(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098283
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】流体圧直動アクチュエータ、複合アクチュエータ、および複合アクチュエータの制御方法。
(51)【国際特許分類】
F15B 15/20 20060101AFI20220624BHJP
F15B 15/14 20060101ALI20220624BHJP
F15B 20/00 20060101ALI20220624BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20220624BHJP
F15B 11/028 20060101ALI20220624BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F15B15/20
F15B15/14 355Z
F15B20/00 E
F15B11/16 Z
F15B11/028 Z
G01L5/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211732
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】394007849
【氏名又は名称】株式会社堀内機械
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】真下 和昌
(72)【発明者】
【氏名】前田 宗万
(72)【発明者】
【氏名】細井 耕平
(72)【発明者】
【氏名】戸波 照喜
(72)【発明者】
【氏名】荘司 直毅
(72)【発明者】
【氏名】津田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】大熊 基巳一
【テーマコード(参考)】
2F051
3H081
3H082
3H089
【Fターム(参考)】
2F051AB09
3H081AA03
3H081CC04
3H081CC29
3H081DD24
3H081GG03
3H081GG12
3H081GG28
3H082AA01
3H082DA06
3H082DA18
3H082DA23
3H082DA41
3H082DB28
3H082DB33
3H082DE04
3H089AA02
3H089BB28
3H089CC01
3H089CC12
3H089FF02
3H089FF12
(57)【要約】
【課題】ピストンロッドにかかる横荷重を検知することによって、シリンダの据付の作業効率を改善するとともに、作動中における軸受の摩耗などの状態監視をすることのできる流体圧直動アクチュエータを提供する。
【解決手段】流体圧直動アクチュエータ200の軸受部55のロッドブッシュ40とリテーナ50との間に力覚センサ80を円周方向に複数個内蔵し、力覚センサ80で検出された力に基づいて、軸受部55にかかる横荷重の大きさと方向とを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受部に力覚センサを円周方向に複数個内蔵し、前記軸受部にかかる横荷重の大きさと方向とを出力する、流体圧直動アクチュエータ。
【請求項2】
前記軸受部は筒状のロッドブッシュと、前記ロッドブッシュの外周を覆うリテーナまたは取付フランジとで構成され、
前記力覚センサはひずみゲージであって、前記ロッドブッシュと、前記リテーナまたは取付フランジとの間に配設される、請求項1に記載の流体圧直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記力覚センサは3個、または4個であって、前記軸受部の前記円周方向に等間隔に配置され、
前記軸受部にかかる前記横荷重の大きさと方向とは、複数個の前記力覚センサのうちの2個の前記力覚センサで検出された力に基づいて計算される、請求項1または2に記載の流体圧直動アクチュエータ。
【請求項4】
さらに、表示装置を備え、
前記表示装置は、対象となるピストンロッドおよび前記力覚センサの諸元を入力することで、前記横荷重の荷重値および方向を表示、および/または、外部に出力する、請求項3に記載の流体圧直動アクチュエータ。
【請求項5】
前記表示装置は前記横荷重の荷重値を常時監視し、適正範囲外の荷重値を検出した場合に警報信号を出力、および/または、流体圧直動アクチュエータの駆動装置に停止信号を出力する、請求項4に記載の流体圧直動アクチュエータ。
【請求項6】
前記表示装置は前記横荷重の方向を常時監視し、適正範囲外の方向の前記横荷重を検出した場合に警報信号を出力する、請求項4または5に記載の流体圧直動アクチュエータ。
【請求項7】
互いに平行に配置され、連携して1つの被加圧物を押し引きする、複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータのそれぞれを駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御装置と、を備え、
前記複数のアクチュエータは、請求項1から3のいずれか1項に記載の流体圧直動アクチュエータを含み、前記流体圧直動アクチュエータが前記横荷重の大きさと方向とを前記制御装置に出力し、
前記制御装置は前記流体圧直動アクチュエータの前記横荷重の大きさが小さくなるように前記駆動装置を制御する、複合アクチュエータ。
