(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098169
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】保守方法、保守装置及び保守プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/28 20190101AFI20220624BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20220624BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220624BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G06F16/28
G06Q10/00 300
G06Q50/10
G06F13/00 351N
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211557
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
5B089
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B089JA35
5B089KA13
5B089KC47
5B089MC03
5B175AA01
5L049CC03
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】スチームトラップに関する情報を記憶する複数のクラウドデータベースの保守を効率良く行えるようにする。
【解決手段】保守装置において、第一の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第一のクラウドデータベース及び第二の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付け、実行要求を受け付けた場合、第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースと保守装置との接続を確立し、一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守装置における保守方法であって、
前記保守装置のコンピュータが、
第一の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第一のクラウドデータベース及び第二の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付け、
前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースと前記保守装置との接続を確立し、
前記一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する、
保守方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、
更に、一以上のユーザについて、各ユーザによる使用が許可されているクラウドデータベースを管理し、
前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースのうち、ユーザによる使用が許可されているクラウドデータベースとの接続だけを確立する、
請求項1に記載の保守方法。
【請求項3】
第一の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第一のクラウドデータベース及び第二の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付ける受付部と、
前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースとの接続を確立する接続部と、
前記一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する実行部と、
を備える保守装置。
【請求項4】
保守装置としてコンピュータを機能させる保守プログラムであって、
前記コンピュータを、
第一の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第一のクラウドデータベース及び第二の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付ける受付部と、
前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースとの接続を確立する接続部と、
前記一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する実行部として、
機能させる保守プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームトラップに関する情報を記憶するクラウドデータベースの保守を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となるため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。そのため、1年に1回等の定期的に、スチームトラップの温度及び振動を計測し、当該計測した温度及び振動に基づき、スチームトラップの状態を診断する作業が行われる。
【0003】
