(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098337
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】撮像装置および画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220624BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G06T1/00 330Z
H04N7/18 J
H04N7/18 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211821
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 敦志
【テーマコード(参考)】
5B057
5C054
【Fターム(参考)】
5B057AA16
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC02
5B057CE10
5B057DA07
5B057DA08
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
5C054CA04
5C054CC02
5C054FD02
5C054FE18
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】撮影対象迄の距離が異なる複数のカメラの画像を合成して、人が感じる違和感を低減した広い視野の画像を生成する。
【解決手段】撮像装置は、第1撮影部と、第2撮影部と、第3撮影部と、画像処理部とを備える。第1撮影部は、第1の位置から第1の方向を撮像した第1画像を取得する。第2および第3撮影部は、第1の位置に対して第1の方向の反対側に位置する第2及び第3の位置から、第2および第3の方向を撮影して第2および第3画像を取得する。第2撮影部と第3撮影部とは、それぞれ第1撮影部と視野を一部共有する。画像処理部は、第2画像および第3画像のそれぞれの一部を、第1画像の一部と結合させた結合画像を生成する。第2撮影部と第3撮影部とは、第1撮影部よりも長い焦点距離を有し、且つ、第1撮影部よりも広い視野角を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置から第1の方向を撮像した第1画像を取得する第1撮影部と、
前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第2の位置から第2の方向を撮影して第2画像を取得する第2撮影部であって、前記第1撮影部と視野を一部共有する該第2撮影部と、
前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第3の位置から、第3の方向を撮影して第3画像を取得する第3撮影部であって、前記第1撮影部と視野を一部共有する該第3撮影部と、
前記第2画像および前記第3画像のそれぞれの一部を、前記第1画像の一部と結合させた結合画像を生成する画像処理部と
を有し、
前記第2撮影部と前記第3撮影部は、前記第1撮影部よりも長い焦点距離を有し、且つ、前記第1撮影部よりも広い視野角を有する、
撮像装置。
【請求項2】
前記第2撮影部及び前記第3撮影部は、中心窩レンズを備え、視野の周辺部に比べ中央部の解像度が高い、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2画像及び前記第3画像は、像倍率が最も高い位置、または、前記像倍率が最も高い位置の前記第1画像の一部が配置される側の反対側で、前記第1画像に結合される、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2画像及び前記第3画像は、像倍率が最も高い領域が幾何学的中心からずれている、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記第1画像と、前記第2画像及び前記第3画像それぞれとの結合部分において、被写体の画像の大きさを一致または近似させるように、前記第1画像と前記第2画像及び前記第3画像との少なくとも何れかの画像を拡大または縮小する、請求項1から4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の方向から見たとき、前記第2撮影部及び前記第3撮影部は、前記第1撮影部を挟んで異なる側に配置される、請求項1から4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
第1撮影部により、第1の位置から第1の方向を撮像した第1画像、前記第1撮影部と視野を一部共有する第2撮影部により、前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第2の位置から第2の方向を撮影した第2画像、及び、前記第1撮影部と視野を一部共有する第3撮影部により、前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第3の位置から第3の方向を撮影した第3画像を取得する画像取得部と、
前記第2画像および前記第3画像のそれぞれの一部を、前記第1画像の一部と結合させた結合画像を生成する画像処理部と
を有し、
前記第2撮影部と前記第3撮影部とは、前記第1撮影部よりも長い焦点距離を有し、且つ、前記第1撮影部よりも広い視野角を有する、