【請求項8】
互いに平行に配置され、連携して1つの被加圧物を押し引きする、複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータのそれぞれを駆動する駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置とを備える複合アクチュエータの制御方法であって、
前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つが流体圧直動アクチュエータであり、前記流体圧直動アクチュエータが横荷重の大きさと方向を検出し、前記制御装置に入力するステップと、
前記制御装置が、前記横荷重の大きさが小さくなるように、前記複数のアクチュエータのそれぞれに対する前記駆動装置の駆動力を制御するステップと、を含む、複合アクチュエータの制御方法。
【請求項9】
前記複数のアクチュエータのそれぞれに対する前記駆動装置の駆動力を制御するステップは、
1つの被加圧物を連携して押す場合、前記横荷重が検出された方向に配置された前記アクチュエータの押す方向の駆動力を増加させ、
1つの被加圧物を連携して引く場合、前記横荷重が検出された方向に配置された前記アクチュエータの引く方向の駆動力を減少させるように制御する、請求項8に記載の複合アクチュエータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は横荷重を検出可能な流体圧直動アクチュエータ、複合アクチュエータ、および複合アクチュエータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直動アクチュエータに対する横荷重に関連して以下のような発明が開示されている。
【0003】
特許文献1(特開2019-116927号公報)には、空圧シリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダ、などの直動アクチュエータの損耗検出方法およびシステムが開示されている。
【0004】
特許文献1では、ロッドに接続された押引部材が直動方向とは異なる横荷重を与えながら被加圧物を押引する直動アクチュエータに物理量検出センサを取付け、被加圧物を押引する際に取り付け部材とチューブとの間に生じる外力を物理量検出センサにおいて検出し、演算記憶判定処理装置において記憶されている異常がない状態において検出された標準外力データと比較演算して正常状態であるか異常状態であるか演算判定している。
【0005】
特許文献2(特開平05-332323号公報)には、ピストンロッドの直進性がよい複合アクチュエータが開示されている。
【0006】
特許文献2では、直動アクチュエータのピストンロッドの先端に、該ロッドと一体往復動および一体回転可能にテーブルを取付け、テーブルに、これと一体往復動および相対回転可能に軸受ハウジングを取付ける。この軸受ハウジングに、ピストンロッドと平行で直動アクチュエータのロッドカバーおよび揺動アクチュエータのボディに設けたガイド孔で案内されるガイドロッドを設けることにより、ピストンロッドの往復動をこれと平行なガイドロッドによって案内させ、その直進性を向上させている。
【0007】
また、平行に配置され、1つの被加圧物を押し引きする複数の直動アクチュエータからなる構成については、以下の特許文献3(特開2005-189075号公報)、特許文献4(特開平5-11156号公報)が開示されている。
【0008】
特許文献3には、同一平面上で支持台と相対的に自由運動するテーブルと、テーブルと対向してテーブルを支持する支持台と、同一平面上でテーブルを支持台と相対的に自由運動させる複数のテーブル運動手段と、を備え、複数のテーブル運動手段のそれぞれは、支持台上面に装着され、テーブル運動手段の一端側を回動可能に支持する第1の回動支持部材と、テーブル下面に装着され、テーブル運動手段の他端側を回動可能に支持する第2の回動支持部材と、第1の回動支持部材と第2の回動支持部材との間にあってテーブルを駆動する駆動手段と、を備えたことを特徴とするテーブルの自由運動機構が記載されている。
【0009】
また、特許文献4には、同一平面上で支持台と相対的に自由運動するテーブルと、テーブルと対向してテーブルを支持する支持台と、同一平面上でテーブルを支持台と相対的に自由運動させる複数のテーブル運動手段と、を備え、複数のテーブル運動手段のそれぞれは、支持台上面に装着され、テーブル運動手段の一端側を回動可能に支持する第1の回動支持部材と、テーブル下面に装着され、テーブル運動手段の他端側を回動可能に支持する第2の回動支持部材と、第1の回動支持部材と第2の回動支持部材との間にあってテーブルを駆動する駆動手段と、を備えたことを特徴とするテーブルの自由運動機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-116927号公報
【特許文献2】特開平05-332323号公報
【特許文献3】特開2005-189075号公報
【特許文献4】特開平5-11156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
