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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098339
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】配線カバー装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
A47B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211824
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】519025895
【氏名又は名称】株式会社上川
(71)【出願人】
【識別番号】504292783
【氏名又は名称】トウカイトップ有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 武彦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 房雄
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NN01
(57)【要約】
【課題】配線カバーを開閉するための作業効率を良くすることができる配線カバー装置を提供すること。
【解決手段】配線カバー10の裏面10bに設けられた軸受け部31,32は、それぞれ内壁24に設けられた回動軸50,51に軸支されており、配線カバー10の前端を持ち上げると、配線カバー10は回動軸51を回動中心にして後方へ回動する。このとき、軸受け部32の切欠き部32bの開口幅が回動軸51の上下方向の最大長よりも短いため、回動中に回動軸51が切欠き部32bを介して離脱し、配線カバー10が外れることがない。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルの天板に形成された開口部を開閉する配線カバーを着脱可能に備えた配線カバー装置であって、
前記開口部を形成する内壁に前記配線カバーを回動可能に軸支するための1対の軸支構造を備えており、
前記軸支構造は、
回動軸と、前記回動軸を軸支する軸受け部とを備えており、
前記回動軸は、縦断面が上下方向に長い形状に形成されており、
前記軸受け部は、
縦断面が円弧状の軸受け面と、
前記軸受け面の周方向に形成されており前記回動軸を挿入するための切欠き部とを有し、
前記切欠き部の開口幅が前記回動軸の上下方向の最大長よりも短く、
前記配線カバーは、
前記1対の軸支構造のうち、いずれの軸支構造によっても回動可能であり、回動することにより前記開口部を開閉可能であることを特徴とする配線カバー装置。
【請求項2】
前記回動軸のうち、前記軸受け面と接触する部分は、外方に膨らんだ円弧面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線カバー装置。
【請求項3】
前記開口部の底部には、前記内壁と連続する底壁が設けられており、
前記内壁および前記底壁の少なくとも1つには、配線を挿通するための挿通孔が貫通形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線カバー装置。
【請求項4】
前記配線カバーの表面には、前記天板の意匠を形成する化粧板が取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルの天板に形成された開口部を開閉する配線カバーを着脱可能に備えた配線カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OA化が進み、テーブルでPCなどを使った会議などを行う機会が増えている。このような場合、PCと接続される電源コードやLANケーブルなどの配線がテーブルの上を通ると、邪魔になるし見栄えが悪いため、配線をテーブルの天板の開口部に通すようにした配線カバー装置が使用されることがある。従来、この種の配線カバー装置として、天板1の略中央部に形成された開口部3と、その開口部3に装着するカバー体4(配線カバー)とを備え、カバー体4の裏面に設けられたラッチ10を開口部3の下方に設けられたラッチ受け11に係合させる構造のものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-141591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来の配線カバー装置は、配線を行うときに、配線カバー(カバー体4)を開口部3から取り外さなければならない。