(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098235
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】美顔器具、およびその制御方法、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20220624BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
A61H23/02 386
A61N1/32
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211651
(22)【出願日】2020-12-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】510045494
【氏名又は名称】B-by-C株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 えな
【テーマコード(参考)】
4C053
4C074
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB23
4C074AA04
4C074BB01
4C074CC20
4C074DD10
(57)【要約】
【課題】電気刺激による痛みを抑制することができる美顔器具を提供する。
【解決手段】美顔器具は、使用者の顔面に装着されるとともに、使用者の頬部、およびその周辺を被覆するパッド部と、パッド部に設けられた電極と、電極に電圧を印可する電源部と、電源部から電極に供給する電圧を制御する制御部と、を備え、制御部は、電極に供給する電圧を所望の電圧まで徐々に電圧を上げていく電圧上昇処理を実行するものであって、電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顔面に装着されるとともに、使用者の頬部、およびその周辺を被覆するパッド部と、
前記パッド部に設けられた電極と、
前記電極に電圧を印可する電源部と、
前記電源部から前記電極に供給する電圧を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記電極に供給する電圧を所望の電圧まで徐々に電圧を上げていく電圧上昇処理を実行するものであって、前記電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給する美顔器具。
【請求項2】
前記制御部は、更に、前記所望の電圧から徐々に電圧を下げていく電圧降下処理を実行するものであって、前記電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の美顔器具。
【請求項3】
前記制御部は、前記電極に対して電力を供給するモードとして、第1の周波数帯域の電力を前記電極に供給するウォーミングアップモードと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の電力を前記電極に供給するトレーニングモードと、前記第2の周波数帯域よりも低い第3の周波数帯域の電力を前記電極に供給するクーリングモードと、が連続して実行されるように、前記電極に電圧を印加するものであって、前記電圧上昇処理は、前記ウォーミングアップモードから前記トレーニングモードへ移行する際に実行され、前記電圧降下処理は、前記トレーニングモードから前記クーリングモードへ移行する際に実行される
ことを特徴とする請求項2に記載の美顔器具。
【請求項4】
使用者の顔面に装着されるとともに、使用者の頬部、およびその周辺を被覆するパッド部と、前記パッド部に設けられた電極と、前記電極に電圧を印可する電源部と、前記電源部から前記電極に供給する電圧を制御する制御部と、を備える美顔器具の制御方法であって、
前記制御部が、前記電極に供給する電圧を所望の電圧まで徐々に電圧を上げていく電圧上昇処理ステップを含み、前記電圧上昇処理ステップにおいて前記制御部が前記電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給する制御方法。
【請求項5】
前記制御方法は、更に、
前記制御部が、更に、前記所望の電圧から徐々に電圧を下げていく電圧降下処理ステップ含み、前記電圧降下処理ステップにおいて前記制御部が前記電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給する
