(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098180
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】排水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/264 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
E03C1/264
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211574
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平井 良典
(72)【発明者】
【氏名】櫻 健一
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】
取り付けられた目皿部材の傾きや排水口からの離間を防止することができる排水装置を提供する。
【解決手段】
槽体1は浴槽であり、平面視矩形の底壁部11と、底壁部11の四辺から立設された側壁部12を有する箱状である。又、側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部に排水口21が形成されている。排水口21には排水中の異物を捕捉する目皿部材9が取り付けられている。当該目皿部材9は嵌合部4、被嵌合部5から成る固定手段によって排水口21
に着脱自在に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部及び前記底壁部から立設された側壁部を有する槽体と、
前記側壁部又は前記底壁部と前記側壁部が交差する角部に形成された排水口と、
前記排水口に取り付けられて排水中の異物を捕捉する目皿部材から成る排水装置であって、
前記排水口に前記目皿部材を着脱自在に固定する固定手段を備えることを特徴とする排水装置。
【請求項2】
前記固定手段は、
前記排水口近傍又は前記目皿部材のどちらか一方に形成された嵌合部と、
他方に形成された被嵌合部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記固定手段は、
前記排水口近傍に形成された凸部又は凹部から成り、
前記目皿部材は上記凸部又は凹部の側方からスライド移動させることによって排水口に固定することを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項4】
前記固定手段は、
前記排水口近傍又は前記目皿部材の一方に取り付けられた磁石と、
他方に形成された、磁石に吸着される吸着部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項5】
前記固定手段は、
前記排水口に配置された前記目皿部材の抜脱を防止する固定部材から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に取り付けられて、排水中の異物を捕集する目皿部材を有する排水装置に関するものである。
【0002】
従来の排水装置として、特許文献1に記載のように、排水口が槽体の底壁部と側壁部が交差する角部に形成されており、当該排水口が斜め上方に向けて開口されている構造が知られている。又、排水口は鉛直方向よりも水平方向が長く形成されており、水位が低下した状態でも好適な排水流量を確保することができるようになっている。
又、特許文献2に記載のように、排水中の異物を捕捉するために、排水口に目皿部材を取り付ける構造を有する排水装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-183649号公報
【特許文献2】特開2017-66622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載の排水口は槽体の底壁部と側壁部が交差する角部であって、側方を向いて形成されていることから、排水口に目皿部材を取り付けようとすると、取り付け後に目皿部材が傾いたり、排水によって目皿部材が浮き上がり、排水口から離間したりしてしまう恐れがあった。このようにして排水口から離間してしまった場合において、目皿部材は排水中の異物を捕捉する機能を発揮することが不可能となる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、取り付けられた目皿部材の傾きや排水口からの離間を防止することができる排水装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の本発明は、底壁部及び前記底壁部から立設された側壁部を有する槽体と、
前記側壁部又は前記底壁部と前記側壁部が交差する角部に形成された排水口と、
前記排水口に取り付けられて排水中の異物を捕捉する目皿部材から成る排水装置であって、
前記排水口に前記目皿部材を着脱自在に固定する固定手段を備えることを特徴とする排水装置である。
【0007】
尚、上記「前記排水口に前記目皿部材を着脱自在に固定する」とは、目皿部材が直接排水口に固定される構造を含む他、排水口内部に固定された部材に対して目皿部材を固定することによって、間接的に排水口に固定する構造を含むものである。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口近傍又は前記目皿部材のどちらか一方に形成された嵌合部と、
他方に形成された被嵌合部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口近傍に形成された凸部又は凹部から成り、
前記目皿部材は上記凸部又は凹部の側方からスライド移動させることによって排水口に固定することを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口近傍又は前記目皿部材の一方に取り付けられた磁石と、
他方に形成された、磁石に吸着される吸着部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口に配置された前記目皿部材の抜脱を防止する固定部材から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明によれば、固定手段によって取り付けられた目皿部材の傾きや排水口からの離間を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図7】第三実施形態を示す(a)断面図、(b)
