IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

特開2022-98465燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法
<>
  • 特開-燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法 図1
  • 特開-燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法 図2
  • 特開-燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法 図3
  • 特開-燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法 図4
  • 特開-燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法 図5
  • 特開-燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法 図6
  • 特開-燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098465
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/00 20060101AFI20220624BHJP
   F02C 3/30 20060101ALI20220624BHJP
   F23R 3/40 20060101ALI20220624BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20220624BHJP
   F02C 9/40 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F02C9/00 B
F02C3/30 A
F23R3/40 Z
F02C7/22 A
F02C9/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201013
(22)【出願日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】17/129,078
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】アドナン・ファリード・ザファル
(72)【発明者】
【氏名】サミール・ディンカル・ヴァルタク
(72)【発明者】
【氏名】アルン・クマール・スリーダラン
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・アポロニオ・ブルシアガ-サントス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃焼タービンのターンダウン能力を改善するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】燃焼タービン制御システムは、排出目標を満たしながら、部分負荷または無負荷で燃焼タービンシステムを動作させるように構成される。燃焼タービンシステムは、燃焼タービン、燃焼タービンコントローラおよびセンサ、触媒アセンブリ、ならびに/または他の関連機器を含む。負荷条件および排出規制などの所与の動作制約に基づいて、燃焼タービンコントローラは、排出規制に従って排気ガス中の特定のガス濃度および/またはガス質量流量を制御する対応するアクションを実行することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
燃焼タービン(10)が部分負荷条件または無負荷条件で動作すべきであるという指示を受信することと、
前記指示の受信に応答して、前記部分負荷条件または無負荷条件で前記燃焼タービン(10)を動作させ、それによって排気排出物を生成することと、
前記部分負荷条件または無負荷条件で前記燃焼タービン(10)内の燃焼温度を上昇させ、前記燃焼温度が上昇しない最小負荷条件の排気ガス温度および排気排出物プロファイルを維持しながら、前記排気排出物中の亜酸化窒素(NO)の濃度を増加させ、前記排気排出物中の一酸化炭素(CO)の濃度を低減することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃焼温度を上昇させることは、希釈剤弁を少なくとも部分的に閉じることによって、前記燃焼タービン(10)の燃焼器(16)への希釈剤の流れを少なくとも部分的に低減することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記指示は、プロセッサ生成信号、アナログ信号、センサからのセンサ信号、ニューラルネットワークからの人工知能推論、ユーザ入力、または他の適切な信号もしくは入力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記部分負荷条件または無負荷条件で前記燃焼温度を上昇させることは、前記燃焼タービン(10)の燃焼器(16)内の燃料対空気比を増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記燃料対空気比を増加させることは、燃料弁を少なくとも部分的に開くことを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記燃焼温度を上昇させることは、燃料(14)の流れを前記燃焼タービン(10)の1つまたは複数の燃料ノズル(17)および燃焼器(16)に導くように複数の燃料送達弁を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記燃焼温度を上昇させることは、前記燃焼タービン(10)で使用される異なる燃料タイプの混合物を変更することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記燃焼温度を上昇させることは、前記燃焼タービン(10)の圧縮機(20)内、または前記燃焼タービン(10)の圧縮機(20)間の1つまたは複数のブリード弁(21)を少なくとも部分的に開くことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記排気排出物を処理するために使用される触媒アセンブリ(35)における触媒作用を動的に増加させ、前記部分負荷条件または無負荷条件の間の前記排気排出物中の亜酸化窒素(NO)の前記濃度の増加を補償することを含み、前記触媒アセンブリ(35)は、一酸化炭素触媒、窒素酸化物触媒、未燃炭化水素触媒、または他の適切な触媒を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
触媒作用を動的に増加させることは、前記触媒アセンブリ(35)もしくは前記触媒アセンブリ(35)の1つまたは複数の構成要素への1つまたは複数の入力の温度を選択的に変化させること、またはCO排出物を処理するために還元剤の注入を増加させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
燃焼タービン(10)と、
複数の検知装置(15、23、24、36、37)と、
排出目標を満たすために前記燃焼タービン(10)からの排出ガスを処理するように構成された触媒アセンブリ(35)と、
排出目標に従って前記排出ガス中のガス濃度およびガス質量流量を制御する複数のアクションを実行するように構成されたコントローラ(38)であって、前記複数のアクションは、
前記燃焼タービン(10)が部分負荷条件または無負荷条件で動作すべきであるという指示を受信することと、
前記指示に少なくとも部分的に基づいて、前記部分負荷条件または無負荷条件に対応する動作パラメータを決定することと、
前記動作パラメータを使用して、前記部分負荷条件または無負荷条件で前記燃焼タービン(10)を動作させることと、
前記複数の検知装置(15、23、24、36、37)を利用して、前記燃焼タービン(10)の性能関連パラメータを測定することと、
