(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009847
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20220106BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G08B17/10 L
G08B17/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178943
(22)【出願日】2021-11-01
(62)【分割の表示】P 2018056042の分割
【原出願日】2018-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】島本 夏希
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085FA11
5C085FA25
5G405AB02
5G405CA53
5G405FA06
5G405FA17
(57)【要約】
【課題】試験者が煙感知器の検査を円滑に行うことができる煙感知器試験装置の提供を目的とする。
【解決手段】煙感知器試験装置1は、試験対象となる1以上の煙感知器2A~2Eが収容される試験空間Sを有する収容部10と、試験空間Sに供給する疑似煙を発生させる煙発生部30と、煙感知器2A~2Eの判定結果が表示される表示部が取り付けられた上蓋部50と、を備え、収容部10は、底部15と、底部15における対向する一対の縁部から立設される第1壁部11及び第3壁部13と、前記底部15における対向する一対の縁部から立設される第2壁部12及び第4壁部14とを有し、上蓋部50が第2壁部12に取り付けられ、第1壁部11の外側面に第1のベルト取付部3が固定され、第3壁部13の外側面に第2のベルト取付部4が固定され、第1のベルト取付部3と第2のベルト取付部4にショルダーベルト5が取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象となる1以上の煙感知器が収容される試験空間を有する収容部と、
前記試験空間に供給する疑似煙を発生させる煙発生部と、
前記煙感知器の判定結果が表示される表示部が取り付けられた上蓋部と、
を備え、
前記収容部は、底部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第1壁部及び第3壁部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第2壁部及び第4壁部とを有し、
前記上蓋部が前記第2壁部に取り付けられ、
前記第1壁部の外側面に第1のベルト取付部が固定され、前記第3壁部の外側面に第2のベルト取付部が固定され、
前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられていることを特徴とする煙感知器試験装置。
【請求項2】
前記第1のベルト取付部は、前記第1壁部における前記第2壁部よりも前記第4壁部側に固定され、
前記第2のベルト取付部は、前記第3壁部における前記第4壁部よりも前記第2壁部側に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の煙感知器試験装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記上蓋部に設けられた収容空間内に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の煙感知器試験装置。
【請求項4】
前記試験空間を開放する開口部を閉塞可能な中蓋部が前記第1壁部側に設けられており、側面視において、前記第1のベルト取付部が前記第2のベルト取付部より前記底部側に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の煙感知器試験装置。
【請求項5】
試験対象となる1以上の煙感知器が収容される試験空間を有する収容部と、
前記試験空間を開放する開口部を閉塞可能な中蓋部と、
前記試験空間に供給する疑似煙を発生させる煙発生部と、
を備え、
前記収容部は、底部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第1壁部及び第3壁部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第2壁部及び第4壁部とを有し、
前記第1壁部の外側面に第1のベルト取付部が固定され、前記第3壁部の外側面に第2のベルト取付部が固定され、
前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられ、
前記第1のベルト取付部は、前記第1壁部における前記第2壁部よりも前記第4壁部側に固定され、
前記第2のベルト取付部は、前記第3壁部における前記第4壁部よりも前記第2壁部側に固定され、
前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられていることを特徴とする煙感知器試験装置。
【請求項6】
前記中蓋部が前記第1壁部側に設けられており、
側面視において、前記第1のベルト取付部が前記第2のベルト取付部より前記底部側に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の煙感知器試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙感知器試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや住宅等の建物内において火災が発生した場合に、火災により発生した煙を検知して警報等により注意を喚起し、可及的速やかに消火、避難、消防活動を行うことができるよう、建物内の天井等に煙感知器が設置されている。この煙感知器は、的確な感度を有し動作し得るかを建物への設置後定期的に点検することが求められており、煙感知器の感度試験に用いられる煙感知器試験装置としては、下記特許文献1に示すような疑似煙を放出して、煙感知器の感度を試験する装置が用いられている。