図7(a)のA部拡大図である。
【
図9】目皿部材が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図10】第五実施形態を示す(a)断面図、(b)
図7(a)のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の排水装置を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0015】
図1乃至
図4に示すように、本発明の第一実施形態は、槽体1、排水栓2、ワイヤ受け3、伝達部材6、栓蓋8、目皿部材9から構成される。又、嵌合部4と被嵌合部5から成る目皿部材9の固定手段を備えている。
【0016】
槽体1は浴槽であり、平面視矩形の底壁部11と、底壁部11の四辺から立設された側壁部12を有する箱状である。又、側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部に開口が形成されている。尚、当該開口には排水栓2が取り付けられているとともに、槽体1の縁部には伝達部材6を介して栓蓋8の昇降操作を行う操作部(図示せず)が取り付けられている。
【0017】
排水栓2は内部に排水流路が形成された中空の筒体である。排水栓2は上記槽体1の角部に形成された開口に取り付けられることによって、槽体1内の湯水を排出する排水口21を側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部において斜め上方に向けて形成する。又、排水栓2は一端に槽体1の開口周縁と当接するフランジ部を有しているとともに、排水栓2は他端において、下水側へと連続する排水配管22が接続されており、その内側にはワイヤ受け3が取り付けられている。尚、本実施形態において、排水口21は正面視長円形を成しており、垂直方向よりも水平方向の方が長尺となっている。
【0018】
ワイヤ受け3は後述する伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。又、保持部32の外周には目皿部材9の固定手段として、凹状の嵌合部4が形成されている。
【0019】
伝達部材6は樹脂製筒状のアウターチューブ61、及びアウターチューブ61内に配置された金属製のインナーワイヤ62から成るレリースワイヤと、レリースワイヤ端部に形成された支持軸7を有している。当該伝達部材6はレリースワイヤ側の端部が前記操作部に接続されているとともに、支持軸7側の端部は上方を向くように屈曲し、ワイヤ受け3に固定されるとともに先端が栓蓋8に係合されている。
支持軸7は軸部71及びカバー部72から成る筒状体であり、軸部71はインナーワイヤ62に、カバー部72はアウターチューブ61にそれぞれ連結されており、インナーワイヤ62が栓蓋8側に摺動した際に軸部71がカバー部72から突出するように構成されている。
軸部71は円筒状であり、一端が栓蓋8に係合するとともに、他端がインナーワイヤ62と連結されている。
カバー部72は軸部71を内部に進退可能に収納する中空の円筒状であり、端部がアウターチューブ61に連結されているとともに、外側面がワイヤ受け3に固定されている。
【0020】
栓蓋8は排水口21を開閉するパッキンが周囲に嵌着された板状の蓋体であって、操作部からの操作を受けて斜め方向に向けて変位する。又、栓蓋8は下面に支持軸7が係合されている。尚、栓蓋8は排水口21と略同形であって、栓蓋8の下降時において、嵌着されたパッキンは排水口21の全周に亘り当接する。
【0021】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、
図2に示すように、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は
図3に示すように、挿通部92、捕捉部93、開口部94、切り欠き部95が形成されている。
挿通部92は本実施形態における目皿部材9の固定手段である被嵌合部5を構成する、目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。又、被嵌合部5の内径は嵌合部4の外径と略同径であって、保持部32の外径より小径且つ嵌合部4の外径よりも大径となっている。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、本実施形態においては、目皿部材9の上下に形成された長辺を繋ぐにように複数本形成され、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
切り欠き部95は目皿部材9は正面視において、被嵌合部5の下端から外縁部91の中央下端が破断されることによって形成されている。又、切り欠き部95の幅はワイヤ受け3の保持部32及び嵌合部4よりも短く、被嵌合部5に挿通された支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が外れることはない。
【0022】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。尚、
図4においては目皿部材9の取り付け方向を矢印にて示している。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、保持部32の側方から切り欠き部95を嵌合部4に押し当てる。この時、目皿部材9は嵌合部4によって切り欠き部95が押し広げられるとともに、切り欠き部95の幅が保持部32の外径よりも大きくなると、切り欠き部95を通じて嵌合部4が被嵌合部5に配置される。尚、弾性変形していた目皿部材9は自身の弾性によって元の形状に復帰することで、目皿部材9の取り付けが完了する。
上記取り付け完了時において、ワイヤ受け3の嵌合部4が目皿部材9の被嵌合部5と嵌合することによって、目皿部材9はワイヤ受け3に対して相対移動不可能に固定される。即ち、排水口21の開口方向であって、支持軸7や保持部32の軸方向への移動は、被嵌合部5が保持部32の外径よりも小径であるため不可能となり、支持軸7や保持部32の軸方向への移動は、嵌合部4の外周が被嵌合部5の内周と当接することによって不可能となる。ここで、ワイヤ受け3は排水口21に移動不可能に固定されていることから、目皿部材9はワイヤ受け3を介して排水口21に固定される。
尚、目皿部材9を取り外す際には、上記取り付けの際とは反対方向に目皿部材9を引っ張ることによって、目皿部材9が再び弾性変形して上記嵌合を解除することができる。
【0023】
次に、本発明の第二実施形態について
図5及び