さらに、配線カバーを開口部3に装着するときに、配線カバーの上からはラッチ10の位置が分からないため、ラッチ10とラッチ受け11との位置合わせが難しい。つまり、前述した従来の配線カバー装置は、配線カバーを開閉するための作業効率が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、上記の問題を解決するために創出されたものであって、配線カバーを開閉するための作業効率を良くすることができる配線カバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
上述した目的を達成するため、本願の第1発明に係る配線カバー装置(1)は、
テーブル(2:図1)の天板(2a)に形成された開口部(2b)を開閉する配線カバー(10)を着脱可能に備えた配線カバー装置(1)であって、
開口部(2b)を形成する内壁(21~24、71~74)に配線カバー(10)を回動可能に軸支する1対の軸支構造を備えており、
軸支構造は、
回動軸(50,51)と、回動軸(50,51)を軸支する軸受け部(31,32)とを備えており、
回動軸(50,51)は、縦断面が上下方向に長い形状に形成されており、
軸受け部(31,32)は、
縦断面が円弧状の軸受け面(31a,32a)と、
軸受け面(31a,32a)の周方向に形成されており回動軸(50,51)を挿入するための切欠き部(31b,32b)とを有し、
切欠き部(31b、32b)の開口幅(W1:図5(C))が回動軸(50,51)の上下方向の最大長(H1:図5(B))よりも短く、
配線カバー(10)は、
1対の軸支構造のうち、いずれの軸支構造によっても回動可能であり、回動することにより開口部(2b)を開閉可能であることを特徴とする。
【0007】
(第1発明の効果)
配線カバーは、1対の軸支構造のうち、いずれの軸支構造によっても回動可能であり、回動することにより開口部を開閉可能であるため、配線カバーを回動させた状態で配線作業を行うことができるので、配線カバーを取り外す必要がない。
しかも、配線作業が終了したときは、配線カバーを回動させることにより、容易に開口部を閉成することができる。
さらに、軸受け面の切欠き部の開口幅が、回動軸の上下方向の最大長よりも短いため、回動中に、回動軸が切欠き部を介して離脱するおそれがないので、配線カバーが回動中に外れるおそれがなく、安定した状態で回動させることができる。
【0008】
(第2発明)
本願の第2発明に係る配線カバー装置は、前述した第1発明に係る配線カバー装置(1)において、
回動軸(50,51)のうち、軸受け面(31a,32a)と接触する部分(50a,50b、51a,51b)は、外方に膨らんだ円弧面に形成されていることを特徴とする。
【0009】
(第2発明の効果)
回動軸のうち、軸受け面と接触する部分は、外方に膨らんだ円弧面に形成されているため、配線カバーが回動するときの軸受け面と回動軸との接触摩擦を小さくすることができるので、配線カバーを滑らかに回動させることができる。
【0010】
(第3発明)
本願の第3発明に係る配線カバー装置は、前述した第1発明または第2発明に係る配線カバー装置(1)において、
開口部(2b)の底部には、内壁(71~74)と連続する底壁(75)が設けられており、
内壁(71~74)および底壁(75)の少なくとも1つには、配線を挿通するための挿通孔(75a)が貫通形成されていることを特徴とする。
【0011】
(第3発明の効果)
内壁および底壁の少なくとも1つには、配線を挿通するための挿通孔が貫通形成されているため、配線を挿通孔に挿通することにより、配線をまとめることができる。また、電源タップやLANケーブルのハブなどを底壁に載置しておくことができるため、便利である。
【0012】
(第4発明)
本願の第4発明に係る配線カバー装置は、前述した第1発明ないし第3発明のいずれか1つに係る配線カバー装置(1)において、
配線カバー(10)の表面には、天板(2a)の意匠を形成する化粧板(40)が取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
