(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098462
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンのための液体燃料蒸気パージシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/232 20060101AFI20220624BHJP
F02C 3/32 20060101ALI20220624BHJP
F02C 3/30 20060101ALI20220624BHJP
F02C 3/24 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F02C7/232 C
F02C3/32
F02C3/30 Z
F02C3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021200807
(22)【出願日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】17/129,742
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・フランシスコ・アギュラー
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・ハビエル・ゴメス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガスタービンエンジンの液体燃料回路のための改良されたパージシステムを提供する。
【解決手段】流路203の周りに円周方向に延在する外壁208を有するエジェクタ18を備えるシステムであって、外壁208は流路203に沿ったスロートセクション214、および流路203に沿ってスロートセクション214の下流にある分流セクション216を有する、システムが提供される。エジェクタ18は、流路203内にガスを供給するように構成されたガス入口202と、流路203内に水を供給するように構成された水入口206とを有する。エジェクタ18は、流路203に沿った水とガスの混合に応じて蒸気を生成するように構成される。システムはまた、液体燃料回路の蒸気パージのための蒸気を生成するためにガスおよび水の流れを制御するように構成されたコントローラを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路(203)の周りに円周方向に延在する外壁(208)であって、前記流路(203)に沿ったスロートセクション(214)、および前記流路(203)に沿って前記スロートセクション(214)の下流にある分流セクション(216)を含む外壁(208)、
前記流路(203)内にガスを供給するガス入口(202)、ならびに
前記流路(203)内に水を供給するように構成された水入口(206)
を備えるエジェクタ(18)であって、
前記流路(203)に沿った前記水と前記ガスの混合に応答して蒸気を生成するように構成される、エジェクタ(18)と、
液体燃料回路(24)の蒸気パージのための前記蒸気を生成するために前記ガスおよび前記水の流れを制御するように構成されたコントローラ(118)と
を備える、システム。
【請求項2】
前記エジェクタ(18)および前記コントローラ(118)を有する蒸気パージシステム(16)に流体結合された前記液体燃料回路(24)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記液体燃料回路(24)の液体燃料ライン(62)に流体結合された燃料ノズル(60)を有する燃焼器(58)を備えるガスタービンエンジン(12)を収容するように構成されたガスタービンエンクロージャ(30)を備え、前記液体燃料ライン(62)は、前記燃焼器(58)および/または前記燃料ノズル(60)の垂直上方の高所領域(144)まで延在し、前記蒸気パージシステム(16)は、前記液体燃料ライン(62)に流体結合される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記蒸気パージシステム(16)は、前記高所領域(144)において前記液体燃料ライン(62)に流体結合される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記液体燃料回路(24)は、ガスタービンエンジン(12)の燃料ノズル(60)、前記ガスタービンエンジン(12)の燃焼器(58)、ガスタービン燃料システム(14)、またはそれらの組み合わせを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガス入口(202)は、前記エジェクタ(18)の前記外壁(208)内の中央ガス導管(204)に結合され、前記水入口(206)は、前記エジェクタ(18)の前記スロートセクション(214)に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス入口(202)が圧縮空気入口を備え、前記ガスが圧縮空気を含み、前記システムが、前記圧縮空気入口に前記圧縮空気を供給するように構成された空気圧縮機(106)を備え、前記空気圧縮機(106)が、液体燃料を霧化するために前記圧縮空気を1つまたは複数の燃料ノズル(60)に供給するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラ(118)は、前記蒸気が飽和蒸気になるまで前記蒸気を大気に排気し、前記液体燃料回路(24)を通る前記飽和蒸気の流れを開くように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記エジェクタ(18)の前記外壁(208)は、前記流路(203)に沿って前記スロートセクション(214)の上流に収束セクション(212)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記エジェクタ(18)の下流にマニホールド(66)を備え、前記マニホールド(66)は、前記液体燃料回路(24)のそれぞれの複数の液体燃料ライン(62)に結合された複数の蒸気供給ラインを備え、前記複数の液体燃料ライン(62)の各々は、前記蒸気の逆流を阻止するように構成された第1の逆止弁(141)を備え、前記複数の蒸気供給ライン(132)の各々は、液体燃料の逆流を阻止するように構成された第2の逆止弁(140)を備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、ガスタービンエンジンに関し、特に、ガスタービンエンジンの燃料回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、液体燃料回路およびガス燃料回路などの1つまたは複数の燃料回路を含むことができる。