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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098697
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
A63F7/02 334
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212243
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽児
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC32
(57)【要約】
【課題】役物装置の内部にある大玉を確実に検出できる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機は、下センター飾りを備える。下センター飾りは、内部を遊技球が流通する筒状の流通路52を備える。流通路52は、堰止部61と検出部64とを備える。堰止部61は、流通路52に進入した遊技球Kを通過させるが、流通路52に進入した大玉K´の流通を堰き止める。検出部64は、近接センサであり、遊技球Kが流通する方向において、堰止部61で堰き止められる大玉K´に対応する位置に設けられる。検出部64は、堰止部61で堰き止められる大玉K´を検出する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に形成された遊技領域に、内部を遊技球が流通する筒状の流通路を有する役物装置を備えた遊技機において、
前記流通路は、前記遊技球よりも大きい大玉の流通を堰き止める堰止部を備え、
前記役物装置は、前記堰止部で堰き止められる前記大玉に対応する位置に前記大玉を検出する検出部を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記流通路は、前記堰止部で堰き止められる前記大玉に対応する位置に前記大玉の径よりも幅が大きい開口部を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記流通路は、前記堰止部で堰き止められる前記大玉に対応する位置に設けられ、前記開口部が開口する開口方向に延び、前記開口方向と直交する幅が前記遊技球の径よりも狭いスリットを備えることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記堰止部は、
前記流通路の内面から前記流通路の内側に突出する第一凸部と、
前記流通路の内面から前記流通路の内側に突出し、前記第一凸部と対向して設けられる第二凸部とを備え、
前記第一凸部と前記第二凸部とは、前記流通路を前記遊技球が流通する流通方向において互いに重ならない位置に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記検出部は、前記流通路の内部を流通する前記遊技球を更に検出できることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不正に出玉を獲得するゴト行為を防止する遊技機が知られている。例えば、特許文献1に開示される遊技機は、通常用いられる遊技玉より大きい(たとえば、11.5mm程度)鋼球を用いて行われる大玉ゴトを抑制できる。上記の遊技機は、第1普通入賞口を備える。第1普通入賞口の左右方向幅は、遊技玉の直径(たとえば、11.0mm)より大きく、かつ遊技玉検出スイッチの通過孔の直径よりも小さい所定の値(たとえば11.2mm)に設定されている。第1普通入賞口は、幅狭部分を有する。遊技玉は第1普通入賞口に入玉できるが、遊技玉より大きい上記の鋼球は第1普通入賞口に入玉できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-35042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の遊技機では、遊技球より大きい上記の鋼球の入玉を防止できる一方で、鋼球を検出することができず、大玉ゴトが行われたことによる報知が行われない。よって、遊技場の作業者は大玉ゴトが行われた事実を知ることがなく、遊技場に不利益が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、役物装置の内部にある大玉を確実に検出できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る遊技機は、遊技盤に形成された遊技領域に、内部を遊技球が流通する筒状の流通路を有する役物装置を備えた遊技機において、前記流通路は、前記遊技球よりも大きい大玉の流通を堰き止める堰止部を備え、前記役物装置は、前記堰止部で堰き止められる前記大玉に対応する位置に前記大玉を検出する検出部を備えることを特徴とする。
【0007】
上記態様によれば、堰止部で堰き止められる大玉が検出部により検出される。よって、遊技機は、役物装置の内部にある大玉を確実に検出することができる。
【0008】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記流通路は、前記堰止部で堰き止められる前記大玉に対応する位置に前記大玉の径よりも幅が大きい開口部を備えてもよい。上記の遊技機において、遊技場の作業者は開口部を介して流通路から大玉を抜き取ることができる。よって、遊技機は、役物装置の内部で大玉が堰き止められた場合にも、速やかに遊技の進行を再開できる。