前記部分負荷条件または無負荷条件での前記動作中に前記性能関連パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記燃焼タービン(10)の前記動作を調整することと
を含むコントローラ(38)と
を備える、システム。
【請求項12】
前記複数の検知装置(15、23、24、36、37)は、排出ガスが前記触媒アセンブリ(35)に入る前に温度センサ(23、36)の第1の部分、排出センサ(37)、および/またはモデルを展開し、かつ前記排出ガスが前記触媒アセンブリ(35)から出た後に前記温度センサ(23、36)の第2の部分、排出センサ(37)、および/またはモデルを展開することによって、分散された温度および排出物検知を提供するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のアクションは、前記触媒アセンブリ(35)における触媒作用を動的に増加させ、前記部分負荷条件または無負荷条件での動作中の燃焼温度の上昇を補償することを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記部分負荷条件または無負荷条件で前記燃焼タービン(10)を動作させることは、前記燃焼タービン(10)で使用される異なる燃料タイプの混合物を変更することによって、燃焼器(16)内の燃焼温度を上昇させることを含む、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、広範囲の電力出力で燃焼タービンを動作させることに関する。より詳細には、本開示は、排出目標を満たしながら、部分負荷または無負荷で燃焼タービンを動作させることに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼タービンは、圧縮空気と燃料の混合物を燃焼させて燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは、1つまたは複数のタービン段を通って流れ、負荷(発電機など)による使用のための回転エネルギーを生成することができる。燃焼ガスは、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)、二酸化炭素(CO2)などの様々な燃焼副生成物を含むことができる。これらの副生成物または排出物は、一般に、厳しい規制を受ける。場合によっては、拡張出力電力範囲で燃焼タービンを動作させることにより、発電システムの動作の柔軟性および効率を増加させることができる。しかし、燃焼タービンの拡張出力電力範囲を維持しながら排出目標を満たすためのアドオン排出制御のコストが過剰になる可能性がある。
【0003】
本セクションは、以下で説明および/または請求する、本技法の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを意図している。本説明は、本開示の様々な態様のより良好な理解を促すために、背景情報を読者に提供するのに有用であると考えられる。したがって、これらの記述は、この観点から読まれるべきであり、いかなる種類の承認としても読まれるべきではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される特定の実施形態の概要を、以下に記載する。これらの態様は、単にこれらの特定の実施形態の簡単な概要を読者に提供するために提示されており、これらの態様は本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。実際、本開示は、以下に記載されない様々な態様を包含することができる。
【0005】
第1の実施形態では、方法が提供される。この方法によれば、燃焼タービンが部分負荷条件または無負荷条件で動作すべきであるという指示が受信される。指示の受信に応答して、燃焼タービンは部分負荷条件または無負荷条件で動作され、それによって排気排出物を生成する。部分負荷条件から無負荷条件において燃焼タービン内の燃焼温度を上昇させることが採用され、燃焼温度が上昇しない最小負荷条件の排気ガス温度および排気排出物プロファイルを維持しながら、排気排出物中の亜酸化窒素(NO)の濃度を増加させ、排気排出物中の一酸化炭素(CO)の濃度を低減する。
【0006】
第2の実施形態では、システムが提供される。システムは、燃焼タービンと、複数の検知装置と、コントローラとを含む。コントローラは、排出目標に従って排出ガス中のガス濃度およびガス質量流量を制御するアクションを実行するように構成される。アクションは、燃焼タービンが全負荷よりも低い負荷で動作すべきであるという指示を受信することと、全負荷よりも低い負荷に対応する動作パラメータを決定することとを含む。アクションはまた、動作パラメータを使用して、全負荷よりも低い負荷で燃焼タービンを動作させることを含む。全負荷よりも低い負荷で動作することに少なくとも基づいて、燃焼タービン内の燃焼温度を上昇させ、第1の排出ガスタイプの濃度を増加させ、第2の排出ガスタイプの濃度を低減する。アクションはまた、排出ガスを処理するために使用される触媒アセンブリにおける触媒作用を動的に増加させて排出目標を満たし、全負荷よりも低い負荷で動作している間の燃焼温度の上昇を補償することを含む。
【0007】
第3の実施形態では、システムが提供される。システムは、燃焼タービンと、複数の検知装置と、触媒アセンブリと、コントローラとを含む。触媒は、燃焼タービンからの排出ガスを処理して排出目標を満たすように構成される。コントローラは、排出目標に従って排出ガス中のガス濃度およびガス質量流量を制御するアクションを実行するように構成される。アクションは、燃焼タービンが部分負荷条件または無負荷条件で動作すべきであるという指示を受信することと、指示に少なくとも部分的に基づいて、部分負荷条件または無負荷条件に対応する動作パラメータを決定することとを含む。アクションはまた、動作パラメータを使用して、部分負荷条件または無負荷条件で燃焼タービンを動作させることを含む。部分負荷条件または無負荷条件での動作に少なくとも部分的に基づいて、燃焼タービンの動作は調整される。アクションはまた、触媒アセンブリにおける触媒作用を動的に増加させ、部分負荷条件または無負荷条件で動作している間の燃焼温度の上昇を補償することを含む。アクションは、複数の検知装置を利用して、燃焼タービンの性能関連パラメータを測定することをさらに含む。性能関連パラメータに少なくとも部分的に基づいて、燃焼タービンの動作は、部分負荷条件または無負荷条件で動作している間に調整される。
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、同様の符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による、負荷に動力を供給するように構成された燃焼タービンエンジンのブロック図である。
図2】一実施形態による、図1の燃焼タービンエンジンを動作させるために使用することができる排出制御プロセスを図示するフローチャートである。
図3】一実施形態による、図1の燃焼タービンエンジンを動作させるフィードバックとして様々な検知および監視装置からの測定値を使用することができる代替の排出制御プロセスを図示するフローチャートである。
図4】一実施形態による、温度範囲にわたって低電力出力を維持することができる図2または図3の排出制御プロセスを実証する、正規化された電力対周囲温度のプロットである。
図5】一実施形態による、低負荷動作において排気温度をベースライン温度に等しく保つことができる図2または図3の排出制御プロセスを実証する、正規化された排気温度対周囲温度のプロットである。
図6】一実施形態による、低負荷動作において排気NO質量流量をベースラインNO質量流量に等しく保つことができる図2または図3の排出制御プロセスを実証する、正規化されたNO流量対周囲温度のプロットである。
