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特開2022-98324無機繊維用サイジング剤、無機繊維、その製造方法、及び複合材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098324
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】無機繊維用サイジング剤、無機繊維、その製造方法、及び複合材料
(51)【国際特許分類】
D06M 11/74 20060101AFI20220624BHJP
D06M 15/273 20060101ALI20220624BHJP
D06M 15/55 20060101ALI20220624BHJP
D06M 101/40 20060101ALN20220624BHJP
【FI】
D06M11/74
D06M15/273
D06M15/55
D06M101:40
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211806
(22)【出願日】2020-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】濱島 暁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 旬
(72)【発明者】
【氏名】大島 啓一郎
【テーマコード(参考)】
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4L031AA07
4L031AB01
4L031BA02
4L031DA11
4L033AA09
4L033AB01
4L033AC12
4L033CA21
4L033CA49
(57)【要約】
【課題】母材に対する無機繊維の接着性を向上できる無機繊維用サイジング剤、無機繊維、その製造方法、及び複合材料を提供する。
【解決手段】本発明の無機繊維用サイジング剤は、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有することを特徴とする。本発明の無機繊維は、前記無機繊維用サイジング剤が付着していることを特徴とする。本発明の無機繊維の製造方法は、前記無機繊維用サイジング剤を無機繊維に付着させる工程を含むことを特徴とする。また、本発明の複合材料は、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有することを特徴とする無機繊維用サイジング剤。
【請求項2】
前記カーボンナノ構造体が前記カーボンナノチューブを含有し、前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブを含むものである請求項1に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項3】
前記樹脂の不揮発分中における前記カーボンナノ構造体の含有割合が、100ppm以上50000ppm以下である請求項1又は2に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項4】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つを含有するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項5】
更に、界面活性剤を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項6】
ガラス繊維又は炭素繊維に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項7】
前記樹脂がエポキシ樹脂であり、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である複合材料に適用される請求項1~6のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項8】
前記樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリアミド樹脂である複合材料に適用される請求項1~6のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項9】
前記樹脂がビニルエステル樹脂であり、マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂である複合材料に適用される請求項1~6のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項10】
前記樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂である複合材料に適用される請求項1~6のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤が付着していることを特徴とする無機繊維。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤を無機繊維に付着させる工程を含むことを特徴とする無機繊維の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がエポキシ樹脂であり、前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする複合材料。
【請求項14】
請求項11に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする複合材料。
【請求項15】
請求項11に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がビニルエステル樹脂であり、前記マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂であることを特徴とする複合材料。
【請求項16】
請求項11に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノ構造体を含む無機繊維用サイジング剤、無機繊維、その製造方法、及び複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炭素繊維等の無機繊維及び母材として熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を含む材料として繊維強化熱可塑性樹脂複合材料が知られ、建材、輸送機器等の各分野において広く利用されている。炭素繊維等の無機繊維及び熱可塑性樹脂等の母材との界面の接着性を向上させるためにサイジング剤を無機繊維に付着させる処理が行われている。
【0003】
従来より、例えば特許文献1に開示の熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる炭素繊維用サイジング剤が知られている。かかる炭素繊維用サイジング剤は、所定のガラス転移点等のパラメータを有するポリマー成分を含有し、所定のサイジング剤の不揮発分全体に占める該ポリマー成分の質量割合を有し、該ポリマー成分が、芳香族系ポリエステル樹脂等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のサイジング剤は、母材に対する無機繊維の接着性が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、カーボンナノチューブ等のカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有する無機繊維用サイジング剤が正しく好適であることを見出した。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様では、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有することを特徴とする無機繊維用サイジング剤が提供される。
【0008】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記カーボンナノ構造体が前記カーボンナノチューブを含有し、前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブを含むものであってもよい。
【0009】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂の不揮発分中における前記カーボンナノ構造体の含有割合が、100ppm以上50000ppm以下であってもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つを含有してもよい。
【0010】
前記無機繊維用サイジング剤において、更に、界面活性剤を含有してもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、ガラス繊維又は炭素繊維に適用されてもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がエポキシ樹脂であり、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である複合材料に適用されてもよい。
【0011】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリアミド樹脂である複合材料に適用されてもよい。
【0012】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がビニルエステル樹脂であり、マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂である複合材料に適用されてもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂である複合材料に適用されてもよい。
【0013】
本発明の別の態様では、前記無機繊維用サイジング剤が付着していることを特徴とする無機繊維が提供される。