【0009】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記流通路は、前記堰止部で堰き止められる前記大玉に対応する位置に設けられ、前記開口部が開口する開口方向に延び、前記開口方向と直交する幅が前記遊技球の径よりも狭いスリットを備えてもよい。上記の遊技機において、遊技場の作業者は棒状の部材をスリットに挿入し、大玉を開口部に向けて押し出すことで、流通路から大玉を容易に抜き取ることができる。よって、遊技機は、流通路に大玉が停止した場合にも、より速やかに遊技の進行を再開できる。
【0010】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記堰止部は、前記流通路の内面から前記流通路の内側に突出する第一凸部と、前記流通路の内面から前記流通路の内側に突出し、前記第一凸部と対向して設けられる第二凸部とを備え、前記第一凸部と前記第二凸部とは、前記流通路を前記遊技球が流通する流通方向において互いに重ならない位置に設けられてもよい。上記の遊技機において、流通路の内部の遊技球は、堰止部を蛇行して流通する。よって、遊技機では、第一凸部と第二凸部とが流通方向において重なる位置に設けられる場合と比較して、遊技球は堰止部を円滑に流通することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記検出部は、前記流通路の内部を流通する前記遊技球を更に検出できてもよい。上記の遊技機において、検出部は大玉と遊技球の両方を検出できる。これにより、遊技機は、役物装置に流通路を流通する遊技球を検出する手段を別に設ける必要がなく、役物装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】遊技盤2の正面図である。
図3】下センター飾り22の正面図である。
図4】下センター飾り22の平面図である。
図5】流通路50の斜視図である。
図6】流通路50の平面図である。
図7図6におけるA-A線断面を示す図である。
図8図7における流通路52の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下説明は、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、夫々、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。図1に示すパチンコ機1は所謂2種タイプ(羽根物タイプ)の遊技機である。2種タイプの遊技機とは、大入賞口へ入賞した遊技球が大入賞口の内部に設けられた特定の領域を通過することを契機として大当たり遊技を実行する遊技機をいう。
【0014】
図1図2を参照し、パチンコ機1の機械的構成を説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられる。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護される。前面枠10には、ガラス板を取り囲むように各種の電飾ランプが設けられる。電飾ランプの内部には、LED等を搭載した電飾基板(図示略)が設けられる。電飾ランプは、遊技の進行等に応じて点灯又は点滅する。遊技盤2の下部には上皿5が設けられる。上皿5は、遊技球発射装置(図示略)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられる。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられる。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられる。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられ、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置により遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の両角部には、スピーカ48が夫々設けられる。
【0015】
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成される。ガイドレール3は、遊技領域4の左側から上側にかけて円弧上に形成される。遊技領域4の上部略中央には、上センター飾り21が設けられる。遊技球発射装置によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、上センター飾り21の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、上センター飾り21の右側を流下する。以下説明は、遊技球が上センター飾り21の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と呼び、遊技球が上センター飾り21の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」と呼ぶ。
【0016】
