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特開2022-98189人の動きの予測システム、人の動きの予測方法および人の動きの予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098189
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】人の動きの予測システム、人の動きの予測方法および人の動きの予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20220624BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220624BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/10
G08B25/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211585
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】517176098
【氏名又は名称】株式会社MYCITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 遼
(72)【発明者】
【氏名】伴 佑樹
【テーマコード(参考)】
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
5C087BB18
5C087DD06
5C087DD23
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG12
5C087GG14
5C087GG17
5C087GG37
5C087GG66
5L049AA04
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】都市、ビル、フロア内の混雑予測を行う人の動きの予測システム、人の動きの予測方法および人の動きの予測プログラムを提供することにある。
【解決手段】人の動きの予測システム100は、所定の都市エリアの人の動きを示すエリアデータ収集装置400と、所定の都市の中の建物またはビルの出入り口における人の動きを示すビルデータ収集装置300と、建物の中の所定のフロアにおける人の動きを示すフロアデータ収集装置200と、エリアデータ、ビルデータおよびフロアデータから人の動きを予測する予測装置500と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の都市エリアの人の動きを示すエリアデータ収集装置と、
前記所定の都市の中の建物またはビルの出入り口における人の動きを示すビルデータ収集装置と、
前記建物の中の所定のフロアにおける人の動きを示すフロアデータ収集装置と、
前記エリアデータ、前記ビルデータおよび前記フロアデータから前記人の動きを可視化または滞在人数を予測する予測装置と、を含む人の動きの予測システム。
【請求項2】
前記予測装置は、前記エリアデータ収集装置、および前記ビルデータ収集装置に記録された過去の1または複数のデータを重回帰分析により、当日のエリアデータおよびビルデータを予測する、請求項1記載の人の動きの予測システム。
【請求項3】
当日のエリアデータZ1は、前日の同時刻のデータをX1、1週間前の同時刻のデータをY1とし、a1、b1、c1を所定の定数としたとき、下記数式1で予測される、請求項2に記載の人の動きの予測システム。
[式1]
Z1=a1X1+b1Y1+c1
【請求項4】
当日のビルデータZ2は、前日の同時刻のデータをX2、1週間前の同時刻のデータをY2とし、a2、b2、c2を所定の定数としたとき、下記数式2で予測される、請求項2に記載の人の動きの予測システム。
[式2]
Z2=a2X2+b2Y2+c2
【請求項5】
前記フロアデータ収集装置は、
前記人の携帯端末と、
前記携帯端末と通信可能で、かつ前記フロアの天井または床に複数設けられたUSBビーコン通信部と、
前記複数のUSBビーコン通信部および前記携帯端末との関係を判定する制御部と、を含む、請求項1に記載の人の動きの予測システム。
【請求項6】
前記予測装置は、記録装置を含み、
前記記録装置に記録されたデータから予測データを推定する、請求項1記載の人の動きの予測システム。