本発明の別の態様では、前記無機繊維用サイジング剤を無機繊維に付着させる工程を含むことを特徴とする無機繊維の製造方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がエポキシ樹脂であり、前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【0015】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【0016】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がビニルエステル樹脂であり、前記マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると母材に対する無機繊維の接着性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例欄における接着性評価のための複合材界面特性評価装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
先ず、本発明に係る無機繊維用サイジング剤(以下、サイジング剤ともいう)を具体化した第1実施形態について説明する。
【0021】
(カーボンナノ構造体)
サイジング剤は、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有する。一般的に、カーボンナノチューブは、繊維の中心に沿ってグラフェンシートを巻き付けた円筒状構造をしている。カーボンナノファイバーは、グラフェンシートが繊維長方向に対して斜めに積層した構造又は垂直に積層した構造を有しており、繊維表面にグラフェンシートのエッジ面が露出している。
【0022】
カーボンナノチューブとしては、単層のシングルウォールカーボンナノチューブであっても、二層のダブルウォールカーボンナノチューブ等の多層のマルチウォールカーボンナノチューブであってもよい。これらの中で、接着性をより向上できる観点からシングルウォールカーボンナノチューブが好ましい。
【0023】
また、カーボンナノチューブは、カーボンナノシートの幾何学的構造の違いによってジグザグ型、アームチェア型、カイラル型が存在するがいずれであってもよい。また、例えばカルボキシル基修飾等の化学修飾されたカーボンナノチューブを適用してもよい。
【0024】
カーボンナノ構造体の具体例としては、例えばNanocyl社製単層カーボンナノチューブ、OCSiAl社製単層カーボンナノチューブ(商品名TUBALL)、Nanocyl社製二層カーボンナノチューブ、Nanocyl社製多層カーボンナノチューブ、Nanocyl社製カルボキシル基修飾多層カーボンナノチューブ、ALMEDIO社製補強用カーボンナノファイバー等が挙げられる。これらのカーボンナノ構造体は、1種のカーボンナノ構造体を単独で使用してもよく、2種以上のカーボンナノ構造体を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
(樹脂)
樹脂は、サイジング剤が付与される無機繊維の用途等に応じて適宜公知のものから選択される。樹脂の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PEEK樹脂、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、BMI樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体、ポリエーテルスルホン樹脂等が挙げられる。これらの中でエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体が好ましい。
【0026】
樹脂の具体例としては、例えばエポキシ樹脂(三菱ケミカル社製:商品名jER828、jER1002)、ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製:商品名スーパーフレックス500M)、変性ポリプロピレン樹脂(丸芳化学社製:商品名MGP-1650)、変性ポリプロピレン樹脂(東邦化学工業社製:商品名ハイテックP-9018)、変性ポリエステル樹脂(東洋紡社製:商品名バイロナールMD-1480)、フェノキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製:商品名YP-50S)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸無水物とジアミノジフェニルエーテルのポリイミド樹脂前駆体、ポリアミド樹脂(東レ社製:商品名AQナイロンP-95)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とフマル酸のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とメタクリル酸のビニルエステル樹脂等が挙げられる。
【0027】
無機繊維が複合材料に適用される場合、サイジング剤に配合される樹脂の種類は、接着性の向上、リサイクル性の向上等の観点より複合材料を構成する母材の種類を考慮して選択されることが好ましい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。マトリックス樹脂がポリアミド樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ビニルエステル樹脂であることが好ましい。マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0028】
サイジング剤中において、樹脂の不揮発分中におけるカーボンナノ構造体の含有割合は、適宜選択されるが、好ましくは100ppm以上50000ppm以下である。かかる範囲に規定されることにより、接着性をより向上できる。不揮発分は、対象物を105℃で2時間熱処理して揮発性物質を十分に除去した絶乾物の質量から求められる(以下、同じ)。
【0029】
(界面活性剤)
サイジング剤は、さらに界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤を配合することにより、カーボンナノ構造体の脱落防止性を向上させる。界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種の界面活性剤を単独で使用してもよく、2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
非イオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン及び/又は有機アミドに炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、2-ヘキシルヘキサノールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン2-エチル-1-ヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、二級ドデシルアルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェニルエーテル等のエーテル型非イオン界面活性剤、(2)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレート、ポリオキシアルキレンヤシ油、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油トリオクタノアート、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油のマレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、又はオレイン酸エステル等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、(3)ステアリン酸ジエタノールアミド、ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型非イオン界面活性剤、(4)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレン牛脂アミン等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型非イオン界面活性剤、(5)ポリオキシエチレンとジメチルフタラートとラウリルアルコールの共重合物等のエーテル・エステル化合物等が挙げられる。
【0031】
アニオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。アニオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、オレイルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したもののリン酸エステル塩、(3)ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ニ級アルキルスルホン酸(C13~15)塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩、(4)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(7)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(8)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、(9)ジオクチルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0032】
カチオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。カチオン界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、1,2-ジメチルイミダゾール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0033】
両性界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。両性界面活性剤の具体例としては、例えばベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
サイジング剤が界面活性剤を含有する場合、樹脂の不揮発分と界面活性剤との合計中におけるカーボンナノ構造体の含有割合は、適宜選択されるが、好ましくは50ppm以上40000ppm以下である。かかる範囲に規定されることにより、接着性をより向上させる。