残念なことに、ガスタービンエンジンによって発生した熱は、液体燃料回路内でコーキングを引き起こす可能性がある。液体燃料回路が適切にパージされない場合、コーキングにより、燃料ライン、バルブ、および燃料ノズルが詰まる可能性がある。結果として、コーキングは、ガスタービンエンジンの望ましくない停止時間をもたらす可能性がある。ガスタービンエンジンの液体燃料回路のための改良されたパージシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
出願時に特許請求される発明と同等の範囲の特定の実施形態が、以下で要約される。これらの実施形態は、特許請求される発明の範囲を限定することを意図しておらず、むしろ、これらの実施形態は、本発明の可能な形態の概要を提供することのみを意図している。実際、本発明は、以下に記載される実施形態と類似してもよく、または異なってもよい種々の形態を包含することができる。
【0004】
第1の実施形態では、システムは、流路の周りに円周方向に延在する外壁を有するエジェクタを含み、外壁は、流路に沿ったスロートセクションと、流路に沿ってスロートセクションの下流にある分流セクションとを有する。エジェクタは、流路内にガスを供給するように構成されたガス入口と、流路内に水を供給するように構成された水入口とを有する。エジェクタは、流路に沿った水とガスの混合に応じて蒸気を生成するように構成される。システムはまた、液体燃料回路の蒸気パージのための蒸気を生成するためにガスおよび水の流れを制御するように構成されたコントローラを含む。
【0005】
第2の実施形態では、システムは、液体燃料回路と、液体燃料回路を蒸気でパージするように構成された蒸気パージシステムとを含み、蒸気パージシステムはエジェクタを含む。エジェクタは、流路の周りに円周方向に延在する外壁を含み、外壁は、流路に沿ったスロートセクションと、流路に沿ってスロートセクションの下流にある分流セクションとを有する。エジェクタは、流路内にガスを供給するように構成されたガス入口と、流路内に水を供給するように構成された水入口とを有する。エジェクタは、流路に沿った水とガスの混合に応じて蒸気を生成するように構成される。
【0006】
第3の実施形態では、方法は、液体燃料回路に流体結合された蒸気パージシステムのエジェクタへのガスおよび水の流れを制御するステップを含む。エジェクタは、流路の周りに円周方向に延在する外壁を含み、外壁は流路に沿ったスロートセクションを有し、また外壁は、流路に沿ってスロートセクションの下流にある分流セクションを有する。エジェクタは、流路内にガスを供給するように構成されたガス入口と、流路内に水を供給するように構成された水入口とを有する。エジェクタは、流路に沿った水とガスの混合に応じて蒸気を生成するように構成される。本方法はまた、液体燃料回路をパージするために、エジェクタから液体燃料回路への蒸気の流れを開くステップを含む。
【0007】
本技術のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付図面を参照して以下の発明を実施するための形態を読むとより良く理解され、添付図面では、図面全体にわたって、同様の文字は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】液体燃料回路をパージするための蒸気パージシステムを有するガスタービンシステムの一実施形態の概略図であり、蒸気パージシステムは、水と高温ガス(例えば、高温圧縮空気)とを組み合わせて蒸気を発生させて液体燃料回路をパージするエジェクタを含む。
【
図2】
図1のガスタービンシステムの一実施形態の概略図であり、複数の燃料ノズル(例えば、二重燃料ノズル)を有する複数の燃焼器に延在する液体燃料回路に結合された蒸気パージシステムを示す。
【
図3】
図1~
図2の蒸気パージシステムのエジェクタの一実施形態の概略図であり、エジェクタの収束セクション、スロート、および分流セクションを示している。
【
図4】複数の燃料ノズル(例えば、二重燃料ノズル)を有する燃焼器に結合された、
図1~
図3の蒸気パージシステムの一実施形態の概略図である。
【
図5】
図1~
図4の蒸気パージシステムを使用して液体燃料回路から液体燃料をパージするプロセスの一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で、本技術の1つまたは複数の具体的な実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供する努力において、実際の実施態様の一部の特徴は、本明細書において説明されないことがある。あらゆるそのような実際の実施態様の開発において、あらゆるエンジニアリングまたは設計プロジェクトと同様に、実施態様ごとに異なり得るシステム関連およびビジネス関連の制約条件の遵守など、開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施態様に特有の決定を行わなければならないことを、理解すべきである。さらに、そのような開発の努力が、複雑かつ時間を必要とするものであり得るが、それでもなお本開示の恩恵を被る当業者にとって設計、製作、および製造の日常的な取り組みにすぎないと考えられることを、理解すべきである。
【0010】
本発明の様々な実施形態の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味するものである。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在する場合があることを意味するものである。
【0011】
