IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱鉛筆株式会社の特許一覧

特開2022-98371ポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098371
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/18 20060101AFI20220624BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20220624BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20220624BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
C08L27/18
C08K5/00
C08K5/09
C08K5/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211889
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(72)【発明者】
【氏名】永見 秀
(72)【発明者】
【氏名】牧 貴之
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BD122
4J002BD151
4J002CP033
4J002DJ018
4J002EB066
4J002EG017
4J002EV237
4J002FD203
4J002FD208
4J002FD312
4J002FD317
4J002GH01
4J002GT00
4J002HA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】含水量が大きくても、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体を提供する。
【解決手段】一次粒子径が1μm未満のポリテトラフルオロエチレンを5~70質量%、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.1~40質量%含み、更にC~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩を10~25ppb含み、カールフィッシャー法による全体の水分量が、20000ppm未満であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次粒子径が1μm未満のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを5~70質量%、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤をポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して0.1~40質量%含み、更にC~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩を25ppb未満含み、カールフィッシャー法による全体の水分量が、20000ppm未満であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体。
【請求項2】
前記油性溶剤系分散体に用いる油性溶剤のカールフィッシャー法による水分量が、20000ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体。
【請求項3】
前記油性溶剤系分散体に用いる油性溶剤が、γ-ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2-ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2-ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-ビニルピリジン、N-メチルピロリドン、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、からなる群から選ばれる1種類の溶剤、またはこれらの溶剤を2種以上含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体。
【請求項4】
油性溶剤系分散体におけるポリテトラフルオロエチレンのレーザー回折・散乱法または動的光散乱法による平均粒子径が、1μm未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体。
【請求項5】
さらに、シリコーン系消泡剤を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水量が大きくても、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、耐熱性、電気絶縁性、低誘電特性、低摩擦特性、非粘着性、耐候性などに優れた材料であり、電子機器、摺動材、自動車、厨房用品などに利用されている。このような特性を有するポリテトラフルオロエチレンは、マイクロパウダーとして、各種の樹脂材料(レジスト材料)やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに添加されて製品特性を向上させる目的に用いられている。
【0003】
このようなポリテトラフルオロエチレンのマイクロパウダーは、通常、乳化重合法により、水、重合開始剤、含フッ素乳化剤、パラフィンワックスなどの安定剤の存在下で、テトラフルオロエチレン(TFE)モノマーを重合させてポリテトラフルオロエチレン微粒子を含有する水性分散体として得た後、濃縮、凝集、乾燥などを経て、製造されるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このポリテトラフルオロエチレンのマイクロパウダーを樹脂材料などに添加する方法としては、例えば、直接混ぜ込む方法の他に、水や油性溶剤中に分散してPTFE分散体として混合する方法などが知られている。一旦、水や油性溶剤中に分散してから添加することにより、均一に混合させることができる。
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、粒子同士の凝集力が強く、特に、油性溶剤中に微粒子径で低粘度、保存安定性に優れた形で分散することは難しいという課題があった。
【0005】
更に、非水溶性の樹脂やレジスト材料などに添加する場合には、油性溶剤系のポリテトラフルオロエチレン分散体が求められるところ、ポリテトラフルオロエチレンの水系分散体に関する発明等は数多く知られているが(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)、この水系分散体と比べて、油性溶剤系のポリテトラフルオロエチレン分散体に関する報告等はほとんどないのが現状である(例えば、特許文献4参照)。
この特許文献4に記載の技術は、PTFE粒子と、少なくとも1つのモノ又はポリオレフィン系不飽和油又は油混合物とからなり、該オレフィン系不飽和油の分子はPTFE(一次)粒子表面上で、ラジカル反応により共有結合/化学結合されており、かつその際にPTFE粒子表面と結合された油分子との間の永久的な電荷分離、及び油又は油混合物中でのPTFE粒子の微細分散が存在する長期安定な油-PTFE分散液であり、その製法は、持続性のペルフルオロ(ペルオキシ)ラジカルを有する変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが、少なくとも1つのオレフィン系不飽和油と一緒に、混合され、かつ次に変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが機械的応力にかけられる方法等により得られるものであり、製法が複雑であり、また、汎用のPTFE粒子を用いるものでなく、本発明とは、技術思想(構成及びその作用効果)が全く相違するものである。