【請求項7】
前記予測装置は、前記所定の都市エリアよび前記建物またはビルにおける混雑回避を報知する報知装置をさらに含み、
前記報知装置は、混雑回避のガイドライン報知、企業の出勤ルール策定報知、交通機関への混雑報知の少なくともいずれかを実施する、請求項1記載の人の動きの予測システム。
【請求項8】
所定の都市エリアの人の動きを示すエリアデータ収集工程と、
前記所定の都市の中の建物またはビルの出入り口における人の動きを示すビルデータ収集工程と、
前記建物の中の所定のフロアにおける人の動きを示すフロアデータ収集工程と、
前記エリアデータ、前記ビルデータおよび前記フロアデータから前記人の動きを可視化または滞在人数を予測する予測工程と、を含む人の動きの予測方法。
【請求項9】
所定の都市エリアの人の動きを示すエリアデータ収集処理と、
前記所定の都市の中の建物またはビルの出入り口における人の動きを示すビルデータ収集処理と、
前記建物の中の所定のフロアにおける人の動きを示すフロアデータ収集処理と、
前記エリアデータ、前記ビルデータおよび前記フロアデータから前記人の動きを可視化または滞在人数を予測する予測処理と、を含む人の動きの予測プログラム。









【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の動きの予測システム、人の動きの予測方法および人の動きの予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2018-92445号公報)には、予測値の誤差を、従来よりも極力小さくすることができる予測システムおよびその方法について開示されている。
【0003】
特許文献1記載の予測システムおよびその方法は、意期間における予測を適応する予測対象について、当該予測対象に関連する予測値を算出する予測システムであって、予測値を算出するために利用される複数のデータを記録する記憶装置と、所定の演算モデルを備え、当該演算モデルに複数のデータを適用して予測値を算出する制御装置とを備え、制御装置は、複数のデータそれぞれの時間属性の情報に基づいて決定されたデータを用いて、演算モデルを変更するようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2(特開2005-122438号公報)には、複数の予測データを加工して高精度の予測データとすることで、予測精度を高めるようにした予測方法、予測装置、予測プログラムおよび記録媒体について開示されている。
【0005】
特許文献2記載の予測方法は、未来の予測に係る予測データを算出する予測方法であって、n種類の異なった予測手法により予測を行ってn種類の予測データを算出する予測手順と、n種類の予測データの平均を予測データとして算出する予測データ加工手順と、を有するものである。
【0006】
さらに、特許文献3(特開2015-46093号公報)には、簡易な構成によって被験者の行動を従来より早期かつ的確に予測することのできるシステム、装置、方法、プログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体について開示されている。
【0007】
特許文献3記載の行動予測システムは、被験者の行動を予測する行動予測システムであって、被験者の行動に応じて変化する信号を受信する信号受信手段と、信号受信手段で受信された信号の大きさ又は信号の変化の大きさが予め定められた第一のしきい値を超える頻度が、予め定められた第二のしきい値以上となったことを通知する行動予測手段とを備えたものである。
【0008】
特許文献4(特開2013-186556号公報)には、人物の行動を、個々人の特性を反映して予測することができる行動予測装置について開示されている。
【0009】
特許文献4記載の行動予測装置は、物が撮影された映像データを入力し、当該人物を識別して当該人物の特徴を表す識別情報を抽出し、当該映像データから当該人物の行動および状態を分析し、当該人物に割り当てた識別子と行動および状態とを対応付けて分析情報として出力し、当該人物の識別子と識別情報とを対応づけて人物情報として出力する映像分析部と、人物情報を格納する人物情報格納部と、人物が撮影された状況を示す条件情報、および分析情報を収集する情報収集部と、条件情報および分析情報を対応付けて格納する観測情報格納部と、条件情報および分析情報に基づいて、人物の行動に関するルールを作成するルール生成部と、ルールを格納するルール格納部と、特定の人物に対して情報収集部が収集した条件情報および分析情報と予め作成された当該人物に関するルールとを照合し、照合結果に基づいて、当該ルールを用いた行動予測情報を生成するルール照合部とを備えたものである。
