(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098538
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】型締機、それを備えたブロー成形機、及びブロー成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/56 20060101AFI20220627BHJP
B29C 33/22 20060101ALI20220627BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B29C49/56
B29C33/22
B29C49/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211961
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長井 峻
【テーマコード(参考)】
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
4F202CA15
4F202CA30
4F202CB01
4F202CL01
4F202CL22
4F202CL39
4F202CL40
4F202CL42
4F202CL46
4F202CL47
4F202CL50
4F208LA07
4F208LB01
4F208LD16
4F208LG22
4F208LJ09
(57)【要約】
【課題】例えばブロー成形機等に好適であって、良質な型締機を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る型締機は、第1及び第2の金型を閉めた際、第1及び第2の金型を開閉する直動機構を駆動させたまま第1及び第2の金型を互いに押圧させた後、直動機構が動くことを防止するブレーキを作動させ、第1及び第2の金型が互いに押圧した状態を保持する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金型を支持する第1の可動プラテンと、
前記第1の金型と対向する第2の金型を支持する第2の可動プラテンと、
前記第1及び第2の可動プラテンをスライドさせて、前記第1及び第2の金型を開閉する直動機構と、
前記直動機構が動くことを防止するブレーキと、を備え、
前記第1及び第2の金型を閉めた際、前記直動機構を駆動させたまま前記第1及び第2の金型を互いに押圧させた後、前記ブレーキを作動させ、前記第1及び第2の金型が互いに押圧した状態を保持する、
型締機。
【請求項2】
前記第2の可動プラテンに対して前記第1の可動プラテンと反対側に配置されると共に、前記第1の可動プラテンに固定された第3の可動プラテンをさらに備え、
前記直動機構は、
前記第2の可動プラテンと前記第3の可動プラテンとを連結すると共に、前記第3の可動プラテンを前記第2の可動プラテンに対して相対的にスライドさせる、
請求項1に記載の型締機。
【請求項3】
前記直動機構は、
一端が前記第2の可動プラテンに固定されると共に、前記第3の可動プラテンに向かって前記第1及び第2の金型の開閉方向に延設されたボールネジと、
前記ボールネジに螺合されると共に、前記第3の可動プラテンに回転可能に固定されたナットと、を含む、
請求項2に記載の型締機。
【請求項4】
前記ブレーキが、電磁ブレーキである、
請求項1に記載の型締機。
【請求項5】
前記直動機構を複数備えた、
請求項1に記載の型締機。
【請求項6】
前記直動機構が、ラックアンドピニオン機構である、
請求項1に記載の型締機。
【請求項7】
前記第2の可動プラテンと前記第3の可動プラテンとを互いに反対向きに同期してスライドさせる同期装置をさらに備えた、
請求項2に記載の型締機。
【請求項8】
前記同期装置は、
ピニオンと、
前記ピニオンと噛合すると共に、前記第1及び第2の金型の開閉方向に延設されて前記第3の可動プラテンに固定された第1のラックと、
前記ピニオンと噛合すると共に、前記開閉方向に延設されて前記第2の可動プラテンに固定された第2のラックと、を備えたラックアンドピニオン機構である、
請求項7に記載の型締機。
【請求項9】
前記同期装置が、前記直動機構を兼ねる、
請求項7に記載の型締機。
【請求項10】
溶融樹脂を押し出す押出機と、
前記押出機に連結され、前記溶融樹脂からパリソンを成形するヘッドと、
前記ヘッドから押し出された前記パリソンを互いに対向する第1及び第2の金型によって挟み込むと共に、挟み込んだ前記パリソンにガスを吹き込む型締機と、を備え、
前記型締機が、
前記第1の金型を支持する第1の可動プラテンと、
前記第2の金型を支持する第2の可動プラテンと、
前記第1及び第2の可動プラテンをスライドさせて、前記第1及び第2の金型を開閉する直動機構と、
前記直動機構が動くことを防止するブレーキと、を備え、
前記第1及び第2の金型を閉めた際、前記直動機構を駆動させたまま前記第1及び第2の金型を互いに押圧させた後、前記ブレーキを作動させ、前記第1及び第2の金型が互いに押圧した状態を保持する、
ブロー成形機。
【請求項11】
前記第2の可動プラテンに対して前記第1の可動プラテンと反対側に配置されると共に、前記第1の可動プラテンに固定された第3の可動プラテンをさらに備え、
前記直動機構は、
前記第2の可動プラテンと前記第3の可動プラテンとを連結すると共に、前記第3の可動プラテンを前記第2の可動プラテンに対して相対的にスライドさせる、
請求項10に記載のブロー成形機。
【請求項12】
前記直動機構は、
一端が前記第2の可動プラテンに固定されると共に、前記第3の可動プラテンに向かって前記第1及び第2の金型の開閉方向に延設されたボールネジと、
前記ボールネジに螺合されると共に、前記第3の可動プラテンに回転可能に固定されたナットと、を含む、
請求項11に記載のブロー成形機。
【請求項13】
前記ブレーキが、電磁ブレーキである、
請求項10に記載のブロー成形機。
【請求項14】
前記直動機構を複数備えた、
請求項10に記載のブロー成形機。
【請求項15】
前記直動機構が、ラックアンドピニオン機構である、
請求項10に記載のブロー成形機。
【請求項16】
前記第2の可動プラテンと前記第3の可動プラテンとを互いに反対方向に同期してスライドさせる同期装置をさらに備えた、
請求項11に記載のブロー成形機。
【請求項17】
前記同期装置は、
ピニオンと、
前記ピニオンと噛合すると共に、前記第1及び第2の金型の開閉方向に延設されて前記第3の可動プラテンに固定された第1のラックと、
前記ピニオンと噛合すると共に、前記開閉方向に延設されて前記第2の可動プラテンに固定された第2のラックと、を備えたラックアンドピニオン機構である、
請求項16に記載のブロー成形機。
【請求項18】
前記同期装置が、前記直動機構を兼ねる、
請求項16に記載のブロー成形機。
【請求項19】
(a)溶融樹脂からパリソンを押出成形する工程と、
(b)押出成形された前記パリソンを互いに対向する第1及び第2の金型により挟み込むと共に、挟み込んだ前記パリソンにガスを吹き込む工程と、を備え、
工程(b)において、前記第1及び第2の金型を閉めて、前記パリソンを前記第1及び第2の金型により挟み込んだ際、
前記第1及び第2の金型をスライドさせる直動機構を駆動させたまま前記第1及び第2の金型を互いに押圧させた後、
前記直動機構が動くことを防止するブレーキを作動させ、前記第1及び第2の金型が互いに押圧した状態を保持する、
ブロー成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は型締機、それを備えたブロー成形機、及びブロー成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形機(「中空成形機」とも呼ばれる)では、押出機に連結されたヘッドから押し出された筒状のパリソンを一対の金型で挟み込み、金型内のパリソン内部にエアを吹き込むことによりブロー成形品を製造する。このようなブロー成形機は、上記一対の金型をスライドさせて開閉する型締機を備えている。
例えば、特許文献1~3には、ブロー成形機用の型締機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003-513819号公報
【特許文献2】特開平6-226826号公報
【特許文献3】特開平10-193445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、一対の金型をスライドさせて開閉する型締機の開発に際し、様々な課題を見出した。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る型締機は、第1及び第2の金型を閉めた際、第1及び第2の金型を開閉する直動機構を駆動することによって、第1及び第2の金型を互いに押圧させた後、直動機構が動くことを防止するブレーキを作動させ、第1及び第2の金型が互いに押圧した状態を保持する。