図1は、ガスタービンエンジン12、二重燃料(供給)システム14、および蒸気パージシステム16を有するガスタービンシステム10の一実施形態の概略図である。以下でさらに詳細に説明するように、蒸気パージシステム16は、給水部20から水(例えば、水の流れ)およびガス供給部22からガス(例えば、高温圧縮空気)を受け取り、ガスタービンシステム10の液体燃料回路24をパージする際に使用するための飽和蒸気などの蒸気の流れを発生させるように構成されたエジェクタ18を含む。例えば、蒸気パージシステム16のエジェクタ18は、液体燃料供給システム26とガス燃料供給システム28とを切り替えるとき、および/または液体燃料供給システム26の動作を停止するときに、蒸気を発生させ、蒸気を液体燃料回路24に供給するように構成することができる。液体燃料回路24を通って供給された蒸気は、液体燃料回路24から任意の残留液体燃料をパージするように構成され、それによって液体燃料回路24におけるコーキングの可能性を低減するのに役立つ。
【0012】
図示のガスタービン10は、ガスタービンエンジン12を収容するガスタービンエンクロージャ30を含む。ガスタービンエンジン12は、吸気セクション32、圧縮機セクション34、燃焼セクション36、タービンセクション38、および負荷40(例えば、発電機)を含む。吸気セクション32は、複数の吸気ルーバ44と、1つまたは複数の空気フィルタ46と、1つまたは複数の48(例えば、防氷システム、サイレンサバッフルなど)とを有する吸気ダクト42を含む。圧縮機セクション34は、圧縮機ケーシング56の内側で圧縮機シャフト54に結合された1段または複数段の圧縮機ブレード52を有する単段または多段圧縮機50を含む。例えば、圧縮機50は、シャフト54に結合された1段から28段の圧縮機ブレード52の圧縮機段を含むことができる。圧縮機50の各段は、シャフト54の周りに円周方向に配列された複数段の圧縮機ブレード52を有する。圧縮機セクション34は、圧縮空気流94を燃焼セクション36に出力する。
【0013】
燃焼セクション36は、1つまたは複数の燃料ノズル60を有する1つまたは複数の燃焼器58を含む。例えば、燃焼セクション36は、2つから14の燃焼器58を含むことができ、各燃焼器58は、1つから6つの燃料ノズル60を含む。以下の説明および詳細から分かるように、各燃料ノズル60は、ガスタービンエンジン12が液体燃料供給システム26を介した液体燃料動作と、ガス燃料供給システム28を介したガス燃料動作とを選択的に切り替えるように構成することができるように、二重燃料動作(例えば、二重燃料ノズル)用に構成される。例えば、液体燃料供給システム26は、複数の液体燃料ライン62を介して燃料ノズル60に液体燃料を供給するように構成されてもよく、ガス燃料供給システム28は、複数のガス燃料ライン64を介して燃料ノズル60にガス燃料を供給するように構成されてもよい。図示の実施形態では、液体燃料ライン62は、液体燃料供給部26から、各燃焼器58の燃料ノズル60に結合されたマニホールド66まで延在する。したがって、燃料マニホールド66は、各燃焼器58の燃料ノズル60の各々に液体燃料を分配する。ガス燃料ライン64は、同様の方法で燃料ノズル60に結合することができる。燃料ノズル60は、燃焼器58における燃料(例えば、液体燃料またはガス燃料)の燃焼を促進し、次いで高温燃焼ガス96をタービンセクション38に出力する。
【0014】
タービンセクション38は、タービンケーシング73内のタービンシャフト72に結合された1段または複数段のタービンブレード70を有する単段または多段タービン68を含む。例えば、タービン68は、シャフト72に結合されたタービンブレード70の1段から8段のタービン段を含むことができる。タービン68の各段は、シャフト72の周りに円周方向に配列された複数段の圧縮機ブレード70を有する。タービン68および圧縮機50は、シャフト54および72に接続する中間シャフト74を介して互いに回転可能に結合される。さらに、負荷40は、シャフト76を介してタービン68に回転可能に結合される。特定の実施形態では、シャフト54、72、74、および76のうちの1つまたは複数は、共通のシャフトとして一体化されてもよい。また、特定の実施形態では、負荷40は、ガスタービンエンジン12のタービン68側端部ではなく、ガスタービンエンジン12の圧縮機50側端部でガスタービンエンジン12に回転可能に結合されてもよい。ガスタービンエンクロージャ30は、一般に、圧縮機セクション34、燃焼セクション36、およびタービンセクション38を含むガスタービンエンジン12の全体を囲み、収容する。しかしながら、二重燃料システム14、蒸気パージシステム16、および負荷40は、一般に、ガスタービンエンクロージャ30の外側に配置される。
【0015】
二重燃料システム14は、液体燃料およびガス燃料の両方をガスタービンエンジン12に供給するための様々なタンク、パイプライン、バルブ、ポンプ、マニホールド、フィルタ、および他の支持機器を含む。図示の実施形態では、液体燃料供給システム26は、1つまたは複数の燃料タンク78と、1つまたは複数のバルブ80と、1つまたは複数のポンプ82と、1つまたは複数のマニホールドおよび分配バルブ84とを含むことができる。1つまたは複数のポンプ82は、燃料タンク78からの液体燃料の流れを強制するように構成され、バルブ80は、燃料タンク78からの流れを開閉するように構成され、マニホールドおよびバルブ84は、複数の液体燃料ライン62を通る液体燃料の流れを様々な燃焼器58および燃料ノズル60に分配するように構成される。
【0016】
同様に、ガス燃料供給システム28は、1つまたは複数の燃料フィルタ86と、1つまたは複数のバルブ88と、1つまたは複数のマニホールドおよび分配バルブ90とを含むことができる。ガス燃料供給システム28はまた、燃料タンクおよび/またはパイプラインなどの1つまたは複数の燃料貯蔵ユニットを含むことができる。燃料タンクおよび/またはパイプラインによって提供されるガス燃料は加圧されてもよく、その結果、ガス燃料供給システム28は、バルブ88を開閉し、ガスの流れがマニホールドおよび分配バルブ90を通り、複数のガス燃料ライン64を通って様々な燃料ノズル60に流れることを可能にすることによってガス燃料の流れを制御するように構成される。
【0017】
