(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098430
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】多ジャンプ型の計時器用表示機構
(51)【国際特許分類】
G04B 19/253 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
G04B19/253 M
G04B19/253 E
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021172159
(22)【出願日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】20216197.2
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】カドミエル・ワルトン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ルーニー
(57)【要約】
【課題】 グラデュエーションのマークが均一に分布していない多ジャンプ型の計時器用表示機構を提供する。
【解決手段】 本発明の一態様は、表示子(11)を担持するインジケーター車(3)を駆動するように構成している連続的に回転する制御車(2)を備える多ジャンプ型の計時器用表示機構(100)に関する。この駆動は、制御車(2)とインジケーター車(3)の間の直接的又は間接的な連続的な連係によって、基本ピッチPEの値の分、基本ピッチ駆動機構によって直接行われるか、あるいは基本ピッチ駆動機構を解放する手段と、少なくとも1つの解放位置にあるインジケーター車(3)を増速機構(50)によって、基本ピッチPEよりも大きいないしその倍数の増大ピッチPMの分、駆動することの組み合わせによって、インジケーター車(3)を駆動する増速機構(50)を通して間接的に行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示スケール(12)に対向する少なくとも1つの表示子(11)によって複数の離散的位置にわたって可変量を表示するための多ジャンプ型の計時器用表示機構(100)であって、
ムーブメント(200)によって動く入力可動体(1)によって駆動されるように構成しており、
前記離散的位置は、2つの離散的位置の間に間隔をあけて位置しており、
各間隔は、基本ピッチPE、又は前記基本ピッチPEよりも大きい増大ピッチPM、又は前記基本ピッチPEの整数の倍数の大きさであり、
少なくとも1つの前記間隔は、他の前記間隔とは異なり、
前記表示機構(100)は、前記表示子(11)の運動を制御するためのギヤ列を備え、
前記ギヤ列は、前記入力可動体(1)によって直接的又は間接的に駆動される又は前記入力可動体(1)を構成している連続的に回転する制御車(2)を備え、
前記制御車(2)は、前記少なくとも1つの表示子(11)を担持しているインジケーター車(3)を駆動するように構成しており、
この駆動は、直接的又は間接的な連続的な連係によって、前記基本ピッチPEの値の分、基本ピッチ駆動機構によって直接行われるか、あるいは
前記基本ピッチ駆動機構を解放する手段を用いて少なくとも1つの解放位置にある前記インジケーター車(3)を増速機構(50)によって、前記基本ピッチPEよりも大きい増大ピッチPMの分、駆動することによって、前記インジケーター車(3)を駆動する前記増速機構(50)を通して間接的に行われ、
前記インジケーター車(3)には、互いに同軸であり同期する下側レベル(3a)と上側レベル(3b)があり、
前記下側レベル(3a)は、完全な歯列を備え、表示位置を維持するための第1のジャンパー(10)と係合し、
前記上側レベル(3b)は、周の一部にて、前記制御車(2)と直接連係し、又は前記制御車(2)と直結ギヤ列を介して連係し、
前記上側レベル(3b)には、局所的に歯列に歯がない空欠領域(30)があり、
各空欠領域(30)は、前記上側レベル(3b)と前記制御車(2)の間の運動連鎖を断つための前記解放手段を構成している
ことを特徴とする表示機構(100)。
【請求項2】
前記制御車(2)は、前記インジケーター車(3)を駆動するように構成しており、