直動アクチュエータでは、シリンダチューブに収納されたピストンロッドを、筒状のロッドブッシュとロッドブッシュの外周を覆うリテーナとで構成された軸受部で支えている。そして、リテーナはタイロッドおよび六角ナットでシリンダチューブに固定されている。この場合、ロッドブッシュは、ピストンロッドに平行に固定されなければならない。ロッドブッシュがピストンロッドと平行でない場合、ロッドパッキンの円周方向の一部に負荷がかかり、ロッドパッキンの摩耗などの劣化が進むためである。直動アクチュエータの据付作業においては、このために、ピストンロッドと軸受部との芯出し(シャフトアライメント)を行う。しかし、シリンダの据付作業において、ロッドブッシュとピストンロッドとの平行度を高精度に調整することは困難であり、作業効率が悪かった。
また、ロッドブッシュとピストンロッドの平行度が高精度に調整された場合でも、ピストンロッドの先端にピストンロッドの軸方向に垂直な方向の荷重が印加された場合には、軸受部のロッドパッキンの円周方向の一部に負荷がかかり、ロッドパッキンの摩耗などの劣化が進む。
これらの直動アクチュエータの軸受部のロッドパッキンの摩耗等による劣化を防ぐためには、ピストンロッドにかかる横荷重の検知が必要である。
【0012】
また、複数の直動アクチュエータを平行に配置し、連携して1つの被加圧物を押し引きする複合アクチュエータでは、複数の直動アクチュエータのそれぞれが被加圧物を押し引きする力のバランスが崩れると、やはり、ピストンロッドに横荷重がかかり、軸受の摩耗、劣化が起きる。
【0013】
特許文献1に記載の直動アクチュエータの損耗検出方法およびシステムでは、横荷重を与えながら作動する直動アクチュエータにおいて、ピストンロッドにかかる軸方向の力を検知し、軸方向の力の正常状態からの変化を検知することで、間接的に横荷重を検知し、直動アクチュエータの損耗を検出している。
この場合、シリンダの据付作業の効率改善に用いることができないだけでなく、直動アクチュエータの損耗検出においても、特定の「ロッドに接続された押引部材が直動方向とは異なる横荷重を与えながら被加圧物を押引する直動アクチュエータ」にのみ使用可能であり、幅広い用途において横荷重を検知することはできない。
【0014】
特許文献2に記載のガイドロッド付き複合アクチュエータは、ピストンロッドの横荷重を検知するのではなく、ピストンロッドと平行で、直動アクチュエータのロッドカバーの
ガイド孔に案内されるガイドロッドを設けることにより、ピストンロッドの横荷重を減少させるという発明である。
この場合も、シリンダの据付作業の効率改善に用いることができないだけでなく、ガイドロッドの無い通常の直動アクチュエータに適用することはできない。
【0015】
特許文献3に記載のテーブルの自由運動機構では、2台のテーブル運動機構が略平行に配置され、連携してテーブルを駆動している。特許文献3に記載の2台のテーブル運動機構は、専用コントローラの内蔵クロックによりモータに指令値を与えて変位量を制御しており、2台のテーブル運動機構の変位量を正確に制御することができる。これに対して、液圧アクチュエータの場合は変位量の制御が難しいため、そのままでは、特許文献3に記載のテーブルの自由運動機構に用いることはできない。
【0016】
特許文献4に記載のステージ装置では、2本の平行な直動アクチュエータとしてのピエゾアクチュエータとこれにプリロードを与えるカウンタバネとが配設され、連携してYステージを動かしている。一般のピエゾ素子では、同一電圧ないしは、同一電荷を与えても、負荷によってその変位は異なってくることは良く知られているが、特許文献4に記載のピエゾアクチュエータは、自己内にフィードバック素子(例えば歪計)を有し、変位量が自己完結型のものが用いられている。すなわち特許文献4の場合も、ピエゾアクチュエータとして、変位量を正確に制御することができる。これに対して、液圧アクチュエータの場合は変位量の制御が難しいため、そのままでは、特許文献4に記載のテーブルのステージ装置に用いることはできない。
【0017】
本発明の主な目的は、流体圧直動アクチュエータの軸受にセンサを内蔵し、ピストンロッドにかかる横荷重を検知することによって、シリンダの据付の作業効率を改善するとともに、作動中における軸受の摩耗などの状態を監視し、漏洩等の不具合発生を事前に防止することのできる流体圧直動アクチュエータを提供することにある。
本発明の第2の目的は、複数の流体圧直動アクチュエータが互いに平行に配置され、連携して1つの被加圧物を押し引きする、複合アクチュエータにおいて、各流体圧直動アクチュエータの横荷重が小さくなるように各アクチュエータの作動量を制御することのできる複合アクチュエータ、および、複合アクチュエータの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)
一局面に従う流体圧直動アクチュエータは、軸受部に力覚センサを円周方向に複数個内蔵し、軸受部にかかる横荷重の大きさと方向とを出力する。
【0019】
ピストンロッドは、シリンダ内でピストンに固定されるとともに軸受部で摺動可能に固定されている。ピストンロッドに横荷重が印加された場合、ピストンロッドが軸受部を横荷重の印加された方向に押す。したがって、軸受部に円周方向に複数個力覚センサを内蔵すれば、どの力覚センサがどのくらいの力を受けたかを調べることによって、軸受け部にかかる横荷重の大きさと方向とを検知することができる。