動作中、ガスタービンエンジン12は、吸気セクション32を通る空気流92を受け取り、圧縮機セクション34の1段または複数段の圧縮機ブレード52で空気流92を圧縮し、圧縮空気流94を燃焼セクション36の燃焼器58に導く。次いで、エンジン12は、圧縮空気流94を燃料ノズル60の各々において燃料(例えば、液体燃料供給システム26からの液体燃料および/またはガス燃料供給システム28からのガス燃料)と混合し、燃料-空気混合物に点火し、各燃焼器58の燃焼室98において高温燃焼ガス96を発生させ、高温燃焼ガス96をタービンセクション38に出力する。エンジン12は、タービンセクション38を通るように高温燃焼ガス96を流し、それにより、高温燃焼ガス96がタービンセクション38を通って膨張するときにタービンブレード70の回転を駆動する。高温燃焼ガス96がタービンセクション38の回転を駆動すると、タービンシャフト72は、圧縮機シャフト54に結合されたシャフト74および負荷40に結合されたシャフト76を回転させる。したがって、タービンセクション38は、圧縮機50の回転を駆動して吸気92を圧縮するとともに、発電機などの負荷40を駆動する。
【0018】
上述したように、図示の蒸気パージシステム16は、給水部20、ガス供給部22、およびエジェクタ18を含む。給水部20は、エジェクタ18への水の流れをそれぞれ貯蔵および圧送するように構成された、1つまたは複数の水タンク100および1つまたは複数の水ポンプ102を含むことができる。ガス供給部22は、燃料ノズル60内の液体燃料の霧化を促進するように構成された、空気霧化モジュールなどの霧化モジュール103を含むことができる。したがって、ガス供給部22、具体的には霧化モジュール103は、1つまたは複数のガス供給構成要素104および1つまたは複数の圧縮機106をさらに含むことができる。例えば、圧縮機106は、霧化モジュール103用の空気圧縮機(例えば、霧化空気圧縮機)を含むことができる。ガス供給構成要素104は、フィルタ、逆止弁、タンク、圧力調整器、および他の流量制御機器を含むことができる。いくつかの実施形態では、ガス供給構成要素104は、圧縮機106からの圧縮ガスの温度を上昇させるように構成された1つまたは複数の追加の熱源(例えば、ヒータまたは熱交換器)を含むことができる。しかしながら、圧縮機106は、追加の熱源なしでエジェクタ18内で水を蒸気に変換するのに十分な圧力および温度で圧縮ガス(例えば、圧縮空気)を出力するように構成されてもよい。図示の実施形態は、ガスとして高温圧縮空気を使用することができるが、いくつかの実施形態では、ガス供給部22は、窒素などの高温圧縮不活性ガスを供給するように構成されてもよい。
【0019】
給水部20は、バルブ110、逆止弁112、水タンク114(例えば、バッファタンク)、およびバルブ116などの1つまたは複数の流量制御装置を有する水ライン108を介してエジェクタ18に水を供給するように構成される。例えば、バルブ110および116は、コントローラ118からの制御信号に応答して選択的に開閉することができるロータリーバルブ、ゲートバルブ、ボールバルブ、または他の適切なアクチュエータ制御式バルブであってもよい。逆止弁112は、ガス供給部22からのガス(例えば、高温圧縮空気)の逆流および/またはエジェクタ18から給水部20に向かう水の逆流を阻止するように構成される。水タンク114は、逆止弁112とバルブ116との間に水のバッファを提供するように構成される。バルブ110および116は、給水部20からエジェクタ18への水ライン108を通る水流を開閉するように構成される。
【0020】
同様に、ガス供給部22は、ガスライン120に沿ってガス流(例えば、高温圧縮空気流)をエジェクタ18に供給するように構成される。ガスライン120は、1つまたは複数の流量制御装置、例えば、コントローラ118からの信号に応答してガス流を選択的に開閉するように構成されたバルブ122を含むことができる。ここでも、バルブ110および116と同様に、バルブ122は、ボールバルブ、ゲートバルブ、ロータリーバルブ、または別の適切なアクチュエータ制御式バルブなどのアクチュエータ制御式バルブであってもよい。
【0021】
以下でさらに説明するように、給水部20からの水およびガス供給部22からのガス(例えば、高温圧縮空気)は、エジェクタ18に供給され、ガスはエジェクタ18で水と混合し、水を蒸気に変換する。特に、ガスの比較的高い温度および圧力(例えば、高温圧縮ガス)は、エジェクタ18内で水を蒸気に変換するのに役立つ。さらに、エジェクタのベンチュリ効果により、エジェクタ18を流れるガス中に水が吸引され、それにより、水の流れおよびエジェクタ18内での混合が容易になる。水-ガス混合物(例えば、水-空気混合物)がエジェクタ18内で混合して膨張すると、ガス(例えば、高温圧縮空気)から水に伝達される圧力および熱の変化は、水を蒸気に変換するのに役立つ。特定の実施形態では、エジェクタ18内で最初に形成された蒸気は、液体燃料回路24をパージするための所望の特性を有していない場合がある(例えば、蒸気は直ちには飽和蒸気にならない場合がある)。したがって、蒸気パージシステム16は、液体燃料回路24をパージする前に、蒸気の飽和蒸気への移行に対処するように構成することができる。
【0022】
エジェクタ18の出口124は、バルブ128を有する出力ライン126に結合され、マニホールド130は、出力ライン126に結合され、複数の分配ライン132は、マニホールド130に結合され、液体燃料回路24の液体燃料ライン62まで延在する。さらに、ベントライン134は、エジェクタ18とバルブ128との間で出力ライン126に結合され、ベントライン134は、バルブ136およびベント/ドレイン138を含む。コントローラ118が蒸気パージシステム16を用いて蒸気パージを開始すると、エジェクタ18に供給される水およびガスは、完全には飽和していない蒸気を最初に発生させる場合がある。したがって、コントローラ118は、バルブ128を閉じるように制御することができ、バルブ136を開くように制御することができ、それによって蒸気が出力ライン126を通ってマニホールド130に流れるのを阻止し、ベントライン134を通してベント/ドレイン138に蒸気を排気する。コントローラ118は、所定の時間遅延または他の基準に基づいて、ベントライン134を通る蒸気のこの初期排気を実行するように構成されてもよい。しかしながら、蒸気が飽和蒸気であるか、飽和蒸気であるはずだとコントローラ118が判定すると、コントローラ118は、バルブ128を開き、バルブ136を閉じるように構成され、それにより、ベントライン134を通る蒸気の排気を停止し、出力ライン126を通るマニホールド130への蒸気(ここでは飽和蒸気)の流れを可能にする。
