの玩具組立要素を含むことができる。
【0031】
本明細書で説明する各態様のいくつかの実施形態では、玩具組立要素のうちの1つ以上が、上面と、底面と、玩具組立要素を垂直方向に積み重ねられるように上面及び底面の少なくとも一方に配置されたコネクタとを有する。これとは別に、又はこれに加えて、玩具組立要素は、玩具組立要素を横方向/水平方向に相互接続できるように、その1以上の側面にもコネクタを含むことができる。玩具組立要素は、上面と底面との間に、均一な高さ、又は均一な高さの整数倍を定めることができる。
【0032】
コネクタは、各組立要素と、この組立要素に対して離散的な数の所定の相対的配向にある別の組立要素との相互接続を可能にするように構成することができる。この結果、組立要素の相互接続性を確保しながら様々な考えられる組立オプションが利用可能になる。コネクタは、規則的なグリッドのグリッド点上に位置することができ、具体的に言えば、玩具組立要素のコネクタは、一組の相互接続された玩具組立要素のコネクタが規則的な3次元グリッドのグリッド点上に位置するように配置することができる。玩具組立要素の寸法は、規則的なグリッドによって定められる単位長の整数倍として定めることができる。3次元グリッドは、1つの単位長及び2つの単位長によって定めることができ、例えば、2つの空間次元では1つの単位長が適用可能であり、第3の空間次元では他の単位長が適用可能であると理解されるであろう。さらに、3次元グリッドでは、各空間次元に1つずつの3つの単位長を定めることができる。
【0033】
コネクタは、組立要素を他の組立要素と取り外し可能に接続するためのあらゆる好適な機構を利用することができる。いくつかの実施形態では、コネクタが、互いに嵌め込み係合するように構成された、例えばプラグソケット式又は雄雌式などの2以上のタイプのコネクタを含む。玩具組立要素の異なる表面は、それぞれのタイプのコネクタを含むことができる。いくつかの実施形態では、コネクタが、1以上の突起部と1以上の空洞部とを含み、各空洞部は、少なくとも1つの突起部を摩擦係合の形で受け入れるように適合される。
【0034】
本明細書に開示する態様のうちの1つによるゲームシステムのいくつかの実施形態では、ユーザが、限定された一連の異なるタイプの玩具組立要素を用いて、一様な良好に構成された形で様々な玩具組立モデルを組み立てることができる。いくつかの実施形態では、ゲームシステムが複数の玩具組立要素を含み、データ処理システムを、複数の玩具組立要素から組み立てることができる玩具組立モデルに類似する仮想オブジェクトを形成するように構成することができる。この結果、ユーザは、識別要素を含む玩具組立モデルを、関連する仮想オブジェクトに類似するように組み立てることができる。従って、ユーザは、物理的玩具組立モデルがどの仮想オブジェクトを表すかを容易に認識することができる。類似の度合いは様々とすることができると理解されるであろう。例えば、データ処理システムが提示する仮想オブジェクトの表現は、玩具組立要素から組み立てられた組立モデルを描くことができる。いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトの表現が、任意に識別要素の表現の有無に関わらず、玩具組立モデルを組み立てるためにゲームシステムに含まれている組立要素と同じ組立要素から組み立てられた玩具組立モデルを描くことができる。他の実施形態では、仮想モデルの表現が、所与のオブジェクトのさらに詳細な又は現実的な形状を提供するさらに多くの数の玩具組立要素から組み立てられた大型モデルを描くことができる。さらに他の実施形態では、仮想表現を、個々の玩具組立要素を描くことなくアニメーションオブジェクトとして描くことができる。
【0035】
検出装置は、その検出エリア内における物理的玩具又は他のタイプの識別要素の存在を検出するのに適したあらゆる機構を使用することができる。検出機構は、識別要素の電気的接続を必要とすることも、或いは無線周波数信号、光学検出及び/又は別の検出技術に基づく非接触型検出機構とすることもできる。通常、検出エリアのサイズ及び/又は形状は、使用する検出技術と、その検出技術を実装する検出装置とによって定められる。検出装置は、データ処理システムの一体部分とすることも、或いは有線接続又は無線接続を介してデータ処理システムに接続できるコンピュータ周辺機器などの別個の装置とすることもできる。本明細書では、検出装置のいくつかの実施形態が、物理的玩具又は別のタイプの識別要素に関連する情報にアクセスするので、検出装置をリーダとも呼ぶ。検出装置は、識別要素に電気的に接続するための電気コネクタ、或いは識別要素を非接触的に検出するためのアンテナ又はその他のセンサを含むことができる。従って、第1の例では、電気コネクタが検出エリアを定めることができ、第2の例では、アンテナ又はその他の非接触センサの受信範囲が検出エリアを定めることができる。検出装置は、識別要素を検出目的で配置できる検出面又は接触面を定めることができ、いくつかの実施形態では、検出装置を、識別要素が表面に接して配置された時、及び/又は、例えば表面から5cm以内などの10cm以内の表面のごく近くに(近接して)配置されたときにのみ識別要素を検出するように構成することができる。従って、この表面は、検出エリアを定めることができる。検出面/接触面は、例えば検出装置のハウジングの上面などの外面とすることができる。さらに、この検出技術では、データ処理システムが、物理的玩具又は別のタイプの識別要素に含まれる情報に検出装置を介してアクセスすることもできる。或いは、情報アクセスに別個の技術を使用することもでき、例えば、情報アクセス技術として、無線周波数データ通信、有線データ通信及び/又は光情報アクセス技術などを使用することができる。いくつかの実施形態では、これらの検出技術及び/又は情報アクセス技術が、例えば識別要素に含まれている情報を変更、置換及び/又は補足するようにデータ処理システムが識別要素に情報を通信できる双方向技術である。いくつかの実施形態では、これらの検出及び情報アクセスが、近距離無線通信(NFC)又は無線周波数識別(RFID)に基づく。
【0036】
いくつかの実施形態では、検出装置が、検出機構を実装するプロセッサ及び/又はその他の回路と、識別要素との間の通信インターフェイスとを含む。プロセッサ及び/又はその他の回路は、データ処理システムとの間の通信インターフェイスをさらに実装することができる。検出装置は、玩具組立要素を検出装置に機械的に接続して、例えば仮想環境に関連する風景、競技場、門、又はその他の構造に類似するモデルなどの、一体部分としての検出装置を含む玩具組立モデルをユーザが組み立てられるようにするためのコネクタを含むことができる。従って、識別要素を含む玩具組立モデルを検出装置の検出エリア内に配置することは、玩具組立モデルを風景、競技場内などに配置することに類似する。
【0037】
いくつかの実施形態では、玩具組立システムのコネクタを使用して、物理的玩具を検出装置に取り外し可能に接続することができる。従って、検出装置の(単複の)検出エリアに対する物理的玩具の少なくとも第1の部品の位置は固定することができる。この結果、物理的玩具が、第1の部品に対して移動可能に配置された、識別要素を含む第2の部品を含む場合、制御された信頼できる形で識別要素を検出エリアの内外に動かすことができる。検出装置のコネクタは、例えば検出装置のハウジングの上面又は側面などの、1以上の検出エリアを含む表面の一部に含めることができる。
【0038】
一般に、検出エリアに対する識別要素の動きは、検出エリアと識別要素との間の距離の変化、及び/又は識別要素とセンサとの間の相対的配向の変化を含むことができる。例えば、検出エリア内における識別要素の検出は、所定の検出範囲を有するセンサによって行うことができる。従って、識別要素の動きは、センサの検出範囲の内外への識別要素の動きを含むことができる。同様に、センサは、例えば主な検出方向などの検出方向を定めることができる。例えば、RFIDリーダの場合には、センサが、検出エリア内又はその下方に配置されたコイルアンテナを含むことができ、このコイルアンテナが、例えば検出面に垂直な方向などの検出面から外への方向のようなコイルの軸方向を定めることができる。識別要素は、識別方向を定めることもでき、識別要素の動きは、識別方向と検出方向とを整列させることを含むことができる。例えば、RFID識別要素の場合、識別要素は、軸方向を定めるコイルアンテナを含むこともできる。センサアンテナの軸方向と識別要素のアンテナの軸方向とを整列させると、センサが識別要素を検出できるようになる。同様に、第2の識別要素に対する第1の識別要素の動きは、識別要素間の距離の変化、及び/又はそれぞれの識別要素の識別軸の相対的配向などの相対的配向の変化を含むことができる。例えば、2つの識別要素を動かすことにより、これらの識別軸を選択的に互いに実質的に平行にさせ、又は実質的に直交させることができる。
【0039】
データ処理システムは、識別要素と仮想オブジェクトとの間の関連性を形成するように構成することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、データ処理システムを、
- 検出エリア内における識別要素の存在を検出し、
- 仮想環境内の仮想オブジェクトと検出された識別要素との間の関連性を形成し、
- 再び識別要素が検出エリア内に配置されたときに、識別要素に関連する情報にアクセスし、
- このアクセスされた情報に基づいて、関連する仮想オブジェクトの表現を提示し、
- 仮想オブジェクトの表現を制御することを含むプレイパターン手順を実行する、
ように構成することができる。
【0040】
この関連性は、例えば識別要素に関連する仮想オブジェクトの選択を示すユーザ入力などのゲームイベントに少なくとも部分的に応答して形成することができる。ゲームイベントは、現在の仮想オブジェクトの進化版又は全く新しいタイプの仮想オブジェクトなどの新たな仮想オブジェクトを解放することを含むことができる。ゲームイベントは、ゲームが特定のステージに達したこと、プレイヤが特定数のクレジット、ゲーム内通貨又はその他タイプの報酬などを獲得したこと、ユーザが利用可能な仮想オブジェクトのリストから新たな仮想オブジェクトを選択したことなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、データ処理システムが、ゲームイベントに応答して、識別要素と仮想オブジェクトとの間の既存の関連性を新たな仮想オブジェクトと識別要素との間の新たな関連性に置き換えることにより、検出エリア内における識別要素の存在を再び検出したときに、この新たな仮想オブジェクトの表現を提示して、新たな仮想オブジェクトの表現を制御することを含むプレイパターン手順を実行するように構成される。この結果、ユーザは、識別要素を一連の仮想オブジェクトに関連付けることができる。従って、ユーザは、識別要素を使用して、それぞれが関連するそれぞれの仮想オブジェクトを有する異なる玩具組立モデルを選択的に組み立てることができる。