図6を用いて説明する。尚、第二実施形態はワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0024】
ワイヤ受け3は伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。又、保持部32の環状部31は、裏側(下流側)において、目皿部材9の固定手段として、段状の嵌合部4が形成されている。
【0025】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は
図6に示すように、挿通部92、被嵌合部5、捕捉部93、開口部94が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
被嵌合部5は本実施形態における目皿部材9の固定手段であって、目皿部材9の外縁部91からワイヤ受け3へ向けて延設された爪状を成し、取り付け完了時にはワイヤ受け3の嵌合部4と嵌合する。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
【0026】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9をワイヤ受け3に対して押し付ける。この時、挿通部92に支持軸7が挿通されるとともに、目皿部材9の被嵌合部5がワイヤ受け3の外縁部91に当接し、内側に撓むように変形する。被嵌合部5がワイヤ受け3の裏側まで到達すると、被嵌合部5が自身の弾性によって元の形状に復帰することで、ワイヤ受け3の裏側に形成された嵌合部4に嵌合し、目皿部材9の取り付けが完了する。
上記取り付け完了時において、ワイヤ受け3の嵌合部4と目皿部材9の被嵌合部5が嵌合しているため、目皿部材9はワイヤ受け3に対して相対移動不可能に固定される。ここで、ワイヤ受け3は排水口21に移動不可能に固定されていることから、目皿部材9はワイヤ受け3を介して排水口21に固定される。
尚、目皿部材9を取り外す際には、上記取り付けの際とは反対方向に目皿部材9を引っ張ることによって、目皿部材9が再び弾性変形して上記嵌合を解除することができる。
【0027】
上記第一実施形態、及び第二実施形態によれば、目皿部材9は嵌合部4及び被嵌合部5から成る固定手段により、排水口21に固定される。これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、上記第一実施形態及び第二実施形態において、嵌合部4はワイヤ受け3及び目皿部材9に形成されていたが、嵌合部4が形成される部材はワイヤ受け3に限られるものではなく、排水口21近傍に形成されていれば良い。例えば、
図7に示す第三実施形態のように、嵌合部4が排水栓2に形成されていても良く、その他の部材に形成されていても良い。又、目皿部材9に嵌合部4が形成され、排水口21近傍に被嵌合部5が形成されていても良い。尚、第三実施形態においては、排水栓2は内側面において段状の嵌合部4が形成されており、当該嵌合部4に弾性変形した目皿部材9の外縁部91(本実施形態における被嵌合部5)が嵌合することによって取り付けられている。
【0028】
次に、本発明の第四実施形態について
図8及び
図9を用いて説明する。尚、第四実施形態は排水栓2、ワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。尚、
図9においては、発明の理解を容易にするために、ワイヤ受け3や支持軸7の一部を二点鎖線にて記載している。
【0029】
排水栓2は内部に排水流路が形成された中空の筒体であって、上記槽体1の角に形成された開口に取り付けられ、槽体1内の湯水を排出する排水口21を斜め上方に向けて形成する。又、排水栓2は一端に槽体1の開口周縁と当接するフランジ部を有しているとともに、排水栓2は他端において、下水側へと連続する排水配管22が接続されており、その内側にはワイヤ受け3が取り付けられている。尚、本実施形態において、排水口21は正面視長円形を成しており、垂直方向よりも水平方向の方が長尺となっている。
又、排水栓2は水平方向に延設された長辺の中央より、対向する長辺に向けて突出する一対の凸部23が形成されている。当該凸部23は目皿部材9が取り付けられた状態において、目皿部材9が排水口21の開口方向に移動することを規制し、排水口21に目皿部材9を固定する固定手段として作用する。
【0030】
ワイヤ受け3は伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。
【0031】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は
図9に示すように、挿通部92、捕捉部93、開口部94、切り欠き部95が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
切り欠き部95は目皿部材9は正面視において、挿通部92から外縁部91へ向けて水平方向に捕捉部93が破断されることによって形成されている。又、切り欠き部95の幅はワイヤ受け3の保持部32よりも長く形成されている。
【0032】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9を凸部23の側方から水平方向にスライド移動させ、目皿部材9をワイヤ受け3と凸部23の間に配置することで、目皿部材9の取り付けが完了する。この時、目皿部材9はワイヤ受け3と凸部23によって表裏が挟持されることによって排水口21に固定される。
尚、目皿部材9を取り外す際には、目皿部材9を凸部23の側方から水平方向にスライド移動させて引き抜くことによって、容易に排水口21から分離させることができる。
【0033】
上記第四実施形態によれば、目皿部材9は凸部23から成る固定手段により、排水口21に固定される。これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、上記第四実施形態において、排水栓2に形成されていた固定手段は対向する長辺に向けて突出する凸部23であったが、凹部であっても良い。
【0034】
次に、本発明の第五実施形態について
図10を用いて説明する。尚、第五実施形態は排水栓2、ワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0035】