【0023】
次いで、マニホールド130は、分配ライン132を介して複数の液体燃料ライン62に飽和蒸気を分配する。各分配ライン132は、液体燃料ライン62からマニホールド130およびエジェクタ18に向かう液体燃料の逆流を阻止するように構成された逆止弁140を含むことができる。さらに、液体燃料ライン62の各々は、液体燃料ライン62を通って液体燃料供給システム26に向かう蒸気および燃料の逆流を阻止するように構成された逆止弁141を含むことができる。したがって、液体燃料供給システム26が液体燃料回路24を介して燃料ノズル60に液体燃料を供給していない場合、蒸気パージシステム16は、液体燃料ライン62、マニホールド66、燃料ノズル60、および液体燃料ライン62に沿った任意の他の流れ制御装置を含む、逆止弁140および141の下流の液体燃料回路24の全体を通るように液体燃料ライン62を介して飽和蒸気を供給する。結果として、飽和蒸気は、液体回路24内の残留液体燃料を除去し、液体燃料回路24内のコークス形成の可能性を低減するのに役立つ。
【0024】
蒸気パージシステム16による液体燃料回路24の蒸気パージは、定期的にまたは予定されたメンテナンス中に所定の時間量にわたって実行されてもよい。例えば、蒸気パージは、ガスタービンシステム10の動作の1~6ヶ月ごとに5~10分間実行することができる。さらに、蒸気パージシステム16は、ガスタービンシステム10が動作している、例えば、ガス燃料供給システム28からのガス燃料で動作している間に、液体燃料回路24の蒸気パージを実行するように構成することができる。
【0025】
図示の実施形態では、蒸気パージシステム16は、高所領域144でガスタービンエンクロージャ30の外部に結合されたハウジング142内に少なくとも部分的に配置され、高所領域144は、燃料ノズル60および/または燃焼器58の上方に少なくとも部分的または全体的に垂直に配置することができる。したがって、ハウジング142を通過する液体燃料ライン62は、次いで、液体燃料ライン62が燃焼器58および燃料ノズル60のそれぞれに向かって下方に傾斜するように、高い位置においてガスタービンエンクロージャ30に入ることができる。この点に関して、液体燃料は、重力によって燃料ノズル60および燃焼器58の中へと、およびそれらの中を通って下方に駆動され、それによって、重力による液体燃料回路24内の液体燃料の蒸気パージを促進するのに役立つことができる。
【0026】
図示のように、液体燃料ライン62はハウジング142を通過し、逆止弁141はハウジング142内の液体燃料ライン62に沿って配置され、逆止弁140はハウジング142内の分配ライン132に沿って配置され、蒸気パージシステム16の他の構成要素のうちの1つまたは複数もまた、ハウジング142内に配置されてもよい。例えば、特定の実施形態では、ハウジング142はまた、マニホールド130、バルブ128および136、エジェクタ18、バルブ110、112、116、122、および水タンク114を収容することができる。さらに、特定の実施形態では、ハウジング142は、ガス供給部22および液体燃料供給システム26を収容することができる。いくつかの実施形態では、別個のハウジング143(破線で示す)が、マニホールド130、バルブ128および136、エジェクタ18、バルブ110、112、116、122、水タンク114、ガス供給部22、および液体燃料供給システム26を収容することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、
図2を参照して以下に説明するように、蒸気パージシステム16は、液体燃料ライン62および対応する分配ライン132の一部、ならびに蒸気パージシステム16の関連する構成要素をそれぞれ有する複数のハウジング142を含むことができる。ここでも、液体燃料ライン62、逆止弁140、分配ライン132、および逆止弁141は高所領域144に配置され、その結果、液体燃料ライン62に供給される飽和蒸気は、重力の恩恵を受け、蒸気パージ中に液体燃料回路24を通して、燃料ノズル60を介して燃焼器58に液体燃料を押し出す。蒸気パージシステム16を介した蒸気パージの完了後、ガスタービン10は、圧縮機50と液体燃料回路24の液体燃料ライン62との間の空気パージライン148に沿って配置されたバルブ146を開くことができる。空気パージライン148は、蒸気パージの完了後に液体燃料ライン62をさらにパージするために、圧縮機50から圧縮機空気の流れを抽気するように構成される。空気パージライン148はまた、ライン148を通って圧縮機50に入る液体燃料および/または蒸気の逆流を阻止する逆止弁150を含む。
【0028】
上述したように、蒸気パージシステム16は、ガスタービンエンジン12の圧縮機50とは別個の1つまたは複数の圧縮機106を含むことができるガス供給部22を含む。例えば、上述したように、ガス供給部22は、燃焼器58の各々の燃料ノズル60の各々に、1つまたは複数の霧化空気流ライン154を通る霧化流152(例えば、霧化空気流)を提供するように構成された空気圧縮機106(例えば、霧化空気圧縮機)を使用することができる。動作中、霧化流152は、燃料ノズル60内の液体燃料を霧化するように構成される。したがって、ガス供給部22、特に霧化モジュール103の空気圧縮機106は、ガスタービンエンジン12の液体燃料動作中に液体燃料を霧化することと、蒸気パージシステム16のエジェクタ18内で飽和蒸気を発生させるための高温圧縮ガスを生成することとの両方を含む、複数の目的に使用することができる。
【0029】
