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特開2022-98594加熱調理器の製造方法および加熱調理器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098594
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】加熱調理器の製造方法および加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
F24C15/00 S
F24C15/00 D
F24C15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212064
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】大政 博暉
(72)【発明者】
【氏名】石川 善克
(57)【要約】
【課題】操作部(操作表示部)に関連する部分以外の部分における構成を共通化して、生産性、信頼性に優れた加熱調理器を効率よく製造することが可能な加熱調理器の製造方法および加熱調理器を提供する。
【解決手段】操作表示部20と制御部30のそれぞれに集積回路70、80を設け、加熱調理器の仕様に関係なく、共通の電線数で構成した接続ケーブル130を使用して、制御部と操作表示部とを接続することができるようにするとともに、接続ケーブル130を、操作表示部の取り付けの態様が固定式である場合と可動式(収納式)である場合のいずれの場合にも共通で使用することが可能な共通ケーブル131と、操作表示部が固定式の場合と可動式の場合とで個別に用いられる専用の個別ケーブル132に分けることで、操作表示部に関連する部分以外の部分における仕様の共通化を図り、生産性を向上させるとともに、信頼性を向上させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、
前記機器本体に配設され、被加熱調理物を直接に加熱し、あるいは、調理用容器に入れた被加熱調理物を間接に加熱するために用いられる加熱手段と、
前記機器本体の内部に配設され、前記加熱手段による前記被加熱調理物への加熱を制御するための制御部と、
前記制御部に対して、前記被加熱調理物を所定の加熱方法で調理する調理メニューを設定するための調理メニュー設定手段を含む操作部と、前記操作部により設定された情報を表示するための表示手段を含む表示部とを備えた操作表示部と、
前記制御部と前記操作表示部とを電気的に接続する接続ケーブルとを備えた加熱調理器の製造方法であって、
前記接続ケーブルによって互いに通信を行うことができるように、前記制御部と前記操作表示部のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路を設け、
前記接続ケーブルを、中間接続部と、前記操作表示部と前記中間接続部を接続する個別ケーブルと、前記中間接続部と前記制御部を接続する共通ケーブルとを備えた構成とし、
前記機器本体が、前面に固定された状態で前記操作表示部を備える固定式機器本体である場合には、前記操作表示部と前記中間接続部とを固定式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続するとともに、前記中間接続部と前記制御部とを前記共通ケーブルで接続し、
前記機器本体が、前面の内側から外側に繰り出された繰出状態と、前記繰出状態から前記前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在の状態で前記操作表示部を備える可動式機器本体である場合には、前記操作表示部と前記中間接続部とを可動式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続するとともに、前記中間接続部と前記制御部とを前記共通ケーブルで接続するように構成されていること
を特徴とする加熱調理器の製造方法。
【請求項2】
前記中間接続部が、前記操作表示部が配設されている領域と、それ以外の領域とを仕切る隔壁部に設けられ、
前記共通ケーブルの一方端部が前記制御部と接続され、他方端部が前記隔壁部に設けられた前記中間接続部の制御部側端子と接続されているとともに、
前記個別ケーブルの一方端部が前記操作表示部に接続され、他方端部が前記隔壁部に設けられた前記中間接続部の操作表示部側端子と接続されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱調理器の製造方法。
【請求項3】
前記共通ケーブルおよび前記個別ケーブルのそれぞれは、電力供給用電線と、信号入力用電線と、信号出力用電線の3つの電線によって構成されており、
前記信号入力用電線と、前記信号出力用電線の2つの電線で通信される電気信号が、デジタル信号であることを特徴とする、請求項1または2に記載の加熱調理器の製造方法。
【請求項4】
機器本体と、
前記機器本体に配設され、被加熱調理物を直接に加熱し、あるいは、調理用容器に入れた被加熱調理物を間接に加熱するために用いられる加熱手段と、
前記機器本体の内部に配設され、前記加熱手段による前記被加熱調理物への加熱を制御するための制御部と、
前記制御部に対して、前記被加熱調理物を所定の加熱方法で調理する調理メニューを設定するための調理メニュー設定手段を含む操作部と、前記操作部により設定された情報を表示するための表示手段を含む表示部とを備えた操作表示部と、
前記制御部と前記操作表示部とを電気的に接続する接続ケーブルとを備えた加熱調理器であって、
前記制御部と前記操作表示部のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路を設けることで、前記接続ケーブルによって互いに通信を行うことができるように構成され、
前記接続ケーブルは、中間接続部と、前記操作表示部と前記中間接続部を接続する個別ケーブルと、前記中間接続部と前記制御部を接続する汎用の共通ケーブルとを備えており、
前記機器本体が、前記操作表示部を、前面に固定された状態で備える固定式機器本体であり、
前記操作表示部と前記中間接続部とが、固定式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続され、
前記中間接続部と前記制御部とが、汎用の前記共通ケーブルで接続されていること
を特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