この駆動は、前記制御車(2)と前記インジケーター車(3)の間の直接的又は間接的な連続的連係によって、前記基本ピッチPEの値の分、直接的に行われるか、あるいは
前記基本ピッチ駆動機構を解放する手段を用いて少なくとも1つの解放位置にある前記インジケーター車(3)を増速機構(50)によって、前記基本ピッチPEの2以上の整数の倍数である値の増大ピッチPMの分、駆動することによって、前記インジケーター車(3)を駆動する前記増速機構(50)を通して間接的に行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示機構(100)。
【請求項3】
前記インジケーター車(3)は、前記制御車(2)によって直接的又は間接的に駆動される少なくとも1つの多ジャンプフィンガー(7)と連係するように構成している少なくとも1つの搬送子(8、80)を備え、
前記多ジャンプフィンガー(7)は、前記上側レベル(3b)と前記制御車(2)が互いに解放されているときに、前記少なくとも1つの搬送子(8、80)を押して、前記基本ピッチPEに対応する基本トラベルよりも大きい角トラベルの分、前記インジケーター車(3)を回転させるように構成している
ことを特徴とする請求項2に記載の表示機構(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの多ジャンプフィンガー(7)は、前記上側レベル(3b)と前記制御車(2)が互いに解放されているときに、前記少なくとも1つの搬送子(8、80)を押して、前記基本ピッチの2以上の整数の倍数に対応する角トラベルの分、前記インジケーター車(3)を回転させるように構成している
ことを特徴とする請求項3に記載の表示機構(100)。
【請求項5】
前記増速機構(50)は、前記制御車(2)と同期する多ジャンプ車(4)を備え、
前記多ジャンプ車(4)は、前記少なくとも1つの多ジャンプフィンガー(7)を担持する多ジャンプセッティング車(6)を備える増速ギヤ列を駆動する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の表示機構(100)。
【請求項6】
前記増速ギヤ列は、前記多ジャンプ車(4)と前記多ジャンプセッティング車(6)の間に、少なくとも1つの中間多ジャンプセッティング車(5)を備え、
前記増速ギヤ列を構成している可動体の歯の数は、前記増大ピッチPMと前記基本ピッチPEの間の比を定める
ことを特徴とする請求項5に記載の表示機構(100)。
【請求項7】
前記増速ギヤ列は、前記多ジャンプ車(4)と前記多ジャンプセッティング車(6)の間に、少なくとも1つの中間多ジャンプセッティング車(5)を備え、
前記増速ギヤ列を構成している可動体の歯の数は、前記基本ピッチの前記整数の倍数の値を定める
ことを特徴とする請求項4及び5に記載の表示機構(100)。
【請求項8】
前記表示機構(100)は、前記多ジャンプ車(4)の位置を維持するように構成している多ジャンプジャンパー(9)を備える
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の表示機構(100)。
【請求項9】
前記多ジャンプフィンガー(7)には、複数の基本フィンガー(70)があり、その各基本フィンガー(70)は、前記搬送子(8、80)と連係するように構成している
ことを特徴とする請求項3~8のいずれか一項に記載の表示機構(100)。
【請求項10】
前記インジケーター車(3)には、前記制御車(2)にある歯の数よりも多い最大数の歯があり、
前記インジケーター車(3)と前記制御車(2)の間の歯数の差は、前記インジケーター車(3)の1回転にわたって前記表示子(11)によって行われる増大ジャンプに対応する歯の数の合計に対応する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の表示機構(100)。
【請求項11】
前記表示機構(100)は、日付機構であり、
前記31歯の制御車(2)及びインジケーター車(3)を備え、前記インジケーター車(3)には、少なくとも32個の歯があり、これによって、月の第31日の表示と翌月の第1日の表示を明確に分ける