大型のプラントでは数千から数万個のスチームトラップが設置されることもあるため、そのような膨大な数のスチームトラップの状態を管理するための管理情報として、管理台帳が使用されることがある。例えば、下記特許文献1には、管理対象である全スチームトラップの各々に関して、通し番号(トラップID)等の識別情報と、製造メーカ名及び型式等の属性情報と、使用圧力及び設定温度等の動作情報と、過去の定期点検における診断結果とが記述された管理台帳が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出願人は、上述した管理台帳の利便性を向上するため、管理台帳をクラウドデータベースに記憶し、当該クラウドデータベースと、管理台帳を用いてスチームトラップの状態を管理するクラウドサービスと、当該クラウドデータベースを保守するための保守用のクラウドサービスと、からなる診断管理システムを多くの事業者に提供することを検討している。
【0006】
具体的には、出願人は、先ず、開発コストの抑制及び事業者独自のカスタマイズを容易にするため、上記のクラウドデータベース及び二個のクラウドサービスから成る診断管理システムのクローンを、事業者毎に個別に提供することを検討した。
【0007】
しかし、この構成では、複数の事業者が利用する複数のクラウドデータベースの保守を一括して行う場合に、各診断管理システムが備える保守用のクラウドサービスを個別に利用しなければならず、複数のクラウドデータベースの保守を効率良く行えないという問題があった。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、スチームトラップに関する情報を記憶する複数のクラウドデータベースの保守を効率良く行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る保守方法は、保守装置における保守方法であって、前記保守装置のコンピュータが、第一の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第一のクラウドデータベース及び第二の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付け、前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースと前記保守装置との接続を確立し、前記一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する。
【0010】
本態様によれば、第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求が受け付けられた場合、第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースとの接続が確立された後、前記一以上のクラウドデータベースの保守処理が実行される。
【0011】
このため、ユーザは、第一のクラウドデータベース又は第二のクラウドデータベースの保守処理の実行を要求した場合であっても、保守処理の対象のクラウドデータベースの内容だけでなく、既に接続が確立されている保守処理の対象ではないクラウドデータベースの内容を参照することができる。これにより、ユーザは、第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースの内容を比較する等して、第一のクラウドデータベース又は第二のクラウドデータベースの保守処理を効率よく実行することができる。
【0012】
また、ユーザは、第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースの保守処理の実行を要求した場合には、例えば、同様の保守処理を第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースに対して行った後、第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースのそれぞれに固有の保守処理を行うことができる。このようにして、ユーザは、既に接続が確立されている二個のクラウドデータベースに対して行う保守処理の内容及び実行順を適宜変更して、第一のクラウドデータベース及び第二のクラウドデータベースの保守処理を効率よく実行することができる。
【0013】
上記態様において、前記コンピュータは、更に、一以上のユーザについて、各ユーザによる使用が許可されているクラウドデータベースを管理し、前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースのうち、ユーザによる使用が許可されているクラウドデータベースとの接続だけを確立してもよい。
【0014】
本態様によれば、ユーザによって使用が許可されているクラウドデータベースとの接続だけが確立される。このため、保守処理の対象を、ユーザによって使用が許可されているクラウドデータベースだけに制限することができる。
【0015】
本発明の他の一態様に係る保守装置は、第一の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第一のクラウドデータベース及び第二の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付ける受付部と、前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースとの接続を確立する接続部と、前記一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する実行部と、を備える。