【発明の効果】
【0006】
前記一実施形態によれば、例えばブロー成形機等に好適であって、良質な型締機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係るブロー成形機の概要を示す模式的断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るブロー成形機の概要を示す模式的断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るブロー成形機の概要を示す模式的断面図である。
【
図4】車両用のプラスチック燃料タンクの外観写真である。
【
図9】
図5に示した金型D1、D2が開いた状態から
図8に示した金型D1、D2が閉まった状態に到るまでの金型D1、D2の速度の時間変化を示したグラフである。
【
図10】第1の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
【
図11】第1の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
【
図12】第1の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
【
図13】
図10に示した金型D1、D2が開いた状態から
図12に示した金型D1、D2が閉まった状態に到るまでの金型D1、D2の速度の時間変化を示したグラフである。
【
図14】第1の実施形態の変形例に係る型締機の模式的断面図である。
【
図15】第2の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
【
図16】第3の実施形態に係る型締機の模式的側面図である。
【
図17】第4の実施形態に係る型締機の模式的側面図である。
【
図18】第5の実施形態に係る型締機の模式的側面図である。
【
図19】第6の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
【
図20】第7の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0009】
(第1の実施形態)
<ブロー成形機の全体構成>
まず、
図1~3を参照して、第1の実施形態に係るブロー成形機の全体構成について説明する。
図1~3は、第1の実施形態に係るブロー成形機の概要を示す模式的断面図である。第1の実施形態に係るブロー成形機は、パリソンを押出成形する押出ブロー成形機である。
なお、当然のことながら、
図1及びその他の図面に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正方向が鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0010】
図1に示すように、第1の実施形態に係るブロー成形機1は、押出機10、ヘッド20、パリソン肉厚調整装置30、型締機40を備えている。詳細には後述するように、第1の実施形態に係るブロー成形機は、パリソン肉厚調整装置30を有しているため、製造するブロー成形品の形状に応じて、パリソン断面の肉厚を逐次調整することができる。そのため、ブロー成形品の駄肉を削減し、軽量化することができる。従って、第1の実施形態に係るブロー成形機は、軽量化が特に要求される車両用のプラスチック燃料タンク(PFT:Plastic Fuel Tank)をブロー成形品として製造する用途に好適である。
【0011】
なお、第1の実施形態に係るブロー成形機によって製造されるプラスチック製のブロー成形品は、燃料タンク以外でもよい。例えば、ブロー成形品として、ドラム缶、中容量コンテナ(IBC:Intermediate Bulk Containers)、工業用薬品ボトル、バッグインボックス(BIB:Bag-In-Box)、ダクト、自動車用のスポイラー等を列挙できる。
【0012】
押出機10はスクリュー式押出機であって、x軸方向に延設されたシリンダ11の内部にx軸方向に延設されたスクリュー12が収容されている。シリンダ11のx軸負方向側端部の上側に、パリソン53の原料である樹脂ペレット51を投入するためのホッパ13が設けられている。ホッパ13から供給された樹脂ペレット51は、回転するスクリュー12の根元部から先端部に向かって、すなわちx軸正方向に押し出される。樹脂ペレット51は、シリンダ11の内部において回転するスクリュー12によって圧縮され、溶融樹脂52に変化する。
なお、図示しないが、スクリュー12には、例えば、減速機を介してモータが駆動源として連結される。
【0013】
ヘッド20は、押出機10のx軸正方向側端部に設けられたアダプタ14を介して、押出機10に連結されている。ヘッド本体21は、鉛直方向(z軸方向)に延設された円筒状の筐体であり、上端部の側面において押出機10に連結されている。ヘッド本体21の上側には、後述するパリソン肉厚調整装置30のコア32を上下動させ、溶融樹脂52の吐出量を調整する吐出量調整装置22が設けられている。ヘッド本体21の内部には、吐出量調整装置22とパリソン肉厚調整装置30のコア32とを連結するように鉛直方向に延設されたスピンドル23が収容されている。そして、ヘッド本体21の下端部には、パリソン肉厚調整装置30が設置されている。
【0014】
パリソン肉厚調整装置30は、円錐台状の貫通孔を有する略円柱状のダイ31、ダイ31の貫通孔に挿入される略円錐台状のコア32、及びダイ31の先端部の内周面に設けられたフレキシブルリング33を備えている。ダイ31とコア32との隙間が樹脂流路である。当該樹脂流路を通過した溶融樹脂52が筒状に成形されて、吐出口からパリソン53として押し出される。
【0015】
ここで、フレキシブルリング33とコア32とにより吐出口が規定される。すなわち、パリソン53の断面形状は、フレキシブルリング33と、コア32とによって規定される。吐出量調整装置22によりコア32を上下動させると、吐出口におけるコア32の径が変化する。そのため、フレキシブルリング33とコア32との間隔すなわちパリソン53の断面の肉厚が変化する。この肉厚の変化は、パリソン53の長手方向における変化である。
【0016】
さらに、フレキシブルリング33を複数の変形用アクチュエータ(不図示)によって様々な形状に変形させることにより、筒状のパリソン53の断面の肉厚を円周方向において変化させることができる。
このように、製造するブロー成形品の形状に応じて、パリソン断面の肉厚を逐次調整ながらパリソン53を押出成形する。このような構成により、製造するブロー成形品の駄肉を削減し、軽量化することができる。
【0017】
図1に示すように、押出機10からx軸正方向に押し出された溶融樹脂52は、ヘッド20において鉛直下向きに流動方向を変化させ、パリソン肉厚調整装置30からパリソン53として押し出される。
【0018】
型締機40は、一対の金型D1、D2、及び一対の可動プラテンMP1、MP2を備えている。金型D1、D2は、それぞれ可動プラテンMP1、MP2に固定されている。可動プラテンMP1、MP2がx軸方向において反対向きにスライドすることにより、金型D1、D2が開閉する。
図1、
図3は、金型D1、D2が開いた状態を示しており、
図2は、金型D1、D2が閉まった状態を示している。
【0019】
図1に示すように、ブロー成形機1では、金型D1、D2が開いた状態で、パリソン53が鉛直下向きに所定量押し出される。
その後、
図2に示すように、
図1においてパリソン肉厚調整装置30から押し出されたパリソン53を一対の金型D1、D2で挟み込み、挟み込まれたパリソン53の内部に冷却エアを吹き込むことにより、ブロー成形品54が製造される。図の例では、金型D1に設けられたブローピンBPからガス(例えば冷却エア)を吹き込む。
【0020】
図2に示すように、金型D1、D2が閉まった状態で、金型D1、D2がy軸負方向に移動し、パリソン53の押し出しが継続される。なお、金型D1、D2が閉まった状態で、y軸負方向に移動せず、パリソン53の押し出しを停止してもよい。
そして、
図3に示すように、金型D1、D2が開き、ブロー成形品54が取り出された後、金型D1、D2がy軸正方向に移動して元の位置に戻る。
【0021】
なお、ブロー成形品54は、例えば、上述の車両用のプラスチック燃料タンクである。
図3に示したブロー成形品54は単純化されている。
図4は、車両用のプラスチック燃料タンクの外観写真である。実際のプラスチック燃料タンクは多数の凹凸を有し、駄肉が発生し易い複雑な形状を有している。
【0022】
<比較例に係る型締機>
次に、
図5~
図8を参照して、発明者が事前に検討した比較例に係る型締機の詳細について説明する。
図5~
