(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098543
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】医薬品入庫業務支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220627BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20220627BHJP
G16H 40/00 20180101ALI20220627BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
G16H20/00
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211968
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】517307784
【氏名又は名称】株式会社くすりの窓口
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】下平 宏一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L099AA01
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】収納場所が決められていない新規の医薬品を入庫する際の入庫業務を効率化させることができるようにする。
【解決手段】入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されているか否かを判定する登録判定部12と、登録されていないと判定された場合、入庫対象医薬品の医薬品情報、医薬品の保管条件、医薬品の収納場所を記憶したデータベースの情報に基づいて、収納場所の候補を選定して提示する収納場所候補提示部14と、候補の中から選択された収納場所を入庫対象医薬品の収納場所としてデータベースに登録する収納場所登録部16とを備え、収納場所が決められていない新規の医薬品が納品された場合、収納場所の候補を自動的に提示して、ユーザがその中から何れかを選択するだけで、当該選択された収納場所が入庫対象医薬品の収納場所としてデータベースに登録されるようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
納品された医薬品である入庫対象医薬品に関する医薬品情報を取得する医薬品情報取得部と、
上記医薬品情報取得部により取得された上記医薬品情報で示される上記入庫対象医薬品について、収納場所がデータベースに登録されているか否かを判定する登録判定部と、
上記登録判定部により上記入庫対象医薬品の収納場所が上記データベースに登録されていないと判定された場合、上記医薬品情報、医薬品の保管条件を示す情報、および、医薬品の収納場所を記憶した上記データベースの情報に基づいて、上記入庫対象医薬品の収納場所の候補を選定して提示する収納場所候補提示部と、
上記収納場所候補提示部により提示された候補の中から何れかを選択する操作を受け付けて、選択された収納場所を上記入庫対象医薬品の収納場所として上記データベースに登録する収納場所登録部とを備えた
ことを特徴とする医薬品入庫業務支援システム。
【請求項2】
上記医薬品の保管条件は、薬種別に定められた保管条件を含み、
上記収納場所候補提示部は、上記医薬品情報に基づいて薬種を特定し、当該薬種について定められた保管条件がある場合は、当該保管条件を守る収納場所を上記候補として選定する
ことを特徴とする請求項1に記載の医薬品入庫業務支援システム。
【請求項3】
上記医薬品の保管条件は、保存状態に関する保管条件を含み、
上記収納場所候補提示部は、上記医薬品情報に基づいて保存状態に関する条件の有無を判定し、当該保存状態について定められた保管条件がある場合は、当該保管条件を守る収納場所を上記候補として選定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の医薬品入庫業務支援システム。
【請求項4】
上記医薬品の保管条件は、ピッキング時の取り違いを防ぐために定められた運用に関する保管条件を含み、
上記収納場所候補提示部は、上記運用に関する保管条件の有無を判定し、当該運用に関する保管条件がある場合は、当該保管条件を守る収納場所を上記候補として選定する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の医薬品入庫業務支援システム。
