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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098623
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】船外機
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/02 20060101AFI20220627BHJP
   B63H 20/08 20060101ALI20220627BHJP
   B63H 20/32 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B63H20/02 100
B63H20/08 510
B63H20/32 100
B63H20/32 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212112
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真
(72)【発明者】
【氏名】萩 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】増田 知晴
(57)【要約】
【課題】支持部材の大型化および重量化を抑えながら横荷重に対する強度が高められた船外機を提供する。
【解決手段】船外機100は、船体11に取り付けられる取付部材70と、取付部材70に上下に回転可能に接続され、船外機本体101を左右に回転可能に支持する支持部材50と、を備える。支持部材50は、上支持部材51および下支持部材52を有する。船外機100は、上支持部材51に接続された左上接続部91Lと下支持部材52に接続された左下接続部92Lとを有する左補強部材90Lと、上支持部材51に接続された右上接続部91Rと、下支持部材52に接続された右下接続部92Rとを有する右補強部材90Rと、を備える。左上接続部91Lは、上支持部材51の左側部よりも左方に位置する。右上接続部91Rは、上支持部材51の右側部よりも右方に位置する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンの下方に配置された推進機と、前記エンジンおよび前記推進機に接続されたドライブシャフトと、を有する船外機本体と、
船体に取り付けられる取付部材と、
前記取付部材に上下に回転可能に接続され、前記船外機本体を左右に回転可能に支持する支持部材と、を備え、
前記取付部材は、左クランプブラケットと、前記左クランプブラケットよりも右方に配置された右クランプブラケットと、を有し、
前記支持部材は、前記左クランプブラケットの右方に位置する左側部と前記右クランプブラケットの左方に位置する右側部とを有し、前記左クランプブラケットと前記右クランプブラケットとに挟まれており、
前記支持部材の前記左側部と前記左クランプブラケットとを上下に回転可能に連結する左チルト軸と、
前記支持部材の前記右側部と前記右クランプブラケットとを上下に回転可能に連結する右チルト軸と、
前記支持部材に接続され、前記支持部材の前記左側部よりも左方に位置する左上接続部と、前記支持部材に接続され、前記左上接続部よりも下方に位置する左下接続部と、を有する左補強部材と、
前記支持部材に接続され、前記支持部材の前記右側部よりも右方に位置する右上接続部と、前記支持部材に接続され、前記右上接続部よりも下方に位置する右下接続部と、を有する右補強部材と、を備えた、船外機。
【請求項2】
前記取付部材に上下に回転可能に連結された第1連結部と、前記支持部材に上下に回転可能に連結された第2連結部と、を有するチルトシリンダを備え、
前記チルトシリンダの前記第1連結部および前記第2連結部の少なくとも一方は、前記左補強部材および前記右補強部材の上端よりも下方、かつ、下端よりも上方に配置されている、請求項1に記載の船外機。
【請求項3】
前記チルトシリンダの前記第1連結部および前記第2連結部の両方は、前記左補強部材および前記右補強部材の上端よりも下方、かつ、下端よりも上方に配置されている、請求項2に記載の船外機。
【請求項4】
前記左補強部材の前記左下接続部は、前記左上接続部よりも後方に配置され、
前記右補強部材の前記右下接続部は、前記右上接続部よりも後方に配置されている、請求項1~3のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項5】
前記支持部材は、前記左クランプブラケットと前記右クランプブラケットとに挟まれた上支持部材と、前記上支持部材から下方に離間した下支持部材と、を有し、
前記左補強部材の前記左上接続部および前記右補強部材の前記右上接続部は、前記上支持部材に接続され、
前記左補強部材の前記左下接続部および前記右補強部材の前記右下接続部は、前記下支持部材に接続されている、請求項1~4のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項6】
前記左補強部材の前記左上接続部は、前記左クランプブラケットよりも左方に位置し、
前記右補強部材の前記右上接続部は、前記右クランプブラケットよりも右方に位置する、請求項1~5のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項7】
前記左補強部材の前記左上接続部は、前記左チルト軸に取り付けられ、
前記右補強部材の前記右上接続部は、前記右チルト軸に取り付けられている、請求項1~6のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項8】
