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▶ クレイトン・ポリマーズ・リサーチ・ベー・フェーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098481
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】金属加工液組成物及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 105/22 20060101AFI20220624BHJP
   C10M 173/00 20060101ALI20220624BHJP
   C10M 101/02 20060101ALI20220624BHJP
   C10M 101/04 20060101ALI20220624BHJP
   C10N 40/20 20060101ALN20220624BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20220624BHJP
【FI】
C10M105/22
C10M173/00
C10M101/02
C10M101/04
C10N40:20
C10N30:00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205772
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】63/199,339
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519261770
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・リサーチ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロイド・ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ・ヘリツェン
(72)【発明者】
【氏名】ピーテル・エドゥアルト
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BB14A
4H104DA02A
4H104DA06A
4H104EA02A
4H104EA04A
4H104EA22A
4H104EA30A
4H104EB04
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB10
4H104EB11
4H104EB12
4H104EB13
4H104EB14
4H104EB16
4H104LA11
4H104PA21
(57)【要約】
【課題】環境に優しく、工作物の表面から物質を除去することによって生じる摩擦を低減し、工具と工作物との摩擦接触によって発生する熱を放散させるのに有効である金属加工液を提供すること。
【解決手段】本開示は、バイオベースの金属加工液(MWF)組成物及びその製造方法に関し、より詳細には、乳化安定性が向上した、バイオベースの潤滑剤を含む金属加工液に関する。MWF濃縮物における基油成分の少なくとも50重量%が、植物由来の液体脱炭酸ロジン酸油(「DCR」)である。DCRは、50~100重量%の、炭素数が18~20であり、1つ以上のC=C基を有し、GC-FID-MSによって測定されたm/z(質量/電荷)値が220~280であり、酸素含有量が5%未満であり、ASTM E28-18を用いて測定された酸価が50mg KOH/g未満である三環式化合物を含む。得られたMWFは、鉱油(例えばグループI又はグループII)のみを含むMWFと比較して同等又は良好な性能を有するものとして特徴づけられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油エマルジョンとして使用される金属加工液濃縮物であって、
濃縮物の総重量に対して5~90重量%の量の基油成分、
0.1~15重量%の量の典型的なアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤のいずれかから選択される乳化剤、並びに
0.1~15重量%の量の鹸化剤、pH緩衝剤、防腐剤、極圧EP添加剤、腐食防止剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤、脱泡剤、防錆剤、脱臭剤、染料、防かび剤、殺菌剤、抗酸化剤、乳化安定剤及び分散安定剤から選択される少なくとも1つの任意選択的な添加剤を含み、
基油成分は、基油成分の総重量に対して少なくとも50重量%の脱炭酸ロジン酸(DCR)を含み、残りの成分は、ナフテン油、パラフィン油、バイオベースの油及びそれらの混合物から選択され、
DCRは、
GC-FID-MSによって測定されたm/z(質量/電荷)が220~280であり、
酸素含有量が5%未満であり、
酸価が10mgKOH/g未満であり、
DCRは、
50重量%を超える、炭素数が18~20の三環式化合物及び多環式化合物、
55重量%を超える、芳香族及び脂環式としての三環式化合物、並びに
