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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098545
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】雨戸用の治具、及び、雨戸の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/04 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
E06B9/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211972
(22)【出願日】2020-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】520505238
【氏名又は名称】株式会社パーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】木村 大輔
【テーマコード(参考)】
2E020
【Fターム(参考)】
2E020HA00
2E020HB03
2E020HC00
(57)【要約】
【課題】窓に簡易に取り付けることができる雨戸用の治具を提供する。
【解決手段】雨戸用の治具Mは、角材91が挿入される第1の筒部10と、角材92が挿入される第2の筒部20であって、第1の筒部10に直交して略L字形状をなすように一体に形成される、第2の筒部20と、93角材が挿入される第3の筒部30であって、第1の筒部10及び第2の筒部20に対して回転可能に形成される、第3の筒部30と、を備えている。第3の筒部30に挿入される角材93の軸線方向に伸縮して、第3の筒部30に挿入される角材93に軸線方向の圧縮力又は引張力を作用させる、伸縮機構50をさらに備えることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角材が挿入される第1の筒部と、
角材が挿入される第2の筒部であって、前記第1の筒部に直交して略L字形状をなすように一体に形成される、第2の筒部と、
角材が挿入される第3の筒部であって、前記第1の筒部及び前記第2の筒部に対して回転可能に形成される、第3の筒部と、
を備える、雨戸用の治具。
【請求項2】
前記第3の筒部に挿入される角材の軸線方向に伸縮して、前記第3の筒部に挿入される角材に軸線方向の圧縮力又は引張力を作用させる、伸縮機構をさらに備える、請求項1に記載された、雨戸用の治具。
【請求項3】
前記第1の筒部、前記第2の筒部、及び、前記第3の筒部には、挿入された角材を所望の位置に固定するための複数の取付孔が、長さ方向に間隔を空けて形成されている、請求項2に記載された、雨戸用の治具。
【請求項4】
前記第1の筒部又は前記第2の筒部の少なくともいずれか一方は、末端が開口されており、挿入された角材が貫通できるようにされている、請求項2又は請求項3に記載された、雨戸用の治具。
【請求項5】
前記第1の筒部及び前記第2の筒部は、直交する前記第1の筒部と前記第2の筒部によってなす平面の面外に突出する掛止部をさらに有し、前記掛止部にはガスケットが設置されている、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載された、雨戸用の治具。
【請求項6】
既設窓において対角位置に配置された1対の雨戸用の治具であって、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された、1対の雨戸用の治具と、
前記第1の筒部のそれぞれに挿入・固定された角材と、前記第2の筒部のそれぞれに挿入・固定された角材と、対向する前記第3の筒部の間に共通して挿入・固定された角材と、
前記角材に固定された面材と、
を備える、雨戸。
【請求項7】
請求項5に記載された雨戸用の治具を用いて、外壁面より突出した既設窓に雨戸を構築する、雨戸の構築方法であって、
1対の雨戸用の治具を既設窓の対角位置に配置する工程と、
前記1対の雨戸用の治具の前記第3の筒部の間に共通して角材を挿入・固定する工程と、
前記掛止部を前記既設窓の枠の外側に引っ掛ける工程と、
前記伸縮機構を縮めることで前記角材の軸線方向に引張力を作用させる工程と、
前記第1の筒部及び前記第2の筒部に角材を挿入・固定する工程と、
前記角材に面材を固定する工程と、
