(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098356
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】飲料ボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20220624BHJP
B65D 85/72 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B65D1/02 210
B65D85/72 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211856
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岩下 寛昌
【テーマコード(参考)】
3E033
3E035
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA01
3E033BA09
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033DA03
3E033DA04
3E033DB01
3E033DD05
3E033EA03
3E033FA03
3E033GA02
3E035AA03
3E035AA15
3E035BA04
3E035BC01
3E035BC02
3E035BC03
3E035BD04
3E035CA03
(57)【要約】
【課題】口部を大きくしなくとも、ビッツなどの、液体ではない含有物を口部から出しやすくすることができる飲料ボトルを提供する。
【解決手段】飲料ボトルは、中心軸を共通にした口部、移行部及び胴部を有し、口部が、中心軸に直交する方向において胴部よりも小さく形成され、移行部が、口部と胴部とをつなぐ。移行部の内面には、複数の溝部が移行部の周方向に並んで形成される。複数の溝部は、それぞれ、口部側の始点と胴部側の終点と間に中心軸Y-Yに対してツイストされたツイスト部を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに中心軸を共通にした口部、移行部及び胴部を有する飲料ボトルであって、前記口部が、前記中心軸に直交する方向において前記胴部よりも小さく形成され、前記移行部が、前記口部と前記胴部とをつなぐ飲料ボトルにおいて、
前記移行部の内面には、複数の溝部が前記移行部の周方向に並んで形成され、
前記複数の溝部は、それぞれ、前記口部側の始点と前記胴部側の終点との間に前記中心軸に対してツイストされたツイスト部を有している、飲料ボトル。
【請求項2】
前記複数の溝部は、前記移行部の周方向に均等間隔で並んでいる、請求項1に記載の飲料ボトル。
【請求項3】
前記各溝部は、前記終点が前記移行部における前記胴部側の部位に対して段差なしでつながるように、前記終点の近傍では当該終点に向かって溝が徐々に解消されている、請求項1又は2に記載の飲料ボトル。
【請求項4】
前記各溝部は、前記始点が前記移行部における前記口部側の部位に対して段差ありでつながるように形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項5】
前記各溝部の前記終点は、当該飲料ボトルにおける最大径部の近傍に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項6】
前記各溝部の前記始点は、前記口部のサポートリングから所定距離下側に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項7】
前記各ツイスト部は、前記各溝部の前記始点から前記終点にかけて形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項8】
前記複数の溝部は、それぞれ、前記口部側の始点と前記胴部側の終点との間に、前記中心軸の方向に延びるストレート部を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項9】
前記ストレート部の始点が、前記溝部の前記始点と一致し、
前記ストレート部の終点が、前記ツイスト部につながる、請求項8に記載の飲料ボトル。
【請求項10】
前記各溝部は、前記始点側よりも前記終点側の方が溝幅が大きくなるように形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項11】