45重量%未満の、反応性二重結合(C=C基)としての三環式化合物を含む、金属加工液濃縮物。
【請求項2】
DCRが、いずれもDCRの総重量に対して25重量%を超える芳香族含有量、40重量%を超えるナフテン含有量、及び15重量%を超えるパラフィン含有量を有する、請求項1に記載の金属加工液濃縮物。
【請求項3】
DCRが、
40℃で20cStを超えるブルックフィールド粘度、
少なくとも5℃のアニリン点、
30℃未満の流動点、
0.05重量%未満の硫黄含有量、
3未満のガードナー色数、及び
160℃未満の引火点の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の金属加工液濃縮物。
【請求項4】
DCRにおける脂環式としての三環式化合物の量が30重量%を超える、請求項1に記載の金属加工液濃縮物。
【請求項5】
DCRにおける芳香族及び脂環式としての三環式化合物の量の合計が、DCRの総重量に対して60重量%を超える、請求項1~4のいずれかに記載の金属加工液濃縮物。
【請求項6】
反応性二重結合としての三環式化合物の量が、DCRの総重量に対して30重量%未満である、請求項1~4のいずれかに記載の金属加工液濃縮物。
【請求項7】
反応性二重結合DCRの量が、DCRの総重量に対して10重量%未満である、請求項1~4のいずれかに記載の金属加工液濃縮物。
【請求項8】
濃縮物が可溶化油濃縮物であり、基油成分の量が、濃縮物の総重量に対して40~90重量%である、請求項1~4のいずれかに記載の金属加工液濃縮物。
【請求項9】
濃縮物が半合成液濃縮物であり、基油成分の量が、濃縮物の総重量に対して5~40重量%である、請求項1~4のいずれかに記載の金属加工液濃縮物。
【請求項10】
基油成分が、基油成分の総重量に対して50重量%を超えるDCRを含み、残りがグループIの基油である、請求項1~4のいずれかに記載の金属加工液濃縮物。
【請求項11】
後に続く金属加工により、その金属から製品を作製するための、金属表面を調製する方法であって、
請求項1~4のいずれかに記載のMWF濃縮物を水で希釈して、水中油エマルジョンとしての金属加工液(MWF)を、水の濃度がMWFの総重量に対して80~99%になるように形成すること、及び
この水中油エマルジョンを実質的に連続的な層として金属表面上に塗布して、金属加工液の極薄膜を金属表面上に堆積させることを含む、方法。
【請求項12】
後に続く金属を加工により、その金属から製品を作製するための、金属表面を調製する方法であって、
濃縮物の総重量に対して5~90重量%の量の基油成分、
0.1~15重量%の量の典型的なアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤のいずれかから選択される乳化剤、並びに
0.1~15重量%の量の鹸化剤、pH緩衝剤、防腐剤、極圧EP添加剤、腐食防止剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤、脱泡剤、防錆剤、脱臭剤、染料、防かび剤、殺菌剤、抗酸化剤、乳化安定剤及び分散安定剤から選択される少なくとも1つの任意選択的な添加剤を含み、
基油成分は、基油成分の総重量に対して少なくとも50重量%の脱炭酸ロジン酸(DCR)を含み、残りの成分は、ナフテン油、パラフィン油、バイオベースの油及びそれらの混合物から選択され、
DCRは、
GC-FID-MSによって測定されたm/z(質量/電荷)が220~280であり、
酸素含有量が5%未満であり、
酸価が10mgKOH/g未満であり、
DCRは、
50重量%を超える、炭素数が18~20の三環式化合物及び多環式化合物、
55重量%を超える、芳香族及び脂環式としての三環式化合物、並びに
45重量%未満の、反応性二重結合(C=C基)としての三環式化合物を含む金属加工液濃縮物を提供することを含む、方法。
【請求項13】
DCRが、いずれもDCRの総重量に対して25重量%を超える芳香族含有量、40重量%を超えるナフテン含有量、及び15重量%を超えるパラフィン含有量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
DCRにおける脂環式としての三環式化合物の量が30重量%を超える、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
DCRが、
40℃で20cStを超えるブルックフィールド粘度、
少なくとも5℃のアニリン点、
30℃未満の流動点、
0.05重量%未満の硫黄含有量、
3未満のガードナー色数、及び
160℃未満の引火点の少なくとも1つを有する、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオベースの金属加工液(MWF)組成物及びその製造方法に関し、より詳細には、乳化安定性が向上した、脱炭酸ロジン酸を潤滑剤として含む金属加工液に関する。
【背景技術】
【0002】
切断及び粉砕などの金属加工処理では、加工効率を向上させ、工作物と、工作物を加工するための工具との摩擦を防止し、工具の寿命(正味)を延ばし、金属屑を除去するために金属加工油が使用される。そのような金属加工液としては、油性物質(基油)、例えば、鉱油、動物油、植物油又は合成油、水、及び界面活性化合物が挙げられる。鉱油を含有する金属加工液には、石油(化石)に由来すること、及び乳化して安定的なエマルジョンを形成することができることに関して産業上の課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