排水栓2は内部に排水流路が形成された中空の筒体であって、上記槽体1の角に形成された開口に取り付けられ、槽体1内の湯水を排出する排水口21を斜め上方に向けて形成する。又、排水栓2は一端に槽体1の開口周縁と当接するフランジ部を有しているとともに、排水栓2は他端において、下水側へと連続する排水配管22が接続されており、その内側にはワイヤ受け3が取り付けられている。尚、本実施形態において、排水口21は正面視長円形を成しており、垂直方向よりも水平方向の方が長尺となっている。
又、排水栓2は内部に第一磁石100が埋設されている。第一磁石100は後述する目皿部材9に埋設された第二磁石101と吸着する永久磁石である。
【0036】
ワイヤ受け3は伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。
【0037】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は挿通部92、捕捉部93、開口部94が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
又、
図10(b)に示すように、目皿部材9は外縁部91の内部に、上記第一磁石100に吸着される吸着部110としての第二磁石101が埋設されている。
【0038】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9を排水口21に載置する。この時、挿通部92に支持軸7が挿通されるとともに、排水栓2に取り付けられた第一磁石100と、目皿部材9に取り付けられた吸着部110としての第二磁石101が吸着し、目皿部材9が排水口21に固定される。
【0039】
上記第五実施形態によれば、目皿部材9は排水栓2に取り付けられた永久磁石である第一磁石100と、目皿部材9に取り付けられた吸着部110によって排水口21に固定される。これにより、これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、上記第五実施形態において、永久磁石である第一磁石100は排水栓2に取り付けられていたが、第一磁石100が取り付けられる部材は排水栓2に限られるものではなく、ワイヤ受け3等、排水口21近傍に取り付けられていれば良い。又、吸着部110が排水栓2や排水口21に取り付けられていても良い。又。吸着部110は第二磁石101に限られるものではなく、第一磁石100と吸着する金属であっても良い。
【0040】
次に、本発明の第六実施形態について
図11及び
図12を用いて説明する。尚、第六実施形態はワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0041】
ワイヤ受け3は後述する伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。又、保持部32の外周には後述する固定部材120が取り付けられるための溝部34が形成されている。
【0042】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は挿通部92、捕捉部93、開口部94が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
【0043】
固定部材120は本実施形態における固定手段であって、一部が切り欠かれた略C字状のリング体である。固定部材120の内径は上記ワイヤ受け3の溝部34の外径と略同径であり、切り欠き部分の幅は溝部34の外径よりも小さく形成されている。又、固定部材120の外径は目皿部材9の挿通部92の内径よりも大径となっている。
【0044】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。尚、
図12においては固定部材120の取り付け方向を矢印にて示している。
まず、栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9を排水口21に載置する。この時、挿通部92に支持軸7が挿通されるが、目皿部材9は支持軸7の軸方向に対して移動可能となっており、固定されていない。
次に、ワイヤ受け3の溝部34に対して固定部材120を取り付ける。この時、目皿部材9は固定部材120によって表面が押さえつけられ、抜脱が防止されるとともに、排水口21に対して固定される。
【0045】
上記第六実施形態によれば、目皿部材9は固定部材120から成る固定手段により、排水口21に固定される。これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、目皿部材9を取り外す際には、固定部材120を取り外した上で、上記取り付けの際とは反対方向に目皿部材9を引っ張ることによって、目皿部材9を排水口21から取り外すことができる。
【0046】
上記第一実施形態乃至第六実施形態においては、操作部に操作を加えることで、伝達部材6のインナーワイヤ62を介し、支持軸7と共に蓋体8を変位させることができ、排水口21を開閉することができる。
槽体を使用し、槽体内の湯水を排出するために排水口21を開口すると、湯水が排水として目皿部材9の開口部94を通過して下流側に排出される。この際、排水中の毛髪などの異物は目皿部材9の捕捉部93に捕捉されて下流側には流出しない。また、異物が付着した目皿部材9はそれぞれの実施形態に記載した方法で簡単に排水口21から取り外すことができ、容易に清掃することができる。
【0047】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明の排水装置は上記実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えても良い。
【0048】
例えば、上記実施形態において、槽体1は浴槽であったが、流し台や洗面ボウルその他の槽体であっても良い。
【0049】
又、上記各実施形態では、操作部に操作を加えることで遠隔操作にて排水口21を開閉する蓋体8を備えているが、当該構成は必ずしも必須ではなく、使用者が直接蓋体8を把持して排水口21を開閉したり、又は排水口21には目皿部材9のみを配置したりして、蓋体8を備えない構成としても良い。
【0050】
尚、上記各実施形態の内、ワイヤ受け3に目皿部材9を固定する構造について、ワイヤ受け3に代えて排水口21近傍に固定することによって取り付けられても良い。
【0051】
又、排水口21の形状は必ずしも正面視長円形である必要はなく、垂直方向よりも水平方向の方が長尺である必要もない。
【0052】
又、排水口21が形成されるのは側壁部12と底壁部11が交差する角部に限られるものではなく、側壁部12に形成されていても良い。
【0053】
1 槽体
11 底壁部
12 側壁部
2 排水栓
21 排水口
22 排水配管