【0034】
本実施形態のサイジング剤によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態のサイジング剤では、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有するように構成した。したがって、集束性に優れるとともに、母材を適用した場合の無機繊維と母材との接着性を向上できる。かかる接着性の向上は、サイジング剤が塗布された繊維表面上の凹凸の形成によるアンカー効果の他、カーボンナノ構造体の一部が母材側へ移動することによっても発揮されるものと思われる。また、無機繊維からのカーボンナノ構造体の脱落防止性を向上できる。
【0035】
<第2実施形態>
次に本発明に係る無機繊維の製造方法を具体化した第2実施形態について説明する。第2実施形態について、下記の記載以外は、第1実施形態と同様の構成が適用される。
【0036】
本実施形態の無機繊維の製造方法は、第1実施形態のサイジング剤を炭素繊維に付着させる工程を含んでいる。付着量(溶媒を含まない)については特に制限はないが、無機繊維にサイジング剤として0.01質量%以上10質量%以下となるよう付着させたものが好ましい。かかる数値範囲に規定することにより、無機繊維の集束性等の効果をより向上させる。
【0037】
(無機繊維)
本実施形態において適用される無機繊維の種類としては、特に限定されず、例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維等が挙げられる。これらの中でも本発明の効果をより有効に発現できる観点からガラス繊維、炭素繊維が好ましい。炭素繊維の種類としては、例えばアクリル繊維を原料として得られたPAN系炭素繊維、ピッチを原料として得られたピッチ系炭素繊維、リサイクル炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、リグニン樹脂等を原料として得られる炭素繊維が挙げられる。
【0038】
第1実施形態のサイジング剤を無機繊維に付着させるには、一般に工業的に用いられている方法を適用できる。例えば、ローラー浸漬法、ローラー接触法、スプレー法、抄紙法等が挙げられる。サイジング剤を付着させた無機繊維は、続いて公知の方法を用いて乾燥処理してもよい。
【0039】
本実施形態の無機繊維の製造方法によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態の無機繊維の製造方法では、カーボンナノ構造体と樹脂とを含むサイジング剤を炭素繊維に付着させる工程を含んでいる。したがって、無機繊維からのカーボンナノ構造体の脱落防止性を向上できる。また、1工程で無機繊維に対するサイジング剤の付与が完了するため、工程効率性も向上できる。
【0040】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る複合材料を具体化した第3実施形態について説明する。第3実施形態について、下記の記載以外は、第1,2実施形態と同様の構成が適用される。
【0041】
第2実施形態によりサイジング剤を付着させた無機繊維を、母材としてのマトリックス樹脂に含浸させることにより複合材料が得られる。複合材料を製造する際、無機繊維の形態としては特に制限はなく、例えば長繊維状、短繊維状、不織布状等の形態を採用できる。
【0042】
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂は、複合材料の目的、用途等に応じて公知のものから適宜選択される。マトリックス樹脂の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PEEK樹脂、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、BMI樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体、ポリエーテルスルホン樹脂等が挙げられる。
【0043】
マトリックス樹脂は、接着性の向上、リサイクル性の向上等の観点からサイジング剤に含まれる樹脂の種類を考慮して選択されてもよい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、エポキシ樹脂である組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がポリアミド樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つである組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ビニルエステル樹脂である組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである組み合わせが好ましい。
【0044】
本実施形態の複合材料によれば、以下のような効果を得ることができる。
(3-1)本実施形態の複合材料では、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有するサイジング剤を適用している。したがって、無機繊維とマトリックス樹脂との優れた接着性により、特に機械特性等の各種特性に優れる繊維強化樹脂複合材料が得られる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態のサイジング剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、サイジング剤の性能を維持する観点、無機繊維に対する付与性向上等の観点から、その他の成分として、水又は有機溶媒、平滑剤、酸化防止剤、防腐剤等を配合することを妨げるものではない。
【0046】
・上記実施形態のサイジング剤が適用される分野は、特に限定されない。例えばポリイミド樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた炭素繊維複合材料(CFRP)の他、コンクリートの補強用繊維等に適用してもよい。
【実施例0047】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0048】
試験区分1(サイジング剤の調製)
実施例1のサイジング剤は、原料であるカーボンナノ構造体として表1に示されるジグザグ型単層カーボンナノチューブ(A-1)、樹脂(B)として表2に示されるエポキシ樹脂(B-1)、界面活性剤(C)として表3に示されるトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド30モルとプロピレンオキサイド5モルのランダム付加物(C-1)を使用した。各成分を表4に示される含有割合にて混合したものを100℃に加温して均一にしたのち、70℃以下に冷却して徐々に水を加えて実施例1のサイジング剤の水性液を調製した。
【0049】
実施例2~19、比較例1~4のサイジング剤は、原料として表1のカーボンナノ構造体(A)、表2の樹脂(B)、及び必要により表3の界面活性剤(C)を使用した。各成分を表4に示した含有割合にて混合し、下記のA~Dに示される調製方法によってサイジング剤の水性液を得た。
【0050】
A:各原料を混合したものを100℃に加温して均一にしたのち、70℃以下に冷却して徐々に水を加えてサイジング剤の水性液を得た。
B:予め調製した樹脂乳化物と、予め調製したカーボンナノ構造体の水分散物と、界面活性剤とを混合することでサイジング剤の水性液を得た。
【0051】
C:予め調製した樹脂乳化物と界面活性剤とを混合することでサイジング剤の水性液を得た。
D:樹脂と界面活性剤とを混合したものに徐々に水を加えてサイジング剤の水性液を得た。
【0052】
カーボンナノ構造体(A)の種類と含有量、樹脂(B)の種類と含有量、界面活性剤(C)の種類と含有量、サイジング剤の調製方法を、表4の「カーボンナノ構造体(A)」欄、「樹脂(B)」欄、「界面活性剤(C)」欄、「製造時の混合方法」欄にそれぞれ示す。樹脂(B)の不揮発分濃度は、以下の方法により測定した。
【0053】
・不揮発分濃度
予め質量を測定しておいたアルミトレイに試料1gを分取する。105℃で2時間熱処理後の絶乾物の質量から不揮発分濃度を算出する。
【0054】
不揮発分濃度(%)=(熱処理後の絶乾物の質量)/(熱処理前の試料の質量)×100
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【表4】
表4に記載する接着性評価に使用したマトリックス樹脂、*1)~*3)の詳細は以下のとおりである。
【0059】
(接着性評価に使用したマトリックス樹脂)
エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製 商品名:jER828+トリエチレンテトラミン)
ビニルエステル樹脂(昭和電工社製 商品名:リポキシR-804B(同社製メチルエチルケトンパーオキシド硬化剤使用))
ポリアミド樹脂(宇部興産社製 UBEナイロン 1011FB)
ポリプロピレン樹脂:2%無水マレイン酸変性ポリプロピレン
*1)樹脂(B)の不揮発分に対する含有割合
*2)樹脂(B)の不揮発分と界面活性剤との合計に対する含有割合
*3)不揮発分基準
試験区分2(評価)
・接着性の評価
接着性は、市販の複合材界面特性評価装置を用いてマイクロドロップレット法によって測定される応力により評価した。
図1に複合材界面特性評価装置10の概略図を示す。
【0060】
上述したように調製した各例の水性液を更に水希釈し、固形分が2%の水性液を作成した。この水性液を不織布状の炭素繊維又はガラス繊維に固形分として2%付与されるようにスプレー法にて給油することで各例のサイジング剤が付与された不織布状炭素繊維又はガラス繊維を調製した。
【0061】
次に、この炭素繊維又はガラス繊維から1本の炭素繊維又はガラス繊維を取り出し、この繊維12を板状の四角枠状のホルダー11に緊張した状態でその両端を接着剤14で固定した。次に、表4に示される各例のマトリックス樹脂を、直径がほぼ70μmの樹脂滴13となるように繊維12に付着させ、固定した。
【0062】
図示しない装置本体には、一側面において垂直断面が先細状に成型された2枚の板状のブレード17,18が、その先端部17a及び18aが向かい合わせになる位置状態で取り付けられている。
【0063】