前記各ツイスト部は、30度~180度の範囲でツイストされている、請求項1から10のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項12】
前記移行部は、
前記胴部につながる肩部と、
前記中心軸に直交する方向において前記肩部よりも小さく形成されて、前記肩部と前記口部とをつなぐネック部と、を有し、
前記ツイスト部は、前記肩部及び前記ネック部の少なくとも一方に形成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の飲料ボトル。
【請求項13】
前記ツイスト部は、前記肩部及び前記ネック部の両方に形成されている、請求項12に記載の飲料ボトル。
【請求項14】
前記ネック部は、前記中心軸の方向において前記肩部よりも長い、請求項12又は13に記載の飲料ボトル。
【請求項15】
前記ネック部は、前記中心軸の方向において前記肩部よりも短い又は前記肩部とほぼ同等の長さである、請求項12又は13に記載の飲料ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料など、各種の飲料を入れる容器として、例えば、PETボトルなどのプラスチックボトル、アルミ缶などの金属ボトル、ガラス瓶などがある。この種の飲料ボトルは、一般に、上から順に、口部、肩部、胴部及び底部からなり、肩部によって、径の大きい胴部と径の小さい口部とをつなぐようにしている(例えば特許文献1参照)。飲用に際して、人は、胴部を把持して傾け、口部から内容物を流出させる。
【0003】
近年、飲料品のバリエーションの増大に伴い、飲料ボトルとして、シャーベット状のスムージーのほか、果肉、顆粒、コーンフレーク、ナタデココ、タピオカなどのビッツ(固形状物質)を含有したものや、ゼリー、ジュレ、プリン、ムースなどのゲル状のものを含有したものも市場に流通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願明細書9340314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既存の飲料ボトルは、このような液体以外の含有物を含む飲料に十分に対応できていない。例えば、ビッツ入り飲料の場合、ビッツが肩部でひっかかるなどして、口部から外へと排出されにくかったりする。また、ひっかかったために、あるタイミングでビッツと液体が勢いよく排出されたりする。この点、口部の径を大きくすれば(例えば非結晶タイプの口部の一般的な内径21.74mm前後に対して内径33mmとすれば)、ビッツの排出性は高まる。しかしながら、その分、飲料ボトルとしての材料コストが上がる。また、炭酸飲料の場合、技術的デザインの観点上、広い飲み口とするのが難しい。
【0006】
本発明は、口部を必要以上に大きくしなくとも、ビッツなどの液体以外の含有物を含む飲料や、スムージーなどの粘性の高い飲料を口部から安定的に出しやすくすることができる飲料ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る飲料ボトルは、互いに中心軸を共通にした口部、移行部及び胴部を有し、口部が、中心軸に直交する方向において胴部よりも小さく形成され、移行部が、口部と胴部とをつなぎ、移行部の内面には、複数の溝部が移行部の周方向に並んで形成され、複数の溝部は、それぞれ、口部側の始点と胴部側の終点との間に中心軸に対してツイストされたツイスト部を有している。
【0008】
このような態様によれば、飲料ボトルに飲料が入っている場合、飲料ボトルを傾けて口部から飲料を排出すると、飲料はツイスト部に沿うように流れが誘導される。これにより、移行部における飲料の流れは、らせんのような捻った流れとなる。その結果、例えば飲料の液体中にビッツが含まれる場合には、液体がビッツをスムーズに運ぶようになる。すなわち、飲料が全体として口部に向かってビッツとともに移動し易く、流れ易くなる。したがって、飲料が、ビッツなどの液体以外の含有物を含むものや、スムージーなどの粘性の高いものであったとしても、口部を必要以上に大きくすることなく、口部から安定的に出しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る飲料ボトルを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は(a)のC-C線で切断した端面図である。
【
図2】実施形態に係る飲料ボトルにおけるツイスト部の角度範囲を例示するものであり、(a)は90度のツイスト、(b)は120度のツイスト、(c)は140度のツイスト、(d)は160度のツイスト、(e)は180度のツイストを示すものである。