【0006】
これらの課題に対して本出願人は、一次粒子径が1μm未満のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを5~70質量%、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤をポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して0.1~40質量%含み、カールフィッシャー法による全体の水分量が、20000ppm未満とすることにより微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系分散体を開発し開示している(特許文献5)。
しかし、この特許文献5に記載の技術においても、水分量が多くなってくると結局のところ長期保存における再分散性等が不安定になってくる欠点があった(例えば実施例7)。
【0007】
~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩は、従来、レベリング剤、界面活性剤等として利用されて来た歴史があるが現在は規制により排出が制限されている。この規制に合致させる目的もあり、高分子量PTFEに放射線を照射して、380℃における溶融粘度が1.0×102~7.0×105Pa・sである低分子量PTFEを得る工程を含む、低分子量PTFEの製造方法が開示されている(例えば特許文献6)。この製造方法では実施例にもある通り、粒子径が38~70μmと特許文献5における一次粒子径と比較してはるかに大きく、この製造方法のみではPTFE粒子の粒子径が大きなままであり、良好な分散液は得られないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-92323号公報
【特許文献2】特開2006-169448号公報
【特許文献3】特開2009-179802号公報
【特許文献4】特表2011-509321号公報
【特許文献5】特開2015-199901号公報
【特許文献6】特開2019-137851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の課題及び現状等について、これを解消しようとするものであり、含水量が大きくても、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系の分散体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、下記の第1乃至第5発明により、上記目的のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系の分散体が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】
すなわち、本第1発明は、一次粒子径が1μm未満のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを5~70質量%、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤をポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して0.1~40質量%含み、更にC~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩を10~25ppb含み、カールフィッシャー法による全体の水分量が、20000ppm未満であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体である。
【0012】
本第2発明は、前記油性溶剤系分散体に用いる油性溶剤のカールフィッシャー法による水分量が、20000ppm未満であることを特徴とする本第1発明に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体である。
【0013】
本第3発明は、前記油性溶剤系分散体に用いる油性溶剤が、γ-ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2-ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2-ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-ビニルピリジン、N-メチルピロリドン、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、からなる群から選ばれる1種類の溶剤、またはこれらの溶剤を2種以上含んでいることを特徴とする本第1発明又は本第2発明に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体である。
【0014】
本第4発明は、油性溶剤系分散体におけるポリテトラフルオロエチレンのレーザー回折・散乱法または動的光散乱法による平均粒子径が、1μm未満であることを特徴とする本第1発明乃至本第3発明に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体である。
【0015】
本第5発明は、さらに、シリコーン系消泡剤を含有することを特徴とする本第1発明乃至本第4発明に記載のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系分散体は、含水量が大きくても、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れており、長期保存後でも再分散性に優れるものとなる。また、フッ素系添加剤が多く含有されていても消泡性に優れ、各種の樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに添加した際にも均一に混合させることができるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系分散体は、一次粒子径が1μm未満のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを5~70質量%、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤をポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して0.1~40質量%、含み、更にC~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩を10~25ppb含むことを特徴とするものである。
【0018】
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、一次粒子径が1μm未満となるものである。
