(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098554
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ケース体及び、これを用いた表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20220627BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G01D11/24 B
G01D11/24 A
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211989
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桑原 達也
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA11
3D344AA23
3D344AB01
3D344AB03
3D344AB07
3D344AC09
3D344AD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】防曇剤などの液剤を透視部に塗布する際に、ゴミの発生を低減することができるケース及び、これを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】ケース体100は、平板状の透光性の透視部10と、透視部10の外周に形成され透視部10の法線方向に突出する側壁部22と、を有するケース体100において、側壁部22は、2個のケース体100を側壁部22の端部23で重ね合わせた時に、密閉されるように基準線を基準に対称形状に形成され、端部23は、2個のケース体100を端部23で重ね合わせた時に、1個の孔26となるように透視部10側に半孔状に凹んだ凹部26を有し、透視部10は、側壁部22の突出する方向の面11に膜部を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の透光性の透視部と、
前記透視部の外周に形成され前記透視部の法線方向に突出する側壁部と、を有するケース体において、
前記側壁部は、2個の前記ケース体を前記側壁部の端部で重ね合わせた時に、密閉されるように基準線を基準に対称形状に形成され、
前記端部は、2個の前記ケース体を前記端部で重ね合わせた時に、1個の孔となるように前記透視部側に半孔状に凹んだ凹部を有し、
前記透視部は、前記側壁部の突出する方向の面に膜部を有することを特徴とするケース体。
【請求項2】
前記ケース体は、前記法線方向に突出する嵌合部と、前記基準線を基準に前記嵌合部と対称位置に形成される被嵌合部と、を有し、
前記ケース体は2個の前記ケース体を前記端部で重ね合わせた時に、前記嵌合部と前記被嵌合部とが嵌合することを特徴とする請求項1に記載のケース体。
【請求項3】
前記膜部は液剤が塗布され、前記液剤は防曇剤であることを特徴とする請求項3に記載のケース体。
【請求項4】
請求項2又は3のいずれかに記載の前記ケース体と、
前記ケース体の前記側壁部と嵌合する第2のケース体と、
前記ケース体と前記第2のケース体とにより形成される筐体の内部に収容される表示部と、回路基板と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記被嵌合部は、前記回路基板を位置決めすることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記嵌合部は、前記回路基板を固定具で固定することを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、透視部を有するケース体及び、これを用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、四輪車,二輪車等の車両に搭載される表示装置(所謂、計器装置)が種々提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。計器装置は、指示計器をケース体に収容し、このケース体に見返し部材及び透視部材を設けたものである。指示計器は、指標部が印刷形成された文字板と、この文字板を指示する指針と、指針を回転させる指針駆動手段とを有するものであり、車速,エンジン回転数等の物理量を表示する。透視部材の後面には、PVA(ポリビニルアルコール)系の防曇剤等からなる液剤を塗布して防曇膜を形成し、透視部材が結露によって曇ることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の液剤は、透視部材に刷毛等で塗布していたが、液剤の特性上、スプレー塗布が推奨となるものがある。
