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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098282
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】座屈拘束ブレース及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
E04B1/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211729
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝木 隆洋
(72)【発明者】
【氏名】上村 徹
(72)【発明者】
【氏名】嶋司 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】春木 久幸
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 嘉生
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA33
2E125AB03
2E125AB16
2E125AC14
2E125CA01
(57)【要約】
【課題】芯材の面外方向への変形を各方向から拘束することができる簡易な構成の座屈拘束ブレース及びその製造方法を提供する。
【解決手段】座屈拘束ブレース10は、架構材(梁3)に両端部が固定される、断面十字状の芯材13と、芯材13の長手方向の周囲をとり囲む外殻部11Aと、外殻部11Aの内面に内側に突出して取り付けられる突出材12と、芯材13と突出材12との間に配置される弾性体14と、を備え、突出材12は、断面十字状の芯材13の全ての入隅部13dに、弾性体14を介して当接し、弾性体14によって、芯材13と突出材12との間には、一定のスペースが形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架構材に取り付けられる座屈拘束ブレースであって、
前記架構材に両端部が固定される、断面十字状の芯材と、
前記芯材の長手方向の周囲をとり囲む外殻部と、
前記外殻部の内面に内側に突出して取り付けられる突出材と、
前記芯材と前記突出材との間に配置される弾性体と、を備え、
前記突出材は、断面十字状の前記芯材の全ての入隅部に、前記弾性体を介して当接し、
前記弾性体によって、前記芯材と前記突出材との間には、一定のスペースが形成されている
ことを特徴とする、座屈拘束ブレース。
【請求項2】
前記外殻部は、断面矩形に形成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項3】
前記外殻部は、断面正方形に形成され、
前記芯材は、縦横同じ長さの断面十字状に形成され、
断面十字状の前記芯材の先端部は、断面正方形の前記外殻部の角部に向けて配置されている
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項4】
前記突出材は、断面L字状に形成されている
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項5】
前記弾性体は、前記芯材の長手方向に、間隔をおいて複数配置されている
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の座屈拘束ブレースの製造方法であって、
4つの平鋼のそれぞれに、前記平鋼の側面から突出するように突出材を取り付ける突出材取付工程と、
前記突出材が取り付けられた前記平鋼を、断面十字状の芯材の長手方向の周囲をとり囲むように配置するとともに、前記突出材を、断面十字状の前記芯材の全ての入隅部に、弾性体を介して当接し、前記芯材と前記突出材との間のスペースを一定にする平鋼配置工程と、を含む
ことを特徴とする、座屈拘束ブレースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架構材に取り付けられる座屈拘束ブレース及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、芯材の軸方向に圧縮力が作用したときに、芯材の面外方向の撓みを拘束することによって、エネルギー吸収能力を大きくする座屈拘束ブレースが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、平鋼からなる主軸材と、主軸材を包囲して主軸材の面外変形を拘束するための補剛鋼管とを有し、補剛鋼管の隅肉溶接された内側隅部と主軸材の側縁との隙間に、ライナープレートが配置されている構成が記載されている。