機器本体と、
前記機器本体に配設され、被加熱調理物を直接に加熱し、あるいは、調理用容器に入れた被加熱調理物を間接に加熱するために用いられる加熱手段と、
前記機器本体の内部に配設され、前記加熱手段による前記被加熱調理物への加熱を制御するための制御部と、
前記制御部に対して、前記被加熱調理物を所定の加熱方法で調理する調理メニューを設定するための調理メニュー設定手段を含む操作部と、前記操作部により設定された情報を表示するための表示手段を含む表示部とを備えた操作表示部と、
前記制御部と前記操作表示部とを電気的に接続する接続ケーブルとを備えた加熱調理器であって、
前記制御部と前記操作表示部のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路を設けることで、前記接続ケーブルによって互いに通信を行うことができるように構成され、
前記接続ケーブルは、中間接続部と、前記操作表示部と前記中間接続部を接続する個別ケーブルと、前記中間接続部と前記制御部を接続する汎用の共通ケーブルとを備えており、
前記機器本体が、前記操作表示部を、前面の内側から外側に繰り出された繰出状態と、前記繰出状態から前記前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在に備える可動式機器本体であり、
前記操作表示部と前記中間接続部とが、可動式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続され、
前記中間接続部と前記制御部とが、汎用の前記共通ケーブルで接続されていること
を特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器の製造方法および加熱調理器に関し、詳しくは、制御部に対して調理メニューを設定するための設定手段などの操作部と、操作部により設定された情報を表示するための表示手段を含む表示部とを備えた操作表示部を有する加熱調理器の製造方法および加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器には、搭載している加熱手段によって、被加熱調理物を、所定の加熱方法で加熱調理するための調理メニューを、複数個備えているものがある。
【0003】
そして、そのような加熱調理器は、通常、使用者が、用意されている複数個の調理メニューの中から希望する調理メニューを選択するための操作部を備えている。
【0004】
操作部の配設態様としては、加熱調理器を構成する機器本体の前面に固定的に配置された固定式のものと、不使用時には機器本体内に収納することが可能で、使用時には機器本体の内部から本体前面側に繰り出すことが可能な、可動式(収納式)のものがある。
【0005】
特許文献1に記載されているガスコンロは、固定式の操作部を備えており、 特許文献2に記載されているグリル付きガスコンロは、可動式(収納式)の操作部を備えている。
【0006】
特許文献1に記載されているような固定式のものは、調理中の煮こぼれが付着して汚染するおそれがあり、防汚性が課題となる場合があるが、可動部がなく製造コストを低減することができるという特徴を備えている。
【0007】
また、特許文献2に記載されているような可動式(収納式)のものは、可動部を備えているため、固定式のものの場合よりもコストはかかるが、使用しないときに操作部が本体内に収納されているため、固定式のものより、美観や防汚性に優れているという特徴がある。
【0008】
なお、固定式のもの、可動式のものに限らず、操作部には、通常、LEDなどを使用した表示部が一体的に配設されていることが多く、その場合、操作部は表示部も兼ねた、操作表示部として機能することになる。
【0009】
また、操作部(操作表示部)が、固定式のものであると、可動式のものであるとにかかわらず、加熱調理器は、通常、機器本体内に、加熱調理器の動作を電気的に制御する制御部を備えており、操作部(操作表示部)と制御部とは、接続ケーブルにより接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-219066号公報
【特許文献2】特開2006-204769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の加熱調理器においては、制御部と操作部(操作表示部)との間の電気信号の送受信には、アナログ式に行われていたことから、操作部(操作表示部)の仕様(例えば、調理メニューの数やタイマー表示部の数など)が異なると、接続ケーブルを構成する電線の数が異なることになるため、操作部(操作表示部)の仕様により、種類の異なった接続ケーブルが必要となり、製造工程が複雑になるという課題があった。
【0012】
また、操作部(操作表示部)が可動式(収納式)の場合、固定式の場合よりも長い接続ケーブルが必要になり、さらに多くの種類の接続ケーブルが必要になるという課題があった。
【0013】
本発明は、仕様の異なる加熱調理器において、操作表示部に関連する部分以外の部分における構成を共通化して、信頼性の高い加熱調理器を効率よく製造することが可能な加熱調理器の製造方法および該製造方法により製造することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の加熱調理器の製造方法は、
機器本体と、
前記機器本体に配設され、被加熱調理物を直接に加熱し、あるいは、調理用容器に入れた被加熱調理物を間接に加熱するために用いられる加熱手段と、
前記機器本体の内部に配設され、前記加熱手段による前記被加熱調理物への加熱を制御するための制御部と、
前記制御部に対して、前記被加熱調理物を所定の加熱方法で調理する調理メニューを設定するための調理メニュー設定手段を含む操作部と、前記操作部により設定された情報を表示するための表示手段を含む表示部とを備えた操作表示部と、
前記制御部と前記操作表示部とを電気的に接続する接続ケーブルとを備えた加熱調理器の製造方法であって、
前記接続ケーブルによって互いに通信を行うことができるように、前記制御部と前記操作表示部のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路を設け、
前記接続ケーブルを、中間接続部と、前記操作表示部と前記中間接続部を接続する個別ケーブルと、前記中間接続部と前記制御部を接続する共通ケーブルとを備えた構成とし、