前記左補強部材は、下方かつ右方に延びる傾斜部を有し、
前記右補強部材は、下方かつ左方に延びる傾斜部を有する、請求項1~7のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項9】
前記左補強部材および前記右補強部材に接続され、前記左補強部材から前記右補強部材に架け渡された横補強部材を備えた、請求項1~8のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項10】
前記横補強部材は左右方向に延びている、請求項9に記載の船外機。
【請求項11】
前記船外機本体を左右に回転させるステアリングアクチュエータを備え、
前記ステアリングアクチュエータの少なくとも一部は、前記左補強部材と前記右補強部材の間に配置されている、請求項1~10のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項12】
側方から見て、前記左補強部材および前記右補強部材の一部または全部は、下方かつ後方に延び、前記ドライブシャフトに対して傾いている、請求項1~11のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項13】
前記左補強部材および前記右補強部材は、板状に形成されている、請求項1~12のいずれか一つに記載の船外機。
【請求項14】
前記左補強部材および前記右補強部材には、左右に貫通した穴が形成されている、請求項1~13のいずれか一つに記載の船外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンおよび推進機を有する船外機本体と、船体に取り付けられた取付部材と、取付部材に対して船外機本体を転舵可能に支持する支持部材と、を備えた船外機が知られている。例えば特許文献1に、そのような船外機が開示されている。船外機本体のエンジンと推進機とは、上下方向に延びるドライブシャフトにより連結されている。
【0003】
特許文献1に開示された船外機の支持部材は、ドライブシャフトを取り囲むようにして船外機本体を支持する上部支持部および下部支持部と、上部支持部および下部支持部を連結する左右の連結部とを含んでいる。下部支持部は、上部支持部から下方に離間して配置されている。左右の連結部は、ドライブシャフトと平行に延びる棒状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-2004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、船舶の航行時に、船外機本体の下部に横荷重が加わる場合がある。例えば、船舶が旋回するときに、推進機に左向きまたは右向きの水圧が加わる場合がある。このような場合、船外機本体を介して、支持部材に横向きの荷重が加わる。従来の船外機では、横荷重に対する強度を高めるためには、支持部材を大型化または重量化する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、支持部材の大型化および重量化を抑えながら横荷重に対する強度が高められた船外機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示される船外機は、エンジンと、前記エンジンの下方に配置された推進機と、前記エンジンおよび前記推進機に接続されたドライブシャフトと、を有する船外機本体を備える。また、前記船外機は、船体に取り付けられる取付部材と、前記取付部材に上下に回転可能に接続され、前記船外機本体を左右に回転可能に支持する支持部材と、を備える。前記取付部材は、左クランプブラケットと、前記左クランプブラケットよりも右方に配置された右クランプブラケットと、を有している。前記支持部材は、前記左クランプブラケットの右方に位置する左側部と前記右クランプブラケットの左方に位置する右側部とを有し、前記左クランプブラケットと前記右クランプブラケットとに挟まれている。前記船外機は、前記支持部材の前記左側部と前記左クランプブラケットとを上下に回転可能に連結する左チルト軸と、前記支持部材の前記右側部と前記右クランプブラケットとを上下に回転可能に連結する右チルト軸と、を備えている。前記船外機は、前記支持部材に接続され、前記支持部材の前記左側部よりも左方に位置する左上接続部と、前記支持部材に接続され、前記左上接続部よりも下方に位置する左下接続部と、を有する左補強部材を備えている。前記船外機は、前記支持部材に接続され、前記支持部材の前記右側部よりも右方に位置する右上接続部と、前記支持部材に接続され、前記右上接続部よりも下方に位置する右下接続部と、を有する右補強部材を備えている。
【0008】
上記船外機によれば、支持部材を補強する左補強部材および右補強部材を備えている。左補強部材の左上接続部は、支持部材の左側部よりも左方において支持部材に接続され、左下接続部は、左上接続部よりも下方において支持部材に接続されている。右補強部材の右上接続部は、支持部材の右側部よりも右方において支持部材に接続され、右下接続部は、右上接続部よりも下方において支持部材に接続されている。上記船外機によれば、左補強部材および右補強部材により、支持部材の左右の両側部が補強される。よって、左補強部材および右補強部材により、支持部材の横荷重に対する強度を効率的に高めることができる。また、推進機に加わる横荷重の一部は、船外機本体の推進機以外の部分に伝わるが、横荷重の他の一部は、支持部材から左補強部材、右補強部材、および取付部材を介して、船体に伝達される。船外機本体に加わる横荷重が低減される。したがって、上記船外機によれば、支持部材の大型化および重量化を抑えながら、横荷重に対する強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持部材の大型化および重量化を抑えながら横荷重に対する強度が高められた船外機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る船外機を備えた船舶の斜視図である。