環境に優しく、工作物の表面から物質を除去することによって生じる摩擦を低減し、工具と工作物との摩擦接触によって発生する熱を放散させるのに有効である金属加工液が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、バイオベースの金属加工液濃縮物が提供される。金属加工液濃縮物は、濃縮物の総重量に対して5~90重量%の量の基油成分、0.1~15重量%の量の典型的なアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれかから選択される乳化剤、並びに0.1~15重量%の量の鹸化剤、pH緩衝剤、防腐剤、極圧EP添加剤、腐食防止剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤、脱泡剤、防錆剤、脱臭剤、染料、防かび剤、殺菌剤、抗酸化剤、乳化安定剤及び分散安定剤から選択される少なくとも1つの任意選択的な添加剤を含み、基油成分は、基油成分の総重量に対して少なくとも50重量%の脱炭酸ロジン酸(DCR)油を含有する。DCR油は、50~100重量%の、炭素数が18~20であり、1つ以上のC=C基を有し、GC-FID-MSによって測定されたm/z(質量/電荷)値が220~280であり、酸素含有量が5%未満であり、ASTM E28-18を用いて測定された酸価が50mg KOH/g未満である、三環式化合物を含む。
【0005】
別の態様において、後に続く金属加工により、製品を作製するための、金属表面を調製する方法が提供される。該方法は、MWF濃縮物を水で希釈して、水中油エマルジョンとしての金属加工液(MWF)を、水の濃度がMWFの総重量に対して80~99%になるように形成すること、及びこの水中油エマルジョンを実質的に連続的な層として金属表面上に塗布して、金属加工液の極薄膜を金属表面上に堆積させることを含む。DCR油は、50~100重量%の、炭素数が18~20であり、1つ以上のC=C基を有し、m/z(質量/電荷)値が220~280である、三環式化合物を含む。DCRは、50重量%を超える、炭素数が18~20の三環式化合物及び多環式化合物を含み、DCRにおける反応性二重結合DCR(C=C基)としての三環式化合物の量が、DCRの総重量に対して45重量%未満であり、DCRにおける芳香族DCR及び脂環式DCRとしての三環式化合物の量の合計が、DCRの総重量に対して55%を超える。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の用語は、明細書全体を通じて使用され、別段の指示がない限り以下の意味を有する。
【0007】
「[A、B及びCなどの群]の少なくとも1つ」若しくは「[A、B及びCなどの群]のいずれか」、又は「[A、B及びC]並びにそれらの組み合せから選択される」は、群の単一の要素、群の1つを超える要素、又は群の要素の組み合せを意味する。例えば、A、B及びCの少なくとも1つは、例えば、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、並びにA及びB、A及びC、B及びC、若しくはA、B及びC、又はA、B及びCの他のすべての組み合せを含む。別の例において、A及びBの少なくとも1つは、Aのみ、Bのみ、並びにA及びBを意味する。
【0008】
「A、B又はC」として提示された実施形態のリストは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B又はC」の実施形態を含むものとして解釈されるべきである。
【0009】
「脱イオン水」(DI水、DIW若しくは脱イオン水)又は脱塩水(DM水)は、ナトリウム、カルシウム、鉄及び銅のようなカチオン、並びに塩化物及び硫化物などのアニオンなどのほぼすべての無機イオンが除去された水である。
【0010】
「金属加工液」は、MWF、又は「金属加工組成物」、「金属除去液」、「切断液」又は「加工液」と区別なく用いられ得、工業的金属切断若しくは金属粉砕処理、又は最終目的物、例えばシリコンウェハ若しくは機械部品の形が金属若しくはシリコンの段階的除去を行うことによって、又は行わずに得られる半導体工業に使用できる組成物を指す。金属加工液は、機能の中でもとりわけ冷却及び潤滑のために使用される。
【0011】
「可溶化油」は、相当量の水を含有し、特殊添加剤を含む水中油として末端利用者に提供されるMWFを指す。可溶化油MWF濃縮物における油含有量は、40~90%の範囲であり、適用される最終MWFにおける油含有量は、約5~10重量%の範囲であり、典型的には利用者の場所において水で希釈される。
【0012】
「半合成液」は、5~40重量%の油を含有するMWF濃縮物を指し、利用者の場所において水で希釈される。
【0013】
重量%は、重量濃度を指す。
【0014】
密度は、ASTM D792-13に従って測定される。
【0015】