図7】一実施形態による、低負荷動作において排気CO質量流量をベースラインCO質量流量以下に保つことができる図2または図3の排出制御プロセスを実証する、正規化されたCO排気質量流量対周囲温度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、1つまたは複数の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態に関する簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様に関するすべての特徴について本明細書に説明するわけではない。エンジニアリングまたは設計プロジェクトなどの実際の実施態様の開発においては、開発者の特定の目的を達成するために、例えばシステム関連および事業関連の制約条件への対応など実施態様に特有の決定を数多くしなければならないし、また、これらの制約条件は実施態様ごとに異なる可能性があることを理解されたい。さらに、このような開発努力は、複雑で時間がかかるが、それでもなお本開示の利益を有する当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的なものであり、列挙された要素以外のさらなる要素が存在してよいことを意味することを意図している。さらに、以下の説明におけるあらゆる数値例は非限定的なものであることを意図し、したがって追加の数値、範囲、および百分率は開示される実施形態の範囲内にあるものとする。さらに、A「に基づく」Bという語句は、AがBに少なくとも部分的に基づくことを意味することを意図している。さらに、「または」という用語は、包括的(例えば、論理OR)であって、排他的(例えば、論理XOR)ではないことを意図している。言い換えれば、A「または」Bという語句は、A、B、またはAとBの両方を意味することを意図している。
【0012】
発電プラント内の燃焼タービン発電機(CTG)は、動作中にそれらの燃焼プロセスから排出ガスを生成する。排出ガスは、排出規制を満たすように(例えば、CTGの排気システム内の触媒アセンブリによって)処理される有毒ガスおよび汚染物質(窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)、および未燃炭化水素など)を含み得る。いくつかの例では、触媒アセンブリは、特定の排出物濃度で最適に動作する選択的触媒還元(SCR)システムである。所与の動作制約(負荷条件および排出規制など)に基づいて、燃焼タービンコントローラは、排出規制に従って排出ガス中の特定のガス濃度および/またはガス質量流量を制御する対応するアクションを実行することができる。
【0013】
本開示は、一般に、環境規制下の排出目標を満たしながら、広範囲の電力出力(例えば、部分負荷および/または無負荷)で燃焼タービンを動作させることに関する。本明細書に開示された技術を使用することにより、CTGの動作性能を改善することができる。一実施形態では、場合によってはSCRへのより広い入口NO流量範囲を有する入口NO条件を後処理するために使用されるSCRの修正を伴う手法よりも、SCRへのより狭い入口NO流量範囲に起因するCTGのハードウェアコストの低減、複雑さ、および信頼性の向上により、NO排出コンプライアンスを達成することができる。一実施形態では、多くの場合により低い燃焼温度を有する低負荷動作で高CO流を後処理するために必要となることがあるCO触媒費を追加した手法と比較して低負荷動作での燃焼温度が高いため、CO排出コンプライアンスを達成することができる。
【0014】
本明細書に開示された技術を使用することにより、CTGの動作性を改善することができる。一実施形態では、低負荷の定常状態および/または過渡動作(例えば、過渡から低負荷への動作)中、ブリードを介して所与の動作点に対して低減された圧縮機圧力比を使用するCTG動作と比較して、CTGにおけるより良好なまたは等しい圧縮機のストールマージンを達成することができる。圧縮機のストールマージンの増加は、定常状態または過渡動作中のCTG構成要素の危険および損傷の可能性を低減することができる。本明細書に開示された技術を使用することはまた、CTGの構成要素寿命および耐久性を改善することができる。一実施形態では、水注入の低減(例えば、希釈剤として水を使用するCTGにおいて)により、燃焼エンジンの高温セクションの寿命を改善することができる。
【0015】
上述したようなCTGおよびそれらの構成要素の動作性および耐久性の改善に加えて、本明細書に開示された技術は、発電システムにおけるCTG用途を広げることができる。いくつかの用途では、特定の電力市場は、開示された技術(高NH流量用のサイズの単純アンモニア(NH)注入システムおよび小型でより効率的なCO触媒を備えたSCRシステムなど)を実施することによって達成可能であり得る、より低い負荷に及ぶより広い電力動作範囲でCTG発電プラントを財政的に補償することができる。そのような実施態様は、大型で複雑な修正(例えば、SCRシステムの修正)よりも低コストで低負荷CTG動作を容易にする。したがって、強化された動作範囲の追加の収益は、大型で複雑な修正を使用する場合と比較して、CTG発電プラントのより大きな利益を生成することができる。一実施形態では、ベンダー(例えば、配電業者)は、開示された技術を用いて実装されたCTGから生成された電力を販売することができ、これにより高価な修正で促進されたCTGと同じまたは同様の動作範囲を提供し、それによって価格、利益マージン、および/または電力を販売するためのインセンティブを増加させる。
【0016】
場合によっては、広い電力動作範囲(例えば、低負荷まで拡張する)を提供するエネルギー貯蔵システム(ESS)および/または発熱資産を含むハイブリッド発電プラントは、開示された技術を使用しないものと同等またはより低いコストおよびより高い柔軟性で設計することができる。例えば、熱的資産の閾値負荷よりも低い負荷で動作するために、ESSは、所望のプラント電力動作点を超えて過剰な電力を消費する可能性がある。この電力を消費するには、ESSの電力出力および/またはエネルギー容量を増加させる必要があり、それによって資本コストおよび運用コストが増加する可能性がある。このような追加のコストを回避するために、ハイブリッド発電プラントは、低負荷熱動作およびより小さいESSを容易にするための熱的修正を実施することができる。比較として、開示された技術では、熱的資産の最小負荷は熱的修正よりも高くてもよいが、より大きいESSでの総コストは同じまたはより低くてもよい。ESSの使用は、ESSサイズに応じて拡張することができる柔軟性および潜在的な収益源を追加することができる。ESS価格は経時的に下がり得るため、ESSの追加のコストがそれに応じて下がる可能性があり、それによって総コストが削減される。このような柔軟性の増加は、利益マージンを増加させる、価格を下げる、または大量のエネルギー貯蔵を追加して価値を高め、潜在的に利益マージンを増加させるのに役立ち得る。
【0017】
前述のことを念頭に置いて、次に図面を参照すると、図1は、燃焼タービンシステム10の一実施形態のブロック図である。一例として、燃焼タービンシステム10は、複合サイクルシステムの一部であってもよく、または他の燃焼タービンシステム10と組み合わせて1つまたは複数の負荷12に動力を供給してもよい。具体的には、燃焼タービンシステム10は、一般に、圧縮空気22と燃料14の混合物(例えば、天然ガス、軽質もしくは重質蒸留油、ナフサ、原油、残油、または合成ガス)を燃焼させることによって負荷12を駆動するように構成される。燃焼は、1つまたは複数の燃焼チャンバを含むことができる燃焼器16内で実施される。燃料センサ(FS)15を使用して、燃焼器16への燃料注入率を監視することができる。空気13は、圧縮機20の吸気口に入り、濾過され、次いで1つまたは複数の圧縮段を介して圧縮機20内で圧縮される。圧縮機20から生成された圧縮空気ストリーム22は、燃焼器16に導かれる。
【0018】
図示のように、圧縮機20は、1つまたは複数のブリード弁(BV)21を含むことができる。ブリード弁21の弁開閉の程度は、調整可能であってもよい。例えば、燃焼タービンシステム10がシャットダウン中または低電力動作で動作しているとき、ブリード弁21は、空気流量を低減するためにある程度調整することができる。ブリード弁21は、圧縮機20上の異なる場所に、または多圧縮機システム内の圧縮機間に設置することができる。
【0019】