図2】船外機の側面図である。
図3】船外機の主要部の斜視図である。
図4】船外機の主要部の平面図である。
図5】船外機の主要部の背面図である。
図6】実施形態に係る船外機の主要部を模式的に表す平面図である。
図7】他の実施形態に係る船外機の主要部を模式的に表す平面図である。
図8】他の実施形態に係る船外機の主要部を模式的に表す平面図である。
図9】他の実施形態に係る船外機の主要部を模式的に表す平面図である。
図10】他の実施形態に係る船外機の主要部を模式的に表す平面図である。
図11】他の実施形態に係る左補強部材の左上接続部の側面図である。
図12】他の実施形態に係る船外機の主要部を模式的に表す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係る船外機100を備えた船舶10を表している。以下の説明では、特に断らない限り、前、後、左、右とは、後述するドライブシャフト7の軸線7cが鉛直に延び、かつ、船外機100が船体11に対して左右に傾いていない状態において、船舶10の前進方向に向かって前、後、左、右の方向をそれぞれ意味するものとする。図中の符号F、B、L、Rは、それぞれ前、後、左、右を表す。
【0012】
船舶10は、船体11と、ステアリングホイール12と、リモコン13と、船外機100とを備えている。船外機100は、船体11の後部に取り付けられている。
【0013】
ステアリングホイール12は、船体11を操舵するために設けられている。船舶10の乗員がステアリングホイール12を操作することにより、船外機100は船体11に対して左方または右方に回転する。船外機100はシフトチェンジが可能である。乗員がリモコン13を操作することにより、船外機100の状態を前進、後進、またはニュートラルに切り替え可能である。船外機100はエンジン1を備えており、エンジン1にはスロットル弁(図示せず)が設けられている。乗員はリモコン13を操作することにより、スロットル弁の開度を調整することができる。スロットル弁の開度を調整することにより、船外機100の出力を調整することができる。
【0014】
図2は、船外機100の側面図である。船外機100は、船外機本体101と、船外機本体101を支持する支持部材50と、支持部材50を船体11に取り付ける取付部材70とを備えている。
【0015】
船外機本体101は、エンジン1と、プロペラ3を有する推進機5と、エンジン1と推進機5とに接続されたドライブシャフト7と、アッパーケース20とを備えている。エンジン1は、アッパーケース20の上方に配置されている。推進機5は、アッパーケース20の下方に配置されており、エンジン1の下方に配置されている。
【0016】
エンジン1は、ガソリンや軽油などの燃料の燃焼により駆動される内燃機関により構成されている。エンジン1はカバー2により覆われている。
【0017】
ドライブシャフト7は、エンジン1から出力される動力を推進機5に伝達するように構成されている。ドライブシャフト7は、エンジン1から下方に延びている。ドライブシャフト7は、エンジン1に駆動されることによって回転する。
【0018】
推進機5は、プロペラ3が設けられたプロペラシャフト9と、ドライブシャフト7とプロペラシャフト9とを連結するギア装置15と、ロアケース6とを有している。ギア装置15は、ドライブシャフト7の回転を減速して、プロペラシャフト9に伝達する。図示は省略するが、ギア装置15は、ピニオンギアと、前進用ベベルギアと、後進用ベベルギアと、ドッグクラッチとを含んでいる。ギア装置15として、周知のギア装置を好適に用いることができる。プロペラ3は、プロペラシャフト9と共に回転することにより、前向きまたは後向きの推力を発生させる。
【0019】
図3は、アッパーケース20、支持部材50、および取付部材70の斜視図である。図4は、アッパーケース20、支持部材50、および取付部材70の平面図である。図5は、アッパーケース20、支持部材50、および取付部材70の背面図である。
【0020】
図2に示すように、アッパーケース20は、エンジン1と推進機5との間に配置されている。アッパーケース20は、エンジン1を支持すると共に推進機5を支持している。図3に示すように、アッパーケース20は、複数のケース部品21~30により構成されている。これら複数のケース部品21~30は互いに別体に形成されている。すなわち、ケース部品21~30は、別々の部品である。
【0021】
ケース部品25およびケース部品26は平板状に形成されている。ケース部品26はケース部品25の下方に配置されている。図2に示すように、ケース部品25にはエンジン1が取り付けられている。ケース部品26には推進機6が取り付けられている。
【0022】
図3に示すように、ケース部品21とケース部品22とは、互いにドライブシャフト7の軸線7c(図2参照)と垂直な方向に対向している。ドライブシャフト7は、ケース部品21とケース部品22との間に配置されている。本実施形態では、ケース部品22は、ケース部品21の右方に配置されている。ケース部品21はドライブシャフト7の左方に配置され、ケース部品22はドライブシャフト7の右方に配置されている。ケース部品21およびケース部品22には、貫通穴32が形成されている。貫通穴32は、ドライブシャフト7の軸線7cと垂直な方向に開口している。ここでは、貫通穴32は、左方および右方に開口している。