図2に示すように、上センター飾り21は、演出図柄表示部38、ワープ通路211、転動部213、第一始動口12を主に備える。演出図柄表示部38は、上センター飾り21の上部略中央に配置される。演出図柄表示部38は、三つの大型の7セグメントLEDを用いて構成され、様々な数字、文字、記号等を表示できる。演出図柄表示部38は、報知演出を実行可能である。報知演出は、三つの大型の7セグメントLEDを用いて、演出用の図柄である演出図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示させることで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
【0017】
ワープ通路211は、演出図柄表示部38の左側に設けられる。ワープ通路211は、入口部211Aを左上部に備える。入口部211Aは、一般に「飛び込み」と呼ばれる遊技球の入口である入口部211Aの周囲の遊技くぎ等の配置によって、入口部211Aへの入球が容易に行われないように構成される。
【0018】
転動部213は、ワープ通路211の右下方に設けられる。転動部213は、平面視で略長方形の上側が開口する皿状であり、遊技球が転動可能な凹部を内側に備える。転動部213の底部略中央には、孔213Aが設けられる。孔213Aは、転動部213から下方へ遊技球を排出する。
【0019】
第一始動口12は、上センター飾り21の下部略中央に配置される入賞口である。第一始動口12は、後述の第一特別図柄の始動口として機能する。ワープ通路211の入口部211Aから入球し、転動部213の孔213Aから排出された遊技球の一部が、第一始動口12へ入賞する。孔213Aから排出されたが第一始動口12へ入賞しない遊技球は、上センター飾り21の下方に排出されて遊技領域4に戻る。
【0020】
上センター飾り21の下方、すなわち、遊技領域4の下部略中央には、下センター飾り22が設けられる。下センター飾り22の詳細な説明は後述するが、下センター飾り22の上部には、第一大入賞口16が設けられる。第一大入賞口16は、特別電動役物(大当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変更する役物)に係る入賞口である。
【0021】
第一大入賞口16は、シャッター161を備える。シャッター161は、正面視下側に開く略V字状の板部材である。シャッター161は、前後方向に所定の長さで延び、閉鎖状態と開放状態を夫々形成する。閉鎖状態とは、遊技盤2よりも前方に突出することで第一大入賞口16へ遊技球が入賞できない状態をいい、開放状態とは、遊技盤2よりも後方に退避することで第一大入賞口16へ遊技球が入賞できる状態をいう。
【0022】
下センター飾り22の右上方には、特別電動役物である第二大入賞口17が設けられる。第二大入賞口17は、シャッター171を備える。シャッター171は、左右方向に長手方向を有し、前後方向に所定の長さで延びる略平板状である。シャッター171は、閉鎖状態と開放状態を夫々形成する。閉鎖状態とは、遊技盤2よりも前方に突出することで第二大入賞口17へ遊技球が入賞できない状態をいい、開放状態とは、遊技盤2よりも後方に退避することで第二大入賞口17へ遊技球が入賞できる状態をいう。
【0023】
第二大入賞口17の下方には、遊技球が通過可能なゲート11が設けられる。ゲート11は、後述の普通図柄の作動ゲートである。ゲート11の下方には、第二始動口13が設けられる。第二始動口13は、普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変更する役物)に係る入賞口である。第二始動口13は、後述の第二特別図柄の始動口として機能する。第二始動口13は、シャッター131を備える。シャッター131は、左右方向においてシャッター171よりも短い略平板状である。シャッター131は、閉鎖状態と開放状態を夫々形成する。閉鎖状態とは、遊技盤2よりも前方に突出することで第二始動口13へ遊技球が入賞できない状態をいい、開放状態とは、遊技盤2よりも後方に退避することで第二始動口13へ遊技球が入賞できる状態をいう。
【0024】
シャッター131,161,171は、第二始動口ソレノイド(図示略)、第一大入賞口ソレノイド18、第二大入賞口ソレノイド(図示略)の夫々の駆動によって、電気的に開放状態又は閉鎖状態にされる。遊技球は、シャッター131,161,171が開放状態にある場合にのみ、第二始動口13、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の夫々に入賞できる。
【0025】
遊技領域4には、上記以外に、アウト口29、各種の電飾部材、その他の入賞口及び遊技くぎ等が設けられる。アウト口29は、遊技盤2の下部に設けられる。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口12、第二始動口13、大入賞口及びその他の入賞口の何れにも入賞せず、遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口29を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0026】