燃焼器16内で燃焼プロセスを始めるために、圧縮空気ストリーム22は燃料14と混合される。燃料14と圧縮空気ストリーム22の混合物を使用して、燃焼チャンバ内で点火が起こり得る。点火は、燃焼タービンシステム10に動力を供給する高温燃焼ガス26を発生する。より具体的には、高温燃焼ガス26は、シャフト30を介して負荷12を駆動する1つまたは複数の圧縮段を有するタービン28を通って流れる。例えば、燃焼ガス26は、原動力(例えば、対流、膨張などを介して)をタービン28内のタービンロータブレードに加え、シャフト30を回転させることができる。例示的なプロセスでは、高温燃焼ガス26は、タービン28内のタービンブレードに、燃焼タービンシステム10の軸に沿ってシャフト30を回転させることができる。図示のように、シャフト30は、圧縮機20または負荷12を含む燃焼タービンシステム10の様々な構成要素に接続することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、様々な制御および監視装置を使用して、燃焼器16内の燃焼を制御および監視することができる。図1の実施形態では、燃焼器16は、燃焼器16上の異なる場所にあってもよい1つまたは複数の燃料ノズル(FN)17を含む。燃料ノズル17への燃料流は、燃焼器16への燃料注入が制御可能であるように調整可能である。例えば、コントローラ38は、燃料ノズル17に結合された燃料流回路を利用して、燃焼器16内の燃料対空気比を調整することができる。燃料ノズル17を調整することにより、燃焼器16上の燃料注入ポート(例えば、燃料ノズル17)間の燃料分割を制御することが可能である。制御可能な燃料分割は、燃焼火炎18の温度および場所など、燃焼火炎18の特定の物理的特性を変化させることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ38は、燃料流回路を利用して、燃料流を1つまたは複数の燃料ノズル17および燃焼器16内の通路に導くように1つまたは複数の燃料送達弁を調整してもよい。いくつかの実施形態では、燃焼火炎18の特定の物理的特性を監視するために、追加の監視装置が使用されてもよい。例えば、温度センサ(TS)23を使用して、燃焼火炎18の温度を測定することができる。特定の実施形態では、火炎検出器(FD)24を使用して、燃焼火炎18の存在および/または場所を検出することができる。
【0021】
図1に示されるように、希釈剤注入(DI)システム19が燃焼器16に結合される。希釈剤注入システム19は、燃焼火炎18の特定の物理的特性(例えば、温度)を変化させるために特定の希釈剤(水または蒸気など)を燃焼器16に注入することができ、したがって排出規制に従って排気ガス32中の特定の排出物を維持することができる。例えば、水または蒸気注入は、燃焼火炎18の温度を冷却してNOの形成を低減するために希釈剤注入システム19によって使用されてもよい。
【0022】
前述のように、シャフト30は、タービン28を圧縮機20に接続してロータを形成することができる。圧縮機20は、シャフト30に結合された圧縮機ブレードを含むことができる。したがって、タービン28内のタービンブレードの回転は、タービン28を圧縮機20に接続するシャフト30に、圧縮機20内の圧縮機ブレードを回転させることができる。圧縮機20内の圧縮機ブレードのこの回転は、圧縮機20に空気13を圧縮させ、圧縮空気ストリーム22を生成させる。前述のように、圧縮空気ストリーム22は次に燃焼器16に供給され、他の燃焼構成要素と混合される。シャフト30は、負荷12に加えて、またはその代わりに圧縮機20を駆動することができる。一例として、負荷12は、燃焼タービンシステム10の発電機であってもよい。追加的または代替的に、負荷12は、プロペラ、変速機、駆動システム、またはシャフト30の回転によって機械的力を受けるように構成された任意の他の機構を含むことができる。
【0023】
タービン28が高温燃焼ガス26から仕事を抽出すると、排気ガス32のストリームを排気セクション34に提供することができ、そこで排気ガス32をさらに処理および/または冷却することができる。例えば、図示の実施形態では、排気セクション34は、触媒アセンブリ35を含むことができる。触媒アセンブリ35は、酸化触媒および/または選択的触媒還元(SCR)などの様々な後処理排出制御技術を使用することによって排気ガス32中の有毒ガスおよび汚染物質を低減する排気排出制御装置である。
【0024】
触媒アセンブリ35は、排気ガス32中の特定の排出物を処理するために、1つまたは複数の酸化触媒を使用することができる。酸化触媒は、CO触媒、NO触媒、未燃炭化水素触媒、および/または任意の同様の金属系(例えば、白金系)触媒を含むことができる。例えば、触媒アセンブリ35は、排気ガス32のストリーム中のNOガスを破壊するNO触媒を含んでもよい。次いで、排気ガス32のストリームは、触媒アセンブリ35によって提供される処理後に排気セクション34から出ることができる。
【0025】
触媒アセンブリ35はまた、選択的触媒還元(SCR)システムを含むことができる。SCRシステムは、触媒(例えば、酸化チタン)を用いてNOを二原子窒素(N)および水(HO)に変換する。ガス状還元剤(無水アンモニアなど)、アンモニア水、または尿素を排気ガス32に添加し、触媒に吸着させることができる。例えば、アンモニア(NH)注入システムを使用して、アンモニアを排気ガス32に注入することができる。排気ガス32はアンモニアと混合し、触媒を含む反応器に入り、そこでアンモニアは特定の温度範囲内において触媒の存在下でNOと選択的に反応する。
【0026】
排気セクション34は、物理的特性(例えば、排気ガス32の温度)および/または化学的特性(例えば、排出ガス濃度)を監視する様々な監視装置を含み得る。例えば、排気セクション34は、排気ガス32の温度を測定する1つまたは複数の温度センサ(TS)36を含んでもよい。いくつかの実施形態では、排気セクション34は、特定の排出ガス(例えば、COおよびNO)の濃度および/または質量流量を測定する1つまたは複数の排出センサ(ES)37を含むことができる。
【0027】
図示のように、燃焼タービンシステム10は、1つまたは複数のコントローラ38を含む。コントローラ38は、本明細書に記載の技法を実装するのに有用なオペレーティングシステム、ソフトウェアアプリケーション、およびシステムなどをサポートするために集合的に使用され得る、1つまたは複数のプロセッサ66およびメモリ68を含み得る。特に、コントローラ38は、非一時的機械可読媒体(例えば、メモリ68)に記憶され、例えば、コントローラ38に含まれ得る1つまたは複数のプロセッサ66によって実行されるコードまたは命令を含み得る。プロセッサ66は、シャフト30の回転速度、シャフト30によって駆動される発電機(例えば、負荷12)を介して燃焼タービンシステム10によって生成された電力の周波数および/もしくは電圧、1つまたは複数の負荷12からの要求、または他の適切なパラメータを含む、燃焼タービンシステム10の様々な構成要素からの動作パラメータを受信することができる。いくつかの実施形態では、いくつかのパラメータは直接測定され、他のパラメータは他の測定値から間接的に決定される。例えば、特定の実施形態では、コントローラ38は、アルゴリズムモデルまたはルックアップテーブル(例えば、メモリ68に記憶される)を利用して、発電機によって生成された電力の周波数または電圧などの電気パラメータを使用して、シャフト30または接続された発電機の動作速度などの様々なパラメータを導出することができる。
【0028】