【0023】
ケース部品21の下部には、ケース部品29が固定されている。ケース部品22の下部には、ケース部品30が固定されている。ケース部品29およびケース部品30は、ケース部品26の上方に配置されており、ケース部品26に固定されている。
【0024】
ケース部品23は、ケース部品21およびケース部品22に接続されている。ケース部品23は、左右方向に延びており、ケース部品21の下部からケース部品22の下部に架け渡されている。ケース部品24はケース部品23の上方に配置されている。ケース部品24は、左右方向に延びており、ケース部品21の上部からケース部品22の上部に架け渡されている。ケース部品24は、ケース部品21とケース部品22とケース部品25とに接続されている。図2に示すように、ケース部品24には、円筒状の上ステアリング軸61が挿入されている。ケース部品23には、円筒状の下ステアリング軸62が挿入されている。上ステアリング軸61および下ステアリング軸62には、ドライブシャフト7が挿入されている。ドライブシャフト7は、上ステアリング軸61および下ステアリング軸62と同軸状に配置されている。
【0025】
図3に示すように、ケース部品21、ケース部品22、およびケース部品25には、ケース部品28が接続されている。また、ケース部品21、ケース部品29、ケース部品22、ケース部品30、およびケース部品26には、ケース部品27が接続されている。
【0026】
アッパーケース20は、上記のケース部品21~30が組み立てられることにより構成されている。ケース部品21~30の組立形態は特に限定されない。ケース部品21~30の一部または全部は、ボルトなどの固定具により結合されていてもよく、固定具を用いずに溶接などにより結合されていてもよい。
【0027】
支持部材50は、船外機本体101を左右に回転可能に支持する部材である。支持部材50は、上支持部材51と下支持部材52とを有している。上支持部材51は、アッパーケース20の上部を支持する。下支持部材52は、アッパーケース20の下部を支持する。上支持部材51と下支持部材52とは別体であり、下支持部材52は上支持部材51から下方に離間している。ケース部品24は、上ステアリング軸61により、上支持部材51に左右に回転可能に支持されている。ケース部品23は、下ステアリング軸62により、下支持部材52に左右に回転可能に支持されている。上ステアリング軸61および下ステアリング軸62は、アッパーケース20を支持部材50に対して左右に回転可能に接続している。本実施形態では、上ステアリング軸61および下ステアリング軸62の軸線は、ドライブシャフト7の軸線7cと一致する。船外機本体101は、軸線7c周りに左方および右方に回転可能である。
【0028】
取付部材70は、船体11の後部に取りつけられている。支持部材50は、左右方向に延びるチルト軸65により、取付部材70に対して上下に回転可能に接続されている。チルト軸65は、支持部材50を取付部材70に対して上下に回転可能に連結している。ここでは取付部材70は、チルト軸65により、上支持部材51に対して上下に回転可能に接続されている。
【0029】
図4に示すように、取付部材70は、左クランプブラケット70Lと、左クランプブラケット70Lよりも右方に配置された右クランプブラケット70Rとを有している。上支持部材51の少なくとも一部は、左クランプブラケット70Lと右クランプブラケット70Rとに挟まれている。
【0030】
後述するように、チルト軸65は左チルト軸65Lおよび右チルト軸65Rを有している(図6参照)。上支持部材51は、左チルト軸65Lを覆う左カバー54Lと、右チルト軸65Rを覆う右カバー54Rとを有している。左カバー54Lは左クランプブラケット70Lの左方に配置され、右カバー54Rは右クランプブラケット70Rの右方に配置されている。
【0031】
図2に示すように、上支持部材51および下支持部材52には、左補強部材90Lが接続されている。左補強部材90Lは、上支持部材51の左部と下支持部材52の左部とに架け渡されている。左補強部材90Lは、上支持部材51に接続された左上接続部91Lと、下支持部材52に接続された左下接続部92Lとを有している。本実施形態では、左上接続部91Lは、上支持部材51の左カバー54Lに接続されている。
【0032】
また、上支持部材51および下支持部材52には、右補強部材90Rが接続されている(図5参照)。図6は、左補強部材90Lおよび右補強部材90R等を模式的に表した平面図である。右補強部材90Rは、上支持部材51の右部と下支持部材52の右部とに架け渡されている。右補強部材90Rは、上支持部材51に接続された右上接続部91Rと、下支持部材52に接続された右下接続部92Rとを有している。本実施形態では図5に示すように、右上接続部91Rは、上支持部材51の右カバー54Rに接続されている。
【0033】
図6に示すように、上支持部材51は、左クランプブラケット70Lの右方に位置する左側部51Lと、右クランプブラケット70Rの左方に位置する右側部51Rとを有している。上支持部材51の一部または全部は、左クランプブラケット70Lと右クランプブラケット70Rとに挟まれている。左補強部材90Lの左上接続部91Lは、上支持部材51の左側部51Lよりも左方に位置している。左上接続部91Lは、左クランプブラケット70Lよりも左方に位置している。左下接続部92Lは、左上接続部91Lよりも下方に位置している。右補強部材90Rの右上接続部91Rは、上支持部材51の右側部51Rよりも右方に位置している。右上接続部91Rは、右クランプブラケット70Rよりも右方に位置している。右下接続部92Rは、右上接続部91Rよりも下方に位置している。