画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後方中央及び左右側方に設けられた3つのカメラによりそれぞれ撮像された車両後方の画像を合成して、一つの広い視野の画像を生成する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の左右側方に設けられたカメラと、車両の後方中央に設けられたカメラとでは、車輌の進行方向に対する取付位置が異なるため、撮影対象までの距離が異なる。そのため、同じ仕様のカメラを用いた場合は、撮影された画像上での被写体の大きさが異なる。例えば、撮影対象からより遠い位置に位置する左右の側方に設けられたカメラの画像は、撮影対象により近い後方中央のカメラの画像よりも撮影対象が小さく撮影される。そのため、左右のカメラの画像と中央のカメラの画像とを結合させると、違和感が生じることがある。違和感を解消するために、中央のカメラの画像に適合するように、左右のカメラの画像を画像処理により拡大すると、左右のカメラの画像の画質が劣化することがある。
【0005】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、撮影対象までの距離が異なる複数のカメラの画像を合成して、人が感じる違和感を低減した広い視野の画像を得ることができる撮像装置および画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の撮像装置は、第1撮影部と、第2撮影部と、第3撮影部と、画像処理部とを備える。前記第1撮影部は、第1の位置から第1の方向を撮像した第1画像を取得する。前記第2撮影部は、前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第2の位置から第2の方向を撮影して第2画像を取得する。前記第2撮影部は、前記第1撮影部と視野を一部共有する。前記第3撮影部は、前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第3の位置から、第3の方向を撮影して第3画像を取得する。前記第3撮影部は、前記第1撮影部と視野を一部共有する。前記画像処理部は、前記第2画像および前記第3画像のそれぞれの一部を、前記第1画像の一部と結合させた結合画像を生成する。前記第2撮影部と前記第3撮影部とは、前記第1撮影部よりも長い焦点距離を有し、且つ、前記第1撮影部よりも広い視野角を有する。
【0007】
本開示の画像処理装置は、画像取得部と、画像処理部とを含む。前記画像取得部は、第1撮影部により、第1の位置から第1の方向を撮像した第1画像、前記第1撮影部と視野を一部共有する第2撮影部により、前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第2の位置から第2の方向を撮影した第2画像、及び、前記第1撮影部と視野を一部共有する第3撮影部により、前記第1の位置に対して前記第1の方向の反対側に位置する第3の位置から第3の方向を撮影した第3画像を取得する。前記画像処理部は、前記第2画像および前記第3画像のそれぞれの一部を、前記第1画像の一部と結合させた結合画像を生成する。前記第2撮影部と前記第3撮影部とは、前記第1撮影部よりも長い焦点距離を有し、且つ、前記第1撮影部よりも広い視野角を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施形態によれば、撮影対象までの距離が異なる複数のカメラの画像を合成して、人が感じる違和感を低減した広い視野の画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の撮像装置の各撮影部の配置と撮影範囲の一例を示す図である。
【
図3】それぞれのカメラ画像の切り出し部分を説明する図であり、(a)は左カメラ画像の切り出し部分を、(b)は、中央カメラ画像の切り出し部分を、(c)は、右カメラ画像の切り出し部分を、それぞれ説明する図である。
【
図4】合成画像とその倍率特性を説明する図である。
【
図5】画像処理部による画像合成方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0011】
(撮像装置の構成)
本開示の一実施形態に係る撮像装置10は、
図1に示すように、中央カメラ11、右カメラ12、左カメラ13、および、画像処理部14を含んで構成される。画像処理部14は、中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13の3つのカメラから出力された画像から合成した画像を、例えば表示部15を含む外部に出力するように構成される。
【0012】
(カメラ)
中央カメラ11は、第1撮影部である。右カメラ12および左カメラ13は、一方が第2撮影部であり、他方が第3撮影部である。中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13は、それぞれ、一つ以上のレンズと撮像素子とを有する。撮像素子は、CCDイメージセンサ(Charge-Coupled Device Image Sensor)、及びCMOSイメージセンサ(Complementary MOS Image Sensor)を含む。中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13は、それぞれ、レンズにより撮像素子の受光面に結像された画像を電気信号に変換するように構成される。中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13は、電気信号に変換された画像に対して、明度調整、コントラスト調整、ガンマ補正等の任意の画像処理を行ってよい。