空気圧縮機106などのガス供給部22は、エジェクタ18内に蒸気(例えば、飽和蒸気)を発生させるのに適した温度および圧力を提供するように構成することができる。例えば、空気圧縮機106は、少なくとも摂氏170、180、190、200、225、250、275、または300度以上の温度、少なくとも200、250、300、350、または400psi以上の圧力で、高温圧縮空気流をエジェクタ18に供給するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ガス供給部22はまた、ガスタービンシステム10の圧縮機50および/または施設内の別のタンクまたは圧縮機からのガス供給部からの抽気流(例えば、高温圧縮空気流)を含むことができる。
【0030】
上述したように、ガスタービンシステム10は、蒸気パージシステム16の態様を制御するように構成されたコントローラ118を含む。図示のコントローラ118は、プロセッサ156およびメモリ158を含む。メモリ158は、蒸気パージシステム16を動作させるためにプロセッサ156によって実行されるように構成された命令を格納するように構成される。例えば、コントローラ118は、
図5に示すプロセスに従って命令を格納し実行するように構成することができる。動作中、コントローラ118は、様々なバルブを開閉し、二重燃料システム14の動作を制御し、飽和蒸気の発生を制御し、蒸気パージの持続時間およびタイミングを制御し、ガスタービンシステム10の液体燃料動作とガス燃料動作との間の移行を制御し、ガスタービンエンジン12の動作の態様を制御するように構成することができる。
【0031】
図2は、ガスタービンシステム10の一実施形態を示す概略図であり、ガスタービンエンクロージャ30の内側に配置された複数の燃焼器58を示し、蒸気パージシステム16は、ガスタービンエンクロージャ30の両側の高所領域144に複数のハウジング142を含む。特に、図示の実施形態では、ハウジング142は、液体燃料供給システム26の液体燃料ライン62および蒸気パージシステム16の分配ライン132が2つのハウジング142の間で均等に分割されるように、ガスタービンエンクロージャ30の両側に配置される。ハウジング142の各々は、蒸気パージシステム16の対応する3つの分配ライン132から蒸気を受け取るように構成された3つの液体燃料ライン62を含む。図示のように、分配ライン132の各々は、蒸気パージシステム16への液体燃料の逆流を阻止するように構成された逆止弁140を含み、液体燃料ライン62の各々は、液体燃料供給システム26への蒸気の逆流を阻止するように構成された逆止弁141を含む。さらに、図示のように、ハウジング142は、液体燃料ライン62の各々がガスタービンエンクロージャ30内の燃焼器58の各々の燃料ノズル60に向かって下方に傾斜するように、高所領域144に配置される。
【0032】
図示の実施形態は、各々が6つの燃料ノズル60を有する6つの燃焼器58を有する。しかしながら、任意の適切な数の燃焼器58および燃料ノズル60が、開示された実施形態の範囲内にある。図示の燃料ノズル60は、1つの中央燃料ノズル180および5つの外側または円周方向燃料ノズル182と共に配列される。燃料ノズル60はまた、ガス燃料供給領域186によって囲まれた中央液体燃料カートリッジ184を有するように構成される。これらの燃料ノズル60の詳細は、
図4を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【0033】
図3は、蒸気パージシステム16のエジェクタ18の一実施形態の概略図である。図示のように、エジェクタ18は、バルブ122を有するガスライン120を介してガス供給部22(例えば、空気圧縮機106)からガス200(例えば、高温圧縮空気)を受け取る。エジェクタ18は、中央ガス導管204を介してガス流路203に流体結合されたガス入口202においてガス200を受け取る。エジェクタ18はまた、バルブ110、逆止弁112、水タンク114、およびバルブ116を含む水ライン108を介して給水部20に結合される。水ライン108は、水入口206においてエジェクタ18に結合される。図示のエジェクタ18は、中心軸線210の周りに円周方向に配置された外壁208を有する。例えば、外壁208は、内側環状チャンバ211を画定する環状外壁であってもよい。
【0034】
外壁208は、収束セクション212と、収束セクション212の下流のスロート214と、スロート214の下流の分流セクション216とを画定することができる。したがって、エジェクタ18は、水を引き込み、エジェクタ18内の水およびガス200を混合するのに役立つベンチュリ効果を提供する。収束セクション212、スロート214、および分流セクション216は、外壁208の環状壁または壁部分を画定することができる。例えば、収束セクション212は、スロート214に向かう下流の流れ方向(例えば、ガス流路203によって示されるように)において断面積または直径が徐々に減少する、外壁208の湾曲環状壁部分または円錐壁部分を画定することができる。一方、分流セクション216は、エジェクタ18のスロート214から出口124に向かって断面積または直径が増加する、外壁208の湾曲環状壁部分または円錐壁部分を画定することができる。
【0035】
図示の実施形態では、中央ガス導管204は、少なくとも部分的にまたは全体的に収束セクション212を通ってスロート214まで延在する。しかしながら、他の実施形態は、より短いまたはより長い長さの中央ガス導管204を含むことができ、中央ガス導管204の出口218は、完全に収束セクション212内に、直接スロート214内に、または分流セクション216内に配置することができる。いくつかの実施形態はまた、中央ガス導管204を使用せずに、ガス200を収束セクション212に直接導くことができる。
【0036】
水入口206は、エジェクタ18のスロート214において外壁208に結合される。しかしながら、特定の実施形態では、1つまたは複数の水入口206は、スロート214の上流または下流の位置において外壁208に結合されてもよい。動作中、エジェクタ18を通り、特にスロート214を通って分流セクション216に入るガス200の流れは、水入口206を介して水を引き込む吸引力を作り出す。したがって、エジェクタ18の構造は、水入口206を介して水を引き込むことを容易にするのに役立ち、したがって、スロート214および分流セクション216内で水をガス200と混合するのに役立つ。ガス200の比較的高い圧力および温度はまた、ガス200および水がエジェクタ18内で混合するときに蒸気形成を促進するのに役立つ。
【0037】