ことを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記制御部は、前記電極に対して電力を供給するモードとして、第1の周波数帯域の電力を前記電極に供給するウォーミングアップモードと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の電力を前記電極に供給するトレーニングモードと、前記第2の周波数帯域よりも低い第3の周波数帯域の電力を前記電極に供給するクーリングモードと、が連続して実行されるように、前記電極に電圧を印加するものであって、
前記電圧上昇処理ステップは、前記ウォーミングアップモードから前記トレーニングモードへ移行する際に実行され、
前記電圧降下処理ステップは、前記トレーニングモードから前記クーリングモードへ移行する際に実行される
ことを特徴とする請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
使用者の顔面に装着されるとともに、使用者の頬部、およびその周辺を被覆するパッド部と、前記パッド部に設けられた電極と、前記電極に電圧を印可する電源部と、前記電源部から前記電極に供給する電圧を制御する制御部と、を備える美顔器具の制御部に実行させる制御プログラムであって、
前記制御部に、前記電極に供給する電圧を所望の電圧まで徐々に電圧を上げていく電圧上昇処理機能であって、前記電極に正弦波形の電力を供給させる制御プログラム。
【請求項8】
前記制御プログラムは、更に、
前記制御部が、更に、前記所望の電圧から徐々に電圧を下げていく電圧降下処理機能であって、前記制御部が前記電極に正弦波形の電力を供給させる
ことを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記制御部は、前記電極に対して電力を供給するモードとして、第1の周波数帯域の電力を前記電極に供給するウォーミングアップモードと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の電力を前記電極に供給するトレーニングモードと、前記第2の周波数帯域よりも低い第3の周波数帯域の電力を前記電極に供給するクーリングモードと、が連続して実行されるように、前記電極に電圧を印加するものであって、
前記電圧上昇処理機能は、前記ウォーミングアップモードから前記トレーニングモードへ移行する際に実行され、
前記電圧降下処理機能は、前記トレーニングモードから前記クーリングモードへ移行する際に実行される
ことを特徴とする請求項8に記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美顔器具とその制御方法、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示すように、使用者の顔面に物理的な刺激を与えて、疲労回復効果、および痩身効果を得ることで、美容に供する美顔器具が知られている。この美顔器具では、使用者の顔面を被覆するマスクの内部に振動素子が設けられている。そして使用者がマスクを顔面に装着した状態で、振動素子が振動することで、前述した各効果を奏することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような美顔器具には、電気刺激を与えて振動素子と同様の効果を得られるものがある。しかしながら、電気刺激は、人によっては刺激が強すぎて痛みを伴う場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、電気刺激を与える美顔器具において、電気刺激に依る痛みを抑制することができる美顔器具とその制御方法、制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る美顔器具は、使用者の顔面に装着されるとともに、使用者の頬部、およびその周辺を被覆するパッド部と、パッド部に設けられた電極と、電極に電圧を印可する電源部と、電源部から電極に供給する電圧を制御する制御部と、を備え、制御部は、電極に供給する電圧を所望の電圧まで徐々に電圧を上げていく電圧上昇処理を実行するものであって、電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給するである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、使用者の顔面に装着されるとともに、使用者の頬部、およびその周辺を被覆するパッド部と、パッド部に設けられた電極と、電極に電圧を印可する電源部と、電源部から電極に供給する電圧を制御する制御部と、を備える美顔器具の制御方法であって、制御部が、電極に供給する電圧を所望の電圧まで徐々に電圧を上げていく電圧上昇処理ステップを含み、電圧上昇処理ステップにおいて制御部が電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御プログラムは、使用者の顔面に装着されるとともに、使用者の頬部、およびその周辺を被覆するパッド部と、パッド部に設けられた電極と、電極に電圧を印可する電源部と、電源部から電極に供給する電圧を制御する制御部と、を備える美顔器具の制御部に実行させる制御プログラムであって、制御部に、電極に供給する電圧を所望の電圧まで徐々に電圧を上げていく電圧上昇処理機能であって、電極に正弦波形の電力を供給させる。