を備える、雨戸の構築方法。
【請求項8】
請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載された雨戸用の治具を用いて、外壁面より引き込まれた既設窓に雨戸を構築する、雨戸の構築方法であって、
1対の雨戸用の治具を既設窓の対角位置に配置する工程と、
前記1対の雨戸用の治具の前記第3の筒部の間に共通して角材を挿入・固定する工程と、
前記雨戸用の治具を前記既設窓の枠の内側に載置する工程と、
前記伸縮機構を伸ばすことで前記角材の軸線方向に圧縮力を作用させる工程と、
前記第1の筒部及び前記第2の筒部に角材を挿入・固定する工程と、
前記角材に面材を固定する工程と、
を備える、雨戸の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓に簡易に取り付けることができる雨戸用の治具と、この雨戸用の治具を用いた雨戸の構築方法と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(きっかけ)
近年「50年に一度」といわれる大雨や台風が頻繁に起こり、多くの死傷者が出ている。特に九州地方においては「50年に一度」が毎年のように起こっており、各地で災害が起きている。また、災害復旧は1年以上経っても終わらず、建物自体が使えなくなる事態も生じている。
【0003】
(雨戸の設置状況)
大都市における雨戸やシャッターは主に防犯上の観点から設置されることが多い。地方における設置例は、豪雪地区では多いが、市街部においては少ない。そのため、既存の窓に後付けされる雨戸もいくつか開発されている。
【0004】
後付けの雨戸として、例えば、特許文献1には、既存の出窓と、レールを固定するための取付治具(2)、レール(1)、コーナー押え治具(4)で構成された、枠組が開示されている。この枠組を用いれば、需要者の要求にあった外観を形成し、丈夫で信頼できる雨戸を既存の住宅に安価で提供することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-96948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
「窓を守る」ことは基本的にガラスを守ることである。いざ台風が接近し、窓を養生する場合、エアクッションやブルーシートをテープで留める場合がある。この場合の問題点は、窓を覆う素材が柔らかいことであり、硬いものが飛んできたときの防御にはならない。また、柔らかい素材は、風に煽られ設置しにくいのが難点である。
【0007】
本来はベニヤ等を外壁に直接打ち付けたいが、外壁に孔をあけることになる。必ずしも起こる保証のない災害に対し、外壁に直接打ち付けることは心理上難しい。いかにして外壁を傷つけずに「下地」をつくるのか、が極めて重要となる。先に説明した特許文献1でも、治具自体は出窓にビス等によって固定されており、外壁を傷つけることになっていた。
【0008】
そこで、本発明は、比較的に強度が高く簡易に取り付けることができる雨戸を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の雨戸用の治具は、角材が挿入される第1の筒部と、角材が挿入される第2の筒部であって、前記第1の筒部に直交して略L字形状をなすように一体に形成される、第2の筒部と、角材が挿入される第3の筒部であって、前記第1の筒部及び前記第2の筒部に対して回転可能に形成される、第3の筒部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の雨戸用の治具は、角材が挿入される第1の筒部と、角材が挿入される第2の筒部であって、第1の筒部に直交して略L字形状をなすように一体に形成される、第2の筒部と、角材が挿入される第3の筒部であって、第1の筒部及び第2の筒部に対して回転可能に形成される、第3の筒部と、を備えている。このような構成であれば、この雨戸用の治具に角材を挿入し、角材に面材を取り付けることによって、外壁を傷つけることなく、比較的に強度が高く簡易に取り付けることができる雨戸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の雨戸用の治具の正面図である。
図2】実施例の雨戸用の治具の伸縮機構の説明図である。(a)はハンドルを有する機構であり、(b)はナット部を有する機構である。
図3】雨戸用の治具に角材を挿入した状態を説明する正面図である。
