(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098750
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】走行制御装置および該方法
(51)【国際特許分類】
F16D 48/02 20060101AFI20220627BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20220627BHJP
G05G 1/38 20080401ALI20220627BHJP
B60K 23/02 20060101ALI20220627BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20220627BHJP
【FI】
F16D48/02 640Q
F16D48/02 640R
G05G25/00 C
G05G1/38
B60K23/02 M
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212329
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】松岡 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
【テーマコード(参考)】
3B087
3D036
3J057
3J070
【Fターム(参考)】
3B087DE10
3D036EB02
3D036EB28
3D036EB32
3J057BB03
3J057EE09
3J057GA55
3J057GB05
3J057GB09
3J057GB12
3J057GB26
3J057GB30
3J057GB36
3J057GB40
3J057GE07
3J057HH01
3J057JJ01
3J070AA32
3J070BA41
3J070BA51
3J070CC71
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、原動機の始動の際に、原動機と変速機との間の締結をより確実に解除できる走行制御装置および走行制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の走行制御装置Dは、クラッチ装置32と、クラッチペダルと、前記クラッチペダルの踏み込み量を検出するクラッチ踏込み量検出部13と、クラッチ踏込み量検出部13と電気的に接続され、クラッチ踏込み量検出部13の検出結果に基づいてクラッチ装置32を制御するクラッチ制御部212とを有する、クラッチバイワイヤシステムを備えた車両の走行制御装置であって、乗員が前記車両に乗り込む乗込み動作を検出する乗込み動作検出部17をさらに備え、クラッチ制御部212は、原動機31の停止中に、乗込み動作検出部17によって前記乗込み動作を検出した場合に、原動機31と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチ装置と、クラッチペダルと、前記クラッチペダルの踏み込み量を検出する踏込み量検出部と、前記踏込み量検出部と電気的に接続され、前記踏込み量検出部の検出結果に基づいて前記クラッチ装置を制御する制御部とを有する、クラッチバイワイヤシステムを備えた車両の走行制御装置であって、
乗員が前記車両に乗り込む乗込み動作を検出する乗込み動作検出部をさらに備え、
前記制御部は、原動機の停止中に、前記乗込み動作検出部によって前記乗込み動作を検出した場合に、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する、
走行制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記クラッチ装置を制御することによって前記原動機と変速機との間の締結を解除した後に、所定の時間が経過した場合に、前記原動機と変速機との間を締結するように、前記クラッチ装置を制御する、
請求項1に記載の走行制御装置。
【請求項3】
前記車両に装備されている装備品に対する操作を検出する操作検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記クラッチ装置を制御することによって前記原動機と変速機との間の締結を解除した後に、前記操作検出部によって前記装備品に対する操作を検出した場合に、前記原動機と変速機との間を締結するように、前記クラッチ装置を制御する、
請求項1または請求項2に記載の走行制御装置。
【請求項4】
ブレーキペダルの踏み込み量を検出する第2踏込み量検出部とをさらに備え、
前記制御部は、前記クラッチ装置を制御することによって前記原動機と変速機との間を締結した後に、前記踏込み量検出部によって前記クラッチペダルの踏込みを検出した場合、および、前記第2踏込み量検出部によって前記ブレーキペダルの踏込みを検出した場合、のうちの少なくとも一方の場合に、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する、
請求項2または請求項3に記載の走行制御装置。
【請求項5】
前記乗込み動作は、ドアを開放する動作である、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の走行制御装置。
【請求項6】
前記乗込み動作は、シートに着座する動作である、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の走行制御装置。
【請求項7】
パーキングブレーキの使用の有無を検出する使用有無検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記使用有無検出部によって前記パーキングブレーキの使用有りを検出した場合にのみ、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の走行制御装置。
【請求項8】
クラッチペダルの踏み込み量を検出する踏込み量検出工程と、前記踏込み量検出工程の検出結果に基づいてクラッチ装置を制御する制御工程とを有する、クラッチバイワイヤシステムを備えた車両の走行制御方法であって、
乗員が前記車両に乗り込む乗込み動作を検出する乗込み動作検出工程をさらに備え、
前記制御工程は、原動機の停止中に、前記乗込み動作検出工程によって前記乗込み動作を検出した場合に、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する、