【0003】
特許文献1に記載の煙感知器試験装置は、上蓋に試験対象となる煙感知器を取り付ける取り付けベースと、煙感知器試験装置の試験空間内に疑似煙を発生させる煙発生部及び電動ファンと、煙感知器の火災検出信号が既定のレベルに達しているか否かを判断するレベル判断部と、規定レベルに達した時の煙濃度信号を保持するホールド部と、ホールド部で保持された煙濃度信号を表示する表示部とを備えている。また、上蓋を閉じた状態で取付ベースに取り付けられた煙感知器が試験空間内に位置するように構成されている。
煙感知器を検査する際、検査対象となる煙感知器を取付ベースに取り付け、上蓋を閉じて、煙発生部により疑似煙を発生させる。疑似煙はファンにより試験空間内に循環される。煙感知器の火災検出信号が既定のレベルに達すると、このときの煙濃度信号がホールド部に保持され、煙濃度信号が表示部に表示される。検査者は表示部に表示される煙濃度信号が所定の範囲であるかを判断して、煙感知器の合否判定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の煙感知器試験装置を用いて煙感知器の検査をする際、検査者は、感知器を検査するたびに、感知試験装置を床や台の上に置き、座り込んだり、かがみ込んだ状態で、煙感知器試験装置に設けられた取付ベースに試験対象となる煙感知器を取り付ける必要があるため、検査者の作業が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、検査者が煙感知器の検査を円滑に行うことができる煙感知器試験装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の煙感知器試験装置は、試験対象となる1以上の煙感知器が収容される試験空間を有する収容部と、前記試験空間に供給する疑似煙を発生させる煙発生部と、前記煙感知器の判定結果が表示される表示部が取り付けられた上蓋部と、を備え、前記収容部は、底部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第1壁部及び第3壁部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第2壁部及び第4壁部とを有し、前記上蓋部が前記第2壁部に取り付けられ、前記第1壁部の外側面に第1のベルト取付部が固定され、前記第3壁部の外側面に第2のベルト取付部が固定され、前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられている。
【0008】
本発明の煙感知器試験装置は、前記第1のベルト取付部は、前記第1壁部における前記第2壁部よりも前記第4壁部側に固定され、前記第2のベルト取付部は、前記第3壁部における前記第4壁部よりも前記第2壁部側に固定されていてもよい。
【0009】
本発明の煙感知器試験装置は、前記表示部は、前記上蓋部に設けられた収容空間内に設けられていてもよい。
【0010】
本発明の煙感知器試験装置は、前記試験空間を開放する開口部を閉塞可能な中蓋部が前記第1壁部側に設けられており、側面視において、前記第1のベルト取付部が前記第2のベルト取付部より前記底部側に固定されていてもよい。
【0011】
本発明の煙感知器試験装置は、試験対象となる1以上の煙感知器が収容される試験空間を有する収容部と、前記試験空間を開放する開口部を閉塞可能な中蓋部と、前記試験空間に供給する疑似煙を発生させる煙発生部と、を備え、前記収容部は、底部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第1壁部及び第3壁部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第2壁部及び第4壁部とを有し、前記第1壁部の外側面に第1のベルト取付部が固定され、前記第3壁部の外側面に第2のベルト取付部が固定され、前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられ、前記第1のベルト取付部は、前記第1壁部における前記第2壁部よりも前記第4壁部側に固定され、前記第2のベルト取付部は、前記第3壁部における前記第4壁部よりも前記第2壁部側に固定され、前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられている。
【0012】
本発明の煙感知器試験装置は、中蓋部が前記第1壁部側に設けられており、側面視において、前記第1のベルト取付部が前記第2のベルト取付部より前記底部側に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上蓋部が第2壁部に取り付けられ、第1壁部に第1のベルト取付部が設けられ、第1壁部に対向する第3壁部に第2のベルト取付部が設けられているため、上蓋部の開放・閉鎖動作に対してショルダーベルトが干渉しないため、検査者は煙感知器試験装置を置くことなく上蓋部を開け閉めすることが可能となる。また上蓋部の開放時にショルダーベルトが干渉しないため、上蓋部を開けたままで検査者が動作可能となる。これにより、検査者はショルダーベルトを肩に掛けながら煙感知器試験装置を用いて煙感知器の検査を行うことができる。従って、煙感知器の検査を円滑に行うことができる。
また、第1のベルト取付部は、第1壁部における第2壁部よりも第4壁部側に固定され、第2のベルト取付部は、第3壁部における第4壁部よりも第2壁部側に固定されることにより、検査者が感度試験装置を検査者の正面に位置するようにショルダーベルトを肩に掛けたときに感度試験装置を略水平に保持できるため、試験空間内の煙濃度に偏りが生じず、ショルダーベルトを肩にかけたままでの煙感知器の検査の信頼性を確保することができる。