さらに、コントローラ38は、特定の監視装置を介して燃焼タービンシステム10の様々な部分の動作を監視することができる。監視されたパラメータは、限定はしないが、以下を含んでもよい:燃料14の注入率(例えば、燃料センサ15を介して)、燃焼器16内の燃焼火炎18の温度および場所(例えば、温度センサ23および火炎センサ24を介して)、排気セクション34内の排気ガス32の温度(例えば、温度センサ36を介して)、排気セクション34内の排気ガス32の特定の排出ガス(例えば、COおよびNO)の濃度および/もしくは質量流量(例えば、排出センサ37を介して)、または他の関連パラメータ。監視されたパラメータは、燃焼タービンシステム10の1つまたは複数の態様の動作パラメータを制御(例えば、調整)するために使用することができる。例えば、燃焼タービンシステム10の動作中、排気セクション34内の排気ガス32の温度は、1つまたは複数の温度センサ36によって測定することができる。排気ガス32の測定された温度に基づいて、コントローラ38は、1つまたは複数のブリード弁21に弁開度を調整させることができ、かつ/または燃料ノズル17間の燃料分割を制御することができ、したがって排気ガス32の温度を変化させる(例えば、上昇させる)。
【0029】
図示のように、コントローラ38は、触媒コントローラ39を含むことができる。触媒コントローラ39は、触媒アセンブリ35に通信可能に結合するように構成される。一例では、触媒コントローラ39は、触媒アセンブリ35の上流の排気流の温度および触媒アセンブリ35の下流の処理された排気流の温度を表す信号を受信するように構成される。1つまたは複数の温度センサ36は、触媒アセンブリ35の上流および触媒アセンブリ35の下流に配置されてもよい。触媒コントローラ39は、適切な排出レベル(例えば、NOおよび/またはCOレベル)に少なくとも部分的に基づく目標温度を決定することができる。触媒コントローラ39は、目標温度に対応する制御信号を(例えば、1つまたは複数のプロセッサ66を介して)生成することができる。例えば、制御信号は、排気ガス32が触媒アセンブリ35に流入する前に排気ガス32の温度を上昇させる命令を含むことができる。目標温度に対応する制御信号は、弁開度を調整するために圧縮機20上の1つまたは複数のブリード弁21に、または燃料ノズル17間の燃料分割を制御するために燃焼器への1つまたは複数の燃料供給ライン(別々には図示せず)に送信されてもよく、したがって排気ガス32の温度を目標温度に調節する。触媒アセンブリ35に流入する排気ガス32の温度を制御することによって、特定の排出ガス(NOおよびCOなど)は、燃焼タービンシステム10の動作負荷にかかわらず、排出規制に従って適切なレベルを達成するように制御することができる。
【0030】
燃焼タービンシステム10に関して上述した構成要素は、例示的な構成要素であることに留意されたい。例えば、燃焼タービンシステム10のいくつかの実施形態は、図示したものよりも追加のまたはより少ない数の構成要素を含むことができる。例えば、燃焼タービンシステム10の様々な実施形態は、複数のシャフト、複数の燃焼器、複数の触媒アセンブリ、および/または他の適切なタービンシステム構成要素を含むことができる。
【0031】
前述したように、排気セクション34を通して排気ガスを大気中に放出する前に、排気排出制御装置(例えば、触媒アセンブリ35)を使用して、NOおよびCOガスなどの有毒ガスおよび汚染物質を低減することができる。動作中、燃焼タービン(例えば、燃焼タービンシステム10)は大量の排出物を発生する可能性があり、排出物は、排出規制を満たすために大気中に放出される前に(例えば、触媒および/またはSCRによって)処理される。
【0032】
前述のことを念頭に置いて、発電プラント内の燃焼エンジンから放出される排気ガス(例えば、NOおよびCOガス)に関連する資料を以下に提供し、そのような排気ガスに対するある程度の理解を与え、本開示の他の態様に有用な現実世界の状況を提供する。
【0033】
「NO」という用語は、一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO)など、大気汚染として分類される窒素酸化物を指す。NOガスは、燃焼タービン(例えば、燃焼タービンシステム10)における燃料(例えば、炭化水素)の燃焼中に窒素と酸素との間の反応から発生され得る。場合によっては、CTG発電プラントは、NO排出物の制限を大気汚染の制限として設定する運転許可を有することができる。一酸化炭素(CO)は、規制された大気汚染物質でもある無色、無臭、無味の可燃性ガスである。
【0034】
燃焼中に発生されるNOおよびCOガスは、CTG発電プラントの動作および保守の動作設定を再調整することなく排出物の増加をもたらす可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、NO排出物は、高負荷動作でしばしば使用される高い燃焼火炎温度で増加し得る。他の実施形態では、CO排出物は、間欠的な再生可能電力(風力および太陽光など)の関与が増加するためにより頻繁に使用され得る部分負荷動作/無負荷動作を制限する場合がある。
【0035】
CTG発電プラントは、排出コンプライアンス(例えば、特定の排出目標を満たすこと)を維持するために特定の電力範囲で動作するように設計することができる。排出目標は、NOおよびCOなどの特定の構成ガスの瞬間的および/または統合された排気ガス濃度または質量を含むことができる。CTG発電プラントの動作電力範囲は、最小動作電力(Pmin)および最大動作電力(Pmax)によって指定することができる。より低いPminで動作する発電プラントは、より大きな給電柔軟性および送電網効率を提供することができる。しかし、拡張電力範囲(例えば、CTG発電プラント全負荷の25%未満のPmin)における動作は、元々は限られた電力範囲(例えば、CTG発電プラント全負荷の50%を超えるPmin)に対して作製された既存の燃焼タービン設計(希釈剤注入、精密な燃料注入、および燃焼制御を含む排気排出制御など)と一致しない可能性がある。
【0036】
拡張電力範囲で動作するために、発電プラント内の燃焼タービン(CT)は、CTの動作範囲にわたる排出目標を満たすように修正することができる。例えば、CTの修正は、高度な燃焼制御技術(例えば、精密な燃料制御のための燃料注入ハードウェア)を実装することを含むことができる。追加的または代替的に、CTの修正は、CO触媒の増加、より低いNO流量範囲のためのアンモニア注入システムの修正、高度なSCR制御、またはそれらの組み合わせなどの排気ガスの後処理に関連してもよい。しかし、そのような修正は、過剰なコストをもたらす可能性があり、CTG発電プラントの動作の柔軟性を阻害する場合がある。例えば、所定のコストで最初に設計されたCTG発電プラントは、最小動作電力を特定の閾値(例えば、CTG発電プラント全負荷の50%の電力出力)に制限し得る。したがって、CTG発電プラントは、過剰なコスト(例えば、CO触媒の使用および/またはSCRの修正に関連するコスト)のために、低電力動作モード(例えば、CTG発電プラント全負荷の25%未満の出力電力での動作)が禁止される場合がある。
【0037】
本開示に記載された技術は、高価なCTの修正(例えば、SCRシステムの大型化および/または燃料注入システムの修正)を回避しながら、排出コンプライアンスにおいてより広い電力範囲で動作するCTに適した手法を提供することができる。図2は、コストのかかる修正を受けることなく、拡張電力範囲でCT(例えば、燃焼タービンシステム10)を動作させるために使用することができる排出制御プロセス100を図示するフローチャートを示す。
【0038】
排出制御プロセス100は、燃焼タービン(CT)が以前の動作状態とは異なる動作状態に入ると(ブロック102)開始することができる。いくつかの実施形態では、CTは、燃焼タービンが全負荷よりも低い負荷(例えば、部分負荷または無負荷)で動作すべきであるという指示を受信することができる。指示は、プロセッサ生成信号(例えば、コントローラ38から)、アナログ信号、センサからのセンサ信号、ニューラルネットワークを使用して行われる人工知能推論、ユーザ入力、および/または他の適切な信号もしくは入力を含んでもよい。例えば、CTは、高負荷動作(例えば、CT全負荷の50%超)から低負荷動作(例えば、CT全負荷の25%未満)に切り替える命令、低負荷動作から高負荷動作に切り替える命令、アクティブ状態からシャットダウンする命令、および非アクティブ状態から起動する命令を(例えば、コントローラ38に通信可能に結合され得る特定のユーザインターフェースを介してCTオペレータから)受信することができる。
【0039】