【請求項5】
上記収納場所候補提示部は、上記医薬品情報に基づいて、上記入庫対象医薬品の形状、形態および大きさを特定し、当該特定した内容に基づいて、上記入庫対象医薬品を収納可能な収納場所を上記候補として選定する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の医薬品入庫業務支援システム。
【請求項6】
上記医薬品情報取得部が取得する上記医薬品情報は、上記入庫対象医薬品の識別情報および納品数情報を含み、
上記収納場所候補提示部は、上記登録判定部により上記入庫対象医薬品の収納場所が上記データベースに登録されていると判定された場合、上記医薬品情報に含まれる上記納品数情報と、上記入庫対象医薬品の在庫数を示す情報とに基づいて、上記入庫対象医薬品を登録済みの収納場所に収納可能か否かを判定し、収納可能ではないと判定された場合、上記登録済みの収納場所とは異なる収納場所を上記候補として提示する
ことを特徴とする請求項1に記載の医薬品入庫業務支援システム。
【請求項7】
上記収納場所は、複数の収納庫に個別の医薬品を収納する薬品棚、上記個別の医薬品を複数個まとめた状態のパッケージを収納するロッカー、その他の場所を含み、上記薬品棚、上記ロッカー、上記その他の場所の順番で優先順位が設定されており、
上記収納場所候補提示部は、上記優先順位に従って、上記入庫対象医薬品を収納可能な収納場所を上記候補として選定する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の医薬品入庫業務支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品入庫業務支援システムに関し、特に、医薬品の入庫業務を支援するシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品の発注データや納品データに基づいて入庫処理および出庫処理を行うシステムが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の調剤薬局支援システムは、医薬品名と医薬品コード(厚生労働省によって医薬品の種類毎に付与されるコード)と商品流通コード(JAN(Japanese Article Number)コードのような販売の最小単位毎に付与されるコード)とを対応づけた医薬品データを格納した医薬品マスターデータ格納部と、医薬品に付されている商品流通コードで入庫処理を行う入庫処理部と、医薬品コード、商品流通コードまたはこれらのコードと関連付けられた中間コード(調剤薬局支援システムの提供者が付与する業者別のコード)で出庫処理を行う出庫処理部と、医薬品コード、商品流通コードまたは中間コードで在庫管理を行う在庫管理部とを備える。
【0004】
特許文献2に記載の備蓄・販売管理システムにおいて、医薬品ストックセンターにロット単位で納入された医薬品は、包装単位か小分けかを問わない柔軟な入出庫処理やピッキング処理、販売処理等がなされ、調剤薬局を通じた一般消費者への販売がなされる。サーバは、納入された医薬品付帯のコードおよびロットナンバーまたは使用期限印字に対するリーダ端末による読み込み動作等によって得られた当該医薬品の商品データおよびロットナンバーまたは使用期限データを入庫データとして受け付けるとともに、対応する医薬品が収納される備蓄棚の棚番に当該入庫データを関係付けて在庫データベースに登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-115878号公報
【特許文献2】特開2003-118840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2に記載のシステムによれば、医薬品または包装箱に付されたコードをハンディターミナル等で読み取り、これにより取得される情報を利用して医薬品の入庫処理および出庫処理を行うことが可能である。しかしながら、上記特許文献1,2では、薬品棚の収納位置との紐付け情報が既にデータベースに登録されている医薬品の入庫処理については言及しているが、当該紐付け情報がデータベースに登録されていない新規の医薬品を入庫する際の処理については言及していない。
【0007】