【0041】
本明細書で説明する様々な態様は、例えばデータ処理システムが仮想オブジェクトを制御するコンピュータ生成仮想環境を含む様々なコンピュータ実装型デジタルゲームと共に実装することができる。ユーザがデジタルゲームプレイに参加できるようにするプログラム命令を、例えばビデオゲームアプリケーションの形で提供することができる。一般に、仮想オブジェクトは、生物オブジェクト又は非生物オブジェクトとすることができる。仮想オブジェクトは、完全に自律的なオブジェクト、或いはその動作が部分的に又は完全にユーザ入力に応答するオブジェクトとすることができる。非生物仮想オブジェクトの例としては、建物、車両、武器又はその他の装備品又は設備などが挙げられる。仮想オブジェクトは、仮想環境内で静止していることも、又は移動可能とすることもできる。例えば、オブジェクトは、仮想キャラクタが持ち運び、装着し、又は別様に動かすことも、及び/又はユーザによって動かされるように制御することもでき、例えば、自動車のレーシングゲームでは、自動車又はその他の車両が制御される。仮想オブジェクトは、ドアなどの可動部分及び/又はその他の修正可能な部分を含むことができる。
【0042】
仮想オブジェクトは、人間に近いキャラクタ、動物に近いキャラクタ、空想上の生物などの仮想キャラクタ又はその他の生物オブジェクトを表すことができる。いくつかの実施形態では、物理的世界における対応物が非生物である、例えば自動車などの仮想オブジェクトを、仮想環境内において生物仮想オブジェクト又はキャラクタとして使用することができる。従って、いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトが仮想キャラクタであり、いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトが非生物オブジェクトである。
【0043】
仮想キャラクタは、仮想環境内を動き回ることによって、仮想環境内に存在する他の仮想キャラクタ及び/又は非生物オブジェクト及び/又は仮想環境自体と相互作用し、又は一般的にはこれらに関与することによって、及び/又は仮想環境内で別様に発展し、例えば成長し、老化し、能力又は属性などを発達させ又は失うことによって挙動を示す。一般に、仮想オブジェクトは、例えばゲームプレイ又は仮想環境の他の展開に影響を与える1以上の能力などの属性を有することができる。例えば、自動車は、特定の最大速度を有することができ、或いはオブジェクトは、仮想キャラクタが仮想オブジェクトと相互作用できるかどうか、又はどのように相互作用できるかなどを決定する属性を有することができる。
【0044】
従って、ユーザがデジタルゲームプレイに参加できるようにするコンピュータ生成仮想環境は、データ処理システム上で実行されてデータ処理システムに仮想環境を生成させるとともに、仮想環境内の1以上の仮想キャラクタの挙動及び/又は1以上の仮想オブジェクトの属性を含む仮想環境の展開を経時的にシミュレートさせるコンピュータプログラムによって実装することができる。コンピュータ生成仮想環境は、持続的なものとすることができ、すなわちユーザセッション間などにユーザが相互作用していない時でも展開し続けることができる。別の実施形態では、仮想環境が、ユーザが相互作用している間に限って、例えば有効なユーザセッション中にのみ展開することができる。仮想オブジェクトは、少なくとも部分的にユーザが制御することができ、すなわちデータ処理システムは、受け取ったユーザ入力に少なくとも部分的に基づいて仮想オブジェクトの挙動を制御することができる。コンピュータ生成仮想環境は、シングルユーザ環境又はマルチユーザ環境とすることができる。マルチユーザ環境では、複数のユーザが、例えば仮想環境内でそれぞれの仮想キャラクタ又はその他の仮想オブジェクトを制御することによって同時に仮想環境と相互作用することができる。コンピュータ生成仮想環境、及びとりわけ持続的なマルチユーザ環境は、仮想世界と呼ばれることもある。ゲームシステムでは、仮想環境内でユーザが1以上の仮想キャラクタを制御できるコンピュータ生成仮想環境が頻繁に使用される。ユーザが制御する仮想キャラクタは、「プレイヤ」と呼ばれることもある。本明細書で説明する態様の少なくともいくつかの実施形態は、ゲームプレイ以外の環境で使用することもできると理解されるであろう。コンピュータ生成仮想環境の例としては、以下に限定するわけではないが、例えばスキルを必要とするゲーム、アドベンチャーゲーム、アクションゲーム、リアルタイム戦略ゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲームなどのビデオゲーム、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0045】
ゲームシステムは、仮想環境内の仮想キャラクタなどの1以上の仮想オブジェクトの表現を含む仮想環境の表現を提示することができる。仮想環境及び/又は仮想オブジェクトは、データ処理システムのディスプレイ上に2次元又は3次元グラフィック表現として提示することができる。ユーザは、コンピュータ生成仮想環境にアクセスしてグラフィック表現を眺め、及び/又はコンピュータ生成仮想環境と相互作用することができる。
【0046】
一般に、物理的玩具又は別のタイプの識別要素に関連する情報は、識別要素の識別子を含むことができる。従って、データ処理システムは、この識別子を仮想玩具組立要素の識別子に関連付けて記憶することによって仮想オブジェクトとの関連性を形成することができる。データ処理システムは、この関連性をデータ処理システムの記憶装置に、或いはデータ処理システムが別様にアクセスできる記憶装置に記憶することができる。データ処理システムの記憶媒体、又はデータ処理システムがアクセスできる記憶媒体は、データ処理システムに含まれる又は接続されたメモリ又は記憶装置とすることができる。これとは別に、又はこれに加えて、データ処理システムは、仮想オブジェクトの識別子を識別要素のメモリに記憶することもできる。識別要素のメモリは、EPROM、EEPROM、NVRAMなどのあらゆる好適な記憶媒体を含むことができる。メモリは、読み出し専用とすることも、又は書き換え可能とすることもできる。
【0047】
いくつかの実施形態では、識別要素に関連する情報が、仮想オブジェクトの識別子などの仮想オブジェクトに関する情報を含むことができる。従って、データ処理システムは、仮想オブジェクトに関する情報を識別要素のメモリに記憶することによって仮想オブジェクトとの関連性を形成することができる。例えば、識別要素のメモリは、識別要素に関連する仮想オブジェクトの識別子を含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、データ処理システムが、仮想オブジェクトに類似する、又は別様に仮想オブジェクトを表す、識別タグ要素に接続可能な玩具組立モデルをゲームシステムの玩具組立要素から組み立てるための組立指示を提示するように構成される。この結果、ゲームシステムは、仮想オブジェクトに類似する、又は別様に仮想オブジェクトを表す玩具組立モデルを組み立てる上でユーザを支援する指針を提供する。この組立指示は、例えばアニメーション、ビデオ、一連の写真、テキストとして、及び/又はこれらの組み合わせなどのあらゆる好適な形で提示することができる。例えば、組立指示は、ゲームイベント及び/又はユーザ入力に応答して提示することができる。
【0049】
ゲームシステムは、複数の識別可能な物理的玩具及び/又は他の複数の識別要素を含むことができる。ゲームシステムは、ゲームシステムにおいて使用する複数の玩具組立モデルをユーザが組み立てられるようにする複数の玩具組立要素をさらに含むことができる。しかしながら、ゲームプレイのあらゆる時点であらゆる識別要素を自由に使用するユーザの自由を制限することが望ましい場合もある。例えば、ユーザは、以前に組み立てた玩具組立モデルを分解し、最近解放された仮想オブジェクトに類似する新たな玩具組立モデルを組み立てる目的で、対応する識別要素を再利用することを別様に選択することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトの使用が、その仮想オブジェクトが関連していた識別要素の検出を条件とする場合もあるので、分解したばかりの玩具組立モデルが後でゲームプレイを完了するためにユーザにとって必要になることもある。従って、ユーザは、再び仮想オブジェクトを使用できるようになるために、識別要素との対応する新たな関連性を形成することが必要になる場合もあり、結果としてゲーム体験に不満を抱く可能性がある。いくつかの実施形態では、ゲームシステムが、それぞれがそれぞれに関連する情報を含む第1及び第2の識別要素を含み、データ処理システムは、少なくとも第1の識別要素を検出したことに応答して1以上の新たな仮想オブジェクトを解放/有効化するように構成され、第2の識別要素は、ユーザが玩具組立モデルを組み立てられるように第2の識別要素に1以上の玩具組立要素を接続するように構成された1以上のコネクタを含み、データ処理システムは、同じ又は異なる検出エリア内で第1及び第2の識別要素を検出したことに少なくとも応答して、解放された仮想オブジェクトのうちの1つと第2の識別要素との間の関連性を形成するように構成される。この結果、システムは、一連の識別要素のうちの選択された識別要素を使用する上でユーザを効果的に導く機構を提供する。具体的には、第2の識別要素との関連性の形成に(既存の関連性を有する)第1の識別要素の存在も必要になるので、既存の関連性がうっかり上書きされるのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、第1の識別要素が仮想キャラクタに関連し、第2の識別要素が、仮想キャラクタが使用する装備品などの非生物オブジェクトに関連する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ゲームシステムが、第1の検出エリアと、第1の検出エリアとは異なる第2の検出エリアとを定める検出装置を含む。