【0010】
特許文献5(特開2009-151359号公報)には、人物の移動予測を実際の環境で予測をして、予測結果が安定するまでにかかる反復処理回数を抑え、高い追跡精度と低い計算コストを両立する
動物体追跡装置、動物体追跡方法、および動物体追跡プログラム並びに、動物体追跡プログラムを記録した記録媒体について開示されている。
【0011】
特許文献5記載の動物体追跡装置は、1又は複数のカメラ等の画像入力装置を用いて動物体の三次元位置、大きさなどの状態を追跡する装置であって、 各時刻において撮影手段で撮影された画像を取得する手段と、取得した入力画像から追跡対象物体の写っている領域だけを抽出したシルエット画像を作成する手段と、予め計測しておいた実世界の三次元構造と実世界に配置された撮影手段の内部・外部パラメータおよび環境中での対象物体の行動履歴分布を記憶する三次元環境情報データベースと、三次元環境情報データベースの情報とシルエット画像とを用いて、各時刻において対象状態の確率分布を推定する手段と、各時刻において推定手段によって推定された対象状態の確率分布および最大の確率を持つ対象状態を記憶する対象状態分布記憶手段と、対象状態分布記憶手段に保存された対象状態の確率分布より各時刻において最大の確率を持つ対象状態を計算する手段と、三次元環境情報データベースに保存された行動履歴分布を対象状態の計算手段で計算された対象状態より行動履歴分布を計算する手段と、を備え、対象状態分布記憶手段に保存されている前時刻の対象状態分布を、現時刻の対象状態分布に、また、対象状態の計算手段で計算された最大確率を持つ対象状態にそれぞれ更新し、三次元環境情報データベースに保存されている行動履歴分布を行動履歴分布計算手段で計算された対象状態を用いて更新するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2018-92445号公報
【特許文献2】特開2005-122438号公報
【特許文献3】特開2015-46093号公報
【特許文献4】特開2013-186556号公報
【特許文献5】特開2009-151359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1から3に記載の予測装置は、基本的に予測演算を行うためのものである。
特許文献4および5の行動予測装置においては、個人的な動きを検出し、予測するのみである。
しかしながら、大規模な都市における行動予測等を実現することは、困難であった。特に、都市における混雑度合を解消するためには、どうすべきであるか、問題を解決することができなかった。
さらに、都市の問題とともに、ビル内の混雑、フロア内の混雑について、問題を解決することができなかった。
【0014】
本発明の主な目的は、都市、ビル、フロア内の混雑予測を行う人の動きの予測システム、人の動きの予測方法および人の動きの予測プログラムを提供することにある。
本発明の他の目的は、都市、ビル、フロア内の混雑予測を行い、改善を報知する人の動きの予測システム、人の動きの予測方法および人の動きの予測プログラムを提供することにある。
【0015】
(1)
一局面に従う人の動きの予測システムは、所定の都市エリアの人の動きを示すエリアデータ収集装置と、所定の都市の中の建物またはビルの出入り口における人の動きを示すビルデータ収集装置と、建物の中の所定のフロアにおける人の動きを示すフロアデータ収集装置と、エリアデータ、ビルデータおよびフロアデータから人の動きを可視化または滞在人数を予測する予測装置と、を含む。
【0016】
この場合、エリアデータ、ビルデータおよびフロアデータから人の動きを可視化または滞在人数を予測することができる。その結果、都市、ビル、フロア内の混雑情報を適切に提示することができ、混雑回避を行うことができる。
なお、ビルデータ収集装置は、ビルにおけるセキュリティゲートであってもよく、セキュリティゲートが無い場合には、エレベータに搭載した昇降人数、または出入り口の撮像装置、カメラ等を用いてもよい。
なお、フロアデータは、リアルタイムで予測することが望ましく、エリアデータおよびビルデータから人の動きの可視化または滞在人数を予測してもよい。