これにより、ピストンロッドに横向きにかかる荷重と方向が数値でわかるため、これまで作業者の経験に頼っていたシリンダの据付作業が、効率的かつ確実に行うことができる。さらに、ピストンの長期にわたる使用によって軸が傾くと軸受部に荷重がかかり摩耗が進みピストン内部の流体が漏洩するという不具合が生じていたが、軸受部に荷重がかかった段階で異常を発見することができるため、不具合の発生を事前に防止することができる。
【0020】
(2)
第2の発明にかかる流体圧直動アクチュエータは、一局面に従う流体圧直動アクチュエータにおいて、軸受部は筒状のロッドブッシュと、ロッドブッシュの外周を覆うリテーナまたは取付フランジとで構成され、力覚センサはひずみゲージであって、ロッドブッシュと、リテーナまたは取付フランジとの間に配設されてもよい。
流体圧直動アクチュエータには、リテーナの外側にリテーナを固定する取付金具が配置されたものと、リテーナと取付金具とが一体化した取付フランジが直接ロッドブッシュの外周を覆っているものとがある。取付フランジが直接ロッドブッシュの外周を覆っている直動アクチュエータの場合は、力覚センサは、ロッドブッシュと取付フランジとの間に配設される。
【0021】
軸受部において、ピストンロッドは筒状のロッドブッシュに摺動可能に固定され、ロッドブッシュの外周をリテーナが覆っている。ピストンロッドからロッドブッシュに印加された横荷重はロッドブッシュからリテーナに伝わるため、ロッドブッシュとリテーナとの間にひずみゲージを配設することにより、横荷重が印加される方向に配設されたひずみゲージで、軸受け部にかかる横荷重の大きさを検知することができる。
【0022】
(3)
第3の発明にかかる流体圧直動アクチュエータは、一局面から第2の発明にかかる流体圧直動アクチュエータにおいて、力覚センサは3個、または4個であって、軸受部の円周方向に等間隔に配置され、軸受け部にかかる横荷重の大きさと方向とは、複数個の力覚センサのうちの2個の力覚センサで検出された力に基づいて計算されてもよい。
【0023】
力覚センサが3個の場合はそれぞれ隣接する2個の力覚センサとロッドブッシュの軸心とのなす角度を120度に設定し、力覚センサが4個の場合はそれぞれ隣接する2個の力覚センサとロッドブッシュの軸心とのなす角度を90度に設定することが望ましい。どちらの場合も横荷重は2個の力覚センサに検知される。横荷重の大きさと方向は、それぞれの力覚センサに検知された力の大きさから計算することができる。
【0024】
(4)
第4の発明にかかる流体圧直動アクチュエータは、第3の発明にかかる流体圧直動アクチュエータにおいて、さらに、表示装置を備え、表示装置は、対象となるピストンロッドおよび力覚センサの諸元を入力することで、横荷重の荷重値および方向を表示、および/または、外部に出力してもよい。
【0025】
この場合、2個の力覚センサの出力をセンサの感度を参照して荷重値に変換し、これらの荷重値をもとに横荷重の荷重値および方向を計算して表示、および/または、外部に出力してもよい。また、ピストンロッドの先端からピストンまでの距離と軸受部からピストンまでの距離との比を用いて、ピストンロッドの先端に横荷重がかかっているとした場合の荷重値を表示、および/または、外部に出力してもよい。
【0026】
(5)
第5の発明にかかる流体圧直動アクチュエータは、第4の発明にかかる流体圧直動アクチュエータにおいて、表示装置は横荷重の荷重値を常時監視し、適正範囲外の荷重値を検出した場合に警報信号を出力、および/または、流体圧直動アクチュエータの駆動装置に停止信号を出力してもよい。
【0027】
適正範囲外の横荷重が印加された場合、警報信号により操作者に知らせるとともに、流体圧直動アクチュエータの駆動装置に停止信号を出力することによって流体圧直動アクチュエータの作動を停止することができる。
【0028】
(6)
第6の発明にかかる流体圧直動アクチュエータは、第4から第5の発明にかかる流体圧直動アクチュエータにおいて、表示装置は横荷重の方向を常時監視し、適正範囲外の方向の横荷重を検出した場合に警報信号を出力してもよい。
【0029】
ピストンロッドに横荷重が常時印加される用途においても、適正範囲外の方向の横荷重が印加された場合には、警報信号により操作者に知らせることができる。
【0030】
(7)
他の局面に従う複合アクチュエータは、互いに平行に配置され、連携して1つの被加圧物を押し引きする、複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータのそれぞれを駆動する駆動装置と、駆動装置を制御する制御装置と、を備え、複数のアクチュエータは、一局面から第3の発明にかかる流体圧直動アクチュエータを含み、流体圧直動アクチュエータが横荷重の大きさと方向とを制御装置に出力し、制御装置は流体圧直動アクチュエータの横荷重の大きさが小さくなるように駆動装置を制御する。
すなわち、複数の流体圧直動アクチュエータのうちの少なくとも1つは一局面から第3の発明にかかる流体圧直動アクチュエータであって、横荷重の大きさと方向とを制御装置に出力し、制御装置は複数の流体圧直動アクチュエータの横荷重の大きさが小さくなるように駆動装置を制御する。
【0031】
複数の流体圧直動アクチュエータを用いて1つの被加圧物を加圧する複合アクチュエータにおいては、それぞれの流体圧直動アクチュエータの作動量が完全に一致しているか否かを確認するのは困難であり、実際には作動量がアクチュエータ毎に異なる場合がある。このように複合アクチュエータは、各アクチュエータで作動量が異なると、装置内部で歪が生じるため、金属疲労による部品の破断など、故障の原因となっていた。