図6に示すように、液材EをノズルNを使用してスプレーで塗布する場合は、ケース体Kの外面K1への付着を防止するために治具Jを使用する必要がある。しかしながら、治具Jの着脱時にゴミ等が生じ、このゴミ等がケース体Kの透視部材K2の液剤膜面K3に付着するといった問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に対して対処するため、防曇剤などの液剤を透視部に塗布する際に、ゴミの発生を低減することができるケース及び、これを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のケース体100は、平板状の透光性の透視部10と、前記透視部10の外周に形成され前記透視部10の法線方向に突出する側壁部22と、を有するケース体100において、前記側壁部22は、2個の前記ケース体100を前記側壁部22の端部23で重ね合わせた時に、密閉されるように基準線Xを基準に対称形状に形成され、前記端部23は、2個の前記ケース体100を前記端部23で重ね合わせた時に、1個の孔26aとなるように前記透視部10側に半孔状に凹んだ凹部26を有し、前記透視部10は、側壁部22の突出する方向の面11に膜部900を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の表示装置は、前記ケース体100と、前記ケース体100の前記側壁部22と嵌合する第2のケース体200と、前記ケース体100と前記第2のケース体200とにより形成される筐体の内部に収容される表示部300と、回路基板400と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の実施形態による上ケース100の裏面斜視図。
【
図3】本発明の上ケース100を2個重ね合わせた図。
【
図4】
図3のA-A線に沿った断面図及び、液剤のスプレー塗布を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1乃至5に基づいて、本開示の表示装置を車両に搭載される車両用の計器装置Dに適用した場合を例に挙げて説明する。尚、本開示は、計器装置Dに関し、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される計器装置に適用することができる。
【0010】
以下の説明において、「前面側」は、
図1における上側(透視部10側)であり視認者(運転者)に視認される側を意味する。「背(後)面側」は、
図1における下側(回路基板400側)を意味する。
【0011】
以下、本開示の表示装置の第1の実施形態を説明する。
図1,2に示すように、表示装置は、上ケース(ケース体)100と、下ケース(第2のケース体)200と、表示器(表示部)300と、回路基板400と、から主に構成される。
【0012】
上ケース100は、
図1及び
図2に示すように、背面側が開口した略円柱体の箱型形状に形成される。上ケース100は、透視部10と、枠部20と、を有する。上ケース100は、成形済の部品である透視部10を成形金型内にインサート部材として配置し、枠部20を成形するインサート成形により形成される。
【0013】
透視部10は、透光性の略平板状の合成樹脂からなる。上ケース100は、後述する側壁部22の突出する方向の面である透視部10の内面(面)11にPVA(ポリビニルアルコール)系の防曇剤等からなる液剤が塗布された防曇膜(膜部)900を有し、透視部材が結露によって曇ることを防止している。
【0014】
枠部20は、黒色等の遮光性の合成樹脂からなり、透視部10の外周に形成される。枠部20は、透視部10の外周に形成される前面部21と、前面部21から透視部10の背後の略法線方向に延出する側壁部22と、を有する。前面部21は、2個のボス部(嵌合部)24と、2個のピン部(被嵌合部)25と、を有する。側壁部22は、
図2の中心線(基準線)Xを基準に対称形状に形成される。側壁部22は、先端の端面(端部)23に、前面側(透視部側)に半円形状(半孔状)に凹んだ半円凹部(凹部)26を有する。半円凹部26は、中心線Yと直交する中心線X上に形成される。
【0015】
ボス部24は、且つ、前面部21の背面21aから背後の透視部10の略法線方向に突出する中空の円柱形状に形成される。ボス部24は、回路基板400に当接する長さに形成される。ピン部25は、前面部21の背面21aから背後に突出する中実の円柱状部である。
【0016】
ピン部25は、回路基板400に設けられる位置決め孔401に挿入される長さに形成される。回路基板400は、ピン部25と位置決め孔401が嵌合することで、上ケース100に位置決め固定される。ピン部25は、ボス部24の中空部分である孔部24aに挿入可能な直径に形成される。ボス部24とピン部25とは、中心線Xを基準に対称位置に形成されると共に、中心線Yを基準に対称位置に形成される。