樹脂滴13が固定されている繊維12を2枚のブレード17,18の先端部17a,18aで挟む位置にて、ホルダー11を装置本体に固定されている基板16に取り付けた。基板16にはロードセル15が接続され、基板16に負荷される応力が計測される。
【0064】
ホルダー11を5mm/分の速度で繊維軸方向に移動させた時に、ブレード17,18の先端部17a,18aによって樹脂滴13が繊維12から剥離する際に生じる最大応力Fを、ロードセル15にて計測した。
【0065】
計測した値を用いて、下記の数1により界面せん断強度τを算出した。同様の操作を20回行い、得られた界面せん断強度の平均値を求めた。さらに得られた平均値について、下記に示される使用したマトリックス樹脂の基準数値に対する増加率を求め、以下の基準により評価した。結果を表4にまとめて示した。また、使用した無機繊維の種類及びマトリックス樹脂の種類を、表4の「接着性評価に使用した無機繊維」欄及び「接着性評価に使用したマトリックス樹脂」欄にそれぞれ示す。
【0066】
【数1】
数1において、
F:繊維12から樹脂滴13が剥離する際に生じる最大応力(N)、
D:繊維12の直径(m)、
L:樹脂滴13の引き抜き方向の直径(m)。
【0067】
・使用したマトリックス樹脂の基準数値
エポキシ樹脂:60MPa
ビニルエステル樹脂:40MPa
ポリアミド樹脂:50MPa
ポリプロピレン樹脂:22MPa
◎(良好):増加率が12%以上
○(可):増加率が1%以上12%未満
×(不良):増加率が1%未満
・脱落防止性の評価
繊維がサイジング剤を付与するサイジング浴を通過後、乾燥工程を経たのちの金属ローラー部分でのカーボンナノ構造体の脱落防止性を以下の基準で評価した。
【0068】
◎(良好):金属ローラーにカーボンナノ構造体の脱落が見られず、2週間以上連続しての操業が可能であった場合
○(可):金属ローラーにカーボンナノ構造体の脱落がわずかに見られるが、2週間以上連続しての操業が可能であった場合
×(不良):金属ローラーにカーボンナノ構造体の脱落が多くみられ2週間未満で製造を止めて清掃する必要があった場合
・工程効率性の評価
○(良好):カーボンナノ構造体と樹脂の付与が1段階で完了する場合
×(不良):カーボンナノ構造体を付与してその後に樹脂を含むサイジング剤を付与する2段階の工程がある場合
・集束性の評価
上述した調製した各例の水性液を更に水希釈し、固形分が2%の水性液を作成した。ポリアクリロニトリル系繊維から得た未サイジングの炭素繊維ストランドを連続的に上記水性液に浸漬した。サイジング剤の付着量(溶媒を含まない)が炭素繊維に対して1%一定となるようにローラーの絞り条件を調整して、炭素繊維ストランドに水性液を付着させた。引き続き連続的に200℃のオーブンに1分間通して乾燥して金属ローラーに巻き取った。
【0069】
サイジング剤を付与する水性液を通過後、乾燥工程を経たのちの金属ローラー部分での糸の集束性を以下の基準で評価した。
○(良好):糸がまとまって金属ローラーを通過しており、工程性に問題が無い場合
×(不良):糸がまとまっておらず金属ローラーへの巻きつきが生じる場合
以上表4の結果からも明らかなように、本発明によれば、接着性に優れるサイジング剤が得られる。また、本発明は、脱落防止性、工程効率性、集束性にも優れる。
【符号の説明】
【0070】
10…複合材界面特性評価装置
11…ホルダー
12…繊維
13…樹脂滴
14…接着剤
15…ロードセル
16…基板
17,18…ブレード
【手続補正書】
【提出日】2021-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂と、界面活性剤とを含有することを特徴とする無機繊維用サイジング剤。
【請求項2】
前記カーボンナノ構造体が前記カーボンナノチューブを含有し、前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブを含むものである請求項1に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項3】
前記樹脂の不揮発分中における前記カーボンナノ構造体の含有割合が、100ppm以上50000ppm以下である請求項1又は2に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項4】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つを含有するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項5】
ガラス繊維又は炭素繊維に適用される請求項1~4のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項6】
前記樹脂がエポキシ樹脂であり、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である複合材料に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項7】
前記樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリアミド樹脂である複合材料に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項8】
前記樹脂がビニルエステル樹脂であり、マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂である複合材料に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項9】
前記樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂である複合材料に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤が付着していることを特徴とする無機繊維。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤を無機繊維に付着させる工程を含むことを特徴とする無機繊維の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がエポキシ樹脂であり、前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする複合材料。
【請求項13】
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする複合材料。
【請求項14】
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がビニルエステル樹脂であり、前記マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂であることを特徴とする複合材料。
【請求項15】
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする複合材料。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノ構造体を含む無機繊維用サイジング剤、無機繊維、その製造方法、及び複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炭素繊維等の無機繊維及び母材として熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を含む材料として繊維強化熱可塑性樹脂複合材料が知られ、建材、輸送機器等の各分野において広く利用されている。炭素繊維等の無機繊維及び熱可塑性樹脂等の母材との界面の接着性を向上させるためにサイジング剤を無機繊維に付着させる処理が行われている。
【0003】
従来より、例えば特許文献1に開示の熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる炭素繊維用サイジング剤が知られている。かかる炭素繊維用サイジング剤は、所定のガラス転移点等のパラメータを有するポリマー成分を含有し、所定のサイジング剤の不揮発分全体に占める該ポリマー成分の質量割合を有し、該ポリマー成分が、芳香族系ポリエステル樹脂等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のサイジング剤は、母材に対する無機繊維の接着性が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、カーボンナノチューブ等のカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有する無機繊維用サイジング剤が正しく好適であることを見出した。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様では、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂と、界面活性剤とを含有することを特徴とする無機繊維用サイジング剤が提供される。
【0008】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記カーボンナノ構造体が前記カーボンナノチューブを含有し、前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブを含むものであってもよい。
【0009】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂の不揮発分中における前記カーボンナノ構造体の含有割合が、100ppm以上50000ppm以下であってもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つを含有してもよい。
【0010】
前記無機繊維用サイジング剤において、ガラス繊維又は炭素繊維に適用されてもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がエポキシ樹脂であり、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である複合材料に適用されてもよい。
【0011】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリアミド樹脂である複合材料に適用されてもよい。
【0012】