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の表示機構(100)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の表示機構(100)を駆動するように構成している少なくとも1つのムーブメント(200)を備える計時器(500)であって、
前記表示機構(100)は、前記計時器(500)に備えられる
ことを特徴とする計時器(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示スケールに対向する少なくとも1つの表示子によって複数の離散的位置にわたって可変量を表示するための多ジャンプ型の計時器用表示機構に関する。これは、ムーブメントによって動く入力可動体によって駆動されるように構成しており、前記離散的位置は、2つの離散的位置の間に間隔をあけて位置しており、各間隔は、基本ピッチ、又は前記基本ピッチよりも大きい増大ピッチ、又は前記基本ピッチの整数の倍数の大きさであり、少なくとも1つの前記間隔は、他の前記間隔とは異なる。
【0002】
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような表示機構を備える計時器、特に、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)、に関する。
【0003】
本発明は、計時器の表示機構の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
計時器は、ほとんどの場合、インジケーターを備える少なくとも1つの表示機構を備え、このインジケーターは、このインジケーターが連係するグラデュエーション(例、目盛り)の箇所にてこのグラデュエーションに対して同心的に回転する。この表示機構は、特に、時刻又は日付を表示するために用いることができる。一般的に、グラデュエーションのマークは、周にて均等に分布する。
【0005】
中央構成の時刻又は日付表示の場合、すなわち、インジケーターが計時器用ムーブメントの中心で回転する場合、このインジケーターは表盤全体を動き、特定の瞬間において、表盤の特定の区画に配置される複雑機構などの表示を遮ってしまうリスクがある。
【0006】
中心から外れた時刻又は日付表示の場合、すなわち、インジケーターが計時器用ムーブメントの中心のまわりを回転しない場合、インジケーターは、直径が小さい円の形の面の上を動き、この面は、一般的には、ムーブメントの中心と表盤の外径の間にある。この面の円周が小さいために、特に、アルファベット又は数字のマークが含まれる場合に、グラデュエーションのすべてのマークを表示することは難しい。この課題を解決するための様々な手法があり、特に、アルファベット又は数字のマークを1つおきに用いて、次のグラデュエーションの位置には、点、線のような形状のマークを用いる手法がある。この手法は、グラデュエーションの量が偶数である表示には非常に適しているが、グラデュエーションの量が奇数である場合には、必ずしも課題を解決しない。実際に、このような場合、最後のグラデュエーションと最初のグラデュエーションを並べて隣に設ける箇所が発生してしまう。すべての数字を表示することは可能ではあるが、数字どうしが近いために、ユーザーにとっては読みにくくなりえることがわかっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、グラデュエーションのマークが必ずしも周全体にて均一に分布しているわけではなく、2つの連続する随意的なマークを隔てる角距離が他のマークを隔てる角距離よりも大きいように配置されているような、広範囲に用いることができる表示機構を提供することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、表示スケールに対向する少なくとも1つの表示子によって複数の離散的位置にわたって可変量を表示するための多ジャンプ型の計時器用表示機構に関し、ムーブメントによって動く入力可動体によって駆動されるように構成しており、前記離散的位置は、2つの離散的位置の間に間隔をあけて位置しており、各間隔は、基本ピッチPE、又は前記基本ピッチPEよりも大きい増大ピッチPMの大きさであり、少なくとも1つの前記間隔は、他の前記間隔とは異なり、前記表示機構は、前記表示子の運動を制御するためのギヤ列を備え、前記ギヤ列は、前記入力可動体によって駆動される連続的に回転する制御車を備え、前記制御車は、前記少なくとも1つの表示子を担持しているインジケーター車を駆動するように構成しており、この駆動は、連続的な連係によって、前記基本ピッチPEの値の分、基本ピッチ駆動機構によって直接行われるか、あるいは前記基本ピッチ駆動機構を解放する手段を用いて少なくとも1つの解放位置にある前記インジケーター車を増速機構によって、前記基本ピッチPEよりも大きい増大ピッチPMの分、駆動することによって、前記インジケーター車を駆動する前記増速機構を通して間接的に行われる。