【0017】
(2)
第2の発明にかかる人の動きの予測システムは、一局面に従う人の動きの予測システムにおいて、予測装置は、エリアデータ収集装置、およびビルデータ収集装置に記録された過去の1または複数のデータを重回帰分析により、当日のエリアデータおよびビルデータを予測してもよい。
【0018】
この場合、予測装置は、過去の1または複数のデータを用いて、人の混雑および接触頻度を推定することができる。
【0019】
(3)
第3の発明にかかる人の動きの予測システムは、第2の発明にかかる人の動きの予測システムにおいて、当日のエリアデータZ1は、前日の同時刻のデータをX1、1週間前の同時刻のデータをY1とし、a1、b1、c1を所定の定数としたとき、下記数式1で予測される。
[式1]
Z1=a1X1+b1Y1+c1
【0020】
この場合、予測システムにおける予測データを出すことができる。特に、約10%以下の平均誤差に収めることができる。
【0021】
(4)
第4の発明にかかる人の動きの予測システムは、第2の発明にかかる人の動きの予測システムにおいて、当日のビルデータZ2は、前日の同時刻のデータをX2、1週間前の同時刻のデータをY2とし、a2、b2、c2を所定の定数としたとき、下記数式2で予測される。
[式2]
Z2=a2X2+b2Y2+c2
【0022】
この場合、予測システムにおける予測データを出すことができる。特に、約10%以下の平均誤差に収めることができる。
【0023】
(5)
第5の発明にかかる人の動きの予測システムは、一局面に従う人の動きの予測システムにおいて、フロアデータ収集装置は、人の携帯端末と、携帯端末と通信可能で、かつフロアの天井、床、机上または壁面に複数設けられたUSBビーコン通信部と、複数のUSBビーコン通信部および携帯端末との関係を判定する制御部と、を含んでもよい。
【0024】
この場合、人の動きのリアルタイムな混雑を把握するとともに、人同士の接触履歴を把握することができる。
【0025】
(6)
第6の発明にかかる人の動きの予測システムは、一局面に従う人の動きの予測システムにおいて、予測装置は、記録装置を含み、記録装置に記録されたデータから予測データを推定してもよい。
【0026】
この場合、フロアデータ、ビルデータ、エリアデータを用いた予測装置は、記録装置に記録されたデータから、人の混雑および接触に関する予測データを推定することができるので、人の混雑および接触を減らすように提言することができる。
【0027】
(7)
第7の発明にかかる人の動きの予測システムは、一局面にかかる人の動きの予測システムにおいて、予測装置は、所定の都市エリアよび建物またはビルにおける混雑回避を報知する報知装置をさらに含み、報知装置は、混雑回避のガイドライン報知、企業の出勤ルール策定報知、交通機関への混雑報知の少なくともいずれかを実施してもよい。
なお、報知装置は、リアルタイムの可視化と過去のデータのダッシュボード化を含む。
【0028】
この場合、報知装置は、各種の報知を適切に行うことができる。特に混雑が予測される場合には、その混雑を回避するように呼び掛けることができる。その結果、感染症などの疫病対策が可能となる。
【0029】
(8)
他の局面に従う人の動きの予測方法は、所定の都市エリアの人の動きを示すエリアデータ収集工程と、所定の都市の中の建物またはビルの出入り口における人の動きを示すビルデータ収集工程と、建物の中の所定のフロアにおける人の動きを示すフロアデータ収集工程と、エリアデータ、ビルデータおよびフロアデータから人の動きを可視化または滞在人数を予測する予測工程と、を含む。
【0030】
この場合、エリアデータ、ビルデータおよびフロアデータから人の動きを可視化または滞在人数を予測することができる。その結果、都市、ビル、フロア内の混雑情報を適切に提示することができ、混雑回避を行うことができる。
【0031】
(9)
さらに他の局面に従う人の動きの予測プログラムは、所定の都市エリアの人の動きを示すエリアデータ収集程と、所定の都市の中の建物またはビルの出入り口における人の動きを示すビルデータ収集処理と、建物の中の所定のフロアにおける人の動きを示すフロアデータ収集処理と、エリアデータ、ビルデータおよびフロアデータから人の動きを可視化または滞在人数を予測する予測処理と、を含む。
【0032】