【0016】
本発明の他の一態様に係る保守プログラムは、保守装置としてコンピュータを機能させる保守プログラムであって、前記コンピュータを、第一の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第一のクラウドデータベース及び第二の事業者が管理するスチームトラップに関する情報を記憶する第二のクラウドデータベースのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付ける受付部と、前記実行要求を受け付けた場合、前記第一のクラウドデータベース及び前記第二のクラウドデータベースとの接続を確立する接続部と、前記一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する実行部として、機能させる。
【0017】
これらの態様によれば、上記保守方法と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スチームトラップに関する情報を記憶する複数のクラウドデータベースの保守を効率良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】診断管理システム及び保守装置の全体構成を示す図である。
【
図2】アクセス管理テーブルの一例を示す図である。
【
図3】グローバルIP管理テーブルの一例を示す図である。
【
図4】一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本発明に至る経緯>
上述のように、出願人は、上述した管理台帳の利便性を向上するため、管理台帳をクラウドデータベースに記憶し、当該クラウドデータベースと、管理台帳を用いてスチームトラップの状態を管理するクラウドサービスと、当該クラウドデータベースを保守するための保守用のクラウドサービスと、からなる診断管理システムを、多くの事業者に提供することを検討している。
【0021】
具体的には、出願人は、先ず、開発コストの抑制及び事業者独自のカスタマイズを容易にするため、上記のクラウドデータベース及び二個のクラウドサービスから成る診断管理システムのクローンを、事業者毎に個別に提供することを検討した。
【0022】
図5は、診断管理システム1x、1y、1zの比較例を示す図である。
図5には、X社4x、Y社4y及びZ社4zの三社に提供された上記の診断管理システム1x、診断管理システム1y及び診断管理システム1zを例示している。診断管理システム1x、診断管理システム1y及び診断管理システム1zは、それぞれ、ひな形となる診断管理システムをクローン化して作成されたものであり、同様の構成を有している。
【0023】
以下では、診断管理システム1x、診断管理システム1y及び診断管理システム1zを代表して、診断管理システム1xについて説明する。診断管理システム1xは、診断管理データベース12xと、診断管理サービス11xと、保守サービス13xと、を備える。
【0024】
診断管理データベース12xは、X社4xの第1工場41x及び第2工場42x等に設置されたスチームトラップを管理するための管理台帳を記憶するクラウドデータベースである。診断管理データベース12xには、インターネット上における診断管理データベース12xの識別子であるグローバルIP「GIP_X」が割り当てられている。診断管理サービス11x及び保守サービス13xは、インターネットを介して、グローバルIP「GIP_X」で識別される診断管理データベース12xにアクセスする。
【0025】
診断管理サービス11xは、診断管理データベース12xに記憶されている管理台帳を用いて、X社4xの第1工場41x及び第2工場42x等に設置されたスチームトラップの状態を管理するクラウドサービスである。診断管理サービス11xには、インターネット上における診断管理サービス11xの識別子であるURL「DS_X」が割り当てられている。第1工場41xに属する可搬型計測装置51x、第2工場42xに属する設置型計測装置52x、事業所4nxに属する情報処理装置53xは、インターネットを介して、URL「DS_X」で識別される診断管理サービス11xを利用する。
【0026】
診断管理サービス11xには、例えば、ユーザの認証処理、管理台帳の転送処理、診断処理及び診断結果の登録処理等が含まれる。
【0027】
例えば、ユーザの認証処理では、第1工場41xに属する可搬型計測装置51x等から受信したユーザID及び工場ID又は事業所IDに基づき、当該ユーザIDが示すユーザが、当該工場IDが示す工場又は当該事業所IDが示す事業所において、診断管理サービス11xの利用を許可されたユーザであるか否かを認証する。
【0028】
管理台帳の転送処理では、診断管理データベース12xに記憶されている管理台帳を返信する。診断処理では、第1工場41xに属する可搬型計測装置51x及び第2工場42xに属する設置型計測装置52x等から受信したスチームトラップの振動及び温度を示す測定データに基づき、スチームトラップの状態を診断する。診断結果の登録処理では、事業所4nxに属する情報処理装置53x等から受信したスチームトラップの状態の診断結果、及び、上記の診断処理によるスチームトラップの状態の診断結果を、診断管理データベース12xに記憶されている管理台帳に追記する。
【0029】
ただし、これらの処理は例示にすぎず、診断管理サービス11xには、これらの処理とは異なる処理が含まれていてもよい。
【0030】