また、表示部は、上蓋部に設けられた収容空間内に設けられることにより、上蓋部を閉じた際、表示部が押圧されてしまうことを防止することができる。さらに検査者が感度試験装置を検査者の正面に位置するようにショルダーベルトを肩に掛けたときに上蓋部を開けた状態で表示部を確認できるため、上蓋部を開けたままにすることで、表示部を確認、操作できる状態のまま検査を行ったり、次の検査場所に移動したりすることが可能となる。
【0014】
また、中蓋部を備える場合、第1のベルト取付部は、第1壁部における第2壁部よりも第4壁部側に固定され、第2のベルト取付部は、第3壁部における第4壁部よりも第2壁部側に固定され、第1のベルト取付部と第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられている。すなわち、中蓋部側の第1のベルト取付部を第2のベルト取付部よりも第4壁部側に配置することにより、中蓋部を開け閉めする際、中蓋部がショルダーベルトと干渉するのを抑えることができる。
また、中蓋部側の第1のベルト取付部を第2のベルト取付部より底部側に配置することにより、中蓋部を開け閉めする際、中蓋部がショルダーベルトと干渉するのをより抑えることができる。
中蓋部とショルダーベルトの干渉を抑えることで、ショルダーベルトを肩にかけたまま煙感知器の付け替えが行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の煙感知器試験装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の煙感知器試験装置を示す上面図である。
【
図3】
図1の煙感知器試験装置のA-A線における要部断面図である。
【
図4】
図1の煙感知器試験装置の上蓋部を閉じた状態を示す上面図である。
【
図5】
図1の煙感知器試験装置の上蓋部を閉じたときの試験空間を示す要部断面図である。
【
図6】
図1の煙感知器試験装置の蓋をスライドさせた状態を示す要部断面図である。
【
図7】
図1の煙感知器試験装置の蓋をスライドさせた状態を示す上面図である。
【
図9】
図1の煙感知器試験装置を示すブロック図である。
【
図10】
図1の煙感知器試験装置の表示部を示す図である。
【
図11】本発明の煙感知器試験装置の検査の流れを示すフローチャートである。
【
図12】本発明の煙感知器試験装置の使用状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の煙感知器試験装置の使用した際、表示部に表示される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る煙感知器試験装置について、
図1から
図13を参照して説明する。
本実施形態の煙感知器試験装置1は、試験空間Sに、試験対象となる5つの煙感知器2A,2B,2C,2D,2Eと、合否の基準となる基準煙感知器2Rとが収容可能に構成されている。煙感知器試験装置1は、収容部10と、中蓋部20と、煙発生部30と、表示部40と、上蓋部50とを備えている。
【0017】
図1に示すように、収容部10は、有底筒状形状である。具体的には、収容部10は、平面視矩形状の底部15と、底部15における対向する一方の一対の縁部15aから立設される第1壁部11及び縁部15cから立設される第3壁部13と、底部15における他方の一対の縁部15bから立設される第2壁部12及び縁部15dから立設される第4壁部14とを有している。また、第1壁部11と第2壁部12と第3壁部13と第4壁部14と底部15とで囲まれた空間が試験空間Sとして構成されている。なお、第3壁部13は、検査者が第4壁部14側から煙感知器試験装置1を使用する際、検査者から見て、第1壁部11と異なる左右の側の壁部である。
収容部10の底部15に対向する上面側には、厚み方向に貫通され試験空間を開放する開口部16を有する上面板17が設けられている。この開口部16から検査対象となる煙感知器2A,2B,2C,2D,2Eの出し入れが行われる。
【0018】
図2及び
図3に示すように、煙感知器試験装置1の試験空間Sには、底部15と略平行、かつ、間隔をあけて台座18が設けられている。煙感知器試験装置1は、台座18上に設けられ、煙感知器2Bを取り付け可能な第1取付ベース60a及び煙感知器2Cを取り付け可能な第1取付ベース60bと、台座18上に設けられ、煙感知器2Aを取り付け可能な第2取付ベース62が設けられた上底部61とを備えている。台座18と上底部61により段部63が形成されている。すなわち、上底部61は所定の厚みを有しているため、台座18の上面に対して上底部61の上面の方が収容部10の上側に位置している。また、上底部61は、第2壁部12から第4壁部14に向かって延在している。
【0019】
図2に示すように、第2取付ベース62は、第1取付ベース60aの第3壁部13側に配置されている。また、基準煙感知器2Rは、第1取付ベース60bの第3壁部13側に設けられている。基準煙感知器2R内には、濃度検出部64が設けられている。濃度検出部64は、試験空間S内の濃度を検出し、検出した濃度検出値は後述する記憶部45に送られる。
【0020】
また、台座18上の、第1取付ベース60a,60bよりも第1壁部11側にはメッシュ状の整流板19が立設されている。整流板19を設けることにより、疑似煙を煙感知器2A~2Eに均一に流すことが可能となる。
【0021】
図1及び
図3に示すように、第1壁部11の外側面11aに第1のベルト取付部3が固定され、第3壁部13の外側面13aに第2のベルト取付部4が固定されている。検査者が肩に掛けるショルダーベルト5の一方の端部が第1のベルト取付部3に取り付けられ、ショルダーベルト5の他方の端部が第2のベルト取付部4に取り付けられている。本実施形態では、ショルダーベルト5は、第1のベルト取付部3及び第2のベルト取付部4に着脱可能に固定されている。本実施形態では、例えば、ショルダーベルト5の両端部に、第1のベルト取付部3,第2のベルト取付部4に引っ掛けるフックを有する構成を適用し、ショルダーベルト5が、第1のベルト取付部3及び第2のベルト取付部4に対して着脱可能に構成されている。なお、ショルダーベルト5は、第1のベルト取付部3及び第2のベルト取付部4に着脱不可能となるように取り付けられていてもよい。