【0009】
上記美顔器具において、制御部は、更に、所望の電圧から徐々に電圧を下げていく電圧降下処理を実行するものであって、電極に供給する電力の周波数の経時的変化が正弦波となるように電力を供給することとしてもよい。
【0010】
上記美顔器具において、制御部は、電極に対して電力を供給するモードとして、第1の周波数帯域の電力を電極に供給するウォーミングアップモードと、第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の電力を電極に供給するトレーニングモードと、第2の周波数帯域よりも低い第3の周波数帯域の電力を電極に供給するクーリングモードと、が連続して実行されるように、電極に電圧を印加するものであって、電圧上昇処理は、ウォーミングアップモードからトレーニングモードへ移行する際に実行され、電圧降下処理は、トレーニングモードからクーリングモードへ移行する際に実行されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る美顔器具は、電力を上昇させる電力上昇処理において、正弦波の電力を電極に供給することで、滑らかな変動の電気刺激を与えることができるので、使用者に対する電気刺激に基づく痛みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】(a)
図1に示すパッド部の正面視形状を示す図、b)
図1に示すパッド部の側面視形状を示す図である。
【
図6】美顔器具の使用態様の他の例を示す図である。
【
図8】美顔器具の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】美顔器具における電圧周波数の経時的変化を示すグラフである。
【
図10】(a)は、従来の電圧上昇処理における波形変化の拡大図である。(b)は、従来の電圧降下処理における波形変化の拡大図である。(c)は、本実施形態における電圧上昇処理における波形変化の拡大図である。(d)は、本実施形態における電圧降下処理における波形変化の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施態様に係る美顔器具について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<実施形態>
<美顔器具の構造>
図1から
図3は、本実施形態に係る美顔器具1の外観を示す図である。
図1は、美顔器具1の斜視図、
図2は美顔器具1の正面図、
図3は美顔器具1の右側面図である。
【0015】
図1に示すように、美顔器具1は、ヘッドフォンを模した形状となっている。美顔器具1は、左右に一対設けられたパッド部10と、一対のパッド部10を連結する連結部11と、を備えている。連結部11には、電源部30が設けられている。
【0016】
連結部11は、使用者が使用する際に、使用者の頭部又は首部を覆うように湾曲して延びるバンド部材である。
【0017】
本実施形態では、連結部11は、使用者の頭部を覆うヘッドバンド12と、ヘッドバンド12の両端部から延びる一対のスライダーバンド13と、スライダーバンド13と連結された一対のハウジング14と、を備えている。なお、使用者の頭部を覆うヘッドバンド12に代えて、使用者の首部の後側を覆うネックバンドを採用してもよい。また、パッド部10を、当接する箇所に対して帖着することができるように構成した場合には、各パッド部10と電源部30とを接続できれば、ヘッドバンド12はなくてもよい。
【0018】
以下の説明では、美顔器具1を使用する使用者の向きを基準にして、前後方向、左右方向、上下方向を定義する。
【0019】
図2に示す例では、ヘッドバンド12の左右方向の厚み寸法は、ヘッドバンド12の位置により異なっている。ヘッドバンド12の厚み寸法は、中央部から両端部に向かうに従い漸次、大きくなっている。ヘッドバンド12の両端部に、電源部30および無線通信部60がそれぞれ内蔵されている。なお、ヘッドバンド12の厚み寸法は均一に構成されてもよい。
【0020】
図3に示すように、ヘッドバンド12の前後方向の幅寸法は、ヘッドバンド12の全域において均一になっている。ただし、これに限定するものではなく、例えば、頭頂部に当接する付近で最も厚くなり、パッド部10に近いほど細くなるようにしてもよい。
【0021】
図2に示すように、スライダーバンド13の左右方向の厚み寸法は、ヘッドバンド12の厚み寸法よりも小さく、スライダーバンド13の全域において均一になっている。
【0022】