【0013】
中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13は、それぞれ互いに異なる第1の位置、第2の位置および第3の位置に位置する。中央カメラ11の撮像する方向を第1の方向とする。第1の方向は、中央カメラ11の光軸の向く方向である。右カメラ12の位置である第2の位置は、中央カメラ11の光軸から離れた位置であって、第1の位置に対して第1の方向の反対側に位置する。すなわち、右カメラ12は、中央カメラ11の背面側、言い換えると中央カメラ11から見て被写体と反対側に位置する。右カメラ12の撮影する方向を第2の方向とする。第2の方向は、第1の方向と同じであっても異なってもよい。左カメラ13の位置である第3の位置は、中央カメラ11の光軸から離れた位置であって、第1の位置に対して第1の方向の反対側に位置する。すなわち、左カメラ13は、中央カメラ11の背面側に位置する。右カメラ12の撮影する方向を第3の方向とする。第3の方向は、第1の方向と同じであっても異なってもよい。右カメラ12は、中央カメラ11から中央カメラ11の撮像する方向を向いたとき、中央カメラ11の光軸の右側に位置してよい。左カメラ13は、中央カメラ11から中央カメラ11の撮像する方向に向いたとき、中央カメラ11の光軸方向の左側に位置してよい。右カメラ12および左カメラ13は、第1方向から見たとき、中央カメラ11を挟んで異なる側に位置する。これによって、撮像装置10は、左右方向に広い範囲を撮像する対象の領域としてカバーすることができる。
【0014】
一実施形態において、撮像装置10は、
図2に示すように車両20に搭載される。「車両」は、自動車、軌道車両、産業車両、及び生活車両を含むが、これらに限られない。自動車は、乗用車、バス及びトラック等を含む。撮像装置10は、「車両」以外の移動体に搭載されてよい。移動体は、航空機、船舶、および、ロボット等を含んでよい。一例として、
図2の車両20は、自動車であるものとして説明する。
【0015】
中央カメラ11は、光軸Oを車両20の後方に向けて、車両20の後部中央に固定されるリアカメラである。中央カメラ11は、被写体距離d1離れて位置する被写体に対して焦点が合うように設計される。右カメラ12は、車両20の右側に配置され、車両20の右側方及び後方を撮像可能な右サイドカメラである。右カメラ12は、例えば、右側のドアミラーの位置に配置することができる。左カメラ13は、車両20の左側に配置され、車両20の左側方及び後方を撮像可能な左サイドカメラである。左カメラ13は、例えば、左側のドアミラーの位置に配置することができる。右カメラ12および左カメラ13は、被写体距離d2(d2>d1)離れて位置する被写体に対して焦点が合うように設計される。一例として、d1およびd2は、それぞれは10mおよび12.5mとすることができる。この場合、右カメラ12および左カメラ13は、中央カメラ11に比べて約2.5mだけ長く被写体から離れて位置する。
【0016】
車両20において、右カメラ12および左カメラ13は、車両20周辺の監視のために使用される。撮像装置10の死角を減らすため、右カメラ12および左カメラ13の視野角θR,θLは広い方が好ましい。例えば、右カメラ12および左カメラ13は、約90度の視野角を有する。約50度の中央カメラ11の視野角θCに比べ、右カメラ12の視野角θRおよび左カメラ13の視野角θLは大きい。中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13が撮影する映像は後述するように結合される。従って、それぞれのカメラが撮影する同一の被写体は、同一、もしくは同程度の大きさに撮影されることが望ましい。しかし、広い視野角を持つカメラは一般的に焦点距離が短くなる。このため、右カメラ12および左カメラ13と、これらよりも車両20の後方に取り付けた中央カメラ11との倍率を合わせにくいという問題がある。
【0017】
このため、本開示の撮像装置10では、右カメラ12および左カメラ13として、中心窩レンズを用いたカメラを採用する。中心窩レンズを用いたカメラは、視野の中央部の解像度が周辺領域の解像度に比べて高いカメラである。ここで、解像度とは例えば画角1度あたりに含まれるピクセルの数である。中心窩レンズで撮像した画像は、中央領域の画像が、周辺領域の画像に対して拡大されている。一例として、最も画像の拡大率が高くなる中央領域の解像度の最大値は、最も画像の縮小率が大きくなる周辺領域の解像度の最低値に比べ、2.5倍以上であり、例えば3倍程度である。中央領域は、例えば光軸を中心とする所定範囲の領域である。中心窩レンズを用いることにより、右カメラ12および左カメラ13は、中央カメラ11の視野角θCよりも広い視野角θR,θLを有しながら、中央カメラ11の焦点距離よりも長い焦点距離を有することができる。これによって、右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lの中央部分で、被写体の大きさを中央カメラ画像30Cの画像の被写体の大きさに近づけることができる。なお、中心窩レンズにおいて、画像の拡大率が最大となる部分は、必ずしも画像の中心である必要はない。例えば、右カメラ画像30Rにおける拡大率のピーク位置は左方向、すなわち中央カメラ11の光軸側にシフトしていても良い。同様に、左カメラ画像30Lにおける拡大率のピーク位置は右方向、すなわち中央カメラ11の光軸側にシフトしていても良い。