【0009】
特定の実施形態において、本発明は、さらに、単独で又は技術的に可能な任意の組み合わせで、以下の特徴のうちの1つ又は複数を備えることができる。
【0010】
特定の実施形態において、前記制御車は、前記インジケーター車を駆動するように構成しており、この駆動は、前記制御車と前記インジケーター車の間の直接的又は間接的な連続的連係によって、前記基本ピッチPEの値の分、直接的に行われるか、あるいは前記基本ピッチ駆動機構を解放する手段を用いて少なくとも1つの解放位置にある前記インジケーター車を増速機構によって、前記基本ピッチPEの2以上の整数の倍数である値の増大ピッチPMの分、駆動することによって、前記インジケーター車を駆動する前記増速機構を通して間接的に行われる。
【0011】
特定の実施形態において、前記インジケーター車には、互いに同軸であり同期する下側レベルと上側レベルがあり、前記下側レベルは、完全な歯列を備え、表示位置を維持するための第1のジャンパーと係合し、前記上側レベルは、周の一部にて、前記制御車と連係し、前記上側レベルには、局所的に歯列に歯がない空欠領域があり、各空欠領域は、前記上側レベルと前記制御車の間の運動連鎖を断つための前記解放手段を構成している。
【0012】
特定の実施形態において、前記インジケーター車は、前記制御車によって駆動される少なくとも1つの多ジャンプフィンガーと連係するように構成している少なくとも1つの搬送子を備え、前記多ジャンプフィンガーは、前記上側レベルと前記制御車が互いに解放されているときに、前記少なくとも1つの搬送子を押して、前記基本ピッチPEに対応する基本トラベルよりも大きい角トラベルの分、前記インジケーター車を回転させるように構成している。
【0013】
特定の実施形態において、前記少なくとも1つの多ジャンプフィンガーは、前記上側レベルと前記制御車が互いに解放されているときに、前記少なくとも1つの搬送子を押して、前記基本ピッチの2以上の整数の倍数に対応する角トラベルの分、前記インジケーター車を回転させるように構成している。
【0014】
特定の実施形態において、前記増速機構は、前記制御車と同期する多ジャンプ車を備え、前記多ジャンプ車は、前記少なくとも1つの多ジャンプフィンガーを担持する多ジャンプセッティング車を備える増速ギヤ列を駆動する。
【0015】
特定の実施形態において、前記増速ギヤ列は、前記多ジャンプ車と前記多ジャンプセッティング車の間に、少なくとも1つの中間多ジャンプセッティング車を備え、前記増速ギヤ列を構成している可動体の歯の数は、前記増大ピッチPMと前記基本ピッチPEの間の比を定める。
【0016】
特定の実施形態において、前記増速ギヤ列は、前記多ジャンプ車と前記多ジャンプセッティング車の間に、少なくとも1つの中間多ジャンプセッティング車を備え、前記増速ギヤ列を構成している可動体の歯の数は、前記基本ピッチの前記整数の倍数の値を定める。
【0017】
特定の実施形態において、前記表示機構は、前記多ジャンプ車の位置を維持するように構成している多ジャンプジャンパーを備える。
【0018】
特定の実施形態において、前記多ジャンプフィンガーには、複数の基本フィンガーがあり、その各基本フィンガーは、前記搬送子と連係するように構成している。
【0019】
特定の実施形態において、前記インジケーター車には、前記制御車にある歯の数よりも多い最大数の歯があり、前記インジケーター車と前記制御車の間の歯数の差は、前記インジケーター車の1回転にわたって前記表示子によって行われる増大ジャンプに対応する歯の数の合計に対応する。
【0020】
特定の実施形態において、前記表示機構は、日付機構であり、前記31歯の制御車及びインジケーター車を備え、前記インジケーター車には、少なくとも32個の歯があり、これによって、月の第31日の表示と翌月の第1日の表示を明確に分ける。