図8は、比較例に係る型締機の模式的断面図である。
図5~
図8に示すように、比較例に係る型締機400は、金型D1、D2、可動プラテンMP11~MP14、ボールネジBS、ナットNT、スクリュージャッキSJ、減速機RD、モータMT1、MT2、ゲートプレートGP、ゲートロッドGR、エアシリンダAC、及び同期装置SNを備えている。
なお、比較例に係る型締機400は、
図1~
図3に示した本実施形態に係る型締機40に対応する。また、
図5~
図8に示した右手系xyz座標は、
図1~
図3と一致している。
【0023】
まず、
図5~
図8を参照して、比較例に係る型締機400の各構成要素について説明する。
可動プラテンMP11~MP14は、いずれもベース部41上をx軸方向にスライド可能に設置されている。
図5に示すように、金型D1、D2は、それぞれ可動プラテンMP11、MP12に固定されている。可動プラテンMP11、MP12が、x軸方向において反対向きにスライドすることにより、金型D1、D2が開閉する。すなわち、x軸方向は、金型D1、D2の開閉方向である。ここで、
図5は、金型D1、D2が完全に開いた状態を示している。
【0024】
図5に示すように、可動プラテンMP13は、可動プラテンMP12に対して可動プラテンMP11と反対側に配置されている。さらに、可動プラテンMP13は、x軸方向に延設されたタイバーTBを介して、可動プラテンMP11に固定されている。そのため、可動プラテンMP11、MP13の間の距離L11は一定であり、可動プラテンMP11と可動プラテンMP13とは、同じ向きに等距離スライドする。
【0025】
図5に示すように、可動プラテンMP13には、ゲートロッドGRを挿通させる貫通孔THと、ボールネジBSを挿通させる貫通孔とが設けられている。そして、ボールネジBSを挿通させる貫通孔には、ボールネジBSと螺合されるナットNTが回転可能に固定されている。さらに、可動プラテンMP13には、ナットNTを回転駆動するモータMT1が設けられている。ナットNTは、ボールネジBSを挿通させるプーリーPL2に固定されている。プーリーPL2は、ベルトBLを介して、プーリーPL1に連結されている。プーリーPL1がモータMT1の回転軸に固定されている。そのため、モータMT1によって、ナットNTを回転駆動できる。
【0026】
また、
図6、
図7に示すように、可動プラテンMP13の可動プラテンMP12側には、ゲートプレートGPをz軸方向に移動させるエアシリンダACが固定されている。
図8に示すように、ゲートプレートGPは、ゲートロッドGRを挿通させる貫通孔THを塞ぐと共に、スクリュージャッキSJを駆動させる際、ゲートロッドGRの端面を支持する。
【0027】
図5に示すように、可動プラテンMP14は、可動プラテンMP12、MP13の間に配置されている。可動プラテンMP14は、スクリュージャッキSJを介して可動プラテンMP12に連結されている。ここで、スクリュージャッキSJを回転駆動することによって、可動プラテンMP12、MP14の間の距離L12を変化させることができる。スクリュージャッキSJは、ロッドを介して減速機RDに連結されている。そして、減速機RDは、モータMT2に連結されている。そのため、モータMT2によって、スクリュージャッキSJを回転駆動できる。
【0028】
他方、可動プラテンMP14の可動プラテンMP13側の側面には、x軸方向に延設されたボールネジBS及びゲートロッドGRのそれぞれの一端が固定されている。ボールネジBSは、可動プラテンMP13に回転可能に固定されたナットNTと螺合している。そのため、可動プラテンMP14は、ボールネジBSを介して可動プラテンMP13に連結されている。ここで、ナットNTを回転駆動することによって、可動プラテンMP13、MP14の間の距離を変化させることができる。
また、
図5に示す金型D1、D2が開いた状態では、ゲートロッドGRは、可動プラテンMP13の貫通孔THに挿通されている。
【0029】
同期装置SNは、可動プラテンMP12と可動プラテンMP13とをx軸方向において反対向きに同期してスライドさせる。
図5に示した同期装置SNは、ピニオンPN及びラックRC1、RC2を備えたラックアンドピニオン機構である。
【0030】
図5に示すように、ピニオンPNは、ベース部41に回転可能に固定されている。ラックRC1は、x軸方向に延設されてピニオンPNの上側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC1は、x軸負方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP13の底部に固定されている。すなわち、ラックRC1は、側面視においてL字状の形状を有している。ラックRC2は、x軸方向に延設されてピニオンPNの下側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC2は、x軸正方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP12の底部に固定されている。すなわち、ラックRC2も、側面視においてL字状の形状を有している。なお、
図5に示した同期装置SNのラックRC1、RC2の形状は、L字状に限定されない。
【0031】
ナットNTが回転し、可動プラテンMP12、MP13の間の距離が変化すると、ピニオンPNを起点として、可動プラテンMP12、MP13が互いに反対向きに等距離ずつ同期して移動する。
【0032】
<比較例に係る型締機の動作>
次に、
図5~
図9を参照して、比較例に係る型締機400の動作の詳細について説明する。
図9は、
図5に示した金型D1、D2が開いた状態から
図8に示した金型D1、D2が閉まった状態に到るまでの金型D1、D2の速度の時間変化を示したグラフである。すなわち、
図5~
図9を参照して、比較例に係る型締機400が閉まる動作について説明する。
【0033】
まず、
図9に示すように、ボールネジBSのナットNTを回転駆動することによって、金型D1、D2を高速移動させる。この工程は、
図5から
図6に移行する工程である。
図9の例では、金型D1、D2が、時刻0~1秒の間において100m/sまで加速し、時刻1~4秒の間において100m/sで等速移動する。
なお、
図9の時刻0秒において、閉まる動作を開始する。
【0034】
図5に示すように、ナットNTを回転駆動することによって、可動プラテンMP13と可動プラテンMP14との距離を大きくする。この際、可動プラテンMP13と可動プラテンMP12とが同期装置SNによって連結されているため、可動プラテンMP13はx軸負方向に移動し、可動プラテンMP14と共に可動プラテンMP12はx軸正方向に移動する。また、可動プラテンMP11は、可動プラテンMP13と共にx軸負方向に移動する。そのため、金型D1、D2が互いに近付く。この際、
図6に示すように、ゲートロッドGRは、可動プラテンMP13の貫通孔THから抜ける。
【0035】
次に、
図9に示すように、金型D1、D2を一旦停止させ、ゲートロック機構を作動させる。この工程は、
図6から
図7に移行する工程である。
図9の例では、金型D1、D2が、時刻4~5秒の間において100m/sから0m/sまで減速し、時刻5~7秒の間において停止する。
【0036】
図6、
図7に示すように、ゲートプレートGPを降下させ、ゲートロック機構を作動させる。すなわち、ゲートプレートGPによって、ゲートロッドGRの端面を支持するように、可動プラテンMP13の貫通孔THを塞ぐ。
【0037】
次に、
図9に示すように、スクリュージャッキSJを駆動することによって、金型D1、D2を徐行させる。この工程は、
図7から
図8に移行する工程である。
図9の例では、金型D1、D2が、時刻7~8秒の間において10m/sまで加速し、時刻8~10秒の間において10m/sで等速移動する。
【0038】
図7、
図8に示すように、スクリュージャッキSJを駆動すると、ゲートプレートGPにゲートロッドGRを押し当てつつ、可動プラテンMP12と可動プラテンMP14との距離が大きくなる。この際、可動プラテンMP13と可動プラテンMP12とが同期装置SNによって連結されているため、可動プラテンMP13は可動プラテンMP14と共にx軸負方向に移動し、可動プラテンMP12はx軸正方向に移動する。また、可動プラテンMP11は、可動プラテンMP13と共にx軸負方向に移動する。そのため、
図8に示すように、金型D1、D2が、互いに近付いて当接し、停止する。
【0039】
最後に、
図9に示すように、金型D1、D2を当接させて閉めた後も、スクリュージャッキSJを駆動し続ける。これよって、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。この工程は、
図8に示した工程である。