【0022】
図1に示すように、第1のベルト取付部3は、第1壁部11における第2壁部12よりも第4壁部14側(手前側)に固定されている。第2のベルト取付部4は、第3壁部13における第4壁部14よりも第2壁部12側(奥側)に固定されている。以下、手前側とは、検査者が第4壁部14側から煙感知器試験装置1を使用する際、検査者から見て第4壁部14側を示し、奥側とは、検査者から見て第2壁部12側を示している。
第1のベルト取付部3は、
図3に示すように、側面視において、第2のベルト取付部4より底部15側に固定されている。第1のベルト取付部3は、第2のベルト取付部4に比べて約50mmほど底部15側に固定されている。
【0023】
図2に示すように、中蓋部20は、第1壁部11側の上面板17に、例えば、蝶番により回動可能に設けられている。中蓋部20には、煙感知器2Dを取り付け可能な中蓋用取付ベース21aと、煙感知器2Eを取り付け可能な中蓋用取付ベース21bとが設けられている。
【0024】
中蓋部20の大きさは、上面板17の開口部16の大きさとほぼ同じである。これにより、
図4に示すように、中蓋部20を閉じることにより、開口部16を閉塞可能である。すなわち、中蓋部20を閉じることにより、試験空間Sを密閉にすることが可能である。
【0025】
図5に示すように、中蓋部20を閉じた際、煙感知器2D,2Eが逆さまな状態で試験空間S内に配置される。このとき、煙感知器2Dが煙感知器2Bに対向して配置され、煙感知器2Eが煙感知器2Cに対向して配置される。本実施形態の煙感知器試験装置1では、台座18上に3つの煙感知器2A,2B,2C及び中蓋部20に2個の煙感知器2D,2Eが配置され、合計5個の煙感知器2A~2Eの感度の検査が可能である。
【0026】
また、中蓋部20を閉じた際、煙感知器2Dと対向して配置された煙感知器2Bとの間に、隙間Gが形成される。同様に、煙感知器2Eと対向して配置された煙感知器2Cとの間に、隙間Gが形成される。
【0027】
図1に示すように、上面板17の開口部16の第3壁部13近傍には、中蓋部20を閉じた際に接触可能なマグネットスイッチ22が設けられている。マグネットスイッチ22は、後述する制御部42に接続されており、マグネットスイッチ22のON状態、または、OFF状態に応じて、制御部42は、中蓋部20が閉じられているか否かを判断する。
【0028】
煙発生部30は、発煙剤を有しており、試験空間Sに供給する疑似煙を発生させるものである。
図6及び
図7に示すように、煙発生部30は、台座18の下側に配置されたスライド機構31に設けられている。スライド機構31は、収容部10の底部15近傍に設けられており、収容部10の外部に向かってスライド可能である。スライド機構31は、2本のレール32と、レール32上をスライドするスライド部33と、第3壁部13の一部である蓋34とを備えている。スライド部33上に煙発生部30が配置され、スライド部33の端部に蓋34が固定されている。蓋34は、収容部10の第3壁部13に対して当設離反する方向にスライド可能となっている。すなわち、検査者が収容部10の外部から蓋34を引っ張ることで、スライド部33がレール32上をスライドし、煙発生部30は外部に露出されるように構成されている。
【0029】
図6及び
図7に示すように、台座18と底部15との間に位置する収容部10の第3壁部13には、試験空間Sと外部とを連通する連通口13bが形成されている。
図3に示すように、蓋34は、収容部10の第3壁部13に形成された連通口13bを覆うように構成されている。煙発生部30は、収容部10側の蓋34近傍に設けられている。すなわち、蓋34を閉めた際、煙発生部30は第3壁部13近傍に位置している。
【0030】
図5に示すように、煙感知器試験装置1は、底部15上にファン70を備えている。ファン70は、収容部10の底部15と台座18との間に配置され、煙発生部30よりも収容部10内の中央部側に配置されている。これにより、煙発生部30により発生された疑似煙は、ファン70により試験空間S内に効率良く循環される。
【0031】
また、側面視において、隙間Gに、第2取付ベース62に取り付けられた煙感知器2Aの煙が侵入する煙侵入口2aが位置している。
図5の矢印Fに示すように、煙発生部30により発生された疑似煙は、台座18の下部を通り、第1壁部11に沿って上昇し、第1取付ベース60a,60bを通り、第2取付ベース62に向かう。すなわち、第2取付ベース62が疑似煙の下流側になる。この疑似煙の下流側に、上底部61が配置されている。
【0032】
図8に示すように、連通口13bは、第3壁部13の、ファン70と対向する位置に形成されている。連通口13bの高さ寸法L1(底部15から収容部10の上側に向かう方向の寸法)及び幅寸法L2(第2壁部12から第4壁部14に向かう方の寸法)の大きさは、ファン70の外形寸法より大きく形成されている。
蓋34のスライド量Dは、
図6に示すように、ファン70の外形寸法より大きく設定されている。
【0033】
図1に示すように、上蓋部50は、収容空間Pを有し、この収容空間Pに表示部40と、入力可能な操作パネル41と、制御部42とが設けられている。
【0034】
図8に示すように、上蓋部50は、規制部材51により収容部10に回動可能に支持されている。また、上蓋部50は、規制部材51により、側面視において、上蓋部50の端面50aと収容部10の上面10aとの開口部16側でのなす角度αが180°未満となる開状態と、
図8の矢印で示すように回動し、上蓋部50が収容部10の上面に載置される閉状態(