【
図3】
図1Aの飲料ボトルの上部の半断面斜視図であり、飲料の流れを模式的に示すものである。
【
図4】別の実施態様に係る飲料ボトルの正面図である。
【
図5】また別の実施態様に係る飲料ボトルを示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図6】さらに別の実施形態に係る飲料ボトルを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は(a)のA-A線で切断した端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る飲料ボトル(以下、「ボトル」という。)を説明する。以下の説明では、ボトルの底部が存在する方を下側とし、ボトルの口部が存在する方を上側とする。上下方向とは、ボトルの高さ方向又はボトルの中心軸の方向を意味する。横断面とは、ボトルの中心軸に直交する平面における断面形状を意味し、縦断面とは、この中心軸を含む平面における断面形状を意味する。
【0011】
実施形態に係るボトルは、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料を充填されるものである。とりわけ、ボトルは、果肉、顆粒、コーンフレーク、ナタデココ、タピオカなどのビッツ(固形状物質)や、ゼリー、ジュレ、プリン、ムースなどのゲル状物質といった、液体以外の含有物を含む飲料を充填するのに適している。ビッツのサイズは、例えば、最大10mmである。また、ボトルは、シャーベット状のスムージーなどの粘性の高い飲料を充填するのにも適している。以下では、ビッツ入り炭酸飲料が充填されるボトルを例に説明する。
【0012】
実施形態に係るボトルは、製造される素材の材質によって、例えば、金属ボトル、プラスチックボトル、ガラスボトル又はペーパーボトルから構成される。金属ボトルの場合、素材は、例えばアルミ又はスチールである。プラスチックボトルの場合、素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料とする。そして、二軸延伸ブロー成形等の延伸成形法により成形される。以下では、プラスチックボトルを例に説明する。
【0013】
図1に示すように、ボトル1は、上側から順に、口部2、移行部3、胴部4及び底部5を有する。これらの部分(2、3、4及び5)は、一体に形成され、内部に飲料を貯留するための有底筒状のボトル壁を構成する。
【0014】
口部2、移行部3、胴部4及び底部5は、互いに中心軸Y-Yを共通にしている。また、口部2、移行部3及び胴部4は、円形の横断面を基本としている。口部2は、中心軸Y-Yに直交する方向において、胴部4よりも小さく形成されている。径の小さい口部2と径の大きい胴部4とが、移行部3によってつながれている。底部5は、例えば、谷部10と脚部12とを周方向に交互に5つずつ並べたペタロイド形状を有している。
【0015】
ボトル1の製造工程の一例を説明する。まず、主材料としての熱可塑性樹脂を金型内に射出し、プリフォームを射出成形するプリフォームは、口部2と同形状の口部と、その下側につながる有底の筒状部と、で構成される。射出成形後は、プリフォームをブロー成形機にセットして、プリフォームの筒状部を加熱する。そして、延伸ロッドによって筒状部を縦方向に延伸させると共に、圧縮空気を吹き込んで筒状部を横方向に延伸させる。延伸させた筒状部の部位を金型の内面に押し付け、その後固化させる。これにより、移行部3、胴部4及び底部5が成形され、ボトル1の一連の成形が完了する。
【0016】
口部2は、上端が開口しており、飲料の排出口として機能する。口部2の内周面20は、上下方向に段差なしでストレートに延在している。口部2の外周面21には、上側から順に、ねじ部22、ビードリング23及びサポートリング24が突出形成されている。図示省略したキャップがねじ部22に螺合して締結されることで、口部2の開口が閉栓される。口部2の内径は、非結晶タイプの口部の一般的な内径21.74mmよりもわずかに大きいが、市場に流通しているビッツ入り飲料のボトルの口部の内径33mm~38mよりも十分に小さく、例えば25mm~30mmであり、好ましくは28mmである。なお、口部2の肉厚は、非結晶タイプの口部の一般的な肉厚と同様であり、例えば、3.2mm程度である。
【0017】