23 凸部
3 ワイヤ受け
31 環状部
32 保持部
33 支承部
34 溝部
4 嵌合部
5 被嵌合部
6 伝達部材
61 アウターチューブ
62 インナーワイヤ
7 支持軸
71 軸部
72 カバー部
8 栓蓋
9 目皿部材
91 外縁部
92 挿通部
93 捕捉部
94 開口部
95 切り欠き部
100 第一磁石
101 第二磁石
110 吸着部
120 固定部材
【手続補正書】
【提出日】2022-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部及び前記底壁部から立設された側壁部を有する槽体と、
前記側壁部又は前記底壁部と前記側壁部が交差する角部に形成された排水口と、
前記排水口に取り付けられて排水中の異物を捕捉する目皿部材から成る排水装置であって、
前記排水口に前記目皿部材を着脱自在に固定する固定手段を備えることを特徴とする排水装置。
【請求項2】
前記固定手段は、
前記排水口の近傍又は前記目皿部材のどちらか一方に形成された嵌合部と、
他方に形成された被嵌合部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記固定手段は、
前記排水口の近傍に形成された凸部又は凹部から成り、
前記目皿部材は前記凸部又は前記凹部の側方からスライド移動させることによって前記排水口に固定することを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項4】
前記固定手段は、
前記排水口の近傍又は前記目皿部材の一方に取り付けられた磁石と、
他方に形成された、前記磁石に吸着される吸着部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項5】
前記固定手段は、
前記排水口に配置された前記目皿部材の抜脱を防止する固定部材から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に取り付けられて、排水中の異物を捕集する目皿部材を有する排水装置に関するものである。
【0002】
従来の排水装置として、特許文献1に記載のように、排水口が槽体の底壁部と側壁部が交差する角部に形成されており、当該排水口が斜め上方に向けて開口されている構造が知られている。又、排水口は鉛直方向よりも水平方向が長く形成されており、水位が低下した状態でも好適な排水流量を確保することができるようになっている。
又、特許文献2に記載のように、排水中の異物を捕捉するために、排水口に目皿部材を取り付ける構造を有する排水装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-183649号公報
【特許文献2】特開2017-66622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載の排水口は槽体の底壁部と側壁部が交差する角部であって、側方を向いて形成されていることから、排水口に目皿部材を取り付けようとすると、取り付け後に目皿部材が傾いたり、排水によって目皿部材が浮き上がり、排水口から離間したりしてしまう恐れがあった。このようにして排水口から離間してしまった場合において、目皿部材は排水中の異物を捕捉する機能を発揮することが不可能となる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、取り付けられた目皿部材の傾きや排水口からの離間を防止することができる排水装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の本発明は、底壁部及び前記底壁部から立設された側壁部を有する槽体と、
前記側壁部又は前記底壁部と前記側壁部が交差する角部に形成された排水口と、
前記排水口に取り付けられて排水中の異物を捕捉する目皿部材から成る排水装置であって、
前記排水口に前記目皿部材を着脱自在に固定する固定手段を備えることを特徴とする排水装置である。
【0007】
尚、上記「前記排水口に前記目皿部材を着脱自在に固定する」とは、目皿部材が直接排水口に固定される構造を含む他、排水口内部に固定された部材に対して目皿部材を固定することによって、間接的に排水口に固定する構造を含むものである。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口の近傍又は前記目皿部材のどちらか一方に形成された嵌合部と、
他方に形成された被嵌合部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口の近傍に形成された凸部又は凹部から成り、
前記目皿部材は前記凸部又は前記凹部の側方からスライド移動させることによって前記排水口に固定することを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口の近傍又は前記目皿部材の一方に取り付けられた磁石と、
他方に形成された、前記磁石に吸着される吸着部から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、前記固定手段は、
前記排水口に配置された前記目皿部材の抜脱を防止する固定部材から成ることを特徴とする請求項1に記載の排水装置である。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明によれば、固定手段によって取り付けられた目皿部材の傾きや排水口からの離間を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図7】第三実施形態を示す(a)断面図、(b)
図7(a)のA部拡大図である。
【
図9】目皿部材が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図10】第五実施形態を示す(a)断面図、(b)
図7(a)のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の排水装置を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0015】
図1乃至
図4に示すように、本発明の第一実施形態は、槽体1、排水栓2、ワイヤ受け3、伝達部材6、栓蓋8、目皿部材9から構成される。又、嵌合部4と被嵌合部5から成る目皿部材9の固定手段を備えている。
【0016】
