(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098262
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ジョイスティック装置
(51)【国際特許分類】
G05G 9/047 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
G05G9/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211695
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】515074086
【氏名又は名称】VIVIWARE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】今井 正敏
(72)【発明者】
【氏名】加々見 翔太
(72)【発明者】
【氏名】上町 達也
(72)【発明者】
【氏名】今西 康暢
【テーマコード(参考)】
3J070
【Fターム(参考)】
3J070AA04
3J070BA11
3J070BA51
3J070CB01
3J070CB39
3J070CC71
(57)【要約】
【課題】特定の方向への操作を的確に行うことができ、かつ、特定の方向への操作を行えていることを操作者が把握することができるジョイスティック装置を提供する。
【解決手段】ジョイスティック装置10は、傾倒可能に支持された操作スティック12と、操作スティック12の周囲に配置され、操作スティック12が貫通し、操作スティック12が傾倒した状態で当接することにより操作スティック12の傾倒範囲を規制する開口部110を備えた規制部材11aと、を備え、開口部110の開口形状は、直線状又は曲線状に構成された線状部110aと、線状部110aが繋がる位置に設けられた角部110bと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾倒可能に支持された操作スティックと、
前記操作スティックの周囲に配置され、前記操作スティックが貫通し、前記操作スティックが傾倒した状態で当接することにより前記操作スティックの傾倒範囲を規制する開口部を備えた規制部材と、
を備え、
前記開口部の開口形状は、直線状又は曲線状に構成された線状部と、
前記線状部が繋がる位置に設けられた角部と、
を備えるジョイスティック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のジョイスティック装置において、
前記開口部の開口形状は、略正多角形形状であること、
を備えるジョイスティック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のジョイスティック装置において、
前記開口部の開口形状は、略正八角形形状であること、
を特徴とするジョイスティック装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のジョイスティック装置において、
前記操作スティックが前記開口形状に当接する位置における前記操作スティックの延在方向に直交する方向の断面形状は、前記開口形状の相似形状であること、
を特徴とするジョイスティック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器・装置等の操作に用いるジョイスティック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種機器・装置等の操作にジョイスティック装置が用いられている。
例えば、特許文献1には、操作スティックがケース部に対して所定の角度の範囲内で任意の方向に傾くことが可能となるジョイスティックが開示されている。
【0003】
しかし、従来のジョイスティック装置では、任意の方向に滑らかに操作できることを重視した結果、使い難い場合があった。すなわち、ジョイスティック装置の操作スティックの操作方向がいずれの方向であっても自由に操作が可能であることから、特定の方向のみに操作スティックを操作したい場合に、その方向へ適切に操作を行うことが難しかった。より具体的には、操作スティックが中立位置(傾倒せずに、いずれの方向にも入力されていない位置)を中心として上から見た状態で上下方向及び左右方向(±x方向及び±y方向)への操作入力のみを行いたい場合がある。そのような場合に例えば上方向のみに操作を行ったつもりであっても、僅かに左右方向にも操作スティックが傾倒していると、適切な操作入力が行われない場合があった。また、操作者としても、上記特定の操作方向が感触として把握することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特定の方向への操作を的確に行うことができ、かつ、特定の方向への操作を行えていることを操作者が把握することができるジョイスティック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
第1の発明は、傾倒可能に支持された操作スティック(12)と、前記操作スティック(12)の周囲に配置され、前記操作スティック(12)が貫通し、前記操作スティック(12)が傾倒した状態で当接することにより前記操作スティック(12)の傾倒範囲を規制する開口部(110、110B)を備えた規制部材(11a、110b)と、を備え、前記開口部(110、110B)の開口形状は、直線状又は曲線状に構成された線状部(110a、110c)と、前記線状部(110a、110c)が繋がる位置に設けられた角部(110b、110d)と、を備えるジョイスティック装置(10、10B)である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に記載のジョイスティック装置(10)において、前記開口部(110)の開口形状は、略正多角形形状であること、を備えるジョイスティック装置(10)である。
