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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098218
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】圧力測定装置および医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
A61M1/16 111
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211632
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智洋
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晋也
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077DD07
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH07
4C077HH13
4C077HH21
(57)【要約】
【課題】圧力測定装置の接続品質を確保して、高精度な圧力測定を実現し、信頼性の高い流体流動の調整を可能にすること。
【解決手段】着脱される回路チャンバを測定対象として圧力を測定する圧力測定装置であって、回路チャンバとの間で気体を流通可能に設置される接続チューブと、連通状態になるように回路チャンバの出力ポート117が接続されるジョイント13の継手流路131と、その出力ポートが継手流路に接続されて連通状態の回路チャンバの圧力空間S2および接続チューブ内の圧力を測定する圧力センサと、接続チューブ内を加圧する加圧ポンプと、出力ポートに気密に接触させる継手流路のOリング132が離間しているタイミングに加圧ポンプを駆動させるコントローラとを有し、継手流路は出力ポートから離間する連通解消状態で加圧ポンプにより空気が吹き付けられる箇所にOリングが配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通可能な流体流路を備える着脱部材が着脱されると共に、当該着脱部材を測定対象として圧力を測定する圧力測定装置であって、
前記流体流路との間で気体を流通可能に設置される連通流路と、
前記流体流路および前記連通流路が連通状態または連通解消状態になるように、前記着脱部材の被接続部が接続される接続部と、
前記被接続部が前記接続部に接続されて前記流体流路および前記連通流路が前記連通状態であるとき、前記流体流路および前記連通流路内の圧力を測定する圧力センサと、
外部に気体を放出または吸引させるように前記連通流路内を加圧または減圧する加減圧部と、
前記被接続部に気密に接触させる前記接続部の第1の接触面が前記被接続部から離間しているタイミングに、手動または自動で前記加減圧部を駆動させる駆動部と、を有し、
前記接続部は、前記被接続部から離間する前記連通解消状態で前記加減圧部の加圧または減圧により気体が放出される箇所または気体が吸引される箇所に前記第1の接触面が形成されている、圧力測定装置。
【請求項2】
前記接続部は、前記第1の接触面が前記被接続部に気密に密着可能である弾性材料で作製されている、請求項1に記載の圧力測定装置。
【請求項3】
前記連通流路は、前記加減圧部と前記測定対象との間を連通状態または遮断状態に切り替える開閉部を備え、
前記開閉部は、遮断状態で前記連通流路内を加圧または減圧した後に連通状態に切り替えて前記接続部の前記第1の接触面に気体を吹き付ける、請求項1または請求項2に記載の圧力測定装置。
【請求項4】
前記加減圧部は、前記連通流路内を加圧する正転駆動に加えて、前記連通流路内を減圧する逆転駆動する機能を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の圧力測定装置を有し、
前記流体流路は、血液が流通可能な血液流路であり、
前記着脱部材は、前記血液流路の一部として、血液および気体を貯留可能なチャンバを備え、
前記測定対象が、前記チャンバの内部空間である、医療装置。
【請求項6】
前記加減圧部の駆動を操作する操作部を有する、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記駆動部は、操作するユーザの検知または前記ユーザによる操作の検知を確認したときに、前記加減圧部の駆動を自動的に開始させる、請求項5または請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記駆動部は、前記圧力センサの測定値が予め設定されている所定圧力に達したタイミングに前記加減圧部の駆動を自動的に停止させる、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記加減圧部は、前記接続部が前記被接続部に接近する接続直前に、前記接続部の前記第1の接触面および前記被接続部の第2の接触面の双方との間で気体を放出または吸引する、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力の変動する空間に圧力センサを着脱可能に接続する、圧力測定装置および医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療装置としては、流体流路内を流動する流体に応じて圧力の変動する空間を、その流体流路途中に配置するとともに、その空間内の圧力を検出測定する圧力測定装置を設置することによって、流体の流動を調整することなどが行われている。例えば、血液を浄化治療する、所謂、透析治療する装置では、体外で血液を循環させる血液回路において、血液の流動を圧力センサで検出して調整することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この血液浄化装置(流体流動装置)では、安全性を高めるために、治療毎に血液回路を交換する必要があることから、圧力測定装置をその血液回路に着脱接続可能な構造に作製されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-89588公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような圧力測定装置にあっては、圧力変動を検出して流体流動の調整を実現していることから、高精度かつ高品質に圧力を測定する必要がある。