図4】雨戸用の治具の使用状態の断面図である。
図5】雨戸用の治具の使用例である。(a)は外側に引っ掛ける例であり、(b)は内側から突っ張る例である。
図6】雨戸用の治具の配置例である。(a)は縦長の窓の例であり、(b)は横長の窓の例であり、(c)は大きい窓の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0013】
(構成)
まず、図1図3を用いて、本実施例の雨戸用の治具Mの全体構成を説明する。雨戸用の治具Mは、図1図3に示すように、部材の全体が金属製であり、角材が挿入される第1の筒部10と、角材が挿入される第2の筒部20であって、第1の筒部10に直交して略L字形状をなすように一体に形成される、第2の筒部20と、角材が挿入される第3の筒部30であって、第1の筒部10及び第2の筒部20に対して回転可能に形成される、第3の筒部30と、を備えている。
【0014】
第1の筒部10は、例えば30mm×40mmの内空断面を有する金属製の筒状の部材である。そして、第1の筒部10の一方の側面(正面)には、長さ方向に間隔を空けて角材用の3つの孔11、11、11と、1つの面材用の孔12と、が設けられている。第1の筒部10の内部の挿入部10aには、例えば、30mm×40mmの断面の角材91が挿入されて、孔11を介して釘やビスによって角材(91)と第1の筒部10とが固定される。さらに、第1の筒部10の一方の側面(正面)には、孔12を介して釘やビスによって面材(94)が固定される。第1の筒部10の末端は、第2の筒部20によって閉塞されている。
【0015】
同様に、第2の筒部20は、例えば30mm×40mmの内空断面を有する金属製の筒状の部材である。そして、第2の筒部20の一方の側面(正面)には、長さ方向に間隔を空けて角材用の4つの孔21、21、21、21と、3つの面材用の孔12と、が設けられている。第2の筒部20の内部の挿入部20aには、例えば、30mm×40mmの断面の角材(92)が挿入されて、孔21を介して釘やビスによって角材92と第2の筒部20とが固定される。さらに、第2の筒部20の一方の側面(正面)には、孔22を介して釘やビスによって面材(94)が固定される。
【0016】
加えて、第2の筒部20は、末端が閉塞されることなく開口されている。すなわち、第2の筒部20の内部の挿入部20aは、両端が開口している。したがって、後述するように、第2の筒部20に挿入される角材(92)は、第2の筒部20の開口した末端を貫通することができるようになっており、概略の長さのものを用いることができるようになっている。
【0017】
そして、この第2の筒部20は、第1の筒部10に直交して、両方で略L字形状をなすように一体に形成される。すなわち、第1の筒部10の末端近傍には第2の筒部20が直交するように90度の角度で溶接されている。
【0018】
同様に、第3の筒部30は、例えば30mm×40mmの内空断面を有する金属製の筒状の部材である。そして、第3の筒部30の一方の側面には、角材用の2つの孔31、31が設けられている。第3の筒部30の内部の挿入部30aには、例えば、30mm×40mmの断面の角材(93)が挿入されて、孔31を介して釘やビスによって角材93と第3の筒部30とが固定される。なお、第3の筒部30の一方の側面(正面)には、さらに面材用の孔を設けることもできる。
【0019】
また、第3の筒部30は、第1の筒部10及び第2の筒部20に対して、回転可能に形成されている。具体的に言うと、第1の筒部10と第2の筒部20によって形成される隅角部には、ブラケット41が設置されており、このブラケット41に回転軸42が支承されている。そして、第3の筒部30は、第3の筒部30と一体の取付部60の取付孔61に回転軸42が挿通されて、回転自在に支承されている。この回転軸42は、第1の筒部10と第2の筒部20とによって構成される平面に対して垂直方向に設置されているため、第3の筒部30は、その平面の面内で回転できるようになっている。なお、回転角度の範囲は、例えば、10度~80度の70度の範囲であることが好ましい。
【0020】
そして、本実施例の雨戸用の治具Mは、図2(a)、(b)に示すように、第3の筒部30に挿入される角材(93)の軸線方向に伸縮する伸縮機構50をさらに備えている。伸縮機構50は、第3の筒部30の上部の内面に螺刻された右ネジ(雌ネジ)51と、周囲に雄ネジが螺刻されたネジ部材52と、取付部60の下部の内面に螺刻された左ネジ(雌ネジ)と、から構成されている。
