(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098484
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】補強されたスポーク構造を有する非空気入りタイヤとホイールの組立体
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20220624BHJP
B29D 30/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B29D30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205829
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】63/128246
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/452076
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ジョーゼフ カーマイン レッティエリ
(72)【発明者】
【氏名】フランセスコ スポルテリ
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131AA30
3D131BA02
3D131BA07
3D131BA08
3D131BA18
3D131BB19
3D131BC05
3D131BC23
3D131BC51
3D131CC03
4F215AH20
4F215VC08
4F215VL27
4F215VL31
4F215VP37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空気膨張の必要性がなく、空気入りタイヤの全ての特徴を有する改良された非空気入りタイヤのための、非空気入りタイヤとホイールの組立体、および非空気入りタイヤとホイールの組立体のための補強スポーク構造を形成する方法を提供する。
【解決手段】第1の態様において、非空気入りタイヤとホイールの組立体を提供し、地面に接触するトレッド部とシアバンドとを有する外側環状リング406と、1つ以上のスポークディスク400とを含み、各スポークディスクはシアバンドに接続され、各スポークディスクは少なくとも2つのスポークを有し、各スポークは第1のレッグ410、450と第2のレッグ420、440とを有し、連続的な補強ストリップが、第1のレッグおよび第2のレッグに受け入れられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気入りタイヤとホイールの組立体であって、
地面に接触するトレッド部とシアバンドとを有する外側環状リングと、1つ以上のスポークディスクとを含み、
各スポークディスクは前記シアバンドに接続され、各スポークディスクは少なくとも2つのスポークを有し、各スポークは第1のレッグと第2のレッグとを有し、連続的な補強ストリップが、前記第1のレッグおよび前記第2のレッグに受け入れられていることを特徴とする、非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項2】
前記第1のレッグおよび前記第2のレッグは、連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項3】
前記スポークディスクは外側ハブと内側ハブとを有し、前記連続的な補強ストリップは、前記少なくとも2つのスポークのスポークレッグに沿って、前記外側ハブから前記内側ハブへ巻き付けられることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項4】
前記連続的な補強ストリップは、第1のスポークの第1のレッグから隣接するスポークの第2のレッグへ巻き付けられることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項5】
前記連続的な補強ストリップは、内側ハブの一部に沿って円周方向に延びることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項6】
前記連続的な補強ストリップは、外側ハブの一部に沿って円周方向に延びることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項7】
前記連続的な補強ストリップは、第1の軸方向位置に第1の連続的な補強層を形成し、第2の軸方向位置に第2の連続的な補強層を形成することを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項8】