しかしながら、圧力変動する空間側に着脱可能にする接続箇所において繊維などの異物を挟み込んでリークが生じてしまうと、信頼性高く流体の流動を調整することができなくなるなどの不都合が発生する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、圧力測定装置の接続品質を確保することにより、高精度な圧力測定を実現して、信頼性の高い流体流動の調整を可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する圧力測定装置の発明の一態様は、流体が流通可能な流体流路を備える着脱部材が着脱されると共に、当該着脱部材を測定対象として圧力を測定する圧力測定装置であって、前記流体流路との間で気体を流通可能に設置される連通流路と、前記流体流路および前記連通流路が連通状態または連通解消状態になるように、前記着脱部材の被接続部が接続される接続部と、前記被接続部が前記接続部に接続されて前記流体流路および前記連通流路が前記連通状態であるとき、前記流体流路および前記連通流路内の圧力を測定する圧力センサと、外部に気体を放出または吸引させるように前記連通流路内を加圧または減圧する加減圧部と、前記被接続部に気密に接触させる前記接続部の第1の接触面が前記被接続部から離間しているタイミングに、手動または自動で前記加減圧部を駆動させる駆動部と、を有し、前記接続部は、前記被接続部から離間する前記連通解消状態で前記加減圧部の加圧または減圧により気体が放出される箇所または気体が吸引される箇所に前記第1の接触面が形成されている。
【0008】
上記課題を解決する医療装置の発明の一態様は、上記の圧力測定装置を有し、前記着脱部材は、前記流体流路として血液が流通可能な血液流路を備え、前記血液流路の一部として、血液および気体を貯留可能なチャンバを備え、前記測定対象が、前記チャンバの内部空間である。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明の一態様によれば、圧力の変動する空間に圧力測定装置を高品質に接続することができ、高精度に圧力測定をすることができる。したがって、信頼性の高い流体流動の調整などを実現することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る圧力測定装置を備える医療装置の一例である血液浄化装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は流体である血液が流動する経路を模式的に示す回路図である。
図3図3は血液ポンプの本体側とカバーとを示す斜視図である。
図4図4(a)は血液回路の一部を構成する回路チャンバと圧力測定装置への接続を実現するジョイントとを示す斜視図であり、図4(b)はそのジョイントを示す斜視図である。
図5図5(a)は血液回路の一部を構成する回路チャンバを示す縦断面図であり、図5(b)は回路チャンバの圧力測定装置への接続を実現するジョイントを示す縦断面図である。
図6図6図5に示す回路チャンバにジョイントを接続した状態を示す縦断面図である。
図7図7(a)は図5に示す回路チャンバをジョイントに接続する状況を説明する要部の縦断面図であり、図7(b)はその回路チャンバをジョイントから外す際の状況を説明する要部の縦断面図である。
図8図8は装置全体を制御するコントローラの接続構成を説明するブロック図である。
図9図9は血液回路の接続作業動作時における要部構成を示す模式図である。
図10図10は血液回路における別の回路チャンバの要部構成を示す模式図である。
図11図11は回路チャンバにジョイントを接続する他の構造示す図であり、(a)は接続準備時の状態を示す断面図、(b)は接続動作中の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図9は本発明の第1実施形態に係る圧力測定装置を備える医療装置の一例である血液浄化装置を示す図である。
【0012】
<第1実施形態>
図1および図2において、血液浄化装置Mは、2組の圧力測定装置1と、血液回路2と、透析回路3と、を備えて、操作パネル(操作部)Pからの入力操作に応じて圧力測定装置1毎の測定結果に基づいて血液回路2および透析回路3を含む装置各部を駆動して患者の透析治療(血液浄化処理)を行う医療装置に構築されている。血液回路2は、動脈側血液回路21と、静脈側血液回路22と、を備えて、血液ポンプ23によって、ダイアライザ31を経由するように患者の血液を循環させる。透析回路3は、血液回路2の動脈側血液回路21および静脈側血液回路22を接続するダイアライザ31と、このダイアライザ31に接続する透析液導入ライン34および透析液排出ライン35の2系統と共に複式ポンプ36を備えて、これらライン34、35内の透析液を流動させる。この血液浄化装置Mは、透析回路3の透析液導入ライン34、透析液排出ライン35および複式ポンプ36と共に、圧力測定装置1を着脱不能に備える構造に作製されており、血液回路2の動脈側血液回路21および静脈側血液回路22と共に、透析回路3のダイアライザ31を着脱可能に装着して使い捨て使用されるように構築されている。
【0013】
ここで、ダイアライザ31は、透析液導入ライン34を透析液導入口31cに接続して透析液排出ライン35を透析液導出口31dに接続することにより内部の中空糸(不図示)に透析液を流動させる流路を形成して、その中空糸の血液浄化膜を利用して血液回路2を流動する患者の血液を経由させつつ透析処理する。複式ポンプ36は、透析液導入ライン34と透析液排出ライン35の双方に跨るように配置されて、透析液が安定してダイアライザ31を通過するように導入方向と排液方向との双方に圧送するように駆動する。なお、透析液導入ライン34は不図示の透析液供給装置に一端側を接続されて他端側の透析液導入口31cを介してダイアライザ31に透析液を濃度調整しつつ供給するとともに、透析液排出ライン35が不図示の排液手段に一端側を接続されて他端側の透析液導出口31dを介して透析処理済みの透析液を送り出す。また、透析液排出ライン35には、複式ポンプ36をバイパスするように除水ポンプ37が配置されてダイアライザ31を流れる患者の血液から水分を除去するようになっている。
【0014】