走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行を制御する走行制御装置および走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば特許文献1等に開示されているように、原動機と変速機(トランスミッション)との間を断接(断続)する自動クラッチ装置を備える車両の走行制御装置が研究、開発されている。このような自動クラッチ装置は、走行中にエンジン等の原動機と駆動輪との間における駆動力の伝達を解除して原動機を停止またはアイドル状態としてコースティング(慣性走行)にできるため、省エネルギー化でき、燃費向上の点で有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、原動機の始動の際には、駆動輪に駆動力を伝達させないために、原動機と変速機との間の締結を解除しておく必要がある。前記自動クラッチ装置ではない、通常のクラッチ装置では、クラッチペダルは、例えばワイヤや油圧で前記クラッチ装置と機械的に接続されているため、クラッチペダルの操作によって生じる反力等による抵抗感等をクラッチペダルから脚部に感じることにより、乗員は、前記締結の解除を実感し易い。一方、前記自動クラッチ装置では、クラッチペダルの操作によって生じる反力等による抵抗感等は、クラッチペダルの設計によって適宜に設定可能であるため、前記通常のクラッチ装置のように、乗員が前記締結の解除を実感し難い場合が起こり得る。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、原動機の始動の際に、原動機と変速機との間の締結をより確実に解除できる走行制御装置および走行制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる走行制御装置は、クラッチ装置と、クラッチペダルと、前記クラッチペダルの踏み込み量を検出する踏込み量検出部と、前記踏込み量検出部と電気的に接続され、前記踏込み量検出部の検出結果に基づいて前記クラッチ装置を制御する制御部とを有する、クラッチバイワイヤシステムを備えた車両の走行制御装置であって、乗員が前記車両に乗り込む乗込み動作を検出する乗込み動作検出部をさらに備え、前記制御部は、原動機の停止中に、前記乗込み動作検出部によって前記乗込み動作を検出した場合に、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する。
【0007】
多くの場合、乗員は、駐車中の車両に乗り込んでから原動機を始動する。上記走行制御装置は、原動機の停止中に、乗員の乗込み動作を検出すると、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置を制御する。このため、上記走行制御装置は、原動機の始動の際に、原動機と変速機との間の締結をより確実に解除できる。
【0008】
他の一態様では、上述の走行制御装置において、前記制御部は、前記クラッチ装置を制御することによって前記原動機と変速機との間の締結を解除した後に、所定の時間が経過した場合に、前記原動機と変速機との間を締結するように、前記クラッチ装置を制御する。
【0009】
このような走行制御装置は、締結の解除後、所定の時間の経過後に、前記締結を再開するので、前記締結が解錠されたままで原動機の始動が無い状態の継続を回避できる。
【0010】
他の一態様では、上述の走行制御装置において、前記車両に装備されている装備品に対する操作を検出する操作検出部をさらに備え、前記制御部は、前記クラッチ装置を制御することによって前記原動機と変速機との間の締結を解除した後に、前記操作検出部によって前記装備品に対する操作を検出した場合に、前記原動機と変速機との間を締結するように、前記クラッチ装置を制御する。
【0011】
乗員により装備品が操作された場合、前記装備品の使用によって原動機がしばらく始動されない場合が有り得る。上記走行制御装置は、締結の解除後、前記装備品に対する操作を検出すると、前記締結を再開するので、前記締結が解錠されたままで原動機の始動が無い状態の継続を回避できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の走行制御装置において、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する第2踏込み量検出部とをさらに備え、前記制御部は、前記クラッチ装置を制御することによって前記原動機と変速機との間を締結した後に、前記踏込み量検出部によって前記クラッチペダルの踏込みを検出した場合、および、前記第2踏込み量検出部によって前記ブレーキペダルの踏込みを検出した場合、のうちの少なくとも一方の場合に、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する。
【0013】
このような走行制御装置は、自動的な解除後の再締結後における、クラッチペダルの踏込みを検出した場合や、ブレーキペダルの踏込みを検出した場合に、前記締結を解除するようにクラッチ装置を制御するので、通常の制御に戻り、原動機の始動の際での前記締結を解除できる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の走行制御装置において、前記乗込み動作は、ドアを開放する動作である。好ましくは、上述の走行制御装置において、前記乗込み動作は、ドアを開放する動作(ドア開け動作)であり、前記乗込み動作検出部は、ドアの開閉を検出するドアセンサである。好ましくは、前記ドアセンサは、ドアの開閉に応じてオンオフ(またはオフオン)するスイッチである。好ましくは、前記ドアセンサは、ドアの開閉による明暗を検出するホトセンサ(受光素子)である。
【0015】
このような走行制御装置は、乗込み動作がドアを開放する動作であるので、一連の乗り込み動作の比較的早期に締結を解除できる。
【0016】
他の一態様では、これら上述の走行制御装置において、前記乗込み動作は、シートに着座する動作である。好ましくは、上述の走行制御装置において、前記乗込み動作は、シートに着座する動作(着座動作)であり、前記乗込み動作検出部は、乗員の着座を検出する着座センサである。好ましくは、前記着座センサは、重量を検出する重量センサである。
【0017】
このような走行制御装置は、乗込み動作がシートに着座する動作であるので、乗員の運転準備が整ったことを考慮して締結を解除できる。
【0018】
他の一態様では、これら上述の走行制御装置において、パーキングブレーキの使用の有無を検出する使用有無検出部をさらに備え、前記制御部は、前記使用有無検出部によって前記パーキングブレーキの使用有りを検出した場合にのみ、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する。
【0019】
このような走行制御装置は、パーキングブレーキの使用有りを検出した場合にのみ、前記締結を解除するようにクラッチ装置を制御するので、例えば坂道停止時等において、前記締結の解除による車両のずり下がりを防止できる。
【0020】
本発明の他の一態様にかかる走行制御方法は、クラッチペダルの踏み込み量を検出する踏込み量検出工程と、前記踏込み量検出工程の検出結果に基づいてクラッチ装置を制御する制御工程とを有する、クラッチバイワイヤシステムを備えた車両の走行制御方法であって、乗員が前記車両に乗り込む乗込み動作を検出する乗込み動作検出工程をさらに備え、前記制御工程は、原動機の停止中に、前記乗込み動作検出工程によって前記乗込み動作を検出した場合に、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する。
【0021】