(第4発明の効果)
配線カバーの表面には、テーブルの天板の意匠を形成する化粧板が取り付けられているため、配線カバーを天板に配置することにより、天板の意匠が損なわれるおそれがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の配線カバー装置によれば、配線カバーを開閉するための作業効率を良くすることができる配線カバー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る配線カバー装置がテーブルの天板の開口部に取り付けられた状態を示す平面図であり、(B)はテーブルの天板に形成された開口部を示す平面図である。
図2図1(B)に示す開口部を拡大した説明図であり、(A)は平面図、(B)は後面図である。
図3図2(A)のA-A矢視断面図である。
図4】(A)は図1(A)に示す配線カバー装置の平面図であり、(B)は後面図である。
図5】(A)は図4(A)のB-B矢視断面図、(B)は(A)に示す回動軸の説明図、(C)は(A)に示す軸受け部の説明図である。
図6】配線カバーが回動する状態を示す説明図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る配線カバー装置に備えられた配線受けの説明図であり、(A)は平面図、(B)は後面図、(C)は右側面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る配線カバー装置の説明図であり、(A)は配線カバーに設けられた回動軸の後面図、(B)は左側面図、(C)は内壁に設けられた軸受け部の後面図、(D)は右側面図、(E)は回動軸が軸受け部に軸支された状態を示す後面説明図、(F)は右側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈第1実施形態〉
本発明の第1実施形態に係る配線カバー装置について図を参照しつつ説明する。
図1(B)に示すように、テーブル2の天板2aには、開口部2bが形成されている。開口部2bは、電源コードやLANケーブルなどの配線を天板2aの裏面から表面に導出するために天板2aに開口形成されたものである。例えば、テーブル2を使って会議などを行う場合は、電源コードやLANケーブルなどの配線は、天板2aの裏面から開口部2bを介して天板2aの表面に導出され、天板2aに置かれたPCなどのOA機器に接続される。
開口部2bは、平面(天板2aの真上)から見て左右方向に長い長方形に形成されており、その開口部2bには枠20が装着されている。図1(A)に示すように、枠20には、開口部2bを覆う配線カバー10が着脱可能に装着されている。本実施形態の配線カバー装置1は、配線カバー10および枠20を備えている。つまり、配線カバー装置1は、テーブル2の天板2aに形成された開口部2bを覆う配線カバー10を着脱可能に備えた配線カバー装置である。
【0017】
図2および図3に示すように、枠20は、前後方向に相対向する1対の内壁21,22と、左右方向に相対向する1対の内壁23,24とを備えている。各内壁21~24によって囲まれた部分が開口部2bを形成している。各内壁21~24は、それぞれ四角形の板状に形成されている。内壁21の上縁からは鍔部21aが外方に張り出しており、内壁22の上縁からは鍔部22aが外方に張り出している。また、内壁23の上縁からは鍔部23aが外方に張り出しており、内壁24の上縁からは鍔部24aが外方に張り出している。各鍔部21a~24aは、枠20を開口部2bに装着するときに、開口部2bの表面側の周縁に係止され、これにより、枠20が開口部2bから落下することなく、開口部2bに装着された状態が維持される。
【0018】
図2(A)に示すように、内壁23には、配線カバー10を回動させるための回動軸50,51がそれぞれ開口部2bに向けて突出形成されている。回動軸50,51は前後方向に所定距離を隔てて配置されている。また、内壁23と相対向する内壁24には、配線カバー10を回動させるための回動軸50,51がそれぞれ開口部2bに向けて突出形成されている。回動軸50,51は前後方向に上記の所定距離を隔てて配置されている。内壁23に設けられた回動軸50と内壁24に設けられた回動軸50とは相対向しており、内壁23に設けられた回動軸51と内壁24に設けられた回動軸51とは相対向している。つまり、相対向する1対の内壁23,24には、水平方向(図では左右方向)で相対向する2対の回動軸50,50および回動軸51,51が、それぞれ開口部2bに向けて突出形成されている。