血液回路2の動脈側血液回路21は、一端側を透析回路3のダイアライザ31の血液導入口31aに接続して連通されるとともに他端側の動脈側穿刺針210を患者の血管に穿刺することにより連通させてダイアライザ31により透析する血液を処理可能に受け取る(所謂、脱血する)ようになっている。この動脈側血液回路21は、回路途中に圧力測定装置1および血液ポンプ23が設置されており、圧力測定装置1が回路中の血液の流動に応じた圧力を測定しつつ、血液ポンプ23がその回路中で血液を安定して流動させるように圧送する。なお、動脈側血液回路21は、動脈側穿刺針210を連結接続するコネクタ211と、回路中の血液の流動をバルブの開閉により調整制御するクランプ212とが配置されている。
【0015】
ここで、血液回路2(21、22)は流体の血液を内部の流体流路内に流動可能に収容する弾性変形可能なチューブにより構成されている。これに対して、血液ポンプ23は、その血液回路2のチューブ形態の動脈側血液回路21を押し潰す箇所を正逆移動させることにより、流体流路内の血液を押し出すようにして下流側に圧送する、所謂、チューブポンプ(しごきポンプ)に構成されており、その下流側への流体の圧送で生じる負圧によって上流側の流体は連続するように引き込まれることになる。
【0016】
血液ポンプ23は、図3に示すように、円形凹形状のステータ231内に回転自在に概略円盤形状のロータ232を収納する構造に作製されており、そのロータ232の円形の外周側に巻き付けるようにしてステータ231の円形の内壁面231sとの間にチューブ状の動脈側血液回路21を挟み込む形態でセッティングするようになっている。この血液ポンプ23は、円盤状のロータ232の軸心の直交方向反対側(直径方向反対側)の対称位置に、その回転軸と平行に一対のローラ233が回転自在に配置されている。血液ポンプ23は、一対のローラ233がステータ231の円形内壁面231sに動脈側血液回路21を押し付けてチューブ内面を液密に閉止するように潰しつつロータ232の回転駆動に連れて従動回転するようになっている。これにより、血液ポンプ23は、ロータ232を回転させて動脈側血液回路21のチューブ内の血液を下流側へと圧送することができ、そのロータ232の回転を停止する状態ではステータ231の円形内壁面231sにローラ233が動脈側血液回路21を液密に押し潰してチューブ内の血液の流動を停止させることができる。
【0017】
また、血液ポンプ23は、ステータ231の外面を覆って、回転するロータ232やセットした動脈側血液回路21などへの干渉を制限するカバー235を備えており、このカバー235の開閉を検知するカバー検出センサ235s(図8に図示)を有して、事故発生を未然に防止するようになっている。この血液ポンプ23は、円盤状のロータ232の軸心の直交方向(直径方向)に延在するガイド234が一対のローラ233近傍の上下の計4カ所に設置されており、ロータ232周りに巻き掛けるチューブ状の動脈側血液回路21がステータ231内から外れようとするのを抑制するようになっている。
【0018】
血液回路2の静脈側血液回路22は、一端側を透析回路3のダイアライザ31の血液導出口31bに接続して連通されるとともに他端側の静脈側穿刺針220を患者の血管に穿刺することにより連通させてダイアライザ31による透析処理後の血液を患者側に戻す(所謂、返血する)ようになっている。この静脈側血液回路22は、回路途中に圧力測定装置1および静脈チャンバ225が設置されており、圧力測定装置1が回路中の血液の流動に応じた圧力を測定しつつ、血液ポンプ23により流動(圧送)される静脈側血液回路22側の血液中に混入する気泡を静脈チャンバ225が分離して正常な血液を患者に安全に戻す。なお、静脈側血液回路22は、静脈側穿刺針220を連結接続するコネクタ221と、回路中を流動する流体が血液であるか判別する血液判別部222と、回路中の血液の流動をバルブの開閉により調整制御するクランプ223と、回路中を流動する血液に混入した気泡を検出する気泡検出部224と、が配置されている。このうちの血液判別部222は、動脈側血液回路21側に設けてもよく、これら血液回路21、22の双方に配置してもよいことは言うまでもない。
【0019】
そして、圧力測定装置1の2組は、血液回路2の動脈側血液回路21および静脈側血液回路22のそれぞれに別個に設置されており、その血液回路2内において患者の血液の流動に応じて変動する圧力を後述するように検出測定することにより、患者の血液が動脈側と静脈側とで安定して最適な圧力で圧送(流動)されることを実現する。
【0020】
圧力測定装置1は、血液回路2の動脈側血液回路21および静脈側血液回路22のそれぞれの流路途中に位置するように着脱可能に設置されている回路チャンバ(着脱部材)11内の圧力を測定するように、図4図6に示すように、その回路チャンバ11にジョイント13を着脱可能に取り付けて圧力センサ15を接続するように構築されている。なお、図2において回路チャンバ11とジョイント13とは離隔して連結状態にされている模式図で図示するが、後述するように、これらはフィルタ116を挟んで一体化するように着脱可能な構造に作製されている。このジョイント13は、後述する円筒突起131pに接続チューブ14Cが接続されることにより回路チャンバ11内の空間圧力が圧力センサ15に及んで血液回路2内の血液の流動で変動する圧力を検出(測定)可能にする。
【0021】
回路チャンバ11は、図4(a)および図5(a)に示すように、ハウジング111内に形成される空間Sに連通する接続ポート112、113を備えており、血液回路2(21、22)毎にその空間Sが途中に介在するように、接続ポート112、113が接続されることによりダイアライザ31を介して連続する流体流路の一部を構成する。
【0022】
この回路チャンバ11は、ハウジング111内にダイヤフラム115を設置して空間Sを連通空間S1と圧力空間S2に2分するように作製されている。そのうちの連通空間S1は、接続ポート112、113間を連通させる流体流路(血液が流動する血液流路)として機能し、圧力空間S2は、その連通空間S1内の血液の流動に応じてダイヤフラム115が変形されるのに応じて容積が変動されるように機能する。
【0023】