図9の例では、時刻10秒において、金型D1、D2が互いに当接し、停止した後も、スクリュージャッキSJを駆動し続ける。
なお、
図8に示した金型D1、D2が閉まった状態から
図5に示した金型D1、D2が開いた状態に到る開く動作は、上記閉まる動作の逆の動作である。
【0040】
以上に説明した通り、比較例に係る型締機400では、ボールネジBSを用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、比較例に係る型締機400では、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換えに時間を要し、生産効率に劣る。
また、比較例に係る型締機400では、金型D1、D2を当接させて閉めた後も、型締力を維持するためにスクリュージャッキSJを駆動し続けるため、消費電力が大きい。
【0041】
<第1の実施形態に係る型締機>
次に、
図10~
図12を参照して、第1の実施形態に係る型締機の詳細について説明する。
図10~
図12は、第1の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
図10~
図12に示すように、本実施形態に係る型締機40は、金型D1、D2、可動プラテンMP1~MP3、ボールネジBS1、ナットNT1、モータMT11、及び同期装置SNを備えている。
なお、
図10~
図12に示した右手系xyz座標は、
図1~
図3と一致している。
【0042】
ここで、
図10~
図12に示す可動プラテンMP1~MP3は、
図5~
図8に示す比較例に係る型締機400における可動プラテンMP11~MP13に対応する。また、ボールネジBS1、ナットNT1、モータMT11は、比較例に係る型締機400におけるボールネジBS、ナットNT、モータMT1にそれぞれ対応する。
【0043】
図10~
図12に示すように、本実施形態に係る型締機40は、
図5~
図8に示す可動プラテンMP14、スクリュージャッキSJ、減速機RD、モータMT2、ゲートプレートGP、ゲートロッドGR、及びエアシリンダACを備えていない。
他方、本実施形態に係る型締機40では、モータMT11がブレーキEB1を備えている。
【0044】
まず、
図10~
図12を参照して、比較例に係る型締機40の各構成要素について説明する。
可動プラテンMP1~MP3は、いずれもベース部41上をx軸方向にスライド可能に設置されている。
図10に示すように、金型D1、D2は、それぞれ可動プラテンMP1、MP2に固定されている。可動プラテンMP1、MP2が、x軸方向において反対向きにスライドすることにより、金型D1、D2が開閉する。すなわち、x軸方向は、金型D1、D2の開閉方向である。ここで、
図10は、金型D1、D2が完全に開いた状態を示している。
【0045】
図10に示すように、可動プラテンMP3は、可動プラテンMP2に対して可動プラテンMP1と反対側に配置されている。さらに、可動プラテンMP3は、x軸方向に延設されたタイバーTBを介して、可動プラテンMP1に固定されている。そのため、可動プラテンMP1、MP3の間の距離L1は一定であり、可動プラテンMP1と可動プラテンMP3とは、同じ向きに等距離スライドする。
【0046】
図10に示すように、可動プラテンMP3には、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔が設けられている。そして、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔には、ボールネジBS1と螺合されるナットNT1が回転可能に固定されている。なお、可動プラテンMP3には、
図5に示したゲートロッドGRを挿通させる貫通孔THは設けられていない。
【0047】
さらに、可動プラテンMP3には、ナットNT1を回転駆動するモータMT11が設けられている。ナットNT1は、ボールネジBS1を挿通させるプーリーPL21に固定されている。プーリーPL21は、ベルトBL1を介して、プーリーPL11に連結されている。プーリーPL11がモータMT11の回転軸に固定されている。そのため、モータMT11によって、ナットNT1を回転駆動できる。すなわち、モータMT11は、ボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構を駆動する駆動源である。
【0048】
本実施形態に係る型締機40は、直動機構が動くことを防止するブレーキEB1を備えている。詳細には後述するように、金型D1、D2を閉める際、モータMT11によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1を作動させる。これによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
【0049】
ブレーキEB1は、何ら限定されないが、例えば電磁ブレーキ、エアブレーキ、油圧ブレーキ等である。特に電磁ブレーキを用いることによって、低消費電力化できる。さらに、電磁ブレーキとしては、通電時に作動する励磁式電磁ブレーキと非通電時に作動する非励磁式電磁ブレーキが知られている。非通電時に作動する非励磁式電磁ブレーキを採用することによって、より低消費電力化できる。
【0050】
なお、本実施形態に係る型締機40では、モータMT11がブレーキEB1を備えている。しかしながら、ブレーキEB1は、直動機構が動くことを防止できればよいため、モータMT11と別々に設けられていてもよい。
図10に示した例では、ナットNT1の回転を防止するブレーキが、モータMT11と別々に設けられていてもよい。その一例については、
図14を参照して後述する。
【0051】
また、モータMT11は、例えば10~200kWの定格容量を有している。
さらに、モータMT11は、例えば、図示しない制御部によって制御される。この制御部は、コンピュータとしての機能を有しており、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、各種制御プログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。制御部が、上記各種制御プログラム等に基づいて、モータMT11を制御することによって、金型D1、D2の開閉動作が制御される。
【0052】
x軸方向に延設されたボールネジBS1の一端は、可動プラテンMP2に固定されている。そして、ボールネジBS1は、可動プラテンMP3に回転可能に固定されたナットNT1と螺合している。そのため、可動プラテンMP2は、ボールネジBS1及びナットNT1を介して可動プラテンMP3に連結されている。ここで、ナットNT1を回転駆動することによって、可動プラテンMP2、MP3の間の距離を変化させることができる。
【0053】
すなわち、ボールネジBS1及びナットNT1は、可動プラテンMP2と可動プラテンMP3とを連結すると共に、可動プラテンMP3を可動プラテンMP2に対して相対的にスライドさせる直動機構である。
【0054】
同期装置SNは、可動プラテンMP2と可動プラテンMP3とをx軸方向において互いに反対向きに同期してスライドさせる。
図10に示した同期装置SNは、ラックRC1、RC2及びピニオンPNを備えたラックアンドピニオン機構である。
【0055】
図10に示すように、ピニオンPNは、ベース部41に回転可能に固定されている。ラックRC1は、x軸方向に延設されてピニオンPNの上側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC1は、x軸負方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP3の底部に固定されている。すなわち、ラックRC1は、側面視においてL字状の形状を有している。ラックRC2は、x軸方向に延設されてピニオンPNの下側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC2は、x軸正方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP2の底部に固定されている。すなわち、ラックRC2も、側面視においてL字状の形状を有している。なお、
図10に示した同期装置SNのラックRC1、RC2の形状は、L字状に限定されない。
【0056】
ナットNT1が回転し、可動プラテンMP2、MP3の間の距離が変化すると、ピニオンPNを起点として、可動プラテンMP2、MP3が互いに反対向きに等距離ずつ同期して移動する。
【0057】
<第1の実施形態に係る型締機の動作>
次に、
図10~
図13を参照して、本実施形態に係る型締機40の動作の詳細について説明する。
図13は、
図10に示した金型D1、D2が開いた状態から
図12に示した金型D1、D2が閉まった状態に到るまでの金型D1、D2の速度の時間変化を示したグラフである。すなわち、