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がビニルエステル樹脂であり、マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂である複合材料に適用されてもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂である複合材料に適用されてもよい。
【0013】
本発明の別の態様では、前記無機繊維用サイジング剤が付着していることを特徴とする無機繊維が提供される。
本発明の別の態様では、前記無機繊維用サイジング剤を無機繊維に付着させる工程を含むことを特徴とする無機繊維の製造方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がエポキシ樹脂であり、前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【0015】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【0016】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がビニルエステル樹脂であり、前記マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると母材に対する無機繊維の接着性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例欄における接着性評価のための複合材界面特性評価装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
先ず、本発明に係る無機繊維用サイジング剤(以下、サイジング剤ともいう)を具体化した第1実施形態について説明する。
【0021】
(カーボンナノ構造体)
サイジング剤は、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有する。一般的に、カーボンナノチューブは、繊維の中心に沿ってグラフェンシートを巻き付けた円筒状構造をしている。カーボンナノファイバーは、グラフェンシートが繊維長方向に対して斜めに積層した構造又は垂直に積層した構造を有しており、繊維表面にグラフェンシートのエッジ面が露出している。
【0022】
カーボンナノチューブとしては、単層のシングルウォールカーボンナノチューブであっても、二層のダブルウォールカーボンナノチューブ等の多層のマルチウォールカーボンナノチューブであってもよい。これらの中で、接着性をより向上できる観点からシングルウォールカーボンナノチューブが好ましい。
【0023】
また、カーボンナノチューブは、カーボンナノシートの幾何学的構造の違いによってジグザグ型、アームチェア型、カイラル型が存在するがいずれであってもよい。また、例えばカルボキシル基修飾等の化学修飾されたカーボンナノチューブを適用してもよい。
【0024】
カーボンナノ構造体の具体例としては、例えばNanocyl社製単層カーボンナノチューブ、OCSiAl社製単層カーボンナノチューブ(商品名TUBALL)、Nanocyl社製二層カーボンナノチューブ、Nanocyl社製多層カーボンナノチューブ、Nanocyl社製カルボキシル基修飾多層カーボンナノチューブ、ALMEDIO社製補強用カーボンナノファイバー等が挙げられる。これらのカーボンナノ構造体は、1種のカーボンナノ構造体を単独で使用してもよく、2種以上のカーボンナノ構造体を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
(樹脂)
樹脂は、サイジング剤が付与される無機繊維の用途等に応じて適宜公知のものから選択される。樹脂の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PEEK樹脂、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、BMI樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体、ポリエーテルスルホン樹脂等が挙げられる。これらの中でエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体が好ましい。
【0026】
樹脂の具体例としては、例えばエポキシ樹脂(三菱ケミカル社製:商品名jER828、jER1002)、ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製:商品名スーパーフレックス500M)、変性ポリプロピレン樹脂(丸芳化学社製:商品名MGP-1650)、変性ポリプロピレン樹脂(東邦化学工業社製:商品名ハイテックP-9018)、変性ポリエステル樹脂(東洋紡社製:商品名バイロナールMD-1480)、フェノキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製:商品名YP-50S)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸無水物とジアミノジフェニルエーテルのポリイミド樹脂前駆体、ポリアミド樹脂(東レ社製:商品名AQナイロンP-95)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とフマル酸のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とメタクリル酸のビニルエステル樹脂等が挙げられる。
【0027】
無機繊維が複合材料に適用される場合、サイジング剤に配合される樹脂の種類は、接着性の向上、リサイクル性の向上等の観点より複合材料を構成する母材の種類を考慮して選択されることが好ましい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。マトリックス樹脂がポリアミド樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ビニルエステル樹脂であることが好ましい。マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0028】
サイジング剤中において、樹脂の不揮発分中におけるカーボンナノ構造体の含有割合は、適宜選択されるが、好ましくは100ppm以上50000ppm以下である。かかる範囲に規定されることにより、接着性をより向上できる。不揮発分は、対象物を105℃で2時間熱処理して揮発性物質を十分に除去した絶乾物の質量から求められる(以下、同じ)。
【0029】
(界面活性剤)
サイジング剤は、さらに界面活性剤を配合する。界面活性剤を配合することにより、カーボンナノ構造体の脱落防止性を向上させる。界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種の界面活性剤を単独で使用してもよく、2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
非イオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン及び/又は有機アミドに炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、2-ヘキシルヘキサノールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン2-エチル-1-ヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、二級ドデシルアルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェニルエーテル等のエーテル型非イオン界面活性剤、(2)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレート、ポリオキシアルキレンヤシ油、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油トリオクタノアート、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油のマレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、又はオレイン酸エステル等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、(3)ステアリン酸ジエタノールアミド、ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型非イオン界面活性剤、(4)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレン牛脂アミン等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型非イオン界面活性剤、(5)ポリオキシエチレンとジメチルフタラートとラウリルアルコールの共重合物等のエーテル・エステル化合物等が挙げられる。
【0031】
アニオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。アニオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、オレイルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したもののリン酸エステル塩、(3)ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ニ級アルキルスルホン酸(C13~15)塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩、(4)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(7)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(8)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、(9)ジオクチルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0032】
カチオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。カチオン界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、1,2-ジメチルイミダゾール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0033】