本開示は、バイオベースの金属加工液(「MWF」)組成物及びその製造方法に関し、より詳細には、乳化安定性が向上した、バイオベースの基油を含むMWFに関する。バイオベースの基油は、植物由来の脱炭酸ロジン酸(「DCR」)液体生成物である。
【0016】
水成分:金属加工液は、脱イオン水(DI水)、又は硬水、又はそれらの任意の組み合せであってもよい水層を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、かつ用途に応じて、(利用場所での)最終MWFにおける水の量は、最終MWFの総重量の80~99%、若しくは85~92%である、又は90%を超える、又は95%以下、若しくは99%以下である。
【0018】
主成分-基油としての脱炭酸ロジン酸(DCR):いくつかの実施形態において、MWFは、DCRを唯一の基油成分として(100%)、又は基油成分の50重量%を超えて、若しくは60重量%を超えて、若しくは70重量%を超えてDRCを含む。DCRは、粗製DCR、蒸留DCR、精製DCR(90%を超える純度)、又はそれらの混合物であり得る。粗製DCRは、色の向上及びイオウの低減等のために重質留分(10~15%)が除去されている蒸留DCRと組成がほぼ同様である。
【0019】
DCRは、高温でロジン酸を分解することによって製造される。ロジン酸は、通常、軟化点が例えば65~85℃の固体である。ロジン酸は、石油由来でなく、(松の木の)樹脂、(切り株の)樹木及びトールオイル(製紙副産物)の植物由来である。ロジン酸を完全に、又は部分的に脱炭酸して、脱炭酸ロジン酸(DCR又はDCR油)を形成することができる。
【0020】
DCRは、そのいくつかが、例えばC2030の一般分子式を有するモノカルボン酸を含む分子の混合物である。いくつかの実施形態において、DCRは、炭素数が18~20であり、1つ以上のC=C基を有し、GC-FID-MSにより測定されたm/z(質量/電荷)値が220~280、若しくは230~270、若しくは234~262、若しくは235~265である、又は230を超える、又は265未満の範囲である、三環式化合物及び多環式化合物を40~100重量%含むものとして特徴づけられる。m/zは、化合物の分子量(MW)を、DCRの場合は約1である電荷で除したものとして定義される。
【0021】
いくつかの実施形態において、DCRにおける芳香族化合物及び脂環式化合物としての三環式化合物の合計は、DCRの総重量の50重量%を超える、又は55重量%を超える、又は60重量%を超える、又は74重量%を超える、又は90重量%を超える。芳香族DCRは、MWが252又は256のDCR種と定義され、脂環式DCRは、MWが260又は262のDCR種と定義される。
【0022】
いくつかの実施形態において、脂環式DCRの量は、DCRの総重量に対して30重量%を超える、又は40重量%を超える、又は50重量%を超える、又は80重量%を超える。
【0023】
いくつかの実施形態において、反応性二重結合(C=C基)としての三環式化合物の総量は、DCRの総重量に対して45重量%未満、又は40重量%未満、又は30重量%未満、又は10重量%未満である。反応性C=C基は、MWが254及び258であるDCR種として定義される。
【0024】
いくつかの実施形態において、DCRは、5%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は0~1%の酸素含有量を有するものとして特徴づけられる。DCRにおける酸素含有量(%)は、酸素と炭素との比として、又は存在する酸素原子の合計を存在する炭素原子の合計で除したものとして算出され、酸素原子及び炭素原子の数は、元素分析により得られる。
【0025】
いくつかの実施形態において、DCRは、20℃における密度が0.9~1.0g/cm、若しくは0.91~0.99g/cm、若しくは0.92~0.98g/cm、若しくは0.93~0.97g/cm、若しくは0.94~0.96g/cmである、又は0.9g/cmを超える、又は1.1g/cm未満である。
【0026】
DCRは、ロジン酸より低い酸価(カルボン酸含有量)を有する。いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM 28-18を用いて測定された酸価が50mg KOH/g未満、又は45mg KOH/g未満、又は40mg KOH/g未満、又は35mg KOH/g未満、又は30mg KOH/g未満、又は25mg KOH/g未満、又は20mg KOH/g未満、又は15mg KOH/g未満、又は5mg KOH/g未満、又は2~30mg KOH/g、又は4~25mg KOH/g、又は5~20mg KOH/gである。
【0027】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D2140による芳香族含有量がDCRの総重量に対して30~60重量%、若しくは32~56重量%、若しくは35~54重量%、若しくは38~52重量%、若しくは40~50重量%である、又は30重量%を超える、又は45重量%未満である。