以下に説明するように、高負荷動作から低負荷動作に切り替えるとき、コントローラ38は、新しい負荷および他の動作関連情報に基づいて、異なる副生成物についての排出目標(例えば、排気セクション34からの出力目標排出物)を決定することができる。新しい排出目標によれば、CTは、排出目標に従って排気ガス中の特定のガス濃度および/またはガス質量流量を調節することによって排出物を制御する様々な動作を実施することができる。負荷が低減するにつれて、総排気ガス質量流量はそれに応じて低減される。高負荷と低負荷との間で一貫したNO率を維持するために、コントローラ38は、低負荷モードで動作するときに燃焼温度を上昇させ、低減された総排気ガス質量流量中のNO濃度を高めることができる。一貫したNO流量では、SCRは、高負荷と低負荷の両方でNOを一貫して処理することができる。さらに、燃焼温度を上昇させることによって、CO濃度は、より低い温度でCO濃度未満に低減される。いくつかの実施形態では、コントローラ38は、燃焼温度の上昇を利用して高負荷と低負荷との間で一貫したNO率を維持するために、燃料タイプを変更する(例えば、水素ガスなどの別の燃料に切り替える)か、または異なる燃料タイプの混合物比を変更することができる。
【0040】
CTが新しい動作状態に入った後(例えば、低負荷動作)、コントローラ38は、新しい状態についてのCT排出目標および動作パラメータを決定することができる(ブロック104)。排出目標は、限定はしないが、以下を含んでもよい:瞬間的および/または統合された排気ガス濃度、瞬間的および/または統合された排気ガス質量または質量流量、ならびにCT排気流(例えば、触媒アセンブリ35の下流の処理された排気流)における特定の排気ガス(例えば、NOおよびCOガス)に対する制約。前述のように、CTは、排出コンプライアンス(例えば、上に列挙した特定の排出目標を満たすこと)において特定の電力範囲で動作するように設計することができる。
【0041】
CT排出目標および動作パラメータの決定は、コントローラ38によって、1つまたは複数のプロセッサ66およびメモリ68を介して行われてもよい。例えば、CTの新しい動作状態(例えば、CT全負荷の5%)に基づいて、コントローラ38は、非一時的機械可読媒体(例えば、メモリ68)に記憶された特定のCT動作関連コードまたは命令にアクセスすることができる。コントローラ38は、CTの新しい動作状態に対応する排出目標および動作パラメータを決定するために、1つまたは複数のプロセッサ66によるアクセスされたコードまたは命令を実行することができる。動作パラメータは、CT製造中に経験的に収集および/または導出され得るCT動作および性能、動作中の現場性能試験などに関連し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、コントローラ38は、異なるソースから、排出目標および動作パラメータを決定する際に使用され得る追加/補足情報(例えば、CT動作制約)を受信することができる(ブロック106)。例えば、コントローラ38は、ユーザインターフェース(例えば、キーボード、マウス、またはキーパッドを使用して制御されるCT制御インターフェース)を介して、所与のCT動作制約に関連する情報を受信することができる。所与のCT動作制約の例は、触媒アセンブリ35に流入する排気ガス32の特定のガス濃度もしくは質量流量限界、および/または排気セクション34から出る処理された排気ガスの特定のガス濃度もしくは質量流量限界、および他の動作制約を含み得る。
【0043】
追加的または代替的に、コントローラ38は、非一時的機械可読媒体(例えば、メモリ68)に記憶されたルックアップテーブルを使用して、所与のCT動作制約に関連する追加/補足情報の有無にかかわらず、CTの新しい動作状態に対応するCT排出目標および動作パラメータを検索することができる。場合によっては、コントローラ38は、非一時的機械可読媒体(例えば、メモリ68)またはリモートネットワーク(例えば、クラウド)に記憶されたシミュレーションモデルを使用して、追加/補足情報に少なくとも部分的に基づいてCT排出目標および動作パラメータを決定してもよい。例えば、シミュレーションモデルは、CTの新しい動作状態に関連する特定の動作パラメータ/設定、ならびに/または所与のCT動作制約に関連するオペレータ提供の追加/補足情報などの入力を受け取り、CT排出目標および動作パラメータを決定するためのシミュレーションを実行することができる。特定の場合には、CTオペレータは、ユーザインターフェースを介して、CTの新しい動作状態に基づいてCT排出目標および動作パラメータを直接提供してもよい。
【0044】
少なくとも決定された動作パラメータに基づいて、コントローラ38は、排出制御動作を実施することができる(ブロック108)。排出制御動作は、決定された排出目標に従って排気ガス中の特定のガス濃度および/またはガス質量流量を調節するために使用することができる。そのような動作は、自動的にコントローラ38によって、または動作中にCTオペレータによって提供される特定の命令で実施され得る。以下では、CT排出制御動作に対するある程度の理解を与えるために、動作例を提供する。
【0045】
例えば、コントローラ38は、圧縮機20への空気供給を制御する動作を実施することができる(ブロック110)。例えば、CT10が低負荷動作に入ると、コントローラ38は、圧縮機20上の1つまたは複数のブリード弁21を利用して弁開度を調整してもよい。いくつかの実施形態では、CT10は、1つまたは複数の圧縮機20を含み得る。コントローラ38は、CT10の1つまたは複数の圧縮機20内またはそれらの間の1つまたは複数のブリード弁21を部分的に開くことができる。弁開口の調整は、ブリード弁21をさらに開いて空気流量を低減し、燃焼器16内の燃焼温度を上昇させるより高い燃料対空気比をもたらすことができる。前述のように、燃焼温度が上昇すると、排気ガス32中のCO濃度が低下し得る。したがって、CTは、燃焼器16からのCO排出目標(例えば、低負荷動作で所定の閾値を下回るCO質量流量レベル)を満たしながら、低負荷(例えば、CT全負荷の25%未満)で動作することができる。
【0046】
追加的または代替的に、コントローラ38は、燃焼温度を上昇させるために燃料供給管理動作を実施してもよい。すなわち、コントローラ38は、CT燃焼器への燃料供給を制御するアクションを実施することができる(ブロック112)。例えば、CTが低負荷動作に入ると、コントローラ38は、燃焼器16への燃料注入を増加させるために燃焼器16内の1つまたは複数の燃料ノズル17を利用し得る。燃料注入の増加は、燃焼火炎18の温度を上昇させ、それによって排気ガス32中のCO濃度を低下させることができる。
【0047】
燃焼火炎18の燃焼温度が上昇するにつれて(例えば、ブロック110および112に記載された動作を実施した後で)、排気ガス32中のNOの形成が増加し得る。燃焼器16からのNO排出目標を満たすために、希釈剤注入システム19は、燃焼器16への希釈剤注入を調整するためにコントローラ38によって利用されてもよい(ブロック114)。希釈剤注入は、希釈剤(水または蒸気など)を燃焼器16に注入することを含むことができる。希釈剤注入は、CO濃度の許容範囲を維持しながらNOの形成を低減するために使用され得る。例えば、希釈剤を使用して、CT10の高/全負荷動作中にSCRに到達する質量と同様の質量にNOの流れを低減することができる。あるいは、例えば、燃焼器16内の希釈剤を低減するために希釈剤弁を少なくとも部分的に閉じることによって、希釈剤の流れを低減させて燃焼器16内の燃焼温度を上昇させることができる。
【0048】
追加的または代替的に、コントローラ38は、排気セクション34内の触媒アセンブリ35を調整する1つまたは複数の動作を実施することができる(ブロック116)。例えば、コントローラ38は、排気ガス32中の特定の排出物を処理して全体的な排出目標を満たすために、触媒アセンブリ35に1つまたは複数の酸化触媒を利用させることができる。そのような酸化触媒は、CO触媒、NO触媒、未燃炭化水素触媒、および/または他の適切な触媒を含み得る。いくつかの実施形態では、触媒アセンブリ35は、排気ガス32のストリーム中のNOガスを破壊するNO触媒を利用してもよい。いくつかの実施形態では、CO触媒を使用して、排気ガス32のストリーム中のCOガス濃度および/または質量流量を低減してもよい。特定の実施形態では、コントローラ38は、触媒アセンブリ35の触媒作用を増加させるために、触媒アセンブリ35に触媒アセンブリ35の1つまたは複数の構成要素の温度または触媒アセンブリ35への入力を選択的に変化させることができる。例えば、コントローラ38は、部分負荷条件または無負荷条件の間の排出ガスの増加を補償するために、触媒アセンブリ35の構成要素またはその入力(例えば、空気、アンモニア、または空気とアンモニアの混合物)の温度を選択的に変化させることができる。