このような走行制御方法は、原動機の停止中に、乗員の乗込み動作を検出すると、前記原動機と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置を制御する。このため、上記走行制御方法は、原動機の始動の際に、原動機と変速機との間の締結をより確実に解除できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる走行制御装置および走行制御方法は、原動機の始動の際に、原動機と変速機との間の締結をより確実に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態における走行制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】原動機の始動に関する、前記走行制御装置の動作を示すフローチャート(その1)である。
【
図3】原動機の始動に関する、前記走行制御装置の動作を示すフローチャート(その2)である。
【
図4】原動機の始動に関する、前記走行制御装置の動作を示すフローチャート(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0025】
実施形態における走行制御装置は、クラッチ装置と、クラッチペダルと、前記クラッチペダルの踏み込み量を検出する踏込み量検出部と、前記踏込み量検出部と電気的に接続され、前記踏込み量検出部の検出結果に基づいて前記クラッチ装置を制御する制御部とを有する、クラッチバイワイヤシステム(バイワイヤクラッチシステム、e-クラッチシステム)を備えた車両の走行制御装置である。この走行制御装置は、原動機の停止中に、乗員が前記車両に乗り込む乗込み動作を検出する乗込み動作検出部をさらに備え、前記制御部は、前記乗込み動作検出部によって前記乗込み動作を検出した場合に、前記原動機と変速機(トランスミッション)との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置を制御する。このような走行制御装置について、以下、より具体的に説明する。
【0026】
図1は、実施形態における走行制御装置の構成を示すブロック図である。実施形態における走行制御装置Dは、例えば、
図1に示すように、アクセル踏込み量検出部11と、ブレーキ踏込み量検出部12と、クラッチ踏込み量検出部13と、クラッチカット検出部14と、シフトポジション入力部15と、車速測定部16と、乗込み動作検出部17と、使用有無検出部18と、制御処理部21と、原動機31と、クラッチ装置32と、出力部33とを備える。
【0027】
アクセル踏込み量検出部11は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従ってアクセルペダルの踏込み量(アクセルペダル踏込み量、アクセルペダルストローク量)を検出する装置である。アクセル踏込み量検出部11は、原動機31による駆動力の大きさの指示を入力するためのアクセルペダル(不図示)に付設され、例えばポテンションメータやホール素子等でアクセルペダルのペダル可動角を検出することによってペダルの踏込み量を検出するペダルストロークセンサ等を備えて構成される。アクセル踏込み量検出部11は、その出力(アクセルペダル踏込み量)を制御処理部21へ出力する。
【0028】
ブレーキ踏込み量検出部12は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従ってブレーキペダルの踏込み量(ブレーキペダル踏込み量、ブレーキペダルストローク量)を検出する装置である。ブレーキ踏込み量検出部12は、ブレーキ装置(不図示)による制動力の大きさの指示を入力するためのブレーキペダル(不図示)に付設され、例えばブレーキペダルのペダル可動角を検出することによってペダルの踏込み量を検出するペダルストロークセンサ等を備えて構成される。あるいは、例えば、ブレーキ踏込み量検出部12は、ブレーキ装置の油圧系に備えられた、油圧(例えばブレーキペダルの踏力を油圧に変換するマスターシリンダの油圧)を検出する油圧センサ等を備えて構成され、前記油圧センサで検出した油圧に基づいてペダルの踏込み量を検出するものである。ブレーキ踏込み量検出部12は、その出力(ブレーキペダル踏込み量)を制御処理部21へ出力する。
【0029】
クラッチ踏込み量検出部13は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従ってクラッチペダルの踏込み量(クラッチペダル踏込み量、クラッチペダルストローク量)を検出する装置である。クラッチ踏込み量検出部13は、クラッチ装置32による原動機31と変速機(不図示)との間の断接の指示を入力するためのクラッチペダル(不図示)に付設され、例えばクラッチペダルのペダル可動角を検出することによってペダルの踏込み量を検出するペダルストロークセンサ等を備えて構成される。クラッチ踏込み量検出部13は、その出力(クラッチペダル踏込み量)を制御処理部21へ出力する。なお、クラッチの踏込み操作に関し、いわゆるフェールセーフ(fail safe)を実現するために、走行制御装置Dは、クラッチ踏込み量検出部13と同様な第2クラッチ踏込み量検出部をさらに備えてもよい。
【0030】
クラッチカット検出部14は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従ってクラッチペダルの踏込みの有無を検出する装置である。クラッチカット検出部14は、クラッチペダルに付設され、例えば、クラッチペダルが踏み込まれるとオンし、クラッチペダルの踏み込みが解除されるとオフするスイッチ等を備えて構成される。クラッチカット検出部14は、その出力(クラッチペダルの踏込みの有無)を制御処理部21へ出力する。
【0031】
シフトポジション入力部15は、制御処理部21に接続され、シフトポジションを入力する装置である。シフトポジション入力部15は、例えばシフトレバー等を備えて構成される。あるいは、例えば、シフトポジション入力部15は、ボタン式シフトの複数のスイッチ等を備えて構成される。シフトポジション入力部15は、その入力されたシフトポジションを制御処理部21へ出力する。
【0032】
車速測定部16は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従って、車両の速度(車速)を測定する装置である。車速測定部16は、例えば、ロータリエンコーダ等を備えて構成され、単位時間当たりの、車輪(車軸)における回転の変位量から車輪速(車輪の回転速度)を測定する車輪速センサ等である。車速測定部16は、その出力(車速)を制御処理部21へ出力する。
【0033】