図3に示すように、スライダーバンド13の前後方向の幅寸法は、ヘッドバンド12の幅寸法よりも小さく、スライダーバンド13の全域において均一になっている。
【0023】
スライダーバンド13はヘッドバンド12の内部に収容可能に配置され、使用者が選択するパッド部10の位置に従って、ヘッドバンド12から引き出されることで長さを調整可能となっている。
【0024】
スライダーバンド13の長さが調整可能となっていることで、使用者の好みの位置にパッド部10を接触させることができる。
【0025】
図2に示すように、ハウジング14は、スライダーバンド13の下端部に連結されている。ハウジング14は、スライダーバンド13の下端部を収容するとともにパッド部10を保持する。
図2及び
図3に示すようにハウジング14にはパッド部10が支持軸15を介して連結されている。
【0026】
支持軸15は、パッド部10を連結部11の両端部であるハウジング14に対して回転可能に支持しており、ハウジング14の内部に設けられている。
図3では、ハウジング14は矩形状を呈しているがハウジング14は、支持軸15を内包し、スライダーバンド13の下端部を収容していればその形状は矩形状に限定するものではない。
【0027】
図4に示すようにパッド部10は矩形状をなしている。
図4(a)は、パッド部10の正面視形状を示す図、
図4(b)は、パッド部10の側面視形状を示す図である。なお、ここでは、パッド部10を矩形状としているが、パッド部10の形状はこれに限定するものではなく、例えば、円形であってもよい。
【0028】
パッド部10は4辺のうちの2辺が湾曲している。パッド部10の周縁部のうち、前方に位置する前縁部は、上下方向の中央部が後方に向けて突となる曲線状に形成されている。パッド部10の周縁部のうち、後方に位置する後縁部は、上下方向の中央部が後方に向けて突となる曲線状に形成されている。パッド部10には複数の電極20が設けられている。
【0029】
複数の電極20は、正極(+)および負極(-)が、パッド部10にそれぞれ2組設けられている。図示の例では、パッド部10の前側に、正極および負極が1組設けられ、パッド部10の後側に、正極および負極が1組設けられている。なお、電極20の配置状態は任意に変更することができる。例えば、電極20は正極(+)および負極(-)が1組だけ配置されてもよいし、3組以上配置されてもよい。
【0030】
図5は美顔器具1の使用態様の一例を示す図である。また、
図6は、美顔器具1の使用態様の他の例を示す図である。
【0031】
図5に示すように、美顔器具1を使用する場合には、ヘッドバンド12により頭頂部を覆うように、頭部に装着する。これにより、パッド部10が眼輪筋、大頬骨筋、頬筋それぞれの少なくとも一部を覆うようにして美顔器具1を使用することができる。この使用形態で美顔器具1を駆動させることで、使用者のこれらの筋肉(眼輪筋、大頬骨筋、頬筋)に刺激を与えることができる。
【0032】
次に、
図6に示すように、
図5に示す状態から、スライダーバンド13を伸ばすとともに、支持軸15回りに、スライダーバンド13に対してパッド部10を回転させる。これにより、パッド部10のうち、電極20が設けられた部分は、使用者の顔面のうち、眼の中心よりも左右方向における顔面の内側に位置する部分に接触する。
【0033】
このとき、パッド部10は、眼輪筋、大頬骨筋、頬筋だけでなく、口輪筋や上唇挙筋の少なくとも一部を覆うようにして美顔器具1を使用することができる。これにより、より一層広範囲にわたって、電極20からの刺激を顔面に与えることができる。
【0034】
この結果、使用者の顔面の筋肉を引き締め(パンプアップさせ)、頬の弛みを等を解消することができるとともに、小顔効果を期待することができる。
【0035】
<美顔器具の構成例>
図7は、美顔器具1の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、美顔器具1は、制御部730と、記憶部740と、電極20と、電源部30と、を備える。美顔器具1は、通信部710と、入力部720と、を備えてもよい。美顔器具1の各部は、制御部730による制御が可能なように接続線750を介して互いに接続されている。
【0036】
通信部710は、美顔器具1の外部の装置と通信する機能を有する。通信部710は、制御部730から指定された情報を外部の装置に送信することとしてよい。外部に送信する情報としては、実行された制御内容を示す情報(どのような電圧で、どれぐらいの時間)を送信されてよい。これらの制御内容を示す情報は、外部の装置(例えば、使用者の端末)に送信された可視化されて表示されてもよい。また、通信部710は、外部の装置(例えば、使用者の端末であったり、美顔器具1のコントローラであったりしてよい)から、美顔器具1を制御するための制御コマンドを受信することとしてよい。通信部710は、外部の装置から受信した制御コマンドを制御部730に伝達する。