前記連続的な補強ストリップは、ガラス、炭素、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、または、繊維の混合物である、ことを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項9】
前記第1および第2のスポークレッグは、X形状のスポークを形成するように連結されることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとホイールの組立体。
【請求項10】
非空気入りタイヤとホイールの組立体のための補強スポーク構造を形成する方法であって、
互いに離れた第1および第2の金型インサートを提供するステップと、補強構造を形成するために前記第1の金型インサートの周囲および前記第2の金型インサートの周囲に連続的な補強ストリップを巻き付けるステップと、前記補強構造を金型に挿入するステップと、その後スポーク構造を形成するために液状樹脂を射出成型するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記連続的なストリップは、前記第1および第2の金型インサートの周囲に数字の8の字形パターンで巻き付けられることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
補強されたスポークディスクを形成する方法であって、前記スポークディスクは内側ハブと外側ハブとを結合する複数のスポークを有し、前記方法は、
外側半径位置に配置された複数の第1の金型インサートを提供するステップと、
複数の第2の金型インサートを提供し、内側半径位置に沿って前記第2の金型インサートを配置するステップと、
前記複数の第1の金型インサートを前記第2の金型インサートと半径方向に整列させるステップと、を有し、
前記第1の金型インサートと前記第2の金型インサートとは外側壁を有しており、
前記方法はさらに、
連続的な補強ストリップを前記第1および第2の金型インサートの外側壁の周囲に交互に巻き付けるステップと、
前記補強構造を金型の中に挿入するステップと、
その後、補強されたスポーク構造を形成するために液状樹脂を射出成型するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記連続的なストリップは、内側半径位置から外側半径位置に巻き付けられることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記連続的なストリップは、前記第1および第2の金型インサートの壁の周囲に数字の8の字形パターンで巻き付けられることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記金型インサートの1つ以上の角は、丸められた縁部を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、車両タイヤおよび非空気入りタイヤに関し、より詳細には、非空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、1世紀以上にわたって車両の移動のために選ばれた解決策である。空気入りタイヤは引張り構造である。空気入りタイヤは、空気入りタイヤを今日、支配的にする少なくとも4つの特徴を有している。空気入りタイヤは、タイヤ構造の全てが荷重を担うことに関与するので、荷重を担うことにおいて効率的である。空気入りタイヤはまた、低い接触圧力を有し、その結果、車両の荷重の分布により路上の摩耗がより少なくなるので望ましい。また、空気入りタイヤは剛性も低く、車両において快適な乗り心地を確保する。空気入りタイヤの主な欠点は、圧縮流体を必要とすることである。従来の空気入りタイヤは、膨張圧力を完全に失った後、役に立たないものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
膨張圧力なしで作動するように設計されたタイヤは、空気入りタイヤに関連する多くの問題と妥協を排除することができる。圧力維持も圧力監視も不要である。現在まで、ソリッドタイヤまたは他のエラストマー構造のような構造的に支持されたタイヤは、従来の空気入りタイヤから要求される性能レベルを提供していなかった。空気入りタイヤのような性能を果たす構造的に支持されたタイヤの解決策は、望ましい改善であろう。
【0004】
非空気入りタイヤは、通常、その荷重支持効率によって定義される。「ボトムローダ」は、本質的に、ハブの下方の構造物の部分に荷重の大多数を担う剛構造である。「トップローダ」は、構造物の全てが荷重を担うことに関与するように設計されている。このようにトップローダはボトムローダに比べて荷重支持効率が高く、少ない質量の設計が可能である。
【0005】