槽体1は浴槽であり、平面視矩形の底壁部11と、底壁部11の四辺から立設された側壁部12を有する箱状である。又、側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部に開口が形成されている。尚、当該開口には排水栓2が取り付けられているとともに、槽体1の縁部には伝達部材6を介して栓蓋8の昇降操作を行う操作部(図示せず)が取り付けられている。
【0017】
排水栓2は内部に排水流路が形成された中空の筒体である。排水栓2は上記槽体1の角部に形成された開口に取り付けられることによって、槽体1内の湯水を排出する排水口21を側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部において斜め上方に向けて形成する。又、排水栓2は一端に槽体1の開口周縁と当接するフランジ部を有しているとともに、排水栓2は他端において、下水側へと連続する排水配管22が接続されており、その内側にはワイヤ受け3が取り付けられている。尚、本実施形態において、排水口21は正面視長円形を成しており、垂直方向よりも水平方向の方が長尺となっている。
【0018】
ワイヤ受け3は後述する伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。又、保持部32の外周には目皿部材9の固定手段として、凹状の嵌合部4が形成されている。
【0019】
伝達部材6は樹脂製筒状のアウターチューブ61、及びアウターチューブ61内に配置された金属製のインナーワイヤ62から成るレリースワイヤと、レリースワイヤ端部に形成された支持軸7を有している。当該伝達部材6はレリースワイヤ側の端部が前記操作部に接続されているとともに、支持軸7側の端部は上方を向くように屈曲し、ワイヤ受け3に固定されるとともに先端が栓蓋8に係合されている。
支持軸7は軸部71及びカバー部72から成る筒状体であり、軸部71はインナーワイヤ62に、カバー部72はアウターチューブ61にそれぞれ連結されており、インナーワイヤ62が栓蓋8側に摺動した際に軸部71がカバー部72から突出するように構成されている。
軸部71は円筒状であり、一端が栓蓋8に係合するとともに、他端がインナーワイヤ62と連結されている。
カバー部72は軸部71を内部に進退可能に収納する中空の円筒状であり、端部がアウターチューブ61に連結されているとともに、外側面がワイヤ受け3に固定されている。
【0020】
栓蓋8は排水口21を開閉するパッキンが周囲に嵌着された板状の蓋体であって、操作部からの操作を受けて斜め方向に向けて変位する。又、栓蓋8は下面に支持軸7が係合されている。尚、栓蓋8は排水口21と略同形であって、栓蓋8の下降時において、嵌着されたパッキンは排水口21の全周に亘り当接する。
【0021】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、
図2に示すように、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は
図3に示すように、挿通部92、捕捉部93、開口部94、切り欠き部95が形成されている。
挿通部92は本実施形態における目皿部材9の固定手段である被嵌合部5を構成する、目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。又、被嵌合部5の内径は嵌合部4の外径と略同径であって、保持部32の外径より小径且つ嵌合部4の外径よりも大径となっている。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、本実施形態においては、目皿部材9の上下に形成された長辺を繋ぐにように複数本形成され、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
切り欠き部95は目皿部材9
の正面視において、被嵌合部5の下端から外縁部91の中央下端が破断されることによって形成されている。又、切り欠き部95の幅はワイヤ受け3の保持部32及び嵌合部4よりも短く、被嵌合部5に挿通された支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が外れることはない。
【0022】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。尚、
図4においては目皿部材9の取り付け方向を矢印にて示している。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、保持部32の側方から切り欠き部95を嵌合部4に押し当てる。この時、目皿部材9は嵌合部4によって切り欠き部95が押し広げられるとともに、切り欠き部95の幅が保持部32の外径よりも大きくなると、切り欠き部95を通じて嵌合部4が被嵌合部5に配置される。尚、弾性変形していた目皿部材9は自身の弾性によって元の形状に復帰することで、目皿部材9の取り付けが完了する。
上記取り付け完了時において、ワイヤ受け3の嵌合部4が目皿部材9の被嵌合部5と嵌合することによって、目皿部材9はワイヤ受け3に対して相対移動不可能に固定される。即ち、排水口21の開口方向であって、支持軸7や保持部32の軸方向への移動は、被嵌合部5が保持部32の外径よりも小径であるため不可能となり、支持軸7や保持部32の軸方向への移動は、嵌合部4の外周が被嵌合部5の内周と当接することによって不可能となる。ここで、ワイヤ受け3は排水口21に移動不可能に固定されていることから、目皿部材9はワイヤ受け3を介して排水口21に固定される。
尚、目皿部材9を取り外す際には、上記取り付けの際とは反対方向に目皿部材9を引っ張ることによって、目皿部材9が再び弾性変形して上記嵌合を解除することができる。
【0023】
次に、本発明の第二実施形態について
図5及び
図6を用いて説明する。尚、第二実施形態はワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0024】
ワイヤ受け3は伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。又、保持部32の環状部31は、裏側(下流側)において、目皿部材9の固定手段として、段状の嵌合部4が形成されている。
【0025】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は
図6に示すように、挿通部92、被嵌合部5、捕捉部93、開口部94が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