乗込み動作検出部17は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従って、乗員が車両に乗り込む乗込み動作を検出する装置である。前記乗込み動作は、例えば、車両のドアを開放する(開ける)動作(ドア開け動作)であり、乗込み動作検出部17は、ドアの開閉を検出するドアセンサである。前記ドアセンサは、例えば、ドアの開閉に応じてオンオフ(またはオフオン)するスイッチである。この場合では、スイッチがオン(またはオフ)である場合に、ドアの開閉状態(開閉状況)が開放であると判定され、スイッチがオフ(またはオン)である場合に、ドアの開閉状態が開放ではないと判定される。あるいは、例えば、前記ドアセンサは、ドアの開閉による明暗を検出するホトセンサ(受光素子)である。この場合では、前記ホトセンサの出力が所定の判定閾値以上である場合に、ドアの開閉状態が開放であると判定され、前記ホトセンサの出力が前記判定閾値未満である場合に、ドアの開閉状態が開放ではないと判定される。また例えば、前記乗込み動作は、シートに着座する動作(着座動作)であり、乗込み動作検出部17は、乗員の着座を検出する着座センサである。前記着座センサは、例えば、シート内に設けられた、重量を検出する重量センサである。この場合では、前記重量センサの出力が所定の第2判定閾値以上である場合に、着座状態(着座状況)が着座有りであると判定され、前記受領センサの出力が前記第2判定閾値未満である場合に、着座状態が着座無しと判定される。本実施形態では、前記乗込み動作は、前記ドア開け動作および着座動作を含み、乗込み動作検出部17は、前記ドアセンサおよび着座センサを含む。乗込み動作検出部17は、その検出結果(乗込み動作の有無)を制御処理部21へ出力する。
【0034】
使用有無検出部18は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従って、パーキングブレーキの使用の有無を検出する装置である。使用有無検出部18は、パーキングブレーキ(不図示)に対する操作状態を検出するパーキングブレーキ操作部181と、パーキングブレーキ操作部181で検出した操作状態に基づいてパーキングブレーキの使用の有無を判定する使用有無判定部182(213)とを備える。使用有無判定部182(213)は、後述するように、制御処理部21に機能的に構成される。これらパーキングブレーキ操作部181および使用有無判定部182は、パーキングブレーキの方式に応じて適宜に構成される。例えば、パーキングブレーキがいわゆるサイドブレーキである場合では、パーキングブレーキ操作部181は、レバー、および、前記レバーの引き上げの有無を検出するレバーセンサ等を備えて構成され、使用有無判定部182は、前記レバーセンサの出力(検出結果)に応じてパーキングブレーキの使用の有無を判定する。前記レバーセンサは、例えば、前記レバーの引き上げおよび引き下げに応じてオンオフするスイッチ等であり、使用有無判定部182は、前記レバーセンサがオンしている場合にパーキングブレーキの使用有り(パーキングブレーキの作動中)と判定し、前記レバーセンサがオフしている場合にパーキングブレーキの使用無し(パーキングブレーキの非作動中)と判定する。あるいは、例えば、パーキングブレーキがいわゆる足踏込み式のパーキングブレーキである場合では、パーキングブレーキ操作部181は、パーキングブレーキペダル、および、前記パーキングブレーキペダルの踏込み量(パーキングブレーキペダル踏込み量、パーキングブレーキペダルストローク量)を検出するペダルストロークセンサ等を備えて構成され、使用有無判定部182は、前記ペダルストロークセンサの出力(パーキングブレーキペダル踏込み量)に応じてパーキングブレーキの使用の有無を判定する。使用有無判定部182は、前記パーキングブレーキペダル踏込み量が、予め適宜に設定された所定の閾値(パーキングブレーキ使用判定閾値)以上である場合にパーキングブレーキの使用有り(パーキングブレーキの作動中)と判定し、前記パーキングブレーキペダル踏込み量が前記パーキングブレーキ使用判定閾値未満である場合にパーキングブレーキの使用無し(パーキングブレーキの非作動中)と判定する。あるいは、例えば、パーキングブレーキがいわゆる電子式パーキングブレーキである場合では、パーキングブレーキ操作部181は、パーキングブレーキの作動をオンオフするパーキングブレーキスイッチ等を備えて構成され、使用有無判定部182は、前記パーキングブレーキスイッチのオンオフに応じてパーキングブレーキの使用の有無を判定する。使用有無判定部182は、前記パーキングブレーキスイッチがオンしている場合にパーキングブレーキの使用有り(パーキングブレーキの作動中)と判定し、前記パーキングブレーキスイッチがオフしている場合にパーキングブレーキの使用無し(パーキングブレーキの非作動中)と判定する。なお、本実施形態では、パーキングブレーキが電子式パーキングブレーキである場合として説明するが、他の方式も同様に説明できる。
【0035】
原動機31は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従って、車両を走行させるための駆動力を生成する装置である。原動機31は、例えば、エンジンおよび電動機のうちの少なくとも一方を含み、その駆動力をクラッチ装置32や変速機等を介して駆動輪に伝達する。
【0036】
クラッチ装置32は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従って、原動機31と変速機(トランスミッション)との間を断接する装置である。クラッチ装置32は、例えば、断接可能に構成されたクラッチプレートとフライホイールとを備えるクラッチ機構、および、フライホイールに対しクラッチプレートを相対的に移動させることで、クラッチプレートとフライホイールとを断接する駆動部(アクチュエータ)等を備えて構成される。
【0037】
出力部33は、制御処理部21に接続され、制御処理部21の制御に従って、例えばパーキングブレーキの作動中および非動作中であることや、クラッチ装置32の締結中および前記締結の解除中であること等を出力する装置である。出力部33は、例えば、インストルメントパネルに配設された表示装置等を備えて構成され、前記表示装置の表示面に、パーキングブレーキの作動中を表す所定のマーク(パーキングブレーキマーク)の表示によってパーキングブレーキの作動中であることを表示し、前記パーキングブレーキマークの非表示によってパーキングブレーキの非作動中であることを表示し、前記表示装置の表示面に、クラッチ装置32の締結中を表す所定のマーク(クラッチ締結マーク)の表示によってクラッチ装置32の締結中であることを表示し、前記クラッチ締結マークの非表示によってクラッチ装置32の解除中であることを表示する。なお、出力部33は、表示装置に限定されるものではなく、パーキングブレーキマーク用の表示ランプやクラッチ締結マーク用の表示ランプであってもよい。
【0038】
制御処理部21は、走行制御装置Dの各部11~18、31~33を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、乗員が前記車両に乗り込む乗込み動作を検出した場合に、原動機31と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御するための回路である。制御処理部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶素子およびその周辺回路等を備えて構成されたマイクロコンピュータである。前記記憶素子には、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)、書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)およびいわゆる前記CPUのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等が含まれる。前記記憶素子は、例えば制御処理プログラム等を記憶する。前記制御処理プログラムには、例えば、走行制御装置Dの各部11~18、31~33を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、クラッチ装置32を制御するクラッチ制御プログラムや、パーキングブレーキ操作部181の出力に応じてパーキングブレーキの使用の有無を判定する使用有無判定プログラム等が含まれる。制御処理部21には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部211、クラッチ制御部212および使用有無判定部213(182)が機能的に構成される。