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも、第一始動口12へ入賞し易い。右打ちされた遊技球が第一始動口12へ入賞することは困難である。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりも、ゲート11、第二始動口13及び第二大入賞口17を通過又は入賞しやすい。左打ちされた遊技球がゲート11、第二始動口13及び第二大入賞口17を通過又は入賞することは困難である。なお、第一大入賞口16には、左打ちされた遊技球及び右打ちされた遊技球の何れも入賞できる。
【0027】
遊技盤2の左下部には、図柄表示部24が設けられる。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部等を備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、夫々複数個のLEDからなり、第一大当たり判定の結果を示す第一特別図柄、及び第二大当たり判定の結果を示す第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。
【0028】
図2を参照し、パチンコ機1の遊技概要を説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、小当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられる。大当たり遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動する為の条件となる装置である。役物連続作動装置とは、大入賞口が連続して作動する大当たり遊技状態を生起させる為の装置である。本実施形態では、条件装置が作動した場合に役物連続作動装置が作動する。パチンコ機1において、条件装置は、遊技球が大入賞口の内部の特定の領域を通過した場合に作動する。本実施形態の特定の領域は、第一大入賞口16の内部の特定領域291A(図3参照)である。以下説明は、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態(大当たり遊技が行われている状態)を、大当たり遊技状態という。
【0029】
パチンコ機1は、第一始動口12へ遊技球が入賞することを契機として、第一大当たり判定を行う。第一大当たり判定では、小当たり又ははずれの判定結果が、第一大当たり乱数に基づいて導出される。第一大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第一特別図柄が、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。その後、下センター飾り22において、小当たり遊技が実行される。小当たり遊技では、第一大入賞口16のシャッター161が予め定められた開閉動作パターンに基づく開閉動作が行われることによって第一大入賞口16が開放状態になる。大当たり判定によって小当たりであると判定された段階では、条件装置は作動せず、役物連続作動装置も作動しない。小当たり遊技では、第一大入賞口16が開閉動作パターンに応じて1回の開閉動作を行う。小当たり遊技において、大入賞口が複数回の開閉動作を行うことはない。なお、小当たり遊技における大入賞口の1回の開閉動作が、一つの大入賞口の開放状態を複数回用いて構成されることは妨げられない。
【0030】
本実施形態の小当たり遊技では、下センター飾り22において、開放状態になった第一大入賞口16に遊技球が入賞し、特定領域291Aを通過すると、条件装置が作動する。条件装置の作動に伴い、役物連続作動装置が作動すると、大当たり遊技状態が生起され、大入賞口が複数回数の開閉動作を行う大当たり遊技が、小当たり遊技に引き続いて実行される。パチンコ機1では、第二大入賞口17が予め定められた開閉動作パターンに基づく開閉動作を行うことによって、大当たり遊技が実行される。
【0031】
また、パチンコ機1は、遊技球がゲート11を通過することを契機として、普通当たり判定を行う。普通当たり判定では、普通当たり又ははずれの判定結果が、普通当たり乱数に基づいて導出される。普通当たり判定において普通当たりであると判定されると、判定結果が普通当たりであることを示す普通図柄が、図柄表示部24の普通図柄表示部に確定表示される。その後、第二始動口13のシャッター131が予め定められた開閉動作パターンに基づく開閉動作を行うことによって第二始動口13が開放状態になる普通当たり遊技が実行される。
【0032】
パチンコ機1は、右打ちされた遊技球が第二始動口13へ入賞することを契機として、第二大当たり判定を行う。第二大当たり判定では、小当たり又ははずれの判定結果が、第二大当たり乱数に基づいて導出される。第二大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に確定表示される。その後、小当たり遊技が実行される。小当たり遊技において開放状態になった第一大入賞口16に遊技球が入賞し、入賞した遊技球が特定領域291Aを通過すると、前述の大当たり遊技状態が生起され、小当たり遊技に引き続いて大当たり遊技が実行される。
【0033】
図3図4を参照し、下センター飾り22の具体的構造を説明する。下センター飾り22は、本体23と枠状板31を備える。本体23は、前面が開口する透明の樹脂で形成された筐体である。枠状板31は正面視前後方向に貫通する枠状に形成され、本体23の前面側に固定される。枠状板31は、前飾り部32、第一大入賞口16、シャッター161、第一大入賞口ソレノイド18、流通路162等を備える。
【0034】