図10~
図13を参照して、本実施形態に係る型締機40が閉まる動作について説明する。
【0058】
まず、
図13に示すように、モータMT11によって、ボールネジBS1に螺合されたナットNT1を高速で回転駆動することによって、金型D1、D2を高速移動させる。この工程は、
図10から
図11に移行する工程である。
図13の例では、金型D1、D2が、時刻0~1秒の間において100m/sまで加速し、時刻1~4秒の間において100m/sで等速移動する。
なお、
図13の時刻0秒において、閉まる動作を開始する。
【0059】
図10に示すように、ナットNT1を回転駆動することによって、可動プラテンMP3と可動プラテンMP2との距離を大きくする。この際、可動プラテンMP3と可動プラテンMP2とが同期装置SNによって連結されているため、可動プラテンMP3はx軸負方向に移動し、可動プラテンMP2はx軸正方向に移動する。また、可動プラテンMP1は、可動プラテンMP3と共にx軸負方向に移動する。そのため、金型D1、D2が互いに近付く。
【0060】
次に、
図13に示すように、モータMT11によって、ボールネジBS1に螺合されたナットNT1を低速で回転駆動することによって、金型D1、D2を徐行させる。この工程は、
図11から
図12に移行する工程である。
図13の例では、金型D1、D2が、時刻4~5秒の間において100m/sから10m/sまで減速し、時刻5~7秒の間において10m/sで等速移動する。
【0061】
ここで、低速移動における可動プラテンMP1~MP3の動作は、高速移動の場合の動作と同じである。すなわち、
図11に示すように、可動プラテンMP3はx軸負方向に移動し、可動プラテンMP2はx軸正方向に移動する。また、可動プラテンMP1は、可動プラテンMP3と共にx軸負方向に移動する。そのため、
図12に示すように、金型D1、D2が互いに近付いて当接し、停止する。
【0062】
最後に、
図13に示すように、モータMT11によって直動機構を駆動したまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1を作動させ、直動機構が動くことを防止する。その後、モータMT11を停止する。ブレーキEB1を作動させることによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
この工程は、
図12に示した工程である。
図12では、理解を容易にするため、ブレーキEB1がドットハッチングされている。
【0063】
具体的には、モータMT11によってナットNT1にトルクを付与しつつ(つまりナットNT1を締め付けつつ)、ブレーキEB1を作動させることよって、ナットNT1の回転(つまり緩み)が防止される。すなわち、ボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構が動くことが防止される。そのため、モータMT11を停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態を保持し、型締力を維持できる。
【0064】
ここで、ブレーキEB1を作動させないと、モータMT11を停止した後、モータMT11によって締め付けているナットNT1が緩み(すなわち、僅かながらも直動機構が動き)、型締力を維持できない。
なお、
図12に示した金型D1、D2が閉まった状態から
図10に示した金型D1、D2が開いた状態に到る開く動作は、上記閉まる動作の逆の動作である。
【0065】
以上に説明した通り、本実施形態に係る型締機40では、ボールネジBS1及びナットNT1を用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いずに、そのままボールネジBS1及びナットNT1を用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、本実施形態に係る型締機40は、比較例に係る型締機400に比べ、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換え時間を低減でき、生産効率に優れる。
【0066】
具体例としては、
図9に示した比較例においては、金型D1、D2を閉める動作の所要時間が10秒である。これに対し、
図13に示した本実施形態においては、金型D1、D2を閉める動作の所要時間が7秒であり、比較例よりも3秒(すなわち30%)短縮できている。金型D1、D2を開ける動作の所要時間についても同様である。
【0067】
また、比較例に係る型締機400では、金型D1、D2を閉めた後、型締力を維持するため、モータMT2によってスクリュージャッキSJを駆動し続ける。これに対し、本実施形態に係る型締機40では、金型D1、D2を閉めた際、モータMT11によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力を得る。その後、ブレーキEB1を作動させ、型締力を維持した上で、モータMT11を停止する(すなわち直動機構の駆動を停止する)。そのため、本実施形態に係る型締機40は、比較例に係る型締機400に比べ、消費電力を低減できる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る型締機40では、比較例に係る型締機400が備える可動プラテンMP14、スクリュージャッキSJ、減速機RD、モータMT2、ゲートプレートGP、ゲートロッドGR、及びエアシリンダACが不要となる。そのため、本実施形態に係る型締機40は、比較例に係る型締機400に比べ、シンプルな構成を有しており、装置サイズを劇的に小型化できる。
【0069】
(第1の実施形態の変形例)
ここで、
図14を参照して、第1の実施形態の変形例に係る型締機の詳細について説明する。
図14は、第1の実施形態の変形例に係る型締機の模式的断面図である。
図14に示すように、変形例に係る型締機40では、ブレーキEB1がモータMT11と別に設けられている。
【0070】
具体的には、
図14に示すように、可動プラテンMP3を貫通するモータMT11の回転シャフトRSの先端部にブレーキEB1が設けられている。また、ブレーキEB1は、可動プラテンMP3のx軸正方向側の面に固定されている。このような構成によって、
図10に示すようにモータMT11の内部にブレーキEB1を設けるよりも、ブレーキEB1を大型化でき、より大きな型締力が得られる。
なお、回転シャフトRSは、モータMT11の回転シャフトに延長して設けられたシャフトでもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
次に、
図15を参照して、第2の実施形態に係る型締機について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
図15に示すように、本実施形態に係る型締機40は、金型D1、D2、可動プラテンMP1~MP3、ボールネジBS1、ナットNT1、モータMT11、及び同期装置SNに加え、ボールネジBS2、ナットNT2、及びモータMT12を備えている。すなわち、型締機40が、ボールネジ、ナット、及びモータをそれぞれ複数備えている。
なお、
図15は、
図10に対応しており、
図15に示した右手系xyz座標は、
図10と一致している。また、型締機40が備えるボールネジ、ナット、及びモータの個数は、3つ以上でもよい。
【0072】
図15に示すように、可動プラテンMP3には、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔に加え、ボールネジBS2を挿通させる貫通孔が設けられている。そして、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔には、ボールネジBS1と螺合されるナットNT1が回転可能に固定されている。さらに、ボールネジBS2を挿通させる貫通孔には、ボールネジBS2と螺合されるナットNT2が回転可能に固定されている。
【0073】
可動プラテンMP3には、ナットNT1を回転駆動するモータMT11に加え、ナットNT2を回転駆動するモータMT12が設けられている。ナットNT1は、ボールネジBS1を挿通させるプーリーPL21に固定されている。プーリーPL21は、ベルトBL1を介して、プーリーPL11に連結されている。プーリーPL11がモータMT11の回転軸に固定されている。そのため、モータMT11によって、ナットNT1を回転駆動できる。
【0074】
同様に、ナットNT2は、ボールネジBS2を挿通させるプーリーPL22に固定されている。プーリーPL22は、ベルトBL2を介して、プーリーPL12に連結されている。プーリーPL12がモータMT12の回転軸に固定されている。そのため、モータMT12によって、ナットNT2を回転駆動できる。