この場合、エリアデータ、ビルデータおよびフロアデータから人の動きを可視化または滞在人数を予測することができる。その結果、都市、ビル、フロア内の混雑情報を適切に提示することができ、混雑回避を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施の形態にかかる人の動きの予測システムの一例を示す模式図である。
図2】フロアデータ収集装置の一例を示す模式図である。
図3】USBビーコン通信部と携帯端末との通信状態の一例を説明するための模式図である。
図4】ビルデータ収集装置の一例を示す模式図である。
図5】エリアデータ収集装置の一例を示す模式図である。
図6】ビルの所定の階層におけるフロアデータ収集装置を設置した一例を示す模式図である。
図7】会社のフロアデータの一例を示す図である。
図8】会社におけるフロアデータ収集装置から送信されるフロアデータの他の例を示す図である。
図9】会社におけるフロアデータ収集装置から送信されるフロアデータの他の例を示す図である。
図10】会社が入居するビルのビルデータの一例を示す図である。
図11】エリアデータ収集装置がエリアデータを取得するメッシュの一例を示す模式図である。
図12】エリアデータの一例を示す図である。
図13】予測システムの予測装置が実施するモデルについて説明するための図である。
図14】フロアデータ、ビルデータおよびエリアデータの日毎の混雑度合を示す図である。
図15】フロアデータ、ビルデータおよびエリアデータの時間帯別の混雑度合を示す図である。
図16】予測装置の変換処理の一例を示す図である。
図17】予測装置の変換処理の一例を示す図である。
図18】予測装置がエリアデータおよびビルデータに関する予測を実施し、検証を行った図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0035】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる人の動きの予測システム100の一例を示す模式図である。
【0036】
(予測システム100)
図1に示すように、人の動きの予測システム(以下、予測システムと呼ぶ。)100は、フロアデータ収集装置200、ビルデータ収集装置300、エリアデータ収集装置400および予測装置500からなる。上記各構成の詳細については、後述する。
また、図1に示すように、予測装置500は、記録装置510、報知装置520および表示装置530を含む。
【0037】
(フロアデータ収集装置200)
次に、図2は、フロアデータ収集装置200の一例を示す模式図であり、図3は、USBビーコン通信部250と携帯端末230との通信状態の一例を説明するための模式図である。
【0038】
図2に示すように、フロアデータ収集装置200は、記録部210、制御部220、携帯端末230、複数のUSBビーコン通信部250および表示部290を含む。
制御部220は、内部に処理部221を含む。記録部210は、各従業員の業績情報201および各従業員の移動履歴情報202を記録して保持してもよい。
【0039】
図2に示すように、本実施の形態においては、制御部220は、携帯端末230と通信可能である。また、携帯端末230は、複数のUSBビーコン通信部250と通信可能である。なお、制御部220が複数のUSBビーコン通信部250と通信可能であってもよい。この場合、制御部220は、複数のUSBビーコン通信部250の固有情報を携帯端末230が読み取り、位置を認識する。
【0040】
次に、図3に示すように、複数のUSBビーコン通信部250は、天井裏に配設される。設置されたUSBビーコン通信部250の固有ID(番号等)が、記録部210に記録されている。したがって、制御部220は、記録部210の情報から、いずれのUSBビーコン通信部250が携帯端末230と通信を行っているかを認識することができる。
【0041】
具体的には、USBビーコン通信部250は、USB給電されており、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)により携帯端末230と通信を行う。その結果、複数のUSBビーコン通信部250のうち、いずれのUSBビーコン通信部250の近くに携帯端末230が存在するかを認識することができる。
一方、制御部220は、USBビーコン通信部250と携帯端末230との電波強度情報に基づいて得られた位置情報を携帯端末230へ返信してもよい。
制御部220は、取得した携帯端末230の位置情報をフロアデータとして、予測装置500へ送信する。