【0021】
別の態様において、本発明は、前記表示機構を駆動するように構成している少なくとも1つのムーブメントを備える計時器に関し、前記表示機構は、前記計時器に備えられる。
【0022】
添付の図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る多ジャンプ機能付きの計時器用表示機構を上から見た概略図であり、日付を表示する特定の場合に適用され、この特定の形態においては、この表示が、マーク「31」とマーク「1」の間で、他のマークを等しく離間する空間(基本空間)よりも大きい空間(増大空間)の分、ジャンプする。この機構には、計時器用ムーブメントによって駆動されるように構成している駆動ピニオンである入力可動体がある。この入力可動体は、次に、ここでは31歯の車である制御車を駆動する。この制御車は、多ジャンプ車と一体化されており、この多ジャンプ車は、制御車と同軸であり、制御車の下にあり、この
図1において、歯列を実線で、輪縁とアームを破線で示している。この制御車は、多ジャンプジャンパーによって所定の位置に保持され、したがって、多ジャンプ車も所定の位置に維持される。制御車は、
図4~8に示している表示子を担持する日付インジケーター車と連係している。本発明に係る機構は、日付表示車が、特定の位置において、制御車によって駆動されないことを可能にする解放機構を備える。ここで、この解放機構には、インジケーター車の上側歯列のレベルに、歯がない空欠領域がある。このインジケーター車の上側歯列には、29個の歯しかなく、インジケーター車の下側レベルには32個の歯がある。この下側レベルの歯は、上側レベルのものと同じであり、ピッチが同じであり、存在する歯と整列している。この下側レベルは、常に日付インジケータージャンパーと連係して、インジケーター車を所定の位置に保持する。日付表示車は、さらに、その上面から突き出た(これに限定されない)、搬送子を担持している。第2の運動連鎖は、多ジャンプ車から開始し、この多ジャンプ車は、中間多ジャンプセッティング車(多ジャンプ車との噛み合いはこの図に示していない)を介して、多ジャンプフィンガーを担持する多ジャンプセッティング車の回転を制御する。この多ジャンプフィンガーは、いくつかの対応する角位置において、日付表示車の搬送子を押して、この日付表示車を特定の角度値の分、回転させることができる。図示している例において、第2の運動連鎖のギヤ列の歯列の組み合わせは、搬送子の圧力が、基本ピッチの2倍である増大ピッチとなるようにインジケーター車の回転を制御するように構成する。
【
図2】多ジャンプフィンガーが日付表示車の搬送子に接触している同じ構成となっている
図1の表示機構を示している概略的斜視図である。
【
図3】前記日付表示車のみを示している概略的斜視図である。
【
図4】
図4~8は、同じ表示機構の可動体どうしの連係の進展、そして、これに関連する、日付表示車と一体的に取り付けられた針である表示子によって行われる表示の進展を上から見た概略図である。この図においては、表示スケールを担持している表盤が対向しており、この表示スケールは、日付の奇数の日に対しては数字マーカーが付いており、その間に、日付の偶数の日に対応する単一の点が付いている。この表示スケールのピッチには、1から31までの日のマーカーの間の間隔である一定の基本ピッチと、ここでは前の間隔の2倍である増大した間隔がマーク31と1の間にある。これらの図において、制御車には部分的に空欠部があり、多ジャンプ車と、その中間多ジャンプセッティング車との噛み合いを示している。
図4は、日付29の表示を示しており、インジケーター車の空欠領域は、まだ制御車の歯列に対向するようになっておらず、多ジャンプフィンガーは、10時の角位置にあり、まだインジケーター車の搬送子から離れている。
【
図5】日付30の表示を示しており、インジケーター車の空欠領域は、制御車の歯列に対向しており、多ジャンプフィンガーは9時の角位置にあり、インジケーター車の搬送子からまだ離れている。
【
図6】
図1及び2の位置に対応する日付31の表示を示しており、インジケーター車の空欠領域は、制御車の歯列に対向しており、制御車はインジケーター車を駆動できなくなっており、多ジャンプフィンガーは8時の角位置にあり、インジケーター車の搬送子と接触しており、多ジャンプを開始する準備ができている。