また、回路チャンバ11は、圧力空間S2にフィルタ116を介して連通する出力ポート117を備えている。この回路チャンバ11は、出力ポート117周りに形成されている円筒形状の差込継手119を後述のジョイント13の円筒形状の受け継手139に差し込んで連結固定されるとともに、その出力ポート(被接続部)117をジョイント13の継手流路(接続部)131に連結することにより一体化構造になるように作製されている。なお、回路チャンバ11のフィルタ116は、ダイヤフラム115が破損するなどして連通空間S1内の血液が圧力空間S2に流入して出力ポート117から圧力センサ15側のジョイント13内に流出するのを未然に防止する。
【0024】
ジョイント13は、図4図6に示すように、継手流路(接続部)131の一端側に形成されている大径部131d内に弾性材料からなるOリング132を収納して、差し込まれる回路チャンバ11の出力ポート(被接続部)117の外面との間にそのOリング132(の第1の接触面)を密接状態に挟み込んで気密に連結接続するように作製されている(図7(a)を参照)。また、ジョイント13は、継手流路131の一端側の大径部131dの端面に平板なリング状に形成された弾性材料からなるキャップ134が設置されており、キャップ134にはリング形状の周縁に形成されて継手流路131の大径部131dの内周側に位置する内周側斜面143sを有する短尺のフランジ143が形成されている。
【0025】
このジョイント13は、図7(b)に示すように、回路チャンバ11の差込継手119を継手流路131から引き抜かれる際には、これらの間で変形されつつ矢印F1方向に移動するOリング132がキャップ134の内周側斜面143sに突き当たってフランジ143を矢印F2方向の大径部131dの内面に押し付けて外れることを抑制するように作製されている。また、そのキャップ134は、回路チャンバ11の差込継手119を継手流路131のから引き抜く際に大径部131dからのOリング132の抜け止めとして機能することができる。
【0026】
ここで、ジョイント13は、回路チャンバ11の差込継手119を差し込んで嵌合させる円筒形状の受け継手139が継手流路131の一端側の大径部131dの外方に固着されており、この継手流路131の他端側には圧力センサ15に連通する接続チューブ14Cを接続する円筒突起131pが形成されている。このジョイント13は、回路チャンバ11と一体化させて、その回路チャンバ11の出力ポート117を継手流路131に連結して接続チューブ(連通流路)14Cを介して圧力センサ15に連通接続することを実現している。
【0027】
また、回路チャンバ11には円筒形状の差込継手119の外面に係合突起118が形成され、ジョイント13には円筒形状の受け継手139の開口側端辺から連続するL字のクランク溝138が形成されている。これら回路チャンバ11とジョイント13とは、差込継手119を受け継手139に差し込む際に、係合突起118をクランク溝138内に挿入しつつ嵌め合い位置で相対回転させることによって、円筒形状の軸方向に移動させるだけでは引き抜き不能にロックすることができるようになっている。
【0028】
そして、本実施形態の圧力測定装置1は、血液回路2(21、22)毎の回路チャンバ11に一体化させるジョイント13の継手流路131に、それぞれ接続チューブ14C1、14C2が連通接続されているのに加えて、さらに、一対の分岐チューブ14D1、14D2と、共通チューブ14Gとが連通接続されている。詳細には、ジョイント13の継手流路131に連通接続される一対の接続チューブ14C1,14C2には、一対の分岐チューブ14D1、14D2の一端側がそれぞれ連通接続されて分岐されているとともに、その分岐チューブ14D1,14D2の他端側が集合されて共通チューブ14Gの一端側に連通接続されて合流されている。
【0029】
分岐チューブ14D1は、動脈側血液回路21側の回路チャンバ11と一体のジョイント13に圧力センサ15が機能可能に連通接続されている接続チューブ14C1から分岐されて、共通チューブ14Gまでの途中に連通流路を開閉するソレノイドバルブ(開閉部)161が設置されている。同様に、分岐チューブ14D2は、静脈側血液回路22側の圧力センサ15を設置されている接続チューブ14Cから分岐されて、共通チューブ14Gまでの途中に連通流路を開閉するソレノイドバルブ162が設置されている。
【0030】
共通チューブ14Gは、一端側の分岐チューブ14D1、14D2の反対側(他端側)に接続チューブ14C1、14C2を介してジョイント13側に加圧空気を導入する加圧ポンプ(加減圧部)17が設置されているとともに、その流路途中には圧力センサ18が機能可能に設置されている。この加圧ポンプ17には導入空気内に塵埃などが混入することを未然に防止するフィルタ17fを備えている。ここで、加圧ポンプ17は、正転および逆転の双方で駆動してジョイント13側を加減圧可能な機能を備えるが、これに限るものではなく、正転(加圧)または逆転(減圧)の一方のみの機能の専用機でもよい。例えば、減圧駆動する際には、吸引動作により流動させる流体(空気)を、後述する加圧空気と同様に、所望の個所に吹き付けるようにすることもできる。
【0031】
ここで、加圧ポンプ17は、血液ポンプ23と同様な機能を有するチューブポンプにより構成されており、ステータ17sとの間に共通チューブ14Gを挟み込んで潰すようにしながらロータ側のローラ17rが回転することによって、分岐チューブ14D1、14D2や接続チューブ14C1、14C2を介して血液回路2(21、22)のジョイント13側に加圧空気を送り出すようになっている。この加圧ポンプ17は、血液ポンプ23がロータ側ローラ233を直径方向2カ所の均等間隔に配置されているのに対して、ロータ側ローラ17rを均等間隔となる4箇所に配置されて共通チューブ14Gをステータ17s側に気密になるように押し潰すようになっている。このため、加圧ポンプ17は、ロータ側ローラ17rを回転させることにより共通チューブ14G内の空気を分岐チューブ14D1、14D2側に圧送するとともに、ローラ17rの回転を停止する状態ではバルブを設けることなく共通チューブ14Gを流通不能に閉止することができる。
【0032】
ところで、血液浄化装置Mは、動脈側血液回路21と静脈側血液回路22とを介して患者の血液が、また、透析液導入ライン34と透析液排出ライン35とを介して透析液がそれぞれダイアライザ31を並行して経由するように、血液ポンプ23や複式ポンプ36などを含む装置各部を図8に示すコントローラ50により統括制御させることで、患者の血液を浄化処理する透析治療を実行する。
【0033】