【0028】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D2140によるナフテン系含有量がDCRの総重量に対して40~60重量%、若しくは42~58重量%、若しくは45~55重量%、若しくは42~52重量%である、又は45重量%を超える、又は55重量%未満である。
【0029】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D2140によるパラフィン系含有量がDCRの総重量に対して20~35重量%、若しくは22~34重量%、若しくは24~32重量%、若しくは26~30重量%である、又は22重量%を超える、又は32重量%未満である。
【0030】
いくつかの実施形態において、DCRは、一部には分子量が比較的高いために、石油化学系基油と同等の粘度を有し、例えば、40℃において測定されるASTM D-445による粘度が20~50cSt、若しくは22~48cSt、若しくは25~45cSt、若しくは28~42cSt、若しくは30~40cStである、又は28cStを超える、又は45cSt未満である。
【0031】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D611によるアニリン点が5~40℃、若しくは10~25℃、若しくは13~29℃である、又は25℃未満である、又は8℃を超える。
【0032】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D97による流動点が-30~+10℃、若しくは-28~+8℃、若しくは-25~+5℃である、又は-25℃を超える、又は+5℃未満である。
【0033】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D92による引火点が140~160℃、若しくは142~158℃、若しくは144~156℃、若しくは146~154℃である、又は146℃を超える、又は154℃未満、若しくは160℃未満である。
【0034】
いくつかの実施形態において、DCRは、D2887に従って測定された沸点が235~390℃である、又は230℃を超える、又は400℃未満である。
【0035】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D6166によるガードナー色数が1.0~3.0、若しくは1.1~2.9、若しくは1.2~2.8、若しくは1.3~2.7、若しくは1.4~2.6、若しくは1.5~2.5である、又は1.2を超える、又は2.4未満、若しくは3.0未満である。
【0036】
いくつかの実施形態において、DCRは、ASTM D5453に従って測定された硫黄含有量が、DCRの総重量に対して0.05重量%未満、又は0.04重量%未満、又は0.03重量%未満、0.02重量%未満、若しくは0.01重量%未満、又は0.001重量%未満、又は40~200ppm、又は500ppm未満、若しくは100ppm未満である。
【0037】
いくつかの実施形態において、DCRは、VOCがDCRの総重量に対して5重量%未満、又は4.75重量%未満、又は4.5重量%未満、又は4.25重量%未満、又は4.0重量%未満、又は3.75重量%未満、又は3.5重量%未満、又は3.25重量%未満、又は3.0重量%未満、又は2.75重量%未満、又は2.5重量%未満、又は2.25重量%未満、又は2.0重量%未満、又は1.5重量%未満、又は1.0重量%未満、又は0.5重量%未満である。DCRのVOCは、0.01%以上で生成物に存在するすべてのVOCの重量%寄与率を合算することによって、EPA(環境保護庁)法24又はそれに相当する方法により測定される。
【0038】
半合成液MWFのいくつかの実施形態において、DCR油の量は、MWF濃縮物の総重量の5~40重量%である、又は5重量%を超える、若しくは30重量%を超える、若しくは35重量%を超える、又は45重量%未満の範囲である。
【0039】
可溶化油MWFについてのいくつかの実施形態において、DCRの量は、MWF濃縮物の総重量の40~90重量%である、又は55重量%を超える、若しくは60重量%を超える、若しくは65重量%を超える、又は85重量%未満の範囲である。
【0040】
任意選択的な基油成分:いくつかの実施形態において、基油成分として、DCRに加えて、少量の(異なる)油を使用できる。
【0041】
いくつかの実施形態において、当該追加的な基油は、グループI及び/又はグループIIの基油、例えばパラフィン基原油、中間原油又はナフテン系基原油、植物油(例えば大豆油等)、油脂に由来する短分枝鎖エステル(例えば、大豆に対するメチルエステル、オレイン酸イソプロピル及びオレイン酸トリメチロールプロパン等)、並びにこれらの蒸留物を精製することによって得られる精製油から選択される。
【0042】
(DCR以外の)追加的な基油が使用される場合は、その量は、基油の総量の50%未満である。半合成液のいくつかの実施形態において、使用される追加的な基油の量は、MWFの総重量の2~25%、又は20%未満、又は10%未満の範囲である。可溶化油についてのいくつかの実施形態において、追加的な基油が使用される場合は、その量は、MWF濃縮物の総重量の20~45重量%、又は40%未満、若しくは30%未満、若しくは20%未満の範囲である。