【0019】
図5(B)に示すように、各回動軸50は縦断面が上下方向に長い形状であって、上下方向の最大長がH1である形状に形成されており、その上端面50aおよび下端面50bは、それぞれ外方に膨らんだ円弧面に形成されている。換言すると、各回動軸50は、縦断面が長孔(陸上競技場のトラックの形状)に形成されている。また、各回動軸51は回動軸50と同一の形状に形成されている。後述するように、相対向する回動軸50には軸受け部31が回動可能に軸支され、相対向する回動軸51には軸受け部32が回動可能に軸支される。
【0020】
図4に示すように、配線カバー10は、平面から見て左右方向に長い長方形に形成されており、開口部2b(図1(B))に合致した形状に形成されている。図5(A)に示すように、配線カバー10の裏面10bには、回動軸50に回動可能に軸支される軸受け部31と、回動軸51に回動可能に軸支される軸受け部32とが設けられている。つまり、配線カバー10の裏面10bには、前後方向で相対向する1対の軸受け部31,32が設けられている。
各軸受け部31,32は、長尺に形成されており、それぞれ配線カバー10の裏面10bにおいて長手方向(左右方向)に亘って設けられている。軸受け部31の中心線と軸受け部31の中心線は相互に平行である。図4(B)では、配線カバー10の裏面10bにおいて長手方向に亘って設けられた軸受け部32を図示している。軸受け部31は、相対向する回動軸50,50に軸支される長さに形成されており、軸受け部32は、相対向する回動軸51,51に軸支される長さに形成されている。
【0021】
図5(A)に示すように、軸受け部31は、各回動軸50に軸支される面である軸受け面31aを有する。軸受け面31aは、縦断面が円弧状に形成されており、その直径Φは、回動軸50の上下方向の最大長H1(図5(B))よりも長い。これにより、軸受け部31は回動軸50が挿入された状態で回動することができる。また、軸受け面31aの周方向の下部(真下を向く方向)には、回動軸50を上端面50aから挿入するための切欠き部31bが形成されている。切欠き部31bの開口幅W1は、回動軸50の最大長H1よりも短い。これにより、配線カバー10の後端が持ち上げられ、配線カバー10が回動軸50を回動中心にして回動した場合であっても、回動軸50が切欠き部31bから離脱しないため、回動中に配線カバー10が外れることがない。
【0022】
回動軸51に軸支される軸受け部32は、軸受け部31と同一の構造および大きさである。回動軸50および軸受け部31、ならびに、回動軸51および軸受け部32が、それぞれ軸支構造を構成している。つまり、本実施形態の配線カバー装置1は、開口部2bを形成する内壁23,24に配線カバー10を回動可能に軸支するための1対の軸支構造を備えている。
回動軸50の上端面50aおよび下端面50b、ならびに、回動軸51の上端面51aおよび下端面51bは、本発明の「軸受け面と接触する部分」の一例である。
また、図4および図5(A)に示すように、配線カバー10の表面10aには、天板2aの意匠を形成する化粧板40が取り付けられている。配線カバー装置1は、種々の意匠が形成された天板2aに装着可能であるため、配線カバー装置1を天板2aに装着したときに、配線カバー10の意匠と天板2aの意匠とが同一または類似している方が、意匠の統一感があり、美的観点からも望ましい。
そこで、本実施形態では、化粧板40として、配線カバー装置1を装着する天板2aの意匠と同じ意匠、あるいは、類似する意匠が表面に形成されたものを用いる。
【0023】
また、図4および図5に示すように、配線カバー10の前端と内壁21との間、ならびに、配線カバー10の後端と内壁22との間には、それぞれブラシ60が設けられている。配線カバー10の前端と内壁21との間、および、配線カバー10の後端と内壁22との間には、それぞれ配線を通すための隙間が形成されるが、その各隙間から塵芥が開口部2bに浸入しないようにするため、その隙間を塞ぐようにしてブラシ60が設けられている。各ブラシ60は、配線を開口部2bと天板2aとの間に通す役割と、塵芥が開口部2bに浸入することを阻止する役割とを果たす。
【0024】