図8の一点鎖線で示す状態)とになるように構成されている。すなわち、検査前や検査後など煙感知器試験装置1を持ち運ぶ際は、中蓋部20を閉じ、上蓋部50を閉じることにより、コンパクトな状態にすることが可能である。
【0035】
また、上蓋部50と収容部10との開口部16側でのなす角度αは、特に限定されないが、105°~120°の範囲であることが好ましく、本実施形態では、角度αは110°である。
【0036】
図8に示すように、操作パネル41は、側面視において、上蓋部50の端面50aよりも収容空間P内に配置されている。すなわち、操作パネル41は上蓋部50の端面50aよりも内側に収まっているため、上蓋部50を閉じた状態において、操作パネル41が押されてしまうのを防止することができる。
【0037】
制御部42は、配線43を介して第1取付ベース60a,60bと、第2取付ベース62と、中蓋用取付ベース21a,21bとに電気的に接続されており、操作パネル41を操作することにより、各取付ベース60a,60b,62,21a,21bに電力を供給することが可能である。
【0038】
制御部42は、配線43を介して煙発生部30に接続されており、操作パネル41を操作することにより、煙発生部30に電力を供給することが可能である。煙発生部30に電力が供給されると、発煙剤が加熱され疑似煙が発生する。
【0039】
制御部42は、配線43を介して、ファン70に電気的に接続されており、操作パネル41を操作することにより、ファン70に電力を供給することが可能である。ファン70は、電力が供給されると回転駆動する。
【0040】
図1に示すように、配線43は、操作パネル41の下部から収容部10内に向かって延びている。上蓋部50を閉じる際、配線43は、収容部10内の第3壁部13近傍の隙間10bに収容されるため、配線43が上蓋部50と収容部10との間に挟まることはない。
【0041】
図9に、本実施形態の煙感知器試験装置1のブロック図を示す。煙感知器試験装置1は、煙感知器2A~2Eと、濃度検出部64と、表示部40と、煙発生部30と、ファン70と、制御部42とを備えている。制御部42は、受信部44と、記憶部45と、判定部46とを有している。
【0042】
受信部44は、煙感知器2A~2Eが疑似煙を感知し発報した際、煙感知器2A~2Eを識別する番号情報を受信し、受信した番号情報を記憶部45に記憶させる。この番号情報は、取付ベースの位置に応じた番号を用いてもよいし、煙感知器を個別に識別するID情報が得られる場合には、このID情報を用いてもよい。
本実施形態の番号情報は、煙感知器2Aが、番号“1”に相当し、煙感知器2Bが、番号“2”に相当し、煙感知器2Cが、番号“3”に相当し、煙感知器2Dが、番号“4”に相当し、煙感知器2Eが、番号“5”に相当する。すなわち、取付ベースの位置と番号とが対応付けられている。このように、各煙感知器2A~2Eが発報されると、各煙感知器2A~2Eを識別する番号情報1~5が、受信部44に送られる。
【0043】
記憶部45は、濃度検出部64からの濃度検出信号を受信する。煙感知器の作動試験に用いる煙濃度の単位は1mあたりの減光率で表記される為、濃度検出信号を現行率に変換した値を記憶する方がより好適である。以降特記なき場合、濃度検出値は減光率に変換したものとする。記憶部45は、受信部44から送られてきた煙感知器2A~2Eを識別する番号情報1~5と濃度検出部64から送られてきた濃度検出値とを対応付けて記憶する。具体的には、濃度検出部64から濃度検出値は随時読取を行い、表示部40に現在濃度として表示可能とする。制御部42は、煙感知器2A~2Eが発報したタイミングで現在の濃度検出値と発報した煙感知器2A~2Eを識別する番号情報とを対応付けて記憶部45に書き込む。記憶部45に記憶され番号情報に対応付けられた濃度検出値は制御部42により表示部40に表示可能である。
また、番号情報と、番号情報に対応付けられた濃度検出値とを、記録媒体に記憶させることや、煙感知器試験装置1の外部に出力することも可能である。また、制御部42により検査日や検査者等を記憶部45に記憶させることも可能である。
【0044】
判定部46は、各煙感知器2A~2Eが疑似煙を感知し発報したときの濃度検出値が基準範囲内であるか否かを判定基準値と比較し、煙感知器2A~2Eの感度が正常であるか否かを判定する。すなわち、判定部46により自動判定が行われる。
判定部46は、濃度検出値が判定基準値内である場合は、煙感知器2A~2Eが正常であると判断し、判定基準値より小さい場合や大きい場合は正常ではないと判断する。また、煙感知器には1種、2種、3種があり、それぞれ公称作動濃度は減光率5%、10%、15%であり、種類ごとの判定基準値が記憶部45に記憶されている。
【0045】
表示部40には、判定部46の判定結果に基づいて、煙感知器2A~2Eが既定の範囲内で疑似煙を感知するか否かの判定結果が表示される。表示部40には、
図10に示すように、番号に対応した煙感知器2A~2Eの濃度検出値が表示される表示欄40aが設けられている。また、各番号に対応した位置、すなわち、判定結果表示領域には、合否表示灯(発光部)65がそれぞれ設けられている。表示部40は、表示欄40aのみが、例えば、液晶表示やセグメント表示のように表示が切り替わる画面であってもよく、番号を含めた表示部40全体が液晶表示やセグメント表示であってもよい。
【0046】
合否表示灯65は、通常消灯しているが、煙感知器2A~2Eの感度が正常である場合、点灯し、煙感知器2A~2Eの感度が正常ではない場合、点滅する。
各煙感知器2A~2Eが発報されたときの濃度検出値が基準範囲内である場合、制御部42は合否表示灯65を点灯させる。一方、各煙感知器2A~2Eが発報されたときの濃度検出値が基準範囲外である場合、制御部42は合否表示灯65を点滅させる。例えば、合否表示灯65は、ランプ(電球)であってもよいし、液晶表示であってもよい。
【0047】
制御部42は、すべての煙感知器2A~2Eが発報されると、各取付ベース60a,60b,62,21a,21b、煙発生部30、ファン70への電力の供給を停止させる。