両性界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。両性界面活性剤の具体例としては、例えばベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
サイジング剤が界面活性剤を含有する場合、樹脂の不揮発分と界面活性剤との合計中におけるカーボンナノ構造体の含有割合は、適宜選択されるが、好ましくは50ppm以上40000ppm以下である。かかる範囲に規定されることにより、接着性をより向上させる。
【0034】
本実施形態のサイジング剤によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態のサイジング剤では、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有するように構成した。したがって、集束性に優れるとともに、母材を適用した場合の無機繊維と母材との接着性を向上できる。かかる接着性の向上は、サイジング剤が塗布された繊維表面上の凹凸の形成によるアンカー効果の他、カーボンナノ構造体の一部が母材側へ移動することによっても発揮されるものと思われる。また、無機繊維からのカーボンナノ構造体の脱落防止性を向上できる。
【0035】
<第2実施形態>
次に本発明に係る無機繊維の製造方法を具体化した第2実施形態について説明する。第2実施形態について、下記の記載以外は、第1実施形態と同様の構成が適用される。
【0036】
本実施形態の無機繊維の製造方法は、第1実施形態のサイジング剤を炭素繊維に付着させる工程を含んでいる。付着量(溶媒を含まない)については特に制限はないが、無機繊維にサイジング剤として0.01質量%以上10質量%以下となるよう付着させたものが好ましい。かかる数値範囲に規定することにより、無機繊維の集束性等の効果をより向上させる。
【0037】
(無機繊維)
本実施形態において適用される無機繊維の種類としては、特に限定されず、例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維等が挙げられる。これらの中でも本発明の効果をより有効に発現できる観点からガラス繊維、炭素繊維が好ましい。炭素繊維の種類としては、例えばアクリル繊維を原料として得られたPAN系炭素繊維、ピッチを原料として得られたピッチ系炭素繊維、リサイクル炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、リグニン樹脂等を原料として得られる炭素繊維が挙げられる。
【0038】
第1実施形態のサイジング剤を無機繊維に付着させるには、一般に工業的に用いられている方法を適用できる。例えば、ローラー浸漬法、ローラー接触法、スプレー法、抄紙法等が挙げられる。サイジング剤を付着させた無機繊維は、続いて公知の方法を用いて乾燥処理してもよい。
【0039】
本実施形態の無機繊維の製造方法によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態の無機繊維の製造方法では、カーボンナノ構造体と樹脂とを含むサイジング剤を炭素繊維に付着させる工程を含んでいる。したがって、無機繊維からのカーボンナノ構造体の脱落防止性を向上できる。また、1工程で無機繊維に対するサイジング剤の付与が完了するため、工程効率性も向上できる。
【0040】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る複合材料を具体化した第3実施形態について説明する。第3実施形態について、下記の記載以外は、第1,2実施形態と同様の構成が適用される。
【0041】
第2実施形態によりサイジング剤を付着させた無機繊維を、母材としてのマトリックス樹脂に含浸させることにより複合材料が得られる。複合材料を製造する際、無機繊維の形態としては特に制限はなく、例えば長繊維状、短繊維状、不織布状等の形態を採用できる。
【0042】
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂は、複合材料の目的、用途等に応じて公知のものから適宜選択される。マトリックス樹脂の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PEEK樹脂、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、BMI樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体、ポリエーテルスルホン樹脂等が挙げられる。
【0043】
マトリックス樹脂は、接着性の向上、リサイクル性の向上等の観点からサイジング剤に含まれる樹脂の種類を考慮して選択されてもよい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、エポキシ樹脂である組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がポリアミド樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つである組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ビニルエステル樹脂である組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである組み合わせが好ましい。
【0044】
本実施形態の複合材料によれば、以下のような効果を得ることができる。
(3-1)本実施形態の複合材料では、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有するサイジング剤を適用している。したがって、無機繊維とマトリックス樹脂との優れた接着性により、特に機械特性等の各種特性に優れる繊維強化樹脂複合材料が得られる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態のサイジング剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、サイジング剤の性能を維持する観点、無機繊維に対する付与性向上等の観点から、その他の成分として、水又は有機溶媒、平滑剤、酸化防止剤、防腐剤等を配合することを妨げるものではない。
【0046】
・上記実施形態のサイジング剤が適用される分野は、特に限定されない。例えばポリイミド樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた炭素繊維複合材料(CFRP)の他、コンクリートの補強用繊維等に適用してもよい。
【実施例0047】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0048】
試験区分1(サイジング剤の調製)
実施例1のサイジング剤は、原料であるカーボンナノ構造体として表1に示されるジグザグ型単層カーボンナノチューブ(A-1)、樹脂(B)として表2に示されるエポキシ樹脂(B-1)、界面活性剤(C)として表3に示されるトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド30モルとプロピレンオキサイド5モルのランダム付加物(C-1)を使用した。各成分を表4に示される含有割合にて混合したものを100℃に加温して均一にしたのち、70℃以下に冷却して徐々に水を加えて実施例1のサイジング剤の水性液を調製した。
【0049】
実施例2~18、参考例19、比較例1~4のサイジング剤は、原料として表1のカーボンナノ構造体(A)、表2の樹脂(B)、及び必要により表3の界面活性剤(C)を使用した。各成分を表4に示した含有割合にて混合し、下記のA~Dに示される調製方法によってサイジング剤の水性液を得た。
【0050】
A:各原料を混合したものを100℃に加温して均一にしたのち、70℃以下に冷却して徐々に水を加えてサイジング剤の水性液を得た。
B:予め調製した樹脂乳化物と、予め調製したカーボンナノ構造体の水分散物と、界面活性剤とを混合することでサイジング剤の水性液を得た。
【0051】
C:予め調製した樹脂乳化物と界面活性剤とを混合することでサイジング剤の水性液を得た。
D:樹脂と界面活性剤とを混合したものに徐々に水を加えてサイジング剤の水性液を得た。
【0052】
カーボンナノ構造体(A)の種類と含有量、樹脂(B)の種類と含有量、界面活性剤(C)の種類と含有量、サイジング剤の調製方法を、表4の「カーボンナノ構造体(A)」欄、「樹脂(B)」欄、「界面活性剤(C)」欄、「製造時の混合方法」欄にそれぞれ示す。樹脂(B)の不揮発分濃度は、以下の方法により測定した。
【0053】
・不揮発分濃度
予め質量を測定しておいたアルミトレイに試料1gを分取する。105℃で2時間熱処理後の絶乾物の質量から不揮発分濃度を算出する。
【0054】
不揮発分濃度(%)=(熱処理後の絶乾物の質量)/(熱処理前の試料の質量)×100
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【表4】
表4に記載する接着性評価に使用したマトリックス樹脂、*1)~*3)の詳細は以下のとおりである。
【0059】
(接着性評価に使用したマトリックス樹脂)
エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製 商品名:jER828+トリエチレンテトラミン)
ビニルエステル樹脂(昭和電工社製 商品名:リポキシR-804B(同社製メチルエチルケトンパーオキシド硬化剤使用))
ポリアミド樹脂(宇部興産社製 UBEナイロン 1011FB)
ポリプロピレン樹脂:2%無水マレイン酸変性ポリプロピレン
*1)樹脂(B)の不揮発分に対する含有割合
*2)樹脂(B)の不揮発分と界面活性剤との合計に対する含有割合
*3)不揮発分基準
試験区分2(評価)
・接着性の評価
接着性は、市販の複合材界面特性評価装置を用いてマイクロドロップレット法によって測定される応力により評価した。
図1に複合材界面特性評価装置10の概略図を示す。
【0060】
上述したように調製した各例の水性液を更に水希釈し、固形分が2%の水性液を作成した。この水性液を不織布状の炭素繊維又はガラス繊維に固形分として2%付与されるようにスプレー法にて給油することで各例のサイジング剤が付与された不織布状炭素繊維又はガラス繊維を調製した。