前記機器本体が、前面に固定された状態で前記操作表示部を備える固定式機器本体である場合には、前記操作表示部と前記中間接続部とを固定式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続するとともに、前記中間接続部と前記制御部とを前記共通ケーブルで接続し、
前記機器本体が、前面の内側から外側に繰り出された繰出状態と、前記繰出状態から前記前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在の状態で前記操作表示部を備える可動式機器本体である場合には、前記操作表示部と前記中間接続部とを可動式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続するとともに、前記中間接続部と前記制御部とを前記共通ケーブルで接続するように構成されていること
を特徴としている。
【0015】
本発明の加熱調理器の製造方法においては、前記中間接続部が、前記操作表示部が配設されている領域と、それ以外の領域とを仕切る隔壁部に設けられ、
前記共通ケーブルの一方端部が前記制御部と接続され、他方端部が前記隔壁部に設けられた前記中間接続部の制御部側端子と接続されているとともに、
前記個別ケーブルの一方端部が前記操作表示部に接続され、他方端部が前記隔壁部に設けられた前記中間接続部の操作表示部側端子と接続されるように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、前記共通ケーブルおよび前記個別ケーブルのそれぞれは、電力供給用電線と、信号入力用電線と、信号出力用電線の3つの電線によって構成されており、
前記信号入力用電線と、前記信号出力用電線の2つの電線で通信される電気信号が、デジタル信号であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の第1の加熱調理器は、
機器本体と、
前記機器本体に配設され、被加熱調理物を直接に加熱し、あるいは、調理用容器に入れた被加熱調理物を間接に加熱するために用いられる加熱手段と、
前記機器本体の内部に配設され、前記加熱手段による前記被加熱調理物への加熱を制御するための制御部と、
前記制御部に対して、前記被加熱調理物を所定の加熱方法で調理する調理メニューを設定するための調理メニュー設定手段を含む操作部と、前記操作部により設定された情報を表示するための表示手段を含む表示部とを備えた操作表示部と、
前記制御部と前記操作表示部とを電気的に接続する接続ケーブルとを備えた加熱調理器であって、
前記制御部と前記操作表示部のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路を設けることで、前記接続ケーブルによって互いに通信を行うことができるように構成され、
前記接続ケーブルは、中間接続部と、前記操作表示部と前記中間接続部を接続する個別ケーブルと、前記中間接続部と前記制御部を接続する汎用の共通ケーブルとを備えており、
前記機器本体が、前記操作表示部を、前面に固定された状態で備える固定式機器本体であり、
前記操作表示部と前記中間接続部とが、固定式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続され、
前記中間接続部と前記制御部とが、汎用の前記共通ケーブルで接続されていること
を特徴としている。
【0018】
また、本発明の第2の加熱調理器は、
機器本体と、
前記機器本体に配設され、被加熱調理物を直接に加熱し、あるいは、調理用容器に入れた被加熱調理物を間接に加熱するために用いられる加熱手段と、
前記機器本体の内部に配設され、前記加熱手段による前記被加熱調理物への加熱を制御するための制御部と、
前記制御部に対して、前記被加熱調理物を所定の加熱方法で調理する調理メニューを設定するための調理メニュー設定手段を含む操作部と、前記操作部により設定された情報を表示するための表示手段を含む表示部とを備えた操作表示部と、
前記制御部と前記操作表示部とを電気的に接続する接続ケーブルとを備えた加熱調理器であって、
前記制御部と前記操作表示部のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路を設けることで、前記接続ケーブルによって互いに通信を行うことができるように構成され、
前記接続ケーブルは、中間接続部と、前記操作表示部と前記中間接続部を接続する個別ケーブルと、前記中間接続部と前記制御部を接続する汎用の共通ケーブルとを備えており、
前記機器本体が、前記操作表示部を、前面の内側から外側に繰り出された繰出状態と、前記繰出状態から前記前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在に備える可動式機器本体であり、
前記操作表示部と前記中間接続部とが、可動式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続され、
前記中間接続部と前記制御部とが、汎用の前記共通ケーブルで接続されていること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法にかかる加熱調理器は、上述のように、制御部と操作表示部のそれぞれに集積回路を設けるようにしているので、加熱調理器の仕様に関係なく、共通の電線数で構成した接続ケーブルを使用して、制御部と操作表示部とを接続することが可能になる。また、接続ケーブルを、操作表示部の取り付けの態様が固定式であると可動式(収納式)であるとを問わずに、共通で使用することが可能な共通ケーブルと、操作表示部が固定式の場合と可動式の場合とで個別に用いられる専用の個別ケーブルとに分けるようにしているので、操作表示部に関連する部分以外の部分における仕様の共通化を図り、生産性を向上させることが可能になるとともに、制御部と操作表示部とが適切な接続ケーブルによって接続された信頼性の高い加熱調理器を効率よく製造することが可能になる。
【0020】
また、中間接続部を、操作表示部が配設されている領域と、それ以外の領域とを仕切る隔壁部に設け、共通ケーブルの一方端部が制御部と接続され、他方端部が隔壁部に設けられた中間接続部の制御部側端子と接続されているとともに、個別ケーブルの一方端部が操作表示部に接続され、他方端部が隔壁部に設けられた中間接続部の操作表示部側端子と接続されるように構成した場合、より確実に、操作表示部に関連する部分以外の部分における仕様の共通化を図ることが可能になり、信頼性の高い加熱調理器を、さらに効率よく製造することができる。