【0043】
いくつかの実施形態において、追加的な基油成分は、DCR:グループIの基油(基油の総重量として)の重量比が50:50~90:10の範囲のグループIの基油である。
【0044】
乳化剤成分:MWFは、少なくとも1つの乳化剤、好ましくは同種又は異種であり得る2つ以上の乳化剤(例えば乳化剤及び補助乳化剤)をさらに含む。乳化剤の選択は、水の量、並びに使用される油成分の量及び種類に依存する。乳化剤は、典型的なアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤のいずれかから選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、乳化剤成分は、両性化合物から選択される。例としては、アルキル-3-イミノジプロピオネート、アルキル-3-アミノ-プロピオネート、脂肪イミダゾリン及びベタイン、より具体的には1-ココ-5-ヒドロキシエチル-5-カルボキシメチルイミダゾリン、ドデシル-3-アラニン、N-ドデシル-N,N-ジメチルアミノ酢酸、及び2-トリメチルアミノラウリン酸分子内塩等が挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態において、乳化剤組成物は、オレイルアルコール、ノニルフェノール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール、ソルビタンモノラウレート、グリセロールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノステアレート、オレイン酸及びステアリン酸等のエチレンオキシド付加物などのアルコール、ポリオール、フェノール、カルボン酸及びカルボン酸エステルなどのエチレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態において、乳化剤組成物は、臭化セチルピリジウム、塩化ヘキサデシルモルホリニウム、二酢酸ジラウリルトリエチレンテトラミン、乳酸ジドデシルアミン、酢酸1-アミノ-2-ヘプタデセニルイミダゾリン、酢酸セチルアミン、酢酸オレイルアミン、及びエトキシル化された獣脂、ココナツ、ステアリル、オレイル又はダイズアミン等を含むカチオン化合物から選択される。有用なアニオン化合物としては、石油スルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアミン及びアンモニウムせっけん、アルカリ金属ジアルキルスルホスクシネート、硫酸化油、スルホン酸化油及びアルカリ金属アルキルスルフェート等が挙げられる。
【0048】
いくつかの実施形態において、乳化剤は、有機スルホネート、脂肪酸のエステル、ポリオキシエチレン酸、アルコール及びアルカノールアミド、並びにアルカノールアミン等の油溶性乳化剤であり、一般に後者が好ましい。例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はイソプロパノールアミンが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、水に50~100%溶解する乳化剤、例えばロジン酸エステルが使用される。一実施形態において、蒸留トールオイル(DTO)又はトールオイル脂肪酸(TOFA)が、主乳化剤、又は他の乳化剤(例えばスルホネート)と組み合わせられる補助乳化剤として使用される。
【0050】
乳化剤の量は、MWF濃縮物の総重量の0.1~15%、又は0.3%~12%、又は少なくとも10%の範囲である。
【0051】
任意選択的成分:金属加工液は、鹸化剤又は(pH)緩衝剤、防腐剤、極圧(EP)添加剤又は摩耗防止添加剤、腐食防止剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤、脱泡剤、防錆剤、脱臭剤、染料、防かび剤、殺菌剤、抗酸化剤、乳化安定剤又は分散安定剤等、脱臭剤、染料、防かび剤、殺菌剤から選択される1つ以上の成分を任意選択的に含む。
【0052】
鹸化剤/緩衝剤の例としては、アルカノールアミン、例えば一級、二級及び三級アルカノールアミン、アミノメチルプロパノール(AMP-95)、ジグリコールアミン(DGA)、モノエタノールアミン(MEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、ブチルエタノールアミン(NBEA)、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)、ジエタノールアミン(DEA)、ブチルジエタノールアミン(NBDEA)、トリエタノールアミン(TEA)、金属アルカリ水酸化物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、金属炭酸塩及び重炭酸塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び重炭酸カリウムトリエタノールアミン、並びにエチレンジアミン四酢酸が挙げられる。
【0053】
腐食防止剤の例としては、有機アミン、有機スルホネートの金属塩、石油オキシデート、有機ジアミン、脂肪アルコールの有機アミン縮合体、及び置換イミダゾリンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0054】