このようなポリテトラフルオロエチレンのマイクロパウダーは、乳化重合法により得られるものであり、例えば、フッ素樹脂ハンドブック(黒川孝臣編、日刊工業新聞社)に記載されている方法など、一般的に用いられる方法により得ることができる。そして、前記乳化重合により得られたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、凝集・乾燥して、一次粒子径が凝集した二次粒子として微粉末として回収されるものであるが、一般的に用いられている各種微粉末の製造方法を用いることができる。また、数平均分子量Mnが高いポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーをγ線などの放射線を照射して数平均分子量Mnが1万~3万となった上記一次粒子径範囲を満たすポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを使用しても良いものである。更に、このγ線などの放射線を照射によりPTFE微粒子内部及び表面にC~C14のパーフルオロカルボン酸が生成されるものである。
【0019】
ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの一次粒子径としては、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、画像イメージング法などによって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)が1μm未満であることが、油性溶剤中で安定に分散する上で必要であり、望ましくは、0.5μm未満、さらに望ましくは、0.3μm未満とすることにより、さらに均一な分散体となる。
このポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの一次粒子径が1μmを超えるものであると、油性溶剤中で沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなるため、好ましくない。
また、上記平均粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、0.05μm以上が好ましい。
なお、本発明におけるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの一次粒子径は、マイクロパウダーの重合段階においてレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって得られた値を指し示すものであるが、乾燥して粉体状態にしたマイクロパウダーの場合には、一次粒子同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径をレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって測定することが難しいため、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えばFPAR-1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
【0020】
本発明においては、分散体全量に対して、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーが5~70質量%含有されるものであり、好ましくは、10~50質量%含有されることが望ましい。
この含有量が5質量%未満の場合には、油性溶剤の量が多く、極端に粘度が低下するためにポリテトラフルオロエチレンの微粒子が沈降しやすくなるだけでなく、樹脂などの材料と混合した際に油性溶剤の量が多いことによる不具合、例えば、溶剤の除去に時間を要することになるなど好ましくない状況を生じることがある。一方、70質量%を超えて大きい場合には、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダー同士が凝集しやすくなり、微粒子の状態を安定的に、流動性を有する状態で維持することが極端に難しくなるため、好ましくない。
【0021】
上記パーフルオロカルボン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。上記パーフルオロカルボン酸の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。低分子量PTFEは、炭素数6~14のパーフルオロスルホン酸及びその塩の量が質量基準で25ppb未満であることが好ましく、20ppb以下であることがより好ましく、15ppb以下であることが更に好ましく、10ppb以下であることが特に好ましい。下限は、検出限界未満の量であってよいが、5ppbであることも好ましい。
ここで得られるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、C~C14のパーフルオロカルボン酸の量が質量基準で25ppb未満であることが好ましく、20ppb未満であることがより好ましく、15ppb未満であることが更に好ましく、10ppb未満であることが特に好ましい。下限は、検出限界未満の量であってよいが、5ppbであることも好ましい。最終的にはPTFE分散体における含有量が10ppb以上25ppb未満であれば問題ない。
【0022】
本発明におけるフッ素系添加剤は、少なくとも含フッ素基と親油性基を有するものであることが必要であり、少なくとも含フッ素基と親油性基を有するものであれば、特に限定されるものではなく、この他に親水性基が含有されているものであってもよい。
少なくとも含フッ素基と親油性基を有するフッ素系添加剤を用いることにより、分散媒となる油性溶剤の表面張力を低下させ、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダー表面に対する濡れ性を向上させてポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの分散性を向上させると共に、含フッ素基がポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダー表面に吸着し、親油性基が分散媒となる油性溶剤中に伸長し、この親油性基の立体障害によりポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの凝集を防止して分散安定性を更に向上させるものとなる。
含フッ素基としては、例えば、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルケニル基などが挙げられ、親油性基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、シロキサン基などの1種又は2種以上が挙げられ、親水性基としては、例えば、エチレンオキサイドや、アミド基、ケトン基、カルボキシル基、スルホン基などの1種又は2種以上が挙げられる。
具体的に用いることできるフッ素系添加剤としては、パーフルオロアルキル基含有のサーフロンS-611などのサーフロンシリーズ(AGCセイミケミカル社製)、メガファックF-555、メガファックF-558、メガファックF-563などのメガファックシリーズ(DIC社製)、ユニダインDS-403Nなどのユニダインシリーズ(ダイキン工業社製)などを用いることができる。
これらのフッ素系添加剤は、用いるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーと油性溶剤の種類によって、適宜最適なものが選択されるものであるが、1種類、または2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0023】