【0021】
さらに、伸縮機構50は、図2(a)に示すように、ハンドル54を手で正方向/逆方向に回転させることによって伸縮するように構成されている。具体的には、ハンドル54にはウォーム55が同軸上に取り付けられており、このウォーム55と噛み合うウォーム歯車56が直交して取り付けられている。そして、このウォーム歯車56がネジ部材52と同軸上に取り付けられている。
【0022】
そうすると、ハンドル54を手で正方向/逆方向に回転させることで、連動してネジ部材52が回転する。例えば、ハンドル54を正方向に回転させることでネジ部材52も正方向に回転し、右ネジ51と一体の取付部60と左ネジ53と一体の第3の筒部30とを互いに近づける。すなわち、伸縮機構50は軸線方向に縮む。逆に、ハンドル54を逆方向に回転させることでネジ部材52も逆方向に回転し、右ネジ51と一体の取付部60と左ネジ53と一体の第3の筒部30とを互いに遠ざける。すなわち、伸縮機構50は軸線方向に伸びる。
【0023】
あるいは、伸縮機構50は、図2(b)に示すように、ナット部70を手やトルクレンチ(スパナ)で正方向/逆方向に回転させることによって伸縮するように構成することもできる。具体的には、ナット部70はネジ部材52と同軸上に取り付けられている。
【0024】
そうすると、ナット部70を手又はトルクレンチ(スパナ)等で正方向/逆方向に回転させることで、連動して同軸上のネジ部材52が回転する。例えば、ナット部70を正方向に回転させることでネジ部材52も正方向に回転し、右ネジ51と一体の取付部60と左ネジ53と一体の第3の筒部30とを互いに近づける。すなわち、伸縮機構50は軸線方向に縮む。逆に、ナット部70を逆方向に回転させることでネジ部材52も逆方向に回転し、右ネジ51と一体の取付部60と左ネジ53と一体の第3の筒部30とを互いに遠ざける。すなわち、伸縮機構50は軸線方向に伸びる。
【0025】
そして、実施例の雨戸用の治具Mを用いて、図3図5に示すような雨戸Sを構築することができる。以下、雨戸の構築方法について説明する。
【0026】
(構築方法1:外壁面より突出した既設窓に雨戸を構築する場合)
次に、雨戸の構築方法について説明する。まず、雨戸用の治具Mを用いて、外壁面より突出した既設窓に雨戸を構築する場合について説明する。この場合、工程として、以下の(1)-(6)の工程を要する。
【0027】
(1)1対の雨戸用の治具M、Mを既設窓Wの対角位置に配置する工程
調整代を確保するために、事前に伸縮機構50を最大限に伸ばしておくことが好ましい。この工程(1)と次の工程(2)、(3)は、同時並行的に実施される。
【0028】
(2)1対の雨戸用の治具M、Mの第3の筒部30、30の間に共通して1本の角材93を挿入・固定する工程
この工程では、概略寸法に切断した斜めの角材93を治具M、Mの第3の筒部30に挿入した状態で、孔31を介して釘やビス等によって固定する。
【0029】
(3)掛止部13、23を既設窓Wの枠の外側に引っ掛ける工程
この工程では、掛止部13、23に内向きに取り付けられたガスケット14、24を既設窓Wの外側に引っ掛ける。この際、伸縮機構50を用いて仮留めすることが好ましい。
【0030】
(4)伸縮機構50を縮めることで角材93の軸線方向に引張力を作用させる工程
この工程では、伸縮機構50のハンドル54を手で回したり、ナット部70を手やスパナ等で回したりすることで、伸縮機構50を縮めて引張力を作用させる。所定のトルクで締め付けるために、トルクレンチ等でトルクを管理することが好ましい。この引張力を作用させる工程は、次の工程(5)の前の仮止め工程と、次の工程(5)の後の本締め工程と、に分けることが好ましい。
【0031】
(5)第1の筒部10、10及び第2の筒部20、20に4本の角材91、91、92、92を挿入・固定する工程
各筒部10、20にそれぞれ角材91、92を挿入して、孔31を介して釘やビスによって固定する。さらに、角材91~93どうしを互いにビス留めすることが好ましい。
【0032】
(6)5本の角材91~93に面材94を固定する工程
最後に、5本の角材91~93や雨戸用の治具Mに、面材94を孔32を介して釘やビスによって固定する。ここにおいて、面材94としては、合板、アクリル板、ポリカーボネート板等を用いることができる。例えば、被災中の住宅であっても外部から室内を見通すことができるように、透明なアクリル板やポリカーボネート板を用いることが好ましい。
【0033】