【0048】
次に、煙感知器試験装置1を用いて煙感知器を検査する方法について、
図11に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、検査者Tが建物内の天井等に設置されている5個の煙感知器を取り外す。
図12に示すように、検査者Tは、煙感知器試験装置1に表示部40が正面に位置するようにショルダーベルト5を肩に掛ける。
図1に示すように、5個の煙感知器を第1取付ベース60a,60b、第2取付ベース62、中蓋用取付ベース21a,21bそれぞれに取り付ける(ステップS1)。さらに、取り付けられたそれぞれの煙感知器が1種、2種、3種のいずれか操作パネル41を用いて入力する。
【0049】
次に、
図4に示すように、検査者Tにより中蓋部20が閉じられると、マグネットスイッチ22がON状態になり、制御部42は中蓋部20が閉じられたと判断する。検査者Tは、操作パネル41を操作して、制御部42により、各取付ベース60a,60b、62、21a,21bと、煙発生部30と、ファン70とに電力が供給される(ステップS2)。煙発生部30は加熱されると、発煙剤である水溶性液体が気化する。気化した疑似煙は、
図5の矢印Fで示すように、ファン70の回転により、台座18の下部を通り第1壁部11に向かい、第1壁部11に沿って上昇する。上昇した疑似煙は、メッシュ状の整流板19を通過し、疑似煙の一部が煙感知器2B,2C,2D,2Eの煙侵入口2aから侵入し、残りの疑似煙は隙間Gを通過し、煙感知器2Aの煙侵入口2aから侵入する。
【0050】
煙感知器2A~2Eは疑似煙を感知すると発報信号を出力する。このとき、発報された煙感知器2A~2Eを識別する番号情報が受信部44を介して記憶部45に送られ、濃度検出部64により検出された濃度検出値が記憶部45に送られる。そして、煙感知器2A~2Eを識別する番号情報と濃度検出値とが対応付けられて記憶部45に記憶される(ステップS3)。
【0051】
具体的には、煙感知器2Aが発報信号を出力すると、制御部42は、煙感知器2Aの煙感知器信号と、煙感知器2Aが発報した時の濃度検出値とを記憶部45に書き込む。これにより、煙感知器2A、すなわち、番号“1”と、濃度検出値5とが対応付けられて、記憶部45に記憶される。制御部42は、5個すべての煙感知器2A~2Eが発報されたか否かを判断する(ステップS4)。
【0052】
制御部42は、5個すべての煙感知器2A~2Eが発報されていないと判断した場合(ステップS4のNO)、ステップS3に戻る。
【0053】
続いて、煙感知器2Cが発報信号を出力すると、煙感知器2Cを識別する番号情報と、煙感知器2Cが発報したときの濃度検出値とが記憶部45に送られる。煙感知器2C、すなわち、番号“3”と、濃度検出値9とが対応付けられて、記憶部45に記憶される。
【0054】
続いて、煙感知器2Bが発報すると、番号“2”と、濃度検出値11とが対応付けられて、記憶部45に記憶される。続いて、煙感知器2Dが発報すると、番号“4”と、濃度検出値15とが対応付けられて、記憶部45に記憶される。続いて、煙感知器2Eが発報すると、番号“5”と、濃度検出値16とが対応付けられて、記憶部45に記憶される。このようにして、5個すべての煙感知器2A~2Eが発報し、発報された煙感知器2A~2Eを識別する番号情報と濃度検出部64により検出された濃度検出値とが対応付けられて記憶部45に記憶される。
【0055】
次に、制御部42は、5個すべての煙感知器2A~2Eが発報されたと判断した場合(ステップS4のYES)、制御部42により、各取付ベース60a、60b、62、21a、21bと、煙発生部30と、ファン70への電力の供給が停止される(ステップS5)。
【0056】
次に、制御部42により、濃度検出部64により送られて濃度検出値と判定基準値とを比較する(ステップS6)。例えば、1種の基準判定値は3以上から7以下の範囲、2種の基準判定値は6以上から14以下の範囲、3種の基準判定値は8以上から22以下の範囲に設定されている。煙感知器2A~2Cが2種であり、煙感知器2D、2Eが3種であるとき、制御部42は、番号“1”,“2”,“3”の煙感知器の濃度検出値が6以上から14以下の範囲であるか判定し、番号“4”,“5”の煙感知器の濃度検出値が8以上から22以下の範囲であるか判定する。その結果、番号“2”,“3”,“4”,“5”の煙感知器2B,2C,2D,2Eの感度が正常(合格)であると判断する(ステップS6のYES)。制御部42は、
図13に示すように、表示欄40aに番号2,3,4,5に対応する濃度検出値を表示させ、合否表示灯65を点灯する(ステップS7-1)。
【0057】
一方、番号“1”の濃度検出値は5であるため、制御部42は、煙感知器2Aの感度は正常ではない(不合格)と判断し(ステップS6のNO)、番号1に対応する合否表示灯65を点滅させる(ステップS7-2)。なお、制御部42は、煙感知器2A~2Eの合否判定結果を記憶部45に記憶させてもよく、必要に応じて記録媒体に記録したり、外部に出力することも可能である。
【0058】
煙感知器2A~2Eの合否結果が表示されたら、中蓋部20を開け、各取付ベース60a,60b、62、21a,21bから煙感知器2A~2Eを取り外し、所定の位置に戻す。以上より、煙感知器2A~2Eの感度の検査が終了する。
【0059】
本実施形態によれば、検査者Tが、ショルダーベルト5を肩掛けしながら、煙感知器2A~2Eの検査をすることができるので、スムーズに検査することができる。
【0060】
また、上蓋部50が第2壁部12に取り付けられ、第1壁部11に第1のベルト取付部3が設けられ、第1壁部11に対向する第3壁部13に第2のベルト取付部4が設けられているため、上蓋部50の開放・閉鎖動作に対してショルダーベルト5が干渉しないため、検査者は煙感知器試験装置1を置くことなく上蓋部50を開けることが可能となる。また上蓋部50の開放時にショルダーベルト5が干渉しないため、上蓋部50を開けたままで検査者が動作可能となる。これにより、検査者はショルダーベルト5を肩に掛けながら煙感知器試験装置1を用いて煙感知器2A~2Eの検査を行うことができる。従って、煙感知器2A~2Eの検査を円滑に行うことができる。