保守サービス13xは、診断管理データベース12xの保守処理を行うクラウドサービスである。保守サービス13xには、インターネット上における保守サービス13xの識別子であるURL「MS_X」が割り当てられている。診断管理システム1x、診断管理システム1y及び診断管理システム1zを提供するサービス提供会社8に属するクラウドデータベースの管理者は、インターネットを介して、URL「MS_X」で識別される保守サービス13xを利用する。
【0031】
保守サービス13xには、例えば、管理者の認証処理及びカスタマイズ処理等の保守処理が含まれる。例えば、管理者の認証処理では、サービス提供会社8に属する情報処理装置81x等から受信した管理者IDに基づき、当該管理者IDが示す管理者が、診断管理データベース12xの保守を許可された管理者であるか否かを認証する。カスタマイズ処理では、サービス提供会社8に属する情報処理装置81x等から受信した指示情報に従い、管理台帳をカスタマイズする。これにより、例えば、
図5のY社4yのように、一の工場41yしか存在しない場合、管理台帳における工場IDの値を、全て工場41yの工場IDとなるように、管理台帳をカスタマイズできる。ただし、これらの処理は例示にすぎず、保守サービス13xには、これらの処理とは異なる処理が含まれていてもよい。
【0032】
しかし、
図5に示した構成では、三社が利用する三個の診断管理データベース12x、12y、12zに対して同様の保守処理を一括して行うことはできず、保守サービス13x、13y、13zを個別に利用して、同様の保守処理を行う必要がある。例えば、保守サービス13xを利用して診断管理データベース12xの保守処理を行った後、これと同様の保守処理を、保守サービス13yを利用して診断管理データベース12yに対して行い、その後、保守サービス13zを利用して診断管理データベース12zに対して行う必要がある。このように、
図5に示した構成では、三個の診断管理データベース12x、12y、12zの保守を効率良く行えないという問題がある。
【0033】
また、保守処理の対象ではない一以上の診断管理データベースの内容を参考にして、ある診断管理データベースの保守処理を実行したい場合があると考えられる。例えば、
図5の例では、保守処理の対象ではないY社4yの診断管理データベース12yの内容を参考にして、X社4xの診断管理データベース12xの保守処理を実行したい場合があると考えられる。
【0034】
この場合、
図5に示した構成では、ユーザは、二台の情報処理装置81x、81yを並べて配置し、情報処理装置81yにおいて診断管理データベース12yの内容を参照しながら、情報処理装置81xにおいて診断管理データベース12xの保守処理を行わなければならない。しかし、二台の情報処理装置81x、81yを用意できない場合や、二台の情報処理装置81x、81yを並べて配置するスペースを確保できない場合がある。これらの場合、ユーザは、情報処理装置81xにおいて二個の操作画面を表示し、一の操作画面において診断管理データベース12yの内容を表示し、他の操作画面において診断管理データベース12xの保守処理を行わなければならない。
【0035】
つまり、
図5に示した構成では、参考にする保守処理の対象でないデータベースの数が多くなる程、情報処理装置の配置スペース又は操作画面の表示スペースの確保がより困難になるという問題がある。
【0036】
そこで、本発明者は、スチームトラップに関する情報を記憶する複数のクラウドデータベースの保守処理を効率良く実行することについて鋭意検討を重ねた結果、本発明を想起するに至った。
【0037】
<実施の形態>
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0038】
<システムの構成>
図1は、診断管理システム10x、10y、10z及び保守装置2の全体構成を示す図である。
図1には、X社4x、Y社4y及びZ社4zの三社に提供された診断管理システム10x、診断管理システム10y及び診断管理システム10zと、保守装置2と、を例示している。診断管理システム10x、診断管理システム10y及び診断管理システム10zは、それぞれ、ひな形となる診断管理システムをクローン化して作成されたものであり、同様の構成を有している。
【0039】
以下では、診断管理システム10x、診断管理システム10y及び診断管理システム10zを代表して、診断管理システム10xについて詳述する。診断管理システム10xは、診断管理データベース12xと、診断管理サービス11xと、を備える。診断管理データベース12x及び診断管理サービス11xは、
図5に示したものと同じであるので、その説明を省略する。つまり、診断管理システム10xは、
図5に示した診断管理システム1xが備える保守サービス13xを有しない構成となっている。
【0040】
保守装置2は、パソコン、サーバ装置、又はクラウドサーバ等のコンピュータによって構成されている。保守装置2は、
図5に示す保守サービス13x、13y、13zと同様の保守処理を実行可能であり、X社4x(第一の事業者)、Y社4y(第二の事業者)及びZ社4z(第二の事業者)の三社に提供された診断管理データベース12x(第一のクラウドデータベース)、診断管理データベース12y(第二のクラウドデータベース)及び診断管理データベース12z(第二のクラウドデータベース)の保守を統括的に行う。具体的には、保守装置2は、制御部20と記憶部21とを備える。
【0041】
制御部20は、CPU、RAM及びROM等を備えたマイクロコンピュータ及び外部装置との間で通信を行う通信回路を用いて構成されている。制御部20は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、受付部201、接続部202及び実行部203を有している。