【0034】
左チルト軸65Lは、上支持部材51の左側部51Lと左クランプブラケット70Lとを回転可能に連結している。右チルト軸65Rは、上支持部材51の右側部51Rと右クランプブラケット70Rとを回転可能に連結している。本実施形態では、左チルト軸65Lおよび右チルト軸65Rは、上支持部材51と一体化されている。左チルト軸65L、右チルト軸65R、および上支持部材51は、単一の部品である。ただし、限定されない。左チルト軸65Lおよび右チルト軸65Rは、上支持部材51と別体であってもよい。左チルト軸65Lは左クランプブラケット70Lと一体であってもよく、別体であってもよい。右チルト軸65Rは右クランプブラケット70Rと一体であってもよく、別体であってもよい。
【0035】
図2に示すように、取付部材70と支持部材50とには、チルトシリンダ80が接続されている。チルトシリンダ80は、取付部材70および支持部材50のそれぞれに対して、上下に回転可能に接続されている。詳しくは、チルトシリンダ80は、ロッド83およびシリンダ84を有している。ロッド83の上端部には第1連結部81が設けられている。第1連結部81は、取付部材70に対して上下に回転可能に連結されている。シリンダ84の下端部には第2連結部82が設けられている。第2連結部82は、下支持部材52に対して上下に回転可能に連結されている。船外機本体101は、ロッド83の伸縮に伴って、チルト軸65周りに回転する。図2において、船外機本体101は、ロッド83が伸びると反時計回りに回転し、ロッド83が縮むと時計回りに回転する。
【0036】
左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、チルトシリンダ80の第1連結部81および第2連結部82の少なくとも一方を上下に跨ぐように配置されていることが好ましい。すなわち、チルトシリンダ80の第1連結部81および第2連結部82の少なくとも一方は、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの上端90tよりも下方、かつ、下端90bよりも上方に配置されていることが好ましい。
【0037】
本実施形態では、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、チルトシリンダ80の第1連結部81および第2連結部82の両方を上下に跨ぐように配置されている。すなわち、チルトシリンダ80の第1連結部81および第2連結部82は、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの上端90tよりも下方、かつ、下端90bよりも上方に配置されている。
【0038】
船外機100の側方から見て、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、ドライブシャフト7に対して傾いている。左補強部材90Lの左下接続部92Lは、左上接続部91Lよりも後方かつ下方に配置されている。右補強部材90Rの右下接続部92Rは、右上接続部91Rよりも後方かつ下方に配置されている。左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、後方かつ下方に延びている。よって、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、上下方向および前後方向の荷重を好適に支えることができる。なお、本実施形態では、船外機100の側方から見て、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの全部がドライブシャフト7に対して傾いているが、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの一部がドライブシャフト7に対して傾いていてもよい。
【0039】
図5に示すように、左補強部材90Lの一部または全部は、下方かつ右方に延びていることが好ましい。右補強部材90Rの一部または全部は、下方かつ左方に延びていることが好ましい。言い換えると、左補強部材90Lは、下方かつ右方に延びる傾斜部93Lを有していることが好ましく、右補強部材90Rは、下方かつ左方に延びる傾斜部93Rを有していることが好ましい。本実施形態では、左補強部材90Lの全部が下方かつ右方に延びている。右補強部材90Rの全部が下方かつ左方に延びている。
【0040】
左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの形状は特に限定されないが、ここでは、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは板状に形成されている。左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの左右方向の寸法は、前後方向の寸法および上下方向の寸法よりも小さい。図2に示すように、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの前後方向の寸法は、チルトシリンダ80のシリンダ84の外径よりも大きい。左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの一部は、チルト軸65の軸線よりも前方に位置している。左補強部材90Lには、左補強部材90Lを左カバー54Lに取り付けるボルト55(図2では図示せず。図6参照)が挿入されるボルト穴95が形成されている。図示は省略するが、右補強部材90Rにも、同様のボルト穴が形成されている。また、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rには、ボルト穴95とは別に、左右に貫通した穴94が形成されている。穴94はボルト穴95と異なり、塞がれておらず、常時開口している。穴94は、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの軽量化のために形成されている。ここでは、穴94の数は4つであるが、穴94の数は特に限定されない。