これにより、主軸材の面外変形を拘束するとともに、両者が摺動した際の摩擦音の発生防止や摩擦の低減を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4975062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、主軸材の側縁は、補剛鋼管により拘束されているが、主軸材の両側面(中央部)は、副軸材(リブ材)によって補強されているのみで、補剛鋼管によって直接拘束されていないため、芯材の面外方向への変形を各方向から拘束することができない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、芯材の面外方向への変形を各方向から拘束することができる簡易な構成の座屈拘束ブレース及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の座屈拘束ブレースは、架構材に取り付けられる座屈拘束ブレースであって、前記架構材に両端部が固定される、断面十字状の芯材と、前記芯材の長手方向の周囲をとり囲む外殻部と、前記外殻部の内面に内側に突出して取り付けられる突出材と、前記芯材と前記突出材との間に配置される弾性体と、を備え、前記突出材は、断面十字状の前記芯材の全ての入隅部に、前記弾性体を介して当接し、前記弾性体によって、前記芯材と前記突出材との間には、一定のスペースが形成されていることを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明の座屈拘束ブレースでは、前記外殻部は、断面矩形に形成されていてもよい。
【0009】
また、本発明の座屈拘束ブレースでは、前記外殻部は、断面正方形に形成され、前記芯材は、縦横同じ長さの断面十字状に形成され、断面十字状の前記芯材の先端部は、断面正方形の前記外殻部の角部に向けて配置されていてもよい。
【0010】
また、本発明の座屈拘束ブレースでは、前記突出材は、断面L字状に形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明の座屈拘束ブレースでは、前記弾性体は、前記芯材の長手方向に、間隔をおいて複数配置されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の座屈拘束ブレースの製造方法は、4つの平鋼のそれぞれに、前記平鋼の側面から突出するように突出材を取り付ける突出材取付工程と、前記突出材が取り付けられた前記平鋼を、断面十字状の芯材の長手方向の周囲をとり囲むように配置するとともに、前記突出材を、断面十字状の前記芯材の全ての入隅部に、弾性体を介して当接し、前記芯材と前記突出材との間のスペースを一定にする平鋼配置工程と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明の座屈拘束ブレースは、架構材に両端部が固定される、断面十字状の芯材と、芯材の長手方向の周囲をとり囲む外殻部と、外殻部の内面に内側に突出して取り付けられる突出材と、芯材と突出材との間に配置される弾性体と、を備え、突出材は、断面十字状の芯材の全ての入隅部に、弾性体を介して当接し、弾性体によって、芯材と突出材との間には、一定のスペースが形成されている。そのため、断面十字状の芯材の入隅部を形成する全ての面と突出材との間のスペースを、一定にすることができる。その結果、芯材の軸方向に圧縮力が作用して、芯材が面外方向に変形する際に、簡易な構成で、芯材の面外方向への変形を各方向から拘束することができる。
【0014】
また、本発明の座屈拘束ブレースでは、外殻部は、断面矩形に形成されているので、座屈拘束ブレースを平らな場所に置いた際に、転がらないようにすることができ、荷姿が崩れないようにすることができる。
【0015】
また、本発明の座屈拘束ブレースでは、外殻部は、断面正方形に形成され、芯材は、縦横同じ長さの断面十字状に形成され、断面十字状の芯材の先端部は、断面正方形の外殻部の角部に向けて配置されている。そのため、断面正方形の外殻部の内側に配置される芯材の断面積をより大きくすることができ、芯材の座屈に対する耐力を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の座屈拘束ブレースでは、突出材は、断面L字状に形成されているので、突出材をありふれた部材で形成することができ、コストを削減することができる。
【0017】
また、本発明の座屈拘束ブレースでは、弾性体は、芯材の長手方向に、間隔をおいて複数配置されているので、簡易な構成で、芯材と突出材との間のスペースを一定とすることができる。
【0018】