【0039】
制御部211は、走行制御装置Dの各部11~18、31~33を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、走行制御装置D全体の制御を司るものである。
【0040】
クラッチ制御部212は、クラッチ装置32を制御するものである。より具体的には、クラッチ制御部212は、原動機31の停止中に、乗込み動作検出部17によって乗込み動作を検出した場合に、原動機31と前記変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御する。クラッチ制御部212は、クラッチ装置32を制御することによって原動機31と前記変速機との間の締結を解除した後に、所定の時間が経過した場合に、原動機31と前記変速機との間を締結するように、クラッチ装置32を制御する。前記所定の時間は、上述の自動解除の継続を停止するために、例えば20秒や45秒や60秒等で、予め適宜に設定される。クラッチ制御部212は、上述のように、クラッチ装置32の自動的な解除後に、前記クラッチ装置32を制御することによって原動機31と前記変速機との間を締結した後に、クラッチ踏込み量検出部13によって前記クラッチペダルの踏込みを検出した場合に、および、ブレーキ踏込み量検出部12によって前記ブレーキペダルの踏込みを検出した場合、のうちの少なくとも一方の場合に、原動機31と前記変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置32を制御する。そして、クラッチ制御部212は、使用有無検出部18によって前記パーキングブレーキの使用有りを検出した場合にのみ、原動機31と前記変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御する。
【0041】
なお、停車中または停車のために、ブレーキペダルが所定量以上または一杯に踏み込まれると、原動機31と前記変速機との間の締結を解除するように、走行制御装置Dは、構成されている。
【0042】
使用有無判定部213(182)は、上述のように、パーキングブレーキ操作部181で検出した操作状態に基づいてパーキングブレーキの使用の有無を判定するものである。
【0043】
そして、走行制御に関し、制御処理部21は、アクセル踏込み量検出部11で検出したアクセル踏込み量に応じて原動機31を制御し、ブレーキ踏込み量検出部12で検出したブレーキ踏込み量に応じてブレーキ装置(不図示)を制御し、クラッチ踏込み量検出部13で検出したクラッチ踏込み量に応じてクラッチ装置32を制御し、クラッチカット検出部14で検出した検出結果に応じてクラッチ装置32の締結および解除を制御し、シフトポジション入力部15に入力されたシフトポジションに応じて変速機のシフトポジションを制御し、使用有無検出部18の検出結果に応じてパーキングブレーキを制御する。また、例えば、ドライブアシストの際には、制御処理部21は、車速測定部16で測定した車速に基づいて自車両が所定の速度の定速で走行するように、原動機31および前記ブレーク装置を制御する。
【0044】
このような制御処理部21は、いわゆるECU(Electronic Control Unit)と呼称されるコンピュータによって構成可能である。
【0045】
なお、クラッチ制御部212は、前記踏込み量検出部の検出結果に基づいて前記クラッチ装置を制御する制御部の一例に相当する。クラッチ踏込み量検出部13は、前記クラッチペダルの踏み込み量を検出する踏込み量検出部の一例に相当する。ブレーキ踏込み量検出部12は、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する第2踏込み量検出部の一例に相当する。
【0046】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図2ないし
図4は、原動機の始動に関する、前記走行制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0047】
このような走行制御装置Dは、車両が稼働を始めると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。その制御処理プログラムの実行によって、制御処理部21には、制御部211、クラッチ制御部212および使用有無判定部213(182)が機能的に構成される。そして、走行制御装置Dは、
図2ないし
図4に示す次の各処理を、次のように、実行することで、原動機の始動に関し、クラッチ装置32を制御する。
【0048】
図2ないし
図4において、走行制御装置Dは、停止中であるか否かを判定するために、まず、制御処理部21のクラッチ制御部212によって、車速測定部16の出力(車速)を前記車速測定部16から読み込み、取得する(S1)。
【0049】
次に、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、処理S1で取得した車速測定部16の出力(車速)が0であるか否かを判定する(S2)。この判定の結果、前記車速が0ではない場合(No)には、走行制御装置Dは、処理を処理S1に戻す。一方、前記判定の結果、前記車速が0である場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S3を実行する。
【0050】
この処理S3では、走行制御装置Dは、使用有無検出部18によって、そのパーキングブレーキ操作部181の出力(パーキングブレーキの操作状態)を前記パーキングブレーキ操作部181から読み込み、取得する。
【0051】
次に、走行制御装置Dは、使用有無検出部18によって、処理S3で取得したパーキングブレーキ操作部181の出力(パーキングブレーキの操作状態)が使用中(作動中)であるか否かを判定する(S4)。この判定の結果、前記パーキングブレーキの操作状態が使用中(作動中)ではない場合(No)には、走行制御装置Dは、処理を処理S1に戻す。一方、前記判定の結果、前記パーキングブレーキの操作状態が使用中(作動中)である場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S5を実行する。
【0052】
この処理S5では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、前記ドアセンサの出力(ドアの開閉状態)を前記ドアセンサから読み込み、取得する。
【0053】