本発明は、収納場所が決められていない新規の医薬品を入庫する際の入庫業務を効率化させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、納品された医薬品である入庫対象医薬品の収納場所がデータベースに登録されているか否かを判定し、登録されていないと判定された場合、入庫対象医薬品の医薬品情報、医薬品の保管条件を示す情報、および、医薬品の収納場所を記憶した上記データベースの情報に基づいて、入庫対象医薬品の収納場所の候補を選定して提示する。そして、提示された候補の中から何れかを選択する操作を受け付けて、選択された収納場所を入庫対象医薬品の収納場所としてデータベースに登録するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、収納場所が決められていない新規の医薬品が納品された場合、収納場所の候補が自動的に提示されるので、ユーザは、その中から何れかを選択する操作をすればよい。ユーザが収納場所を選択する操作を行うと、当該選択された収納場所が入庫対象医薬品の収納場所としてデータベースに登録される。このように、収納場所が決められていない新規の医薬品を入庫する際、ユーザは提示された候補の中から何れかを選択するだけでよく、入庫業務を効率化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による医薬品入庫業務支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態による端末装置またはサーバ装置の機能構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態による端末装置またはサーバ装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による医薬品入庫業務支援システムの構成例を示す図である。本実施形態の医薬品入庫業務支援システムは、例えば
図1(a)に示すように、端末装置100とコードリーダ200とを備えて構成される。端末装置100とコードリーダ200との間は、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの無線通信手段を介して接続される。無線に代えて有線で端末装置100とコードリーダ200との間を接続するようにしてもよい。
【0012】
端末装置100は、例えばパーソナルコンピュータであり、調剤薬局に設置される。コードリーダ200は、納品された医薬品の包装(パッケージ)に付されているGS1コード(GS1データバー、GS1データバー合成シンボルなど)を読み取るものである。端末装置100は、コードリーダ200により読み取られるGS1コードに記録されている医薬品情報を取得して、医薬品入庫業務に関する処理を実行する(詳細は後述する)。GS1コードに記録された医薬品情報には、包装内に含まれている医薬品の名称、医薬品コード、分量、納品数量、発送元、納品先、医薬品の使用期限、製造番号などの情報が含まれている。
【0013】
また、本実施形態の医薬品入庫業務支援システムは、
図1(b)に示すように構成することも可能である。
図1(b)に示す例の場合、医薬品入庫業務支援システムは、端末装置100’とコードリーダ200とサーバ装置300とを備えて構成される。端末装置100’とサーバ装置300との間は、LAN(Local Area Network)またはインターネット等の通信ネットワーク500を介して接続される。端末装置100’は、コードリーダ200によるGS1コードの読み取りを通じて取得した医薬品情報をサーバ装置300に送信する。サーバ装置300は、端末装置100’から送信された医薬品情報を用いて、医薬品入庫業務に関する処理を実行する。
【0014】
また、端末装置100,100’とコードリーダ200とを別構成とすることに代えて、タブレット端末のようにコードリーダの機能を有する端末装置を用いるようにしてもよい。
【0015】
図2は、
図1(a)に示す端末装置100(または
図1(b)に示すサーバ装置300)の機能構成例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の端末装置100(サーバ装置300)は、機能構成として、医薬品情報取得部11、登録判定部12、収納場所提示部13、収納場所候補提示部14、操作受付部15および収納場所登録部16を備えている。また、本実施形態の端末装置100(サーバ装置300)は、記憶媒体として、収納場所記憶部21および保管条件記憶部22を備えている。
【0016】
上記各機能ブロック11~16は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~16は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0017】