【0041】
以上が船外機100の構成である。次に、本実施形態に係る船外機100によってもたらされる様々な効果について説明する。
【0042】
船舶10の航行時に、船外機本体101の下部に横向きの荷重(横荷重)が加わる場合がある。例えば、船舶10が旋回するときに、推進機5に左向きまたは右向きの水圧が加わる場合がある。推進機5はアッパーケース20に支持され、アッパーケース20は支持部材50に支持されている。推進機5に横荷重が加わると、その横荷重はアッパーケース20に伝達される。アッパーケース20に伝達された横荷重の一部は支持部材50に伝達される。本実施形態では、アッパーケース20は上支持部材51および下支持部材52に支持されている。そのため、アッパーケース20に横荷重が加わると、その横荷重の一部は上支持部材51および下支持部材52に伝達される。この横荷重を上支持部材51および下支持部材52のみによって支えようとすると、上支持部材51および下支持部材52の横荷重に対する強度を高めなければならず、上支持部材51および下支持部材52を大型化および重量化しなければならない。
【0043】
しかし、本実施形態に係る船外機100によれば、上支持部材51および下支持部材52に左補強部材90Lおよび右補強部材90Rが接続されている。支持部材50は、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rにより補強されている。特に、左補強部材90Lの左上接続部91Lは、上支持部材51の左側部51Lよりも左方に位置し、右補強部材90Rの右上接続部91Rは、上支持部材51の右側部51Rよりも右方に位置している。よって、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rにより、支持部材50の横荷重に対する強度を効率的に高めることができる。また、推進機5からアッパーケース20に伝達された横荷重の一部は、下支持部材52から左補強部材90L、右補強部材90R、上支持部材51、および取付部材70を介して、船体11に伝達される。推進機5からアッパーケース20に伝達された横荷重の一部は、下支持部材52から上支持部材51に直接伝達される。そのため、アッパーケース20に加わる横荷重が低減される。アッパーケース20の大型化および重量化を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る船外機100によれば、支持部材50の大型化および重量化を抑えながら、横荷重に対する強度を高めることができる。
【0044】
本実施形態では図6に示すように、左補強部材90Lの左上接続部91Lは、左クランプブラケット70Lよりも左方に位置し、右補強部材90Rの右上接続部91Rは、右クランプブラケット70Rよりも右方に位置する。左上接続部91Lは、より左方に位置している。右上接続部91Rは、より右方に位置している。よって、支持部材50の横荷重に対する強度を、より効果的に高めることができる。
【0045】
図2に示すように、チルトシリンダ80の第1連結部81および第2連結部82の少なくとも一方は、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの上端90tよりも下方、かつ、下端90bよりも上方に配置されている。本実施形態では、チルトシリンダ80の第1連結部81および第2連結部82は、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの上端90tよりも下方、かつ、下端90bよりも上方に配置されている。そのため、推進機5に横荷重が加わった場合に、アッパーケース20および支持部材50を介してチルトシリンダ80に横荷重が伝わることを抑制することができる。チルトシリンダ80に大きな横荷重が加わることを防止することができる。また、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの上端90tは、チルトシリンダ80の第1連結部81よりも上方に位置し、下端90bは、チルトシリンダ80の第2連結部82よりも下方に位置する。このように、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの上下方向の寸法は、比較的大きい。そのため、支持部材50の上下方向の寸法が比較的大きくても、支持部材50の横荷重に対する強度を十分に高めることができる。
【0046】
左補強部材90Lの左下接続部92Lは左上接続部91Lよりも後方に配置され、右補強部材90Rの右下接続部92Rは右上接続部91Rよりも後方に配置されている。左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、下方かつ後方に延びている。そのため、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、左右方向の荷重(すなわち横荷重)を十分に支えることができると共に、上下方向および前後方向の荷重を支えることができる。よって、支持部材50の強度を高めることができる。