検出装置は、第1の検出エリア内で検出された識別要素に関連する情報にアクセスするように構成できるとともに、この識別要素に関連する情報を第2の検出エリア内で検出された識別要素に送信して記憶させるようにさらに構成することができる。従って、第1の検出エリアは、例えば読み取り専用領域などの読み取り領域とすることができ、第2の検出エリアは、書き込み専用領域、又は識別要素との間における情報の読み取り及び書き込みの両方を可能にする領域などの書き込み領域とすることができる。識別要素の少なくともいくつかは、各検出エリア上に選択的に配置され、各検出エリアを介して検出装置と相互作用することができる。情報の検出専用及び書き込み専用のための別個の検出エリアをそれぞれ設けることにより、ユーザが識別要素の情報を誤って上書きしたり、或いは誤った識別要素を読み取らせたりするリスクが低減される。データ処理システムを、識別要素が第2の検出エリア内に配置されて、別の、例えば所定の識別要素が第1の検出エリア内で検出されたときにのみ前者の識別要素に情報を送信して記憶させるように構成すると、このリスクをさらに低減することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの識別要素が一定の仮想オブジェクトに関連し、例えば関連する仮想オブジェクトに関する情報を識別要素のリードオンリメモリに記憶することによってユーザがその関連性を変更できないようにする。他の識別要素は書き換えることができ、すなわちこれらの関連性をユーザが変更することができる。いくつかの実施形態では、ゲームシステムが、ユーザが非生物仮想オブジェクトと識別要素との間の関連性のみを変更することができ、識別要素と仮想キャラクタとの間の関連性は一定/読み取り専用であるように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、識別要素が、玩具組立モデルを支持するとともにゲームシステムの検出エリア内に玩具組立モデルを配置するためのベースプレートの形態を有する。ベースプレートは、その上面に、ユーザがベースプレートの上部に1以上の玩具組立要素を配置して接続できるようにする1以上のコネクタを含むことができる。ベースプレートは、例えばプロセッサ、アンテナ、メモリ及び/又はRFID回路などのうちの1つ以上を含む電子回路を含むことができる。
【0052】
データ処理システムは、コンピュータ可読媒体を含み、又はコンピュータ可読媒体に接続することができ、ここからCPUなどのプロセッサにコンピュータプログラムをロードして実行させることができる。従って、コンピュータ可読媒体は、データ処理システム上で実行されたときに、本明細書で説明した方法のステップをデータ処理システムに実行させるように適合されたプログラムコード手段を記憶することができる。データ処理システムは、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、PDA、ゲーム機、ゲーム装置、又はグラフィカルユーザインターフェイスを有する別のプログラム可能なコンピュータ装置などの好適にプログラムされたコンピュータを含むことができる。いくつかの実施形態では、データ処理システムが、例えばユーザインターフェイスを含むクライアントシステムと、仮想環境を形成して制御できるホストシステムとを含むことができる。クライアントシステムとホストシステムは、インターネットなどの好適な通信ネットワークを介して接続することができる。
【0053】
ここでの、及び以下でのプロセッサという用語は、本明細書で説明する機能を実行するように好適に適合されたいずれかの回路及び/又は装置を含むように意図される。具体的には、この用語は、中央処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路などの汎用又は専用プログラマブルマイクロプロセッサ、又はこれらの組み合わせを含む。
【0054】
さらに、本開示は、データ処理システムを操作する方法にも関し、この方法は、データ処理システムによって実行されるものとして本明細書に開示するステップの一部又は全部を実行することを含む。さらに、本開示は、プログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品にも関し、このプログラムコード手段は、データ処理システム上で実行されたときに、データ処理システムによって実行される本明細書で説明した方法のステップをデータ処理システムに実行させるように適合される。
【0055】
コンピュータプログラム製品は、CD-ROM、DVD、光ディスク、メモリカード、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、フロッピーディスク、ハードディスクなどのコンピュータ可読媒体として提供することができる。他の実施形態では、コンピュータプログラム製品を、インターネット又は他のコンピュータネットワーク又は通信ネットワークを介してダウンロードするための、例えばウェブサーバ上のダウンロード可能なソフトウェアパッケージ、或いはアプリストアからモバイル装置にダウンロードするためのアプリケーションとして提供することができる。
【0056】
さらに、本開示は、複数の玩具組立要素と1以上の識別要素とを含む玩具組立セットにも関する。この玩具組立セットは、本明細書で説明するようなコンピュータプログラム製品、及び/又は本明細書で説明するようなコンピュータプログラム製品を取得するための命令を記憶する記憶媒体をさらに含むことができる。例えば、この命令は、インターネットアドレス、又はアプリストアへの参照などの形で提供することができる。玩具組立セットのいくつかの実施形態は、例えばUSBインターフェイスなどの有線又は無線インターフェイスを介して従来のコンピュータに接続できる周辺装置などの検出装置をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図6】本明細書で説明するゲームシステムの使用シナリオの例を示す。
【
図7】ゲームシステムの実施形態の別の動作例を示す。
【
図9】玩具組立モデルを取り外し可能に取り付けた
図8のリーダを示す。
【
図10】
図A、Bは、複数の識別要素を含む物理的玩具の例を示す。
【
図11】
図A~Cは、複数の識別要素を含む物理的玩具の例を示す。
【
図12】
図A~Cは、押しボタンを含む玩具の例を示す。
【
図15】
図A~Cは、センサを含む玩具の別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、ブロックの形の玩具組立要素を参照しながら、本明細書に開示するゲームシステム及び玩具組立システムの様々な態様及び実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、玩具組立セットにおいて使用される他の形の組立要素にも応用することができる。
【0059】
図1に、上面における結合スタッドと、底部からブロック内に延びる空洞部とを含む玩具組立要素を示す。米国特許第3,005,282号に開示されるように、空洞部は中心チューブを有し、空洞部内には、別のブロックの結合スタッドを摩擦係合で受け入れることができる。
図2及び
図3には、このような先行技術の他の組立要素を示す。残りの図に示す組立要素も、この協働するスタッド及び空洞部の形の既知のタイプのコネクタを有する。しかしながら、スタッド及び空洞部に加えて、又はこれらに代えて、他のタイプのコネクタを使用することもできる。結合スタッドは、平面正方形グリッド状に配置され、すなわち一連の結合スタッドが配置される直交方向を定める。隣接する結合スタッド間の距離は均一であり、両方向において等しい。結合位置において規則的な平面グリッドを定めるこの又は同様のコネクタの配置は、玩具組立要素の相対的に離散的な数の位置及び配向における、とりわけ相対的に直角な相互接続を可能にする。
【0060】
図4には、ゲームシステムの実施形態を示す。このシステムは、コンピュータ401と、コンピュータに接続された入力装置402と、コンピュータに接続されたディスプレイ403と、コンピュータに接続されたリーダ404と、複数の識別要素407、408と、複数の玩具組立要素409、410とを含む。
【0061】
コンピュータ401は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ又はスマートフォンなどのハンドヘルド型コンピュータ、ゲーム機、ハンドヘルド型娯楽装置、又は他のいずれかの好適にプログラム可能なコンピュータとすることができる。コンピュータ401は、中央処理装置(CPU)などのプロセッサ411と、メモリ及び/又はハードディスクなどの1以上の記憶装置412とを含む。
【0062】
ディスプレイ403は、コンピュータ401に動作可能に結合され、コンピュータ401は、ディスプレイ403上に仮想環境のグラフィック表現を提示するように構成される。ディスプレイは、
図4には別個のコンポーネントとして示しているが、コンピュータのハウジング内に統合することもできると理解されるであろう。
【0063】
入力装置402は、コンピュータ401に動作可能に結合され、ユーザ入力を受け取るように構成される。例えば、入力装置は、キーボード、マウス又はその他のポインティングデバイス、及び/又は同様のものを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムが複数の入力装置を含む。いくつかの実施形態では、入力装置を、例えばタッチ画面の形でコンピュータ及び/又はディスプレイに統合することもできる。システムは、コンピュータに統合されたものなどの、コンピュータに動作可能に結合されたさらなる周辺コンピュータ装置を含むこともできると理解されるであろう。
【0064】
リーダ404は、1以上の識別要素を検出することができる。この目的のために、リーダは、2つの検出エリア405及び406をそれぞれ定め、これらの検出エリアの一方に識別要素が位置するときにこれを検出することができる。リーダは、1以上のRFID回路413と、検出エリアの一方に配置された識別要素を検出できる、対応する1以上のアンテナとを含む。或いは、リーダは、異なる検出技術及びデータ通信技術を採用することもできる。いくつかの実施形態では、リーダを、コンピュータ及び/又はディスプレイ及び/又は入力装置402に統合することもできる。