次に、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、処理S5で取得した前記ドアセンサの出力(ドアの開閉状態)が開放であるか否か(開いているか否か)を判定する(S6)。この判定の結果、前記ドアの開閉状態が開放ではない(開いていない)場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S7を実行する。一方、前記判定の結果、前記ドアの開閉状態が開放である場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S21を実行する。
【0054】
この処理S7では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、前記着座センサの出力(着座状態)を前記着座センサから読み込み、取得する。
【0055】
次に、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、処理S5で取得した前記着座センサの出力(着座状態)が着座であるか否かを判定する(S8)。この判定の結果、前記着座状態が着座ではない場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S9を実行する。一方、前記判定の結果、前記着座状態が着座である場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S21を実行する。
【0056】
この処理S9では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、前記着座センサが故障しているか否かを判定する。前記着座センサの故障の判定は、例えば、前記着座センサの他に、乗員の着座に伴う所定の事象を検出する事象センサがさらに車両走行制御装置Dに設けられ、前記着座センサおよび前記センサの各出力に基づいて実施できる。このような事象センサとして、例えば、シートベルトの装着を検出するシートベルトセンサが設けられ、前記着座センサが着座を検出していない一方、前記シートベルトセンサが装着を検出している場合、クラッチ制御部212は、前記着座センサが故障していると判定する。前記シートベルトセンサは、例えば、シートベルトのタングに設けられ、シートベルトのバックルの脱着に応じてオンオフするスイッチ等である。あるいは、前記事象センサは、別途に設けられた着座センサであってもよい。すなわち、2個の着座センサが設けられ、これら着座センサの各出力が所定値以上で異なっている場合に、クラッチ制御部212は、前記着座センサが故障していると判定する。
【0057】
前記判定の結果、前記着座センサが故障ではない場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、前記着座センサが故障である場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S10を実行する。
【0058】
この処理S10では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、クラッチ踏込み量検出部13の出力(クラッチペダル踏込み量)を前記クラッチ踏込み量検出部13から読み込み、取得し、クラッチ踏込み量検出部13の出力(クラッチペダル踏込み量)に基づいてクラッチペダルの操作が有るか否かを判定する。この判定の結果、前記クラッチペダル踏込み量が無いことから、クラッチペダルの操作が無いと判定した場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、前記クラッチペダル踏込み量が有ることから、クラッチペダルの操作が有ると判定した場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S11を実行する。
【0059】
この処理S11では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、ブレーキ踏込み量検出部12の出力(ブレーキペダル踏込み量)を前記ブレーキ踏込み量検出部12から読み込み、取得し、ブレーキ踏込み量検出部12の出力(ブレーキペダル踏込み量)に基づいてブレーキペダルの操作が有るか否かを判定する。この判定の結果、前記ブレーキペダル踏込み量が無いことから、ブレーキペダルの操作が無いと判定した場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、前記ブレーキペダル踏込み量が有ることから、ブレーキペダルの操作が有ると判定した場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S12を実行する。
【0060】
この処理S12では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、原動機31と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御する。
【0061】
次に、走行制御装置Dは、制御処理部21によって、イグニッションの指示を受け付けたか否かを判定する(S13)。この判定は、例えば、イグニッションボタンがオンされたか否かによって実施される。この判定の結果、イグニッションの指示を受け付けていない場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、イグニッションの指示を受け付けている場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S14を実行する。
【0062】
この処理S14では、走行制御装置Dは、制御処理部21によって、原動機31を始動する。
【0063】
次に、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、クラッチ締結フラグを“0”に設定(セット)し(クラッチ締結FLG=0)、次に、処理S16を実行する。前記クラッチ締結フラグ(クラッチ締結FLG)は、原動機と変速機との間を締結状態を表すフラグであり、“1”が締結を表し、“0”が前記締結の解除を表す。上述の初期化において、クラッチ解除フラグは、“0”に初期化(設定、セット)される。
【0064】
前記処理S16では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、タイマーtをリセットし(t=0)、処理を処理S1に戻す(リターン)。前記タイマーtは、クラッチ装置32を制御することによって原動機31と変速機との間の締結を自動的に解除した後における前記所定の時間を計測するための変数である。
【0065】
一方、前記処理S21では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、クラッチ解除フラグが“1”であるか否かを判定する。この判定の結果、クラッチ解除フラグが“1”ではない場合、すなわち、“0”である場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S22を実行する。一方、前記判定の結果、クラッチ解除フラグが“1”である場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S41を実行する。