前飾り部32は、枠状板31の前面側に固定される。第一大入賞口16は、枠状板31の上部に設けられ、上方に向けて開口する。シャッター161は、枠状板31の上部で且つ第一大入賞口16の直上に設けられ、前方に向けて出退可能に設けられる。第一大入賞口ソレノイド18は、枠状板31の上部で且つシャッター161の後側に設けられ、シャッター161を出退させる。流通路162は、枠状板31の上部で且つシャッター161の直下に設けられる。流通路162は、第一大入賞口16に入賞した遊技球が通る通路であり、左斜め下方に延びる。
【0035】
本体23は、流通路50、流通路70、貯留装置25、下センターステージ28、通路291~293、特定領域291A、非特定領域292A,293A、回転役物26、モータ(非図示)等を備える。
【0036】
流通路50は、下センター飾り22の内部に設けられる遊技球の通路である。流通路50は、枠状板31の流通路162の下流側端部と接続する。詳細な構造は後述するが、流通路50は、本体23内の左側に向かい、下流側端部で流通路70と接続する。流通路70は、本体23内の左側を下方に延び、後述の通路292に接続する。貯留装置25は、本体23内の左上部に設けられ、流通路70を流れる遊技球を一つ停留させ、所定のタイミングで後述の下センターステージ28上に放出する。
【0037】
下センターステージ28は、本体23内の略中段に設けられる。下センターステージ28は、転動面281と排出路282を備える。下センターステージ28は、略擂鉢状に形成され、転動面281は下センターステージ28の上面に形成される。転動面281の中央には、遊技球が入球可能な円形の開口部287が設けられる。開口部287は、通路291が接続される。通路291は、開口部287から下方に延び、本体23の底壁部に設けられた下排出口291Bと連通する。通路291には、特定領域291Aが設けられる。転動面281の外周には、周壁285が立設される。周壁285には、遊技球が通過可能な排出口286が複数設けられる。
【0038】
排出路282は、転動面281の外周を取り囲むようにして設けられる。排出路282は、転動面281よりも低く設けられ、複数の排出口286を通過した遊技球が転動する。排出路282の左部には、孔283が設けられ、右部には孔284が設けられる。孔283は、通路292が接続される。通路292は、排出路282の孔283から下方に延び、本体23の左壁の下部に設けられた左排出口292Bと連通する。通路292には、非特定領域292Aが設けられる。孔284は、通路293が接続される。通路293は、排出路282の孔284から下方に延び、本体23の右壁の下部に設けられた右排出口293Bと連通する。通路293には、非特定領域293Aが設けられる。
【0039】
第一大入賞口16に入賞した遊技球は、特定領域291A、および非特定領域292A,293Aのいずれかを通過する。第一大入賞口16に入賞した遊技球が特定領域291Aを通過する場合、条件装置が作動して、大当たり遊技状態が生起される。一方、第一大入賞口16に入賞した遊技球が非特定領域292A,293Aのみを通過する場合、条件装置が作動せず、小当たり遊技が行われる前の状態に戻る。
【0040】
回転役物26は、転動面281の開口部287の内側に設けられ、上下方向に延び、開口部287を介して上方に突出する回転軸263を中心に回転可能に支持される。回転軸263の中間部且つ開口部287の直上には、複数の羽根を有する羽根部材265が設けられる。モータは、下センターステージ28の下方に設けられる。モータは、回転軸263と連結する。モータが駆動すると、羽根部材265は回転軸263と一体して回転する。
【0041】
図5図8を参照し、流通路50の具体的構造を説明する。図5図6に示すように、流通路50は、流通路51,52,53を含む。流通路51,52,53は、筒状に形成され、内部を遊技球が流通する。流通路51,52,53の内径は、遊技球の径(たとえば、11.0mm)よりも大きい(例えば、11.7mm)。流通路51は、後下がりに傾斜しながら延びる筒状であり、前端部の上端に入口51Aを有する。流通路51の前端部が上側から流通路162の下流側端部と接続し、流通路162を通過した遊技球は入口51Aを介して流通路50に進入する。
【0042】
流通路52は、左下がり(図6のI方向)に傾斜しながら延びる筒状である。流通路52の右上端部は、流通路51の下流側端部である後下端部と接続する。流通路51を後方に転動した遊技球は、流通路52に進入し、左方に転動する。流通路52は、堰止部61、開口62、スリット63、検出部64を備える。
【0043】
図7に示すように、堰止部61は、第一凸部61Aと第二凸部61Bとを備える。第一凸部61Aは、流通路52の内面のうち、後面から前側に突出して設けられる。第二凸部61Bは、流通路52の内面のうち、前面から後側に突出して設けられ、第一凸部61Aと前後方向に対向する。第一凸部61Aと第二凸部61Bとは、遊技球が流通するI方向において互いに重ならない位置に設けられる。第一凸部61Aと第二凸部61Bとの距離は、遊技球の径よりも長く、且つ遊技球よりも大きい大玉の径(例えば、11.5mm)よりも短い(例えば、11.2mm)。よって、図8(1)に示すように、流通路52に進入した遊技球Kは、堰止部61により前後方向に蛇行しながら流通路52を流通する。一方、図8(2)に示すように、流通路52に進入した大玉K´は、堰止部61により流通が堰き止められる。
【0044】