【0042】
受付部201は、サービス提供会社3に属する情報処理装置31aから、三個の診断管理データベース12x、12y、12zのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付ける。具体的には、サービス提供会社3に属するクラウドデータベースの管理者が情報処理装置31aを操作することで、前記一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求が送信される。上記通信回路によって当該実行要求が受信されると、受付部201は、当該実行要求を受け付ける。この実行要求には、当該実行要求を送信した管理者の識別情報である管理者IDが含まれる。
【0043】
接続部202は、受付部201が前記実行要求を受け付けた場合、三個の診断管理データベース12x、12y、12zと保守装置2との接続を確立する。例えば、診断管理データベース12xと保守装置2との接続を確立するとは、診断管理データベース12xと保守装置2とを互いに通信可能な状態にし、保守装置2において、診断管理データベース12xを自在に操作可能な状態にすることを示す。
【0044】
実行部203は、接続部202による三個の診断管理データベース12x、12y、12zと保守装置2との接続を確立後、情報処理装置31aから送信される指示情報に従い、三個の診断管理データベース12x、12y、12zのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する。尚、保守処理には、
図5を用い説明した保守サービス13x、13y、13zに含まれる保守処理と同様の保守処理が含まれる。
【0045】
記憶部21は、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。
図2は、アクセス管理テーブル211の一例を示す図である。
図3は、グローバルIP管理テーブル212の一例を示す図である。記憶部21には、アクセス管理テーブル211と、グローバルIP管理テーブル212と、が記憶されている。
【0046】
アクセス管理テーブル211は、一以上の管理者について、各管理者による使用が許可されている診断管理データベース12x、12y、12zを管理するためのテーブルである。具体的には、
図2に示すように、アクセス管理テーブル211には、管理者を識別するための管理者ID(例えば、U004)と、当該管理者による使用が許可されている一以上のクラウドデータベースの識別情報(以降、許可データベースID)(例えば、12_x、12_y)と、が対応付けて記憶されている。尚、
図2のアクセス管理テーブル211では、管理者ID「U008」と許可データベースID「-」とが対応付けられている。これは、管理者ID「U008」によって識別される管理者による使用が許可されているクラウドデータベースが存在しないことを示している。
【0047】
グローバルIP管理テーブル212は、診断管理データベース12x、12y、12zに割り当てらたグローバルIPを管理するためのテーブルである。具体的には、
図3に示すように、グローバルIP管理テーブル212には、三個の診断管理データベース12x、12y、12zの識別情報(以降、データベースID)(例えば、12_x)と、各診断管理データベース12x、12y、12zに割り当てられたグローバルIP(例えば、GIP_X)と、が対応付けて記憶されている。
【0048】
次に、
図1に示した構成において、制御部20が、三個の診断管理データベース12x、12y、12zのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する方法について説明する。
図4は、一以上のクラウドデータベースの保守処理を実行する方法の一例を示すフローチャートである。
【0049】
受付部201は、情報処理装置31aから、三個の診断管理データベース12x、12y、12zのうちの一以上のクラウドデータベースの保守処理の実行要求を受け付ける(ステップS40)。
【0050】
次に、接続部202は、ステップS40で受け付けられた実行要求に含まれる管理者IDを取得し、当該管理者IDが示す管理者による使用が許可されているクラウドデータベース(以降、許可データベース)が存在するか否かを判定する(ステップS41)。
【0051】
具体的には、ステップS41において、接続部202は、アクセス管理テーブル211(
図2)において、受付部201が受け付けた実行要求に含まれる管理者IDと一以上の許可データベースIDとが対応付けられている場合、許可データベースが存在すると判定する。一方、接続部202は、記憶部21に記憶されているアクセス管理テーブル211(
図2)において、受付部201が受け付けた実行要求に含まれる管理者IDが存在しない場合、又は、当該管理者IDに対応付けられている許可データベースIDがない場合、許可データベースが存在しないと判定する。
【0052】
接続部202は、ステップS41において許可データベースが存在すると判定した場合、許可データベースに割り当てられたグローバルIPを取得する(ステップS42)。具体的には、ステップS42において、接続部202は、記憶部21に記憶されているアクセス管理テーブル211(
図2)において、受付部201が受け付けた実行要求に含まれる管理者ID(例えば、U004)と対応付けられている許可データベースID(例えば、12_x、12_y)を取得する。
【0053】
接続部202は、記憶部21に記憶されているグローバルIP管理テーブル212(