【0065】
識別要素407及び408は、上面にコネクタ414を含むベースプレートの形を有する。コネクタ414は、
図1~
図3に関連して説明した既知の組立要素と互換性がある。ゲームシステムは、例えば
図1~
図3に関連して説明したタイプの1以上の玩具組立要素409及び410をさらに含む。
図4には2つの組立要素を示しているが、ゲームシステムは、あらゆる数の組立要素を含むことができると理解されるであろう。一方の組立要素409は、
図1に関連して説明したブロックの形状を有し、他方の組立要素410は、人間のフィギュアの形状を有する。両組立要素は、識別要素のコネクタに接続するための、この例では空洞部であるコネクタを有する。両組立要素は、ユーザがさらなる組立要素を接続して複数の組立要素を含む玩具組立モデルを組み立てることを可能にするさらなるコネクタ415、417を有する。各識別要素は、情報を受け取って記憶することができるRFID回路418、419をそれぞれ含む。別の検出技術を使用する場合、識別要素は、対応する検出回路又は検出装置を含むことができる。具体的には、この記憶された情報によって、識別玩具組立要素に関連する仮想オブジェクトを識別することができる。いくつかの実施形態では、ゲームシステムに含まれる識別要素のうちの1つ以上を、所定の仮想オブジェクトを示す情報が予め記憶されるように製造することができる。これとは別に、又はこれに加えて、1以上の識別要素は、いずれかの特定の仮想オブジェクトに関する情報が予め記憶されないように製造することもできる。いくつかの実施形態では、ゲームシステムが、1以上の玩具識別要素を含むことができ、この場合、予め記憶された情報は読み取り専用であり、すなわち識別要素が一定の仮想オブジェクトに関連する。例えば、ゲームセットは、1以上の読み取り専用の識別要素と、1以上の書き換え可能な識別要素とを含むことができる。読み取り専用の識別要素と書き換え可能な識別要素は、互いに視覚的に区別することができ、例えば異なるサイズ、形状、色、デザインなどを有することができる。読み取り専用の識別要素は、ゲームの仮想キャラクタに関連付けることができる一方で、このゲームシステムでは、ユーザが、書き換え可能な識別要素を非生物仮想オブジェクトに関連付けることができる。
【0066】
ディスプレイ403、リーダ404及び入力装置402は、コンピュータに様々な形で動作可能に結合することができる。例えば、上記の装置のうちの1つ以上は、例えばUSBポートなどのコンピュータのシリアルポート又はパラレルポート、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、又は別の好適な無線通信インターフェイスなどの、コンピュータ401の好適な有線又は無線入力インターフェイスを介してコンピュータに結合することができる。或いは、1つ又は全ての装置をコンピュータに統合することもできる。例えば、コンピュータは、統合ディスプレイ及び/又は統合入力装置及び/又は統合検出装置を含むことができる。とりわけ、多くのタブレットコンピュータ及びスマートフォンは、ディスプレイ及び入力装置として動作可能な一体型タッチ画面を含む。
【0067】
コンピュータ401は、例えば仮想環境をシミュレートし、本明細書で説明する仮想オブジェクトを形成して制御するように適合された、アプリ又はその他のソフトウェアアプリケーションなどのプログラムを記憶する。
【0068】
いくつかの実施形態では、コンピュータ401が、例えばインターネット又は別の好適なコンピュータネットワークを介してホストシステムに通信可能に接続することができると理解されるであろう。この場合、本明細書で説明する処理の少なくとも一部をホストシステムによって実行することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ホストシステムが、複数のユーザがそれぞれのクライアントコンピュータからアクセスできる仮想世界などの仮想環境を生成してシミュレートすることができる。ユーザは、識別要素を検出して対応する仮想オブジェクトをクライアントシステム又はホストシステムに形成させる好適なプログラムを実行するクライアントコンピュータを使用することができる。この場合、ホストシステムは、仮想世界に仮想オブジェクトを追加し、仮想世界内で仮想オブジェクトを制御することができる。
【0069】
ユーザは、それぞれがベースプレートの形を有する各識別要素上でそれぞれの玩具組立モデルを組み立てることができる。或いは、異なる方法で玩具組立モデルに識別要素を組み込むこともできる。使用時には、ユーザが、例えば玩具組立モデルが接続された識別要素をリーダの検出エリア405上に配置すると、リーダが識別要素の存在を検出し、識別要素に情報が記憶されている場合にはその情報にアクセスする。アクセスされる情報は、識別要素がどの仮想オブジェクトに関連するかに関する情報を含み、或いは関連する仮想オブジェクトをコンピュータが別様に識別できるようにする。いくつかの実施形態では、この情報が、例えば以下でさらに詳細に説明するようなセンサへの入力などを示す追加情報を含む。コンピュータは、検出エリア405における識別要素の検出に応答して、関連する仮想オブジェクトの表現を仮想環境内に形成し又は別様に提示する。具体的には、コンピュータは、関連する仮想オブジェクトの表現をディスプレイ上に形成し、及び/又は仮想環境内に形成された仮想オブジェクトをユーザが制御又は別様に使用し、或いはこれに関与できるようにすることができる。
【0070】
例えば玩具組立モデルが接続された識別要素をユーザがリーダの検出エリア406内に配置すると、リーダは、識別要素の存在を検出して、ユーザが仮想オブジェクトに関する情報を識別要素に記憶できるようにする。従って、その後にユーザが検出エリア405上に識別要素を配置すると、コンピュータは、上述したように対応する仮想オブジェクトを形成し、又は有効にする。一般に、検出エリア406は、同時に1つの識別要素しか書き込めないように、ユーザが検出エリア406上に1つの識別要素しか配置できないような形状及び/又はサイズを有することができる。例えば、検出エリアは、識別要素の形状及びサイズに対応するサイズ及び形状を有する凹部として、すなわち凹部内に1つの識別要素を配置できるように形成することができる。この目的のために、検出エリア406は、検出装置のハウジングの上面内に窪むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、検出エリアの周囲に高くなった縁を形成することもできる。検出エリア405は、同時に複数の識別要素を検出できるような形状及びサイズを有することもできると理解されるであろう。
【0071】
いくつかの実施形態では、検出エリア406が、識別要素からの読み取り及び識別要素への書き込みのために、ただし検出エリア406に識別要素を配置すると、データプロセッサが識別要素に対してデータの読み取り又はデータの書き込みのいずれかのみを行うように選択的に使用される。例えば、識別要素は、複数の記憶エリアを含むことができ、及び/又は複数のタイプ/カテゴリの情報を記憶することができる。検出エリア405内に識別要素を配置すると、全ての記憶エリア及び/又はデータカテゴリの読み取りができるが、変更はできない。記憶エリア及び/又はデータカテゴリには、検出エリア406内に識別要素を配置したときに読み取りができて変更ができないものもあれば、書き込みができて読み取りができないものもある。
【0072】
図5に、ゲームシステムの別の実施形態を示す。
図5のシステムは、
図4のシステムに類似しており、コンピュータ401と、コンピュータに接続された入力装置402と、コンピュータに接続されたディスプレイ403と、コンピュータに接続されたリーダ404と、複数の識別要素407、408と、複数の玩具組立要素409、410とを含み、これらは全て
図4に関連して説明した通りである。
図5のシステムは、リーダが、
図4に関連して説明した書き込み可能検出エリア406と、それぞれが
図4の検出エリア405と同様の2つの読み取り専用検出エリア405a、405bという3つの検出エリアを含む点で
図4と異なる。2つの読み取り専用検出エリア405a、405bを設けることにより、例えば2人の異なるプレイヤ、2つの異なるチームなどに属するオブジェクトなどの2つのクラスの仮想オブジェクトを区別すべき2プレイヤゲーム又はその他のタイプのゲームが容易になる。従って、2つの検出エリアを物理的に分離すると、それぞれが一方のクラスに関連する検出エリア405a、405bのうちの選択された検出エリア上にユーザが対応する識別要素を単純に配置することによって2つのクラスの仮想オブジェクトのメンバを定めるための使い易い機構が提供される。他の実施形態は、例えば2つよりも多くのオブジェクトクラスを定めるために追加の検出エリアを含むこともできると理解されるであろう。いくつかの実施形態では、それぞれの検出エリア405a、405bが、ゲーム空間又は別の仮想環境の異なる領域に関連する。
【0073】
図6には、例えば
図4のゲームシステムなどのゲームシステムの実施形態の使用例を示す。具体的には、
図6のシステムは、コンピュータ401と、コンピュータに接続された入力装置402と、コンピュータに接続されたディスプレイ403と、コンピュータに接続されたリーダ404と、複数の識別要素407、408と、複数の玩具組立要素409、410とを含み、これらは全て
図4に関連して説明した通りである。
【0074】
この例では、一方の識別要素408に仮想キャラクタに関する情報が記憶されており、ゲームシステムは、仮想キャラクタに類似する物理的なおもちゃのフィギュア410を含む。最初のステップにおいて、ユーザは、識別要素408におもちゃのフィギュア410を取り付けるように指示される。コンピュータ401は、ユーザが入力装置402を介して制御できる対応する仮想キャラクタを含むビデオゲームプログラムを実行するように構成される。ユーザがリーダの検出エリア405上に識別要素408を配置すると、コンピュータが識別要素を検出し、関連する仮想キャラクタを識別し、関連する仮想キャラクタをビデオゲーム内に登場させる。そして、ユーザが仮想キャラクタを制御するゲームプレイ中に、この例ではトラクタである特定の装備を解放するゲームイベントを発生させて、その後のゲームプレイ中に仮想キャラクタがこの装備を使用することができる。