【0021】
また、共通ケーブルおよび個別ケーブルのそれぞれを、電力供給用電線と、信号入力用電線と、信号出力用電線の3つの電線によって構成するとともに、信号入力用電線と、信号出力用電線の2つの電線で通信される電気信号をデジタル信号とした場合(すなわち、デジタル信号よって通信するようにした場合)、制御部と操作表示部との間で、デジタルからアナログ、または、アナログからデジタルへの信号変換(AD変換回路やDA変換回路)を行うことが不要になり、電気回路の構成が簡潔で、信頼性が高い加熱調理器を、さらに効率よく製造することが可能になる。
【0022】
また、本発明の第1の加熱調理器は、上述のように構成されており、機器本体が、操作表示部を、前面に固定された状態で備える固定式機器本体であり、操作表示部と中間接続部とが、固定式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続され、中間接続部と制御部とが、汎用の共通ケーブルで接続されている。
このように構成した場合、操作表示部と中間接続部とを接続するケーブルとして、固定式機器本体用の個別ケーブル(例えば、長すぎることのない適切な長さを有するケーブル)を用いることが可能になり、機器本体内でケーブル(個別ケーブル)が絡まったり、邪魔になったりすることがなく、信頼性を向上させることが可能になるとともに、無用に長い接続ケーブルを用いることを回避して、コストの低減を図ることができるようになる。
【0023】
また、本発明の第2の加熱調理器は、上述のように構成されており、機器本体が、操作表示部を、繰出状態と、繰出状態から前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在に備える可動式機器本体であり、操作表示部と前記中間接続部とが、可動式機器本体用の専用の個別ケーブルで接続され、中間接続部と制御部とが汎用の共通ケーブルで接続されている。このように構成した場合、操作表示部が繰出状態と収納状態とのどちらの状態にある場合にも、確実に操作表示部と中間接続部とを接続することができるだけの適切な長さを備えた個別ケーブル(可動式機器本体用の個別ケーブル)を用いることが可能になり、接続信頼性が高く、かつ、無駄のない適切な接続ケーブルが用いられた、経済性に優れた加熱調理器を提供することが可能になる。
【0024】
なお、本発明にかかる第1および第2の加熱調理器は、上述の本発明にかかる加熱調理器の製造方法を適用することにより、効率よく、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態にかかる第1の加熱調理器を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかる第1の加熱調理器の操作表示部を示す図である。
図3】本発明の実施形態にかかる第1の加熱調理器の要部構成を模式的に示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図4】本発明の実施形態にかかる第1の加熱調理器の操作表示部と制御部との、接続ケーブルによる接続態様を示す図である。
図5A】本発明の実施形態にかかる第2の加熱調理器の、操作表示部を収納した状態を示す斜視図である。
図5B】本発明の実施形態にかかる第2の加熱調理器の、操作表示部を繰り出した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態にかかる第2の加熱調理器の操作表示部を示す図である。
図7】本発明の実施形態にかかる第2の加熱調理器の、操作表示部が収納状態にある場合における要部構成を模式的に示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図8】本発明の実施形態にかかる第2の加熱調理器の、操作表示部が繰出状態にある場合における要部構成を模式的に示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図9】本発明の実施形態にかかる第2の加熱調理器の、操作表示部が収納状態にある場合における操作表示部と制御部との、接続ケーブルによる接続態様を示す図である。
図10】本発明の実施形態にかかる第2の加熱調理器の、操作表示部が繰出状態にある場合における操作表示部と制御部との、接続ケーブルによる接続態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0027】
[実施形態]
本実施形態では、加熱調理器として、グリルが組み込まれたグリル付きガスコンロ(ビルトイン型のガスコンロ)を製造する場合の製造方法について説明する。
【0028】
以下の実施形態では、機器本体の前面に固定された状態で操作表示部を備える第1の加熱調理器A、および、繰出・収納自在の状態で操作表示部を備える第2の加熱調理器Bの構成について説明するとともに、第1の加熱調理器Aおよび第2の加熱調理器Bを効率よく製造するための製造方法について説明する。
【0029】
<第1の加熱調理器Aの構成>
第1の加熱調理器Aは、図1に示すように、被加熱調理物を加熱するための加熱手段であるコンロ部50(50A)とグリル部60(60A)を備えており、機器本体10として、その前面に操作表示部20(20A)が固定された状態で配設された構造を有する固定式機器本体10(10A)を備えている。なお、操作表示部(固定式操作表示部)20(20A)については以下に詳しく説明する。
【0030】
第1の加熱調理器Aのコンロ部50(50A)は、機器本体(固定式機器本体)10(10A)の上面の手前左側に配設された高火力バーナ1(1a)、手前右側に配設された標準バーナ1(1b)、および、奥側中央に配設された小火力バーナ1(1c)の3つのバーナ(コンロバーナ)を備えている。なお、標準バーナ1(1b)は、高火力バーナ1(1a)よりも火力の小さいバーナであり、小火力バーナ1(1c)は、高火力バーナ1(1a)および標準バーナ1(1b)よりも火力の小さいバーナである。
【0031】
また、トッププレート13上には、各バーナ(コンロバーナ)1上に載置される鍋などの被加熱物(調理容器)(図示せず)を受け止め、支持するための五徳51が配設されている。
【0032】
また、第1の加熱調理器Aの機器本体(固定式機器本体)10(10A)は、前方に開口41aを備え、被加熱物を開口41aから内部に収納する箱状に構成されたグリル庫41と、グリル庫41の前方に配置され、開口41aを開閉するグリル扉42とを備えている。