被嵌合部5は本実施形態における目皿部材9の固定手段であって、目皿部材9の外縁部91からワイヤ受け3へ向けて延設された爪状を成し、取り付け完了時にはワイヤ受け3の嵌合部4と嵌合する。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
【0026】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9をワイヤ受け3に対して押し付ける。この時、挿通部92に支持軸7が挿通されるとともに、目皿部材9の被嵌合部5がワイヤ受け3の外縁部91に当接し、内側に撓むように変形する。被嵌合部5がワイヤ受け3の裏側まで到達すると、被嵌合部5が自身の弾性によって元の形状に復帰することで、ワイヤ受け3の裏側に形成された嵌合部4に嵌合し、目皿部材9の取り付けが完了する。
上記取り付け完了時において、ワイヤ受け3の嵌合部4と目皿部材9の被嵌合部5が嵌合しているため、目皿部材9はワイヤ受け3に対して相対移動不可能に固定される。ここで、ワイヤ受け3は排水口21に移動不可能に固定されていることから、目皿部材9はワイヤ受け3を介して排水口21に固定される。
尚、目皿部材9を取り外す際には、上記取り付けの際とは反対方向に目皿部材9を引っ張ることによって、目皿部材9が再び弾性変形して上記嵌合を解除することができる。
【0027】
上記第一実施形態、及び第二実施形態によれば、目皿部材9は嵌合部4及び被嵌合部5から成る固定手段により、排水口21に固定される。これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、上記第一実施形態及び第二実施形態において、嵌合部4はワイヤ受け3及び目皿部材9に形成されていたが、嵌合部4が形成される部材はワイヤ受け3に限られるものではなく、排水口21近傍に形成されていれば良い。例えば、
図7に示す第三実施形態のように、嵌合部4が排水栓2に形成されていても良く、その他の部材に形成されていても良い。又、目皿部材9に嵌合部4が形成され、排水口21近傍に被嵌合部5が形成されていても良い。尚、第三実施形態においては、排水栓2は内側面において段状の嵌合部4が形成されており、当該嵌合部4に弾性変形した目皿部材9の外縁部91(本実施形態における被嵌合部5)が嵌合することによって取り付けられている。
【0028】
次に、本発明の第四実施形態について
図8及び
図9を用いて説明する。尚、第四実施形態は排水栓2、ワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。尚、
図9においては、発明の理解を容易にするために、ワイヤ受け3や支持軸7の一部を二点鎖線にて記載している。
【0029】
排水栓2は内部に排水流路が形成された中空の筒体であって、上記槽体1の角に形成された開口に取り付けられ、槽体1内の湯水を排出する排水口21を斜め上方に向けて形成する。又、排水栓2は一端に槽体1の開口周縁と当接するフランジ部を有しているとともに、排水栓2は他端において、下水側へと連続する排水配管22が接続されており、その内側にはワイヤ受け3が取り付けられている。尚、本実施形態において、排水口21は正面視長円形を成しており、垂直方向よりも水平方向の方が長尺となっている。
又、排水栓2は水平方向に延設された長辺の中央より、対向する長辺に向けて突出する一対の凸部23が形成されている。当該凸部23は目皿部材9が取り付けられた状態において、目皿部材9が排水口21の開口方向に移動することを規制し、排水口21に目皿部材9を固定する固定手段として作用する。
【0030】
ワイヤ受け3は伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。
【0031】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は
図9に示すように、挿通部92、捕捉部93、開口部94、切り欠き部95が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
切り欠き部95は目皿部材9
の正面視において、挿通部92から外縁部91へ向けて水平方向に捕捉部93が破断されることによって形成されている。又、切り欠き部95の幅はワイヤ受け3の保持部32よりも長く形成されている。
【0032】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9を凸部23の側方から水平方向にスライド移動させ、目皿部材9をワイヤ受け3と凸部23の間に配置することで、目皿部材9の取り付けが完了する。この時、目皿部材9はワイヤ受け3と凸部23によって表裏が挟持されることによって排水口21に固定される。
尚、目皿部材9を取り外す際には、目皿部材9を凸部23の側方から水平方向にスライド移動させて引き抜くことによって、容易に排水口21から分離させることができる。
【0033】
上記第四実施形態によれば、目皿部材9は凸部23から成る固定手段により、排水口21に固定される。これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、上記第四実施形態において、排水栓2に形成されていた固定手段は対向する長辺に向けて突出する凸部23であったが、凹部であっても良い。
【0034】
次に、本発明の第五実施形態について
図10を用いて説明する。尚、第五実施形態は排水栓2、ワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0035】
排水栓2は内部に排水流路が形成された中空の筒体であって、上記槽体1の角に形成された開口に取り付けられ、槽体1内の湯水を排出する排水口21を斜め上方に向けて形成する。又、排水栓2は一端に槽体1の開口周縁と当接するフランジ部を有しているとともに、排水栓2は他端において、下水側へと連続する排水配管22が接続されており、その内側にはワイヤ受け3が取り付けられている。尚、本実施形態において、排水口21は正面視長円形を成しており、垂直方向よりも水平方向の方が長尺となっている。
又、排水栓2は内部に第一磁石100が埋設されている。第一磁石100は後述する目皿部材9に埋設された第二磁石101と吸着する永久磁石である。
【0036】
ワイヤ受け3は伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。
【0037】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は挿通部92、捕捉部93、開口部94が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
又、