【0061】
次に、この炭素繊維又はガラス繊維から1本の炭素繊維又はガラス繊維を取り出し、この繊維12を板状の四角枠状のホルダー11に緊張した状態でその両端を接着剤14で固定した。次に、表4に示される各例のマトリックス樹脂を、直径がほぼ70μmの樹脂滴13となるように繊維12に付着させ、固定した。
【0062】
図示しない装置本体には、一側面において垂直断面が先細状に成型された2枚の板状のブレード17,18が、その先端部17a及び18aが向かい合わせになる位置状態で取り付けられている。
【0063】
樹脂滴13が固定されている繊維12を2枚のブレード17,18の先端部17a,18aで挟む位置にて、ホルダー11を装置本体に固定されている基板16に取り付けた。基板16にはロードセル15が接続され、基板16に負荷される応力が計測される。
【0064】
ホルダー11を5mm/分の速度で繊維軸方向に移動させた時に、ブレード17,18の先端部17a,18aによって樹脂滴13が繊維12から剥離する際に生じる最大応力Fを、ロードセル15にて計測した。
【0065】
計測した値を用いて、下記の数1により界面せん断強度τを算出した。同様の操作を20回行い、得られた界面せん断強度の平均値を求めた。さらに得られた平均値について、下記に示される使用したマトリックス樹脂の基準数値に対する増加率を求め、以下の基準により評価した。結果を表4にまとめて示した。また、使用した無機繊維の種類及びマトリックス樹脂の種類を、表4の「接着性評価に使用した無機繊維」欄及び「接着性評価に使用したマトリックス樹脂」欄にそれぞれ示す。
【0066】
【数1】
数1において、
F:繊維12から樹脂滴13が剥離する際に生じる最大応力(N)、
D:繊維12の直径(m)、
L:樹脂滴13の引き抜き方向の直径(m)。
【0067】
・使用したマトリックス樹脂の基準数値
エポキシ樹脂:60MPa
ビニルエステル樹脂:40MPa
ポリアミド樹脂:50MPa
ポリプロピレン樹脂:22MPa
◎(良好):増加率が12%以上
○(可):増加率が1%以上12%未満
×(不良):増加率が1%未満
・脱落防止性の評価
繊維がサイジング剤を付与するサイジング浴を通過後、乾燥工程を経たのちの金属ローラー部分でのカーボンナノ構造体の脱落防止性を以下の基準で評価した。
【0068】
◎(良好):金属ローラーにカーボンナノ構造体の脱落が見られず、2週間以上連続しての操業が可能であった場合
○(可):金属ローラーにカーボンナノ構造体の脱落がわずかに見られるが、2週間以上連続しての操業が可能であった場合
×(不良):金属ローラーにカーボンナノ構造体の脱落が多くみられ2週間未満で製造を止めて清掃する必要があった場合
・工程効率性の評価
○(良好):カーボンナノ構造体と樹脂の付与が1段階で完了する場合
×(不良):カーボンナノ構造体を付与してその後に樹脂を含むサイジング剤を付与する2段階の工程がある場合
・集束性の評価
上述した調製した各例の水性液を更に水希釈し、固形分が2%の水性液を作成した。ポリアクリロニトリル系繊維から得た未サイジングの炭素繊維ストランドを連続的に上記水性液に浸漬した。サイジング剤の付着量(溶媒を含まない)が炭素繊維に対して1%一定となるようにローラーの絞り条件を調整して、炭素繊維ストランドに水性液を付着させた。引き続き連続的に200℃のオーブンに1分間通して乾燥して金属ローラーに巻き取った。
【0069】
サイジング剤を付与する水性液を通過後、乾燥工程を経たのちの金属ローラー部分での糸の集束性を以下の基準で評価した。
○(良好):糸がまとまって金属ローラーを通過しており、工程性に問題が無い場合
×(不良):糸がまとまっておらず金属ローラーへの巻きつきが生じる場合
以上表4の結果からも明らかなように、本発明によれば、接着性に優れるサイジング剤が得られる。また、本発明は、脱落防止性、工程効率性、集束性にも優れる。
前記カーボンナノ構造体が前記カーボンナノチューブを含有し、前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブを含むものである請求項1に記載の無機繊維用サイジング剤。
前記樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つを含有するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
前記樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリアミド樹脂である複合材料に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
前記樹脂がビニルエステル樹脂であり、マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂である複合材料に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
前記樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂である複合材料に適用される請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維用サイジング剤。
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がエポキシ樹脂であり、前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする複合材料。
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする複合材料。
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がビニルエステル樹脂であり、前記マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂であることを特徴とする複合材料。
請求項10に記載の無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする複合材料。
一般に、炭素繊維等の無機繊維及び母材として熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を含む材料として繊維強化熱可塑性樹脂複合材料が知られ、建材、輸送機器等の各分野において広く利用されている。炭素繊維等の無機繊維及び熱可塑性樹脂等の母材との界面の接着性を向上させるためにサイジング剤を無機繊維に付着させる処理が行われている。
従来より、例えば特許文献1に開示の熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる炭素繊維用サイジング剤が知られている。かかる炭素繊維用サイジング剤は、所定のガラス転移点等のパラメータを有するポリマー成分を含有し、所定のサイジング剤の不揮発分全体に占める該ポリマー成分の質量割合を有し、該ポリマー成分が、芳香族系ポリエステル樹脂等である。
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、カーボンナノチューブ等のカーボンナノ構造体と、樹脂とを含有する無機繊維用サイジング剤が正しく好適であることを見出した。
上記課題を解決するために、本発明の一態様では、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1つのカーボンナノ構造体と、樹脂と、界面活性剤とを含有し、前記樹脂の不揮発分と前記界面活性剤の含有割合の合計を100質量部とすると、前記界面活性剤を2~50質量部の割合で含有することを特徴とする無機繊維用サイジング剤が提供される。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記カーボンナノ構造体が前記カーボンナノチューブを含有し、前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブを含むものであってもよい。
前記無機繊維用サイジング剤において、前記樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、マトリックス樹脂がポリアミド樹脂である複合材料に適用されてもよい。
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がエポキシ樹脂であり、前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がビニルエステル樹脂であり、前記マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
本発明の別の態様では、前記無機繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材料であって、前記無機繊維用サイジング剤中の樹脂がポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであり、前記マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする複合材料が提供される。
カーボンナノチューブとしては、単層のシングルウォールカーボンナノチューブであっても、二層のダブルウォールカーボンナノチューブ等の多層のマルチウォールカーボンナノチューブであってもよい。これらの中で、接着性をより向上できる観点からシングルウォールカーボンナノチューブが好ましい。
また、カーボンナノチューブは、カーボンナノシートの幾何学的構造の違いによってジグザグ型、アームチェア型、カイラル型が存在するがいずれであってもよい。また、例えばカルボキシル基修飾等の化学修飾されたカーボンナノチューブを適用してもよい。
カーボンナノ構造体の具体例としては、例えばNanocyl社製単層カーボンナノチューブ、OCSiAl社製単層カーボンナノチューブ(商品名TUBALL)、Nanocyl社製二層カーボンナノチューブ、Nanocyl社製多層カーボンナノチューブ、Nanocyl社製カルボキシル基修飾多層カーボンナノチューブ、ALMEDIO社製補強用カーボンナノファイバー等が挙げられる。これらのカーボンナノ構造体は、1種のカーボンナノ構造体を単独で使用してもよく、2種以上のカーボンナノ構造体を組み合わせて使用してもよい。