【0018】
図2の下部に、それぞれ中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13により撮像される、中央カメラ画像30C、右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lが示される。中央カメラ画像30Cは第1画像である。右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lの一方は第2画像である。他方は第3画像である。中央カメラ11と右カメラ12とは、視野を一部共有する。中央カメラ11と左カメラ13とは、視野を一部共有する。このため、中央カメラ画像30Cと右カメラ画像30Rとは、画像中に含まれる被写体が一部重複する。また、中央カメラ画像30Cと左カメラ画像30Lとは、画像中に含まれる被写体が一部重複する。
図2において、中央カメラ画像30Cと右カメラ画像30Rとの被写体が重複する重複領域A1、および、中央カメラ画像30Cと左カメラ画像30Lとの被写体が重複する重複領域A2が示される。重複領域A1には、右カメラ画像30Rの倍率がピークとなる部分が含まれてよい。重複領域A2には、左カメラ画像30Lの倍率がピークとなる部分が含まれてよい。
【0019】
(画像処理部)
図1の画像処理部14は、画像処理装置と言い換えることができる。画像処理部14は、入力部16、制御部17、記憶部18及び出力部19を含む。
【0020】
入力部16は、中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13のそれぞれから、中央カメラ画像30C、右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lを取得する。入力部16は、画像取得部である。入力部16は、画像処理部14への画像データの入力を受ける入力インタフェースである。入力部16は、物理コネクタ、及び無線通信機を含んでよい。入力部16には、中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13の各々が撮像した画像の画像データが入力される。入力部16は入力された画像データを制御部17に引き渡す。
【0021】
制御部17は、画像処理部14全体の制御を行うとともに、入力部16が取得した中央カメラ画像30C、右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lに対して画像処理を行う。制御部17は、一つまたは複数のプロセッサを含む。プロセッサには、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、特定の処理に特化した専用のプロセッサが含まれる。専用のプロセッサには、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)が含まれる。プロセッサには、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)が含まれる。PLDには、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が含まれる。制御部17は、一つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及びSiP(System In a Package)のいずれかであってよい。
【0022】
制御部17は、記憶部18に記憶された画像処理プログラムを実行することができる。記憶部18は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、および光メモリ等の何れか一つ以上を含む。制御部17が実行する画像処理には、入力部16が取得した中央カメラ画像30C、右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lを結合する処理を含む。制御部17は、右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lのそれぞれ一部を、中央カメラ画像30Cの一部と結合させた結合画像を生成することができる。結合画像は、車両20に対して後方の広い範囲の風景を示す一枚の画像となる。制御部17による画像の結合が、
図3および
図4に示される。
【0023】
図3(a)は、左カメラ画像30Lと、左カメラ画像30Lの左右方向の各位置での像倍率を示す像倍率曲線32Lとを示す。像倍率曲線32Lは、左カメラ画像30Lの左右方向に延びる仮想線33Lに沿う像倍率の変化を示す。像倍率曲線32Lは、左カメラ13のレンズの倍率特性に対応する。左カメラ13のレンズは中心窩レンズである。このため、左カメラ画像30Lは、周辺領域に対して中央領域の倍率が高い。言い換えれば、周辺領域に対して中央領域の解像度が高い。像倍率がピークとなる位置を倍率ピーク位置と呼ぶ。左カメラ画像30Lの像倍率は、倍率ピーク位置から離れるに従って低下する。左カメラ画像30Lの像倍率は、倍率ピーク位置において中央カメラ画像30Cの像倍率と同じ値、または、中央カメラ画像30Cの像倍率に近い値とすることができる。