コントローラ50は、CPUと共にRAMやROMなどの各種メモリを備えて構成されており、操作パネルPからの入力操作に応じて予め格納されている制御プログラムを取得する検出情報や格納パラメータなどに基づいて実行することにより透析処理を含む各種制御処理を実施するようになっている。
【0034】
詳細には、コントローラ50は、図8に示すように、血液回路2に設置されているクランプ212、223と、血液判別部222と、気泡検出部224と、血液ポンプ23と共に、透析回路3に設置されている複式ポンプ36と、除水ポンプ37とを含む装置各部が操作パネルPや人感センサ51と共に、制御信号などをやり取り可能に接続されている。このコントローラ50は、操作パネルPを操作する看護師などのユーザの存在を前提に、その操作パネルPからの入力操作に基づいてこれら装置各部の駆動を制御することによって患者の血液と透析液とをそれぞれ一定の流量・圧力でダイアライザ31を経由させてその血液を浄化する透析処理を行って患者の治療を行う。ここで、操作パネルPは、血液浄化装置Mの各種入力操作、例えば、駆動条件等を入力設定する操作領域や、駆動時間等を出力報知する表示領域を備えており、各種操作を促すメッセージと共に、後述する透析処理を開始する前に実施する準備動作を開始・停止する準備ボタンPbなどを看護師などのユーザが操作可能に配置されている。
【0035】
また、コントローラ50は、圧力センサ15、18、ソレノイドバルブ161、162、および加圧ポンプ17とも各種信号などをやり取り可能に接続されている。コントローラ50は、透析処理する際に、ソレノイドバルブ161、162を閉じて接続チューブ14C1、14C2を介して連通する回路チャンバ11の圧力空間(測定対象)S2内の圧力を圧力センサ15によりそれぞれ検出して、回路チャンバ11の連通空間S1内の圧力変動を取得する。これにより、コントローラ50は、血液回路2の動脈側血液回路21および静脈側血液回路22のそれぞれにおける患者の血液の流動品質を把握することができ、例えば、操作パネルPに各種メッセージを表示出力などして透析処理を安全かつ適切に実施することができる。
【0036】
このとき、コントローラ50は、回路チャンバ11の圧力空間S2内の圧力を圧力センサ15で検出して連通空間S1内の圧力変動を取得する透析処理を継続しつつ、ソレノイドバルブ161、162を開けて加圧ポンプ17を駆動する駆動部としても機能する。このコントローラ50は、加圧ポンプ17により分岐チューブ14D1、14D2や共通チューブ14Gを介して回路チャンバ11の圧力空間S2内を加圧(外気を圧送)して連通空間S1内の流体量(圧力)を変化させることによって、患者の血液の流動量や速度を調整制御するようになっている。また、コントローラ50は、同時に、圧力センサ18により共通チューブ14G内の圧力を検出して、圧力センサ15が圧力検出する回路チャンバ11の圧力空間S2内への加圧、言い換えると、回路チャンバ11の連通空間S1内の加圧効果を取得して、その加圧ポンプ17の駆動が最適になるように調整制御するようになっている。なお、本実施形態では、加圧ポンプ17を1式設置して回路チャンバ11の連通空間S1内における患者の血液の流動量や速度を調整制御する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、血液回路2の動脈側血液回路21および静脈側血液回路22のそれぞれに設置して別個に調整制御可能にしてもよいことは言うまでもない。
【0037】
さらに、コントローラ50は、血液回路2(21、22)に流れる血液の透析処理を準備する際に、回路チャンバ11をジョイント13に連結する前に、操作パネルPの準備動作を促すメッセージに従って準備ボタンPbなどが押下されると、ジョイント13の継手流路131のOリング132に付着する異物を吹き飛ばす後述の回路接続準備動作を実施する。詳細には、コントローラ50は、準備ボタンPbの押下に応じて、例えば、図9に模式的に図示するように、ソレノイドバルブ161、162を開けるとともに加圧ポンプ17を駆動して各種チューブ14C1、14C2、14D1、14D2、14Gを介して連通する回路チャンバ11の圧力空間S2内を所望の圧力に加圧(外気を圧送)する。この後に、コントローラ50は、操作パネルPの準備ボタンPbなどが再度押下されたときに、ソレノイドバルブ161、162を閉じると共に加圧ポンプ17の駆動を停止して待機するようになっている。これにより、コントローラ50は、回路チャンバ11を連結する前のジョイント13の継手流路131から空気を噴出させる回路接続準備動作を実施することができる。
【0038】
ここで、コントローラ50は、ジョイント13の継手流路131のOリング132に付着する異物を吹き飛ばす程度に加圧される共通チューブ14G内の圧力を圧力センサ18が検出測定するように加圧ポンプ17を駆動するようになっている。このように、圧力センサ18は、回路チャンバ11の連通空間S1内を流れる血液の流動により変動する圧力空間S2内の圧力を検出測定する圧力センサ15とは異なることから、コントローラ50は圧力センサ15、18の測定レンジは適宜に調整して圧力測定するようになっている。
【0039】
このため、圧力測定装置1は、血液回路2に流れる患者の血液の透析処理を実施するために、回路チャンバ11をジョイント13に連結する準備作業を行う際に、操作パネルPの準備ボタンPbを押下するだけで、加圧ポンプ17が駆動してジョイント13の継手流路131から空気を噴出させつつ、その受け継手139に差込継手119に差し込んで気密に連結することができる。
【0040】
したがって、血液浄化装置Mは、ジョイント13の継手流路131の大径部131d内のOリング132に加圧ポンプ17の加圧空気を吹き付けて付着する異物を吹き飛ばすことができる。
【0041】
この結果、血液浄化装置Mは、ジョイント13の継手流路131のOリング132と回路チャンバ11の出力ポート117の外面との間に異物を挟み込んで圧力空間S2にリークが生じて、回路チャンバ11の連通空間S1に流れる血液の流動に応じた圧力変動を測定不能になってしまうことを未然に防止することができる。
【0042】
<第1実施形態の効果>
このように、本実施形態の血液浄化装置Mにおいては、圧力測定装置1のジョイント13を回路チャンバ11に連通接続して、その回路チャンバ11の圧力空間S2における圧力変動を圧力センサ15により高精度に検出測定することができる。
【0043】