【0037】
入力部720は、美顔器具1の使用者からの入力を受け付ける。入力部720は、
図1~
図6には示していないが、例えば、ヘッドバンド12にハードキーまたはソフトキーとして設けられてよく、例えば、パッド部10に印加される電圧の周波数を指定できたり、あるいは、電圧強度を指定できたり、あるいは、動作モードを指定できたりしてよい。入力部720は、入力された内容を制御部730に伝達する。入力部720は、美顔器具1を起動/終了するための電源ボタンが含まれてよい。
【0038】
なお、通信部710を備えて、外部の装置からの操作を受け付ける場合には、入力部720は備えなくともよい。また、入力部720を備える場合には、外部からのコントロールは不要になるので、通信部710を備えない構成としてもよい。
【0039】
制御部730は、美顔器具1の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部730は、記憶部740に記憶される各種プログラムを実行することで、美顔器具1として果たすべき機能を実現する。
【0040】
制御部730は、電圧制御部731を含む。電圧制御部731は、電源部30から電極20に対して供給する電力を制御する。
【0041】
電圧制御部731は、比較的低い電圧を電源部30から電極20に印加するウォーミングアップモードと、ウォーミングアップモード時よりも高い電圧を電極20に印加するトレーニングモードと、トレーニングモードよりも低い電圧を電極20に印加するクーリングダウンモードと、3つのモードのいずれかでの電圧を電極20に印加するように電源部30を制御する。また、電圧制御部731は、ウォーミングアップモードからトレーニングモードに移行する際に、電極20に印加する電圧を徐々にあげていく。このとき電圧制御部731は、印加する電力の周波数が、正弦波を描くように電圧を電極20に印加する。また、トレーニングモードからクーリングダウンモードに移行する際に、電極20に印加する電圧を徐々に下げていく。このときも電圧制御部731は、印加する電力の周波数が、正弦波を描くように電圧を印加する。電圧制御部731による電圧の印加手法の詳細については、
図9、
図10を用いて後述する。
【0042】
記憶部740は、美顔器具1の各部を制御するための各種プログラム及びデータを記憶する機能を有する記憶媒体である。記憶部740は、一例として、フラッシュメモリにより実現することができるが、これに限定するものではない。
【0043】
電源部30は、一次電池であっても、二次電池であってもよい。二次電池である場合には、美顔器具1には電源部30に充電可能な充電端子を備えることとしてもよい。
【0044】
<動作>
ここから美顔器具1における動作例を説明する。
図8は、実施形態に係る美顔器具1の動作例を示すフローチャートである。
図8に示すように、美顔器具1が起動されると、電圧制御部731は、電源部30から電極20に対する通電を開始する(ステップS801)。
【0045】
電圧制御部731は、まず、ウォーミングアップモードとして定められている電圧を、電極20に印加する(ステップS802)。ウォーミングアップモードにおいて印加される電圧(周波数)は、比較的低い電圧である(10Hz前後)。
【0046】
ウォーミングアップモードを実行してから所定時間が経過すると、電圧制御部731は、電極20に印加している電圧を上げていく。即ち、印加している電力の周波数を上げていく。このとき、電圧制御部731は、電極20に印加される電力の周波数が正弦波を描くように、電圧を上昇させる電圧上昇処理を実行する(ステップS803)。
【0047】
電極20に供給する電圧(周波数)が所望の高さになると、電圧制御部731は、トレーニングモードで電圧を印加する(ステップS804)。即ち、電圧制御部731は、電源部30から電極20に、所定の高さの電圧を印加する。
【0048】
一定時間トレーニングモードで電圧を印加した後、電圧制御部731は、電極20に印加している電圧を下げていく。即ち、印加している電力の周波数を下げていく。このとき、電圧制御部731は、電極20に印加される電力の周波数が正弦波を描くように電圧を下げていく電圧降下処理を実行する(ステップS805)。
【0049】
そして、電圧が所定の電圧まで低下すると、電圧制御部731は、クーリングダウンモードで電圧を印加する(ステップS806)。即ち、電圧制御部731は、電源部30から電極20に、トレーニングモードよりも低い電圧の電力を一定時間印加し、処理を終了する。
【0050】
【0051】
なお、