【0033】
また、グリル扉42には、グリル庫41内を透視するための、ガラス(強化ガラス)がはめ込まれたのぞき窓43(図1参照)が形成されている。
【0034】
さらに、各コンロバーナ1(1a、1b、1c)には、例えば、鍋やフライパンなどの調理容器(図示せず)の底に接触してその温度を検出するためのサーミスタからなる温度検出体(鍋底温度センサ)9が、コンロバーナ1(1a、1b、1c)の中央を貫通するように配設されている。
【0035】
そして、この温度検出体(鍋底温度センサ)9を備えたコンロバーナ1(1a、1b、1c)のうち、標準バーナ1(1b)は、炊飯、湯沸かし、揚げものなどの温調調理を行うことができるように構成されている。
【0036】
また、加熱調理器Aの前面の操作盤には、上述のコンロバーナ1(1a、1b、1c)のそれぞれの点火および消火を行うための点消火スイッチ11a、11b、11c、火力の調整を行うための火力調整レバー12a、12b、12cが配設されている。
【0037】
また、加熱調理器Aの前面の操作盤には、グリルバーナの点火および消火を行うための点消火スイッチ11d、火力の調整を行うための火力調整レバー12dが配設されている。
【0038】
また、グリル部60(60A)は、箱状のグリル庫41内に、グリルバーナとして、1つの上側バーナ(図示せず)と2つの下側バーナ(図示せず)が配設された構成とされており、魚などの被調理物を載置するための載置部として機能する焼き網44をグリル庫41内に備えている。
なお、本発明の加熱調理器においては、被加熱調理物は、鍋などの調理容器に入れられて加熱される場合があり、また、グリル庫内で直接に加熱される場合がある。
【0039】
さらに、加熱調理器Aの前面の操作盤の右側下部には、操作表示部(固定式操作表示部)20(20A)が配設されている。図2に示すように、この操作表示部(固定式操作表示部)20(20A)は、標準バーナ1bに対して調理の種類を設定する調理メニュー選択ボタン21a、コンロ調理の時間設定を行うためのタイマー設定ボタン21b、グリル調理の時間設定を行うためのタイマー設定ボタン21cなどの操作手段を含む操作部21、操作部21によって設定した情報や、調理温度、時間情報などの情報を表示するための表示手段22a、22b、22cなどを含む表示部22を備えた構成とされている。
ただし、本発明の加熱調理器において、操作表示部20(20A)の構成に特別の制約はなく、種々の構成とすることが可能である。
【0040】
また、図3図4に示すように、第1の加熱調理器Aの機器本体(固定式機器本体)10(10A)の内部には、加熱手段(コンロバーナやグリルバーナ)による被加熱調理物への加熱を制御するための制御部30(30A)が配設されている。
【0041】
さらに、本実施形態にかかる第1の加熱調理器Aにおいては、図4に示すように、操作表示部(固定式操作表示部)20(20A)と制御部30(30A)のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路70(70A)、80(80A)が配設されており、図3図4に示すように、制御部30(30A)と操作表示部20(20A)とを、接続ケーブル130によって電気的に接続することにより、制御部30(30A)と操作表示部20(20A)との間で、接続ケーブル130を介して、互いに通信を行うことができるように構成されている。
【0042】
そして、接続ケーブル130は、
(a)中間接続部140と、
(b)制御部30(30A)と中間接続部140を接続する共通ケーブル131と、
(c)操作表示部20(20A)と中間接続部140を接続する個別ケーブル132(132C1)とを備えた構成とされている。
【0043】
さらに詳しく説明すると、加熱調理器Aを構成する機器本体(固定式機器本体)10(10A)内には、操作表示部(固定式操作表示部)20(20A)が配設されている領域と、それ以外の領域とを仕切る隔壁部40が配設されており、隔壁部40には、中間接続部140が設けられている。
【0044】
そして、接続ケーブル130を構成する共通ケーブル(汎用ケーブル)131の一方端部131aが制御部30(30A)と接続され、共通ケーブル(汎用ケーブル)131の他方端部131bが隔壁部40に設けられた中間接続部140の制御部側端子140aと接続されている。
【0045】
なお、第1の加熱調理器Aにおいて用いられている共通ケーブル(汎用ケーブル)131は、後述する操作表示部が可動式の第2の加熱調理器Bにおいて用いられている共通ケーブル(汎用ケーブル)と同じものであり、構成の異なる第1の加熱調理器Aと、第2の加熱調理器Bに共通して用いられるケーブルであることから、共通ケーブル(汎用ケーブル)と称している。
【0046】
これに対し、接続ケーブル130を構成する個別ケーブル132(132C1)は、固定式の操作表示部20(20a)と中間接続部140とを接続するためのケーブル(操作表示部用個別ケーブル)であって、固定式の操作表示部20(20A)と、中間接続部140を接続するために必要な長さを備える一方で、大きなたるみが生じたりしないような適切な長さが与えられている。
この点で、後述する、操作表示部が可動式の第2の加熱調理器Bにおいて用いられている個別ケーブル132(132C2)とはその構成を異にしている。
【0047】
そして、接続ケーブル130を構成する個別ケーブル(すなわち、操作表示部用個別ケーブル)132(132C1)の一方端部132aは、操作表示部20(20A)に接続され、個別ケーブル(操作表示部用個別ケーブル)132(132C1)の他方端部132bは、隔壁部40に設けられた中間接続部140の操作表示部側端子140bと接続されている。
【0048】
また、本実施形態にかかる第1の加熱調理器Aにおいて、接続ケーブル130を構成する共通ケーブル(汎用ケーブル)131は、電力線(電力供給用電線)231aと、信号入力線(信号入力用電線)231bと、信号出力線(信号出力用電線)231cの3つの電線によって構成されている。
【0049】
また、個別ケーブル(操作表示部用個別ケーブル)132(132C1)も、電力線(電力供給用電線)232aと、信号入力線(信号入力用電線)232bと、信号出力線(信号出力用電線)232cの3つの電線によって構成されている。
【0050】
そして、共通ケーブル(汎用ケーブル)131および個別ケーブル(操作表示部用個別ケーブル)132(132C1)の信号入力線231b、232bと、信号出力線231c、232cを介して、制御部30(30A)と操作表示部(固定式操作表示部)20(20A)との間でデジタル信号の通信が行われるように構成されている。