また、本発明の座屈拘束ブレースの製造方法では、4つの平鋼のそれぞれに、平鋼の側面から突出するように突出材を取り付ける突出材取付工程と、突出材が取り付けられた平鋼を、断面十字状の芯材の長手方向の周囲をとり囲むように配置するとともに、突出材を、断面十字状の芯材の全ての入隅部に、弾性体を介して当接し、芯材と突出材との間のスペースを一定にする平鋼配置工程と、を含む。そのため、コンクリート等を使用することなく、簡易な方法で、芯材の面外方向への変形を各方向から拘束することができる座屈拘束ブレースを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の座屈拘束ブレースが使用される建物の構造を示す側面図である。
図2】実施例1の座屈拘束ブレースを示す斜視図である。
図3】実施例1の座屈拘束ブレースを示す断面図である。
図4】実施例1の座屈拘束ブレースの芯材を示す斜視図である。
図5】実施例1の突出材取付工程を説明するための斜視図である。
図6】実施例1の平鋼配置工程を説明するための斜視図である。
図7】実施例1の座屈拘束ブレースの作用を説明する概略図であり、図7(a)は、芯材の軸方向の圧縮力が作用していない状態を示し、図7(b)は、芯材の軸方向に圧縮力が作用して芯材が面外方向に変形している状態を示す。
図8】別の実施例の座屈拘束ブレースを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による座屈拘束ブレースを実現する実施形態を、実施例1に基づいて説明する。
【実施例0021】
実施例1では、鉄骨造の建物の架構材に取り付けられる座屈拘束ブレースの例を説明する。
【0022】
[建物の構成]
図1は、実施例1の座屈拘束ブレースが使用される建物の構造を示す側面図である。以下、実施例1の建物を説明する。
【0023】
図1に示すように、建物1は、柱2及び梁3といった架構材によって構築されている。梁3には、複数のガセットプレート4が設けられている。ガセットプレート4間には、2本の座屈拘束ブレース10がボルト固定されている。2本の座屈拘束ブレース10は、側面から見て、V字状に配置され、建物1の強度及び剛性を高めている。
【0024】
[座屈拘束ブレースの構成]
図2は、実施例1の座屈拘束ブレース10を示す斜視図である。図3は、実施例1の座屈拘束ブレース10を示す断面図である。図4は、実施例1の座屈拘束ブレース10の芯材を示す斜視図である。以下、実施例1の座屈拘束ブレース10の構成を説明する。
【0025】
図2及び図3に示すように、座屈拘束ブレース10は、断面十字状に形成されている芯材13と、芯材13の長手方向の周囲を取り囲む外殻部11Aと、各平鋼11に取り付けられている突出材12と、突出材12と芯材13との間の隙間に配置されている弾性体14と、を備えている。
【0026】
(芯材)
図3及び図4に示すように、芯材13は、縦横同じ長さの断面十字状に形成され、入隅部13dを有している。芯材13は、長尺状の芯材本体13aと、芯材本体13aの長手方向の両方の端部に設けられている端部部材13bと、で形成されている。
【0027】
芯材本体13aは、縦横同じ長さの十字状の断面が延在して形成されている。端部部材13bは、芯材本体13aより幅広の十字状の断面が延在して形成されている。端部部材13bは、縦横同じ長さの十字状の断面が延在して形成されている。
【0028】
端部部材13bには、複数の孔13cが形成されている。複数の孔13cを介して、端部部材13bは、ボルトによってガセットプレート4に連結される。すなわち、芯材13は、梁3に取り付けられたガセットプレート4に、両端部が固定される。
【0029】
(外殻部)
図3に示すように、外殻部11Aは、4枚の平鋼11で構成されている。4枚の平鋼11は、同じ形状に形成されている。平鋼11は、芯材本体13aと略同じ長さに形成されている。なお、平鋼11は、芯材本体13aより若干短く形成されてもよいし、若干長く形成されてもよい。
【0030】
外殻部11Aは、1つの平鋼11の端面を、他の平鋼11の側面に当接して溶接することで、断面正方形を形成している。外殻部11Aを構成する4枚の平鋼11によって、芯材本体13aの長手方向の周囲がとり囲まれている。
【0031】
断面正方形の外殻部11Aの角部に向けて、断面十字状の芯材13の先端部が配置されている。すなわち、1つの平鋼11の端面が他の平鋼11の側面に当接することで形成される角部に、断面十字状の芯材13の先端部が向いて十字が対角線となるように配置されている。
【0032】
なお、外殻部11Aは、断面矩形に形成されていてもよいし、円形に形成されていてもよい。
【0033】
(突出材)
図3に示すように、突出材12は、平鋼を曲げ加工して、断面L字状に形成されている。突出材12は、平鋼11の長手方向の長さと略同じ長さに形成されている。なお、平鋼11は、突出材12より若干短く形成されてもよいし、若干長く形成されてもよい。
