(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098474
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷を補正するための装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
G01R33/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204820
(22)【出願日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】10 2020 134 513.5
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518201739
【氏名又は名称】メソード・エレクトロニクス・マルタ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】METHODE ELECTRONICS MALTA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】ジーシブル、ヨハネス
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AD53
2G017AD55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部応力過負荷によって強磁性部品に及ぼされる悪影響を相殺する装置および/または方法を利用できるようにする。
【解決手段】強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置8であって、少なくとも1つの磁場を有する前記強磁性部品1と、磁場センサ6と、前記磁場センサ6および/または前記強磁性部品1の周りに配置された少なくとも1つのコイルであって、振動磁場および少なくとも30ガウスの磁束密度を形成する磁場を発生させるコイルとを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性部品(1)に影響を及ぼす外部応力過負荷(2)の作用を補正するための装置であって、
少なくとも1つの磁化領域(3)を有する前記強磁性部品(1)と、
磁場センサ(6)と、
前記磁場センサ(6)および/または前記強磁性部品(1)の周りに配置された少なくとも1つのコイル(4,5)であって、
振動磁場および少なくとも30ガウスの磁束密度を形成する磁場を発生させるコイルと
を備える装置。
【請求項2】
前記磁場センサ(6)は可変感度を有する、請求項1に記載の外部応力過負荷(2)の作用を補正するための装置。
【請求項3】
前記磁場を発生させる前記コイル(4,5)は、規則的な間隔で、および/またはシステムにおいて異常が発生するたびに、および/またはシステムが再始動されるときに起動される、請求項1に記載の外部応力過負荷(2)の作用を補正するための装置。
【請求項4】
前記コイル(4,5)は、前記強磁性部品(1)の周りに巻回され、かつ/または前記磁場センサ(6)の周りに巻回されている、請求項1に記載の外部応力過負荷(2)の作用を補正するための装置。
【請求項5】
前記コイル(4,5)は可変巻線数を有する、請求項1に記載の外部応力過負荷(2)の作用を補正するための装置。
【請求項6】
強磁性部品(1)に影響を及ぼす外部応力過負荷(2)の作用を補正するための方法であって、
少なくとも1つの磁場(3)と、
磁場センサ(6)とを有し、
少なくとも1つのコイル(4,5)が
前記磁場センサ(6)および/または前記強磁性部品(1)の周りに配置され、
少なくとも30ガウスの磁束密度を有する振動磁場を生成する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明の請求項1および請求項7に係る、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
英国特許公開第1,345,362号は、2つのゾーンを含む構造要素を有する構造における過剰な機械的応力を検出するための装置を開示しており、2つのゾーンは、当該構造が機械的応力を受けたときに相対変位を生じる。上記装置は、所定量の機械的応力が上記構造に印加されたときに表示システムを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁場センサの強磁性部品に作用する外部応力過負荷は、センサの出力信号に対して悪影響をもたらし得る。
【0005】
外部応力過負荷は、機械的応力に起因する場合がある。
【0006】
明らかに、外部応力過負荷は、上記に記載されていない他の理由にも起因し得る。
【0007】
したがって、外部応力過負荷によって強磁性部品に及ぼされる悪影響を相殺する装置および/または方法を利用できるようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、強磁性部品に作用する外部応力過負荷の作用を補正するための装置によって解決される。強磁性部品は、少なくとも1つの磁場を備える。装置は、磁場センサも備える。
【0009】
少なくとも1つのコイルが、磁場センサおよび/または強磁性部品の周りに配置されている。
【0010】
コイルは、振動磁場および少なくとも30ガウスの磁束密度を発生させる。
【0011】
[強磁性部品]
【0012】
製品関連の磁場および外部磁場のいずれもが、磁化体に対して動作関係にある。以下において、強磁性部品は磁化体であるとする。