ブラシ60は、固定部材61と、ブラシ本体62とを備えている。ブラシ本体62は、合成樹脂製の多数の毛から形成されている。配線カバー10の前端に設けられたブラシ60のブラシ本体62を形成する各毛は、配線カバー10の前端から内壁21の内面に向けて延びており、配線カバー10の後端に設けられたブラシ60のブラシ本体62を形成する各毛は、配線カバー10の後端から内壁22の内面に向けて延びている。
固定部材61は、ブラシ本体62の基端を固定する部材であり、例えば、金属製材料により形成された1対の部材により構成されており、その各部材間にブラシ本体62の基端が挾持されている。配線カバー10の前端および後端には、固定部材61を挿通するための挿通孔30cが、配線カバー10の前端および後端に沿って形成されている。各挿通孔30cには、固定部材61から突出したブラシ本体62を通すための開口部30dがそれぞれ形成されている。ブラシ本体62を形成する毛は可撓性を有するため、ブラシ本体62を通った配線は、ブラシ本体62を形成する毛によって囲まれた状態になり、ブラシ本体62と配線との間に隙間が形成され難いため、塵芥が開口部2bに浸入し難い。また、各ブラシ60の固定部材61は、それぞれ挿通孔30cに沿って長手方向に移動可能であり、配線カバー10の右端または左端から取り出すことができる。これにより、配線カバー10から取り出した各ブラシ60を掃除したり、洗浄したりすることができる。
【0025】
図6において破線で示すように、配線カバー10を前端から開く場合は、その前端を持ち上げると、配線カバー10は、後端の回動軸51を回動中心にして後方(図では反時計回り)に回動する。このとき、軸受け部32の切欠き部32bの開口幅W1(図5(C))は、回動軸51の最大長H1(図5(B))よりも短いため、配線カバー10の回動中に回動軸51が切欠き部32bから離脱し、配線カバー10が枠20から外れることがない。
また、配線カバー10を後端から開く場合は、その後端を持ち上げると、配線カバー10は、前端の回動軸50を回動中心にして前方(図では時計回り)に回動する。このとき、軸受け部31の切欠き部31bの開口幅W1(図5(C))は、回動軸50の最大長H1(図5(B))よりも短いため、配線カバー10の回動中に回動軸50が切欠き部31bから離脱し、配線カバー10が枠20から外れることがない。
【0026】
また、配線カバー10を枠20から取り外す場合は、配線カバー10を真上に持ち上げると、回動軸50が軸受け部31の切欠き部31bから真下に離脱し、かつ、回動軸51が軸受け部32の切欠き部32bから真下に離脱するため、配線カバー10を枠20から取り外すことができる。
つまり、配線カバー10は、1対の軸支構造のうち、いずれの軸支構造によっても回動可能であり、回動することにより開口部2bを開閉可能である。
また、配線カバー10を枠20に装着する場合は、配線カバー10を開口部2bの開口面に対して平行に下降させ、回動軸50の上端面50aを軸受け部31の切欠き部31bから挿入し、かつ、回動軸51の上端面51aを軸受け部32の切欠き部32bから挿入することにより、配線カバー10を枠20に装着することができる。
【0027】
[第1実施形態の効果]
(1)上述した第1実施形態に係る配線カバー装置1によれば、配線カバー10は、1対の軸支構造のうち、いずれの軸支構造によっても回動可能であり、回動することにより開口部2bを開閉可能であるため、配線カバー10を回動させた状態で配線作業を行うことができるので、配線カバー10を取り外す必要がない。
しかも、配線作業が終了したときは、配線カバー10を回動させることにより、容易に開口部2bを閉成することができる。
【0028】
(2)さらに、前述した第1実施形態に係る配線カバー装置1によれば、軸受け部31,32の各切欠き部31b,32bの各開口幅W1が、各回動軸50,51の上下方向の最大長H1よりもそれぞれ短いため、回動中に、回動軸50または回動軸51が切欠き部31b,32bを介して軸受け部31,32から離脱するおそれがないので、配線カバー10が回動中に外れるおそれがなく、安定した状態で回動させることができる。
【0029】
(3)さらに、前述した第1実施形態に係る配線カバー装置1によれば、各回動軸50,51の各上端面50a,51aおよび各下端面50b,51bは、それぞれ外方に膨らんだ円弧面に形成されているため、配線カバー10が回動するときの軸受け面31a,32aと回動軸50,51との接触摩擦を小さくすることができるので、配線カバー10を滑らかに回動させることができる。