この場合、各ピストンロッドには横荷重が発生する。例えば、平行で左右対称に配置された2つの流体圧直動アクチュエータで1つの被加圧物を押す場合、右側の流体圧直動アクチュエータの作動量が大きいと、ピストンロッドに左方向の横荷重が印加される。複数の流体圧直動アクチュエータのうちの少なくとも1つを一局面から第3の発明にかかる流体圧直動アクチュエータとすれば、この左方向の横荷重を検出することができることから、左方向の横荷重が小さくなるよう左右のアクチュエータの駆動力を制御することができる。
これにより、各アクチュエータの作動量を均一にすることができるため、各アクチュエータの力を確実に効率よく被加圧物に伝えることができるとともに、複合アクチュエータの故障を防止することができる。
なお、複数の流体圧直動アクチュエータを駆動する駆動装置としては、各アクチュエータにそれぞれ駆動装置(ポンプ)を接続してもよいし、各アクチュエータと1つのポンプとの間にそれぞれ切換弁またはサーボ弁を挿入した構成としてもよい。
【0032】
(8)
さらに他の局面に従う複合アクチュエータの制御方法は、互いに平行に配置され、連携して1つの被加圧物を押し引きする、複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータのそれぞれを駆動する駆動装置と、駆動装置を制御する制御装置とを備える複合アクチュエータの制御方法であって、複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つが流体圧直動アクチュエータであり、流体圧直動アクチュエータが横荷重の大きさと方向を検出し、制御装置に入力するステップ(入力ステップ)と、制御装置が、横荷重の大きさが小さくなるように、複数のアクチュエータのそれぞれに対する駆動装置の駆動力を制御するステップ(制御ステップ)と、を含む。
【0033】
複数の互いに平行に配置された流体圧直動アクチュエータで連携して1つの被加圧物を押し引きする場合、複数の流体圧直動アクチュエータの変位量が異なると、ピストンロッドに横荷重が発生する。この場合、流体圧直動アクチュエータの横荷重を検出し、横荷重が小さくなるように、複数の駆動装置のそれぞれの駆動力を制御することにより、横荷重を小さくすることができる。
【0034】
(9)
第9の発明にかかる流体圧直動アクチュエータの制御方法は、さらに他の局面に従う複合アクチュエータの制御方法において、複数のアクチュエータのそれぞれに対する駆動装置の駆動力を制御するステップ(制御ステップ)は、1つの被加圧物を連携して押す場合、横荷重が検出された方向に配置されたアクチュエータの押す方向の駆動力を増加させ、1つの被加圧物を連携して引く場合、横荷重が検出された方向に配置されたアクチュエータの引く方向の駆動力を減少させるように制御してもよい。
すなわち、1つの被加圧物を連携して押す場合、一方の端部に配置され、内側方向の横荷重が大きい流体圧直動アクチュエータの駆動力を減少させ、他方の端部に配置され、外側方向の横荷重が大きい流体圧直動アクチュエータの駆動力を増加させるように制御してもよい。
【0035】
複数の互いに平行に配置された流体圧直動アクチュエータで連携して1つの被加圧物を押す場合、一方の端部の変位が大きいとその端部の流体圧直動アクチュエータには内側方向の横荷重が印加され、他方の端部の流体圧直動アクチュエータには外側方向の横荷重が印加される。したがって、一方の端部の流体圧直動アクチュエータと他方の端部の流体圧直動アクチュエータとの横荷重の方向と大きさとを検知し、内側方向の横荷重が大きい流体圧直動アクチュエータの駆動力を減少させ、外側方向の横荷重が大きい流体圧直動アクチュエータの駆動力を増加させることにより、横荷重の小さい状態で1つの被加圧物を押すことができる。
なお、複数の互いに平行に配置された流体圧直動アクチュエータで連携して1つの被加圧物を引く場合には、内側方向の横荷重が大きい直動アクチュエータの駆動力を増加させ、外側方向の横荷重が大きい直動アクチュエータの駆動力を減少させる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】第1の実施形態の流体圧直動アクチュエータ本体の構造を示す模式的断面図である。
【
図2】
図1の流体圧直動アクチュエータ本体のA-A’面の模式的断面図である。
【
図3】力覚センサの構成の一例を示す模式的斜視図である。
【
図4】
図4(a)は横荷重がない場合のひずみゲージとロッドブッシュとリテーナの関係、
図4(b)は下方向に横荷重がかかった場合の関係、
図4(c)は上方向に横荷重がかかった場合の関係を示す模式図である。
【
図5】力覚センサ4個の場合の横荷重と各力覚センサに印加される荷重との関係を示す模式的説明図である。
【
図6】力覚センサ3個の場合の横荷重と各力覚センサに印加される荷重との関係を示す模式的説明図である。
【
図7】流体圧直動アクチュエータの全体構成を示す模式的ブロック図である。
【
図8】第2の実施形態の複合アクチュエータの構成を示す模式的ブロック図である。
【
図9】第2の実施形態の複合アクチュエータの他の構成を示す模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0038】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態の流体圧直動アクチュエータ本体100の構造を示す模式的断面図、