収納場所記憶部21は、調剤薬局で取り扱っている各医薬品の収納場所を記録したデータベースを記憶する。このデータベースは、例えば、医薬品の名称(または医薬品コード)と、収納場所を表す情報とを関連付けて記録したものである。収納場所記憶部21に記憶されるデータベースの情報は、後述する収納場所登録部16によって適宜更新される。
【0018】
収納場所は、薬品棚と、ロッカーと、その他の場所とを含む。薬品棚は、複数の収納庫を有し、パッケージから取り出された個別の医薬品を各収納庫に収納するようになされている。ロッカーは、1つ以上の収納庫を有し、個別の医薬品を複数個まとめた状態のパッケージを収納庫に収納するようになされている。例えば、ロッカーには、納品された医薬品がパッケージのまま収納され、薬品棚には、パッケージ内から取り出された個別の医薬品が収納される。その他の場所は、例えば調剤薬局内の任意の場所に置かれた段ボールである。段ボールには、例えば、薬品棚にもロッカーにも収納し切れない医薬品が一時的に収納される。
【0019】
調剤薬局内に1つ以上の薬品棚がある場合、収納場所記憶部21は、どの薬品棚のどの収納庫にどの医薬品が収納されているのかを示す情報をデータベースとして記憶する。また、調剤薬局内に1つ以上のロッカーがある場合、収納場所記憶部21は、どのロッカーのどの収納庫にどの医薬品が収納されているのかを示す情報をデータベースとして記憶する。また、調剤薬局内に1つ以上の段ボールがある場合、収納場所記憶部21は、どの位置の段ボールにどの医薬品が収納されているのかを示す情報をデータベースとして記憶する。
【0020】
保管条件記憶部22は、医薬品の保管条件を示す情報をあらかじめ記憶する。医薬品の保管条件は、薬種別に定められた保管条件、保存状態に関する保管条件、薬品棚から医薬品をピッキングするとき(出庫時)の取り違いを防ぐために定められた運用に関する保管条件を含む。保管条件記憶部22は、以下に示す保管条件に該当する医薬品について、例えば、医薬品の名称(または医薬品コード)と、それに対応する保管条件の情報とを関連付けて記憶する。保管条件の情報は、条件の内容を示す情報または条件を満たす薬品棚またはロッカーを指定する情報である。前者の場合、保管条件の内容によっては、それを満たす薬品棚またはロッカーがどれであるかを示した定義テーブル情報等が別に必要となる。
【0021】
薬種別に定められた保管条件は、例えば次のようなものである。
・向精神薬は、鍵がかかる薬品棚やロッカーに一箇所にまとめて保管する。
・麻薬や覚せい剤は、鍵がかかる堅固な薬品棚やロッカー(専用重量金庫を含む)に保管する。
・毒薬は、専用の鍵がかかる薬品棚やロッカーに保管する。
・劇薬は、他の医薬品と区別して保管する。
【0022】
また、保存状態に関する保管条件は、例えば次のようなものである。
・冷所や暗所で保管することが求められている医薬品は、冷所や暗所に設置された薬品棚やロッカー(冷蔵庫を含む)に保管する。
【0023】
また、取り違いを防ぐために定められた運用に関する保管条件は、例えば次のようなものである。
・同じ名称または類似の名称の医薬品を近くに保管しない。
同じ名称の医薬品であっても、分量が異なるものについては別の収納庫に収納することがある。この場合、取り違いを防ぐために、同じ名称で分量の異なる医薬品は近くに保管しないようにすることが好ましい。類似の名称の医薬品も同様である。
【0024】
医薬品情報取得部11は、納品された医薬品(以下、入庫対象医薬品という)に関する医薬品情報を取得する。すなわち、医薬品情報取得部11は、コードリーダ200により読み取られたGS1コードを解析することにより、納品された入庫対象医薬品の医薬品情報を取得する。納品された入庫対象医薬品は、発注した通りに納品されたかどうかについて検品された後、収納場所記憶部21に登録されている収納場所に収納される。ただし、収納場所記憶部21のデータベースに収納場所が登録されていない新規の医薬品が納品された場合には、新たに収納場所を決めなければならない。
【0025】
登録判定部12は、医薬品情報取得部11により取得された医薬品情報で示される入庫対象医薬品について、収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されているか否かを判定する。例えば、登録判定部12は、医薬品情報取得部11により取得された医薬品情報に含まれる医薬品の名称(または医薬品コード)に関連付けて、収納場所を示す情報が収納場所記憶部21のデータベースに登録されているか否かを判定する。