前記フッ素系添加剤の含有量は、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して、0.1~40質量%含有されるものであるが、望ましくは、5~30質量%、さらに望ましくは、15~25質量%含有されることが好ましい。
この含有量がポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して、0.1質量%未満では、ポリテトラフルオロエチレンのマイクロパウダー表面を充分に油性溶剤に濡らすことができず、一方、40質量%超過では分散体の泡立ちが強くなって分散の効率が低下し、分散体自体の取扱いやその後に樹脂材料などと混ぜ合わせる際にも不具合を生じることなどがあり、好ましくない。
【0024】
本発明におけるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系分散体においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のようなフッ素系添加剤と組み合わせて、他の界面活性剤を用いることも可能である。
例えば、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの界面活性剤やノニオン系、アニオン系、カチオン系などの高分子界面活性剤などを挙げることができるが、これらに限定されることなく、使用することができる。
【0025】
本発明に用いる油性溶剤は、カールフィッシャー法による水分量が、20000ppm未満〔0≦水分量≦20000ppm〕となるものが好ましい。
本発明(後述する実施例等を含む)において、カールフィッシャー法による水分量の測定は、JIS K 0068:2001に準拠するものであり、MCU-610(京都電子工業社製)により行った。
用いる油性溶剤の極性によっては水との相溶性が高いものが考えられるが、20000ppm以上の水分量を有するとポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤中への分散性を著しく阻害し、粘度上昇や粒子同士の凝集を引き起こすことになる。
本発明においては、油性溶剤中の水分量を20000ppm未満にすることで、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系の分散体とすることができるものである。通常、好ましくは10000ppm未満、より好ましくは5000ppm未満である。
【0026】
さらに、本発明のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダー油性溶剤系分散体は、カールフィッシャー法による水分量が、20000ppm未満〔0≦水分量≦20000ppm〕であることが好ましい。
油性溶剤に含まれる水分量のほかに、ポリテトラフルオロエチレンのマイクロパウダーやフッ素系添加剤などの材料自体に含まれる水分や、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを油性溶剤中に分散する製造工程においても水分の混入が考えられるが、最終的にポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系の分散体水分量を20000ppm未満にすることで、より保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系分散体を得ることができる。
【0027】
油性溶剤の水分量を20000ppmとするためには、一般的に用いられている油性溶剤の脱水方法を用いることが可能であるが、例えば、モレキュラーシーブスなどを用いることができる。また、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、加熱や減圧などによる脱水を行うことで充分に水分量を下げた状態で使用することができる。
さらに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系分散体を作製した後に、モレキュラーシーブスや膜分離法などを用いて水分除去することも可能であるが、上記した方法以外であっても、油性溶剤系分散体の水分量を下げることができるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
【0028】
しかし、水分量が20000ppmの上限ぎりぎりであるとポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの油性溶剤系分散体はやや不安定となる。ここで、極めて微量でもC~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩が介在すると、安定性は向上する。これについては、C~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩によって、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダー表面と水分子との間を橋渡しすることによって、水分がやや多量に分散体に入り込んだとしても、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの分散安定性が担保されることとなると推測された。
~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩のうち、パーフルオロオクタン酸及びその塩、パーフルオロオクタンスルホン酸及びその塩が特に好ましい。
【0029】
本開示の製造方法により得られる低分子量PTFEは、炭素数6~14のパーフルオロスルホン酸及びその塩の量が質量基準で25ppb未満であることが好ましく、20ppb以下であることがより好ましく、15ppb以下であることが更に好ましく、10ppb以下であることが特に好ましい。下限は、検出限界未満の量であってよいが、5ppbであることも好ましい。本開示の製造方法により得られる低分子量PTFEは、炭素数6~14のパーフルオロスルホン酸及びその塩の量が質量基準で25ppb未満であることが好ましく、20ppb以下であることがより好ましく、15ppb以下であることが更に好ましく、10ppb以下であることが特に好ましい。下限は、検出限界未満の量であってよいが、5ppbであることも好ましい。本発明のPTFE非水系分散体には、C~C14のパーフルオロカルボン酸及びその塩、並びに/或いは、C~C14のパーフルオロスルホン酸及びその塩の量が質量基準で25ppb未満であることが好ましく、20ppb未満であることがより好ましく、15ppb未満であることが更に好ましく、10ppb未満であることが特に好ましい。下限は、検出限界未満の量であってよいが、5ppbであることも好ましい。
【0030】
本発明に用いられる油性溶剤としては、例えば、γ-ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2-ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2-ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-ビニルピリジン、N-メチルピロリドン、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、からなる群から選ばれる1種類の溶剤、またはこれらの溶剤を2種以上含んでいるものである。
【0031】
本発明においては、上記油性溶剤を用いるものであるが、他の油性溶剤と組み合わせて用いることや他の油性溶剤を用いることもできるものであり、用いる用途(各種の樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料)などにより好適なものが選択される。