【0042】
(ビルデータ収集装置300)
図4は、ビルデータ収集装置300の一例を示す模式図である。
図4に示すように、ビルデータ収集装置300は、ビルのセキュリティゲート310および制御部320を有する。
制御部320は、ビルのセキュリティゲート310を通過した時間単位、例えば、分単位の人数をビルデータとして、予測装置500へ送信する。
【0043】
(エリアデータ収集装置400)
図5は、エリアデータ収集装置400の一例を示す模式図である。
【0044】
エリアデータ収集装置400は、エリアメッシュ検出装置410、制御部420を含む。エリアメッシュ検出装置410は、所定のエリアをメッシュ(区分)し、当該区分に存在する携帯端末430の数を検出する。この場合、携帯端末430には、所定のアプリケーションソフトがダウンロードされており、GPS信号に基づいて数を検出することができる。
制御部420は、エリア内の携帯端末430の個数を予測装置500へ送信する。
なお、図示しないが、エリアデータ収集装置400は、気象庁のサイトから天候情報、降水量、気温、日射量を取得してもよい。
【0045】
(予測装置500の動作)
図1に示す予測装置500は、フロアデータ収集装置200からのフロアデータ、ビルデータ収集装置300からのビルデータ、エリアデータ収集装置400からのエリアデータに基づいて、混雑予測を実施する。
予測装置500は、下記式1を用いてエリアデータにおける混雑情報を予測する。
[式1]
Z1=a1X1+b1Y1+c1
【0046】
ここで、Z1は、予測エリアデータを示し、X1は、前日の同時刻のエリアデータを示し、Y1は、1週間前の同時刻のエリアデータを示す。a1、b1、c1は、所定の定数である。
【0047】
本実施の形態においては、予測システム100の予測装置500は、定数a1を0.1以上3.0以下とし、定数b1を0.3以上5.0以下とし、定数c1を1000以上2000以下の範囲で設定した。
なお、定数a1、定数b1、定数c1は、上記の数値に限定されることなく、モデルに応じて算定される。すなわち、モデルに応じた重回帰分析から定数を任意に決定し、予測を行うことが望ましい。
【0048】
また、予測装置500は、下記式2を用いてビルデータにおける混雑情報を予測する。
[式2]
Z2=a2X2+b2Y2+c2
【0049】
ここで、Z2は、予測ビルデータを示し、X2は、前日の同時刻のビルデータを示し、Y2は、1週間前の同時刻のビルデータを示す。a2、b2、c2は、所定の定数である。
【0050】
本実施の形態において、予測システム100の予測装置500は、定数a2を0.3以上5.0以下とし、定数b2を0.1以上0.3以下とし、定数c2を3以上10以下の範囲で設定した。
なお、なお、定数a2、定数b2、定数c2は、上記の数値に限定されることなく、モデルに応じて算出される。すなわち、モデルに応じた重回帰分析から定数を任意に決定し、予測を行うことが望ましい。
【0051】
予測システム100の予測装置500は、上記の予測を行い、混雑情報が発生し得る状況において、予測システム100の報知装置520から 行政または政府、企業、不動産デベロッパー、飲食店および商業テナント、公共交通機関および航空船舶鉄道企業、または住民および外出者に混雑の発生予測を報知することができる。さらに表示装置530により混雑状況を可視化することができる。
【0052】
例えば、行政または政府は、3密回避のガイドラインまたは政策決定等に利用することができ、企業はオフィスレイアウトまたは出勤ルール等に利用することができる。さらに、不動産デベロッパーには、ビルの運用または人数規制への活用として利用でき、飲食店および商業テナントは、3密を回避する運用に活用することができ、公共交通機関および航空船舶鉄道企業には、リアルタイムな混雑予測を提供することができ、住民および外出者は、外出時間をずらすことができる。
【0053】
以下、予測システム100の予測装置500の検証について説明を行う。まず、最初に、フロアデータ、ビルデータ、エリアデータについて説明を行う。
【0054】
(フロアデータ)
図6は、ビルの所定の階層におけるフロアデータ収集装置200を設置した一例を示す模式図である。
図6に示すように、フロアデータ収集位置にフロアデータ収集装置200を配置した。以下、ビルの所定の階層には、会社が入居している。
【0055】