【0009】
第3の発明は、第2の発明に記載のジョイスティック装置(10)において、前記開口部(110)の開口形状は、略正八角形形状であること、を特徴とするジョイスティック装置(10)である。
【0010】
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明に記載のジョイスティック装置(10B)において、前記操作スティック(12)が前記開口形状に当接する位置における前記操作スティック(12)の延在方向に直交する方向の断面形状は、前記開口形状の相似形状であること、を特徴とするジョイスティック装置(10B)である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定の方向への操作を的確に行うことができ、かつ、特定の方向への操作を行えていることを操作者が把握することができるジョイスティック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるジョイスティック装置10の第1実施形態を示す図である。
【
図2】ジョイスティック装置10を側面から見た図である。
【
図3】ジョイスティック装置10の縦断面図である。
【
図4】操作スティック12が中立の位置ある状態のジョイスティック装置10を上方から見た図である。
【
図5】軸部12aが線状部110aに当接した状態のジョイスティック装置10を上方から見た図である。
【
図6】軸部12aが角部110bに当接した状態のジョイスティック装置10を上方から見た図である。
【
図7】第2実施形態の軸部12cが角部110dに当接した状態のジョイスティック装置10Bを上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明によるジョイスティック装置10の第1実施形態を示す図である。
図2は、ジョイスティック装置10を側面から見た図である。
図3は、ジョイスティック装置10の縦断面図である。
なお、
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0015】
本実施形態のジョイスティック装置10は、本体11と、操作スティック12と、端子部13と、鍔部14と、センサーユニット15とを備えている。
【0016】
本体11は、ジョイスティック装置10の主要な構成を内蔵しており、下方が略直方体形状に構成されており、上方には、略ドーム形状に構成されて操作スティック12の周囲に配置された規制部材11aが設けられている。規制部材11aの中央には、開口部110が開口している。開口部110は、操作スティック12が貫通し、操作スティック12が傾倒した状態で当接することにより操作スティック12の傾倒範囲を規制する。
【0017】
操作スティック12は、本体11から上方に突出しており、上方から見た方向で360°の全方向に揺動して倒れること、すなわち、傾倒することができる。操作スティック12の傾倒する方向に応じた操作信号が後述するセンサーユニット15から端子部13を介して出力される。操作スティック12は、上方が鍔状(フランジ状)に広がって形成されており、その下方に軸部12aを有しており、この軸部12aが規制部材11aの開口部110に当接して、操作スティック12の傾倒が所定の角度範囲に規制される。
【0018】
端子部13は、他の電子機器等に接続される通信ケーブルが接続される。端子部13は、例えば、USB端子等を例示できるが、具体的な形態はどのようなものでもよい。
【0019】
鍔部14は、ジョイスティック装置10の下方に鍔状(フランジ状)に突出して形成されている。鍔部14は、下方から見た形状が、角を丸めた略正方形となっている。鍔部は、ジョイスティック装置を支持する底面として用いてもよいし、不図示の取り付け部材等に取り付けてもよい。
【0020】
センサーユニット15は、操作スティック12の操作方向(傾倒方向)を検出して出力を行うセンサー機器である。センサーユニット15は、可変抵抗方式を用いてもよいし、ホール効果方式を用いてもよく、どのようなものであってもよい。センサーユニット15は、傾倒可能な入力レバー部15aを備えており、この入力レバー部15aに、操作スティック12が固定されている。
【0021】
本実施形態のジョイスティック装置10では、従来のジョイスティック装置と比べて、特定方向への入力が行いやすくなる構成を備えている。以下、この点について説明する。
図4は、操作スティック12が中立の位置ある状態のジョイスティック装置10を上方から見た図である。
図5は、軸部12aが線状部110aに当接した状態のジョイスティック装置10を上方から見た図である。
図6は、軸部12aが角部110bに当接した状態のジョイスティック装置10を上方から見た図である。
なお、
図4から
図6では、操作スティック12については軸部12aの断面(操作スティック12の延在方向に直交する方向の断面)を示している。
【0022】
本実施形態の開口部110は、8つの線状部110aと、線状部110aが繋がる位置に設けられた8つの角部110bとを有した略正八角形形状となっている。ここで、略正八角形形状とは、完全な正八角形だけでなく、線状部110aがわずかに湾曲した曲線であったり、角部110bが完全に尖っておらず微小な曲面となっていたりすることを含むものであり、実質的に正八角形とみなせる形状も含む意味である。本実施形態においても、線状部110aがわずかに湾曲した曲線であり、また、角部110bが完全に尖っておらず微小な曲面となっている。