【0017】
下ケース200は、黒色等の遮光性の合成樹脂からなり、背面側が開口した略円柱体の箱型形状に形成される。下ケース200は、上ケース100の側壁部22と嵌合することで閉じられた筐体を形成する。この筐体の内部に、表示器300と回路基板400とを収容する。下ケース200は、孔を有する凹部201を有する。凹部201は、ボス部24に対向する位置の外壁が前面側に突出し形成される。凹部201は、回路基板400に当接する。
【0018】
回路基板400は、ネジ(固定具)600が凹部201の孔に背後から挿入され、回路基板400の孔部402を貫通し、ボス部24の孔部24aに螺合することで、ボス部24と凹部201とに挟持固定される。下ケース200は、図示しないが、上ケース100と嵌合した時に、前面側に半円形状で突出し半円凹部26を埋めるように嵌合する形状の突出部を有する。
【0019】
表示器300は、上ケース100の透視部10の背後且つ、回路基板400上に配置される。表示器300は、背後に複数のボス部301を有し、このボス部301に回路基板400の背後から挿入されるネジ500が螺合し、回路基板400に固定される。表示器300は、表示部302を有し、この表示部302で前面側へ各種車両情報を表示する。表示部302は、透視部10を透過し視認者に視認される。
【0020】
表示器300は、例えば、以下図示しない液晶パネルと、液晶パネルを照明する光源や反射シートや導光板や各種光学シートからなる光源手段と、液晶パネルと光源手段を収容する樹脂や金属からなるフレーム体と、からなる周知の液晶表示ユニットである。
【0021】
液晶パネルは、内側にITO(Indium Tin Oxide)等により透明電極が形成された前後一対のガラス基板の内側に液晶材を封入し、両ガラス基板の外側に偏光板(偏光フィルタ)が貼り付けられて形成されるTFT(Thin Film Transistor)方式のノーマリーブラックタイプ(電圧非印加時、黒表示)の周知の液晶パネルである。
【0022】
表示器300は、一辺に図示しないFPC(Flexible Printed Circuits)が接続される。FPCは、表示器300と回路基板400とを電気的に接続(導通接続)し、回路基板400からの電気信号を表示器300に導き、表示器300の表示部302に情報を表示させる。
【0023】
回路基板400は、例えばFR-4(Flame Retardant-4)等の平板状のガラスエポキシ系基材に配線パターンを施した硬質配線基板からなり、表示器300と下ケース200との間に位置する。回路基板400は、表示器300を駆動・制御するための駆動回路や、車両を含む外部から各種信号や電源を入力するコネクタなどの電子部品を実装する。
【0024】
図3に示すように、2個の上ケース100の端面23を、それぞれ半円凹部26の位置を一致させて丸孔(孔)26aが形成されるように重ね合わせると、丸孔26a以外が密閉された筐体となる。その後、
図4に示すように、丸孔26aにノズル700を挿入し、防曇剤をスプレーすると、2個の上ケース100の透視部10の内面11に防曇剤が塗布され、内面11に防曇膜900が形成される。また、上記のように2個の上ケース100を重ね合わせると、それぞれの2個のピン部25が相手側の上ケース100のボス部24に挿入され嵌合する。
【0025】
このように形成されることで、防曇剤などの液剤を透視部10に塗布する際に治具を使う必要が無いので、治具の着脱に伴うゴミの発生を防止することができる。また、相互の端面23のズレを防止することができる。また、1度のスプレーで2個の上ケース100に防曇膜900を形成することができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0027】
例えば、防曇膜900は、防曇剤であったが、反射防止剤(ARコート)であったり、クリアー塗料であってもよい。また、枠部20は、遮光性の合成樹脂であったが、半透光性の合成樹脂であってもよい。また、透視部10と枠部20とはインサート成形により形成されていたが、同じ材料で一体に形成されてもよい。表示器300は、液晶表示ユニットであったが、指針と文字板などからなる周知のアナログ表示器であっても良い。
【符号の説明】
【0028】
100 上ケース(ケース体)
10 透視部
11 内面(面)
20 枠部
21 前面部
22 側壁部
23 端面(端部)
24 ボス部(嵌合部)
25 ピン部(被嵌合部)
26 半円凹部(凹部)
26a 丸孔(孔)
200 下ケース(第2のケース体)
201 凹部
X 中心線(基準線)
Y 中心線
300 表示器(表示部)
301 ボス部
302 表示部
400 回路基板
401 位置決め孔
402 孔部
500 ネジ
600 ネジ(固定具)
700 ノズル
900 防曇膜(膜部)