図7は、会社のフロアデータの一例を示す図である。縦軸は、混雑度(混雑発生頻度)の類計であり、横軸は、日時を示す。
【0056】
図7においては、所定の位置に対する面積および席数を元に定めた店員に対する滞在人数の割合が、50%を超えた状態を混雑と定義した。そして、5分毎に各所定の位置の混雑の発生頻度をグラフに示した。
【0057】
図7に示すように、会社における混雑は、ランダムに発生しているため、リアルタイムにおけるフロアデータ収集装置200を用いたモニタリングが必須となる。
【0058】
図8および図9は、会社におけるフロアデータ収集装置200から送信されるフロアデータの他の例を示す図である。
図8は、会社の混雑発生位置を示す模式図である。矢印の四角部分(位置)において、混雑が発生しやすいことを示す。
【0059】
次に、図9は、会社のフロアデータである。図9に示すように、縦軸は、各位置(ポイント)における定員を示し、横軸は、日付を示す。また、濃淡により混雑発生頻度を示す。この結果、どの場所で混雑が発生しやすいかを特定することができる。
【0060】
フロアデータ収集装置200は、図7乃至図9のフロアデータおよび/またはフロアデータを予測装置500へ送付する。
【0061】
(ビルデータ例)
図10は、会社が入居するビルのビルデータの一例を示す図である。
【0062】
図10の縦軸は、在館人数を示し、横軸は、時間を示す。
図10に示すように、会社のビルデータは、平日の11時および14時から16時に在館人数が増加する。また、土曜日(Sat)および日曜日(Sun)においては、在館人数の増加がみられず一定である。
ビルデータ収集装置300は、図10のビルデータを予測装置500へ送付する。
【0063】
(エリアデータ例)
図11は、エリアデータ収集装置400がエリアデータを取得するメッシュの一例を示す模式図である。
【0064】
図11は、会社の周辺地域のメッシュの一例を示す。
図11においては、会社を中心とした半径500mのエリアにおいて、62.5m毎のメッシュを設定した。なお、当該メッシュの数値設定は、任意であり、1m毎、5m毎、10m毎、50m毎等、その他の任意のメッシュの数値設定を設けても良い。
【0065】
図12は、エリアデータの一例を示す図である
【0066】
図12においては、縦軸がエリア滞在人数(混雑度)を示し、横軸は時間を示す。平日8時、12時、18時に滞在人数がピークになる。
エリアデータ収集装置400は、図12のエリアデータを予測装置500へ送付する。
【0067】
(予測システム100の予測装置500の予測処理)
予測装置500は、フロアデータ収集装置200、ビルデータ収集装置300およびエリアデータ収集装置400から送付されたフロアデータ、ビルデータ、エリアデータを記録装置510に記録する。
図13は、予測システム100の予測装置500が実施するモデルについて説明するための図である。
図13に示すように、予測システム100の予測装置500は、エリアデータ、ビルデータ、およびフロアデータに基づいて、モデル化を行い、エリアデータ、ビルデータのモデル構築を行う。
さらには、予測システム100の予測装置500は、フロアデータにおける混雑可能性についても、過去のデータから報知装置520および表示装置530を用いて、フロア責任者へ報知してもよい。
【0068】
(フロアデータ、ビルデータ、エリアデータの相関性)
次いで、フロアデータ、ビルデータ、エリアデータのそれぞれの相関性について説明を行う。
図14は、フロアデータ、ビルデータおよびエリアデータの日毎の混雑度合を示す図であり、図15は、フロアデータ、ビルデータおよびエリアデータの時間帯別の混雑度合を示す図である。
【0069】
図14に示すように、日毎の混雑度合は、ビルデータおよびエリアデータが、ある程度類似しており、図15に示すように、時間毎の混雑度合は、フロアデータとビルデータとが類似している。
【0070】
図16および図17は、予測装置500の変換処理の一例を示す図である。
【0071】
図16(a)に示すように、予測装置500は、エリアデータおよびビルデータから滞在人数時間推移平均を算出する。ここで、予測装置500は、エリアデータおよびビルデータの値を正規化する。
次に、図16(b)に示すように、2段階の変換処理を行う。ここで、予測装置500は、まず、ビルデータの11時以前を2時間前に移動し、15時以降のデータ2時間後ろに移動する。そして、次に、予測装置500は、9時から17時のデータを値0.80の位置においてビルデータの反転処理を行う。