胴部4は、円筒状の部分であり、その内周面は上下方向に段差なしでストレートに延在している。胴部4は、ボトル1における最も径が大きい部位を有している。例えば、胴部4は、上側の最大径部30及び下側の最大径部32を有している。上側の最大径部30は、胴部4における最も上側の部位に形成され、移行部3につながっている。下側の最大径部32は、胴部4における最も下側の部位に形成され、底部5につながっている。胴部4における上下部分にそれぞれ最大径部30、32があることで、ボトル1の自販機適正が良好に確保される。いくつかの実施態様では、胴部4は、最大径部30、32間にラベル取付け部34を有していてもよい(参照:
図2及び6)。ラベル取付け部34は、最大径部30、32間で、胴部4を周方向に沿って僅かに凹ませた部位としてもよい。胴部4の直径は、例えば60mm~70mmである。この場合の一例を挙げると、ボトル1の容量は約330mLであり、飲料の内容量は約300mLである。
【0018】
移行部3は、胴部4につながる肩部40と、口部2につながるネック部42と、を有している。肩部40は、円形の横断面が下方にかけて徐々に拡大するように形成されている。ネック部42は、中心軸Y-Yに直交する方向において肩部40よりも小さく形成されており、肩部40と口部2とをつないでいる。ネック部42は、口部2のサポートリング24の下側から始まり、肩部40につながるところで終わっている。ここでは、ネック部42は、中心軸Y-Yの方向において肩部40よりも長く形成されている。
【0019】
ネック部42は、口部2とほぼ同程度の径で、中心軸Y-Yの方向にほぼストレートに又は下方にかけてやや拡大するように延びている。ネック部42に比べ、肩部40は、下方にかけての径の拡大率が大きいものとなっている。肩部40とネック部42との厳密な境界を特定することは難しいが、例えば、径の拡大の仕方が変化し始める箇所を境界と捉えることが可能である。
【0020】
移行部3の内面50には、移行部3の周方向に均等間隔に並んだ複数の溝部52が形成されている。各溝部52は、内面50に凹状に形成されており、隣り合う溝部52、52間は、溝部52に対して相対的に凸となる壁によって区切られている。また、移行部3の外面54では、各溝部52に対応する箇所が外面54から突出するように形成されている。なお、便宜上、
図1に示す外面54に溝部52及びこれに関連する符号(以下の52a,52b,52cなど)を付している。
【0021】
溝部52の数は、任意であるが、好ましい一例としては8本又は12本である。ここでは、8本となっている。なお、溝部52の本数は、ビッツの大きさを考慮して決定するとよい。例えば7mm角のビッツの場合、溝部52の本数は8本がよい。溝部52の本数が12本であると、溝部52の溝幅が狭いからである。
【0022】
複数の溝部52は、それぞれ、口部2側の始点52aと胴部4側の終点52bとの間に中心軸Y-Yに対してツイストされた(ねじられた)ツイスト部52cを有している。各溝部52では、始点52aと終点52bとは中心軸Y-Yを含む同一の縦断面には位置しておらず、その結果、始点52aと終点52bとの間の部分にその長さ方向においてツイストされたツイスト部52cが形成されている。
【0023】
図1に示す例では、ツイスト部52cは溝部52の全体にわたって、すなわち溝部52の始点52aから溝部52の終点52bにかけて形成されている。つまり、ツイスト部52cは、溝部52の始点52a及び終点52bを含むものであり、ツイスト部52cの始点及び終点は、溝部52の始点52a及び終点52bと一致している。
【0024】
ツイスト部52cは、中心軸Y-Yの回りを周回せずに、所定の角度範囲でツイストされている。詳細には、中心軸Y-Yを中心とする円を想定したとき、終点52bが始点52aに対して所定の角度だけ移動した位置となるように、ツイスト部52cが形成されている。この所定の角度は、適宜設計することができ、例えば、0度を超える角度から、1080度までの角度とすることができる。ツイスト部52cの例示的な角度範囲として、
図2(a)は90度、
図2(b)は120度、
図2(c)は140度、
図2(d)は160度、
図2(e)は180度の場合を示している。ここで、
図2に示すように、ツイスト部52cの角度が大きいほど、正面視、ツイスト部52cの勾配が水平に近づくようになる。ツイスト部52cの勾配が水平に近づきすぎると、ツイスト部52cにより期待される効果(飲料の良好な排出性)が低下し得る。このため、ツイスト部52cの角度は、ネック部42の高さ、溝部52の数、溝部52の深さ、溝部52の幅などにもよるが、好ましくは、360度未満であり、より好ましくは30度~360度、さらに好ましくは60度~180度であり、さらにより好ましくは90度~140度であるとよい。
