(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098383
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】除菌液霧化放出装置を用いた物品除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20220624BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20220624BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020220018
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】519084456
【氏名又は名称】株式会社あかりみらい
(72)【発明者】
【氏名】越智 文雄
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA26
4C058BB07
4C058JJ07
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】種々の物品を簡易に除菌できる手段を提供する。
【解決手段】前面開放箱形の除菌ケースを設け、該ケース内において、ケース内上縁から下端に至る仕切り板を設けることにてケース内を除菌室と装置収納室とに区分けし、該仕切り板上部に孔を設け、装置収納室内に除菌液霧化放出装置を位置させることにて、該放出装置から放出される霧化除菌液を通気管にて上記の孔に導いて、除菌室内に霧化除菌液を放出することにより、除菌室内に収納された物品の除菌を可能としたことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開放箱形の除菌ケースを設け、該ケース内において、ケース内上縁から下端に至る仕切り板を設けることにてケース内を除菌室と装置収納室とに区分けし、該仕切り板上部に孔を設け、装置収納室内に除菌液霧化放出装置を位置させることにて、該放出装置から放出される霧化除菌液を通気管にて上記の孔に導いて、除菌室内に霧化除菌液を放出することにより、除菌室内に収納された物品の除菌を可能としたことを特徴とする除菌液霧化放出装置を用いた物品除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、除菌液霧化放出装置を用いてなる物品除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の除菌手段が多用されているが、本発明にて示すように、霧化除菌液をケース内上方に導いて、このケースに収納された物品を除菌する手段は現在のところ見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
除菌は古来より行われており、除菌液を含ませた布体での拭き取りや、霧化除菌液の室内放出、手動式の除菌液放出、紫外線照射などが一般的である。昨今はコロナウィルスの流行に伴い、除菌液の必要性が高まり、上記の手動式の除菌液放出を用いての手指除菌液が多用されている。
一方、コンビニやスーパーなどでの食品売り場での除菌は未開拓のままであって、このような場面に適した有効な除菌手段が見当たらないのが現状である。
本発明は以上に鑑み、客が購入した食品や買い物かごおよび買い物かごをのせたカートの有効除菌を行うことのできる、新規かつ有用なる手段を提供することを目的として、発明・開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
前面開放箱形の除菌ケースを設け、該ケース内において、ケース内上縁から下端に至る仕切り板を設けることにてケース内を除菌室と装置収納室とに区分けし、該仕切り板上部に孔を設け、装置収納室内に除菌液霧化放出装置を位置させることにて、該放出装置から放出される霧化除菌液を通気管にて上記の孔に導いて、除菌室内に霧化除菌液を放出することにより、除菌室内に収納された物品の除菌を可能とする。
本発明は以上の構成よりなる除菌液霧化放出装置を用いた物品除菌装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は下記の効果を有する。
1.除菌ケースは前面開放なので、除菌対象物品を該ケースに容易に出し入れすることができる。
2.除菌ケース前面に所定長のカーテンを設けることにて、霧化除菌液の移動制限を行うことにより除菌効果を高めることができる。
3.除菌ケース内に各種管体を設けることにて、除菌対象物品の吊下および水平載置を行うことができ、除菌対象物品の範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は除菌ケースで、一対の木製の側板2とこの側板上端に固定される天板3と、側板後端に開閉可能に固定される点検ドア4と、側板の中程において、その外周を側板と天板の各内面に接して固定される仕切り板5にて主要部が形成されている。
仕切り板中央上部には孔が設けられるとともにこの孔内に短管6が挿入固定される。
点検ドア上部中央には角形の外気導入口7が設けられる。
以上からこの除菌ケースは無底である。また、該ケース内は前記の仕切り板にて除菌室8と装置収納室9とに区分けされ、装置収納室には市販の除菌液霧化放出装置10が位置する。この除菌液霧化放出装置には除菌液収納タンクとファンが内蔵されており、この装置の放出口から霧化除菌液が放出される。11は可撓性の通気管で、その一端は上記放出口に他端は前記の短管に接続される。また、図示を略したが、該ケース適所に上記霧化放出装置の電源スイッチが設けられる。なお、
図1の二点鎖線は透明カーテン12であり、その上端が天板下面に粘着されて吊下している。
以上が本発明の一実施形態である。
【0008】
次ぎに本発明の使用について説明する。
本例は食料品等を入れた買い物かごと、この買い物かご内の食料品等およびこの買い物かごをのせたカートを主な除菌対象としている。まず買い物かごをのせたカートを物品収納室に入れる。次ぎに電源スイッチ投入にて除菌液霧化放出装置は作動を開始し、該装置から放出された霧化除菌液は通気管を経て短管より除菌室内に放出される。