ここで、
図15に示すように、ボールネジBS2、ナットNT2、及びモータMT12は、ボールネジBS1、ナットNT1、及びモータMT11と、水平面すなわちxy平面に平行な面に関して鏡面対称に配置されている。
【0075】
本実施形態に係る型締機40も、直動機構が動くことを防止するブレーキEB1、EB2を備えている。金型D1、D2を閉める際、モータMT11、MT12によって直動機構を駆動したまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1、EB2を作動させる。これによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11、MT12が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
【0076】
x軸方向に延設されたボールネジBS1、BS2のそれぞれの一端は、可動プラテンMP2に固定されている。そして、ボールネジBS1、BS2は、可動プラテンMP3に回転可能に固定されたナットNT1、NT2と螺合している。そのため、可動プラテンMP2は、ボールネジBS1、BS2を介して可動プラテンMP3に連結されている。ここで、ナットNT1、NT2を同期させて回転駆動することによって、可動プラテンMP2、MP3の間の距離を変化させることができる。
【0077】
本実施形態に係る型締機40でも、ボールネジBS1、BS2及びナットNT1、NT2を用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いずに、そのままボールネジBS1、BS2及びナットNT1、NT2を用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換え時間を低減でき、生産効率に優れる。
【0078】
また、本実施形態に係る型締機40でも、金型D1、D2を閉めた際、モータMT11、MT12によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力を得る。その後、ブレーキEB1、EB2を作動させ、型締力を維持した上で、モータMT11、MT12を停止する。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、消費電力を低減できる。
【0079】
さらに、本実施形態に係る型締機40では、モータを複数に分割し、これを同期制御することによって、第1の実施形態に係る型締機40よりも個々のモータを小型化、低消費電力化でき、装置全体としても小型化、低消費電力化できる。
【0080】
第2の実施形態に係る型締機40におけるその他の構成は、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
また、第2の実施形態に係る型締機40の動作も、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
(第3の実施形態)
次に、
図16を参照して、第3の実施形態に係る型締機について説明する。
図16は、第3の実施形態に係る型締機の模式的側面図である。
図16に示すように、本実施形態に係る型締機40は、
図10に示す第1の実施形態に係る型締機40が備えるボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構に代えて、ラックRC3及びピニオンPN1から構成される直動機構を備えている。
なお、
図16は、
図10に対応しており、
図16に示した右手系xyz座標は、
図10と一致している。
【0082】
x軸方向に延設されたラックRC3の一端は、可動プラテンMP2に固定されている。
図16に示した例では、ラックRC3の一端は、可動プラテンMP2のy軸負方向側の側面に固定されているが、これに限定されない。そして、ラックRC3は、可動プラテンMP3に回転可能に固定されたピニオンPN1と噛合している。
図16に示した例では、ピニオンPN1は、可動プラテンMP3のy軸負方向側の側面に固定されているが、これに限定されない。
【0083】
このように、可動プラテンMP2は、ラックアンドピニオン機構を構成するラックRC3及びピニオンPN1を介して可動プラテンMP3に連結されている。ここで、モータMT11によってピニオンPN1を回転駆動することによって、可動プラテンMP2、MP3の間の距離を変化させることができる。
すなわち、ラックRC3及びピニオンPN1は、可動プラテンMP2と可動プラテンMP3とを連結すると共に、可動プラテンMP3を可動プラテンMP2に対して相対的にスライドさせる直動機構である。
【0084】
本実施形態に係る型締機40では、モータMT11が、ナットNT1に代えてピニオンPN1を回転駆動することによって、ラックRC3及びピニオンPN1から構成される直動機構が駆動される。ここで、本実施形態に係る型締機40も、直動機構が動くことを防止するブレーキEB1を備えている。金型D1、D2を閉める際、モータMT11によって直動機構を駆動したまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1を作動させる。これによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
なお、
図16に示した例では、モータMT11が直接ピニオンPN1を回転駆動しているが、これに限定されない。例えば、ピニオンPN1と噛合するギヤをモータMT11が回転駆動する構成でもよい。
【0085】
本実施形態に係る型締機40では、ラックRC3及びピニオンPN1を用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いずに、そのままラックRC3及びピニオンPN1を用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換え時間を低減でき、生産効率に優れる。
【0086】
また、本実施形態に係る型締機40でも、金型D1、D2を閉めた際、モータMT11によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力を得る。その後、ブレーキEB1を作動させ、型締力を維持した上で、モータMT11を停止する。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、消費電力を低減できる。
【0087】
第3の実施形態に係る型締機40におけるその他の構成は、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
また、第3の実施形態に係る型締機40の動作も、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
(第4の実施形態)
次に、
図17を参照して、第4の実施形態に係る型締機について説明する。
図17は、第4の実施形態に係る型締機の模式的側面図である。
図17に示すように、本実施形態に係る型締機40は、
図10に示す第1の実施形態に係る型締機40が備えるボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構を備えていない。代わりに、同期装置SNが直動機構としての機能を兼ね備えている。
なお、
図17は、
図10に対応しており、
図17に示した右手系xyz座標は、
図10と一致している。
【0089】
本実施形態に係る型締機40では、モータMT11が、ナットNT1に代えて同期装置SNのピニオンPNを回転駆動することによって、直動機構を兼ねる同期装置SNが駆動される。ここで、本実施形態に係る型締機40も、直動機構が動くことを防止するブレーキEB1を備えている。金型D1、D2を閉める際、モータMT11によって直動機構を駆動したまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1を作動させる。これによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
【0090】
本実施形態に係る型締機40では、ラックRC1、RC2及びピニオンPNを用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いずに、そのままラックRC1、RC2及びピニオンPNを用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換え時間を低減でき、生産効率に優れる。
【0091】
また、本実施形態に係る型締機40でも、金型D1、D2を閉めた際、モータMT11によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力を得る。その後、ブレーキEB1を作動させ、型締力を維持した上で、モータMT11を停止する。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、消費電力を低減できる。