したがって、血液浄化装置Mは、血液回路2における血液の流動を高精度に調整することができ、患者血液を信頼性高く安定流動させて透析処理して浄化することができる。
【0044】
<第1実施形態の他の態様>
ここで、本実施形態においては、回路チャンバ11が血液回路2に連通する連通空間S1とジョイント13の継手流路131に連通する圧力空間S2とに隔膜のダイヤフラム115により液密に区分されているタイプ(所謂、圧ポッド)を一例に説明するがこれに限るものではない。例えば、図10に他の態様として示すように、ダイヤフラム115が省略されて1つの内部空間Sを備える、所謂、エアトラップタイプの回路チャンバ1011が動脈側血液回路21および静脈側血液回路22のそれぞれに設置される血液回路2に適用することもできる。
【0045】
具体的には、回路チャンバ1011は、流動血液を内部空間S上部の気相側から流入させて、その内部空間S下部の液相側から流出させる形態で血液回路2の一部を構成するように作製されている。この回路チャンバ1011は、その内部空間S上部側に出力ポート117と差込継手119が位置してジョイント13の受け継手139に差し込んで継手流路131に連通連結させるようになっている。
【0046】
この他の態様では、透析処理する際に、ダイヤフラム115のない回路チャンバ1011の内部空間S内の圧力を圧力センサ15により検出して血液回路2(21、22)における圧力変動を取得することができ、患者の血液の流動品質を把握して透析処理を安全かつ適切に実施することができる。
【0047】
このとき、この他の態様では、透析処理を継続しつつ、回路チャンバ1011の内部空間S内の気相圧力を圧力センサ15により検出して、その圧力変動に応じて加圧ポンプ17を駆動することによって、その内部空間S内を加圧(外気を圧送)して気相と液相との境界の液面を変化させて患者の血液の流動量や速度を調整制御することができる。
【0048】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る圧力測定装置を備える医療装置の一例である血液浄化装置を説明する。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されていることから図面を流用して、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0049】
図1図9に示すように、血液浄化装置Mのコントローラ50は、上述実施形態における操作パネルPの準備ボタンPbの押下に代えて、血液ポンプ23のカバー235が開閉されて動脈側血液回路21のセットをカバー検出センサ235sの検出信号から検知したときに、上述実施形態における回路接続準備動作を実施するようになっている。
【0050】
詳細には、コントローラ50は、血液ポンプ23のカバー235が開閉されて動脈側血液回路21がセット完了したタイミングに、ソレノイドバルブ161、162の開放と共に加圧ポンプ17の駆動を開始する。この後に、コントローラ50は、その開始時刻からの経過時間を計時して、予め設定されている駆動時間、例えば、回路チャンバ11をジョイント13に接続する作業を十分に行い得る作業時間が経過を確認したタイミングに、ソレノイドバルブ161、162を閉止すると共に加圧ポンプ17の駆動を停止する。
【0051】
これにより、圧力測定装置1は、血液回路2の回路チャンバ11をジョイント13に余裕をもって気密に連結する準備作業を確実に高品質かつ信頼性高く行い得るようにすることができ、その準備作業後に加圧ポンプ17を自動停止して共通チューブ14Gなどがローラ17rの絞り込み動作により消耗してしまうことを抑えることができる。
【0052】
<第2実施形態の効果>
このように、本実施形態の血液浄化装置Mにおいては、圧力測定装置1の加圧ポンプ17が回路接続準備動作に伴う負荷を低減することができ、共通チューブ14Gを含む加圧ポンプ17周りの各種部品の消耗を低減して安定駆動させることができる。
【0053】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る圧力測定装置を備える医療装置の一例である血液浄化装置を説明する。
【0054】
図1図9に示すように、血液浄化装置Mのコントローラ50は、上述実施形態における操作パネルPの準備ボタンPbの押下に代えて、人感センサ51が操作パネルPを操作、あるいは血液ポンプ23に動脈側血液回路21をセットするユーザを検出したときに、上述実施形態における回路接続準備動作を実施するようになっている。
【0055】
詳細には、コントローラ50は、人感センサ51が血液浄化装置M前のユーザを検出するタイミングに、上述実施形態と同様に、ソレノイドバルブ161、162の開放と共に加圧ポンプ17の駆動を開始し、その開始時刻からの計時する経過時間が、例えば、回路チャンバ11をジョイント13に接続する作業を十分に行い得る作業時間を超えたこと確認したタイミングに、ソレノイドバルブ161、162を閉止すると共に加圧ポンプ17の駆動を停止する。
【0056】
<第3実施形態の効果>
このように、本実施形態の血液浄化装置Mにおいても、上述実施形態と同様に、圧力測定装置1の加圧ポンプ17が回路接続準備動作に伴う負荷を低減することができ、共通チューブ14Gを含む加圧ポンプ17周りの各種部品の消耗を低減して安定駆動させることができる。
【0057】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る圧力測定装置を備える医療装置の一例である血液浄化装置を説明する。
【0058】
図1図9に示すように、血液浄化装置Mのコントローラ50は、上述実施形態における回路接続準備動作を実施する際に、ソレノイドバルブ161、162を閉じた遮断状態で加圧ポンプ17を駆動して圧力センサ18の検出する共通チューブ14G内の加圧圧力(測定値)が予め設定されている開放圧力に達したこと(蓄圧できたこと)を確認した後に、そのソレノイドバルブ161、162を開放して連通状態に切り替える。この後には、コントローラ50は、圧力センサ15の検出する回路チャンバ11の圧力空間S2の加圧圧力が予め設定されている終了圧力に達したことを確認したタイミングに、ソレノイドバルブ161、162を閉止すると共に加圧ポンプ17の駆動を停止する。
【0059】