【0051】
<第2の加熱調理器Bの構成>
第2の加熱調理器Bは、図5A図5Bに示すように、コンロ部50(50B)とグリル部60(60B)を備えている。そして、この第2の加熱調理器Bは、機器本体10として、その前面の内側から外側に繰り出された繰出状態と、繰出状態から前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在の状態で操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)を備える可動式機器本体10(10B)を備えている。なお、操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)については以下に詳しく説明する。
【0052】
この実施形態にかかる第2の加熱調理器Bのコンロ部50(50B)は、機器本体(可動式機器本体)10(10B)の上面の手前側の左右に配設された2つの標準バーナ1(1b1、1b2)、および、奥側の中央に配設された小火力バーナ1(1c)の3つのバーナ(コンロバーナ)を備えている。
なお、小火力バーナ1(1c)は、標準バーナ1(1b1、1b2)よりも火力の小さいバーナである。
【0053】
また、第2の加熱調理器Bは、上述の第1の加熱調理器Aと同様に、トッププレート13上に、各バーナ(コンロバーナ)1の上部に載置される鍋などの被加熱物(調理容器)(図示せず)を受け止め、支持するための五徳51を備えている。
【0054】
また、第2の加熱調理器Bは、上述の第1の加熱調理器Aと同様に、前方に開口41aを備え、被加熱物を開口41aから内部に収納する箱状に構成されたグリル庫41と、グリル庫41の前方に配置され、開口41a(図5B)を開閉するグリル扉42とを備えている。
【0055】
また、グリル扉42には、グリル庫41内を透視するための、ガラス(強化ガラス)がはめ込まれたのぞき窓43(図5A図5B参照)が形成されている。
【0056】
さらに、各コンロバーナ1(1b1、1b2、1c)には、例えば、鍋やフライパンなどの調理容器(図示せず)の底に接触してその温度を検出するためのサーミスタからなる温度検出体(鍋底温度センサ)9が、コンロバーナ1(1b1、1b2、1c)の中央を貫通するように配設されている。
【0057】
そして、この温度検出体(鍋底温度センサ)9を備えた2つの標準バーナ1(1b1、1b2)により、炊飯、湯沸かし、揚げものなどの温調調理を行うことができるように構成されている。
【0058】
また、グリル部60(60B)は、箱状のグリル庫41内に、グリルバーナとして、1つの上側バーナ(図示せず)と2つの下側バーナ(図示せず)が配設された構成とされており、魚などの被調理物を載置するための載置部として機能する焼き網44をグリル庫41内に備えている。
【0059】
また、第2の加熱調理器Bの前面の操作盤には、2つの標準バーナ1(1b1、1b2)、および、小火力バーナ1(1c)の3つのコンロバーナ1のそれぞれの点火および消火を行うための点消火スイッチ11b1、11b2および11c、火力の調整を行うための火力調整レバー12b1、12b2、12cが配設されている。
また、第2の加熱調理器Bの前面の操作盤には、グリルバーナの点火および消火を行うための点消火スイッチ11d、火力の調整を行うための火力調整レバー12dが配設されている。
【0060】
さらに、図5A図5Bに示すように、第2の加熱調理器Bは、前面の操作盤の右側下部に、前面の内側から外側に繰り出された繰出状態と、繰出状態から前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在の状態で配設された操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)を備えている。なお、図5Aは、操作表示部20(20B)が収納された収納状態、図5Bは、操作表示部20(20B)が繰り出された繰出状態を示している。
【0061】
この操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)は、図6に示すように、左側の標準バーナ1b1と右側の標準バーナ1b2のそれぞれに対して調理の種類を設定する調理メニュー選択ボタン21a、温度を設定するための温度設定ボタン21d、コンロ調理の時間設定を行うためのタイマー設定ボタン21b、グリル調理の時間設定を行うためのタイマー設定ボタン21c、プレートあたためを指示するプレートあたためボタン21eなどの操作手段を含む操作部21、操作部21によって設定した情報や、調理温度、時間情報などの情報を表示するための表示手段22a、22b、22c、22dなどを含む表示部22を備えている。ただし、本発明の加熱調理器において、操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)の構成に特別の制約はなく、他の構成とすることも可能である。
【0062】
また、図7図8に示すように、第2の加熱調理器Bの機器本体(可動式機器本体)10(10B)の内部には、加熱手段(コンロバーナやグリルバーナ)による被加熱調理物への加熱を制御するための制御部30(30B)が配設されている。
【0063】
さらに、本実施形態にかかる第2の加熱調理器Bにおいては、図9に示すように、操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)と制御部30(30B)のそれぞれに、演算処理を実行する集積回路70(70B)、80(80B)が配設されており、図7図8図9に示すように、制御部30(30B)と操作表示部20(20B)とを、接続ケーブル130により電気的に接続することにより、制御部30(30B)と操作表示部20(20B)との間で、接続ケーブル130を介して、互いに通信を行うことができるように構成されている。
【0064】
そして、接続ケーブル130は、
(a)中間接続部140と、
(b)制御部30(30B)と中間接続部140を接続する共通ケーブル131と、
(c)操作表示部20(20B)と中間接続部140を接続する個別ケーブル132(132C2)とを備えた構成とされている。
【0065】