【0049】
場合によっては、触媒アセンブリ35は、選択的触媒還元(SCR)システムを含んでもよい。例えば、SCRシステムは、触媒(例えば、酸化チタンなどの金属系酸化物)を用いてNOを二原子窒素(N)および水(HO)に変換してもよい。ガス状還元剤(例えば、アンモニアまたは尿素)を排気ガス32に添加し、対応する触媒に吸着させて第1の排出ガスタイプ(例えば、NOガス)の排出ガスを処理することができる。ガス状還元剤と混合された排気ガス32は、触媒反応器(またはチャンバ)に入ることができる。還元剤の量を増加させると、触媒アセンブリにおける触媒作用を動的に増加させることができる。ガス状還元剤は、特定の温度範囲内において対応する触媒の存在下でNOと選択的に反応し得る。したがって、SCRシステムは、出力NO排出目標に従ってNO排出物を制御することができる。
【0050】
上述した動作の少なくとも一部は別々に実施されるように説明されているが、コントローラ38は、上述した例示的な動作の少なくとも一部および/または連続的に、同時に、もしくはそれらの組み合わせでCT排出物を制御するのを助けることができる他の適切な動作を含む複数の動作を実施することができることに留意されたい。例えば、コントローラ38は、ブリード弁21を利用して弁開度を調整して燃料対空気比を増加させ、同時に燃料の注入率を増加させる(例えば、燃料弁を部分的に開く)ことができる。このような組み合わせ動作は、1つの動作のみを使用するよりも効率的に燃焼温度を上昇させることができる。いくつかの実施形態では、特定の動作を順番に実施し、異なる動作で生成された特定のガス排出物のバランスをとることが可能である。例えば、燃焼温度が上昇すると、排気ガス32中のNOの形成が増加し得る。排気ガス32中のNOの増加を補償するために、アンモニア(NH)注入をSCRシステムによって使用して、排気セクション34から出る処理された排気ガス中のNO排出物を低減することができる。
【0051】
コントローラ38によって実施される排出制御動作の間および/または後に、コントローラ38は、様々な検知および監視装置を利用して、排出物および/または温度を含むCT性能関連パラメータを測定することができる(ブロック118)。そのような検知および監視装置は、燃焼器16および排気セクション34を含む複数のCT構成要素の間に展開することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、コントローラ38は、燃焼器16内に展開された温度センサ23を利用して、燃焼火炎18の温度を測定することができる。加えて、燃焼器16内に展開された火炎検出器24を使用して、燃焼火炎18の存在および場所を検出することが可能である。温度センサ23および火炎検出器24は、燃焼器16の異なる場所に分散されてもよい。そのような分散された温度および火炎検知は、前述の制御機構の少なくとも1つを使用して、燃焼監視および制御を強化するための燃焼火炎18の詳細なプロファイルを提供することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、排気セクション34において、コントローラ38は、排気ガス32の温度を測定する1つまたは複数の温度センサ36を利用することができる。さらに、排出センサ37を使用して、特定の排出ガス(例えば、COおよびNO)の濃度および/または質量流量を測定してもよい。温度センサ36および排出センサ37は、排気セクション34の異なる場所に分散されてもよい。例えば、温度センサ36および排出センサ37の一部は、排気ガス32が触媒アセンブリ35に入る前に展開されてもよく、他の温度センサ36および排出センサ37は、排気ガス32が処理されて触媒アセンブリ35から出た後に展開されてもよい。そのような分散された温度および排出物検知は、触媒アセンブリ35によって(例えば、酸化触媒および/またはSCRシステムを使用して)提供される処理の前後の温度および排出物の変動を提供することができる。
【0054】
測定されたCT性能関連パラメータ(例えば、COおよびNOを含む特定の排出ガスの濃度および質量流量)は、1つまたは複数のプロセッサ66を介してコントローラ38によって分析され、CTの新しい動作状態に応答して実施される動作(例えば、ブロック110、112、114、および116)がCT排出目標を満たす許容レベルの排出ガス(例えば、COおよびNOの濃度および質量流量)をもたらすかどうかを決定することができる(ブロック119)。
【0055】
測定されたCT性能関連パラメータはまた、CTオペレータがCT性能を監視することを可能にするために、1つまたは複数の監視装置に送信することができる(ブロック120)。監視は、局所的にCTオペレータによって(例えば、コントローラ38上のディスプレイパネル、現場のCT制御室からコントローラ38に通信可能にリンクされたコンピュータ上のユーザインターフェース、測定されたCT性能関連パラメータを受信するように構成されたブルートゥース(商標)デバイスなどを介して)、および/または遠隔的に行われてもよい(例えば、スマートフォンまたはクラウド内の仮想マシンを介して、測定されたCT性能関連パラメータにアクセスしてもよい)。この外部監視は、排出制御動作108を微調整、繰り返し、および/または継続するために使用することができる。
【0056】
追加的または代替的に、CT性能関連パラメータを測定する様々な検知および監視装置は、コントローラ38にフィードバックされ、コントローラ38がCT性能関連パラメータに少なくとも部分的に基づいて排出目標を動的に決定することを可能にしてもよい。例えば、図3は、CT性能関連パラメータをフィードバックするために使用することができる排出制御プロセス150のフロー図を示している。具体的には、排出制御プロセス150は、排出制御プロセス150がCT性能関連パラメータをコントローラ38に送り返すことを含む(ブロック152)ことを除いて、排出制御プロセス100と同様である。すなわち、コントローラ38、様々な制御可能な装置(例えば、ブリード弁21、燃料ノズル17、希釈剤注入システム19、触媒アセンブリ35など)、ならびに様々な検知および監視装置(例えば、燃焼器16上の燃料センサ15、温度センサ23および火炎検出器24、排気セクション34上の温度センサ36および排出センサ37など)は、CT10の動作中に排出目標に対して排出レベルを動的に決定するフィードバックを有する閉ループ燃焼タービン制御システムを形成することができる。
【0057】
例えば、コントローラ38に送信されるフィードバックデータは、燃焼器16内の温度センサ23および/または排気セクション34内の温度センサ36によって取得された温度測定値、燃焼器16内の火炎検出器24によって検出された燃焼火炎の場所、排気セクション34の排出センサ37によって取得された排出測定値などを含み得る。そのようなフィードバックデータは、1つまたは複数のプロセッサ66およびメモリ68を介してコントローラ38によって分析され、CT10の新しい動作状態に応答して実施される動作108が許容レベルの排出ガス(例えば、COおよびNOの濃度および質量流量)をもたらすかどうかを決定することができる。特定の排出ガスレベルがCT排出目標を超える場合、コントローラ38は、1つまたは複数のプロセッサ66およびメモリ68を介して、CT排出目標を満たすために排出物を制御するさらなる動作108を実施するための調整された動作パラメータを決定することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、モデルがコントローラ38によって使用され、CT排出目標および動作パラメータを決定することができる。モデルは、コンピュータシミュレーションモデル、物理学ベースのモデル、経験的モデルなどを含み得る。さらに、モデルは、非一時的機械可読媒体(例えば、メモリ68)またはリモートネットワーク(例えば、サーバおよびルータなどの適切なコンピューティングおよび通信デバイスを介したクラウド)に記憶されてもよい。