放出された霧化除菌液は除菌ケースの前方へと進みながら下降を始めて、カートと買い物かごおよび食品等に降りかかって浸透し、これらを除菌することができる。
所定時間経過後にスイッチを切って霧化除菌液の放出を停止させ、カートを除菌ケースより引き出して一連の除菌作業が完了する。なお、カーテンがカート上部にかからないように吊下されているので、カートの出入りに支障はなく、放出した霧化除菌液をここで止めて、この霧化除菌液の無制限外部放出は阻止される。
【0009】
図4は本発明の他例を示すものである。
図において、20は所定長の管体よりなる吊下用管体であって、その両端には小平板による取付板21が固着され、該取付板の四隅近傍には取付孔22が穿設される。
この双方の取付板の外面距離は除菌ケース内面間距離よりわずかに小さく、この取付孔にてこの吊下用管体は除菌用ケース内上部に螺着される。
利用法としては、
図4にて示すように、ハンガーに掛けた衣服をこの吊下用管体を用いて吊下し、除菌することができる。また、市販のピンチハンガーを用いれば、手袋その他の小物品を多数吊下して除菌することができる。
【0010】
図6~
図14は、本発明の別例を示すものである。
本例は除菌ケース側板内面適所に物品載置体位置保持体としての中空角体(角パイプ)30を設けたものである。この中空角体は図のごとく除菌室に2対平行水平に位置し、その全長は除菌室奥行きよりやや短くなっている。31は物品載置体としての平板状の金網であり、その幅は除菌室側板内面間距離よりわずかに小さく、これを前記の中空角体上面に載置する。除菌対象物品で吊下不適なものは、この金網上に載置して除菌することができる。なお、金網に代えて、金属製や合成樹脂製の多孔板や格子板を用いてもよく、中空角体に代えてアングル材や蝶番を用いてもよい。
また、
図12にて示すように、中空角体に代えて側板にスリット32を設けて、このスリットに金網等を挿入する方式としてもよい。
【0011】
初例ではカーテン上下長は除菌ケース全高の中程程度としている。これは買い物かごをのせたカートへの除菌を想定したものであるが、以降の例では除菌対象物品は除菌ケースの下方まで至っている。従って、カーテン長を考慮する必要がある。
図6にて示すように、カーテンレール33を天板前部下面に設け、ここにカーテン34を吊下するとともに、カーテン下端は床面よりやや上方の位置とすることにて、霧化除菌液は除菌ケースの下部まで至り、このカーテン下端と床面の間から外部放出がなされて霧化除菌液を無理なく放出することができる。
【0012】
図9、
図13および
図14は、カーテンに代えて布体シャッター方式を示すものである。
除菌ケースの天板前部下面に、回動軸を内蔵した有スリット管体よりなる布体シャッター収納部40を設けたものである。また、除菌ケース側板の前端適所に
図13で示すような上向き保持部41を上下に複数対設けており、この布体シャッター42の下端にはシャッター幅よりやや長い棒体43を設けている。カーテン不使用時は上部に設けた上向き保持部(図示略)にこの棒体を位置させておく。シャッター使用時は棒体を上向き保持部より外すとその重量にて棒体は自然下降するので、適宜位置の上向き保持部内にこの棒体を位置させることにて、所望の位置までシャッター下端を移動させることができる。
従って、例えばカート毎の除菌時は、この布体シャッター下端をやや上方にして、カートに当たらない位置とすれば、除菌毎のこの布体シャッター移動の手間を省くことができる。使用後は、上述と逆の手順にてシャッターを初期位置へと戻すことができる。
なお、シャッター収納時は回動軸に巻回させることになるので、外方から回動軸を回動させるつまみ等があると便利である。
【0013】
図14は前記で示したシャッター方式の変化例である。
この例は、布体シャッター収納部内の回動軸に市販のコンベックスに用いるようなバネを付加したもので、常にシャッターを巻き取る方向に付勢されている。従って、前記の上向き保持部に代えて下向き保持部44と棒体45を用いる。この例では、棒体を下向きに引くとシャッター下端は下降し、所望の下向き保持部に図のごとく保持させることができる。不使用時は棒体を下向き保持部から外して手を離すと、シャッターおよび棒体はバネにて上方へ自動的に移動して最上位置の初期状態へと復帰させることができる。
なお、前述の吊下用管体との併用も可能である。
また、既述の吊下用管体に代えて、
図10にて示すように、除菌室内上部に上部中空角体46を位置させ、ここに市販の伸縮棒47を位置させる方式も可能である。
【0014】
以上本発明について記したが、本発明は簡易な装置にて種々の物品を除菌できるものである。従来はこのような手段がなく、スプレー方式の除菌もしくは除菌液に浸した布体で物品を拭くなどの方法が取られており、多くの時間と労力を要するものであったが、本発明にて省労力と短時間での有効除菌が可能となったのである。
本発明の利用としては、買い物かごとこのかご内の食品および買い物かごを乗せたカートを想定している。しかし、本発明による除菌方式は記述の構成にて示したように、医療関係その他の分野にも十分利用可能なものであり、昨今のコロナウイルス対策としても有効利用できるものである。
なお、既例では除菌ケースを無底としたが有底としてもよく、カーテンに代えて排出孔を設けたドア方式としてもよい。また、除菌ケース適所に、タイマーを内蔵した制御盤を設けて、霧化除菌液の連続放出時間を事前設定する方式としてもよい。また、外気導入口内面にフィルターを設けることでダストの侵入を防止できる。なお、除菌液としては次亜塩素酸水など適宜に選択できる。
以上のごとく、本発明によって各分野の物品に対する除菌効果を発揮できる、有用性の高い除菌手段を提供することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 除菌ケース
2 側板
3 天板
4 点検ドア
5 仕切り板
6 短管
7 外気導入口
8 除菌室
9 装置収納室
10 除菌液霧化放出装置
11 通気管
12 透明カーテン
20 吊下用管体
21 取付板
22 取付孔
30 中空角体
31 金網
32 スリット
33 カーテンレール
34 カーテン
40 布体シャッター収納部
41 上向き保持部
42 布体シャッター
43 棒体
44 下向き保持部
45 棒体
46 上部中空角体
47 伸縮棒