【0072】
次に、図17に示すように、予測装置500は、ビルデータおよびフロアデータの平日の混雑時間推移平均を算出する。ここで、予測装置500は、エリアデータおよびビルデータの値を最大値で除算し、正規化する。
ビルデータとフロアデータとの混雑に関する時間推移は、同傾向を示すが、変動係数は、ビルデータが6.2%であるのに対して、フロアデータは、48.0%を示す。ここから、フロアデータは、リアルタイムのデータから推定が必要であることが判明した。すなわち、95%の信頼性を持つエリアを帯で示した場合、幅が大きくなる。すなわち、フロアデータは、変動が大きいことが分かった。
【0073】
最後に、予測装置500は、エリアデータに関する予測を実施する。予測装置500は、曜日および時間をパラメータとして、過去の混雑状況を元に未来の混雑モデルを作成する。
図18は、予測装置500がエリアデータおよびビルデータに関する予測を実施し、検証を行った図である。
【0074】
本実施の形態において、予測装置500は、上述したように、重回帰分析を用いてモデルを作成した。なお、重回帰分析に限定されず、その他の任意のSARIMA(Seasonal Auto Regressive Integrated Moving Average)モデル、動的線形モデル(Dynamic Linear Model: DLM)、RNN(Recurrent Neural network)モデルを用いても良い。
【0075】
予測装置500は、上記の数式1を用いて、予測エリアデータを算出し、各モデルの二乗平均平方根誤差(RMSE)値を比較した。
その結果、予測装置500は、前の週の同時間のエリアデータと前日の同時間のエリアデータとから予測エリアデータを算出した結果、約3%の平均誤差範囲の高い精度で予測を実現できた。
なお、図18(a)における矩形枠においては、イレギュラーが一部発生した。
【0076】
また、図18(b)に示すように、予測装置500は、上記の数式2を用いて、予測ビルデータを算出し、各モデルの二乗平均平方根誤差(RMSE)値を比較した。
その結果、予測装置500は、前の週の同時間のビルデータと前日の同時間のビルデータとから予測ビルデータを算出した結果、約5%の平均誤差範囲の高い精度で予測を実現できた。
なお、図18(b)における矩形枠においては、イレギュラーが一部発生した。
【0077】
本実施の形態においては、予測システム100が、「予測システム」に相当し、予測システム100の動作が、「予測方法」に相当し、予測システム100のプログラムが、「予測プログラム」に相当する。
エリアデータ収集装置400が、「エリアデータ収集装置」に相当し、エリアデータ収集装置400の動作が、「エリアデータ収集工程」に相当し、エリアデータ収集装置400のプログラムが、「エリアデータ収集処理」に相当する。
ビルデータ収集装置300が、「ビルデータ収集装置」に相当し、ビルデータ収集装置300の動作が、「ビルデータ収集工程」に相当し、ビルデータ収集装置300のプログラムが、「ビルデータ収集処理」に相当する。
フロアデータ収集装置200が、「フロアデータ収集装置」に相当し、フロアデータ収集装置200の動作が、「フロアデータ収集工程」に相当し、フロアデータ収集装置200のプログラムが、「フロアデータ収集処理」に相当する。
予測装置500が、「予測装置」に相当し、記録装置510が「記録装置」に相当し、報知装置520が、「報知装置」に相当し、携帯端末230が「携帯端末」に相当し、USBビーコン通信部250が、「USBビーコン通信部」に相当し、制御部220が「制御部」に相当する。
【0078】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施の形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施の形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0079】
100 予測システム
200 フロアデータ収集装置
230 携帯端末
220 制御部
250 USBビーコン通信部
300 ビルデータ収集装置
400 エリアデータ収集装置
500 予測装置
510 記録装置
520 報知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図18