例えば、特定の持続時間の後、エジェクタ18内で発生している蒸気は飽和し、それによってエジェクタ18内に飽和蒸気220を生成することができる。最初に、蒸気が飽和する前に、
図1を参照して上述したように、バルブ136は、ベントライン134を介して蒸気を排気するために開くことができ、その一方で、バルブ128は、出力ライン126を介した液体燃料ライン62への蒸気の流れを阻止するために閉じられる。しかしながら、蒸気が飽和した後、コントローラ118によってバルブ136は閉じられてバルブ128は開かれ、それにより、
図1を参照して上述したように、出力ライン126を通して液体燃料ライン62に飽和蒸気220を送る。
【0038】
図4は、二重燃料システム14と共に燃焼器58のうちの一方に結合された蒸気パージシステム16を有するガスタービンシステム10の一実施形態の概略図である。図示のように、二重燃料システム14は、液体燃料ライン62およびガス燃料ライン64を介して燃焼器58の燃料ノズル60に流体結合された、液体燃料供給システム26およびガス燃料供給システム28の両方を有する。さらに、蒸気パージシステム16は、逆止弁140を有する分配ライン132を介して液体燃料ライン62に流体結合される。ここでも、逆止弁140および分配ライン132、ならびに逆止弁141および液体燃料ライン62は、それらのラインを通ってそれぞれ蒸気パージシステム16および液体燃料供給システム26に向かう逆流を阻止するように構成される。
【0039】
図示の燃焼器58は、燃焼セクション230およびヘッド端部232を有する。燃料ノズル60は、プレート234によって燃焼セクションから分離されたヘッド端部232に配置されている。燃焼セクション230は、燃焼室98の周りに円周方向に配置された燃焼ライナ236と、燃焼ライナ236の周りに円周方向に配置されて空気流路240を画定する流れスリーブ238とを含む。空気流路240は、圧縮機50からの排出部に流体結合され、その結果、圧縮機からの空気流は、矢印242で示すように、ヘッド端部232に向かう流れ方向で、流れスリーブ238と燃焼ライナ236との間を流れる。ヘッド端部232に到達すると、空気流は、矢印244で示すように旋回して燃料ノズル60の各々に入る。
【0040】
燃料ノズル60の各々は、液体燃料カートリッジ184の周りに円周方向に配置された外側スリーブ246と、外側スリーブ246と液体燃料カートリッジ184との間に半径方向に延在する複数のベーン248(例えば、旋回ベーン)とを含む。例えば、燃料ノズル60は、液体燃料カートリッジ184の周りに円周方向に間隔を置いて配置された2つから10のベーン248を含むことができる。これらのベーン248の各々は、ガス燃料供給システム28のガス燃料ライン64からガス燃料を受け取り、それによって外側スリーブ246と液体燃料カートリッジ184との間の空気流路250(矢印250で示す)にガス燃料を導くように構成される。空気流路250は、環状に形成された外側スリーブ246と環状に形成された液体燃料カートリッジ184との間に画定された環状空気流路であってもよい。燃料ノズル60は、上流空気入口252および下流燃料-空気混合物出口254を含む。各燃料ノズル60は、上流空気入口252を介して空気244を受け取り、空気流をベーン248で旋回させ、(ガス燃料動作中に)ベーン248に配置された出口256を介してガス燃料を噴射し、燃料ノズル60の燃料-空気混合物出口254を通って出る前に外側スリーブ246内で燃料と空気を混合するように構成される。液体燃料動作では、ガス燃料はベーン248の出口256を通って噴射されない。代わりに、液体燃料は、液体燃料カートリッジ184を通って噴射され、1つまたは複数の出口258を通って外側スリーブ246内に出る。
図1を参照して上述したように、液体燃料カートリッジ184はまた、ガス供給部22から霧化流152を受け取り、それによって液体燃料カートリッジ184から出る液体燃料を霧化するのに役立つ。
【0041】
したがって、図示の実施形態では、ガスタービンシステム10は、液体燃料供給システム26、液体燃料供給ライン62、および燃料ノズル60内の液体燃料カートリッジ184を使用して、液体燃料動作モードで選択的に動作するように構成される。さらに、ガスタービン供給システム10は、ガス燃料供給システム28、ガス燃料ライン64、および燃料ノズル60に配置されたベーン248を使用して、ガス燃料動作モードで選択的に動作するように構成される。蒸気パージシステム16は、液体燃料供給システム26を用いた液体燃料動作モードを停止するとき、および/または液体燃料動作モードから、ガス燃料供給システム28を使用するガス燃料動作モードに変更するときに、液体燃料回路24をパージするように構成される。蒸気パージシステム16は、エジェクタ18を使用して水とガス(例えば、高温圧縮空気)を組み合わせて蒸気(例えば、飽和蒸気)を発生させ、液体燃料ライン62、マニホールド66、液体燃料カートリッジ184、ならびに液体燃料回路24に沿った様々なバルブおよび他の機器から液体燃料をパージする。
【0042】
図5は、蒸気パージシステム16を用いてガスタービンシステム10の液体燃料回路24をパージするためのプロセス270の一実施形態のフローチャートである。図示するように、プロセス270は、燃料ノズル60への液体燃料の流れを停止することによって開始することができる(ブロック272)。例えば、プロセス270は、液体燃料供給システム26を介した液体燃料動作モードと、ガス燃料供給システム28を用いたガス燃料動作モードとの間の切り替えを開始することであってもよく、またはプロセス270は、ガスタービンシステム10の全体的な停止を開始することであってもよい。次いで、プロセス270は、蒸気パージシステム16のエジェクタ18へのガス流(例えば、高温圧縮空気流)を開始することに進む(ブロック274)。例えば、プロセス270は、ガスライン120に沿ったバルブ122を開き、圧縮機106(例えば、霧化モジュール103の空気圧縮機)などのガス供給部22の動作を可能にすることができる。次いで、プロセス270は、給水部20から水ライン108を介して蒸気パージシステム16のエジェクタ18への水流を開始することができる(ブロック276)。例えば、プロセス270は、バルブ110および116を開き、ポンプ102の動作を開始して水流を可能にすることができる。次いで、プロセス270は、エジェクタ18内で水とガスが混合する際に、エジェクタ18内で蒸気を生成することができる(ブロック278)。