図10(b)に示すように、目皿部材9は外縁部91の内部に、上記第一磁石100に吸着される吸着部110としての第二磁石101が埋設されている。
【0038】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。
栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9を排水口21に載置する。この時、挿通部92に支持軸7が挿通されるとともに、排水栓2に取り付けられた第一磁石100と、目皿部材9に取り付けられた吸着部110としての第二磁石101が吸着し、目皿部材9が排水口21に固定される。
【0039】
上記第五実施形態によれば、目皿部材9は排水栓2に取り付けられた永久磁石である第一磁石100と、目皿部材9に取り付けられた吸着部110によって排水口21に固定される。これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、上記第五実施形態において、永久磁石である第一磁石100は排水栓2に取り付けられていたが、第一磁石100が取り付けられる部材は排水栓2に限られるものではなく、ワイヤ受け3等、排水口21近傍に取り付けられていれば良い。又、吸着部110が排水栓2や排水口21に取り付けられていても良い。又。吸着部110は第二磁石101に限られるものではなく、第一磁石100と吸着する金属であっても良い。
【0040】
次に、本発明の第六実施形態について
図11及び
図12を用いて説明する。尚、第六実施形態はワイヤ受け3と目皿部材9以外の部材は上記第一実施形態と同一であるため、これらの構造については第一実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0041】
ワイヤ受け3は後述する伝達部材6の端部を排水栓2内に固定する部材であって、排水栓2の内側面と略同形状を成す環状部31と、伝達部材6を保持する保持部32と、環状部31と保持部32を繋ぐ支承部33から構成されている。又、保持部32の外周には後述する固定部材120が取り付けられるための溝部34が形成されている。
【0042】
目皿部材9は薄肉のポリプロピレン等の樹脂材から成り、外径が排水口21の内径に対応した長円形状の外縁部91を有し、鉛直方向よりも水平方向が長く形成されている。又、目皿部材9は挿通部92、捕捉部93、開口部94が形成されている。
挿通部92は目皿部材9の中心に形成された円形の開口であり、取り付け完了時には支持軸7及びワイヤ受け3の保持部32が挿通される。
捕捉部93は格子状に形成されたリブであり、排水中の異物を捕捉する。
開口部94は排水を排水口21へと流入させるための開口であり、上記捕捉部93の間に形成されている。
【0043】
固定部材120は本実施形態における固定手段であって、一部が切り欠かれた略C字状のリング体である。固定部材120の内径は上記ワイヤ受け3の溝部34の外径と略同径であり、切り欠き部分の幅は溝部34の外径よりも小さく形成されている。又、固定部材120の外径は目皿部材9の挿通部92の内径よりも大径となっている。
【0044】
上記目皿部材9は以下のように取り付けられる。尚、
図12においては固定部材120の取り付け方向を矢印にて示している。
まず、栓蓋8が支持軸7に係合されていない状態において、目皿部材9を排水口21に載置する。この時、挿通部92に支持軸7が挿通されるが、目皿部材9は支持軸7の軸方向に対して移動可能となっており、固定されていない。
次に、ワイヤ受け3の溝部34に対して固定部材120を取り付ける。この時、目皿部材9は固定部材120によって表面が押さえつけられ、抜脱が防止されるとともに、排水口21に対して固定される。
【0045】
上記第六実施形態によれば、目皿部材9は固定部材120から成る固定手段により、排水口21に固定される。これにより、取り付け完了後において目皿部材9が傾いたり、排水によって排水口21から離間したりしてしまうことを防止することができる。
尚、目皿部材9を取り外す際には、固定部材120を取り外した上で、上記取り付けの際とは反対方向に目皿部材9を引っ張ることによって、目皿部材9を排水口21から取り外すことができる。
【0046】
上記第一実施形態乃至第六実施形態においては、操作部に操作を加えることで、伝達部材6のインナーワイヤ62を介し、支持軸7と共に栓蓋8を変位させることができ、排水口21を開閉することができる。
槽体を使用し、槽体内の湯水を排出するために排水口21を開口すると、湯水が排水として目皿部材9の開口部94を通過して下流側に排出される。この際、排水中の毛髪などの異物は目皿部材9の捕捉部93に捕捉されて下流側には流出しない。また、異物が付着した目皿部材9はそれぞれの実施形態に記載した方法で簡単に排水口21から取り外すことができ、容易に清掃することができる。
【0047】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明の排水装置は上記実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えても良い。
【0048】
例えば、上記実施形態において、槽体1は浴槽であったが、流し台や洗面ボウルその他の槽体であっても良い。
【0049】
又、上記各実施形態では、操作部に操作を加えることで遠隔操作にて排水口21を開閉する栓蓋8を備えているが、当該構成は必ずしも必須ではなく、使用者が直接栓蓋8を把持して排水口21を開閉したり、又は排水口21には目皿部材9のみを配置したりして、栓蓋8を備えない構成としても良い。
【0050】
尚、上記各実施形態の内、ワイヤ受け3に目皿部材9を固定する構造について、ワイヤ受け3に代えて排水口21近傍に固定することによって取り付けられても良い。
【0051】
又、排水口21の形状は必ずしも正面視長円形である必要はなく、垂直方向よりも水平方向の方が長尺である必要もない。
【0052】
又、排水口21が形成されるのは側壁部12と底壁部11が交差する角部に限られるものではなく、側壁部12に形成されていても良い。
【0053】
1 槽体
11 底壁部
12 側壁部
2 排水栓
21 排水口
22 排水配管
23 凸部
3 ワイヤ受け
31 環状部
32 保持部
33 支承部
34 溝部
4 嵌合部
5 被嵌合部
6 伝達部材
61 アウターチューブ
62 インナーワイヤ
7 支持軸
71 軸部
72 カバー部
8 栓蓋
9 目皿部材
91 外縁部
92 挿通部
93 捕捉部
94 開口部
95 切り欠き部
100 第一磁石
101 第二磁石
110 吸着部
120 固定部材