樹脂の具体例としては、例えばエポキシ樹脂(三菱ケミカル社製:商品名jER828、jER1002)、ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製:商品名スーパーフレックス500M)、変性ポリプロピレン樹脂(丸芳化学社製:商品名MGP-1650)、変性ポリプロピレン樹脂(東邦化学工業社製:商品名ハイテックP-9018)、変性ポリエステル樹脂(東洋紡社製:商品名バイロナールMD-1480)、フェノキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製:商品名YP-50S)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸無水物とジアミノジフェニルエーテルのポリイミド樹脂前駆体、ポリアミド樹脂(東レ社製:商品名AQナイロンP-95)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とフマル酸のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とメタクリル酸のビニルエステル樹脂等が挙げられる。
無機繊維が複合材料に適用される場合、サイジング剤に配合される樹脂の種類は、接着性の向上、リサイクル性の向上等の観点より複合材料を構成する母材の種類を考慮して選択されることが好ましい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。マトリックス樹脂がポリアミド樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ビニルエステル樹脂であることが好ましい。マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
サイジング剤中において、樹脂の不揮発分中におけるカーボンナノ構造体の含有割合は、適宜選択されるが、好ましくは100ppm以上50000ppm以下である。かかる範囲に規定されることにより、接着性をより向上できる。不揮発分は、対象物を105℃で2時間熱処理して揮発性物質を十分に除去した絶乾物の質量から求められる(以下、同じ)。
非イオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン及び/又は有機アミドに炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、2-ヘキシルヘキサノールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン2-エチル-1-ヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、二級ドデシルアルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェニルエーテル等のエーテル型非イオン界面活性剤、(2)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレート、ポリオキシアルキレンヤシ油、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油トリオクタノアート、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油のマレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、又はオレイン酸エステル等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、(3)ステアリン酸ジエタノールアミド、ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型非イオン界面活性剤、(4)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレン牛脂アミン等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型非イオン界面活性剤、(5)ポリオキシエチレンとジメチルフタラートとラウリルアルコールの共重合物等のエーテル・エステル化合物等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。アニオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、オレイルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したもののリン酸エステル塩、(3)ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ニ級アルキルスルホン酸(C13~15)塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩、(4)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(7)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(8)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、(9)ジオクチルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、公知のものを適宜採用できる。カチオン界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、1,2-ジメチルイミダゾール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
本実施形態の無機繊維の製造方法は、第1実施形態のサイジング剤を炭素繊維に付着させる工程を含んでいる。付着量(溶媒を含まない)については特に制限はないが、無機繊維にサイジング剤として0.01質量%以上10質量%以下となるよう付着させたものが好ましい。かかる数値範囲に規定することにより、無機繊維の集束性等の効果をより向上させる。
第1実施形態のサイジング剤を無機繊維に付着させるには、一般に工業的に用いられている方法を適用できる。例えば、ローラー浸漬法、ローラー接触法、スプレー法、抄紙法等が挙げられる。サイジング剤を付着させた無機繊維は、続いて公知の方法を用いて乾燥処理してもよい。
第2実施形態によりサイジング剤を付着させた無機繊維を、母材としてのマトリックス樹脂に含浸させることにより複合材料が得られる。複合材料を製造する際、無機繊維の形態としては特に制限はなく、例えば長繊維状、短繊維状、不織布状等の形態を採用できる。
マトリックス樹脂は、接着性の向上、リサイクル性の向上等の観点からサイジング剤に含まれる樹脂の種類を考慮して選択されてもよい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、エポキシ樹脂である組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がポリアミド樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体から選ばれる少なくとも1つである組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ビニルエステル樹脂である組み合わせが好ましい。マトリックス樹脂がポリオレフィン樹脂の複合材料に適用される場合、サイジング剤中の樹脂は、ポリオレフィン樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである組み合わせが好ましい。
・上記実施形態のサイジング剤が適用される分野は、特に限定されない。例えばポリイミド樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた炭素繊維複合材料(CFRP)の他、コンクリートの補強用繊維等に適用してもよい。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
実施例2~18、参考例19、比較例1~4のサイジング剤は、原料として表1のカーボンナノ構造体(A)、表2の樹脂(B)、及び必要により表3の界面活性剤(C)を使用した。各成分を表4に示した含有割合にて混合し、下記のA~Dに示される調製方法によってサイジング剤の水性液を得た。
カーボンナノ構造体(A)の種類と含有量、樹脂(B)の種類と含有量、界面活性剤(C)の種類と含有量、サイジング剤の調製方法を、表4の「カーボンナノ構造体(A)」欄、「樹脂(B)」欄、「界面活性剤(C)」欄、「製造時の混合方法」欄にそれぞれ示す。樹脂(B)の不揮発分濃度は、以下の方法により測定した。
上述したように調製した各例の水性液を更に水希釈し、固形分が2%の水性液を作成した。この水性液を不織布状の炭素繊維又はガラス繊維に固形分として2%付与されるようにスプレー法にて給油することで各例のサイジング剤が付与された不織布状炭素繊維又はガラス繊維を調製した。
次に、この炭素繊維又はガラス繊維から1本の炭素繊維又はガラス繊維を取り出し、この繊維12を板状の四角枠状のホルダー11に緊張した状態でその両端を接着剤14で固定した。次に、表4に示される各例のマトリックス樹脂を、直径がほぼ70μmの樹脂滴13となるように繊維12に付着させ、固定した。
図示しない装置本体には、一側面において垂直断面が先細状に成型された2枚の板状のブレード17,18が、その先端部17a及び18aが向かい合わせになる位置状態で取り付けられている。
樹脂滴13が固定されている繊維12を2枚のブレード17,18の先端部17a,18aで挟む位置にて、ホルダー11を装置本体に固定されている基板16に取り付けた。基板16にはロードセル15が接続され、基板16に負荷される応力が計測される。
ホルダー11を5mm/分の速度で繊維軸方向に移動させた時に、ブレード17,18の先端部17a,18aによって樹脂滴13が繊維12から剥離する際に生じる最大応力Fを、ロードセル15にて計測した。
計測した値を用いて、下記の数1により界面せん断強度τを算出した。同様の操作を20回行い、得られた界面せん断強度の平均値を求めた。さらに得られた平均値について、下記に示される使用したマトリックス樹脂の基準数値に対する増加率を求め、以下の基準により評価した。結果を表4にまとめて示した。また、使用した無機繊維の種類及びマトリックス樹脂の種類を、表4の「接着性評価に使用した無機繊維」欄及び「接着性評価に使用したマトリックス樹脂」欄にそれぞれ示す。