【0030】
(4)つまり、前述した第1実施形態に係る配線カバー装置1によれば、配線カバー10を開閉するための作業効率を良くすることができる配線カバー装置を提供することができる。
(5)さらに、前述した第1実施形態に係る配線カバー装置1によれば、配線カバー10の表面10aには、テーブル2の天板2aの意匠を形成する化粧板40が取り付けられているため、配線カバー10を天板2aに配置することにより、天板2aの意匠が損なわれるおそれがない。
【0031】
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態について図を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る配線カバー装置は、前述した第1実施形態の配線カバー装置1が備える配線カバー10と同一の配線カバーを備えている。前述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、詳細な説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る配線カバー装置は、配線カバー10と、図7に示す容器70とを備えている。容器70は、電源に接続されたテーブルタップ、LAN端子を接続するハブなどを収容するものであり、上面開口の箱状に形成されている。容器70は、前後に相対向する一対の内壁71,72と、左右に相対向する一対の内壁73,74と、各内壁71~74の各下端と連続形成された底壁75とを備えている。底壁75には、電源ケーブルやLANケーブルなどの配線を挿通するための挿通孔75aが貫通形成されている。各内壁71~74によって囲まれた部分が、天板2aの開口部2b(図1(B))を形成している。
【0033】
各内壁71~74は、それぞれ四角形の板状に形成されている。内壁71の上縁からは鍔部71aが外方に張り出しており、内壁72の上縁からは鍔部72aが外方に張り出している。また、内壁73の上縁からは鍔部73aが外方に張り出しており、内壁74の上縁からは鍔部74aが外方に張り出している。各鍔部71a~74aは、容器70を開口部2b(図1(B))に装着するときに、開口部2bの表面側の周縁に係止され、これにより、容器70が開口部2bから落下することなく、開口部2bに装着された状態が維持される。
【0034】
また、内壁73には、回動軸50,51がそれぞれ内壁74に向けて突出形成されており、内壁74には、回動軸50,51がそれぞれ内壁73に向けて突出形成されている。配線カバー10の軸受け部31(図5(A))は、相対向する各回動軸50,50に軸支され、軸受け部32は、相対向する各回動軸51,51に軸支される。つまり、本実施形態の配線カバー装置は、開口部2bを形成する内壁73,74に配線カバー10を回動可能に軸支するための1対の軸支構造を備えている。
配線カバー10は、1対の軸支構造のうち、いずれの軸支構造によっても回動可能であり、回動することにより開口部2bを開閉可能である。
【0035】
[第2実施形態の効果]
(1)上述した第2実施形態に係る配線カバー装置によれば、天板2aの開口部2bに装着される容器70の底壁75には、配線を挿通するための挿通孔75aが貫通形成されているため、配線を挿通孔75aに挿通することにより、配線をまとめることができる。また、電源タップやハブなどを底壁75に載置しておくことができるため、便利である。
【0036】
〈第3実施形態〉
次に、本発明の第3実施形態について図を参照しつつ説明する。
前述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態に係る配線カバー装置は、配線カバー10の裏面10bに各回動軸50,51が設けられており、相対向する内壁23,24にそれぞれ軸受け部31,32が設けられている。図8(A),(B)に示すように、配線カバー10の裏面10bには、回動軸51が設けられている。回動軸51は、配線カバー10の裏面10bから垂下した垂下部51cを備えており、その垂下部51cに回動軸51の背面(図8(A)では右側面)が取り付けられている。本実施形態では、垂下部51cを含む回動軸51は一体形成されており、単一の部材であるが、垂下部51cを別体として構成することもできる。また、図示しないが、配線カバー10の裏面10bの右端には、回動軸51が相対向して設けられている。また、配線カバー10の裏面10bにおいて各回動軸51と前後方向で相対向する位置には、回動軸51がそれぞれ設けられている。