【0034】
突出材12は、各平鋼11に、それぞれ取り付けられている。突出材12は、外殻部11Aの内面に内側に突出して取り付けられている。すなわち、突出材12は、平鋼11の側面から、厚さ方向に突出するように、各平鋼11に溶接によって取り付けられている。
【0035】
言い換えると、断面L字状の突出材12の両端部が、平鋼11に溶接によって取り付けられることで、突出材12が平鋼11の厚さ方向に突出するように、平鋼11に取り付けられている。突出材12は、断面十字状の芯材13の各入隅部13dに向けて突出するように、平鋼11に取り付けられている。
【0036】
(弾性体)
図3及び図4に示すように、弾性体14は、弾性の性質を有する硬質の合成樹脂、弾性の性質を有する天然ゴムや合成ゴム等とすることができる。弾性体14は、長手方向に間隔をおいて、複数配置されている。
【0037】
弾性体14は、入隅部13dを形成する各面に、それぞれ、設けられている。すなわち、弾性体14は、入隅部13dを形成する8つの面に、それぞれ、設けられている。これにより、突出材12は、断面十字状の芯材13の入隅部13dを形成する8つの面に、弾性体14を介して当接している。すなわち、突出材12は、断面十字状の芯材13の全ての入隅部13dに、弾性体14を介して当接している。
【0038】
弾性体14によって、芯材13と突出材12との間には、一定のスペースが形成される。弾性体14によって、入隅部13dを形成する8つの面と、突出材12との間には、一定のスペースが形成される。
【0039】
[座屈拘束ブレースの製造方法]
図5は、実施例1の突出材取付工程を説明するための斜視図である。図6は、実施例1の平鋼配置工程を説明するための斜視図である。以下、実施例1の座屈拘束ブレース10の製造方法を説明する。
【0040】
(突出材取付工程)
図5に示すように、突出材取付工程では、突出材12を、4つの平鋼11のそれぞれに、平鋼11の側面から突出するように溶接によって取り付ける。断面L字状の両方の端部を平鋼11に溶接することで、突出材12は、平鋼11の厚さ方向に突出する。
【0041】
(平鋼配置工程)
図6に示すように、平鋼配置工程では、突出材12が取り付けられた平鋼11を、断面十字状の芯材本体13aの長手方向の周囲をとり囲むように配置する。この際、突出材12を、断面十字状の芯材13の全ての入隅部13dに、弾性体14を介して当接し、芯材13と突出材12との間のスペースを一定にする。弾性体14は、予め芯材13に接着しておくことができる。
【0042】
なお、弾性体14は、両面に接着剤を塗布し、芯材13及び突出材12に接着してもよい。これにより、外殻部11Aに対して芯材13の位置を保持することができる。また、平鋼11の端部と芯材13とに溶接によって取り付けられる連結部材(例えば、エンドプレート)を設けることで、外殻部11Aに対して芯材13の位置を保持することもできる。
【0043】
このように、突出材取付工程と平鋼配置工程を経ることで、座屈拘束ブレース10が製造される。
【0044】
[座屈拘束ブレースの作用]
次に、実施例1の座屈拘束ブレース10の作用を説明する。実施例1の座屈拘束ブレース10は、架構材(梁3)に取り付けられる。この座屈拘束ブレース10は、架構材(梁3)に両端部が固定される、断面十字状の芯材13と、芯材13の長手方向の周囲をとり囲む外殻部11Aと、外殻部11Aの内面に内側に突出して取り付けられる突出材12と、芯材13と突出材12との間に配置される弾性体14と、を備え、突出材12は、断面十字状の芯材13の全ての入隅部13dに、弾性体14を介して当接し、弾性体14によって、芯材13と突出材12との間には、一定のスペースが形成されている(図3)。
【0045】
これにより、断面十字状の芯材13の入隅部13dを形成する全ての面と突出材12との間のスペースを、図7(a)に示すように、一定にすることができる。そのため、図7(b)に示すように、芯材13の軸方向に圧縮力が作用して、芯材13が面外方向に変形する際に、簡易な構成で、芯材13の面外方向への変形を各方向から拘束することができる。
【0046】
また、外殻部11Aの内側を埋めるように、芯材13と突出材12を配置することができる。そのため、座屈拘束ブレース10の断面二次モーメントを大きくすることができる。その結果、座屈に対する座屈拘束ブレース10の耐力を向上させることができる。
【0047】
また、突出材12が外殻部11Aの内面に取り付けられることで、外殻部11Aを補強することができる。そのため、突出材12によって補強された外殻部11Aによって、芯材13の面外方向への変形を阻止することができる。その結果、座屈に対する耐力を向上させることができる。
【0048】