【0075】
コンピュータは、ゲームイベントに応答して、ユーザが仮想トラクタ(又は、ゲームプレイにおいて仮想キャラクタが利用又は別様に関与できる他の装備などの別の仮想オブジェクト)を取得できる旨の指示をユーザに与えることができる。
図5Aには、識別要素408及び取り付けられたおもちゃのフィギュア410がリーダ404の検出エリア405内に位置し、解放された仮想オブジェクトの表現620がディスプレイ403上に表示されたゲームシステムを示す。任意に、コンピュータは、玩具組立要素409からトラクタに類似する対応する玩具組立モデルを組み立てる方法をユーザに指示する組立指示をさらに与えることもできる。従って、ユーザは玩具組立モデルを組み立てて、これをゲームシステムの別の識別要素407に取り付けることができる。新たに組み立てたモデルを含む識別要素407をユーザがリーダ404の検出エリア406上に配置すると、コンピュータは、新たに解放された仮想オブジェクトを示す識別子及び/又はその他の情報を識別要素407上に記憶する。いくつかの実施形態では、この手順が、元々の仮想キャラクタに関連する識別要素408が検出エリア405内に位置したままであることを必要とすることもできる。システムは、新たな仮想オブジェクトの識別を識別要素上に記憶するために、現在識別要素上に記憶されている情報にアクセスする必要はなく、従って検出エリア406は、書き込み専用エリアとして動作することができる。
【0076】
新たな仮想オブジェクトに関する情報が識別要素407上に正常に記憶されると、ユーザは、検出エリア406から識別要素を除去することができる。その後、
図5Bに示すように、例えばユーザが検出エリア405上に識別要素408と共に識別要素407を配置すると、コンピュータ401は、識別要素408に関連する仮想キャラクタをユーザが制御して、識別要素407に関連する仮想オブジェクトを仮想キャラクタが使用し、又はこれに別様に関与できるようにビデオゲームを制御する。例えば、この時点で、仮想キャラクタは、仮想トラクタを運転することができる。その後、ユーザは、上述した方法と同じ方法でさらなる仮想オブジェクトを形成して解放し、仮想キャラクタは、これによってさらなる装備又は他の仮想オブジェクトを使用できるようになると理解されるであろう。このさらなる仮想オブジェクトは、さらなる識別要素に関連付けることができ、或いはシステムは、例えばさらに大型のトラクタ又は異なるタイプの機械などの新たな仮想オブジェクトと識別要素407との新たな関連性を形成することができる。この場合、このような新たな関連性は、以前の関連性に取って代わることができる。
【0077】
また、いくつかの実施形態では、データ処理システムが、例えば検出エリア406と同様に検出エリア406を使用して識別要素からデータを読み取ることもできると理解されるであろう。例えば、検出エリア406内で識別要素の配置が検出されると、データ処理システムは、検出エリア406から再び識別要素が除去されるまで、検出エリア406を読み取り専用エリア又は書き込み専用エリアとして選択的に動作させることができる。その後に識別要素が配置されると、処理システムは、例えばユーザ入力、ゲームイベント及び/又はその他の条件に応答して、検出エリアから再び識別要素が除去されるまで検出エリア406を書き込み専用エリアとして動作させるか、それとも読み取り専用エリアとして動作させるかを再び決定/選択することができる。検出エリア406の読み取り専用モード又は書き込み専用モードでの選択的動作は、例えば
図5に関連して説明した実施形態などの2つよりも多くの検出エリアを含む実施形態でも実装することができると理解されるであろう。
【0078】
図7に、例えば
図4~
図6のゲームシステムなどのゲームシステムの実施形態の別の動作例を示す。とりわけ、
図7にはリーダ404を示す。
図7には明確に示していないが、リーダ404は、これまでの1以上の図に関連して説明したようなコンピュータに接続することができる。リーダ404は、
図5に関連して説明したタイプのものであり、すなわち
図4に関連して説明した書き込み可能な検出エリア406と2つの読み取り専用検出エリア405a、405bという3つの検出エリアを含む、RFID識別要素を読み取るためのリーダである。
図7には、検出エリア405b上に位置する第1の識別要素を含む第1の玩具409をさらに示す。この例では、第1の玩具が、これまでの図に関連して説明した、RFID回路を含む識別要素407に取り付けられたトラクタに類似する。検出エリア405b上にトラクタが配置されると、コンピュータは、ユーザが仮想キャラクタを制御して仮想トラクタを使用し、又はこれに別様に関与できるようにビデオゲームを制御することができる。この目的のために、例えば
図1又は
図6に関連して説明したように、識別要素407と仮想トラクタとを関連付ける情報をシステムの製造中に予め識別要素に記憶しておくことができ、或いはユーザがこの情報を記憶させておくことができる。
【0079】
図7には、やはり検出エリア405b上に第1の玩具と共に隣接して位置する、第2のRFID識別要素707を含む第2の玩具709も示す。この例では、第2の玩具が、これまでの図に関連して説明したような、識別要素707に取り付けられたエンジンブロックに類似する。検出エリア405b上にトラクタ409とエンジンブロック709とが配置されると、コンピュータは、ユーザが仮想キャラクタを制御して、例えば強化されていないトラクタよりも速く走行したり、及び/又はより重い機器を牽引したりすることができる強化された仮想トラクタを使用し、又はこれに別様に関与できるようにビデオゲームを制御することができる。この目的のために、例えば
図4~
図6に関連して説明したように、識別要素707と仮想トラクタの強化とを関連付ける情報をシステムの製造中に予め識別要素に記憶しておくことができ、或いはユーザがこの情報を記憶させておくことができる。従って、玩具409に対応する仮想トラクタは、玩具409がリーダの検出エリア内に単独で(又はトラクタを修正するように構成されていない他のアイテムと共に)位置するか、それともエンジンブロック玩具709と共に位置するかに応じて異なる属性を有することができる。トラクタ409が検出エリア405b内に配置されると、トラクタ409が読み取りエリア上にエンジンブロックと共に位置するか、それともエンジンブロックを伴わずに位置するかに応じて、対応する仮想トラクタをコンピュータのディスプレイ上に異なる形で表現することもできる。例えば、仮想トラクタは、小型エンジン又は大型エンジンと共に表示することができる。エンジンブロック709は、例えば仮想自動車、仮想飛行機などに関連する玩具と共にエンジンブロックが検出エリア上に位置するかどうかに応じて、仮想車両、仮想飛行機などの他の仮想玩具に影響を与えるように構成することもできると理解されるであろう。さらに、エンジンブロックは、たとえ仮想キャラクタ、仮想ツリーなどに関連する物理的玩具と共に検出エリア上に配置された場合でも、仮想キャラクタ、仮想ツリーなどの他の特定の仮想アイテムに影響を与えないように構成することもできると理解されるであろう。従って、物理的玩具は、別の物理的玩具に関連する仮想オブジェクトの装備品又は強化に関連することができる。リーダの検出エリア内に物理的玩具と他の物理的玩具とが配置された場合、他の物理的玩具に関連する仮想オブジェクトは、装備品又は強化を有するものとして表現することができる。いくつかの実施形態では、装備品玩具が他の玩具に関連する仮想オブジェクトに影響を与えるには、装備品玩具をこの他の玩具と同じ検出エリア内に配置する必要があると理解されるであろう。他の実施形態では、装備品玩具が他の玩具に関連する仮想オブジェクトに影響を与えるには、装備品玩具をこの他の玩具と異なる検出エリア内に配置する必要があると理解されるであろう。最後に、さらに別の実施形態では、物理的玩具と他の玩具とが同じ検出エリアに位置するか、それとも異なる検出エリア内に位置するかに関わらず、装備品玩具が、他の玩具に関連する仮想オブジェクトに影響を与えることができる。得られる特定の強化は、同じ検出エリア内に配置されるか、それとも異なる検出エリア内に配置されるかに依存することができる。
【0080】
図8に、RFIDリーダ404の例を示す。
図8には明確に示していないが、これまでの1以上の図に関連して説明したように、リーダ404は、有線接続又は無線接続を介してコンピュータに接続することができる。リーダ404は、
図5に関連して説明したタイプのものであり、すなわち
図4に関連して説明した書き込み可能な検出エリア406と2つの読み取り専用検出エリア405a、405bという3つの検出エリアを含むリーダである。
【0081】
これらの検出エリアは、全てリーダ404のハウジングの上面に位置するが、互いに離間している。この例では、検出エリア405a及び405bがL字形であり、各検出エリア405a及び405b内に少なくとも3つの識別要素を位置付けることができ、例えばL字の各脚部に識別要素を1つずつ位置付け、脚部が交わるエリアに第3の識別要素を位置付けることができる。検出エリア406は、検出エリア406内に同時に1つの識別要素しか配置できないような形状及びサイズを有する。リーダ406の上面は、2組のコネクタ816a、816bを含む。この例では、これらのコネクタが、規則的な2次元グリッド状に配置されて、別の玩具組立要素の底面の対応する空洞部に摩擦係合するように構成された突起部である。コネクタは、本明細書で説明したタイプの玩具組立要素をリーダ404に接続できるように、それぞれの検出エリア405a及び405bに隣接して配置される。従って、ユーザは、リーダに装飾部品を追加することができ、或いは、例えば
図9に関連して以下で説明するように、識別要素を含む玩具組立モデルをリーダに取り付けることができる。
【0082】
図9に、検出エリア405aに隣接するコネクタ816aに玩具組立モデル909を取り付けた
図8のリーダ404を示す。玩具組立モデル909は、第1の部品921と、ヒンジ923を介して第1の部品に接続された第2の部品922とを含む。第1及び第2の部品は、単一部品として形成することも、或いは複数の玩具要素から形成することもできる。第2の部品は、例えば
図4~