図3)において、上記の取得した許可データベースID(例えば、12_x、12_y)と対応付けられているグローバルIP(例えば、GIP_X、GIP_Y)を取得する。
【0054】
次に、接続部202は、ステップS42において取得したグローバルIPを用いて、当該グローバルIPに対応する許可データベースと保守装置2との接続を確立する(ステップS43)。これにより、ステップS40で受け付けられた実行要求に対応する管理者によって使用が許可されている許可データベースと保守装置2との接続だけが確立される。
【0055】
例えば、ステップS42において、接続部202は、二つのグローバルIP「GIP_X」、「GIP_Y」を取得したとする。この場合、接続部202は、グローバルIP「GIP_X」によって識別される診断管理データベース12x(
図1)と保守装置2との接続を確立する。また、接続部202は、グローバルIP「GIP_Y」によって識別される診断管理データベース12y(
図1)と保守装置2との接続を確立する。これにより、保守装置2は、二個の診断管理データベース12x、12yと互いに通信可能な状態となり、診断管理データベース12x、12yを自在に操作可能な状態となる。
【0056】
次に、実行部203は、情報処理装置31aから送信される指示情報に従い、ステップS43で保守装置2との接続が確立された診断管理データベースの保守処理を実行する(ステップS44)。
【0057】
例えば、ステップS43において、グローバルIP「GIP_X」によって識別される診断管理データベース12x(
図1)及びグローバルIP「GIP_Y」によって識別される診断管理データベース12y(
図1)と、保守装置2と、の接続が確立されたとする。この場合、ステップS44において、実行部203は、二個の診断管理データベース12x、12yに対して、情報処理装置31aから送信される指示情報が示す保守処理を実行する。
【0058】
ステップS44の実行後、実行部203は、情報処理装置31aから保守処理の終了指示を受信していない場合(ステップS45でNO)、ステップS44を再び実行する。一方、実行部203は、情報処理装置31aから保守処理の終了指示を受信すると(ステップS45でYES)、ステップS40で受け付けられた実行要求に関する保守処理を終了する。
【0059】
尚、ステップS41において許可データベースが存在しないと判定された場合(ステップS41でNO)、実行部203は、ステップS40で受け付けられた実行要求を送信した情報処理装置31aに対して警告を通知する(ステップS46)。
【0060】
具体的には、ステップS46において、実行部203は、ステップS40で受け付けられた実行要求を送信した情報処理装置31aに対し、許可データベースが存在しないことを示す警告情報を送信する。尚、情報処理装置31aは、ステップS46で送信された警告情報を受信した場合、例えば、当該警告情報を情報処理装置31aが備えるディスプレイに表示する、又は、情報処理装置31aが備えるスピーカーによって、当該警告情報を示す音声を出力する。
【0061】
本実施の形態によれば、ユーザは、診断管理データベース12x及び診断管理データベース12yのうち、診断管理データベース12xの保守処理の実行だけを要求した場合であっても、診断管理データベース12xの内容だけでなく、既に接続が確立されている保守処理の対象ではない診断管理データベース12yの内容を参照することができる。これにより、ユーザは、診断管理データベース12x及び診断管理データベース12yの内容を比較する等して、診断管理データベース12xの保守処理を効率よく実行することができる。
【0062】
また、ユーザは、診断管理データベース12x及び診断管理データベース12yの保守処理の実行を要求した場合には、例えば、同様の保守処理を、診断管理データベース12x及び診断管理データベース12yに対して行った後、診断管理データベース12x及び診断管理データベース12yのそれぞれに固有の保守処理を行うことができる。このようにして、ユーザは、既に接続が確立されている二個の診断管理データベース12x及び診断管理データベース12yに対して行う保守処理の内容及び実行順を適宜変更して、診断管理データベース12x及び診断管理データベース12yの保守処理を効率よく実行することができる。
【0063】
本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限らず、以下に示す変形例を採用してもよい。
【0064】
(変形例1)
図4に示したステップS41及びステップS46を省略してもよい。これに合わせて、接続部202が、ステップS42に代えて、サービス提供会社3が提供した全ての診断管理データベースに割り当てられたグローバルIPを取得し、当該取得したグローバルIPを用いてステップS43以降の処理を行うようにしてもよい。これにより、ステップS43において、サービス提供会社3が提供した全ての診断管理データベースと保守装置2との接続を確立し、ステップS45において、保守装置2が、当該全ての診断管理データベースに対して保守処理を実行できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
2 :保守装置
4x :X社(第一の事業者)
4y :Y社(第二の事業者)
4z :Z社(第二の事業者)
12x :診断管理データベース(第一のクラウドデータベース)
12y :診断管理データベース(第二のクラウドデータベース)
12z :診断管理データベース(第二のクラウドデータベース)
20 :制御部
21 :記憶部
201 :受付部
202 :接続部
203 :実行部