また、第1のベルト取付部3は、第1壁部11における第2壁部12よりも第4壁部14側に固定され、第2のベルト取付部4は、第3壁部13における第4壁部14よりも第2壁部12側に固定されることにより、検査者が煙感知器試験装置1を検査者の正面に位置するようにショルダーベルト5を肩に掛けたときに煙感知器試験装置1を略水平に保持できるため、試験空間S内の煙濃度に偏りが生じず、ショルダーベルト5を肩にかけたままでの煙感知器2A~2Eの検査の信頼性を確保することができる。
また、表示部40は、上蓋部50に設けられた収容空間P内に設けられることにより、上蓋部50を閉じた際、表示部40が押圧されてしまうことを防止することができる。さらに検査者が煙感知器試験装置1を検査者の正面に位置するようにショルダーベルト5を肩に掛けたときに上蓋部50を開けた状態で表示部40を確認できるため、上蓋部50を開けたままにすることで、表示部40を確認、操作できる状態のまま検査を行ったり、次の検査場所に移動したりすることが可能となる。
【0061】
また、第1壁部11に第1のベルト取付部3が設けられ、第1壁部11に対向する第3壁部13に第2のベルト取付部4が設けられているため、検査者Tはショルダーベルト5を肩に掛けながら煙感知器試験装置1を用いて煙感知器2A~2Eの検査を行うことができる。従って、煙感知器2A~2Eの検査を円滑に行うことができる。
【0062】
また、中蓋部20側の第1のベルト取付部3を第2のベルト取付部4よりも手前(第4壁部)側に配置することにより、中蓋部20を開け閉めする際、中蓋部20がショルダーベルト5と干渉するのを抑えることができる。また、第1のベルト取付部3と第2のベルト取付部4とが検査者Tに対して前後方向にずれて配置されていることにより、検査者Tがショルダーベルト5を肩掛けした際、煙感知器試験装置1を安定して保持することが可能となる。
【0063】
また、中蓋部20側の第1のベルト取付部3を第2のベルト取付部4より底部15側に配置することにより、中蓋部20を開け閉めする際、中蓋部20がショルダーベルト5と干渉するのをより抑えることができる。
また、表示部40は、上蓋部50に設けられた収容空間P内に設けられているため、上蓋部50を閉じた際、表示部40が押圧されてしまうことを防止することができる。さらには、上蓋部50を開けたまま、検査を行ったり、次の検査場所に移動したりすることが可能となる。
【0064】
なお、必ずしも中蓋部20側の第1のベルト取付部3を第2のベルト取付部4よりも手前側に配置していなくてもよく、第1のベルト取付部3が第2のベルト取付部4より底部15側に配置されていなくてもよい。すなわち、第1のベルト取付部3が第1壁部11に固定され、第2のベルト取付部4が第3壁部13に固定されていれば、検査者Tはショルダーベルト5を肩掛けしながら煙感知器2A~2Eの検査を円滑に行うことが可能となる。
煙感知器試験装置1は、中蓋部20及び上蓋部50を備える構成としたが、どちらは一方だけ設けられていてもよい。上蓋部50が設けられておらず、中蓋部20が設けられている場合は、表示部40の位置は特に限定されない。上記実施形態では上蓋部50に表示部40を取付けているが、収容部10内に表示部40を設けるようにしても良い。例えば、中蓋部20の上部に表示部40を設けるようにしても良いし、中蓋部20を観音開きに構成し、第1の中蓋の裏側に煙感知器を取り付けられるようにし、第2の中蓋に表示部40を設けるようにしても良い。中蓋部20を上記実施形態の半分程度の長さに構成した上で、試験空間Sの上面のうち、中蓋部20が閉塞しない場所に天板を設け、その上に表示部40を設けるようにしても良い。
また、収容部10を平面視矩形状としたが、これに限らず、台形や五角形以上の多角形であってもよい。五角形以上の多角形の場合は、辺の数に応じて壁部が増えるが、第1の壁部に第1のベルト取付部3が設けられ、第1壁部に対向する第3壁部に第2のベルト取付部4が設けられていればよい。
【0065】
また、煙感知器2A~2Eとしては、各取付ベース60a,60b、62、21a,21bと接続可能な煙感知器が試験対象となる。煙感知器には一般的な取付ベースに接続可能な煙感知器のほかにプチタイプと呼ばれる小型の煙感知器が存在する。プチタイプの煙感知器については取付ベースの形状が異なるため、そのままでは試験できないが、中蓋の取付ベース21a,21bが取り付けられた中蓋ベース用パネルを中蓋から取り外し、プチタイプ用の取付ベースが取り付けられたプチタイプ用中蓋ベース用パネルを中蓋に取り付けることで、プチタイプの煙感知器の試験が可能となる。また、メーカーごとに煙感知器の取付ベースの形状は異なるが、取り付け可能な形状の取付ベースを備えたベース用パネルを中蓋に付け替えることで取付ベースの形状が異なる煙感知器についても試験可能となる。
【0066】
また、各煙感知器2A~2Eが発報されたときの濃度検出値が基準範囲内である場合、合否表示灯65を点灯させ、各煙感知器2A~2Eが発報されたときの濃度検出値が基準範囲外である場合、合否表示灯65を点滅させたが、これに限らない。例えば、各煙感知器2A~2Eが発報されたときの濃度検出値が基準範囲外である場合、合否表示灯65を消灯のままにしてもよい。
また、5個全ての煙感知器が発報されたと判断した場合に試験終了するとしたが、取付ベースに取り付けられる煙感知器全てが発報されたかどうかを判断して試験終了するようにしても良い。煙感知器が取り付けられているかどうかの判定は例えば以下のように行う。煙感知器取付後、試験開始前に操作パネル41を操作して取付ベースに取り付けられているか入力させる、または煙感知器取付時に種類を入力するため種類未入力の取付ベースについては煙感知器が取り付けられていないと判定する。または、試験開始後、煙感知器が取り付けられていない取付ベースについては断線することから断線検出を行い、煙感知器が取り付けられているかどうかを判定するようにしても良い。