【0023】
操作スティック12が傾倒されると、開口部110の内壁である線状部110a又は8角部110bに軸部12aが当接してその傾倒が規制される。
軸部12aが線状部110aに当接した場合(
図5参照)には、線状部110aに沿った方向に操作スティック12が容易に移動することが可能である。特に、操作者が角部110bの方向への操作を意図している場合には、線状部110aに沿って角部110bの方向へ移動が容易である。
一方、軸部12aが角部110bに当接、又は、角部110bで繋がる2本の線状部110aに当接した場合(
図6参照)、意図的に操作スティック12を他方向に操作しない限り、角部110bで繋がる2本の線状部110aによって軸部12aの移動が規制されるので、その位置に保持されやすくなる。また、このとき、操作者は、操作スティック12が他の方向に移動しにくくなることを感じ取ることができる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、角部110bが8カ所設けられているので、各角部110bに対応する8方向を特定の方向として、その方向への操作を的確に行うことができ、かつ、特定の方向への操作を行えていることを操作者が把握することができる。
【0025】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の軸部12cが角部110dに当接した状態のジョイスティック装置10Bを上方から見た図である。
なお、
図7では、操作スティック12については軸部12cの断面(操作スティック12の延在方向に直交する方向の断面)を示している。
第2実施形態のジョイスティック装置10Bは、規制部材11bの開口部110Bの開口形状と、軸部12cの断面形状とを変えた他は、第1実施形態のジョイスティック装置10と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分は、同一の符号を用いて、重複する説明を適宜省略する。
【0026】
第2実施形態の規制部材11bの開口部110Bは、8つの線状部110cと、線状部110cが繋がる位置に設けられた8つの角部110dとを有した正八角形形状となっている。
線状部110cは、直線状に形成されている。また、角部110dは、意図的な曲面は形成されておらず、製造上生じる若干の丸みを除けば尖った角となっている。
また、第2実施形態の軸部12cは、開口部110Bの開口形状の相似形状、すなわち、正八角形形状となっている。これにより、第1実施形態よりも、操作スティック12が角部110dにおいて位置規制されやすくできる。
なお、軸部12cの断面形状を開口部110Bの開口形状の相似形状とするのは、操作スティック12が開口形状に当接する位置付近のみとしてもよい。
【0027】
第2実施形態によれば、軸部12cを開口部110Bの開口形状の相似形状としたので、第一実施形態よりも、特定の方向、すなわち、8つの角部110dに対応する方向に操作スティック12が保持されやすくなり、かつ、特定の方向への操作を行えていることを操作者が把握しやすくできる。
【0028】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0029】
(1)各実施形態において、開口形状が略正八角形形状、又は、正八角形形状である例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、開口形状は、略正四角形形状であってもよいし、略正五角形形状であってもよく、各種の正多角形形状、又は、略正多角形形状とすることができる。ここで、略正多角形形状とは、完全な正多角形だけでなく、線状部がわずかに湾曲した曲線であったり、角部が完全に尖っておらず微小な曲面となっていたりすることを含むものであり、実質的に正多角形とみなせる形状も含む意味である。
さらに、開口形状は、必ずしも正多角形形状、又は、略正多角形形状である必要もなく、多少の変形は許容でき、適宜変更可能である。
【0030】
(2)各実施形態において、操作スティック12は、上方が鍔状(フランジ状)に広がっている例を挙げて説明した。これに限らず、操作スティックの先端(上端)の形状は軸部をそのまま伸ばした形状であってもよく、適宜変更可能である。
【0031】
(3)規制部材の開口形状は、ジョイスティック装置の上下左右方向のみに「角部」がある正四角形形状、又は、略正四角形形状であってもよい。操作対象とするアプリケーションによっては、上下左右方向のみの方向指示(斜め方向の指示は禁止)をする場合が想定され、そのような場合に好適な構成となる。
【0032】
(4)規制部材がジョイスティック装置の本体と着脱可能な構成としてもよい。上述したように、規制部材の開口形状は、正八角形形状、正四角形形状等、各種多角形形状とすることが可能であり、その規制方向のパターンが複数あり得る。したがって、規制部材を本体から取り外して交換することにより、規制方向のパターンを使い分けることができる。
【0033】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0034】
10 ジョイスティック装置
10B ジョイスティック装置
11 本体
11a 規制部材
11b 規制部材
12 操作スティック
12a 軸部
12c 軸部
13 端子部
14 鍔部
15 センサーユニット
15a 入力レバー部
110 開口部
110B 開口部
110a 線状部
110b 角部
110c 線状部
110d 角部