【0092】
第4の実施形態に係る型締機40におけるその他の構成は、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
また、第4の実施形態に係る型締機40の動作も、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
(第5の実施形態)
次に、
図18を参照して、第5の実施形態に係る型締機について説明する。
図18は、第5の実施形態に係る型締機の模式的側面図である。
図18に示すように、本実施形態に係る型締機40は、
図17に示す第4の実施形態に係る型締機40が備える可動プラテンMP3を備えていない。また、同期装置SNが直動機構としての機能を兼ね備えている。
なお、
図18は、
図17に対応しており、
図18に示した右手系xyz座標は、
図17と一致している。
【0094】
図18に示すように、本実施形態に係る型締機40でも、同期装置SNは、ラックRC1、RC2及びピニオンPNを備えたラックアンドピニオン機構である。他方、本実施形態に係る型締機40では、同期装置SNは、可動プラテンMP1と可動プラテンMP2とをx軸方向において互いに反対向きに同期してスライドさせる。
【0095】
図18に示すように、ラックRC1は、x軸方向に延設されてピニオンPNの上側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC1は、x軸正方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP1の底部に固定されている。ラックRC2は、x軸方向に延設されてピニオンPNの下側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC2は、x軸負方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP2の底部に固定されている。
【0096】
本実施形態に係る型締機40では、モータMT11が、同期装置SNのピニオンPNを回転駆動することによって、直動機構を兼ねる同期装置SNが駆動される。ピニオンPNが回転駆動されると、ピニオンPNを起点として、可動プラテンMP1、MP2が互いに反対向きに等距離ずつ同期して移動し、金型D1、D2が開閉する。
【0097】
ここで、本実施形態に係る型締機40も、直動機構が動くことを防止するブレーキEB1を備えている。金型D1、D2を閉める際、モータMT11によって直動機構を駆動したまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1を作動させる。これによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
【0098】
本実施形態に係る型締機40では、同期装置SNを用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いずに、そのまま同期装置SNを用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換え時間を低減でき、生産効率に優れる。
【0099】
また、本実施形態に係る型締機40でも、金型D1、D2を閉めた際、モータMT11によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力を得る。その後、ブレーキEB1を作動させ、型締力を維持した上で、モータMT11を停止する。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第4の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、消費電力を低減できる。
【0100】
第5の実施形態に係る型締機40におけるその他の構成は、第4の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
また、第5の実施形態に係る型締機40の動作も、第4の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
(第6の実施形態)
次に、
図19を参照して、第6の実施形態に係る型締機について説明する。
図19は、第6の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
図19に示すように、本実施形態に係る型締機40は、
図10に示す第1の実施形態に係る型締機40が備える可動プラテンMP3に代えて、固定プラテンFP1を備えている。
なお、
図19は、
図10に対応しており、
図19に示した右手系xyz座標は、
図10と一致している。
【0102】
固定プラテンFP1は、ベース部41に固定されており、可動プラテンMP1とはタイバーTBを介して連結されているが、固定されてはいない。そのため、可動プラテンMP1と固定プラテンFP1との間の距離L1は、可動プラテンMP1のスライド動作によって変化する。
【0103】
図19に示すように、固定プラテンFP1には、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔が設けられている。そして、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔には、ボールネジBS1と螺合されるナットNT1が回転可能に固定されている。
【0104】
さらに、固定プラテンFP1には、ナットNT1を回転駆動するモータMT11が設けられている。ナットNT1は、ボールネジBS1を挿通させるプーリーPL21に固定されている。プーリーPL21は、ベルトBL1を介して、プーリーPL11に連結されている。プーリーPL11がモータMT11の回転軸に固定されている。そのため、モータMT11によって、ナットNT1を回転駆動できる。すなわち、モータMT11は、ボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構を駆動する駆動源である。
【0105】
x軸方向に延設されたボールネジBS1の一端は、可動プラテンMP2に固定されている。そして、ボールネジBS1は、固定プラテンFP1に回転可能に固定されたナットNT1と螺合している。そのため、可動プラテンMP2は、ボールネジBS1及びナットNT1を介して固定プラテンFP1に連結されている。ここで、モータMT11によってナットNT1を回転させると、可動プラテンMP2がx軸方向にスライドする。
【0106】
図19に示すように、本実施形態に係る型締機40でも、同期装置SNは、ラックRC1、RC2及びピニオンPNを備えたラックアンドピニオン機構である。他方、本実施形態に係る型締機40では、同期装置SNは、可動プラテンMP1と可動プラテンMP2とをx軸方向において互いに反対向きに同期してスライドさせる。
【0107】
図19に示すように、ラックRC1は、x軸方向に延設されてピニオンPNの上側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC1は、x軸正方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP1の底部に固定されている。ラックRC2は、x軸方向に延設されてピニオンPNの下側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC2は、x軸負方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP2の底部に固定されている。
【0108】
本実施形態に係る型締機40でも、モータMT11が、ナットNT1を回転駆動することによって、ボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構が駆動される。ナットNT1が回転し、可動プラテンMP2がスライドすると、ピニオンPNを起点として、可動プラテンMP1が可動プラテンMP2と反対向きに等距離だけ同期して移動し、金型D1、D2が開閉する。
【0109】
ここで、本実施形態に係る型締機40も、直動機構が動くことを防止するブレーキEB1を備えている。金型D1、D2を閉める際、モータMT11によって直動機構を駆動したまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1を作動させる。これによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
【0110】