これにより、圧力測定装置1は、上述実施形態による作用に加えて、加圧ポンプ17を駆動して共通チューブ14G内に貯留した圧縮空気をジョイント13の継手流路131から噴出させてOリング132に付着する異物を効果的に吹き飛ばすことができ、また、連結完了を確実に判断して加圧ポンプ17を自動停止し共通チューブ14Gなどがローラ17rの絞り込み動作により消耗してしまうことを抑えることができる。
【0060】
<第4実施形態の効果>
このように、本実施形態の血液浄化装置Mにおいては、上述実施形態による効果に加えて、血液回路2における回路チャンバ11の出力ポート117をジョイント13の継手流路131に連通接続する作業を高品質かつ信頼性高く行うことができ、共通チューブ14Gを含む加圧ポンプ17周りの各種部品の消耗を低減して安定駆動させることができる。
【0061】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る圧力測定装置を備える医療装置の一例である血液浄化装置を説明する。
【0062】
図1図9に示すように、血液浄化装置Mのコントローラ50は、上述実施形態における回路接続準備動作を実施する際に、ソレノイドバルブ161、162の開放と共に加圧ポンプ17の正転(加圧)駆動および逆転(減圧)駆動を一定間隔に繰り返す。この後に、コントローラ50は、その開始時刻から設定作業時間(駆動時間)の経過を確認したタイミングに、ソレノイドバルブ161、162を閉止すると共に加圧ポンプ17の駆動を停止する。
【0063】
これにより、圧力測定装置1は、上述実施形態による作用に加えて、加圧ポンプ17の正転駆動および逆転駆動を繰り返してジョイント13の継手流路131のOリング132に圧縮空気を断続的に吹き付けるとともに、そのOリング132付近を断続的に吸引することができ、Oリング132に付着する異物を効果的に引き剥がすことができる。
【0064】
<第5実施形態の効果>
このように、本実施形態の血液浄化装置Mにおいては、上述実施形態による効果に加えて、血液回路2における回路チャンバ11の出力ポート117をジョイント13の継手流路131に連通接続する作業を高品質かつ信頼性高く行うことができる。
【0065】
<第6実施形態>
次に、図11を加えて、本発明の第6実施形態に係る圧力測定装置を備える医療装置の一例である血液浄化装置を説明する。
【0066】
図1図9に示すように、血液浄化装置Mは、血液回路2に設置する回路チャンバ11にジョイント13を連通接続させて圧力測定装置1を機能可能にされており、本実施形態においては、図11(a)に示すように、回路チャンバ11の圧力空間S2に連通する出力ポート1117内に、ジョイント13の継手流路1131を差し込む連通構造に作製されている。
【0067】
具体的には、ジョイント13の継手流路1131が円錐台形状に形成されており、回路チャンバ11の出力ポート1117は、上述実施形態の受け継手139に代えて、その継手流路1131の円錐台を嵌め込む内面を有する継手形状に形成されている。この継手流路1131および出力ポート1117は、互いに嵌め合わせる外面と内面の円錐台同士の間にOリング1132を挟み込んで気密に連結接合するように形成されている。
【0068】
これにより、圧力測定装置1は、血液回路2に流れる患者の血液の透析処理を実施するために、回路チャンバ11をジョイント13に連結する回路接続準備動作を実施する際に、図11(b)に示すように、出力ポート1117側や継手流路1131のOリング1132側に加圧ポンプ17の加圧空気を吹き付けて付着する異物を吹き飛ばすことができる。このとき、加圧ポンプ17により圧送される加圧空気は、ジョイント13の継手流路1131側から噴出されつつ回路チャンバ11の出力ポート1117との連結直前に、その出力ポート1117内に吹き込ませて噴き戻させることができ、継手流路1131との間の狭い隙間を通してOリング1132に付着する異物を強力に吹き飛ばすことができる。
【0069】
この結果、血液浄化装置Mは、ジョイント13の継手流路1131のOリング132と回路チャンバ11の出力ポート1117との間に異物を挟み込んで圧力空間S2にリークが生じて、回路チャンバ11の連通空間S1に流れる血液の流動に応じた圧力変動を測定不能になってしまうことをより効果的に未然に防止することができる。
【0070】
<第6実施形態の効果>
このように、本実施形態の血液浄化装置Mにおいても、上述実施形態と同様の作用効果を得ることができ、回路チャンバ11の出力ポート1117とジョイント13の継手流路1131との間の狭い隙間から圧力空気を噴出させてOリング1132(第1の接触面)と共に、そのOリング1132が密接する出力ポート1117の円錐台内面(第2の接触面)にも付着する異物を強力に吹き飛ばすことができる。
【0071】
したがって、圧力測定装置1のジョイント13を回路チャンバ11に異物を挟み込むことなく高品質に連結接続することができ、その回路チャンバ11の圧力空間S2における圧力変動を圧力センサ15により高精度に検出測定することができる。
【0072】
この結果、血液浄化装置Mは、血液回路2における血液の流動を高精度に調整することができ、患者血液を信頼性高く安定流動させて透析処理して浄化することができる。
【0073】
ここで、本実施形態では、出力ポート1117と継手流路1131との形状で、回路チャンバ11とジョイント13の連結直前にOリング1132付近に加圧ポンプ17の圧力空気を吹き付けて付着する異物が挟み込まれる場合を説明するがこれに限るものではない。例えば、回路チャンバ11の出力ポート117とジョイント13の継手流路131とに近接センサなどを設置して、効果的な離隔間隔まで接近するタイミングに、加圧ポンプ17の圧力空気を吹き付けるようにしてもよい。
【0074】
<実施形態のまとめ>
次に、以上説明した実施形態における符号などを援用して、本件発明を構成する発明特定事項を連記する。なお、下記の各符号などは、特許請求の範囲における構成要素を実施形態の記載を援用して説明するに過ぎず、その構成要素を具体的な部材等に限定するものではないことは言うまでもない。
【0075】
「1」 流体が流通可能な流体流路(血液回路2)を備える着脱部材(回路チャンバ11)を測定対象として、前記着脱部材の流体流路との間で気体を流通可能に設置される連通流路(接続チューブ14C)と、
前記流体流路および前記連通流路が連通状態または連通解消状態になるように、前記着脱部材の被接続部(出力ポート117)が着脱される接続部(継手流路131)と、