【0047】
図5に示すように、左補強部材90Lは、下方かつ右方に延びる傾斜部93Lを有している。右補強部材90Rは、下方かつ左方に延びる傾斜部93Rを有している。左補強部材90Lは、上方かつ左方に向かう荷重に対して大きな強度を有する。右補強部材90Rは、上方かつ右方に向かう荷重に対して大きな強度を有する。よって、支持部材50の横荷重に対する強度を高めることができる。
【0048】
支持部材50は一体物であってもよいが、本実施形態では、互いに別体の上支持部材51および下支持部材52を有している。下支持部材52は上支持部材51から下方に離間している。支持部材50は、上支持部材51と下支持部材52とを繋ぐ部材は有していない。そのため、支持部材50が一体物である場合に比べて、支持部材50を小型化および軽量化することができる。左補強部材90Lの左上接続部91Lおよび右補強部材90Rの右上接続部91Rは、上支持部材51に接続され、左補強部材90Lの左下接続部92Lおよび右補強部材90Rの右下接続部92Rは、下支持部材52に接続されている。そのため、支持部材50は互いに別体の上支持部材51および下支持部材52を有しているが、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rにより、支持部材50の横荷重に対する強度を十分に高めることができる。
【0049】
左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの形状は特に限定されないが、本実施形態では、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは板状に形成されている。そのため、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rを容易に製造することができる。
【0050】
左補強部材90Lおよび右補強部材90Rには、左右に貫通した穴94が形成されている。そのため、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rを軽量化することができる。
【0051】
以上、一実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎず、他にも様々な実施形態が可能である。次に、他の実施形態の例について簡単に説明する。
【0052】
図7に示すように、船外機100は、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rに接続された横補強部材90Cを備えていてもよい。横補強部材90Cは、左補強部材90Lから右補強部材90Rに架け渡されている。横補強部材90Cは、左右方向に延びている。ただし、限定されない。横補強部材90Cは、左方かつ後方に延びていてもよく、右方かつ後方に延びていてもよい。横補強部材90Cは、下方かつ後方に延びていてもよく、上方かつ後方に延びていてもよい。横補強部材90Cは、真っ直ぐに延びていてもよく、曲がっていてもよい。横補強部材90Cは、湾曲していてもよく、屈曲していてもよい、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rに対する横補強部材90Cの接続方法は特に限定されない。図7に示すように、横補強部材90Cは、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rに対して、ボルト55等の固定具により接続されていてもよく、固定具を用いることなく溶接等により接続されていてもよい。左補強部材90Lおよび右補強部材90Rに横補強部材90Cを設けることにより、支持部材50の横荷重に対する強度を更に高めることができる。
【0053】
図8に示すように、船外機100は、船外機本体101を左右に回転させるステアリングアクチュエータ85を備えていてもよい。ここでは、ステアリングアクチュエータ85は、シリンダ85Cと、シリンダ85Cから左方に延びる左ロッド85Lと、シリンダ85Cから右方に延びる右ロッド85Rとを有している。シリンダ85Cとステアリング軸60とは、鉛直方向に延びる連結軸86により連結されている。図8において、左ロッド85Lが伸びると共に右ロッド85Rが縮むと、ステアリング軸60は時計回りに回転し、右ロッド85Rが伸びると共に左ロッド85Lが縮むと、ステアリング軸60は反時計回りに回転する。なお、シリンダ85Cは、上ステアリング軸61に連結されていてもよく、下ステアリング軸62に連結されていてもよい。上ステアリン軸61と下ステアリング軸62との間に、上ステアリング軸61と下ステアリング軸62とを繋ぐ中間ステアリング軸(図示せず)が設けられ、中間ステアリング軸がシリンダ85Cに連結されていてもよい。
【0054】
ステアリングアクチュエータ85の少なくとも一部は、左補強部材90Lと右補強部材90Rとの間に配置されていることが好ましい。これにより、左補強部材90Lと右補強部材90Rとの間のスペースを、ステアリングアクチュエータ85の設置スペースとして活用することができる。船外機100を小型化することができる。
【0055】
ステアリングアクチュエータ85が横補強部材を兼ねていてもよい。例えば、左ロッド85Lの左端部が左補強部材90Lに接続され、右ロッド85Rの右端部が右補強部材90Rに接続されていてもよい。これにより、左ロッド85L、シリンダ85C、および右ロッド85Rは、左補強部材90Lから右補強部材90Rに架け渡された横補強部材として機能する。このように、ステアリングアクチュエータ85を横補強部材として利用することにより、部品点数を増やさずに、支持部材50の横荷重に対する強度を高めることができる。