【0037】
図8(A),(B)に示すように、内壁24の内面(図8(C)では右側面)には、回動軸51を軸支するための軸受け部32が設けられている。軸受け部32は、内壁24から突出した突出部32cを備えており、その突出部32cに軸受け部32の背面(図8(C)では左側面)が取り付けられている。本実施形態では、突出部32cを含む軸受け部32は一体形成されており、単一の部材であるが、突出部32cを別体として構成することもできる。図8(D)に示すように、軸受け部32の軸受け面32aの上部には切欠き部32bが形成されている。また、図示しないが、内壁24と相対向する内壁23(図2(A))には、軸受け部32が相対向して設けられている。また、内壁23,24において軸受け部32と前後方向で相対向する位置には、軸受け部32がそれぞれ設けられている。
【0038】
図8(E),(F)に示すように、配線カバー10が閉成しているときは、回動軸51が軸受け部32に回動可能に軸支された状態になっている。配線カバー10を開放するときは、配線カバー10の前端または後端を持ち上げると、回動軸51は軸受け面32aに接触しながら回動し、配線カバー10が開放される。この場合、前述した第1実施形態と同様に、切欠き部32bの開口幅W1(図5(C))は、回動軸51の最大長H1(図5(B))よりも短い。これにより、配線カバー10が回動軸51を回動中心にして回動した場合であっても、回動軸51が切欠き部32bから離脱しないため、回動中に配線カバー10が外れることがない。また、配線カバー10を真上に引き上げれば、配線カバー10を外すことができる。
【0039】
〈他の実施形態〉
(1)枠20を使用しないで、各回動軸50,51を天板2aの開口部2bを形成する内壁のうち、相対向する内壁に直接設けることもできる。つまり、天板2aに開口部2bを形成したときの切断面に直接設けることもできる。
(2)配線を挿通するための挿通孔75aは、底壁75の他に内壁71~74のいずれかに形成することもできる。また、挿通孔75aの数は複数でも良く、形成箇所は任意に設定することができる。
【0040】
(3)各回動軸50,51は、それぞれ縦断面が縦長の楕円形状でも良い。また、各回動軸50,51の上端面50a,51aおよび下端面50b,51bのうち、配線カバー10を閉成しているときに、軸受け面31a,32aと接触している一方の端面のみが外方に膨らんだ円弧面で、他方の端面は外方に膨らんだ円弧面以外の形状、例えば、平面形状でも良い。
(4)相対向する回動軸50,50に代えて、相対向する内壁間に接続された棒状の回動軸を設けることもできる。また、相対向する回動軸51,51に代えて、相対向する内壁間に接続された棒状の回動軸を設けることもできる。この棒状の回動軸を採用する場合に、配線カバー10を複数に分割し、分割された各配線カバー10がそれぞれ独立して開閉するように構成することもできる。
【0041】
(5)軸受け部31,32は、配線カバー10の前端および後端に沿って長尺状に設けないで、回動軸50,51に軸支する範囲にのみ設けることもできる。
(6)配線カバー10の前方の端面を相対向する内壁の内面に近接する位置まで延長形成し、後方の端面を相対向する内壁の内面に近接する位置まで延長形成し、ブラシ60を設けない構成でも良い。この構成を採用する場合は、配線を挿通するための挿通孔を配線カバー10の前後の端面近傍にそれぞれ貫通形成する。この場合、配線カバー10の前端または後端の近傍を押し下げて配線カバー10の前端または後端を浮かせ、その浮いた方の端部を持ち上げて回動させることにより、配線カバー10を開くことができる。また、使用していない挿通孔に指を引っ掛けて配線カバー10を持ち上げるようにして回動させることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 配線カバー装置
2 テーブル
2a 天板
2b 開口部
10 配線カバー
20 枠
21~24 内壁
31,32 軸受け部
31a,32a 軸受け面
31b,32b 切欠き部
40 化粧板
50,51 回動軸
50a,51a 上端面
50b,51b 下端面
60 ブラシ
H1 最大長
W1 開口幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8