【0025】
各溝部52は、肩部40及びネック部42の両方にわたって形成されている。また、各溝部52は、始点52a側よりも終点52b側の方が溝幅が大きくなるように形成されている。
【0026】
各溝部52の始点52aは、ネック部42において、口部2のサポートリング24から所定距離(例えば5mm)下側に位置している。別の見方をすると、ネック部42は、複数の溝部52が形成された凹凸領域60と、凹凸領域60の上側にフラット領域62と、を有している。フラット領域62は、サポートリング24の下側に所定の高さ(5mm)にわたって形成されており、凹凸領域60の上端に溝部52の始点52aが位置している。ここで、フラット領域62は、例えばプリフォームが二軸延伸ブロー成形された際に、延伸されずに残る部分(非延伸部)であり、その内面及び外面はストレート面となっている。この非延伸部は、二軸延伸ブロー成形では例えば5mmの高さとなる。このような非延伸部に溝部52を形成することが成形上難しいため、溝部52はフラット領域62につながる次の領域(凹凸領域60)から形成されている。なお、フラット領域62は、プリフォームを搬送する際にチャックにより把持される。
【0027】
始点52aは、溝部52における凹状(溝)の形状が残っており、したがってフラット領域62にして段差を生じさせている。すなわち、各溝部52は、始点52aがフラット領域62(移行部3における口部2側の部位)に対して段差ありでつながるように形成されている。ただし、他の実施態様では、始点52aがフラット領域62にして段差なしでつながるように、始点52aの近傍では始点52aに向かって溝が徐々に解消されてもよい。
【0028】
各溝部52の終点52bは、肩部40において、胴部4に近いところに位置している。詳細には、終点52bは、胴部4における上側の最大径部30の近傍に位置している。また、終点52bでは、溝部52における凹状(溝)の形状が実質的に残っていないようになっている。すなわち、各溝部52は、終点52bが最大径部30の近傍(移行部3における胴部4側の部位)に対して段差なしでつながるように、終点52bの近傍では終点52bに向かって溝が徐々に解消されている。ただし、他の実施態様では、終点52bが最大径部30の近傍に対して段差ありでつながるようにしてもよい。
【0029】
以上説明した実施形態に係るボトル1によれば、移行部3の内面50に複数の溝部52が周方向に並んで形成され、複数の溝部52は、それぞれ、始点52aと終点52bとの間にツイスト部52cを有している。これによれば、ビッツ入り炭酸飲料が充填されたボトル1からの内容物の排出がスムーズとなり、安定する。
【0030】
この点について
図3を参照して説明する。ツイスト部52cがあるため、口部2の開口に向かう内容物の液体の流れが変わる。具体的には、
図3の矢印70で示すように、液体はツイスト部52cの形状に沿うように誘導され、移行部3における液体の流れがらせんのような捻った流れとなる。これにより、液体がビッツをスムーズに運ぶようになり、内容物が全体として口部2の開口に向かって移動し易く、流れ易くなる。したがって、消費者にとっては液体とビッツを容易にかつ同時に飲むことができ、排出性の良いビッツ入り炭酸飲料を楽しむことができる。また、液体とともに安定して排出されるビッツはボトル1内に残りにくいため、ビッツ入り炭酸飲料を最後まで排出することができる。
【0031】
このような良好な排出性は、ビッツ入り炭酸飲料以外の飲料、例えば、ビッツ入り清涼飲料、ビッツ入りアルコール飲料、ゼリー、ジュレ、プリン、ムースなどのゲル状物質を含む飲料、スムージーなどの粘性の高い飲料についても同様である。
【0032】
実施形態に係るボトル1によれば、このような飲料の排出性のために、口部2の径を必要以上に大きくしなくて済んでいる。具体的には、ビッツ入り飲料等のボトルとして市場に流通しているものは口部の内径が33mmから38mmであるところ、本実施形態に係るボトル1によれば、最大10mm角のビッツを含む飲料であっても、口部2の内径を例えば25mm~30mmとすることができる。これにより、口部2のための材料コストを抑えることができる。加えて、技術的デザインの観点上、広い飲み口とするのが難しい炭酸飲料のボトルとしても利用することができる。
【0033】
また、実施形態に係るボトル1によれば、各溝部52は、終点52bが移行部3における胴部4側の部位に対して段差なしでつながるように、終点52bの近傍では終点52bに向かって溝が徐々に解消されている。これにより、ツイスト部52cへと流れ込む内容物(液体及び/又はビッツ)の流れがスムーズとなるため、より一層、内容物の排出性の向上と、残留物の低減とを図ることができる。