本実施形態に係る型締機40では、ボールネジBS1及びナットNT1を用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いずに、そのままボールネジBS1及びナットNT1を用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換え時間を低減でき、生産効率に優れる。
【0111】
また、本実施形態に係る型締機40でも、金型D1、D2を閉めた際、モータMT11によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力を得る。その後、ブレーキEB1を作動させ、型締力を維持した上で、モータMT11を停止する。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、消費電力を低減できる。
【0112】
第6の実施形態に係る型締機40におけるその他の構成は、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
また、第6の実施形態に係る型締機40の動作も、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
【0113】
(第7の実施形態)
次に、
図20を参照して、第7の実施形態に係る型締機について説明する。
図20は、第7の実施形態に係る型締機の模式的断面図である。
図20に示すように、本実施形態に係る型締機40は、
図19に示す第6の実施形態に係る型締機40が備える構成に加え、固定プラテンFP2、ボールネジBS2、ナットNT2、及びモータMT12を備えている。
なお、
図20は、
図19に対応しており、
図20に示した右手系xyz座標は、
図19と一致している。
【0114】
固定プラテンFP1、FP2は、ベース部41に固定されている。
図20に示すように、固定プラテンFP1には、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔が設けられている。そして、ボールネジBS1を挿通させる貫通孔には、ボールネジBS1と螺合されるナットNT1が回転可能に固定されている。同様に、固定プラテンFP2には、ボールネジBS2を挿通させる貫通孔が設けられている。そして、ボールネジBS2を挿通させる貫通孔には、ボールネジBS2と螺合されるナットNT2が回転可能に固定されている。
【0115】
さらに、固定プラテンFP1には、ナットNT1を回転駆動するモータMT11が設けられている。ナットNT1は、ボールネジBS1を挿通させるプーリーPL21に固定されている。プーリーPL21は、ベルトBL1を介して、プーリーPL11に連結されている。プーリーPL11がモータMT11の回転軸に固定されている。そのため、モータMT11によって、ナットNT1を回転駆動できる。すなわち、モータMT11は、ボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構を駆動する駆動源である。
【0116】
同様に、固定プラテンFP2には、ナットNT2を回転駆動するモータMT12が設けられている。ナットNT2は、ボールネジBS2を挿通させるプーリーPL22に固定されている。プーリーPL22は、ベルトBL2を介して、プーリーPL12に連結されている。プーリーPL12がモータMT12の回転軸に固定されている。そのため、モータMT12によって、ナットNT2を回転駆動できる。すなわち、モータMT12は、ボールネジBS2及びナットNT2から構成される直動機構を駆動する駆動源である。
【0117】
x軸方向に延設されたボールネジBS1の一端は、可動プラテンMP2に固定されている。そして、ボールネジBS1は、固定プラテンFP1に回転可能に固定されたナットNT1と螺合している。そのため、可動プラテンMP2は、ボールネジBS1及びナットNT1を介して固定プラテンFP1に連結されている。ここで、モータMT11によってナットNT1を回転させると、可動プラテンMP2がx軸方向にスライドする。
【0118】
同様に、x軸方向に延設されたボールネジBS2の一端は、可動プラテンMP1に固定されている。そして、ボールネジBS2は、固定プラテンFP2に回転可能に固定されたナットNT2と螺合している。そのため、可動プラテンMP1は、ボールネジBS2及びナットNT2を介して固定プラテンFP2に連結されている。ここで、モータMT12によってナットNT2を回転させると、可動プラテンMP1がx軸方向にスライドする。
【0119】
図20に示すように、本実施形態に係る型締機40でも、同期装置SNは、ラックRC1、RC2及びピニオンPNを備えたラックアンドピニオン機構である。他方、本実施形態に係る型締機40では、同期装置SNは、可動プラテンMP1と可動プラテンMP2とをx軸方向において互いに反対向きに同期してスライドさせる。
【0120】
図20に示すように、ラックRC1は、x軸方向に延設されてピニオンPNの上側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC1は、x軸正方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP1の底部に固定されている。ラックRC2は、x軸方向に延設されてピニオンPNの下側においてピニオンPNと噛合している。そして、ラックRC2は、x軸負方向側端部において、上方向に延びて可動プラテンMP2の底部に固定されている。
【0121】
本実施形態に係る型締機40でも、モータMT11が、ナットNT1を回転駆動することによって、ボールネジBS1及びナットNT1から構成される直動機構が駆動される。同様に、モータMT12が、ナットNT2を回転駆動することによって、ボールネジBS2及びナットNT2から構成される直動機構が駆動される。ナットNT1、NT2を同期して回転させ、可動プラテンMP1、MP2を互いに反対向きにスライドさせると、金型D1、D2が開閉する。
なお、本実施形態に係る型締機40では、同期装置SNが設けられていなくてもよい。
【0122】
ここで、本実施形態に係る型締機40も、直動機構が動くことを防止するブレーキEB1を備えている。金型D1、D2を閉める際、モータMT11、MT12によって直動機構を駆動したまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力が得られた後、ブレーキEB1、EB2を作動させる。これによって、直動機構が動くことを防止でき、モータMT11、MT12が停止した後も、金型D1、D2が互いに押圧した状態が保持され、型締力が維持される。
【0123】
本実施形態に係る型締機40では、ボールネジBS1、BS2及びナットNT1、NT2を用いて金型D1、D2を高速移動させた後、スクリュージャッキSJを用いずに、そのままボールネジBS1、BS2及びナットNT1、NT2を用いて金型D1、D2を徐行させる。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、金型D1、D2の開閉動作における高速移動と徐行との切り換え時間を低減でき、生産効率に優れる。
【0124】
また、本実施形態に係る型締機40でも、金型D1、D2を閉めた際、モータMT11、MT12によって直動機構を駆動させたまま金型D1、D2を互いに押圧し、所定の型締力を得る。その後、ブレーキEB1、EB2を作動させ、型締力を維持した上で、モータMT11、MT12を停止する。そのため、本実施形態に係る型締機40も、第1の実施形態に係る型締機40と同様に、比較例に係る型締機400に比べ、消費電力を低減できる。
【0125】
第7の実施形態に係る型締機40におけるその他の構成は、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
また、第7の実施形態に係る型締機40の動作も、第1の実施形態に係る型締機40と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0127】
1 ブロー成形機
10 押出機
11 シリンダ
12 スクリュー
13 ホッパ
14 アダプタ
20 ヘッド
21 ヘッド本体
22 吐出量調整装置
23 スピンドル
30 パリソン肉厚調整装置
31 ダイ
32 コア
33 フレキシブルリング
40 型締機
41 ベース部
51 樹脂ペレット
52 溶融樹脂
53 パリソン
54 ブロー成形品
BL1、BL2 ベルト
BP ブローピン
BS1、BS2 ボールネジ
D1、D2 金型
EB1、EB2 ブレーキ
FP1、FP2 固定プラテン
MP1~MP3 可動プラテン
MT11、MT12 モータ
NT1、NT2 ナット
PL11、PL12、PL21、PL22 プーリー
PN、PN1 ピニオン
RC1~RC3 ラック
RS 回転シャフト
SN 同期装置
TB タイバー