【
図7】日付1の表示を示しており、2つの基本ピッチの分の多ジャンプが行われたばかりであり、インジケーター車の空欠領域は、制御車の歯列に対して滑り、制御車はインジケーター車を駆動できるようになり、多ジャンプフィンガーは7時の角位置にあり、もう少しでインジケーター車の搬送子と接触しなくなる。
【
図8】日付2の表示を示しており、インジケーター車の空欠領域が、制御車の歯列から離れた後である。制御車は、インジケーター車の上側レベルの歯列と連係している。多ジャンプフィンガーは6時の角位置にあり、次の月末までインジケーター車の搬送子と干渉することはできない。
【
図9】多ジャンプ表示機構の別の形態を示している概略斜視図である。多ジャンプフィンガーは、制御車によって担持され、ここでは、日付表示車の搬送子に接触している。
【
図10】
図9の形態の反対側を示している概略斜視図である。
【
図11】多ジャンプ表示機構のさらに別の形態を示している概略平面図である。インジケーター車に、いくつかの空欠領域といくつかの搬送子があり、多ジャンプフィンガーに、複数の基本フィンガーがあり、ここでは、そのうちの1つが日付表示車の搬送子の1つに接触している。
【
図12】本発明に係る多ジャンプ表示機構の入力可動体を駆動するムーブメントを備える携行型時計を示しているブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ムーブメント200によって動かされる入力可動体1によって駆動されるように構成しており、複数の離散的位置にわたって可変量を表示する計時器用表示機構100に関する。この表示は、表示スケール12に対向している、針のような少なくとも1つの表示子11によって行われ、前記離散的位置12a、12bは、2つの離散的位置の間に間隔をあけて位置している。各間隔は、基本ピッチPE、又はこの基本ピッチPEよりも大きい増大ピッチPMの大きさであり、この増大ピッチPMは、特に、基本ピッチの整数の倍数に等しく、少なくとも1つの間隔の大きさが他の間隔の大きさとは異なる。
【0025】
本発明によると、当該表示機構100は、表示子11の運動を制御するためのギヤ列を備える。このギヤ列は、連続回転する制御車2を備え、この制御車2は、入力可動体1によって直接的又は間接的に駆動されるか、又は入力可動体1を構成している。この制御車2は、表示子11を担持するインジケーター車3を駆動するように構成しており、この駆動は、制御車2とインジケーター車3の間の直接的又は間接的な連続的な連係によって、基本ピッチPEの値の分、直接的に基本ピッチ駆動機構によって行われるか、あるいは前記基本ピッチ駆動機構を解放する手段と、そして、基本ピッチPEよりも大きい増大ピッチPMの分、インジケーター車3を駆動する増速機構50によって少なくとも1つの解放位置にあるインジケーター車3を駆動する機構との組み合わせによって、増速機構50を通して間接的に行われる。
【0026】
特に、制御車2は、インジケーター車3を駆動するように構成しており、この駆動は、制御車2とインジケーター車3の間の直接的又は間接的な連続的な連係によって、基本ピッチPEの値の分、直接的に基本ピッチ駆動機構によってインジケーター車3を駆動するか、あるいは前記基本ピッチ駆動機構を解放する手段と、基本ピッチPEの2以上の整数の倍数の増大ピッチPMの分、インジケーター車3を駆動する増速機構50によって少なくとも1つの解放位置にあるインジケーター車3を駆動する機構との組み合わせによって、基本ピッチPEの整数の倍数の値の分、増速機構50を通して間接的に行われる。
【0027】
特に、インジケーター車3には、同軸であり同期する下側レベル3aと上側レベル3bがあり、この下側レベル3aは、完全な歯列を備え、表示位置を維持するための第1のジャンパー10と係合し、上側レベル3bは、その周の一部にて制御車2と、直接的に又は直結ギヤ列を介して連係し、そして、歯列に局所的に歯がない空欠領域があり、各空欠領域30は、上側レベル3bと制御車2の間の運動連鎖を断つための解放手段を構成している。下側レベル3aと上側レベル3bは、特に、一体的なアセンブリーを形成することができる。
【0028】