摩耗防止剤(AW、潤滑性向上剤)の例としては、有機酸が挙げられる。当該有機酸の例としては、カプリル酸、ペラゴン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸及びドデカンジオン酸が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態において、MWFは、ジチオリン酸亜鉛(ZDP)、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)、リン酸トリクリセル(TCP)、ハロカーボン(塩素化パラフィン)、グリセロールモノオレエート、ステアリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテルを含む非イオン界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのエステル、並びにsec-ブタノール、ブチルオキシトール又はシクロヘキサノールなどの揮発性アルコールなどの典型的なカップリング剤から選択される少なくとも1つの極圧(EP)/カップリング剤を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、その量は任意選択的な添加剤に応じて、MWF濃縮物の総重量の0.1~15重量%、若しくは10重量%未満である、又は0.5重量%を超える、又は5重量%未満、若しくは2重量%未満である。
【0057】
作製方法/用途:採用される基油(100%DCR、又はDCRと少なくとも1つの異なる基油との混合物)に応じて、成分を同時に又は特定の順序で混合して、濃縮物を形成することができる。いくつかの実施形態において、鹸化剤などの添加剤の添加の前に、腐食防止剤及び乳化剤などの添加剤が最初に混合され、次いで緩衝剤が混合される。
【0058】
使用に際して、次に、例えば切断、粉砕、打ち抜き、研磨、深絞り、絞り及び圧延などの金属加工処理に使用される高せん断ミキサーを使用して濃縮物を水で分散させることによって、所謂難加工材料を加工するための優れた潤滑性をもたらすMWFが製造される。
【0059】
特性:DCR(又はDCRと異なる基油との混合物)を基油成分として濃縮物から作製された金属加工液は、鉱油、例えばグループI又はグループIIの油のみから作製されたMWFと比較して、同等の、又はより良好な性能を示すものとして特徴づけられる。
【0060】
(基油成分の総量におけるDCRの量に基づいて)少なくとも50%のDCRを含む基油成分による実施形態において、作製されたMWFは、60℃で28日後でも優れた安定性を示す。高周波往復動リグ(HFRR)試験において、MWFは、ナフテン油の油中水エマルジョンによる対応するMWTと比較して、同等の膜厚及び摩擦係数を示した。水中油MWF液は、(以下に記載する)泡立ち試験による泡形成も最小限の50mm未満である。
【実施例0061】
実施例において、試料について以下の試験が実施された。
【0062】
潤滑性試験HFRR(高周波往復動リグ):ASTM D6079に従って、63%の膜厚及び0.104の摩擦係数の平均を報告する。これは、2つの接合物体間の電気抵抗を測定することによって実施される。無抵抗でゼロパーセント膜であり、高抵抗で100%である。
【0063】
安定性試験:各試料は、濃縮物及びエマルジョンの双方の初期安定性、遠心分離安定性、並びに60℃における長時間安定性について試験される。遠心分離安定性は、3000rpmで30分後に確認され、分離状態が観察される。
【0064】
泡立ち傾向:泡立ち試験では、250mLの目盛り付きシリンダ内の100mLのエマルジョンを1分間振動させた後、初期泡立ち高さ、及び1分間静置した後の泡立ち高さを測定した。
【0065】
粒径:ベックマンコールターのデルサナノ粒子分析装置を使用して粒子径を測定した。
【0066】
鉄屑腐食:ASTM4267に従って評価した。
【0067】
DCR:表1に示されている特性を有するクレイトンコーポレーションのDCRを例に使用した。
【0068】
【表1】
【0069】
ロジン油:比較例について、以下に示すように、当該技術分野で公知の実験手順によりロジン油を作製した。「AN-26」及び「AN-80」等におけるxxの表記は、(粗製)ロジン油試料の酸価を指す。PTSAは、p-トルエンスルホン酸を指し、PTSA/Sは、硫黄を含めたPTSAによる実験を指す。
【0070】
ロジン油AN-10(PTSA/S):ロジン酸を丸底フラスコ内で180℃に加熱し、次いで3.75重量%の硫黄を仕込んだ。硫黄を仕込んだ後、温度を上昇させ、230℃に維持した。4時間後、反応混合物に2重量%のPTSAを仕込み、温度を290℃に上昇させた。10mgKOH/gの酸価が得られるまで反応混合物を51時間にわたって290℃に維持した。
【0071】
ロジン油AN-80(PTSA/S):酸価が80mgKOH/gになるように反応混合物を1時間にわたって290℃に保持したこと以外はAN-10と同様にしてAN80を得た。
【0072】