図6に関連して説明したようなRFID識別要素などの識別要素407を含む。従って、リーダ404の上面に第1の部品1が固定して取り付けられると、識別要素407を含む第2の部品922がヒンジ923を中心に枢動できることにより、識別要素407が、検出エリア405aに近い作動状態、又は検出エリア405aからさらに離れた非作動状態に移行できるようになる。さらに、識別要素407は、円盤状の識別要素の底面から軸方向に突出する軸を定めるコイルアンテナを含む。同様に、検出エリア405aは、やはり検出エリア405aから垂直に突出する軸方向を定める関連するリーダアンテナを有する。作動状態では、識別要素407の軸と検出エリア405aの軸とが互いに整列し、非作動状態では整列しない。リーダは、識別要素407が作動状態になるように第2の部品922を枢動させたときにのみ、検出エリア405a内における識別要素407の存在を検出できるように構成される。従って、リーダ404に接続されたコンピュータは、検出要素407が現在作動状態であるか、それとも非作動状態であるかに応じてゲームプレイを制御するように構成することができる。この結果、ユーザは、検出エリア405aを定める検出表面上に対して玩具の第2部品を下降又は上昇させることによって、ゲームシステムの機能の作動/非作動を便利に切り換えることができる。他の実施形態は、リーダに取り外し可能に取り付けられた固定部品に対して、可動部品に含まれる識別要素を検出可能状態に/から移行させるように、すなわちリーダの検出エリアによる識別要素の検出又は未検出を選択できるように玩具の可動部品を動かすための異なる機構を含むことができると理解されるであろう。このような動きの例としては、例えばリーダの接触面に沿った、又は接触面に向かう/接触面から遠ざかる動きなどの回転、並進運動が挙げられる。さらに、第2の部品は、デフォルト状態を有することができると理解されるであろう。例えば、第2の部品は、デフォルト設定で検出可能状態又は検出不能状態にばね付勢し、又は別様に保持することができる。同様に、固定部品に対する可動部品の動きは、手動で操作可能とすることも、或いは、例えば電気エネルギー源又は別の好適なエネルギー源によって駆動できるアクチュエータ又はモータなどの駆動装置によって操作可能とすることもできる。作動又は非作動は、例えばユーザによるボタンの押下、或いは光センサ、マイク又は近接センサなどの検出された環境状態などのセンサ入力によって引き起こすことができる。
【0083】
図10A~
図10B及び
図11A~
図11Cに、複数の識別要素を含む物理的玩具の例を示す。具体的に言えば、
図10A~
図10B及び
図11A~
図11Cには、互いに移動可能に接続された第1の部品1021と第2の部品1022とを含む物理的玩具の例を示しており、すなわちこの玩具は、合体した構造体として、ただしそれぞれの相互接続された部品を相対的に動かすことができるように形成される。この例では、この動きが、ヒンジ1023の周囲で部品を相対的に枢動させることを含む。しかしながら、例えば、並進運動、回転などの他の形の相対的な動きをもたらすこともできる。第1の部品及び第2の部品の各々は、例えば
図4~
図6に関連して説明したタイプのRFID識別要素などのそれぞれの識別要素407a及び407bをそれぞれ含む。玩具は、例えば
図10B、
図11A及び
図11Bに示すような単一検出状態と、例えば
図10A及び
図11Cに示すような二重検出状態との間でその部品を相対的に動かせるように構成される。単一検出状態のときには、2つの部品が、一方の識別要素のみが検出エリア内に存在する状態でリーダの検出エリア上に玩具を配置できるように、すなわち検出エリア内で一方の識別要素しか検出できず、他方の識別要素は検出エリアの範囲外に存在して検出できないように配向される。二重検出状態のときには、2つの部品が、両識別要素が検出エリア内に存在する状態でリーダの検出エリア上に玩具を配置できるように、すなわちリーダが両識別要素を検出できるように配向される。
【0084】
例えば、
図10A~
図10Bの玩具は、2本の支柱間に架かる橋に類似し、各支柱の基部は一方の識別要素によって形成される。この橋は、両支柱を接触面上に配置できる開いた状態と、一方の支柱のみが常に接触面上に載って他方の支柱の基部が接触面から離れて上方を向く閉じた状態とを有することができる。
【0085】
図11A~
図11Cの玩具は貝殻に類似し、貝殻の外面上に識別要素が配置される。この貝殻は、両識別要素を接触面上に配置できる開いた状態と、一方の識別要素のみが常に接触面上に位置して他方の基部が接触面から離れて上方を向く閉じた状態とを有することができる。
【0086】
従って、この玩具は、部品同士が相対的にどのように位置するかに応じて、一方のみ又は両方の識別要素が同じ検出エリア内などの検出エリア上に存在する状態で、又は
図10Aに示すようにそれぞれが異なる検出エリア内に存在する状態でリーダ上に位置することができる。
図11A~
図11Cには、3つの異なる状態の貝殻を示しており、
図11Aには、識別要素407aが(
図11A~
図11Cには明確に示していない)リーダの検出エリア上に下方を向いて配置された貝殻を示す。この状態では、識別要素407aがリーダの検出エリア内に位置するときに、リーダが他方の識別要素407bを検出することはできない。
図11Bには、識別要素407aがリーダの検出エリア上に上方を向いて配置された貝殻を示す。この状態では、識別要素407bがリーダの検出エリア内に位置するときに、リーダが他方の識別要素407aを検出することはできない。
図11Cには、両識別要素407a及び407bがリーダの検出エリア上に下方を向いて配置された貝殻を示す。この状態では、リーダの同じ又はそれぞれの検出エリアにおいて両識別要素407a及び407bを同時に検出することができる。
【0087】
同様に、
図10Bには、識別要素407aが(
図10Bには明確に示していない)リーダの検出エリア上に下方を向いて配置された橋を示す。この状態では、識別要素407aがリーダの検出エリア内に位置するときに、リーダが識別要素407bを検出することはできない。
図10Bには、両識別要素407a及び407bがリーダのそれぞれの検出エリア上に下方を向いて配置されてリーダそれぞれの検出エリアによって同時に検出できる、すなわち識別要素407aが検出エリア405a内に位置して識別要素407bが検出エリア405b内に位置する橋を示す。
【0088】
この結果、
図10A~
図10B及び
図11A~
図11Cの例では、リーダが一方又は両方の識別要素を検出し、従って対応する玩具の現在の状態、すなわちそれぞれの部品が相対的にどのように位置するかを検出することができる。この目的のために、玩具の識別要素407a、407bは、玩具を識別する、例えば貝殻であるか、それとも橋であるかなどを識別する同じ識別子又はその他の情報を含むことができる。従って、このような実施形態では、リーダが玩具を識別して単一検出状態と二重検出状態とを区別することができる。或いは、玩具の識別要素が、例えば玩具とそれぞれの識別要素とを識別する異なる情報を含むことにより、単一検出状態において2つの識別要素のうちのどちらが検出されたかをリーダがさらに識別し、例えば
図11Aに示す状態と
図13Bに示す状態とを区別できるようにすることもできる。この結果、コンピュータは、検出された状態に応じてゲームプレイを制御することができ、例えば物理的玩具の橋が開いた状態で検出されたか、それとも閉じた状態で検出されたかに応じて、
図10A~
図10Bの物理的玩具に関連する仮想的な橋を仮想キャラクタが通過できるようにすることができる。同様に、仮想的な貝殻は、
図11A~
図11Cの物理的な貝殻が開いた状態で検出されたか、それとも閉じた状態で検出されたかに応じて、貝殻の中身へのアクセスを許可し、又はその他の属性を有することができる。
【0089】
リーダは、これらの又は各識別要素がどの検出エリアに配置されているかを検出するようにさらに構成することができ、コンピュータは、特定された1又は複数の検出エリアに応じてゲームプレイを制御することができる。例えば、各検出エリアを、仮想世界のそれぞれの領域又はその他のゲーム空間に関連付けることができる。検出エリア内に玩具が配置されると、関連する仮想世界の領域又はゲーム空間に仮想キャラクタ又は仮想オブジェクトを位置付けることができる。
図10Aの例では、すなわち2つの異なる検出エリア内に識別要素が位置する状態で橋又はその他のオブジェクトが配置された場合には、ゲーム内で2つの検出エリアに関連する領域を、例えば橋又はその他の通路によって接続して、仮想キャラクタが橋又はその他の通路に沿って領域間を移動できるようにすることができる。例えば、この橋又は通路は、ゲーム内の他の仮想キャラクタが利用できない近道又は通路を提供することもできる。
【0090】
図9に関連して上述したように、玩具の部品の相対的な動きは、手動力を加えることによって、或いはモータ又は他のアクチュエータによって実行することができる。
図10A~
図10B及び
図11A~
図11Cの玩具は、本明細書で説明した玩具組立要素のために組み立てることができる。
【0091】
上記の例には、2つの識別要素を有する玩具を示したが、他の物理的玩具の例は、3つ、4つ又はさらに多くの識別要素を含むこともできると理解されるであろう。
【0092】
以下、例えばユーザ制御可能な入力部などのセンサと、センサ入力に関する情報をリーダに送信する1以上の識別要素とを含む玩具の例について説明する。
【0093】
具体的には、
図12A~
図12Cに、押しボタンを含む玩具1209の例を示す。この玩具は、内蔵型の玩具要素として形成することも、或いは、例えば本明細書で説明したタイプの複数の玩具組立要素から組み立てることもできる。玩具1209は、内部にボタン1225が摺動可能に配置された管状部材1224を含む。ボタンは、管状部材の一端に向かってばね付勢され、指圧によって他端に向けて押すことができる。ボタンの基部は、例えば本明細書で説明したようなRFIDタグなどの識別要素1207を含む。玩具1209が、例えば
図4~
図6に関連して説明したようなリーダの検出エリア内にボタン1225が上方を向いた状態で配置されると、識別要素1207は、管状部材の軸方向長さによって定められる距離だけ検出エリアから離れて位置付けられる。従って、この距離は、ボタンに直接指圧が加わることによって、或いはボタンに取り付けられた要素などの別の玩具組立要素による圧力が加わることによって識別要素が下向きに押されない限り、検出エリアが識別要素を検出できないように構成することができる。この目的のために、ボタンは、本明細書で説明したような他の玩具組立要素を取り付けるためのコネクタを含むことができる。