このように、空気膨張の必要性という欠点がなく、空気入りタイヤの全ての特徴を有する改良された非空気入りタイヤが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の態様において、非空気入りタイヤとホイールの組立体を提供し、地面に接触するトレッド部とシアバンドとを有する外側環状リングと、1つ以上のスポークディスクとを含み、各スポークディスクは前記シアバンドに接続され、各スポークディスクは少なくとも2つのスポークを有し、各スポークは第1のレッグと第2のレッグとを有し、連続的な補強ストリップが、前記第1のレッグおよび前記第2のレッグに受け入れられている。
本発明は、以下の説明および添付の図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の非空気入りタイヤおよびホイールの組立体の斜視図である。
【
図2】
図1の非空気入りタイヤおよびホイールの組立体の正面図である。
【
図3】
図1の非空気入りタイヤおよびホイールの組立体の断面図である。
【
図4】
図1の非空気入りタイヤおよびホイールの組立体のスポーク構造のセクターの正面図である。
【
図5A】
図4のスポーク構造のセクターの正面図であり、スポーク構造の補強材の第1の層(黒色で示される)のパターンレイアウトを示す図である。
【
図5B】
図4のスポーク構造のセクターの正面図であり、スポーク構造の補強材の第1の層(黒色で示される)および第3の層(緑色で示される)のパターンレイアウトを示す図である。
【
図6A】
図4のスポーク構造のセクターの正面図であり、スポーク構造の補強材の第1の層(黒色で示される)および第2の層(黄色で示される)のパターンレイアウトを示す図である。
【
図6B】
図4のスポーク構造のセクターの正面図であり、スポーク構造の補強材の第2の層(黄色で示される)および第4の層(紫色で示される)のパターンレイアウトを示す図である。
【
図7A】第1および第2の金型インサートの配置を示す成型Xスポーク部分を示す図である。
【
図7B】成型前の第1および第2の金型インサートおよび補強巻線レイアップの正面図を示す。
【
図7C】成型前の第1および第2の金型インサートおよび補強巻線レイアップの側面図を示す。
【
図8A】第1および第2の金型インサート上の巻き線パターンを示す図である。
【
図8B】金型の中への金型インサートの配置を示す図である。
【
図10A】金型内でXスポーク部分を成型するための第1および第2の金型インサートの第2の実施形態を示す図である。
【
図10B】成型前の第1および第2の金型インサートおよび補強巻線レイアップの正面図である。
【
図10C】成型前の第1および第2の金型インサートおよび補強巻線レイアップの拡大図である。
【
図11A】金型内でXスポーク部分を成型するための第1および第2の金型インサートの第3の実施形態を示す図である。
【
図11B】成型前の第1および第2の金型インサートおよび補強巻線レイアップを保持するための外側足場構造を示す正面図である。
【
図11C】補強巻線の外側足場構造を示す図である。
【
図12A】様々な補強材に対する荷重対変位を示す図である。
【
図12B】圧縮荷重下のスポーク部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(定義)
本説明では、以下の用語を以下のように定義する。
【0009】
「軸方向」とは、使用中にホイールが回転する軸と平行な方向を意味する。
【0010】
「円周方向」とは、ホイールの円周によって画定される方向、または軸周りのホイールの回転の方向を意味する。
【0011】
「赤道面」とは、タイヤの中心線を通るタイヤの回転軸に垂直な平面を意味する。
【0012】
「子午面」とは、タイヤの回転軸に平行で、前記軸から半径方向外側に延在する平面を意味する。
【0013】
「半径方向」とは、ホイールが回転する軸に垂直な方向を意味する。
【0014】
「ヒステリシス」とは、動的剪断歪10%、25℃で測定した動的損失正接を意味する。
【0015】
本発明の非空気入りタイヤとホイールの組立体100が
図1-
図3に示されている。本発明の非空気入りタイヤは、ホイール500に一体的に取り付けられた1つまたは複数のスポークディスク400を取り囲む外側環状トレッドおよびシアバンド200を含む。外側環状バンド200は、地面に係合するトレッド210を有する半径方向外側表面を含む。トレッド210は、従来の設計であってもよく、様々な条件におけるタイヤの性能を改善するために望まれているリブ、ブロック、ラグ、溝、およびサイプのようなトレッド設計の当業者に公知の様々な要素を含んでもよい。外側トレッドバンド200は、トレッドの半径方向内側に位置するシアバンド300を含み、本発明の非空気入りタイヤをトップローダ構造とすることができ、これによりシアバンドとスポークが効率的に荷重を担う。シアバンドはスポークディスク400と共に、スポークディスク400の、半径方向の引張り力が掛かった状態での剛性が、タイヤのばね定数に直接関係するように設計される。スポークディスク400は、タイヤ接地面内で座屈または変形するが、圧縮荷重を担うことができない構造であるように設計される。これにより、接地領域にない残りのスポークが、荷重を担うことが可能となる。上記の理由によりスポークに対するこの圧縮荷重を最小化し、シアバンドを曲げて道路の障害物を克服することが望まれる。近似的な荷重分布は、荷重の約90-100%がシアバンドと上部スポークによって担われることが望まれており、そのため、下部スポークは、荷重の実質的にゼロ、好ましくは10%未満を担うようになっている。