特に、インジケーター車3、例として図示している場合においては上側レベル3bには、少なくとも1つの搬送子8、80があり、この搬送子8、80は、制御車2によって直接的又は間接的に駆動される少なくとも1つの多ジャンプフィンガー7と連係するように構成しており、前記多ジャンプフィンガー7は、前記少なくとも1つの搬送子8、80を押すように構成しており、これによって、上側レベル3bと制御車2が互いに解放されているときに、基本ピッチPEに対応する基本トラベルよりも大きい角トラベルの分、インジケーター車3を回転させる。
【0029】
特に、前記少なくとも1つの多ジャンプフィンガー7は、この少なくとも1つの搬送子8、80、を押して、これによって、上側レベル3bと制御車2が互いに解放されているときに、基本ピッチの2以上の整数の倍数に対応する角トラベルの分、インジケーター車3を回転させるように構成している。
【0030】
特に、増速機構50は、制御車2と同期する多ジャンプ車4を備え、この多ジャンプ車4は、前記少なくとも1つの多ジャンプフィンガー7を担持する多ジャンプセッティング車6を備える増速ギヤ列を駆動する。
【0031】
特に、増速ギヤ列は、多ジャンプ車4と多ジャンプセッティング車6の間に、少なくとも1つの中間多ジャンプセッティング車5を備え、増速ギヤ列を構成している可動体の歯数は、増大ピッチPMと基本ピッチPEの比を定める。
【0032】
特に、増速ギヤ列は、多ジャンプ車4と多ジャンプセッティング車6の間に、少なくとも1つの中間多ジャンプセッティング車5を備え、増速ギヤ列を構成している可動体の歯数は、前記基本ピッチの前記整数の倍数の値を定める。
【0033】
特に、当該表示機構100は、制御車2の位置、したがって、多ジャンプ車4の位置、を維持するように構成している多ジャンプジャンパー9を備える。
【0034】
特に、多ジャンプフィンガー7は、それぞれが搬送子8、80と連係するように構成している複数の基本フィンガー70を備える。
【0035】
特に、インジケーター車3は、制御車2に含まれる歯の数よりも大きい最大歯数を備え、インジケーター車3と制御車2の間の歯数の差は、インジケーター車3の1回転にわたって表示子11が行う増大ジャンプに対応する歯数の合計である。
【0036】
特に、当該表示機構100は、日付機構であり、31歯の制御車2とインジケーター車3を備え、このインジケーター車3には、月の第31日の表示と翌月の第1日の表示とを明確に区別するために少なくとも32個の歯がある。
【0037】
本発明は、さらに、計時器500に含まれ、前記のような表示機構100を駆動するように構成している少なくとも1つのムーブメント200を備える計時器500に関し、計時器500は、前記表示機構100を備える。
【0038】
図面には、日付の表示のためのアプリケーションのものである本発明の特定の例示的な形態を示している。以下の説明において、表示が増大ピッチPMのジャンプをしたとき、すなわち、基本ピッチPEよりも大きい角変位を行ったときに、「ダブルジャンプ」として言及する。この例にはけっして限定されない。実際に、ジャンプの大きさは異なることができ、特に、増大ピッチPMが基本ピッチPEの3倍、4倍又はそれ以上であるような3倍以上の倍数である好ましいアプリケーションにおいては異なる。
【0039】
入力可動体1は、ここでは、計時器用ムーブメント200によって1日当たり1ピッチ駆動される駆動ピニオンである。
【0040】
制御車2は、ここでは、31個の歯がある31歯の車であり、これは、駆動ピニオン1によって駆動され、31ジャンパーである多ジャンプジャンパー9によって所定の位置に保持される。したがって、制御車2は、1日当たり1回ジャンプし、1か月に1回転する。これは標準的な日付に対応する。
【0041】
表示車3は、ここでは、日付表示車であり、これは、制御車2によって駆動され、日付表示ジャンパーである第1のジャンパー10によって所定の位置に保持される。表示車3は、32個の歯を備え、2つのレベルによって構成している。下側レベル3aは歯が完全であり、前記32個の歯を備え、この下側レベル3aを所定の位置に保持する第1のジャンパー10と恒久的に接触している。上側レベル3bは、これを駆動する制御車2と接触しており、ここでは3つの歯の分の箇所に歯がない空欠部30があり、これによって、制御車2を駆動せずに所望の瞬間にダブルジャンプを行うことが可能になる。