【0024】
制御部17は、左カメラ画像30Lの倍率ピーク位置、または、倍率ピーク位置の中央カメラ画像30Cが配置される側の反対側にずれた位置を境界として、中央カメラ画像30Cの反対側の領域を左部分画像31Lとして切り出す。すなわち、制御部17は、倍率ピーク位置、または、倍率ピーク位置よりも左側にずれた位置を境界として、左カメラ画像30Lの左側の領域を左部分画像31Lとして切り出す。左部分画像31Lを切り出す境界の位置を、倍率ピーク位置の右側にずれた位置とすると、左部分画像31L内に倍率のピーク位置に対して倍率の低い部分が左右に存在するため、結合した画像が見づらくなる虞がある。そのような画像では、例えば、結合した画像における被写体の大きさの変化の連続性が失われ、結合位置が顕在化する恐れがある。左部分画像31Lを切り出す境界の位置を、倍率ピーク位置の右側にずれた位置にした場合、後述する中央部分画像31Cとの結合において、左部分画像31Lの一部に画像の拡大処理が必要となる場合がある。
【0025】
倍率ピーク位置は、左カメラ画像30Lの幾何学的な中心に位置してよいが、幾何学的中心からずれていてもよい。
図3(a)の例では、左カメラ画像30Lの倍率ピーク位置は、中央カメラ画像30Cが撮像する領域側にずれている。このようにすることによって、左カメラ画像30Lと中央カメラ画像30Cの画像を結合することを容易とし、且つ、広い結合画像を得ることができる。
【0026】
図3(b)は、中央カメラ画像30Cと、中央カメラ画像30Cの横方向の各位置での像倍率を示す像倍率曲線32Cとを示す。像倍率曲線32Cは、中央カメラ画像30Cの左右方向に延びる仮想線33Cに沿う像倍率の変化を示す。中央カメラ11には、倍率特性が何れの方向においても略一定な通常のレンズが使用される。このため、像倍率曲線32Cは、平坦に近い形状となっている。制御部17は、左カメラ画像30Lおよび右カメラ画像30Rから切り出される左部分画像31L及び右部分画像31R(
図3(c)参照)と被写体が重なる部分を中央カメラ画像30Cから除いた部分を、中央部分画像31Cとして切り出す。
【0027】
図3(c)は、右カメラ画像30Rと、右カメラ画像30Rの横方向の各位置での像倍率を示す像倍率曲線32Rとを示す。
図3(c)は、
図3(a)と線対称であり、左右の違いを除けば
図3(a)と同じであるから、説明を省略する。制御部17は、右カメラ画像30Rから右部分画像31Rを切り出す。
【0028】
中央カメラ11により撮像される被写体の画像の大きさと、右カメラ12および左カメラ13により撮像される被写体の画像の倍率ピーク位置での大きさとは、画像を切り出した境界において、一致することが好ましい。すなわち、左部分画像31Lと中央部分画像31Cの結合位置において、被写体の大きさが一致していることが好ましい。同様に、右部分画像31Rと中央部分画像31Cの結合位置において、被写体の大きさが一致していることが好ましい。しかし、それらの画像において被写体の大きさが一致しなかったとしても、制御部17は、画像の拡大または縮小処理によって、それら被写体の画像の大きさを一致または近似させるように補正することができる。右カメラ12と左カメラ13は、それぞれ中心窩レンズを用いるカメラであるため、中央部分画像31Cと、右部分画像31R及び左部分画像31Lとの結合位置における被写体の大きさは概ね近似させることができるため、画像の縮小又は拡大処理による画像劣化の影響を小さくすることができる。なお、中央カメラ画像30Cと、右カメラ画像30R及び左カメラ画像30Lとの境界(すなわち、中央カメラ画像30、右カメラ画像30R、および、左カメラ画像30Lの切り出し線)は直線に限られず、曲線状の切り出し線で切りだしてもよい。
【0029】
制御部17は、中央カメラ画像30C、右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lから、それぞれ切り出した中央部分画像31C、右部分画像31Rおよび左部分画像31Lを結合させ、
図4に示すように結合画像34を生成する。結合画像34の像倍率を示す結合された像倍率曲線35は、中央部の広い領域で像倍率が高く周辺部に向けて像倍率が低下する。これによって結合画像34は、中央部において広い高精細な領域を有する、広い視野の画像となる。
【0030】
制御部17は、結合画像34を、出力部19を介して表示部15等の他の装置に出力することができる。出力部19は、結合画像34の画像データを外部に出力する出力インタフェースである。出力部19は、物理コネクタ、及び無線通信機を含んでよい。一実施形態において、出力部19は、CAN(Control Area Network)等の車両20のネットワークに接続されることができる。
【0031】
結合画像34を表示する表示部15は、任意の表示装置を採用することができる。例えば、表示部15は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、等の種々のフラットパネルディスプレイを採用しうる。表示部15は、他の装置、例えばナビゲーション装置のディスプレイを共用してよい。表示部15は、車両20の後方を映す電子ミラーとして使用することができる。
【0032】
(処理フロー)
以下に、
図5を参照して、制御部17が実行する画像処理方法を説明する。制御部17は、記憶部18に記憶された画像処理プログラムに従って、