上述したように、既設の窓Wが外壁面よりも外側にはみ出している場合には、はみ出た部分の外側に雨戸用の治具M、Mを対角線上に引っ掛けたうえで、図5(a)に示すように、斜めの部材を縮めて引張力を作用させることによって、雨戸用の治具Mとともに角材91~93を窓Wに対して固定する。その後、固定された角材91~93に面材94を固定することによって、雨戸Sが完成する。
【0034】
(構築方法2:外壁面より引き込まれた(控えた)既設窓に雨戸を構築する場合)
次に、雨戸用の治具Mを用いて、外壁面より引き込まれた既設窓に雨戸を構築する場合について説明する。この場合、工程として、以下の(1)-(6)の工程を要する。上述の構築方法1の工程と同様の工程については説明を省略する。
(1)1対の雨戸用の治具M、Mを既設窓Wの対角位置に配置する工程
調整代を確保するために、事前に伸縮機構50を最大限に縮めておくことが好ましい。
(2)1対の雨戸用の治具M、Mの第3の筒部30、30の間に共通して1本の角材93を挿入・固定する工程
(3)雨戸用の治具M、Mを既設窓Wの枠の内側に載置する工程
(4)伸縮機構50を伸ばすことで角材93の軸線方向に圧縮力を作用させる工程
この工程では、伸縮機構50のハンドル54を手で回したり、ナット部70を手やスパナ等で回したりすることで、伸縮機構50を伸ばして圧縮力を作用させる。所定のトルクで締め付けるために、トルクレンチ等でトルクを管理することが好ましい。この圧縮力を作用させる工程は、次の工程(5)の前の仮止め工程と、次の工程(5)の後の本締め工程と、に分けることが好ましい。
(5)第1の筒部10、10及び第2の筒部20、20に4本の角材91、91、92、92を挿入・固定する工程
(6)5本の角材91~93に面材94を固定する工程
【0035】
上述したように、既設の窓Wが外壁面よりも内側に引き込まれている場合には、内側に雨戸用の治具M、Mを載置したうえで、図5(b)に示すように、斜めの部材を対角線上に伸ばして圧縮力を作用させることによって、雨戸用の治具Mとともに角材91~93を窓Wに対して固定する。その後、固定された角材91~93に面材94を固定することによって、雨戸Sが完成する。
【0036】
(効果)
次に、本実施例の雨戸用の治具Mの奏する効果を列挙して説明する。
【0037】
(1)上述してきたように、本実施例の雨戸用の治具Mは、角材91が挿入される第1の筒部10と、角材92が挿入される第2の筒部20であって、第1の筒部10に直交して略L字形状をなすように一体に形成される、第2の筒部20と、93角材が挿入される第3の筒部30であって、第1の筒部10及び第2の筒部20に対して回転可能に形成される、第3の筒部30と、を備えている。このような構成であれば、この雨戸用の治具Mに角材91~93を挿入し、角材91~93に面材94を取り付けることによって、比較的に強度が高く、外壁を傷つけることなく簡易に取り付けることができる雨戸Sを提供することができる。
【0038】
そのため、比較的に予測可能な災害に対して、あらかじめ雨戸Sを設置しておくことによって、窓Wを守ることができる。また、被災後には、応急処置用の簡易窓としても使用することができる。さらに、前面に設置する面材94として強度の高い部材を用いることによって、窓Wを強固に保護することができる。
【0039】
(2)また、第3の筒部30に挿入される角材93の軸線方向に伸縮して、第3の筒部30に挿入される角材93に軸線方向の圧縮力又は引張力を作用させる、伸縮機構50をさらに備えることが好ましい。このように伸縮機構50を備えることで、窓Wや外壁を傷つけることなく、雨戸Sをより強固に窓Wに固定できる。
【0040】
(3)さらに、第1の筒部10、第2の筒部20、及び、第3の筒部30には、挿入された角材91~93を所望の位置に固定するための複数の取付孔11、21、31、・・・が、長さ方向に間隔を空けて形成されているため、角材91~93を強固に固定できるうえ、任意の様々な長さの角材91~93を固定しやすくなる。
【0041】
(4)また、第1の筒部10又は第2の筒部20の少なくともいずれか一方は、末端が開口されており、挿入された角材91、92が貫通できるようにされているため、角材91、92の端部を筒部10、20から出しておくことができるため、角材91、92の長さを正確に計測することなく、簡易かつ迅速に角材91、92を挿入及び固定できる。
【0042】