ロジン油AN-80(熱):実験には、いかなる触媒、例えばPTSA/Sも使用しなかった。ロジン酸を40℃/時で320℃まで加熱し、80mgKOH/gに達するまで反応物を75時間にわたって320℃に保持した。
【0073】
他のロジン油:酸価が異なるロジン油試料、例えばAN-23(PTSA/S)、AN-26(PTSA/S)及びAN-37(熱)に対して異なる反応時間を用い、AN-6に対して異なる触媒(ヒドロリン)を用いたこと以外は、上記実験を繰り返した。これらの比較ロジン油は、例5A~5Eに使用されている。
【0074】
蒸留物の例:従来技術のロジン油試料及びDCR試料のいくつかを精製して、蒸留物試料を得た。粗製DCRの特性を以下の表2Aに示し、蒸留DCRの特性を以下の表2Bに示す。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
例1A~1F DI水における可溶化油MWF:表3に記載の成分を有する異なる濃縮物からMWF配合物を、表3のナフテン系基油を異なる基油に置き換えながら製造した。試料毎に56グラムの各濃縮物を644グラムのDI(脱イオン)水に分散させることによってMWF配合物を製造した。例の違いは、表4に示されるように基油成分及び比率であり、いくつかの例では、(酸価が約7mgKOH/gの)DCR及び鉱油系成分を有する。表4には、安定性の試験結果とともに、粒径、泡立ち傾向、潤滑性及び腐食性も示されている。
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
例2A~2F-DI水における半合成MWF:表5に記載の成分を有する濃縮物からMWF配合物を、異なる基油に置き換えながら製造した。試料毎に30グラムの濃縮物を345グラムのDI(脱イオン)水に分散させることによってMWF配合物を製造した。上記例と同様に、例の違いは、表6に示されるように基油成分及び比率であり、いくつかの例では、(酸価が約7mgKOH/gの)DCR及び鉱油系成分を有する。表6には、安定性の試験結果とともに、粒径、泡立ち傾向、潤滑性及び腐食性も示されている。
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
例3A~3F 硬水における可溶化油MWF:濃縮物を単なるDIに分散させる代わりに硬水(500ppmの塩化カルシウムを含むDI水)に分散させたこと以外は、可溶化油濃縮物配合物による例1A~1Fを繰り返した。表7には、安定性の試験結果、粒径、泡立ち傾向、潤滑性及び腐食性が示されている。
【0084】
【表8】
【0085】
例4A~4B:表3に記載の成分を有する異なる濃縮物からMWF配合物を、表3のナフテン系基油を異なるロジン油に置き換えながら製造した。試料毎に56グラムの各濃縮物を644グラムの硬水に分散させることによってMWF配合物を製造した。表8には、安定性の試験結果とともに、粒径、泡立ち傾向、潤滑性及び腐食性も示されている。
【0086】
【表9】
【0087】
例5B~5E:表3に記載の成分を有する異なる濃縮物からMWF配合物を、表3のナフテン系基油を異なるロジン油及び蒸留物に置き換えながら製造した。試料毎に56グラムの各濃縮物を644グラムの硬水に分散させることによってMWF配合物を製造した。表9には、安定性の試験結果、粒径、泡立ち傾向、潤滑性及び腐食性が示されている。
【0088】
【表10】
【0089】
例6A~6E:表3に記載の成分を有する異なる濃縮物からMWF配合物を、表3のナフテン系基油をオリーブ油、オレイン酸メチル及びオレイン酸イソプロピルに置き換えながら、644グラムの硬水に56グラムの各濃縮物を含めて製造した。表10には、安定性の試験結果とともに、粒径、泡立ち傾向、潤滑性及び腐食性も示されている。
【0090】
【表11】
【0091】
例7A~7F 硬水における半合成MWF:濃縮物を単なるDIに分散させる代わりに硬水(500ppmの塩化カルシウムを含むDI水)に分散させたこと以外は、半合成濃縮物配合物による例2A~2Fを繰り返した。表11には、安定性の試験結果、粒径、泡立ち傾向、潤滑性及び腐食性が示されている。
【0092】
【表12】
【0093】
例示したように、DCRを鉱油、例えばグループI又はグループIIのすべて又は一部に代えることができる。同じ配合物に使用すると安定した製品を製造しないグループIIの油に50%DCRを補充して、安定した製品を製造することができる。ナフテン油の50%をパラフィン油に代えても同じ改善がもたらされない。DI水の代わりに硬水で配合した場合にいくつかの差が認められるが、主に60℃における長期安定性に関しては、従来の油とDCRとの差は極めて小さい。
【0094】
本明細書では「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語を用いて様々な態様を説明したが、本開示のより具体的な態様を示すために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」に代えて「実質的に~からなる(consisting essentially of)」及び「~からなる(consisting of)」という用語を使用することができ、それらも開示される。
【外国語明細書】