【0042】
制御車2と一体化された多ジャンプ車4は、中間多ジャンプセッティング車5を駆動し、この中間多ジャンプセッティング車5は、次に、多ジャンプフィンガー7と一体化された多ジャンプセッティング車6を駆動する。多ジャンプ車4と多ジャンプセッティング車6の間のギヤ比は、多ジャンプフィンガー7の回転速度を設定する。この特定のアプリケーションにおいては、このギヤ比は整数でなければならず、これによって、多ジャンプフィンガー7の位置が、制御車2の各完全な1回転又は部分的な回転と同じであることを確実にする。この例において、多ジャンプフィンガー7の速度を2倍にするように比1/2が選択されている。
【0043】
ここで、搬送子8は、インジケーター車3と一体化されているピンによって構成しており(これに限定されない)、そして、前記インジケーター車の上側レベル3bに空欠部30があるために、制御車2がインジケーター車3を駆動しないときに、多ジャンプフィンガー7によって駆動されるように構成している。多ジャンプフィンガー7の回転速度が制御車2の回転速度よりも速いので、制御車2が1回しかジャンプしない間に、インジケーター車3のダブルジャンプが発生する。次に、当該表示機構は開始位置に戻り、したがって、制御車2に対して新しいサイクルを開始することができ、この新しいサイクルでも、インジケーター車3を段階的に再び駆動する。
【0044】
当然、当該表示機構のいくつかのコンポーネントを組み合わせて、一体的なアセンブリーを形成することができ、例えば、搬送子8をインジケーター車3と一体的にすることができる。
【0045】
日付マーカー12は、マーク「31」を示す日のマーカー12aと、マーク「1」を示す日のマーカー12bを隔てる角距離PMが、他のマーカーどうしを隔てる角距離PEよりも大きくなるように構成している。
【0046】
インジケーター車3と一体化された日付表示針11は、日付マーカー12に対して同心的に回転する。当該表示機構がダブルジャンプの直前であるときに、日付表示針11は、マーク「31」を示す日のマーク12aに対向するように位置しており、したがって、次のジャンプの際に大きな角変位を行って、マーク「1」を示す日のマーク12bに直接対向するようになる。
【0047】
したがって、日付表示針11の角変位は、マーク「31」を示す日のマーク12aに対向する位置に到着してマーク「31」を示す日のマーク12aとマーク「1」を示す日のマーク12bの間の大きな角変位を行うまで、その日付表示針11の回転を通して規則的である。
【0048】
本発明は、異なるタイプの表示に容易に適応できるので有利である。
【0049】
特に、最大のジャンプの角距離は、インジケーター車3の歯数、ピン8の位置、多ジャンプフィンガー7の形を変更することによって、そして、多ジャンプ車4と多ジャンプセッティング車6の間のギヤ比を用いて回転速度を変更することによって選択することができる。
【0050】
また、特定の例示的な実施形態を示している
図11に示しているように、多ジャンプフィンガー7の数とピン8の数が乗算されるようにして、日付表示針11がその回転中に何回かの増大ピッチのジャンプを行うようにすることもできる。そして、
図11においては、35歯の制御車24があり、これによって、4つの空欠部30及び4つの搬送子80に関連して、4つのジャンプの実行が可能となり、次に、多ジャンプセッティング車6には、2つの多ジャンプフィンガー70がある。多ジャンプ車4と多ジャンプセッティング車6の間のギヤ比は、適宜選択される。
【0051】
また、可動体4、5及び6の組によって形成される補助的ギヤ列を排除し、多ジャンプフィンガー7を31歯の車2に直接固定することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 入力可動体
2 制御車
3 インジケーター車
3a 下側レベル
3b 上側レベル
4 多ジャンプ車
5 中間多ジャンプセッティング車
6 多ジャンプセッティング車
7 多ジャンプフィンガー
8、80 搬送子
9 多ジャンプジャンパー
10 第1のジャンパー
11 表示子
12 表示スケール
30 空欠領域
50 増速機構
70 基本フィンガー
100 表示機構
200 ムーブメント
500 計時器
【外国語明細書】