さらに詳しく説明すると、加熱調理器Bを構成する機器本体(可動式機器本体)10(10B)内には、操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)が配設されている領域と、それ以外の領域とを仕切る隔壁部40が配設されており、隔壁部40には、中間接続部140が設けられている。
【0066】
そして、接続ケーブル130を構成する共通ケーブル(汎用ケーブル)131の一方端部131aが制御部30(30B)と接続され、共通ケーブル(汎用ケーブル)131の他方端部131bが隔壁部40に設けられた中間接続部140の制御部側端子140aと接続されている。
【0067】
なお、第2の加熱調理器Bにおいて用いられている共通ケーブル(汎用ケーブル)131は、前述の操作表示部が固定式の第1の加熱調理器Aにおいて用いられている共通ケーブル(汎用ケーブル)と同じものである。
【0068】
これに対し、接続ケーブル130を構成する個別ケーブル132(132C2)は、可動式の操作表示部20(20B)と中間接続部140とを接続するためのケーブル(操作表示部用個別ケーブル)であることから、操作表示部20(20B)が繰り出される際に操作表示部20(20B)の繰出動作を妨げないように第1の加熱調理器Aで用いられている個別ケーブル132(132C1)よりも長さの長いケーブルが用いられているとともに、かつ、操作表示部20(20B)の繰出・収納に対応して、変形する(伸長・屈曲する)ことに対する耐用性を備えたケーブル、すなわち、可動式の操作表示部20(20B)に専用のケーブルが用いられている。
この点で、上述の、操作表示部が固定式の第1の加熱調理器Aにおいて用いられている個別ケーブル132(132C1)とはその構成を異にしている。
【0069】
また、接続ケーブル130を構成する個別ケーブル(操作表示部用個別ケーブル)132(132C2)の一方端部132aは、操作表示部20(20B)に接続され、個別ケーブル(操作表示部用個別ケーブル)132(132C2)の他方端部132bは、隔壁部40に設けられた中間接続部140の操作表示部側端子140bと接続されている。
【0070】
また、本実施形態にかかる第2の加熱調理器Bにおいて、接続ケーブル130を構成する共通ケーブル(汎用ケーブル)131は、電力線(電力供給用電線)231aと、信号入力線(信号入力用電線)231bと、信号出力線(信号出力用電線)231cの3つの電線によって構成されている。
【0071】
また、個別ケーブル(操作表示部用個別ケーブル)132(132C2)も、電力線(電力供給用電線)232aと、信号入力線(信号入力用電線)232bと、信号出力線(信号出力用電線)232cの3つの電線によって構成されている。
【0072】
そして、共通ケーブル(汎用ケーブル)131および個別ケーブル(操作表示部用個別ケーブル)132(132C2)の信号入力線231b、232bと、信号出力線231c、232cを介して、制御部30(30B)と操作表示部(可動式操作表示部)20(20B)との間でデジタル信号の通信が行われるように構成されている。
【0073】
<第1および第2の加熱調理器の製造方法>
本発明の実施形態にかかる製造方法により、
(1)前面に固定された状態で操作表示部20(20A)を備える固定式機器本体10(10A)を有する第1の加熱調理器Aと、
(2)前面の内側から外側に繰り出された繰出状態と、繰出状態から前面の内側に収納された収納状態との間で繰出・収納自在の状態で操作表示部20(20B)を備える可動式機器本体10(10B)を有する第2の加熱調理器Bを製造する方法について説明する。
【0074】
本発明の実施形態にかかる製造方法では、制御部30(30Aまたは30B)と操作表示部20(20Aまたは20B)とを電気的に接続する接続ケーブル130として、中間接続部140と、中間接続部140と制御部30(30Aまたは30B)を接続する共通ケーブル131と、操作表示部(20Aまたは20B)と中間接続部140を接続する個別ケーブル132とを備えた接続ケーブル130を用意する。
【0075】
そして、中間接続部140および共通ケーブル131として、固定式機器本体10(10A)を有する第1の加熱調理器Aと、可動式機器本体10(10B)を有する第2の加熱調理器Bの両方に共通して用いることができる中間接続部140および共通ケーブル(汎用ケーブル)131を用意する。
【0076】
一方、上記個別ケーブル132としては、固定式機器本体10(10A)を有する第1の加熱調理器Aと、可動式機器本体10(10B)を有する第2の加熱調理器Bとで、それぞれの専用の個別ケーブル132(すなわち、固定式操作表示部用個別ケーブル132C1(図4参照)および可動式操作表示部用個別ケーブル132C2)(図9図10参照)を用意する。
【0077】
これは、
(a)例えば、固定式の操作表示部20(20A)を備えた第1の加熱調理器Aの場合、固定式操作表示部用個別ケーブル132(132C1)の長さが長すぎると、機器本体10の内部で絡んだり、他の部材の収納の邪魔になったりするおそれがあるため、第1の加熱調理器Aに適した、無駄のない長さを有する専用の個別ケーブル(固定式操作表示部用個別ケーブル)132(132C1)を用いることが望ましい場合があり、また、
(b)可動式の操作表示部20(20B)を備えた第2の加熱調理器Bの場合には、個別ケーブル132(132C2)として、操作表示部20(20B)が繰り出される際の繰出動作を妨げないように、第1の加熱調理器Aの場合よりも長さの長いケーブルを用いたり、操作表示部20(20B)の繰出・収納に対応して、ケーブルの伸長・屈曲という変形に対する耐用性を備えたケーブルを用いたりすることが必要になることに対応して、第2の加熱調理器Bに専用の個別ケーブル(可動式操作表示部用個別ケーブル)132(132C2)を用いることが望ましい場合があることによる。
【0078】
そして、加熱調理器が、固定式の操作表示部20(20A)を備えた第1の加熱調理器Aである場合には、中間接続部140と制御部30とを、操作表示部20の取り付けの態様が可動式(収納式)である第2の加熱調理器Bの場合にも共通で使用することが可能な共通ケーブル131を用いて接続する一方、中間接続部140と、固定式の操作表示部20(20A)とを、専用の個別ケーブル(固定式操作表示部用個別ケーブル)132(132C1)を用いて接続する。
【0079】
また、加熱調理器が、可動式の操作表示部20(20B)を備えた第2の加熱調理器Bである場合には、中間接続部140と制御部30とを、操作表示部20の取り付けの態様が固定式である第1の加熱調理器Aの場合にも共通で使用することが可能な共通ケーブル131を用いて接続する一方、中間接続部140と、可動式の操作表示部20(20B)とを、専用の個別ケーブル(可動式操作表示部用個別ケーブル)132(132C2)を用いて接続する。