(5)さらに、第1の筒部10及び第2の筒部20は、直交する第1の筒部10と第2の筒部20によってなす平面の面外に突出する掛止部13、23をさらに有し、掛止部13、23にはガスケット14、24が設置されていることによって、既設窓Wを外側からしっかりと保持できる。
【0043】
(6)そして、本実施例の雨戸Sは、既設窓Wにおいて対角位置に配置された1対の雨戸用の治具M、Mであって、上述したいずれかの1対の雨戸用の治具M、Mと、第1の筒部10、10のそれぞれに挿入・固定された角材91、91と、第2の筒部20、20のそれぞれに挿入・固定された角材92、92と、対向する第3の筒部30、30の間に共通して挿入・固定された角材93と、角材91~93に固定された面材94と、を備えている。このような構成であれば、比較的に強度が高く、外壁を傷つけることなく簡易に取り付けることができる雨戸Sとなる。
【0044】
(7)そして、本実施例の雨戸の構築方法は、上述した(5)の雨戸用の治具Mを用いて、外壁面より突出した既設窓Wに雨戸Sを構築する、雨戸の構築方法である。この雨戸の構築方法は、以下の各工程から構成される。すなわち、雨戸の構築方法は、以下の6つの工程を備えている。
・1対の雨戸用の治具M、Mを既設窓Wの対角位置に配置する工程。
・1対の雨戸用の治具M、Mの第3の筒部30、30の間に共通して角材93を挿入・固定する工程。
・掛止部13、23を既設窓Wの枠の外側に引っ掛ける工程。
・伸縮機構50を縮めることで角材93の軸線方向に引張力を作用させる工程。
・第1の筒部10及び第2の筒部20に角材91、92を挿入・固定する工程。
・角材91~93に面材94を固定する工程。
このような構築方法によれば、外壁面より突出した既設窓Wに、比較的に強度が高く、外壁を傷つけることなく簡易に取り付けることができる雨戸Sを構築できる。
【0045】
(8)そして、本実施例の雨戸の構築方法は、上述した(2)-(5)の雨戸用の治具Mを用いて、外壁面より引き込まれた既設窓Wに雨戸Sを構築する、雨戸の構築方法である。この雨戸の構築方法は、以下の各工程から構成される。すなわち、雨戸の構築方法は、以下の6つの工程を備えている。
・1対の雨戸用の治具M、Mを既設窓Wの対角位置に配置する工程。
・1対の雨戸用の治具M、Mの第3の筒部30、30の間に共通して角材93を挿入・固定する工程。
・雨戸用の治具M、Mを既設窓Wの枠の内側に載置する工程。
・伸縮機構50を伸ばすことで角材93の軸線方向に圧縮力を作用させる工程。
・第1の筒部10及び第2の筒部20に角材91、92を挿入・固定する工程。
・角材91~93に面材94を固定する工程。
このような構築方法によれば、外壁面より引き込まれた(控えた)既設窓Wに、比較的に強度が高く、外壁を傷つけることなく簡易に取り付けることができる雨戸Sを構築できる。
【0046】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0047】
例えば、実施例では、雨戸用の治具Mを金属製であるものとして説明したが、金属製に限定されるものではなく、例えば、セラミック製であってもよいし、高強度の合成樹脂製であってもよい。
【0048】
また、雨戸用の治具Mの実際の配置は、実施例で説明した配置に限定されるものではない。具体的には、図6(a)-(c)に示すように、多様な配置とすることができる。とりわけ、図6(c)に示すように、既設窓Wが大きい(面積が広い)場合には、雨戸用の治具Mを4つ使うこともできる。この場合、面材94を固定する便宜上、斜めの角材93が交差しないように、2本の斜めの角材93、93の端部を残りの1本の斜めの角材93に当接させてビス等によって固定することが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
10 :第1の筒部
10a :挿入部; 11 :孔; 12 :孔;
13 :掛止部; 14 :ガスケット
20 :第2の筒部
20a :挿入部; 21 :孔; 22 :孔;
23 :掛止部; 24 :ガスケット
30 :第3の筒部
30a :挿入部; 31 :孔; 32 :孔
41 :ブラケット; 42 :回転軸
50 :伸縮機構
51 :右ネジ; 52 :ネジ部材; 53 :左ネジ
54 :ハンドル; 55 :ウォーム; 56 :ウォーム歯車
60 :取付部; 61 :取付孔
70 :ナット部
91 :角材; 92 :角材; 93 :角材; 94 :面材
M :治具
S :雨戸
W :既設窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6