【0066】
この処理S22では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、原動機31と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御する(S23)。
【0067】
次に、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、前記所定の時間を計時するために、タイマーtを所定値、例えば100に設定(セット)する(t=100)。
【0068】
次に、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、クラッチ踏込み量検出部13の出力(クラッチペダル踏込み量)を前記クラッチ踏込み量検出部13から読み込み、取得し、クラッチ踏込み量検出部13の出力(クラッチペダル踏込み量)に基づいてクラッチペダルの操作が有るか否かを判定する(S24)。この判定の結果、前記クラッチペダル踏込み量が無いことから、クラッチペダルの操作が無いと判定した場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S27を実行する。一方、前記判定の結果、前記クラッチペダル踏込み量が有ることから、クラッチペダルの操作が有ると判定した場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S25を実行する。
【0069】
この処理S25では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、ブレーキ踏込み量検出部12の出力(ブレーキペダル踏込み量)を前記ブレーキ踏込み量検出部12から読み込み、取得し、ブレーキ踏込み量検出部12の出力(ブレーキペダル踏込み量)に基づいてブレーキペダルの操作が有るか否かを判定する。この判定の結果、前記ブレーキペダル踏込み量が無いことから、ブレーキペダルの操作が無いと判定した場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S27を実行する。一方、前記判定の結果、前記ブレーキペダル踏込み量が有ることから、ブレーキペダルの操作が有ると判定した場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S26を実行する。
【0070】
この処理S26では、走行制御装置Dは、制御処理部21によって、イグニッションの指示を受け付けたか否かを判定する。この判定の結果、イグニッションの指示を受け付けていない場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S27を実行する。一方、前記判定の結果、イグニッションの指示を受け付けている場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、制御処理部21によって、原動機31を始動し(S31)、次に、クラッチ制御部212によって、クラッチ締結フラグを“0”に設定(セット)し(クラッチ締結FLG=0)(S32)、次に、処理S16を実行する。
【0071】
前記処理S27では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、タイマーtに基づいて前記所定の時間が経過したか否かを判定する。タイマーがtが0ではない場合(上述の例ではタイマーtが100~1の間の数である場合)には、クラッチ制御部212は、タイマーtがタイムアップせず、前記所定の時間が経過していないと判定し、一方、タイマーがtが0である場合には、クラッチ制御部212は、タイマーtがタイムアップし、前記所定の時間が経過したと判定する。この判定の結果、前記所定の時間が経過していない場合(No)には、走行制御装置Dは、タイマーtを1だけディクリメン(減算)とし(t=t-1)(S28)、処理を処理S24に戻す。一方、前記判定の結果、前記所定の時間が経過している場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、クラッチ制御部212によって、原動機31と変速機との間の締結するように、クラッチ装置32を制御し(S29)、次に、クラッチ制御部212によって、クラッチ締結フラグを“1”に設定(セット)し(クラッチ締結FLG=1)(S30)、次に、処理S16を実行する。
【0072】
一方、前記処理S41では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、クラッチ踏込み量検出部13の出力(クラッチペダル踏込み量)を前記クラッチ踏込み量検出部13から読み込み、取得し、クラッチ踏込み量検出部13の出力(クラッチペダル踏込み量)に基づいてクラッチペダルの操作が有るか否かを判定する。この判定の結果、前記クラッチペダル踏込み量が無いことから、クラッチペダルの操作が無いと判定した場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、前記クラッチペダル踏込み量が有ることから、クラッチペダルの操作が有ると判定した場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S42を実行する。
【0073】
この処理S42では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、ブレーキ踏込み量検出部12の出力(ブレーキペダル踏込み量)を前記ブレーキ踏込み量検出部12から読み込み、取得し、ブレーキ踏込み量検出部12の出力(ブレーキペダル踏込み量)に基づいてブレーキペダルの操作が有るか否かを判定する。この判定の結果、前記ブレーキペダル踏込み量が無いことから、ブレーキペダルの操作が無いと判定した場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、前記ブレーキペダル踏込み量が有ることから、ブレーキペダルの操作が有ると判定した場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、処理S43を実行する。
【0074】
この処理S43では、走行制御装置Dは、クラッチ制御部212によって、原動機31と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御する。
【0075】
次に、走行制御装置Dは、制御処理部21によって、イグニッションの指示を受け付けたか否かを判定する(S44)。この判定の結果、イグニッションの指示を受け付けていない場合(No)には、走行制御装置Dは、次に、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、イグニッションの指示を受け付けている場合(Yes)には、走行制御装置Dは、次に、制御処理部21によって、原動機31を始動し(S45)、次に、クラッチ制御部212によって、クラッチ締結フラグを“0”に設定(セット)し(クラッチ締結FLG=0)(S46)、次に、処理S16を実行する。