図2は
図1の流体圧直動アクチュエータ本体100のA-A’面の模式的断面図、
図3は力覚センサ80の構成の一例を示す模式的斜視図、
図4(a)は横荷重がない場合のひずみゲージ85とロッドブッシュ40とリテーナ50との関係、
図4(b)は下方向に横荷重がかかった場合の関係、
図4(c)は上方向に横荷重がかかった場合の関係を示す模式図である。
また、
図5は力覚センサ80が4個の場合の横荷重と各力覚センサ80に印加される荷重との関係を示す模式的説明図、
図6は力覚センサ80が3個の場合の横荷重と各力覚センサ80に印加される荷重との関係を示す模式的説明図、
図7は流体圧直動アクチュエータ200の全体構成を示す模式的ブロック図である。
【0039】
流体圧直動アクチュエータ本体100は、
図1の断面図に示す通り、ピストンロッド10、ピストン20、シリンダチューブ30、ロッドブッシュ40、リテーナ50、ダストパッキン60、ロッドパッキン70、ヘッドカバー90などから構成されている。ロッドブッシュ40とリテーナ50とはピストンロッド10の軸受部55を構成する。
本発明の流体圧直動アクチュエータ本体100には、軸受部55に印加される横荷重を検知するために力覚センサ80が軸受部55のロッドブッシュ40とリテーナ50との間に配置されている。ロッドブッシュ40の外周部には力覚センサ80を挿入するための凹部が形成されており、力覚センサ80は、ロッドブッシュ40の外周部に形成された凹部に、円周方向等間隔に3個、または4個配置されている。
図2は力覚センサ80が4個の場合である。
図2において、例えばピストンロッド10に下方向の横荷重が印加された場合、Cの力覚センサ80に荷重が印加され、ピストンロッド10に右下方向の横荷重が印加された場合は、CおよびDの力覚センサ80に荷重が印加される。
なお、流体圧直動アクチュエータ本体100には、リテーナ50の外側にリテーナ50を固定する取付金具が配置されたものと、リテーナ50と取付金具とが一体化した取付フランジが直接ロッドブッシュ40の外周を覆っているものとがある。取付フランジが直接ロッドブッシュ40の外周を覆っているアクチュエータの場合は、力覚センサ80は、ロッドブッシュ40と取付フランジとの間に配設される。
【0040】
(力覚センサ80の構造と動作)
力覚センサ80としてはひずみゲージ85を弾性体82に貼り付けたものを用いることができる。
図3に力覚センサ80の構成の一例を示した。力覚センサ80はひずみゲージ85をひずみゲージ85の長手方向(ひずみに対する抵抗変化の大きい方向)が横荷重の印加される方向と平行になるように、弾性体82に貼り付けることが望ましい。
なお、弾性体82としては、弾性変形領域のある鉄鋼材料を用いることが望ましい。
また、弾性体82を使用せず、ロッドブッシュ40に凹部を設け、ロッドブッシュ40の凹部にひずみゲージ85を直接貼り付けてもよい。
【0041】
図4(a)は、ピストンロッド10からロッドブッシュ40に横荷重が印加されない場合のロッドブッシュ40、力覚センサ80、リテーナ50の状態を示す。また、
図4(b)および(c)はピストンロッド10からロッドブッシュ40に力Fが印加された場合の状態を示す。
図4(b)のように下向きの力Fが印加された場合には、ロッドブッシュ40とリテーナ50との間の隙間が小さくなり、その分、力覚センサ80は上下方向に圧縮される。一方、
図4(c)のように上向きの力Fが印加された場合はロッドブッシュ40とリテーナ50との間の隙間が大きくなるが、力覚センサ80とリテーナ50との間にも隙間ができ、力覚センサ80の形状は変化しない。したがって、
図4の力覚センサ80は下方向に力Fが印加された場合にのみ出力(ひずみゲージ85の抵抗値)が変化する。
【0042】
(複数の力覚センサによる横荷重の大きさと方向の検知方法)
図5には、力覚センサ80が4個の場合の横荷重と各力覚センサ80に印加される荷重との関係を、
図6には、力覚センサ80が3個の場合の横荷重と各力覚センサ80に印加される荷重との関係を示した。
図5は、力Fが、4個の力覚センサ80のうちのCとDの間であってCとの角度がθの方向に印加された場合の、Cの力覚センサ80にかかる力F1とDの力覚センサ80にかかる力F2を示している。
図5より、F1=Fcos(θ)、F2=Fsin(θ)である。
したがって、力Fは、
【0043】
(式1)
で表される。また、力FとC方向とのなす角度θは、
【0044】
【0045】
図6は、力Fが、3個の力覚センサ80のうちのBとCの間であってCとの角度がθの方向に印加された場合の、Cの力覚センサ80にかかる力F1とDの力覚センサ80にかかる力F2とを示している。
この場合、平行四辺形の面積Sは、
S=F1×F2×sin(120°)
S=F×F1×sin(θ)
S=F×F2×sin(120°-θ)
で表すことができるので、これらを組み合わせることにより、力FとC方向とのなす角度θは、
【0046】
(式3)
で表される。また、力Fの大きさは、上記θを用いて、
【0047】
【0048】
(流体圧直動アクチュエータ200の全体構成)