【0016】
シアバンドは、エラストマーのシアマトリックスによって分離された第1および第2の補強エラストマー層を含む。各補強層は、エラストマーコーティングに埋め込まれた平行な非伸長性の補強コードで形成することができる。補強コードは、スチール、アラミド、炭素繊維、または他の非伸長性の構造とすることができ、タイヤ赤道面に対して0から約±30度の範囲の角度をなすことができる。シアマトリックスは、好ましくは2.5から40MPaの範囲、より好ましくは、20から40MPaの範囲の剪断弾性率Gを有するエラストマー材料で形成される。
【0017】
(スポークディスクとホイール)
本発明の非空気入りタイヤは、さらに、少なくとも1つのスポークディスク400、および非空気入りタイヤの互いに対向する両端部で間隔を空けて配置することができる好ましくは少なくとも2つのディスクを含む。
図1に示すタイヤとホイールの組立体において、ホイール500に取り付けられた4つまたはそれ以上のスポークディスクを設けることができる。スポークディスクはシア層から伝達された荷重を担う機能を果たす。ディスクは、主に引張力と剪断力を受け、圧縮中は荷重を担わない。各スポークディスク400は環状であり、外側環状リング406および半径方向内側環状リング403を有する。各スポークディスク400は別々の環状ディスクを含むことができ、または組み立てを容易にするため、いくつかのセクター405からなることができる。
【0018】
スポークディスクのセクター405の正面図が
図4に示されている。セクターは、スポークディスクの円周の6分の1として示されている。セクター405は、複数のX形状のスポーク401を有する。各X形状のスポークは、部分410、450で形成される第1のレッグ402で形成され、第1のレッグ402は、部分420、440で形成される第2のレッグ404に結合される。第1のレッグ402は、接合点430において第2のレッグ404に結合される。各X形状のスポークは、部分410、420で形成された上部の三角形と、部分440、450で形成された下部の三角形とを有する。
【0019】
スポークディスクの荷重効率を改善するため、スポーク構造、好ましくは、各スポーク401に対する補強のための複数の層を提供することが望まれている。補強は、繊維ガラスのフィラメント、繊維ガラステープ、炭素繊維、炭素繊維テープ、アラミド、アラミドテープ、ナイロン繊維、PET繊維並びにアラミド、ナイロンおよびPET繊維から構成される混成繊維のストリップとすることができ、以下、纏めて「ストリップ」と呼ぶこととする。補強ストリップは、好ましくは約10mm以下の幅、および1mm以下の厚さを有する。
【0020】
図5Aは、連続的に巻き付けられたストリップの1つまたは複数の層を用いてスポークセクター405の各スポーク401を補強するための手順を図示する。補強ストリップ100の材料は、スポークセクター405の各スポーク401を補強するために使用されるだけでなく、1つのスポーク401から隣接したスポーク401へ延びている。ストリップの巻き付け層が複数存在することが好ましく、軸方向Aに層をなし、それによってスポークの軸方向の幅に沿って補強される。
【0021】
巻き付けパターンの一例が
図5-6に示されている。補強ストリップ100は
図5Aに示すように連続的に巻き付けられており、スポークセクターの外側直径部406から開始し、内側直径部403へ第1のスポークレッグ402に沿って半径方向内側に延び、そして、内側直径部403の内側円周をたどり続け、隣接したスポーク401の第2のスポークレッグ404へ渡る。ストリップは、第2のスポークレッグ404に沿って半径方向外側へ延び、そして、外側円周406に沿って円周方向に続き、次のスポークへ続き、そして、第3のスポークの第1のレッグ402に沿って半径方向内側に延び、このパターンを最後のスポークに達するまで繰り返す。
図5Aのパターンは、スポーク401の1つのスポーク部材だけをカバーすることに注意されたい。
図5Bに、
図5Aに示すパターンが第3の層として繰り返されているが、1つのXの分だけ周方向にスライドされている。
図6Aは、スポークの第2のスポーク部材をカバーするため連続的にストリップを巻き付けるための一例のパターンを図示する。