図5に示されるフローチャートの処理を実行する。画像処理プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記録されたプログラムを読み込んで実装されてよい。非一時的なコンピュータ可読媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、光磁気記憶媒体、半導体記憶媒体を含むがこれらに限られない。
【0033】
まず、制御部17は、中央カメラ11、右カメラ12および左カメラ13から、それぞれ、中央カメラ画像30C,右カメラ画像30Rおよび左カメラ画像30Lを取得する(ステップS101)。
【0034】
ステップS101の後、制御部17は、右カメラ画像30Rの倍率ピーク位置の右側部分から右部分画像31Rを切り出す(ステップS102)。
【0035】
制御部17は、左カメラ画像30Lの倍率ピーク位置の左側部分から左部分画像31Lを切り出す(ステップS103)。
【0036】
制御部17は、中央カメラ画像30Cの右部分画像31Rおよび左部分画像31Lと被写体が重なる部分を除いた中央部分から中央部分画像31Cを切り出す(ステップS104)。
【0037】
ステップS102、S103およびS104が実行される順序は、
図5に示される順序に限られない。ステップS102、S103およびS104は、
図5と異なる順序で実行されてよい。また、ステップS102、S103およびS104は、同時並行して実行されてよい。
【0038】
ステップS102からS104が終了した後、制御部17は、中央部分画像31C、右部分画像31Rおよび左部分画像31Lに対して、画像処理を行う(ステップS105)。ステップS105で行う画像処理は、画像の拡大または縮小を含む。制御部17は、中央部分画像31Cと右部分画像31Rおよび左部分画像31Lとが、結合する境界部分である結合部分で被写体の大きさが一致しない場合、何れかの画像を拡大または縮小させて、被写体の大きさを一致または近似させることができる。また、制御部17は、必要な場合、右部分画像31Rおよび左部分画像31Lの歪を補正する処理を行ってよい。制御部17は、これらの補正に加え、画像間の結合部分をより自然に見せるための補正を行ってよい。
【0039】
ステップS105の後、制御部17は、中央部分画像31C、右部分画像31Rおよび左部分画像31Lを結合して、結合画像34を生成する(ステップS106)。
【0040】
制御部17は、ステップS105で生成した結合画像34を表示部15に出力させる(ステップS107)。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、中央カメラ11よりも被写体から離れて位置する右カメラ12および左カメラ13が、中央カメラ11よりも長い焦点距離を有し、且つ、中央カメラ11よりも広い視野角を有する中心窩レンズを採用する。これによって、右カメラ12および左カメラ13は、中央カメラ11よりも広い視野角を有する。また、右カメラ12および左カメラ13に中心窩レンズを用いたことにより、右部分画像31Rおよび左部分画像31Lと、中央部分画像31Cとは、互いの結合部分において画像内の被写体の大きさを一致させるか又は近づけることができる。これによって、中央部分画像31Cと右部分画像31Rおよび左部分画像31Lとは、違和感が無い態様、または、違和感が低減された態様で結合させることができる。さらに、右部分画像31Rおよび左部分画像31Lの中央部分画像31Cとの結合部分近傍は、中央部分画像31Cと同様の高精細な画像となる。したがって、撮像装置10は、中央部において高精細であり、且つ、人が感じる違和感を低減した広い視野の画像を生成することが可能になる。また、撮像装置10では、中央部分画像31Cと右部分画像31Rおよび左部分画像31Lとを結合させるために、画像の拡大等の処理を行う場合でも、画像の拡大率を小さくすることができる。これによって、画像拡大により生じる画像の劣化を最小限にすることができる。
【0042】
撮像装置10が出力する結合画像34は、車両20の電子ミラーの画像として使用することができる。結合画像34は、中央部分が拡大され、左右の周辺部分が縮小された画像となる。電子ミラーで観察される画像は、中央部分の重要度が高く、相対的に周辺部分の重要度が低い。このため、撮像装置10が出力する結合画像34は、電子ミラー等、車両20の安全運転を支援する装置への用途に好適である。
【0043】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、中央カメラ11は1台のカメラでなく複数のカメラの組み合わせとし、中央カメラ画像30Cをそれらのカメラの撮影画像を組み合わせて生成しても良い。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0044】
10 撮像装置
11 中央カメラ(第1撮影部)
12 右カメラ(第2撮影部)
13 左カメラ(第3撮影部)
14 画像処理部(画像処理装置)
15 表示部
16 入力部(画像取得部)
17 制御部
18 記憶部
19 出力部
20 車両
30C 中央カメラ画像
30R 右カメラ画像
30L 左カメラ画像
31C 中央部分画像
31R 右部分画像
31L 左部分画像
32C、32R、32L 像倍率曲線
33C、33R、33L 仮想線
34 結合画像
35 結合された像倍率曲線
A1、A2 重複領域
d1、d2 被写体距離
θC、θR、θL 視野角
O 光軸