図7には流体圧直動アクチュエータ本体100と表示装置130とからなる流体圧直動アクチュエータ200の構成を示す。表示装置130は、制御回路110および表示器120で構成されており、力覚センサ80のA、B、C、およびD(力覚センサ80が3個の場合は、A、B、およびC)の出力は表示装置130に入力され、制御回路110で横荷重の大きさFおよび角度θが計算される。計算された横荷重の大きさFおよび角度θは表示器120に表示されるとともに外部の遠隔監視装置140に出力される。遠隔監視装置140としては、例えば、パーソナルコンピュータ、またはスマートフォンなどを使用することができる。また、流体圧直動アクチュエータ200は駆動装置210で駆動されている。
【0049】
(芯出し(シャフトアライメント)方法)
従来、流体圧直動アクチュエータ200は、ピストンロッド10と軸受部55とを芯出し(シャフトアライメント)するために、以下のような方法で据付されていた。
手順1:ピストンロッド10をシリンダチューブ30に引き込んだ状態で装置に仮止めする。
手順2:芯出しができているか確認する。
この芯出しができているかを確認する方法としては、例えば、以下の方法が用いられる。
a)流体圧直動アクチュエータ200を動作させ、ピストンロッド10の動作中にビビリ(スティックスリップ:摩擦面間に生ずる微視的な摩擦面の付着、滑りの繰り返しによって引き起こされる自励振動のこと)がないことを確認する。
b)流体圧直動アクチュエータ200の取付方向が鉛直下向きの場合、流体圧直動アクチュエータ本体100にタコ糸を垂らせて、シリンダチューブ30およびシリンダチューブ30から引き出されたピストンロッド10がともに鉛直方向であることを確認する。
c)ピストンロッド10にダイヤルゲージを当てて、流体圧直動アクチュエータ本体100を動作させ、ダイヤルゲージのダイヤルの振れがないことを確認する。
手順3:芯ずれがある場合は芯ずれをなくすように調整する。
この芯ずれを調整する方法としては、例えば、以下の方法が用いられる。
d)直動アクチュエータを固定している装置と軸受部55との間にシム(間隔調整用の薄板)をはさむ。
e)装置側にアジャスタボルト等の調整機構がある場合は、調整機構により装置側取付プレートの傾きを調整する。
【0050】
第1の実施形態の流体圧直動アクチュエータ200では、上記手順2および3をより簡単にかつ高精度に行うことができる。具体的には、ピストンロッド10をシリンダチューブ30から引き出した状態で横荷重(力覚センサ80の出力)の大きさと方向を検出する。
そして、横荷重が一定以上検出された場合には、横荷重の検出された方向の軸受部55と装置との間にシムを挿入するか、または調整機構で軸受部55と装置との間の距離を大きくする。
その後、再度横荷重を検出し、必要であればさらに調整を続ける。
この方法では、横荷重の大きさと方向が目で見てわかるため、横荷重の検出結果を見ながら調整することができる。
【0051】
流体圧直動アクチュエータ本体100のピストンロッド10は、周囲の構造物との接触等により、想定外の大きな横荷重を受けたり、想定外の方向から横荷重を受けたりすることがある。また、通常の作業中においても、軸受の摩耗等により、軸受部55に大きな横荷重が印加されることもある。
これらの想定外の横荷重を受けた場合に迅速に対応するために、本実施形態の流体圧直動アクチュエータ200では、適正範囲外の荷重値を検出した場合、および/または、適正範囲外の方向の横荷重を検出した場合には、表示装置130の表示器120に警戒信号を表示するとともに、音声等により警戒信号を出力する。さらに、流体圧直動アクチュエータ200を駆動する駆動装置210に停止信号を送り、流体圧直動アクチュエータ200の駆動を停止することが望ましい。
また、表示装置130が遠隔監視装置140に接続されている場合は、遠隔監視装置140に警報信号を送信することが望ましい。
なお、表示装置130は、例えば常時横荷重を監視する必要がない場合には、必要な時だけ流体圧直動アクチュエータ本体100に接続してもよい。
【0052】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態の複合アクチュエータ250の構成を示す模式的ブロック図である。
図8の複合アクチュエータ250は、2台の流体圧直動アクチュエータ本体100a,100b、制御装置220、および2台の駆動装置210a、210bで構成されている。駆動装置210a、210bは両方向ポンプおよび両方向モータで構成されている。
なお、第1の実施形態の流体圧直動アクチュエータ本体100は横荷重の大きさと方向とを出力できるため、例えば流体圧直動アクチュエータ本体100aを第1の実施形態の流体圧直動アクチュエータ本体100とし、流体圧直動アクチュエータ本体100bは横荷重の検出機能のないアクチュエータとしてもよい。
図8の複合アクチュエータ250では、流体圧直動アクチュエータ本体100a、100bのピストンロッド10a、10bが1つの被加圧物230に固定され、連携して被加圧物230を押し上げる。この場合、例えば流体圧直動アクチュエータ本体100aの被加圧物230を押し上げる力が流体圧直動アクチュエータ本体100bの力より大きく、ピストンロッド10bをピストンロッド10aよりも上方向に押し上げようとすると、ピストンロッド10a、10bに左向きの横荷重がかかる。そして、左向きの横荷重がかかると、軸受部55のダストパッキン60やロッドパッキン70(
図1参照)にピストンロッド10a、10bの横荷重が印加され、パッキンの摩耗からさらには流体のリークにもつながる可能性がある。また、この場合、複合アクチュエータ250内部で歪が生じるため、金属疲労による部品の破断など、故障の原因になることも考えられる。