【0013】
強磁性部品は、長尺体、例えば、円筒体、円錐テーパ体または軸であってもよい。
【0014】
強磁性部品は、少なくとも部分的に強磁性材料を備える。このような強磁性材料としては、ニッケル(Ni)部分またはクロム(Cr)部分を有する硬化性鋼が好ましい。しかしながら、他の強磁性材料も使用され得ることが理解される。
【0015】
強磁性部品は、駆動軸またはピットマンアーム軸として構成され得る。強磁性部品は、航空機、陸上車両または水上車両に配置されるのが好ましい。強磁性部品は、工業用装置または家庭用電化製品においても使用され得る。
【0016】
強磁性部品は、少なくとも1つの磁化領域を備え、当該磁化領域は、磁化が逆向きである磁気トラックを有し得る。
【0017】
簡略化のため、以下において、強磁性部品の磁化領域を、強磁性部品の磁場と称する。
【0018】
強磁性部品によって放射される磁場は、いわゆる材料中の応力を強磁性部品に印加することによって生成される。これは、例えば、トルクを印加することによって行うことができる。
【0019】
磁場は、磁場を発生させるために用いられる磁化の種類との協働によって得られる磁気弾性作用を示す。磁場は、異なる方法で強磁性部品に印加されてもよい。磁場は、磁場センサによって測定することができる。
【0020】
磁場変動は、製品関連の影響および外部の影響、いわゆる干渉の影響の両方によって得られる。
【0021】
[強磁性部品に外部応力を印加することにより、強磁性部品に対する応力の過負荷が引き起こされる]
【0022】
[外部応力]
【0023】
磁化された強磁性部品は、外部応力過負荷を受ける。
【0024】
以下において、外部応力過負荷という用語は、強磁性部品に作用する物理的応力過負荷を意味する。
【0025】
外部応力過負荷は、強磁性部品に対して軸方向または半径方向に作用し得る。
【0026】
強磁性部品に作用する外部応力過負荷は、強磁性部品を曲げ、かつ/または捻り、かつ/または引っ張り、かつ/または押すことによって生じ得る。
【0027】
外部応力過負荷は、強磁性部品を捩じることによって強磁性部品に掛けられるものとする。
【0028】
簡略化のため、強磁性部品に印加される外部応力過負荷は、以下において、トルクであるとする。
【0029】
言うまでもなく、強磁性部品に作用する外部応力過負荷は、強磁性部品に作用する他の任意の機械的影響によっても生じ得る。したがって、強磁性部品は、強磁性部品に対して外部応力過負荷を掛ける様々な他の物理的な動きを受け得る。
【0030】
[強磁性部品に対する外部応力過負荷の作用]
【0031】
強磁性部品に外部応力過負荷が掛かると、磁場および/または強磁性部品は、損傷を受けるかあるいは破壊される。
【0032】
換言すれば、強磁性部品に作用する外部応力過負荷は、強磁性部品の磁場の外乱および/または破壊をもたらす。
【0033】
強磁性部品の磁場が外部応力過負荷によって破壊されると、強磁性部品は、印加された応力によって生じる外部磁場を生成する一次センサとして機能するその能力を失う。
【0034】
強磁性部品に外部応力過負荷が掛かると、強磁性部品の磁場に作用する少なくとも30ガウスの磁束密度も生じ得る。
【0035】
物理単位であるガウスは、強磁性部品の磁束密度の測定値の単位を表す。
【0036】
磁束密度はまた、強磁性部品の相対運動における電荷の磁気影響も示す。
【0037】
[強磁性部品の磁場に対する、強磁性部品に作用する外部応力過負荷の作用]
【0038】
強磁性部品が外部応力過負荷による影響を受けると、強磁性部品の磁場は、損傷を受けるかあるいは破壊される。
【0039】
強磁性部品の磁場に対する作用は、
図1の座標系によって示すことができ、同図は、座標系のY軸に電流の電圧値(V)をmV(ミリボルト)で示している。
【0040】
座標系のX軸は、強磁性部品が外部応力過負荷に晒された後に当該強磁性部品に印加される磁場の磁束密度値をガウス(測定単位:ガウス)で示す。
【0041】
強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷により、座標系のX軸のゼロ点のY軸に対するずれおよび/またはオフセットが生じる。
【0042】
強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷により、曲線の勾配の変化も生じる。したがって、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷は、Y軸のmV値に対するX軸のガウス値を表す曲線の勾配が変化したことを示している。
【0043】
上記装置は、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を少なくとも1つのコイルによって補正する。
【0044】
[コイル]
【0045】
強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置は、少なくとも1つのコイルを提供する。
【0046】
このコイルは、強磁性部品の周りに巻回され、かつ/または磁場センサの周りに巻回されている。
【0047】
少なくとも1つのコイルは、好ましくは、ワイヤ巻線を含む。本発明の枠組みにおいてコイルについて言及される限り、当該コイルは、好ましくは、センサおよび一次磁化部分の周りに巻回されたワイヤである。
【0048】
本発明によれば、コイルは、電気を伝導するワイヤである。最も一般的には、コイルは銅で形成されている。
【0049】
コイルのワイヤは、鉄心を中心とした螺旋形状に形成されている。鉄心は、印加された応力を伝達するために用いられる磁化された強磁性部品である。本発明によれば、コイルの鉄心は、強磁性部品によって形成される。