図5図6に示すように、開口62、スリット63、検出部64は、いずれも、遊技球が流通するI方向において堰止部61で堰き止められる大玉K´に対応する位置に設けられる。開口62は、流通路52の上端を上下方向に開口する。開口62の幅は大玉K´の径よりも大きく、堰止部61で堰き止められた大玉K´が通過可能である。スリット63は、流通路52の前端を前後方向に開口する。スリット63は、開口62に向けて上下方向に延び、左右方向の幅が遊技球K(図8参照)の径よりも小さい。スリット63の下端は、前後方向において流通路52の内面の下端近傍に位置する。
【0045】
検出部64は、検出部64に近接する遊技球Kまたは大玉K´を検出する近接センサである。検出部64は、検出部64から4mm以内にある遊技球Kまたは大玉K´を検出する。検出部64の近傍に遊技球Kまたは大玉K´がある場合、検出部64は検出信号(ON信号)をパチンコ機1を制御する制御部(図示略)に出力する。図8(1)に示すように、遊技球Kが流通路52に進入した場合、遊技球Kは流通路52を流通可能であるので、検出部64は遊技球Kが検出部64に近接する間だけ検出信号を制御部に出力する。一方、図8(2)に示すように、大玉K´が流通路52に進入した場合、大玉K´は堰止部61により流通が堰き止められるので、検出部64は検出信号を制御部に常時出力する。制御部は、検出信号を受信する時間に応じて、遊技球Kおよび大玉K´のいずれかが流通路52に進入したかを判断する。制御部は、大玉K´が流通路52に進入したと判断する場合、スピーカ48による音声の出力、非図示の電飾部材の発光等による報知を実行する。
【0046】
図5図6に示すように、流通路53は、後下がりに傾斜しながら延びる筒状である。流通路53の前上端部は、流通路52の下流側端部である左下端部と接続する。流通路53の後下端部は、流通路70の上流側端部と接続する。流通路53を後方に転動した遊技球は、流通路70に進入する。
【0047】
以上説明した本実施形態の主な効果について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機1は、以下説明する効果以外にも様々な効果を奏することはいうまでもない。
【0048】
パチンコ機1は、下センター飾り22を備える。下センター飾り22は、内部を遊技球が流通する筒状の流通路52を備える。流通路52は、堰止部61と検出部64とを備える。堰止部61は、流通路52に進入した遊技球Kを通過させるが、流通路52に進入した大玉K´の流通を堰き止める。検出部64は、遊技球Kが流通する方向(I方向)において、堰止部61で堰き止められる大玉K´に対応する位置に設けられる。検出部64は、堰止部61で堰き止められる大玉K´を検出する。このように、検出部64は、堰止部61で堰き止められる大玉K´に対応する位置に設けられ、堰止部61で堰き止められる大玉を検出する。よって、パチンコ機1は、下センター飾り22の内部にある大玉K´を確実に検出することができる。
【0049】
また、流通路52は、開口62を更に備える。開口62は、I方向において、堰止部61で堰き止められる大玉K´に対応する位置に設けられる。開口62は、流通路52の上端を上下方向に開口する。開口62の幅は大玉K´の径よりも大きく、堰止部61で堰き止められた大玉K´が通過可能である。大玉K´が堰止部61で堰き止められた場合、遊技場の作業者は、開口62を介して流通路52から大玉K´を抜き取ることができる。これにより、パチンコ機1は、下センター飾り22の内部で大玉K´が堰き止められた場合にも、速やかに遊技の進行を再開できる。
【0050】
また、流通路52は、スリット63を更に備える。スリット63は、I方向において、堰止部61で堰き止められる大玉K´に対応する位置に設けられる。スリット63は、流通路52の前端を前後方向に開口する。スリット63は、開口62に向けて上下方向に延び、左右方向の幅が遊技球Kの径よりも小さい。大玉K´が堰止部61で堰き止められた場合、遊技場の作業者は、棒状の部材をスリット63に挿入し、大玉K´を開口62に向けて押し出すことで、流通路52から大玉K´を容易に抜き取ることができる。これにより、パチンコ機1は、下センター飾り22の内部で大玉K´が堰き止められた場合にも、より速やかに遊技の進行を再開できる。
【0051】
また、堰止部61は、第一凸部61Aと第二凸部61Bとを備える。第一凸部61Aは、流通路52の内面のうち、後面から前側に突出して設けられる。第二凸部61Bは、流通路52の内面のうち、前面から後側に突出して設けられ、第一凸部61Aと前後方向に対向する。第一凸部61Aと第二凸部61Bとは、遊技球が流通するI方向において互いに重ならない位置に設けられる。これにより、流通路52に進入した遊技球Kは、堰止部61により前後方向に蛇行しながら流通路52を流通する。よって、第一凸部61Aと第二凸部61BとがI方向において重なる位置に設けられる場合と比較して、遊技球Kは堰止部61を円滑に流通することができる。
【0052】
また、検出部64は、流通路52に進入した遊技球Kを更に検出できる。遊技球Kが流通路52に進入した場合、遊技球Kは流通路52を流通可能であるので、検出部64は遊技球Kが検出部64に近接する間だけ検出信号を制御部に出力する。一方、大玉K´が流通路52に進入した場合、大玉K´は堰止部61により流通が堰き止められるので、検出部64は検出信号を制御部に常時出力する。制御部は、検出信号を受信する時間に応じて、遊技球Kおよび大玉K´のいずれかが流通路52に進入したかを判断する。このように、検出部64が遊技球Kと大玉K´の両方を検出できる。よって、パチンコ機1は、下センター飾り22に流通路52を流通する遊技球Kを検出する手段を別に設ける必要がなく、下センター飾り22を小型化することができる。