【0059】
例えば、シミュレーションモデルは、フィードバックデータの少なくとも一部、CTの現在の動作状態に関連する特定の動作パラメータ/設定、および/または所与のCT動作制約に関連するオペレータ提供の追加/補足情報を使用して、特定の実施された動作パラメータを調整してCT排出目標を満たすように改善された排出制御を提供するべきかどうかを決定するためのシミュレーションを実行することができる。さらに、燃焼タービン制御システムの一部としてのそのようなモデルベースのCT排出制御機構は、CT動作環境に応じてリアルタイムまたはオフラインで実施することができる。
【0060】
前のセクションで開示された実施形態は、排出目標を満たしながら、部分負荷または無負荷でCTを動作させるために使用することができる燃焼タービン制御システムに関する。そのような燃焼タービン制御システムは、CTが、排気ガス中の特定のガス濃度および/またはガス質量流量を調節することによってCT排出物を制御する様々な動作を実施することを可能にすることができる。前述のように、様々な動作は、限定はしないが、燃焼温度を制御するために燃焼器への燃料および/もしくは希釈剤注入を制御すること、燃焼温度を制御するために圧縮機ブリード弁を制御すること、環境に放出される前に排気ガスを処理するために触媒アセンブリ(例えば、SCRシステム)を制御すること、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。前述のように、これらの動作は、CTが低負荷動作においても幾分一貫した排気条件を維持することを可能にすることができる。
【0061】
例えば、低負荷動作での排気ガス温度の上昇(例えば、燃料または希釈剤注入を制御することによって)は、高負荷動作でNOおよび/またはCO排気条件を近似するようにNOおよび/またはCO排気条件(例えば、質量流量)を制御することを可能にし得る。NO質量流量は還元剤(例えば、NH)注入システムのサイズを決定するために使用されるので、低負荷と高負荷との間のNO質量流量の一貫性を維持することにより、CT10は、より広範な負荷レベルで動作することが可能になり、場合によっては多種多様な還元剤の流れを可能にするために必要となり得る潜在的にコストのかかる修正(すなわち、還元剤注入弁、マニホールド、気化器、および/またはノズルサイジング)を回避することができる。同様に、CO質量流量および温度がSCRシステム内でCO還元触媒をサイジングするために使用されるので、低負荷でCO濃度を低減することにより、CO触媒のサイズまたは設計は、比較的高い負荷(例えば、50%超)で実行されるCTでのみ動作するSCRから変更しなくてもよい。言い換えれば、より高い還元剤の流れのためにサイズ設定されたより単純な還元剤注入システムならびにより小さいおよび/またはより効率的なCO触媒を有するSCRシステムを備えたCT10は、複雑な還元剤注入システム(例えば、より広い還元剤の流れの範囲を有する)ならびにより大きいおよび/またはより効率的でないCO触媒を有するSCRシステムを備えたCTよりも低い動作コストを有することができる。そのような手法では、SCRを大型化することなく、および/または還元剤注入システムを修正することなく、より広い範囲の動作(例えば、0MWに近い)が利用可能であり得る。
【0062】
前述のことを念頭に置いて、部分負荷動作または無負荷動作において、CT10は、コントローラ38を使用して高度な動作を実施することができる。シミュレーションは、ベースライン負荷で標準CTの排気条件と同様の排気条件を維持しながらCT負荷が達成することができる下限を定量化する。ベースラインは、排出コンプライアンスを維持している間の既存の最小負荷である。シミュレーション結果は、高価なSCRの修正なしでベースラインよりも低い最小負荷(例えば、ベースラインの37.5%に等しい最小負荷)で動作するようにCTを構成することができることを実証している。
【0063】
各シミュレーション中、圧縮機可変ブリード弁(VBV)をバイアスして開き、目的(排気温度、NO質量流量、およびCO濃度)が満たされるまでNO水注入を標準値から低減させた。いくつかのシミュレーション結果を、図4図7に示す。
【0064】
図4は、強化されたCT制御が、温度範囲にわたって、ベースライン電力410の一部(例えば、37.5%)であるより低いベースライン420を維持し得ることを示す、正規化された電力404対周囲温度402のプロットである。修正されていないベースライン電力レベル410のプロットに沿った点は黒丸であり、調整されたベースライン電力レベル420のプロットに沿った点は白丸である。
【0065】
図5は、強化されたCT制御が排気温度520をベースライン温度510とほぼ同じに保つことができる一方、強化されたCT制御がより低い負荷(例えば、ベースライン電力410の37.5%)でCTを動作させることを示す、正規化された排気温度504対周囲温度402のプロットである。
【0066】
図6は、強化されたCT制御が排気NO質量流量620をベースラインNO質量流量610にほぼ等しく保つことができる一方、強化されたCT制御がベースライン電力410よりも低い負荷でCTを動作させることを示す、正規化されたNO流量604対周囲温度402のプロットである。
【0067】
図7は、強化されたCT制御が排気CO質量流量720をベースラインCO質量流量710以下に保つことができる一方、強化されたCT制御がベースライン電力410よりも低い負荷でCTを動作させることを示す、正規化されたCO排気質量流量704対周囲温度402のプロットである。ベースラインNO質量流量610およびベースラインCO質量流量710は、燃焼温度が上昇しない最小負荷条件におけるCT10の排気排出物プロファイルの成分であってもよい。言い換えれば、排気排出物プロファイルは、NOおよびCOなどの様々な排気排出ガスの質量流量および/または濃度を含むことができる。
【0068】
本明細書は、最良の態様を含む本システムおよび方法を開示するため、およびどのような当業者にも、任意の装置またはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本技術の実践を可能にするために、実施例を使用している。本主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差異を有さない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0069】
10 燃焼タービンシステム、CT
12 負荷
13 空気
14 燃料
15 燃料センサ(FS)
16 燃焼器
17 燃料ノズル(FN)
18 燃焼火炎
19 希釈剤注入(DI)システム
20 圧縮機
21 ブリード弁(BV)
22 圧縮空気、圧縮空気ストリーム
23 温度センサ(TS)
24 火炎検出器(FD)、火炎センサ
26 高温燃焼ガス
28 タービン
30 シャフト
32 排気ガス
34 排気セクション
35 触媒アセンブリ
36 温度センサ(TS)
37 排出センサ(ES)
38 コントローラ
39 触媒コントローラ
66 プロセッサ
68 メモリ
100 排出制御プロセス
108 排出制御動作
150 排出制御プロセス
402 周囲温度
404 正規化された電力
410 ベースライン電力レベル、ベースライン電力
420 ベースライン電力レベル、ベースライン
504 正規化された排気温度
510 ベースライン温度
520 排気温度
604 正規化されたNO流量
610 ベースラインNO質量流量
620 排気NO質量流量
704 正規化されたCO排気質量流量
710 ベースラインCO質量流量
720 排気CO質量流量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】