【0067】
また、表示部40への表示は、すべての煙感知器2A~2Eの判定結果をまとめて表示させる構成としたが、煙感知器2A~2Eの判定結果を一つずつ表示させてもよい。この場合、操作パネル41を操作することにより、所望の煙感知器の判定結果を表示させるようにしてもよい。また、煙感知器2Aから順に、所定の時間間隔ごとに順次煙感知器の判定結果を表示させてもよい。
【0068】
なお、マグネットスイッチがOFF状態、すなわち、中蓋部20が閉じていない場合は、操作パネル41を操作しても、制御部42により、各取付ベース60a,60b、62、21a,21bと、煙発生部30と、ファン70とに電力が供給されないように構成されていてもよい。
【0069】
また、検査している煙感知器と表示される番号とを対応づけるために、取付ベース近傍に番号が振られていてもよい。
【0070】
上記実施形態に加え、上蓋部50と収容部10に固定部を設け、上蓋部50に対して開放方向に力を加える機構を備えるようにしても良い。例えば、上蓋部50と収容部10との間のヒンジ部に開放方向へ力を加えるようにしたトルクヒンジを採用しても良い。このような機構を設けることで、意図しない上蓋部50の閉鎖を防ぐことが可能となり、中蓋部20を開いて煙感知器を取り付けている最中に上蓋部50が閉まることで生じる煙感知器と上蓋部50との接触を防ぐことが可能となる。また、中蓋部の奥側から壁面を立設させ保護板として機能させるようにしても良い。保護板は中蓋部20閉鎖時に下向き方向となり試験空間Sに収容され、中蓋部20開放時に上向き方向となり、上蓋部50の閉鎖経路上に存在するようにし、中蓋部20を開いて煙感知器を取り付けている最中に上蓋部50が閉まることで生じる煙感知器と上蓋部50の接触を防ぐことが可能となる。
上記実施形態に加え、第1のベルト取付部3と第2のベルト取付部4は、取り付けられた壁面に対して平行に回転自在な構成としても良い。このような構成とすることで、検査者が煙感知器試験装置1を肩掛けする際、ショルダーベルト5の方向にベルト取付部が回転するため、ショルダーベルトに余分な負荷がかからないようにできる。
なお、複数の煙感知器2A~2Eを検査する煙感知器試験装置1を例に挙げて説明したが、煙感知器を1つだけ設置可能な煙感知器試験装置であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 煙感知器試験装置
2A~2E 煙感知器
3 第1のベルト取付部
4 第2のベルト取付部
5 ショルダーベルト
10 収容部
11 第1壁部
12 第2壁部
13 第3壁部
14 第4壁部
15 底部
16 開口部
20 中蓋部
30 煙発生部
40 表示部
50 上蓋部
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の上方に設けられ、操作を受け付ける操作部と表示を行う表示部とを有する上蓋部と、を備えた筐体であって、
前記本体部は、
底部と、
前記底部における対向する一対の縁部から立設される第1壁部および第3壁部と、
前記底部における縁部から立設される第2壁部と、を有し、
前記上蓋部は前記第2壁部に取り付けられ、
前記第1壁部の外側面に第1のベルト取付部が固定され、
前記第3壁部の外側面に第2のベルト取付部が固定され、
前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられ、
前記操作部および前記表示部は、前記上蓋部が閉鎖されているときには露出せず、前記上蓋部が開放されているときには露出する位置に取り付けられていることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記本体部の内部に中蓋部が設けられており、
前記中蓋部は、前記第1壁部に取り付けられ、
側面視において、前記第1のベルト取付部が前記第2ベルト取付部より前記底部側に固定され、
前記中蓋部は、前記第1のベルト取付部よりも上方で前記第1壁部に取り付けられている請求項1に記載の筐体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、筐体に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、例えば、検査者が煙感知器の検査を円滑に行うことができる煙感知器試験装置の筐体の提供を目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の筐体は、本体部と、前記本体部の上方に設けられ、操作を受け付ける操作部と表示を行う表示部とを有する上蓋部と、を備えた筐体であって、前記本体部は、底部と、前記底部における対向する一対の縁部から立設される第1壁部および第3壁部と、前記底部における縁部から立設される第2壁部と、を有し、前記上蓋部は前記第2壁部に取り付けられ、前記第1壁部の外側面に第1のベルト取付部が固定され、前記第3壁部の外側面に第2のベルト取付部が固定され、前記第1のベルト取付部と前記第2のベルト取付部にショルダーベルトが取り付けられ、前記操作部および前記表示部は、前記上蓋部が閉鎖されているときには露出せず、前記上蓋部が開放されているときには露出する位置に取り付けられていることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の筐体は、前記本体部の内部に中蓋部が設けられており、前記中蓋部は、前記第1壁部に取り付けられ、側面視において、前記第1のベルト取付部が前記第2ベルト取付部より前記底部側に固定され、前記中蓋部は、前記第1のベルト取付部よりも上方で前記第1壁部に取り付けられていてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】