このピストンロッド10a、10bへの横荷重の印加を避けるためには、駆動装置210a、210bの駆動力のバランスを調整する必要がある。
【0053】
第2の実施形態の複合アクチュエータ250では、流体圧直動アクチュエータ本体100a(または流体圧直動アクチュエータ本体100aと流体圧直動アクチュエータ本体100b)から横荷重の大きさと方向との情報を制御装置220に入力し、制御装置220が駆動装置210a、210bの駆動力を調整することにより、ピストンロッド10a、10bに横荷重が印加されないように制御している。
具体的には、例えば2台の流体圧直動アクチュエータ本体100a、100bを備える複合アクチュエータ250が被加圧物230を押し上げる場合、左向き(流体圧直動アクチュエータ本体100aの外側方向、および流体圧直動アクチュエータ本体100bの内側方向)の横荷重が検出された場合には右側の流体圧直動アクチュエータ本体100bを駆動する駆動装置210bの駆動力を減少させ、右向きの横荷重が検出された場合には右側の流体圧直動アクチュエータ本体100bを駆動する駆動装置210bの駆動力を増加させることにより、ピストンロッド10a、10bに横荷重が印加されないようにすることができる。
また、複合アクチュエータ250が連携して1つの被加圧物230を引く場合には、左向きの横荷重が検出された場合には右側の流体圧直動アクチュエータ本体100bを駆動する駆動装置210bの駆動力を増加させ、右向きの横荷重が検出された場合には右側の流体圧直動アクチュエータ本体100bを駆動する駆動装置210bの駆動力を減少させることにより、ピストンロッド10a、10bに横荷重が印加されないようにすることができる。
また、本実施形態では、流体圧直動アクチュエータ本体100a、100bは2台であるが、例えば3台とするなど、台数を増やしてもよい。この場合、一方の端部の流体圧直動アクチュエータと他方の端部の流体圧直動アクチュエータの駆動力とを調整することで、横荷重を少なくすることができる。
【0054】
図9は、第2の実施形態の複合アクチュエータ250の他の構成を示す模式的ブロック図である。
図8では、流体圧直動アクチュエータ本体100a、100bのそれぞれに両方向ポンプおよび両方向モータで構成されている駆動装置210a、210bが接続されているのに対して、
図9では、流体圧直動アクチュエータ本体100a、100bのそれぞれと片方向ポンプおよび片方向モータで構成されている駆動装置210との間に比例制御機能を備えた切換弁260a、260bが挿入されている。また、流体圧直動アクチュエータ本体100a、100bをより高精度に制御する場合は、切換弁260a、260bをサーボ弁に変更することが望ましい。
【0055】
この場合において、2以上の直動アクチュエータ200を備える複合アクチュエータ250は、全ての直動アクチュエータ200が、横荷重がゼロとなるように(ゼロに近づくように)制御することが最も好ましい。または、各直動アクチュエータ200の横荷重の値の合計値が、最小となるように制御してもよい。
または、直動アクチュエータ200が3以上ある場合は、横荷重が最大値になるアクチュエータおよび/または横荷重が最小値になる直動アクチュエータ200を制御することによって、横荷重の値が突出している直動アクチュエータ200の数を減らすように制御してもよい。
このようにして、複合アクチュエータ250の据付作業時に各直動アクチュエータ200の作動量を調整することができる。
さらに、複合アクチュエータ250を動作させるときに、被加圧物230の重心(作用点)と複合アクチュエータ250の力点とが一致しない場合がる。そうすると、直動アクチュエータ200毎に異なる反力が生じるために、直動アクチュエータ200毎に作動量が変わり、横荷重が発生する場合がある。そのような場合には、被加圧物230に応じて横荷重が小さくなるように制御することによって、各アクチュエータの作動量を均一にすることができる。これにより、各直動アクチュエータ200の力を確実に効率よく被加圧物230に伝えることができるとともに、複合アクチュエータ250の故障を防止することができる。
【0056】
本発明において、力覚センサ80が『力覚センサ』に相当し、軸受部55が『軸受部』に相当し、流体圧直動アクチュエータ本体100、100a、100b、および、流体圧直動アクチュエータ200が『流体圧直動アクチュエータ』に相当し、表示装置130が『表示装置』に相当し、ロッドブッシュ40が『ロッドブッシュ』に相当し、リテーナ50が『リテーナ』に相当し、ひずみゲージ85が『ひずみゲージ』に相当し、ピストンロッド10、10a、10bが『ピストンロッド』に相当し、被加圧物230が『被加圧物』に相当し、駆動装置210、210a、210bが『駆動装置』に相当し、制御装置220が『制御装置』に相当し、複合アクチュエータ250が『複合アクチュエータ』に相当する。
【0057】
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0058】
10 ピストンロッド
40 ロッドブッシュ
50 リテーナ
55 軸受部
80 力覚センサ
85 ひずみゲージ
100、100a、100b 流体圧直動アクチュエータ本体
130 表示装置
200 流体圧直動アクチュエータ
210、210a、210b 駆動装置
220 制御装置
230 被加圧物
250 複合アクチュエータ