図8では、美顔器具1として動作することが望ましい態様として、ウォーミングアップモード、電圧上昇処理、トレーニングモード、電圧降下処理、クーリングダウンモードの順で動作する例を示したが、美顔器具1の動作態様はこれに限定するものではない。使用者からの指定を受け付けて受け付けたモードでの動作を実行することとしてよく、この時に、電圧制御部731は、供給する電圧を上昇させていく際、あるいは、高い電圧から落としていく場合に、電極に供給される電力の周波数が正弦波を描くように電力を電源部30から電極20に電力を供給するように制御すればよい。
【0052】
<制御電圧(周波数)の具体例>
図9は、美顔器具1における各動作モードと、電圧上昇処理、電圧降下処理、における電極20に供給する電力の周波数の経時的変化を示す図である。
【0053】
図9は、ウォーミングアップモード、電圧上昇処理、トレーニングモード、電圧降下処理、クーリングダウンモードの順に、電極20に電力を供給した場合の、周波数の経時的変化を示すグラフである。
【0054】
図9に示すように、ウォーミングアップモード(時刻T1~T2)においては、比較的低い周波数の電力を電極20に供給する。所定時間が経過すると、美顔器具1の制御部730は、トレーニングモードに移行すべく、電圧(周波数)を徐々にあげていく電圧上昇処理を実行する(時刻T2~T3)。
【0055】
そして、所望の電圧(周波数)まで上がると、その周波数を維持するように、かつ、ある程度変化させるトレーニングモードの電圧を供給する(時刻T3~T4)。トレーニングモードとして動作すべき時間が経過すると、電圧制御部731は、徐々に電圧(周波数)を下げていく電圧降下処理を実行する(時刻T4~T5)。
【0056】
そして、所望の電圧(周波数)まで下がると、その周波数を維持するように、かつ、ある程度変化させるクーリングダウンモードを実行する(時刻T5~)。このように、美顔器具1の電圧制御部731は、電圧を制御する。
【0057】
美顔器具1においては、
図9に示す処理を1クールとして、数回実行することが好ましいが、何回実行するかは使用者の好みによって定めてもよい。
【0058】
図9に示されるように、ウォーミングアップモードにおける第1の周波数帯よりも、トレーニングモードにおける第2の周波数帯の方が、周波数が高い。また、トレーニングモードにおける第2の周波数帯の方が、クーリングダウンモードにおける第3の周波数帯よりも高い。
【0059】
ここで、
図10を用いて、従来の電圧上昇処理及び電圧降下処理と、本実施形態における電圧上昇処理及び電圧降下処理の差違について説明する。
【0060】
図10(a)は、従来の電圧上昇処理における周波数変化の例を示す図であり、
図10(b)は、従来の電圧降下処理における周波数変化の例を示す図である。
図10(a)、(b)に示すように、従来においては、電極20に対して、三角波あるいは矩形波の周波数変化を描くように電力を供給していた。しかし、そうすると、三角波あるいは矩形波のエッジ部分において急峻な電力が供給され、使用者に対して痛み等の不快感を与える場合があることを発明者らは知見した。
【0061】
そこで、本発明においては、美顔器具1の電圧制御部731は、この急峻なエッジがたたないように、
図10(c)、
図10(d)に示すように、電圧上昇処理あるいは電圧降下処理において、供給される電力の周波数波形が正弦波(
図9に示す電圧上昇処理あるいは電圧降下処理におけるグラフを軸とした正弦波、もしくは、正弦波に上昇させる周波数を加算した波)となるように、電極20に電力を供給する。
【0062】
図10(c)や
図10(d)から理解されるように、供給される電力の周波数に三角波や矩形波のように急峻な部分がなく、三角波や矩形波に比べて緩やかな変化の電力を供給できるので、使用者に対して痛み等の不快感を与えにくい美顔器具1を提供することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態においては、美顔器具1における電圧を制御する手法として、装置のプロセッサが制御プログラム等を実行することにより、電圧を制御することとしているが、これは美顔器具1に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0064】
また、上記制御プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記制御プログラムは、当該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0065】
なお、上記制御プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できるが、これらに限定するものではない。
【符号の説明】
【0066】
1 美顔器具
10 パッド部
11 連結部
12 ヘッドバンド
13 スライダーバンド
14 ハウジング
15 支持軸
20 電極
30 電源部
710 通信部
720 入力部
730 制御部
731 電圧制御部
740 記憶部