【0050】
コイルは、強磁性部品(コア)と共にインダクタを形成する。
【0051】
コイルは、少なくとも30ガウスの磁束密度を形成する。
【0052】
コイルは、規則的な間隔で起動されてもよい。コイルは、全体的におよび/または規則的に起動されるか、あるいは、一度だけおよび/または特定の事象に応じて起動される。コイルは、手動で起動されてもよい。
【0053】
言うまでもなく、本発明に係るコイルは、システムの異常が発生するたびに起動されてもよい。
【0054】
磁場センサの周りに巻回され、かつ/または強磁性部品の周りに巻回されたコイルによって形成される少なくとも30ガウスの磁束密度の振動磁場は、軸方向の振動磁場が、強磁性部品に掛かる外部応力過負荷によって生じる強磁性部品の磁気外乱を正常な状態にリセットするという作用を有する。
【0055】
[振動磁場]
【0056】
本発明によれば、装置のコイルは、少なくとも30ガウスの磁束密度の振動磁場を備える。
【0057】
30ガウスの磁場を備えるコイルは、磁場センサの周りに巻回され、かつ/または強磁性部品の周りに巻回されている。
【0058】
コイルの振動磁場は、周期的な発振電子信号を生成する電子回路が存在することを示している。
【0059】
当該発振電子信号は、正弦波または方形波を有し得る。
【0060】
コイルの巻線数によっては、コイルは、30ガウスの磁場を形成するために大量の電力も大量の電圧も必要としない。
【0061】
30ガウスの磁場は、一般的な車両の12Vバッテリによって利用可能とされる電力によって形成することができる。
【0062】
30ガウスの振動磁場を形成する少なくとも1つのコイルは、磁場センサの周りに巻回され、かつ/または強磁性部品の周りに巻回されている。
【0063】
強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置は、上述のコイルを備える。
【0064】
強磁性部品の残留磁場変化によって引き起こされる外部応力過負荷を補正するのは、センサの周りに巻回され、かつ/または強磁性部品の周りに巻回されたコイルである。
【0065】
センサの周りに巻回され、かつ/または強磁性部品の周りに巻回されたコイルは、磁場センサの損なわれた感度およびオフセットを正常な状態に戻す。
【0066】
損なわれた感度およびオフセットは、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷に起因する。
【0067】
磁場センサの周りに配置され、かつ/または強磁性部品の周りに配置された少なくとも30ガウスの磁束密度の振動磁場は、座標系におけるY軸のmV値(電圧を表す)とX軸のガウス値(磁束密度を表す)との関係を正常な状態に修復する。
【0068】
座標系のX軸のガウス値のゼロ点のずれも修復される。
【0069】
センサの周りに巻回され、かつ/または強磁性部品の周りに巻回されたコイルの少なくとも30ガウスの磁束密度の振動磁場を配置することにより、センサの磁場が均一化される。したがって、強磁性部品および磁場センサを備える、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置の外乱信号値は、正常な状態に戻る。
【0070】
磁場センサおよび/または強磁性部品に対する応力過負荷の作用を補正し、かつ/または補償するコイルは、センサおよび/または強磁性部品の周りにも巻き付けられている。
【0071】
換言すれば、少なくとも30ガウスの磁束密度の振動磁場を形成する、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置は、強磁性部品に影響を及ぼした外部応力過負荷による外乱を受けた強磁性部品の磁場を再調整する。
【0072】
ゼロ点のずれは、強磁性部品の磁場に影響を及ぼす外部応力過負荷に起因する。このずれたゼロ点は、コイルによって元のゼロ点に戻される。コイルは、磁場センサの周りに配置され、かつ/または強磁性部品の周りに配置されている。
【0073】
また、
図1によると、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷に起因する、曲線(外部応力過負荷が強磁性部品に影響を及ぼす前のX軸のガウス値に対するY軸のmV値を表す)の勾配の変化は、元のコースに戻る。
【0074】
上記曲線の元のコースおよび/または元の勾配は、強磁性部品が外部応力過負荷による影響を受ける前の曲線のコースおよび/または勾配を表す。
【0075】
強磁性部品に影響を及ぼし、強磁性部品の磁場の変化および/または破壊および/または外乱をもたらした外部応力過負荷による作用は、センサおよび/または強磁性部品の周りにコイルの磁場が配置されることによって相殺される。
【0076】
[磁場センサ]
【0077】
磁場センサは、磁場を測定するために用いられる。以下において、磁場センサをセンサと称する。
【0078】
磁場センサは、磁束または磁場の強度を電気量に変換する。磁場センサは、非接触式で信頼性が高く摩耗の無いセンサであり、かなり低コストで製造が可能である。
【0079】
磁場センサは、圧力、充填レベル, 回転速度, 電流、回転運動、トルク、方向変化などの他の物理量の検出にしばしば用いられる。
【0080】
磁場センサとしては、特に、ホールセンサおよび磁気抵抗センサが挙げられる。
【0081】
いわゆるフラックスゲートセンサは、飽和コアプローブまたはフェルスタープローブとも呼ばれる場合がある。これらは高感度磁場センサである。