用いる油性溶剤の含有量は、上記ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系添加剤の残部となるものである。
【0032】
本発明においては、油性溶剤系分散体におけるポリテトラフルオロエチレンのレーザー回折・散乱法または動的光散乱法による平均粒子径が、1μm未満であることが望ましい。
一次粒子径が1μm未満のポリテトラフルオロエチレンを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このポリテトラフルオロエチレンの二次粒子を1μm未満の粒子径となるように分散することにより、例えば、超音波分散機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができるものである。
【0033】
本発明においては、さらに、ポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体に、シリコーン系消泡剤を含有させることができる。
特に、ポリテトラフルオロエチレンを70質量%であったり、フッ素系添加剤をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して40質量%と、高濃度で使用する場合には、分散体の泡立ちが分散体の製造工程、安定性、樹脂材料などとの混合の際に大きな問題を引き起こすことにつながる。
【0034】
消泡剤としては、シリコーン系のエマルジョン型、自己乳化型、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、粉末型、固形型などがあるが、用いる油性溶剤との組合せで、適宜最適なものが選択されることになる。特に、油性溶剤とポリテトラフルオロエチレンとの界面よりも、油性溶剤と空気との界面に存在させるために、例えば、親水性や水溶性のシリコーン系消泡剤を用いることが好ましいが、これらに限定されることなく、用いることができるものである。消泡剤の含有量は、ポリテトラフルオロエチレンの含有量(濃度)等により変動するものであるが、分散体全量に対して、好ましくは、有効成分として1質量%未満である。
【0035】
このように構成される本発明のポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体は、一次粒子径が1μm未満となるポリテトラフルオロエチレンと、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤との各特定量を用いることにより、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れており、長期保存後でも再分散性に優れるものとなる。また、フッ素系添加剤が多く含有されていても消泡性に優れ、各種の樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに添加した際にも均一に混合させることができるものとなる。
【実施例0036】
以下に、本発明について、更に実施例、比較例を参照して詳しく説明する。なお、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0037】
〔実施例1~3及び比較例1~3〕
下記に示す各方法により各ポリテトラフルオロエチレンパウダーの油性溶剤系分散体を調製した。また、用いる油性溶剤については、モレキュラーシーブス、または水分の添加等を行うことにより各水分量となる油性溶剤を用いた。実施例1~3及び比較例1~3の配合組成は下記表1に示す。
【0038】
(実施例1)
ポリテトラフルオロエチレンパウダーとして、レーザー回折・散乱法による平均粒子径が0.22μmの粉末へ200kGyの放射線を10分間照射したものを使用した。フッ素系添加剤としては、DIC株式会社製のメガファックF-558(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、有効成分30wt%)を、希釈溶剤を除去した後に使用した。また、油性溶剤としては、シクロヘキサノンを使用した。
【0039】
上記材料を用い、下記表1に示す配合にてポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体を作製した。作製にあたっては、シクロヘキサノン中にフッ素系添加剤を充分に攪拌混合した後、ポリテトラフルオロエチレンパウダーを添加して、さらに攪拌混合を行った。
上記の様にして得られたポリテトラフルオロエチレンパウダーの混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散を行った。
【0040】
得られた分散体を、1μm以上の粗大粒子を除去するためにフィルター濾過をして、ポリテトラフルオロエチレンパウダーの油性溶剤系分散体を得た。
【0041】
(実施例2)
ポリテトラフルオロエチレンパウダーの種類を変動した点及び200kGyの放射線を30分間照射する点、並びに、ジルコニアビーズの径が1mmであることを除き、上記実施例1と同様の方法にて分散体を作製した。
【0042】
(実施例3)
200kGyの放射線を20分間照射することを除き、実施例2と同様の方法にて分散体を作製した。
【0043】
(比較例1)
実施例1と同様の方法にて分散体を作製した後、強制的に水分を添加して分散体とした。
【0044】
(比較例2)
実施例2と同様の方法にて分散体を作製した後、強制的に水分を添加して分散体とした。
【0045】
(比較例3)
実施例3と同様の方法にて分散体を作製した後、強制的に水分を添加して分散体とした。
【0046】
上記実施例1~3及び比較例1~3より得られたポリテトラフルオロエチレンパウダーの油性溶剤系分散体について、下記各評価方法により、25℃、1ヶ月及び3か月保存後の再分散性について評価した。上記実施例1及び比較例1、実施例2及び比較例2、並びに、実施例3及び比較例3は本出願人による上記特許文献5(特開2015-199901)の夫々実施例7、比較例1並びに比較例3に準拠する処方である。
これらの結果を下記表1に示す。
【0047】
(再分散性の評価方法)
得られた各ポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体を、蓋付きガラス容器(30ml、以下同様)に入れ、25℃、1ヶ月及び3か月保存後の再分散性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:容易に再分散する。
△:再分散する。
×:再分散させるのに充分な攪拌を要する。
【0048】
【表1】
【0049】
上記表1から明らかなように、本発明の範囲内である実施例1~3は分散体の保存安定性が高いことが判明した。水分量が20000ppmを超えている比較例1~3については、再分散させるのに充分な攪拌を必要とするものとなった。また、極めて微量のパーフルオロカルボン酸及びパーフルオロスルホン酸を極微量含む実施例1~3は含水量が20000ppm近くあっても長期間の保存安定性も高いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明におけるポリテトラフルオロエチレンの油性溶剤系分散体は、各種の樹脂材料(レジスト材料)やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに均一に添加されて製品特性を向上させる目的に用いることが可能であり、電子機器、摺動材、自動車、厨房用品などに利用することができる。