【0080】
上述のように、本実施形態にかかる加熱調理器の製造方法においては、
(1)制御部30と操作表示部20とを電気的に接続する接続ケーブル130を、中間接続部140と、中間接続部140と制御部30を接続する共通ケーブル131と、操作表示部と中間接続部140を接続する個別ケーブル132とを備えた構成とし、
(2)中間接続部140と制御部30との接続には、操作表示部20の取り付けの態様が固定式であると可動式(収納式)であるとを問わずに、共通で使用することができる共通ケーブル131を用いる一方、
(3)操作表示部20の取り付けの態様が固定式である第1の加熱調理器Aの場合には、操作表示部20(20A)と中間接続部140の接続に、専用の固定式操作表示部用個別ケーブル132C1を用い、操作表示部20の取り付けの態様が可動式である第2の加熱調理器Bの場合には、操作表示部20(20B)と中間接続部140の接続に、可動式操作表示部用個別ケーブル132C2を用いるようにしているので、操作表示部20に関連する部分以外の部分における仕様の共通化を図りつつ、適切な長さや特性を備えた個別ケーブルを用いて操作表示部と制御部とを確実に接続することが可能になる。
【0081】
その結果、生産性を向上させることが可能になるとともに、操作表示部20と制御部30とが、適切な接続ケーブル130により確実に接続された、信頼性が高く、経済性に優れた加熱調理器(第1の加熱調理器Aおよび第2の加熱調理器B)を効率よく製造することが可能になる。
【0082】
また、それぞれの操作表示部20(20A、20B)に、集積回路70(70A、70B)を設けるとともに、それぞれの制御部30(30A、30B)に、集積回路80(80A、80B)を設けるようにしているので、加熱調理器の仕様に関係なく、共通の電線数(本実施形態では電線数は3本)で構成した接続ケーブル130を使用して、制御部30(30A、30B)と操作表示部20(20A、20B)とを接続することが可能になり、構成を簡略化することで、生産性を向上させることが可能になる。
【0083】
また、中間接続部140を、操作表示部20(20A、20B)が配設されている領域と、それ以外の領域とを仕切る隔壁部40に設けるとともに、隔壁部40に中間接続部140を配設し、共通ケーブル131により制御部30と中間接続部140とを接続するとともに、専用の個別ケーブル132(132C1、132C2)により操作表示部20(20A、20B)と中間接続部140とを接続するようにしているので、より容易かつ確実に、操作表示部20(20A、20B)に関連する部分以外の部分における仕様の共通化を図ることが可能になり、信頼性の高い加熱調理器(第1の加熱調理器Aおよび第2の加熱調理器B)を、さらに効率よく製造することができる。
【0084】
また、共通ケーブル131および個別ケーブル132のそれぞれを、電力供給用電線231a、232aと、信号入力用電線231b、232bと、信号出力用電線231c、232cの3つの電線によって構成するとともに、信号入力用電線と、信号出力用電線の2つの電線で通信される電気信号を、デジタル信号としているので、制御部30と操作表示部20(20A、20B)との間で、デジタルからアナログ、または、アナログからデジタルへの信号変換(AD変換回路やDA変換回路)を行うことが不要になる。その結果、電気回路の構成が簡潔で、信頼性が高い加熱調理器(第1の加熱調理器Aおよび第2の加熱調理器B)を、さらに効率よく製造することが可能になる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
A 第1の加熱調理器(固定式操作表示部を備えた加熱調理器)
B 第2の加熱調理器(可動式操作表示部を備えた加熱調理器)
1(1a) 高火力バーナ
1(1b、1b1、1b2) 標準バーナ
1(1c) 小火力バーナ
9 温度検出体(鍋底温度センサ)
10(10A) 第1の加熱調理器の機器本体(固定式機器本体)
10(10B) 第2の加熱調理器の機器本体(可動式機器本体)
11a、11b、11b1、11b2、11c、11d 点消火スイッチ
12a、12b、12b1、12b2、12c、12d 火力調整レバー
13 トッププレート
20(20A) 第1の加熱調理器の操作表示部(固定式操作表示部)
20(20B) 第2の加熱調理器の操作表示部(可動式操作表示部)
21 操作部
21a 調理メニュー選択ボタン
21b コンロ調理のタイマー設定ボタン
21c グリル調理のタイマー設定ボタン
21d 温度設定ボタン
21e プレートあたためボタン
22 表示部
22a、22b、22c、22d 表示手段
30(30A) 第1の加熱調理器の制御部
30(30B) 第2の加熱調理器の制御部
40 隔壁部
41 グリル庫
41a 開口
42 グリル扉
43 のぞき窓
44 焼き網
50(50A) コンロ部(第1の加熱調理器のコンロ部)
50(50B) コンロ部(第2の加熱調理器のコンロ部)
51 五徳
60(60A) グリル部(第1の加熱調理器のグリル部)
60(60B) グリル部(第2の加熱調理器のグリル部)
70(70A) 第1の加熱調理器の操作表示部が備える集積回路
70(70B) 第2の加熱調理器の操作表示部が備える集積回路
80(80A) 第1の加熱調理器の制御部が備える集積回路
80(80B) 第2の加熱調理器の制御部が備える集積回路
130 接続ケーブル
131 共通ケーブル
131a 共通ケーブルの一方端部
131b 共通ケーブルの他方端部
132 個別ケーブル
132C1 固定式操作表示部用個別ケーブル
132C2 可動式操作表示部用個別ケーブル
132a 個別ケーブルの一方端部
132b 個別ケーブルの他方端部
140 中間接続部
140a 中間接続部の制御部側端子
140b 中間接続部の操作表示部側端子
231a 共通ケーブルの電力線(電力供給用電線)
231b 共通ケーブルの信号入力線(信号入力用電線)
231c 共通ケーブルの信号出力線(信号出力用電線)
232a 個別ケーブルの電力線(電力供給用電線)
232b 個別ケーブルの信号入力線(信号入力用電線)
232c 個別ケーブルの信号出力線(信号出力用電線)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10