図12Aは、ボタン1225が検出不能状態にある玩具の斜視図である。
図12Bは、ボタン1225が検出不能状態にある玩具の断面図であり、
図12Cは、ボタン1225が作動して検出可能状態にある玩具の断面図である。
【0094】
図13には、3つのボタン1325A~Cを含む別の玩具1309の例を示しており、各ボタンは、対応するボタンに指圧を加えることによって選択的に検出可能状態に移行できる識別要素を含む。それぞれのボタンの識別要素は、リーダによって検出されたときに同じ情報を送信するように構成することも、或いはそれぞれが異なる情報を送信するように構成することもできる。従って、リーダは、検出エリア内における玩具の存在と、現在押されているボタンの数とを検出するように構成することができる。いくつかの実施形態では、リーダが、現在それぞれのボタンが押されているかどうかを識別することもできる。
【0095】
他の玩具の実施形態は、選択的に検出可能状態に移行できる他のタイプの可動要素を含むこともできると理解されるであろう。さらに他の玩具は、センサと、センサ信号に応答して識別要素を自動的に検出可能状態に移行させるように構成されたアクチュエータとを含む自動機構を有することができる。
【0096】
識別要素は、センサ入力に応答して、リーダに送信される情報を異なる形で制御することもできる。
【0097】
例えば、
図14に概略的に示すように、それぞれがそれぞれのIDを送信するように構成された2つのRFID識別回路を用いて、押しボタンを含む玩具の代替例を実装することができる。
図14の玩具要素1409は、スイッチ1425を介してアンテナ1427に電気的に結合された2つのID回路1426a、1426bを含む。例えば、各識別回路は、RFIDチップを含むことができる。スイッチは、アンテナ1427に対する一方のID回路の結合と、アンテナからの他方のID回路の切り離しとを選択的に行うように構成される。従って、スイッチの作動状態に応じて、一方又は他方のID回路からの情報が送信される。玩具のさらに別の実施形態は、アンテナに選択的に結合できる異なる数のID回路を含むこともできると理解されるであろう。例えば、1つの玩具の実施形態は、アンテナへの結合又はアンテナからの切り離しを選択的に行うことができる単一の識別回路を含むことができる。他の例は、所与の時点に回路を全くアンテナに結合できないように、又は1つの回路を結合できるように、3つ、4つ又はさらに多くの識別回路を含むことができる。
【0098】
識別回路の結合は、ガルバニック結合、誘導結合又は容量結合によって、或いは異なる好適な方法で行うことができると理解されるであろう。さらに別の実施形態では、玩具によって送信される情報を、例えばアンテナを選択的に遮蔽したり、又はアンテナの伝送特性を別様に変化させたりなどの異なる方法で制御したりすることができる。或いは、識別回路がメモリを含むこともでき、この場合、識別回路は、メモリに記憶された情報をリーダに送信するように構成される。識別回路は、セレクタの作動状態を示す信号又は別の形のセンサ信号を受け取る制御回路をさらに含むことができる。この時、制御回路は、上記作動状態に関する情報又はその他のセンサ信号をメモリに記憶することにより、記憶された作動状態を示す情報又はその他のセンサ信号を識別回路からリーダに送信させるように構成することができる。玩具は、検出エリア内に存在するときにのみメモリ内容を変更できるように構成することができる。或いは、玩具は、検出エリア内に存在しないときにのみメモリ内容を変更できるように構成することもできる。さらに別の実施形態では、玩具を、検出エリア内に存在するか否かに関わらずメモリ内容を変更できるように構成することができる。従って、リーダからの入力を受け取るコンピュータは、検出された玩具の作動状態又はその他のセンサ信号に基づいてゲームプレイを制御することができる。
【0099】
図13A~
図13Cの例では、玩具が押しボタンを含む。しかしながら、別の実施形態は、例えば回転ボタン(turn button)などの他の形のユーザ制御可能なアクチベータ又はセレクタを含むこともできる。例えば、ユーザは、回転ボタンを用いて、例えば接触部材を回転させることによって複数のID回路のうちの1つをアンテナに選択的に結合させることができる。さらに別の実施形態は、例えば光センサ、振動センサ、傾斜センサなどの他のタイプのセンサを含むこともできる。
【0100】
図13A~
図13Cの例及び他の実施形態では、玩具が検出エリア内に存在している間にボタンが押されたときにのみ押しボタンの作動を検出することができる。しかしながら、他の玩具の実施形態は、玩具が検出エリア内に存在しないときに作動を検出し、パラメータを測定し、又は別の形のセンサ入力を提供して、その後にリーダの検出エリア内に玩具が配置されたときにこのような作動、測定又は他の形のセンサ入力に関する情報を送信するように構成されたセンサを含むこともできる。例えば、ユーザは、リーダの検出エリア上に玩具を配置する前に玩具を手で持っている間にセレクタスイッチの位置を変更することができる。別の玩具の例は、例えばユーザが玩具を揺さぶった程度などの振動度を検出し、検出された振動度をメモリに記憶して、その後にリーダの検出エリア内に再び玩具が配置されたときに情報を送信できるようにする振動センサを含むことができる。
【0101】
図15A~
図15Cに、センサを含む別の玩具の例を示す。
図5A~
図5Cの例では、センサが、ユーザ制御可能な回転ノブである。この玩具は、回転ノブの角度位置を示す情報を送信する識別要素を含む回路を含む。具体的には、
図5Aには玩具の電気制御回路を概略的に示し、
図5Bには玩具の分解図を示し、
図5Cには組み立てた玩具の3Dビューを示す。
【0102】
全体を1509で示す玩具は、ベースプレート1536と略ドーム型のカバー1528とによって形成されたハウジングを含む。ドーム型カバー1528は、ドームの頂点に、ノブ1525が貫通する穴1540を含む。具体的には、ノブの一部が、穴1540から上向きに延びて、ノブ及びドーム型カバーによって定められる中心軸の周囲でカバーに対して回転することができる。ノブ1525は、例えばノブを装飾部品で構成し、又はノブに特製の把持部分を提供するように、ノブに1以上の玩具組立要素を取り付け可能にするコネクタ1514を含む。ノブ1525は、カバーに対する現在のノブの角度位置を示す、半径方向外向きに延びるインジケータ要素1542をさらに含む。この目的のために、カバーの外面上に異なる印を設けて、異なる角度位置においてインジケータが異なる印を指すようにすることができる。
【0103】
穴1540内に内向きに延びるノブの部分は、回転部材1529に取り付けて、ノブを回転させたときに回転部材1529も中心軸の周囲で回転するようにする。この目的のために、回転部材は、ベースプレート1536上に回転可能に支持される。回転部材は、やはり回転部材1529及びノブ1525と共に回転する導電性作動部材1530を含む。この作動部材は、ノブ1525が回転したときにそれぞれが円形軌道をたどるように構成された2つのばね付勢導電端子1531及び1532をそれぞれ含む。導電性作動部材は、端子1531と1532とを互いに接続する導電路を提供する。ノブ1525が回転したときに端子1531及び1532の動きによって定められる軌道は、中心軸の周囲の同心円である。端子1532の軌道によって定められる円の半径は、対応する端子1531の軌道の半径よりも大きい。
【0104】
玩具は、ベースプレート1536上のカバー1528の内側に、ばね付勢端子が上面に接触するように固定して配置された、環状回路基板1533の形の識別要素をさらに含む。回路基板の上面は、内側円形導電路1535と、複数の分離した導電路セグメント1534とを含む。導電路セグメントは、共に外円を定めるようにそれぞれ円弧として形成されるが、個々の導電路セグメントは、互いに及び内側円形導電路1535から電気的に絶縁される。内円と外円は同心状であり、それぞれ端子1531及び1532の円形軌道に対応する。この結果、ノブの回転時には、内側端子1531は常に内側円形導電路1535に電気的に接触するのに対し、外側端子1532は、導電路セグメント1534のうちの1つ、又は導電路セグメント1534のうちの2つを分離する円弧部分のいずれかに接触する。従って、作動部材は、ノブの角度位置に応じて、導電路セグメント1534のうちの1つと内側円形導電路1535との間に導電路をもたらすか、或いは導電路セグメント1534のいずれとの間にも導電路をもたらさない。
図15A~
図15Cの例では、回路基板が8つの導電路セグメント1534を含む。しかしながら、他の実施形態は、異なる数の導電路セグメントを含むこともできると理解されるであろう。
【0105】
さらに、回路基板1533は、
図15Aに示す電気回路にも対応する。この回路は、マイクロコントローラユニット1538と、マイクロコントローラユニットに動作可能に結合されたRFID識別回路1539と、RFID識別回路1539に動作可能に結合されたRFIDアンテナ1527とを含む。マイクロコントローラユニット1538は、導電路セグメント1534のそれぞれに接続された複数のスイッチ接点を含む。マイクロコントローラユニットは、内側円形導電路1535に接続されたベースライン入力をさらに含む。従って、マイクロコントローラユニットのスイッチ接点は、ノブ1525の角度位置に応じて、いずれもマイクロコントローラユニットのベースライン入力に接続されないか、或いはそのうちの1つがマイクロコントローラユニットのベースライン入力に接続される。マイクロコントローラユニットは、問い合わせ時に、RFID識別回路に対し、いずれかのスイッチ接点がベースラインに接続されている場合には、どのスイッチ接点がベースラインに接続されているかを示すデータを送信させるように構成される。従って、
図15Aの制御回路は、RFIDリーダによる問い合わせを受けると、ノブ1525の現在の角度位置を示すデータで応答する。例えば、ノブの角度位置は、それぞれ異なるIDに関連することができる。
【0106】
例えば
図4~