【0056】
図9に示すように、左ロッド85Lと左チルト軸65Lとを同軸状に配置し、右ロッド85Rと右チルト軸65Rとを同軸状に配置してもよい。ステアリングアクチュエータ85を左補強部材90Lの左上接続部91Lと右補強部材90Rの右上接続部91Rとに接続してもよい。なお、図9では、シリンダ85Cとステアリング軸60とを連結する機構の図示は省略している。
【0057】
図10に示すように、左補強部材90Lの左上接続部91Lは、左チルト軸65Lに取り付けられていてもよい。右補強部材90Rの右上接続部91Rは、右チルト軸65Rに取り付けられていてもよい。図11に示すように、左補強部材90Lの左上接続部91Lには、左チルト軸65Lを挿通させる穴96が形成されていてもよい。同様に、右補強部材90Rの右上接続部91Rには、右チルト軸65Rを挿通させる穴が形成されていてもよい。左上接続部91Lの穴96に左チルト軸65Lを挿通させ、右上接続部91Rの穴に右チルト軸65Rを挿通させることにより、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rを上支持部材51に容易に取りつけることができる。
【0058】
図10に示すように、左補強部材90Lの左上接続部91Lは、左クランプブラケット70Lの右方に配置されていてもよい。右補強部材90Rの右上接続部91Rは、右クランプブラケット70Rの左方に配置されていてもよい。あるいは、左上接続部91Lは左クランプブラケット70Lの左方に配置されていてもよく、右上接続部91Rは右クランプブラケット70Rの右方に配置されていてもよい。
【0059】
図12に示すように、左補強部材90Lの一部は鉛直方向に延び、他の一部が下方かつ右方に延びていてもよい。右補強部材90Rの一部は鉛直方向に延び、他の一部が下方かつ左方に延びていてもよい。言い換えると、左補強部材90Lは、鉛直方向に延びる鉛直部96Lと、鉛直部96Lの下端から下方かつ右方に延びる傾斜部93Lとを有していてもよい。右補強部材90Rは、鉛直方向に延びる鉛直部96Rと、鉛直部96Rの下端から下方かつ左方に延びる傾斜部93Rとを有していてもよい。
【0060】
左補強部材90Lの左上接続部91Lは、左カバー54L、左チルト軸65L、および上支持部材51の左側部51Lのいずれに接続してもよく、上支持部材51の左側部51L以外の部分に接続してもよい。右補強部材90Rの右上接続部91Rは、右カバー54R、右チルト軸65R、および上支持部材51の右側部51Rのいずれに接続してもよく、上支持部材51の右側部51R以外の部分に接続してもよい。
【0061】
前記実施形態では、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは板状に形成されているが、特に限定されない。例えば、左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは棒状に形成されていてもよい。左補強部材90Lおよび右補強部材90Rは、互いに左右対称の形状に形成されていてもよく、左右対称の形状に形成されていなくてもよい。
【0062】
左補強部材90Lおよび右補強部材90Rの穴94は必ずしも必要ではない。穴94はなくてもよい。
【0063】
アッパーケース20のケース部品21およびケース部品22は、左右方向に対向していなくてもよい。アッパーケース20のケース部品21およびケース部品22は、前後方向に対向していてもよい。アッパーケース20は、複数のケース部品21~30が組み立てられることにより構成されるフレーム構造を備えていなくてもよい。アッパーケース20は、周囲が閉じた筒状に形成されていてもよい。
【0064】
図2に示すように前記実施形態では、チルトシリンダ80は、ロッド83が上方かつ前方に延びるように配置されている。しかし、チルトシリンダ80の配置は限定されない。例えば、チルトシリンダ80は、ロッド83が上方かつ後方に延びるように配置されていてもよい。例えば、シリンダ84の下端部が取付部材70に対して上下に回転可能に連結され、ロッド83の上端部が上支持部材51に対して上下に回転可能に連結されていてもよい。この場合、シリンダ84の下端部が第1連結部となり、ロッド83の上端部が第2連結部となる。また、当該実施形態または前記実施形態(図2参照)において、ロッド83とシリンダ84との位置を入れ替えてもよい。
【0065】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0066】
1…エンジン、5…推進機、7…ドライブシャフト、11…船体、20…アッパーケース、50…支持部材、51…上支持部材、51L…左側部、51R…右側部、52…下支持部材、60…ステアリング軸、61…上ステアリング軸、62…下ステアリング軸、65…チルト軸、65L…左チルト軸、65R…右チルト軸、70…取付部材、70L…左クランプブラケット、70R…右クランプブラケット、80…チルトシリンダ、81…第1連結部、82…第2連結部、85…ステアリングアクチュエータ、90C…横補強部材、90L…左補強部材、90R…右補強部材、91L…左上接続部、91R…右上接続部、92L…左下接続部、92R…右下接続部、93L…傾斜部、93R…傾斜部、94…穴、100…船外機、101…船外機本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12