【0076】
走行制御装置Dは、原動機の始動に関し、このように動作する。
【0077】
例えば、駐車中の車両のドアを開け、乗員が前記車両に乗り込むと、走行制御装置Dでは、処理S1ないし処理S6の各処理が実行され、この処理S4では、パーキングブレーキの使用有りが検出され、この処理S6では、ドアの開放と判定され、処理S21ないし処理S23の各処理が実行される。これによって原動機31と変速機との間の締結が自動的に解除される。乗員が乗車したものの、例えば携帯電話機等を操作していると、前記処理S23に続いて、処理S24ないし処理S27の各処理が実行され、この処理S27では、前記所定の時間が経過していないと判定され、処理S28の実行後、処理が処理S24に戻される。上述の例では、前記乗員が前記携帯電話機の操作を続行していると、処理S24ないし処理S28の各処理が繰り返し実行され、この繰り返しの各処理の実行の結果、処理S27で前記所定の時間が経過していると判定されると、処理S29、処理S30および処理S16の各処理が実行され、処理が処理S1に戻される。これによって自動的に解除された原動機31と変速機とは、前記所定の時間の経過により、自動的に締結される。前記乗員が前記車両を始動させるため、ブレーキペダルを踏み込み、クラッチペダルを踏み込み、イグニッションボタンをオンにすると、走行制御装置Dでは、処理S1ないし処理S8の各処理が実行され、この処理S4では、パーキングブレーキの使用有りが検出され、この処理S8では、着座と判定され、処理S21が実行される。この処理S21では、クラッチ解除フラグが“1”と判定され、処理S41ないし処理S46および処理S16の各処理が実行される。これによって自動的に再締結された後に、クラッチペダルの踏込みを検出した場合に、または、ブレーキペダルの踏込みを検出した場合に、この例では、前記乗員によるクラッチペダルの踏込みを検出し、前記乗員によるブレーキペダルの踏込みを検出した場合に、原動機31と変速機との間の締結が解除され、原動機31が始動される。
【0078】
なお、
図2ないし
図4に示すフローチャートでは、走行制御装置Dは、クラッチペダルに対する操作の有無の判定とブレーキペダルに対する操作の有無の判定とを実行したが、クラッチペダルに対する操作の有無の判定およびブレーキペダルに対する操作の有無の判定のうちのいずれか一方であってもよい。
【0079】
多くの場合、乗員は、駐車中の車両に乗り込んでから原動機31を始動する。実施形態における走行制御装置Dおよびこれに実装された走行制御方法は、原動機31の停止中に、乗員の乗込み動作を検出すると、原動機31と変速機との間の締結を解除するように、クラッチ装置32を制御する。このため、上記走行制御装置Dおよび走行制御方法は、原動機31の始動の際に、原動機31と変速機との間の締結をより確実に解除でき、したがって、締結状態で原動機31が始動される状況がより確実に回避できる。
【0080】
上記走行制御装置Dおよび走行制御方法は、締結の解除後、所定の時間の経過後に、前記締結を再開するので、前記締結が解錠されたままで原動機31の始動が無い状態の継続を回避できる。
【0081】
上記走行制御装置Dおよび走行制御方法は、自動的な解除後の再締結後における、クラッチペダルの踏込みを検出した場合や、ブレーキペダルの踏込みを検出した場合に、前記締結を解除するようにクラッチ装置32を制御するので、通常の制御に戻り、原動機31の始動の際での前記締結を解除できる。
【0082】
上記走行制御装置Dおよび走行制御方法は、乗込み動作がドアを開放する動作であるので、一連の乗り込み動作の比較的早期に締結を解除できる。
【0083】
上記走行制御装置Dおよび走行制御方法は、乗込み動作がシートに着座する動作であるので、乗員の運転準備が整ったことを考慮して締結を解除できる。
【0084】
上記走行制御装置Dおよび走行制御方法は、パーキングブレーキの使用有りを検出した場合にのみ、前記締結を解除するようにクラッチ装置を制御するので、例えば坂道停止時等において、前記締結の解除による車両のずり下がりを防止できる。
【0085】
なお、上述の実施形態では、前記乗込み動作は、ドア開け動作や着座動作であったが、これに限定されるものでは無く、停車中の車両に乗り込むために、車両に近づいてからシートに着座するまでの一連の動作のいずれかであってよい。例えば、前記乗込み動作は、車両キーでドアのロックを解除する動作(ドアロック解除動作)であってもよい。この場合では、前記乗込み動作検出部は、ドアのロックの施解錠を検出する施解錠センサであり、前記施解錠センサは、例えば、ロックの施解錠に応じてオンオフするスイッチ等である。
【0086】
また、上述の実施形態では、クラッチ制御部212は、クラッチ装置32の自動的な解除後に、クラッチ装置32を制御することによって原動機31と変速機との間を締結した後に、クラッチ踏込み量検出部13によって前記クラッチペダルの踏込みを検出した場合に、または、ブレーキ踏込み量検出部12によって前記ブレーキペダルの踏込みを検出した場合に、原動機31と変速機との間の締結を解除するように、前記クラッチ装置32を制御したが、前記クラッチ踏込み量検出部13に代え、クラッチカット検出部14が用いられてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、クラッチ制御部は、クラッチ装置を制御することによって原動機と変速機との間の締結を解除した後に、所定の時間が経過した場合に、前記原動機と変速機との間を締結するように、前記クラッチ装置を制御したが、走行制御装置Dは、前記車両に装備されている装備品に対する操作を検出する操作検出部をさらに備え、クラッチ制御部は、クラッチ装置を制御することによって原動機と変速機との間の締結を解除した後に、前記操作検出部によって前記装備品に対する操作を検出した場合に、前記原動機と変速機との間を締結するように、前記クラッチ装置を制御してもよい。乗員により装備品が操作された場合、前記装備品の使用によって原動機31がしばらく始動されない場合が有り得る。この変形形態における走行制御装置Dおよび走行制御方法は、締結の解除後、前記装備品に対する操作を検出すると、前記締結を再開するので、前記締結が解錠されたままで原動機31の始動が無い状態の継続を回避できる。
【0088】
前記装備品は、乗員に利用され、車両に装備される所定の装置であり、例えば、カーオーディオ、カーエアコンディショナ、カーナビゲーション、および、ドアミラーのミラー角度を調整するドアミラー調整装置等である。前記操作検出部は、前記装備品に対する操作を入力するための、例えばオンオフを行うスイッチやロータリースイッチ等の入力部における入力の有無(オンオフ)や操作量(入力量)等を検出する。
【0089】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0090】
D 走行制御装置
11 アクセル踏込み量検出部
12 ブレーキ踏込み量検出部
13 クラッチ踏込み量検出部
16 車速測定部
17 乗込み動作検出部
18 使用有無検出部
21 制御処理部
181 パーキングブレーキ操作部
182(213) 使用有無判定部
211 制御部
212 クラッチ制御部
31 原動機
32 クラッチ装置