【0026】
なお、登録判定部12は、以下のような方法によって、入庫対象医薬品の収納場所がデータベースに登録されているか否かを判定するようにしてもよい。すなわち、収納場所記憶部21のデータベースとは別に、在庫管理用のデータベースを用意し、医薬品が納品された場合にその納品数を在庫数に加算して在庫管理データベースに登録する一方、調剤により医薬品が使用された場合にその使用数を在庫数から減算して在庫管理データベースに登録するようにする。そして、医薬品情報取得部11により取得された医薬品情報で示される入庫対象医薬品の在庫数を在庫管理データベースにより確認し、ゼロである場合は入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されていないと判定し、ゼロでない場合は入庫対象医薬品の収納場所がデータベースに登録されていると判定するようにしてもよい。この場合、在庫数がゼロになった医薬品のうち、未発注の医薬品については、収納場所記憶部21のデータベースから情報を削除する候補としてリスト化してユーザに提示する。ユーザは、提示されたリストを見てデータベースから情報を削除するか否かを判断する。例えば、ユーザは、在庫数がゼロになった時点から所定の経過措置期日を超えている医薬品について、収納場所記憶部21のデータベースから情報を削除する。
【0027】
収納場所提示部13は、登録判定部12により入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されていると判定された場合、その収納場所を端末装置100(または端末装置100’)のディスプレイに表示することによってユーザに提示する。収納場所の提示は、例えば、収納場所を示すテキスト情報の表示によって行うことが可能である。例えば薬品棚であれば、薬品棚の識別情報と、当該薬品棚の中の収納庫の識別情報との組み合わせをテキスト情報によって表示する。
【0028】
収納場所を提示する情報は、調剤薬局の中で薬品棚、ロッカー、段ボールが置かれた場所を示した局内レイアウト図形と、薬品棚が有する複数の収納庫やロッカーが有する1つ以上の収納庫を示した収納庫レイアウト図形とを用いて、入庫対象医薬品の収納場所を他と識別可能な態様で描画したものとしてもよい。例えば、該当する収納場所をハイライト表示し、その収納場所に医薬品名を表示することが可能である。レイアウト図形に代えて、薬品棚やロッカーや段ボールの実物を撮影することによって取得した画像を用いるようにしてもよい。
【0029】
収納場所候補提示部14は、登録判定部12により入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されていないと判定された場合、医薬品情報取得部11により取得された入庫対象医薬品の医薬品情報と、保管条件記憶部22に記憶されている医薬品の保管条件を示す情報と、収納場所記憶部21に記憶されているデータベースの情報とに基づいて、入庫対象医薬品の収納場所の候補を選定して提示する。
このとき、収納場所候補提示部14は、まず、入庫対象医薬品について、保管条件記憶部22に記憶されている薬種または保存状態に関する保管条件が適用されるか否かを判定し、適用される場合には、その保管条件に従った収納場所に候補を絞り込む。すなわち、収納場所候補提示部14は、医薬品情報に基づいて薬種を特定し、当該薬種について定められた保管条件がある場合は、当該保管条件を守る収納場所を候補として選定する。医薬品情報で示される医薬品がどの薬種に該当するかは、例えばあらかじめ用意した辞書データベースに基づいて特定する。あるいは、医薬品情報取得部11がGS1コードから取得する医薬品情報の中に薬種の情報を含ませるようにしてもよい。
【0030】
また、収納場所候補提示部14は、医薬品情報に基づいて保存状態に関する条件の有無を判定し、当該保存状態について定められた保管条件がある場合は、当該保管条件を守る収納場所を候補として選定する。医薬品情報で示される医薬品について、特定の保存状態が要求されているか否かは、例えばあらかじめ用意した辞書データベースに基づいて判定する。あるいは、医薬品情報取得部11がGS1コードから取得する医薬品情報の中に保存状態の指定情報を含ませるようにしてもよい。
【0031】
以上のようにして、薬種または保存状態に関する保管条件によって収納場所の候補を絞り込んだ後、収納場所候補提示部14は、収納場所記憶部21に記憶されているデータベースの情報に基づいて、空いている収納場所を検索し、空いている収納場所を候補として選定する。このとき収納場所候補提示部14は、保管条件記憶部22を参照して、運用に関する保管条件の有無を判定し、当該運用に関する保管条件がある場合は、当該保管条件を守る収納場所を候補として選定する。