実施例1の座屈拘束ブレース10において、外殻部11Aは、断面矩形に形成されている(図3)。
【0049】
これにより、座屈拘束ブレース10を平らな場所に置いた際に、転がらないようにすることができる。そのため、座屈拘束ブレース10を搬送する際に、座屈拘束ブレース10の荷姿が崩れないようにすることができる。
【0050】
実施例1の座屈拘束ブレース10において、外殻部11Aは、断面正方形に形成され、芯材13は、縦横同じ長さの断面十字状に形成され、断面十字状の芯材13の先端部は、断面正方形の外殻部11Aの角部に向けて配置されている(図3)。
【0051】
これにより、断面正方形の外殻部11Aの内側に配置される芯材13の断面積をより大きくすることができる。そのため、芯材13の断面二次モーメントを上げることができる。その結果、芯材13の座屈に対する耐力を向上させることができる。
【0052】
実施例1の座屈拘束ブレース10において、突出材12は、断面L字状に形成されている(図3)。
【0053】
これにより、突出材12を平鋼や山形鋼などの汎用部材で形成することができる。そのため、座屈拘束ブレース10のコストを削減することができる。
【0054】
実施例1の座屈拘束ブレース10において、弾性体14は、芯材13の長手方向に、間隔をおいて複数配置されている(図4)。
【0055】
これにより、簡易な構成で、芯材13と突出材12との間のスペースを一定とすることができる。
【0056】
実施例1の座屈拘束ブレース10の製造方法は、4つの平鋼11のそれぞれに、平鋼11の側面から突出するように突出材12を取り付ける突出材取付工程と、突出材12が取り付けられた平鋼11を、断面十字状の芯材13の長手方向の周囲をとり囲むように配置するとともに、突出材12を、断面十字状の芯材13の全ての入隅部13dに、弾性体14を介して当接し、芯材13と突出材12との間のスペースを一定にする平鋼配置工程と、を含む(図5及び図6)。
【0057】
これにより、断面十字状の芯材13の入隅部13dを形成する全ての面と突出材12との間のスペースを、図7(a)に示すように、一定にすることができる。そのため、図7(b)に示すように、芯材13の軸方向に圧縮力が作用して、芯材13が面外方向に変形する際に、簡易な方法で、芯材13の面外方向への変形を各方向から拘束することができる座屈拘束ブレース10を製造することができる。
【0058】
以上、本発明の座屈拘束ブレースを実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、各実施例の組み合わせ等は許容される。
【0059】
実施例1では、外殻部11Aを形成する4枚の平鋼11は、同じ形状に形成されている例を示した。しかし、外殻部を形成する4枚の平鋼は、異なる幅で形成されてもよい。例えば、図8に示すように、底部に配置される平鋼11の幅を最も長くし、側部に配置される平鋼11の幅を底部に配置される平鋼11の幅より短くし、上部に配置される平鋼11の幅を側部に配置される平鋼11の幅より短くして、断面矩形状の外殻部11Bを形成してもよい。
【0060】
実施例1では、弾性体14を芯材13に接着する例を示した。しかし、弾性体は、突出材12に接着されてもよいし、芯材13及び突出材12に接続されてもよい。
【0061】
実施例1では、外殻部11Aは、断面正方形に形成される例を示した。しかし、外殻部は、この態様に限定されず、断面矩形や断面円形に形成されてもよい。
【0062】
実施例1では、ガセットプレート4を梁3に設ける例を示した。しかし、ガセットプレートは、柱2に設けることもできる。
【0063】
実施例1では、突出材12は、平鋼を曲げ加工して、断面L字状に形成された物を使用する例を示した。しかし、突出材は、この態様に限定されず、例えば、断面L字状のアングル材を使用することもできる。
【0064】
実施例1では、本発明の座屈拘束ブレースを、側面から見てV字状に2本配置されたものに適用する例を示した。しかし、本発明の座屈拘束ブレースは、この態様に限定されず、例えば、側面から見て逆V字状に2本配置されるものや、X字状やK字状に配置されるものや、1本配置されるものにも適用することができる。
【0065】
実施例1では、本発明の座屈拘束ブレースを、鉄骨造の建物1に適用する例を示した。しかし、本発明の座屈拘束ブレースは、鉄骨鉄筋コンクリート造や、鉄筋コンクリート造や、木造の建物に適用することもできる。また、本発明の座屈拘束ブレースは、橋梁等の土木構造物に適用することもできる。
【符号の説明】
【0066】
3 梁(架構材の一例)
10 座屈拘束ブレース
11 平鋼
11A 外殻部
12 突出材
13 芯材
13d 入隅部
14 弾性体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8