図6に関連して説明したリーダなどのリーダの検出エリア内に玩具1509が配置されると、リーダがノブの現在の角度位置を検出することができ、この検出されたノブ1525の角度位置に応答してデジタルゲームプレイを制御することができる。従って、ノブ1525は、その位置が玩具によって検出されてリーダに伝えられるユーザ制御可能なアクチュエータである。
【0107】
以上、本明細書に開示する様々な態様の様々な実施形態について説明した。
【0108】
例えば、タグとも呼ばれる2以上の同一の識別要素(例えば、同じID又はその他の情報を送信する識別要素)を含む玩具の実施形態について説明した。玩具の例では、ユーザが、玩具の物理的外観を調整することができる。ユーザは、この調整によって識別要素の相対的な位置及び/又は配向を変更することもできる。従って、玩具内に同一の2つ(以上)のタグを配置して、1つ(以上)の検出エリアを含むリーダが1つずつ又は同時に2つ以上を読み取れるようにすることもできる。ゲームシステムによって実行されるデジタルゲームの実施形態は、いくつのタグが読み取られたか、及び任意に同じ検出エリア上に異なるタグが存在するか否かに応じて、異なる仮想アイテムを表示し、又は仮想アイテムの挙動を変化させることができる。例えば、物理的玩具を貝殻に類似させ、1つのタグが読み取られた場合には、閉じている仮想的な貝殻を表示することができる。2つのタグが読み取られると、貝殻が開く。異なる読み取りエリアによってタグが読み取られた場合には、異なるデジタルコンテンツにアクセス可能にすることができる。
【0109】
本明細書で説明した態様のいくつかの実施形態では、リーダの異なる検出エリアが、それぞれゲーム内の異なる場所を表す。同じ玩具に接続された2つの同一のタグが異なる検出エリア上に、すなわち玩具が検出エリア間の間隙を跨ぐよう配置された場合には、ゲーム内で表現されるエリアが、ワイヤ、橋、ロープ又は渦によって接続されるようになる。この機能は、接続されてはいないが視覚的に接続点を表現する、同一のタグを含む(見た目が同様の、又は同様でない)2つ(以上)の玩具を用いて実装することもでき、この表現は、エレベータ、鉄道の駅、ゲート、ドア、電話などとすることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、同一のタグを含む接続されていない又は接続された玩具が同じ検出エリア上に配置された場合、デジタルゲーム内でその仮想的な同等物が結び付くようにすることができる。例えば、小さな生物に似た2つの玩具が検出エリア上に配置された場合、デジタルゲーム内に新たな外観及び/又は能力を有する1匹の生物が登場することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、ボタンとして操作できるタグを設けることができる。このような実施形態では、1つ(以上)のタグを検出装置に近接又は接触させて、ただし検出装置の検出範囲外に存在する状態で配置することができる。ボタン又はその他のアクチベータの押下/回転などを行うと、タグをリーダの検出範囲内に移行させ、例えばデジタルゲーム内で異なる可能性を提示することによってデジタルゲームプレイの機能を作動させることができる。この場合、タグから手を放すことによって選択を行うことができる。いくつかの実施形態では、玩具が2以上の同一のタグを有し、読み取られたタグの数に応じて、ゲーム内で異なる機能/表現を有効にすることができる。いくつかの実施形態では、これらの機能/表示が、複数の検出エリアのうちのどの検出エリア上でタグが検出されたかに依存することもできる。
【0112】
同様に、2以上の一意的な識別要素(例えば、異なるID又はその他の情報を送信する識別要素)を含む玩具の例についても説明した。ここで言う「一意的」という用語は、別のタグと区別できるタグを意味するように意図される。いくつかの実施形態では、玩具内に一意的な2つ(以上)のタグを配置して、1つ(以上)の検出エリアを含むリーダが1つずつ又は同時に2つ以上を読み取れるようにすることができる。この場合、デジタルゲームは、物理的玩具のどのタグが、任意にどのような組み合わせで読み取られたか、及び同じ検出エリア上に異なるタグが存在するか否かに応じて、見た目の異なる仮想アイテム、又は異なる形で挙動又は動作する仮想アイテムを表示することができる。物理的玩具は、同時に1つのタグしか検出できないように構成された2つの区別可能なタグを含むことができる。例えば、玩具の反対側などの異なる側にタグを設けることができる。ゲームシステムによって指定された検出エリア内に、アイテム/車両/エンジンなどに類似する玩具と一体になったタグが配置されると、これらのタグは、これらの玩具の仮想的なゲーム内同等物を組み合わせて、新たな特性を有する1つのアイテム/車両/エンジンなどに変化させることができる。これらの玩具は、パズルのピースのように、又は別様に物理的に相互連結するように、従って組み合わせが可能である旨を見た目によって示すように成形することができる。
【0113】
本明細書で説明した方法の実施形態は、複数の異なる要素を含むハードウェアによって実装することも、及び/又は好適にプログラムされたマイクロプロセッサによって少なくとも部分的に実装することもできる。
【0114】
複数の手段を列挙する特許請求の範囲では、これらの手段のいくつかを、ハードウェアの全く同一の要素、コンポーネント又はアイテムによって具体化することができる。特定の手段を互いに異なる従属請求項に記載し、又は異なる実施形態で説明したというだけでは、これらの手段の組み合わせを使用して利益を得ることができない旨を示すことにはならない。
【0115】
本明細書において使用する「含む、備える(comprises/comprising)」という用語は、言及した特徴、要素、ステップ又はコンポーネントの存在を明示するために採用したものであるが、1以上の他の特徴、要素、ステップ、コンポーネント又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではないことを強調しておく。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具組立要素を備えた玩具組立システムであって、各玩具組立要素は、該玩具組立システムの1以上の他の玩具組立要素に該玩具組立要素を機械的に接続してユーザによる玩具組立モデルの組み立てを可能にするように構成される1以上のコネクタを含み、該玩具組立システムは、
- 該玩具組立システムに適合する1つ以上のコネクタを有する物理的玩具であって、該物理的玩具は、第1の部品と第1の部品に対して移動可能に配置された第2の部品とを備え、該第2の部品は識別要素を備え、該識別要素は該識別要素及び/又は該物理的玩具に関する情報を含む、物理的玩具と、
- 検出エリア内における前記識別要素の存在を検出するように構成された検出装置であって、該検出装置は該玩具組立システムに適合する1以上のコネクタを含み、前記物理的玩具は前記コネクタを用いて該検出装置と取り外し可能に接続可能であり、前記物理的玩具が該検出装置に接続される場合には前記物理的玩具の前記第1の部品の位置は該検出エリアに対して固定され、前記第2の部品は、該検出エリアに対して検出可能状態及び検出不可能状態との間で移動可能であり、該検出装置は、前記第2の部品が前記検出可能状態にあるときにのみ、前記識別要素を検出するように構成される、検出装置と、
を備える、玩具組立システム。
【請求項2】
前記物理的玩具は、前記玩具組立システムの1以上の玩具組立要素から組み立てられた合体した構造体である、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項3】
前記検出装置は、少なくとも2つの検出エリアを含み、さらに、前記検出装置は、前記検出エリアの各々における識別要素の存在を検出するように構成されるとともに、前記識別要素がどの検出エリアで検出されたかを検出するように構成される、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項4】
前記物理的玩具は、前記識別要素が前記検出装置の前記検出エリア内に配置されたときに前記検出装置に情報を送信するように構成され、
前記物理的玩具は、入力を検出するように構成されたセンサを含み、
前記物理的玩具は、前記検出された入力に応答して、前記送信する情報を変更するように構成される、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項5】
前記識別要素は、該識別要素に1以上の他の玩具組立要素を機械的に接続してユーザによる玩具組立モデルの組み立てを可能にするように構成された1以上のコネクタを含む玩具組立要素である、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項6】
前記識別要素に関する前記情報は、前記識別要素及び/又は前記物理的玩具を識別する識別子を含む、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項7】
前記識別要素は、前記識別要素及び/又は前記物理的玩具に関する前記情報が記憶されたメモリを備える、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項8】
前記検出エリアに対する前記識別要素の移動は、前記検出エリアと前記識別要素との間の距離を変更すること、及び/又は前記識別要素と前記検出エリアとの間の相対的な配向を変更することを含む、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項9】
前記検出装置は、検出範囲及び/又は主要な検出方向を有するセンサを備える、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項10】
前記センサは、前記検出エリアに対して配置され、コイルの軸方向を画定するコイルアンテナを備える、請求項9に記載の玩具組立システム。
【請求項11】
前記識別要素は識別方向を画定し、前記検出可能状態への前記識別要素の移動は、該識別方向を前記検出方向に整列させることを含む、請求項9に記載の玩具組立システム。
【請求項12】
前記識別要素は軸方向を画定するコイルアンテナを備える、請求項1に記載の玩具組立システム。
【請求項13】
手動力を加えることによる、モータによる、又は他のアクチュエータによる前記物理的玩具の前記第1及び第2の部品の相対的な移動を可能にするように構成された、請求項1に記載の玩具組立システム。