【0032】
例えば、収納場所候補提示部14は、検索された空き状態の収納場所の周囲に、同じ名称または類似の名称の医薬品が既に収納されているか否かを判定する。例えば、m行×n列(m>1,n>1)に配置された複数の収納庫を有する薬品棚の場合、空き状態として検索された収納庫に接する最大8箇所の収納庫に収納されている医薬品が、入庫対象医薬品と同じ名称または類似の名称の医薬品か否かを判定する。そして、同じ名称または類似の名称の医薬品が少なくとも1箇所に収納済みの場合、収納場所候補提示部14は、その検索された収納庫は候補から外し、他の収納庫を探す。
【0033】
また、収納場所候補提示部14は、収納場所の候補を選定する際に、薬品棚、ロッカー、段ボールの順番に設定された優先順位に従って、入庫対象医薬品を収納可能な収納場所を候補として選定する。すなわち、収納場所候補提示部14は、まず薬品棚の中から保管条件を満たす空き状態の収納庫を探し、1つ以上見つかれば、それを収納場所の候補として選定する。薬品棚の中に保管条件を満たす空き状態の収納庫が1つも存在しない場合(空き状態の収納庫があっても保管条件を見たさない場合を含む)、収納場所候補提示部14は、ロッカーの中から保管条件を満たす空き状態の収納庫を探す。そして、1つ以上見つかれば、それを収納場所の候補として選定する。ロッカーの中にも空き状態の収納庫が1つも存在しない場合、収納場所候補提示部14は、段ボールを収納場所の候補として選定する。
【0034】
また、収納場所候補提示部14は、収納場所の候補を選定する際に、医薬品情報取得部11により取得された医薬品情報に基づいて、入庫対象医薬品の形状、形態および大きさを特定し、当該特定した内容に基づいて、入庫対象医薬品を収納可能な収納場所を候補として選定するようにしてもよい。医薬品の形状とは、例えば、シート形状/袋形状/瓶形状などの区別を示すものである。医薬品の形態とは、例えば、PTPシート/バラ(裸錠)などの区別を示すものである。医薬品の形状、形態および大きさは、例えばあらかじめ用意した辞書データベースに基づいて判定する。あるいは、医薬品情報取得部11がGS1コードから取得する医薬品情報の中にこれらの情報を含ませるようにしてもよい。
【0035】
収納場所候補提示部14は、以上のようにして選定した収納場所の候補を端末装置100(または端末装置100’)のディスプレイに表示することによってユーザに提示する。ここで、保管条件を満たす空き状態の収納場所が複数見つかった場合は、それらを候補として提示する。収納場所の候補の提示方法は、収納場所提示部13が行う収納場所の提示方法と同様でよい。すなわち、収納場所を示すテキスト情報の表示によって行うようにすることが可能である。あるいは、レイアウト図形または撮影画像において、候補として選定された1以上の収納場所を他と識別可能な態様で描画したものとしてもよい。
【0036】
操作受付部15は、収納場所候補提示部14により提示された候補の中から何れかを選択するユーザ操作を受け付ける。収納場所登録部16は、操作受付部15が受け付けたユーザ操作により選択された収納場所を、入庫対象医薬品の収納場所として収納場所記憶部21のデータベースに登録する。この登録の際に、収納場所登録部16は、医薬品情報取得部11により取得された医薬品情報を用いて収納場所との関連付けを行う。
【0037】
なお、ロッカーに収納された医薬品を、後に薬品棚に移して収納することがある。また、段ボールに収納された医薬品を、後に薬品棚またはロッカーに移して収納することがある。この場合は、ユーザが端末装置100(端末装置100’)を操作して、収納場所記憶部21に記憶されている医薬品情報と収納場所との関連付けを更新する。すなわち、操作受付部15は、医薬品の収納場所を変更するためのユーザ操作を受け付ける。収納場所登録部16は、操作受付部15が受け付けたユーザ操作の内容に従って、収納場所記憶部21のデータベースに記憶されている医薬品の収納場所を変更して登録し直す。
【0038】
図3は、以上のように構成した端末装置100(サーバ装置300も同様)の動作例を示すフローチャートである。まず、医薬品情報取得部11は、コードリーダ200により読み取られたGS1コードを解析することにより、納品された入庫対象医薬品を示す医薬品情報を取得する(ステップS1)。そして、登録判定部12は、医薬品情報取得部11により取得された医薬品情報で示される入庫対象医薬品について、収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0039】