図6Aの点線矢印に示すように、このストリップは、
図5のストリップと反対向きの回転方向に進み、このストリップが自身と交差しないように軸線方向の異なる位置を進む。図示するように、ストリップは、第1のレッグに沿って半径方向内側に延び、内側円周に沿って延び、そして第2のレッグに沿って半径方向外側に延びる。巻き付けの回転方向は重要ではないことに注意されたい。
図6Bは、この同様の巻き付けパターンを示すが、1つのXの分だけ周方向にスライドされている。スライドの目的は、
図5Bおよび6Bに示すように、内側直径部(403)と外側直径部(406)のどの円周部分においても、補強を欠くことにならないようにすることである。
図5および6によって説明された巻き付けパターンは、スポークの全幅に達するまで軸方向に続けることができる。
【0022】
ストリップの経路は、スポークのレッグが連結される接合点に隙間を残さないようにすることが重要であり、ストリップの経路は自身と交差しないこともまた重要である。むしろ、テープは、スポークディスクの外側リングから内側リングへ荷重のための直接的な、途切れない経路を提供するべきである。
【0023】
図7Aは、補強した単一のXスポークの構造を図示し、Xスポークは、第1および第2のレッグで形成される。Xスポークに配置されているのは、第1および第2の金型インサート610、620である。
図7B、Cは、ストリップが各スポークだけに巻き付けられている第2の実施形態を図示する。
図7B、Cは、補強したXスポークを形成するために、金型インサートの周囲のストリップ巻き付け経路を図示し、さらに、異なる軸方向の位置のストリップ巻き付けを図示する。
図8Aは、隣接したストリップ巻き付けとの交差や横断(これはフレッチングを招く)を避けるため、各巻き付けの軸方向の位置がずらされたストリップの巻き付け経路を図示する。
図8Aはまた、金型インサートの角部640が丸められ、縁部から突出しており、そのため、ストリップが金型インサートの側壁630に実際には接触していない金型インサートをも図示する。ストリップが金型インサートの側壁に実際には接触していないということは、合成樹脂がストリップを被覆することを可能にし、そのため、ストリップはスポークレッグの中心に置かれ、外側表面に配置されない。
【0024】
図9A-9Fは、連続的に巻き付けられたストリップの複数の層を有する、射出成型された単一のXスポークを図示する。スポークレッグの円弧状の交差点が明確に示されている。
【0025】
巻き付けは、金型の内部で行われるか、または結果として巻き付けが金型に置かれるか、のどちらかで行うことができ、そのため、柔らかいポリマーがストリップを被覆することができる。
【0026】
図10B、Cは、金型インサートの第2の実施形態を図示し、各金型インサートの角は、ミッキーマウスの耳のように丸められている。
図10Cにおいて、例示的なストリップが巻き付けられ、突出している耳が、どのようにしてストリップを金型の壁に接触させないようにするかを図示している。
【0027】
図11A-Cは、金型インサートの第3の実施形態を図示し、取り外し可能な足場のような構造が、金型インサートの外側壁を囲んでいる。この足場のような構造は、丸められた角部、およびストリップが半径方向に保持された状態にしておくための溝を有する。
【0028】
スポークディスクは、好ましくは弾性材料、より好ましくは熱可塑性エラストマーで形成される。スポークディスクの材料は、以下の材料特性の1つ以上に基づいて選択される。ディスク材料の引張(ヤング)係数は、ISO 527-1/-2標準試験方法を用いて、好ましくは45MPaから650MPaの範囲であり、より好ましくは85MPaから300MPaの範囲である。ガラス転移温度は-25℃より低く、より好ましくは-35℃より低い。また、破断時の降伏歪は30%以上、より好ましくは40%以上である。また、破壊時の伸びは降伏歪以上であり、より好ましくは、200%以上である。熱撓み温度は、0.45MPaで40℃以上、より好ましくは0.45MPaで50℃以上である。ISO 179/ISO 180試験方法を用いた23℃でのアイゾッドおよびシャルピー切欠試験で、破壊は生じない。ディスクに適した2つの材料は、DSMプロダクツによって市販されており、ARNITEL PL420HおよびARNITEL PL461の商標名で販売されている。
【0029】
本明細書に提供される説明に照らして本発明の変形が可能である。本発明を説明する目的で、特定の代表実施例および詳細を示したが、本発明の範囲から逸脱することなく、その中で種々の変更および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、以下の付属請求項によって定義されるように、本発明の全範囲内であると説明される特定の実施例において変更が行われ得ることを理解されたい。
【外国語明細書】