【0053】
本実施形態において、パチンコ機1が、本発明の「遊技機」に相当する。流通路52が、本発明の「流通路」に相当する。下センター飾り22が、本発明の「役物装置」に相当する。開口62が、本発明の「開口部」に相当する。上下方向が、本発明の「開口方向」に相当する。図6に示すI方向が、本発明の「流通方向」に相当する。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。遊技仕様は上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明は、上記実施形態のようないわゆる2種タイプの遊技機のみならず、1種タイプ(いわゆる、セブン機。)、1種2種混合タイプ、一般電役タイプ等のあらゆる遊技仕様の遊技機に適用できる。
【0055】
パチンコ機1における各種構成の配置は、上記実施形態に限定されない。例えば、流通路52は、上下方向に延びてもよい。この場合、遊技球は流通路52の内部を流下する。また、検出部64は、近接センサ以外(例えば、光学センサ等)でもよい。検出部64は、遊技球を検出せず、大玉のみを検出可能であってもよい。また、流通路52は、大玉を検出する検出部64以外のセンサを備えてもよい。このセンサは、遊技球または大玉に限らず、例えば、電磁波を検出してもよい。大玉を用いた不正行為である大玉ゴトでは、パチンコ機1の外部から電磁波を照射することがあるので、パチンコ機1は、更に大玉ゴトが行われていることを感知できる。また、下センター飾り22は、検出部64以外に大玉を検出可能なセンサを備えてもよい。
【0056】
また、堰止部61の構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、堰止部61は、流通路52の内面のうち下部以外の面から内側に突出して設けられてもよい。この場合、流通路52のI方向に直交する断面において、堰止部61は上方に凸となるアーチ状となる。堰止部61は、第一凸部61A,第二凸部61B以外に大玉を堰き止める構成を備えてもよい。第一凸部61A,第二凸部61Bの数は、上記実施形態のように1つでなく、複数であってもよい。
【0057】
また、流通路52は、開口62を備えなくてもよい。この場合、例えば、遊技場の作業者が第一大入賞口16から大玉を抜き取れるように流通路50が構成されてもよい。また、流通路52は、スリット63を備えなくてもよい。スリット63の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、スリット63は、開口62が開口する上下方向に対して緩やかに湾曲しながら開口62に向けて延びてもよい。また、流通路52は、堰止部61で堰き止められた遊技球を流通路52から排出する機構を設けてもよい。例えば、流通路52は、下部にスリットを設け、このスリットの直下に設けられる部材がソレノイド等の駆動力によりスリットを介して流通路52の内部に突出して、堰止部61で堰き止められた遊技球を開口62に向けて押し上げる機構を備えてもよい。
【0058】
また、大玉K´が流通路52に進入したと判断した制御部が実行する報知の態様は、上記実施形態に限定されない。制御部は、例えば、遊技場に設置されている遊技機を統括的に管理する遊技場管理用コンピュータ(いわゆるホールコンピュータ)を介して大玉K´が流通路52に進入したと報知してもよい。これにより、遊技場の作業者は、大玉K´が流通路52に進入したことを早期に把握できる。
【0059】
さらには、特許請求の範囲、明細書、および図面に記載される全ての要素は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名前)は、単に本件の記載のために便宜上付与したに過ぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素がなんであるか限定解釈されるものではない。例えば、「堰止部」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。さらには、全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、特許請求の範囲等において特定していない限り、いずれも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、敢えて明細書等において全てのパターンを記載しなくてもいずれのパターンも想定範囲内であることから本発明に係る権利範囲に含まれるのは勿論である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施形態に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施形態から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0060】
1 パチンコ機
22 下センター飾り
52 流通路
61 堰止部
61A 第一凸部
61B 第二凸部
62 開口
63 スリット
64 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8