前記流体流路および前記連通流路が連通状態であるとき、前記流体流路および前記連通流路内の圧力を測定する圧力センサ(15、18)と、を備える圧力測定装置(1)であって、
外部に気体を放出または吸引させるように前記連通流路内を分岐チューブ14D1、14D2や共通チューブ14Gを介して加圧または減圧する加減圧部(加圧ポンプ17)と、
前記着脱部材の被接続部に気密に接触させる前記接続部の第1の接触面(Oリング132)が前記被接続部から離間しているタイミングに手動または自動で前記加減圧部を駆動させる駆動部(コントローラ50)と、を有し、
前記接続部は、前記被接続部から離間する連通解消状態で前記加減圧部の加圧または減圧により気体が放出される箇所または気体が吸引される箇所に第1の接触面が形成されている、圧力測定装置。
【0076】
「2」 前記接続部は、前記第1の接触面が前記被接続部に気密に密着可能な弾性材料(Oリング132)で作製されている、「1」に記載の圧力測定装置。
【0077】
「3」 前記連通流路は、前記加減圧部と前記測定対象との間を連通状態または遮断状態に切り替える開閉部(ソレノイドバルブ161、162)を備え、
前記開閉部は、遮断状態で前記連通流路内を加圧または減圧した後に連通状態に切り替えて前記接続部の前記第1の接触面に気体を吹き付ける、「1」または「2」に記載の圧力測定装置。
【0078】
「4」 前記加減圧部は、前記連通流路内を加圧する正転駆動に加えて、前記連通流路内を減圧する逆転駆動する機能を備える、「1」から「3」のいずれか1項に記載の圧力測定装置。
【0079】
「5」 上記の「1」から「4」のいずれか1つに記載の圧力測定装置を有し、
前記着脱部材は、前記流体流路として血液が流通可能な血液流路(血液回路2)を備え、
前記血液流路の一部として、血液および気体を貯留可能なチャンバ(回路チャンバ11)を備え、
前記測定対象が、前記チャンバの内部空間(圧力空間S2)である、医療装置(血液浄化装置M)。
【0080】
「6」 前記加減圧部の駆動を操作する操作部(操作パネルP)を有する、「5」に記載の医療装置。
【0081】
「7」 前記駆動部は、操作するユーザの検知(人感センサ51の検知信号)または前記ユーザによる操作の検知(血液ポンプ23のカバー235のカバー検出センサ235sの検知信号)を確認したときに、前記加減圧部の駆動を自動的に開始させる、「5」または「6」に記載の医療装置。
【0082】
「8」 前記駆動部は、前記圧力センサの測定値が予め設定されている所定圧力に達したタイミングに前記加減圧部の駆動を自動的に停止させる、「5」から「7」のいずれか1つに記載の医療装置。
【0083】
「9」 前記加減圧部は、前記接続部が前記チャンバ側の前記被接続部に接近する連結直前に、前記接続部の前記第1の接触面および前記被接続部の第2の接触面の双方に向かうように気体が放出または吸引される、「5」から「7」のいずれか1つに記載の医療装置。
【0084】
上記「1」、「2」および「5」の場合には、圧力変動する流体流路と連通流路とを接続する前に、被接続部に接触する第1の接触面に圧力空気または吸引空気を吹き付けて異物を効果的に吹き飛ばすことができ、高品質かつ信頼性高く連通接続することができる。
【0085】
上記「3」および「4」の場合には、圧力変動する流体流路と連通流路とを接続する前に、被接続部に接触する第1の接触面に圧力空気または吸引空気を効果的に吹き付けて異物をより確実に吹き飛ばすことができ、高品質かつ信頼性高く連通接続することができる。
【0086】
上記「6」の場合には、操作部を操作して、加減圧部を駆動して停止することができ、部品が無用に消耗してしまうことを防止することができる。
【0087】
上記「7」および「8」の場合には、加減圧部を自動的に駆動停止することができ、部品が消耗してしまうことをより確実に防止することができる。
【0088】
上記「9」の場合には、接続部とチャンバ側の被接続部との間の狭い隙間に圧力空気または吸引空気を吹き付けることができ、異物をさらに確実に吹き飛ばして高品質かつ信頼性高く連通接続することができる。
【0089】
ここで、以上で説明する医療装置は、血液の流体(液体)を流動させる血液浄化装置(透析装置)を一例として説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、呼吸する空気(気体)などの流体を給排気する人工心肺装置などにも適用することができることは言うまでもない。
【0090】
また、上述の実施形態では、ジョイント13を回路チャンバ11に連結する際の回路接続準備動作を主に説明するが、この動作に加えて、あるいは、この動作に代えて前もって、ジョイント13の継手流路131から空気を噴出(吸引でもよい)させる動作を、定期または不定期に実施するようにしてもよい。この場合には、回路チャンバ11が連結されて血液回路2を装着されていない状態においても、その回路チャンバ11と連結させるジョイント13の連結箇所に異物が付着して蓄積することを未然に防止することができ、装置状態を健全に維持・保全することができる。
【0091】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0092】
1……圧力測定装置
2……血液回路
3……透析回路
11、1011……回路チャンバ
13……ジョイント
14C、14C1、14C2……接続チューブ
14D1、14D2……分岐チューブ
14G……共通チューブ
15、18……圧力センサ
17……加圧ポンプ
17r、233……ローラ
17s、231……ステータ
21……動脈側血液回路
22……静脈側血液回路
23……血液ポンプ
31……ダイアライザ
50……コントローラ
51……人感センサ
115……ダイヤフラム
116……フィルタ
117、1117……出力ポート
119……差込継手
131、1131……継手流路
132、1132……Oリング
134……キャップ
139……受け継手
143……フランジ
143s……内周側斜面
161、162……ソレノイドバルブ
210……動脈側穿刺針
220……静脈側穿刺針
235……カバー
235s……カバー検出センサ
M……血液浄化装置
P……操作パネル
Pb……準備ボタン
S……内部空間
S1……連通空間
S2……圧力空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11