【0043】
ブロック278においてエジェクタ18が蒸気の発生を開始すると、プロセス270は、ブロック280において蒸気が飽和しているかどうかを判定することができる。特定の実施形態では、プロセス270は、ブロック280において、所定の時間(例えば、5、10、15、または20分)、ガスタービンエンジン12の動作の履歴データ、コンピュータモデル、ガスタービンエンジン12および蒸気パージシステム16の動作に関するセンサデータ、ならびに様々な他のパラメータに基づいて、蒸気が飽和しているか否かを判定することができる。ブロック280において蒸気が飽和していない場合、プロセス270は、出力ライン126に沿ったバルブ128を閉じ、ベントライン134に沿ったバルブ136を開くことによって、蒸気を大気に排気する(ブロック282)。
【0044】
プロセス270が(ブロック280において)、蒸気が飽和していると判定した場合、プロセス270は、ブロック284によって示されるように、ガスタービンエンジン12の液体燃料回路24を通る飽和蒸気の流れを開くことに進む。例えば、プロセス270は、出力ライン126に沿ったバルブ128を開き、ベントライン134に沿ったバルブ136を閉じることができ、それによって飽和蒸気がマニホールド130を通って分配ライン132に流入し、液体燃料ライン62に流れることを可能にする。さらに、プロセス270は、ユーザ入力、履歴データ、センサデータ、液体燃料回路24の以前の蒸気パージからの時間、または1つもしくは複数の条件に基づく蒸気パージの所定の時間に応じて、蒸気パージの適切な持続時間を決定することができる。
【0045】
ブロック286において、プロセス270は、蒸気パージが完了したか否かを判定することができる。蒸気パージが完了していない場合、プロセス270は、ブロック288によって示されるように、蒸気パージを動作させ続けることができる。ブロック286において、蒸気パージが完了したとプロセス270が判定した場合、プロセス270は次に、ガスタービンエンジン12の液体燃料回路24を通る飽和蒸気の流れを停止することに進むことができる(ブロック290)。
【0046】
本技術の技術的効果は、エジェクタ18を使用して液体燃料回路24をパージするための蒸気を発生させる蒸気パージシステム16を含み、可動部品がないこと、メンテナンスが少ないこと、水を引き込むベンチュリ効果などの様々な利点を提供する。エジェクタ18は、空間をさほど必要とせず、ガスタービンシステム10内で別の目的(例えば、燃料ノズル60内の液体燃料を霧化するための霧化流152の供給)のために既に使用されている既存の供給源(例えば、空気圧縮機106を有する霧化モジュール103)から利用可能な高温圧縮ガス(例えば、高温圧縮空気)を活用する。蒸気パージシステム16はまた、エジェクタ18からの液体燃料ライン62および分配ライン132を燃焼器58および燃料ノズル60の上方の高所領域144に設置することによって液体燃料回路24の蒸気パージを促進するために重力を使用する。
【0047】
本明細書は、最良の態様を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない同等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であるものとする。
【符号の説明】
【0048】
10 ガスタービンシステム、ガスタービン供給システム
12 ガスタービンエンジン
14 二重燃料システム
16 蒸気パージシステム
18 エジェクタ
20 給水部
22 ガス供給部
24 液体燃料回路
26 液体燃料供給システム、液体燃料供給部
28 ガス燃料供給システム
30 ガスタービンエンクロージャ
32 吸気セクション
34 圧縮機セクション
36 燃焼セクション
38 タービンセクション
40 負荷
42 吸気ダクト
44 吸気ルーバ
46 空気フィルタ
48 追加空気処理システム
50 単段または多段圧縮機
52 圧縮機ブレード
54 シャフト、圧縮機シャフト
56 圧縮機ケーシング
58 燃焼器
60 燃料ノズル
62 液体燃料ライン、液体燃料供給ライン
64 ガス燃料ライン
66 燃料マニホールド
68 単段または多段タービン
70 タービンブレード、圧縮機ブレード
72 タービンシャフト
73 タービンケーシング
74 中間シャフト
76 シャフト
78 燃料タンク
80 バルブ
82 ポンプ
84 マニホールドおよび分配バルブ
86 燃料フィルタ
88 バルブ
90 マニホールドおよび分配バルブ
92 吸気、空気流
94 圧縮空気流
96 高温燃焼ガス
98 燃焼室
100 水タンク
102 ポンプ
103 霧化モジュール
104 ガス供給構成要素
106 空気圧縮機
108 水ライン
110 バルブ
112 逆止弁、バルブ
114 水タンク
116 バルブ
118 コントローラ
120 ガスライン
122 バルブ
124 出口
126 出力ライン
128 バルブ
130 マニホールド
132 分配ライン
134 ベントライン
136 バルブ
138 ベント/ドレイン
140 逆止弁
141 逆止弁
142 ハウジング
143 ハウジング
144 高所領域
146 バルブ
148 空気パージライン
150 逆止弁
152 霧化流
154 霧化空気流ライン
156 プロセッサ
158 メモリ
180 中央燃料ノズル
182 円周方向燃料ノズル
184 中央液体燃料カートリッジ
186 ガス燃料供給領域
200 ガス
202 ガス入口
203 ガス流路
204 中央ガス導管
206 水入口
208 外壁
210 中心軸線
211 内側環状チャンバ
212 収束セクション
214 スロート
216 分流セクション
218 出口
220 飽和蒸気
230 燃焼セクション
232 ヘッド端部
234 プレート
236 燃焼ライナ
238 流れスリーブ
240 空気流路
242 矢印
244 矢印、空気
246 外側スリーブ
248 ベーン
250 矢印、空気流路
252 上流空気入口
254 燃料-空気混合物出口
256 出口
258 出口
270 プロセス
【外国語明細書】