ここで、登録判定部12により入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されていると判定された場合、収納場所提示部13は、その収納場所を端末装置100のディスプレイに表示することによってユーザに提示する(ステップS3)。これにより、
図3に示すフローチャートの処理は終了する。
【0040】
一方、登録判定部12により入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されていないと判定された場合、収納場所候補提示部14は、医薬品情報取得部11により取得された入庫対象医薬品の医薬品情報と、保管条件記憶部22に記憶されている医薬品の保管条件を示す情報と、収納場所記憶部21に記憶されているデータベースの情報とに基づいて、入庫対象医薬品の収納場所の候補を選定してユーザに提示する(ステップS4)。
【0041】
ここで、操作受付部15は、収納場所候補提示部14により提示された候補の中から何れかを選択するユーザ操作を受け付けたか否かを判定する。操作受付部15が何れかの候補を選択するユーザ操作を受け付けた場合、収納場所登録部16は、当該ユーザ操作により選択された収納場所を、入庫対象医薬品の収納場所として収納場所記憶部21のデータベースに登録する(ステップS6)。これにより、
図3に示すフローチャートの処理は終了する。
【0042】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されているか否かを判定し、登録されていないと判定された場合、入庫対象医薬品の医薬品情報、医薬品の保管条件を示す情報、および、収納場所記憶部21のデータベースの情報に基づいて、入庫対象医薬品の収納場所の候補を選定して提示する。そして、提示された候補の中から何れかを選択するユーザ操作を受け付けて、選択された収納場所を入庫対象医薬品の収納場所としてデータベースに登録するようにしている。
【0043】
このように構成した本実施形態によれば、収納場所が決められていない新規の医薬品が納品された場合、収納場所の候補が自動的に提示されるので、ユーザは、その中から何れかを選択する操作をすればよい。ユーザが収納場所を選択する操作を行うと、当該選択された収納場所が入庫対象医薬品の収納場所としてデータベースに登録される。このように、収納場所が決められていない新規の医薬品を入庫する際、ユーザは提示された候補の中から何れかを選択するだけでよく、入庫業務を効率化させることができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、登録判定部12により入庫対象医薬品の収納場所が収納場所記憶部21のデータベースに登録されていると判定された場合、収納場所提示部13がその収納場所をユーザに提示する例について説明したが、次のようにしてもよい。すなわち、登録判定部12により入庫対象医薬品の収納場所がデータベースに登録されていると判定された場合、収納場所候補提示部14が、医薬品情報に含まれる納品数情報と、入庫対象医薬品の在庫数を示す情報とに基づいて、入庫対象医薬品を登録済みの収納場所に収納可能か否かを判定し、収納可能ではないと判定された場合、登録済みの収納場所とは異なる収納場所を候補として提示する。
【0045】
例えば、収納場所候補提示部14は、薬品棚の収納庫に入庫対象医薬品を収納可能でないと判定された場合に、ロッカーを収納場所の候補として提示する。同じ医薬品が薬品棚の複数の収納場所に分散して収納されることを避けるためである。なお、薬品棚において登録済みの収納庫の隣に空き状態の収納庫がある場合は、その収納庫を候補として提示するようにしてもよい。
【0046】
登録済みの収納場所に入庫対象医薬品を追加して収納可能か否かは、入庫対象医薬品の納品数と在庫数とを加算した合計数量が、入庫対象医薬品の形状、形態および大きさと収納場所のサイズとの関係によって決まる最大収納数を超えるか否かによって判定することが可能である。この最大収納数は、収納場所および医薬品ごとにあらかじめデータベースとして記憶しておけばよい。
【0047】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
11 医薬品情報取得部
12 登録判定部
13 収納場所提示部
14 収納場所候補提示部
15 操作受付部
16 収納場所登録部
21 収納場所記憶部
22 保管条件記憶部