【0082】
磁気弾性技術は、材料の基本的な機械特性および磁気特性を用いて、様々なパラメータを測定する。測定値は、機械特性、例えば、磁化部品に対する外力の作用下でのせん断応力の変化に伴う、磁場特性の変化で構成される。
【0083】
この技術は、磁化リングやひずみゲージなどの追加の要素を部品に取り付ける代わりに、機械要素を直接磁化することによって適用される。
【0084】
磁化された要素の極近傍に位置する、センサを用いた高感度磁場コイルは、印加された力に比例する磁場特性の変化を特定する。これらの変化は、直線的であり、材料の弾性限度内で再現可能である。これらは、通常の適用条件下において正確である。
【0085】
磁場センサは、金属磁化体に作用する力の検出に用いられる。このような力は、例えば、磁化された軸に対してトルクを印加することによって生じ得る。
【0086】
これは、このような力が部品中の応力に対して影響を及ぼすからであり、当該力は、それぞれの磁化体の磁場の位置を変化させ、また、磁場センサによって検出され得る。
【0087】
少なくとも1つの磁場センサが磁化部品、例えば、ステアリング軸に対して半径方向に離隔して配置される場合、トルクなどの力が当該部品に印加される。
【0088】
磁場センサは、極小磁場を検出するための高感度測定装置である。
【0089】
磁場センサは、好ましくは、磁場検知コイルをベースとして動作する。磁場検知コイルセンサは、極小磁場を検出するための高感度測定装置である。
【0090】
本発明の意味での磁場センサとしては、例えば、ホールセンサを用いることができる。
【0091】
ただし、任意の適した磁場センサを本発明に従って用いてもよい。
【0092】
[磁場センサの感度]
【0093】
磁場センサの感度は、出力特性曲線の傾斜として定義される。
【0094】
換言すれば、センサの感度は、センサの検出可能な出力変化を形成する物理パラメータの最小入力として示され得る。
【0095】
[方法]
【0096】
本発明は、少なくとも1つの磁場および少なくとも1つの磁場センサを有する、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための方法を提供する。
【0097】
また、磁場センサおよび/または強磁性部品の周りに配置された少なくとも1つのコイルが存在している。コイルは、少なくとも30ガウスの磁束密度を有する振動磁場を発生させる。
【0098】
[本発明の使用例]
【0099】
強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置は、車両の予め定義されたシステムが始動されるたびに起動されてもよい。
【0100】
強磁性部品が外部応力過負荷に晒される危険性が発生するたびに、30ガウスの磁場を備える、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷を補正するための装置を用いることができる。したがって、強磁性部品の外部応力過負荷は、正常な状態に戻される。
【0101】
外部応力過負荷が強磁性部品に影響を及ぼすたびに、強磁性部品の磁場を表す信号は、磁場センサの動作範囲を超える。
【0102】
本発明は、車両のパワーステアリングシステムに用いることができる。車両は、その前輪が内側に回転不能な状態で、当該前輪を縁石に横付けして駐車される。運転者がハンドルを回転させて前輪を動かそうとすると、外部応力過負荷が上記ステアリングシステムの軸に作用する。
【0103】
強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷を補正するための装置は、車両のハンドルロックが起動された際にも用いることができる。車両の前輪を取り外そうとする整備士は、車輪のサスペンションからハブのタイヤを取り外すために大きな力を加える。
【0104】
本発明のさらなる実施形態および利点が以下に記載する図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【
図1】強磁性部品の磁場に対する作用を示す座標系である。同図は、座標系のY軸に電流の電圧値(V)をmV(ミリボルト)で示している。
【
図2】強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための装置を示す。
【
図3】外部磁場の影響下における、強磁性部品に影響を及ぼす外部応力過負荷の作用を補正するための上記装置を示す。
【実施例0106】
図2において、強磁性部品1に影響を及ぼす外部応力過負荷2の作用を補正するための装置8が示されている。
【0107】
強磁性部品1は、少なくとも1つの磁場3を有する。
【0108】
図2および
図3の断面図において、コイルが1つずつ示されており、コイルの上部断面4およびコイルの下部断面が示されている。両断面4および5はコイルを形成する。したがって、以下においては、コイルをコイル4,5と称する。
【0109】
図2および
図3に示されるコイル4,5は、磁場センサ6および強磁性部品1の両方の周りに配置されている。
【0110】
コイル4,5は、磁場(図示せず)を発生させる。
図2および
図3のそれぞれに示すコイル4,5の磁場は、振動磁場および少なくとも30ガウスの磁束密度を形成する。
【0111】
図3において、装置8の強磁性部品1は、少なくとも1つの磁場3を有する磁気アンテナの形態で示されている。
【0112】
強磁性部品1および/または強磁性部品1の磁場3は、当該強磁性部品1および/または強磁性部品1の磁場3に影響を及ぼす外部磁場影響2をもたらす外部磁場7の影響下で設定される。