【0034】
また、実施形態に係るボトル1によれば、各溝部52は、始点52aが移行部3における口部2側の部位に対して段差ありでつながるように形成されている。仮に段差なしでつなげるようにすると、ネック部42の上部において各溝部52(ツイスト部52c)が消失してツイスト部52cの効果が低減され得る。しかし、上述のように、段差ありでつなげることで、ネック部42の上部においてギリギリの位置(フラット領域62の直下の位置)まで、各溝部52(ツイスト部52c)を形成することができる。
【0035】
また、実施形態に係るボトル1によれば、ツイスト部52cが、移行部3における肩部40及びネック部42の両方に形成されている。これにより、一方のみに形成する場合に比べて、ツイスト部52cの範囲を長くすることができるため、排出性がより向上する。
【0036】
さらに、実施形態に係るボトル1によれば、ネック部42が肩部40よりも中心軸Y-Yの方向において長くなっている。これにより、移行部3において、口部2側の部分であって且つ肩部40よりも径寸法が小さい部分、すなわちネック部42において、ツイスト部52cの範囲を長く確保することができるため、排出性がより良くなる。
【0037】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0038】
例えば、ツイスト部52cは、溝部52の全体ではなく、溝部52の一部に形成されてもよい。この一例を
図4に示す。
【0039】
図4に示すように、溝部52は、口部2側の始点52aと胴部4側の終点52bとの間に、ツイスト部52c及びストレート部52dを有している。ストレート部52dは、中心軸Y-Yの方向に延びている。ストレート部52dの始点は、溝部52の始点52aと一致しており、ストレート部52dの終点は、ツイスト部52cの始点につながっている。ツイスト部52cの終点は、溝部52の終点52bと一致している。ストレート部52dは、ツイスト部52cよりも中心軸Y-Yにおける範囲(高さ)が短いものとなっている。寸法の一例を挙げると、ストレート部52dの高さは10mmであり、ツイスト部52cの高さは14mmである。
【0040】
別の実施態様では、溝部52は、始点52aと終点52bとの間に複数のストレート部又は別のストレート部を有していてもよい。例えば、溝部52は、ツイスト部52cの上側につながる上記のストレート部52dと、ツイスト部52cの下側につながるストレート部とを有していてもよい。あるいは、溝部52は、上側のストレート部を有さず、ツイスト部52cの下側につながるストレート部を有していてもよい。ただし、
図1に示したように、溝部52の全体をツイスト部52cとした方が、溝部52の全体にわたって液体の流れをらせんのような捻った流れとすることができ、排出性の点で良好である。
【0041】
また、
図5に示すように、他の実施態様では、ツイスト部52cは、肩部40及びネック部42の両方ではなく、その一方に形成されてもよいし、あるいは、その一方に主に形成され、他方にはほとんど形成されなくてもよい。
図5に示す例では、ツイスト部52cは、ネック部42に主に形成されている。そして、ツイスト部52cの始点及び終点は、溝部52の始点52a及び終点52bと一致している。上記のとおり、肩部40とネック部42との厳密な境界を特定することが難しいため、ツイスト部52cの終端の位置を厳密に特定することは難しいものの、ここでは、例えば、ツイスト部52cの終端は、肩部40における上側部分に位置していると捉えることができる。
【0042】
さらに、
図6に示すように、別の実施態様では、ネック部42について、中心軸Y-Yの方向における長さを短くしてもよい。例えば、ネック部42は、中心軸Y-Yの方向において肩部40よりも短い又は肩部40とほぼ同等の長さであってもよい。こうすることで、
図1のボトル1のような比較的長いネック部42の場合と比べて、飲料の排出性は若干低下するものの、自販機適正についてはより良好となる。
【符号の説明】
【0043】
1…ボトル、2…口部、3…移行部、4…胴部、5…底部、10…谷部、12…脚部、20…内周面、21…外周面、22…ねじ部、23…ビードリング、24…サポートリング、30、32…最大径部、34…ラベル取付け部、40…肩部、42…ネック部、50…内面、52…溝部、52a…始点、52b…終点、52c…ツイスト部、52d…ストレート部、54…外面、60…凹凸領域、62…フラット領域、70…矢印、Y-Y…中心軸